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ここ - 電気電子情報工学科
2011年度 武尾研究室 D2&M1 中間発表会 質疑応答集 電気電子工学専攻 武尾研究室 1.「マンモグラムにおける腫瘤影の良悪性鑑別システムに関する研究 ~自動形状開発処理の開発~」 M1 太田 剛 (1182005) ①CAD の現状の検出率,鑑別率が 100%ではないのは何故?(中津原先生) (回答)学習データが足りていないため,誤検出が出てしまうからだと考えられます.まさ まだ医師とコンピュータ(アルゴリズム)との知識差や判別能力差があるからだと思い ます.もっと医師の診断プロセスをアルゴリズムに吸収させる必要があります. ②研究内容をちゃんと理解している?(中津原先生) (回答)目的としてはスケッチ画像を自動で描くシステムをつくることです.そのことがうまく 伝えられられず申し訳ございません. ③Snakes ってどういう処理?(中津原先生) (回答) 1.各エネルギーの値を入力します. 2.入力画像を白黒にし,画像いっぱいに閉曲線を描きます 3.反復計算を行い,閉曲線を少しずつ縮ませます. 4.内部エネルギーと外部エネルギーの和が最小になったらその場で止まります. バネモデルと考えると分かりやすいと思います.すなわち,緩んだバネで接続された リング形状を徐々にバネ定数を強めて収縮させ,内部なある固定形状にフィットさせ る方法です. ④悪性のスケッチ画像ってどういう形をしているか?(奥村先生) (回答)良性のようにきれいな円形ではなく,多角形であったりスピキュラがあったりする と考えられます.また,悪性は境界が不明瞭なことが多く,実は医者でも正確なスケッ チが書きづらいこともあります・ ⑤前回ではスケッチ画像はどういう風に作成したのか?(奥村先生) (回答)良悪性の答えを知らない第3者が,腫瘤画像をみながら,ペイントで描いていまし た.ですので,その人の意図は入ってません. ⑥Snakes の点は調整できるのか?動点はいくつある?(小室先生) (回答)点の大きさ,色,点と点の間の距離などの調整ができます.動点の数は点と点の 間の距離で調整しているので,数は分かりません(距離の与え方によって node 点の 数は決まります.概ね数十点くらいです). ⑦Snakes の成功例の i=0,i=20,…とは何ですか?(小室先生) (回答)反復計算(処理)を行った回数(Iteration)です. ⑧Snakes で腫瘤影の結果が違ってしまったらどうなるの?(M1 會野君) (回答)この後に行う,形状特徴量の計算に影響が出てきて良性か悪性かの鑑別が違っ てしまう可能性があります. ⑨現状況で Snakes を適用した場合の正答率は何%くらいになるの?(M1 野中君) (回答)良悪性システムへの組み込みはまだしていないのでわかりません. ⑩スケッチの取り方で特徴量の計算結果は影響を受けない?(堂之前さん) (回答)影響は多少なりともあると思います.できるだけスケッチの微妙な違いに影響を受 けない特徴量を開発していかなくてはならないと思います. ⑪何故 Snakes を用いたのか?(堂之前さん) (回答)「スケッチ画像を自動で描く」という目的を持った時に一番初めに見つけた手法が Snakes で,他に良い方法が思いつかなかったからです. ⑫他の手法と比較した場合の提案の手法の特徴は?(堂之前さん) (回答)手動でやっていたものを自動化できることです.他に自動化できる手法はあると思 いますが,まだ未着手なため比較はできませんが. ⑬前回の研究と比較して検出性能はどうなるのか?(堂之前さん) (回答)今回はスケッチ作成を自動化することが焦点なので,検出性能は前回と同等レベ ルを目標としています. ⑭内部エネルギーと外部エネルギーはどうやって決めるのか?(堂之前さん) (回答)内部エネルギーは輪郭に尖った部分がある時に大きくなります.外部エネルギー は入力画像自体のサイズが大きかったり,背景が単調な場合に大きくなります. 2.「医 療 系 画 像 処 理 の多 分 野 展 開 」 D2 堂之前 義文(1092004) ①特許の狙いは?(奥村先生) (回答)神奈川工科大の特許として出願しており,必要としている会社に有償で提供する 事を考えています. ②病理の細胞認識には全て特許の方法を用いているか?(小室先生) (回答)典型的な例(真ん中が暗くなっているケース)の病理画像にはそのまま適用可能 ですが,真ん中が明るくなっていたり,輪郭を含め全てのエッジが不鮮明なケースで は,エッジを強調したり,ガウシアンフィルターをかけるなどして,画像上で細胞の形 状が明確に見える様になるような前処理を行ってから,特許の方法を用いています. ③病理画像で細胞を抽出する際に,パターン認識の手法は用いないのか?(小室先生) (回答)抽出対象の細胞はあらゆる形状を取り得るので複数のパターンとして類型化す る事が難しく,認識率を向上させるのには,パターン認識を用いるのはあまり効果的 ではないと思っています. ④超音波画像の画質改善の処理には時間がかかるのか?(小室先生) (回答)現在1コマづつ,PC で処理し作成している(1枚2秒程度)為,動画作成には時間 がかかりますが,超音波診断機に実装する際にはメーカーがハードウエア化すると思 われますので,リアルタイムでの実行が可能になるものと思います. ⑤超音波画像の画質改善処理はそれぞれの1枚の画像で独立な処理か?(小室先生) (回答)ノイズに関してはフレーム間で独立で,信号に関しては相関を有するので,目的 の画像の画質改善処理には前後数フレームの画像情報を用いて処理しています. ⑥これらの技術は他ではどれくらい使われているのか?(奥村先生) (回答) A)超音波画像の画質改善に関して 超音波診断機の分野では現在用いられていません.というのは,超音波診断機は, プローブからの信号を再構成するような必要最小限度の信号処理を除き,画像処 理で画質を改善するということは現在ほとんどなされていないからです.広い意味で の画質改善は,写真や印刷や TV の分野や X 線の分野で盛んに研究されて来まし た.それが応用されると思います.超音波診断機用の画質向上処理は今後5年以 内に,研究がかなり進むと思います.現在は,いろいろな技術の施行錯誤の最中だ と思います.現時点ではまだ有力なものは見出されていないと思います. B)細胞培養の監視に関して 細胞培養の現場では,通常は汎用の画像処理ライブラリーが使用されています.汎 用画像処理ライブラリーは,培養装置に付属で,提供される場合が多いと思います. その画像処理ライブラリーはフォトショップのような良く用いられる画像処理を束ね たものです.しかし現場では,それらを組み合わせても良好な,画質や画像解析結 果は得られておらず,監視に十分なものではないと培養を担当する研究機関から伺 っています.現在私が研究しています,正確に,細胞の形状をとらえる技術は,その ようなニーズを満たす事を意図しており,現時点では,同様の技術は存在していな いと思います.再生医療の実用化までにまだまだ時間がかかります(10年?)ので 今後こういう技術はゆっくりと進歩していくものと思われます. C)病理画像の解析について 病理画像は現時点ではほぼ全て,人(医師)が目視で診断しています.他の医療機 器の CAD(診断支援)技術と比べると研究は殆んど進んでいない状況です.ここ1, 2年急速に,病理分野での診断技術の研究を始める機関が増えていますが,研究 成果としてはあまり特記すべき技術は開発されていないと思います. ⑦これらの研究のオリジナリティーは?(中津原先生) (回答)これらの分野(超音波診断機,細胞培養の監視,病理画像の解析)の現在取り組 んでいる課題に対しては,いずれも有力な手法は現時点までに提案されていません. いずれも従来の技術では解決が難しく,大きなブレークスルーを必要としています. 昨年出願した特許は,汎用領域抽出コア技術(Universal Segmentation Engine)と名 付けまして,あらゆる,領域抽出を簡易に,高感度,高精度で抽出できる技術として, 現在の研究で応用しています.研究の技術的な観点では,汎用の領域抽出コア技術 として完成度の高いものを作る事を目指していきます.今後の研究で,特許を使って も尚,困難な問題に適用し性能を改善してゆき,より,広い範囲で適用できるように改 善を行っていきます. 以上