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前期冊子PDF - 縫製技術者育成事業
縫製の仕事 ご挨拶 みなさんの住む倉敷市は古くから繊維産業が盛んでした。 特に児島地区は今でも繊維業界に関わる方が多くおられ生 地を織る機屋さん、染色工場、紐を織る細幅屋さん、学生 服メーカーや作業服メーカー、そして国産ジーンズ発祥の 地でもある児島はジーンズメーカーや縫製工場が密集して おります。 地場産業である縫製工場には、以前地元の方がたくさん働 いておりましたが、今では海外からの研修生、実習生の姿 がほとんどになってしまいました。 そこで私たち縫製工場 3 社が倉敷市からの支援を受け、地 元から縫製未経験者を 3 名受け入れ 1 年掛けて縫製の技術 者を育成する事になりました。 今回、スタートから半年経過までを冊子にまとめ前期版と して発刊いたしました。 これから社会に出て行くみなさんが繊維関係の仕事や縫製 と言う仕事に少しでも興味を持っていただければ幸いです。 -1- 平成25年10月1日 いよいよ縫製技術者育成事業がスタート致しました。 最初に倉敷市商工課の渡辺主事よりご挨拶と当事業の趣旨をご説明戴きまし た。 次に倉敷市児島産業振興センター長、三宅マネージャーからご挨拶と 縫製の仕事にチャレンジする新人3名への温かいエールのお言葉を戴きまし た。 付き添いで同席くださった各縫製工場の社長と新人たちの自己紹介も 終わり初顔合わせは無事終了致しました。 これから縫製業と言う未知の世界へ飛び込んで行く彼女たち3名を通して、 少しでも縫製と言う仕事に興味を持って戴ける方が増える事を願っておりま す。 そして応援よろしくお願い致します。 -2- 縫製工場にはたくさんのミシンが有ります。 そのミシンを修理したり新しいミシンを販売するミシン屋さんもたくさん いらっしゃいます。 縫製と言う仕事へ携わるには最低限のミシンに対する知識が必要です。 地元のミシン屋さんから修理技術者を招いてミシン操作の基本を教わりま した。 針、押さえ金具の交換方法 糸道の通し方や糸調子の取り方 運針の変更方法など基本中の 基本を教わる新入社員たち そしていよいよ工業用ミシンを使って縫ってみます。 家庭用ミシンしか使った事のない 3人は最初工業用ミシンの速さに ビックリしていましたが慣れてく るにつれ 「家庭用ミシンよりおもしろい」 と、感動していました。 1時間で自分の作りたい物を作ってみましょうと時間を与え、生地の裁断から 本日習ったミシンを全て駆使して全員が小物を完成させました。 -3- 縫製は繊維産業のごく一部です。 服を縫うためにはまず生地を作らなけれ ばなりません。 俗に言う機屋(はたや)さんです。 社内には染色から整経、製織、 仕上げまでたくさんの設備が あり、一貫生産されておりま した。 撮影場所:株式会社ショーワ 生地を作るメーカーもあれば、出来上がった生地を各社から仕入れて販売 している生地商社もあります。 新入社員たちに営業サンプルとなる生地 見本作りを手伝ってもらいました。 撮影場所:株式会社コレクト -4- 新入社員のみなさんはパターンメイキング講座にも参加してもらいました。 服を縫うには生地を裁断しなくてはなりませんが、生地を切る時の元に成 る型紙作りです。 今回はシャツのパターンを作成しました。 出来上がった型紙を生地の上に乗せ て、線を引きハサミでカットしてい きます。 縫いあがるとこんな感じになります。 初めてにしては上出来ですね。 縫製工場では普通しない事ですが、縫製技術者育成事業と言う事で早くミシ ンに慣れてもらうためこんな事もしました。 ハギレに自分の好きな下絵を描き 線に沿って縫っていきます。 ます。 ミシンを使った塗り絵です。 -5- 本生産での裁断は、たくさんの生地を重ねて裁断機を使って一気に切って いきます。 その様子を裁断工場さんへお邪魔して見学いたしました。 重ねた生地の上に乗せるのは型紙 から写し取ったマーキングシート と言う大きな紙です。 裁断する ガイドラインなのでたくさん書き 写す必要のある大変な作業です。 この束がジーンズの各パーツです 全て切り終えると、ひとまとめに して縫製工場へ持ち込まれ縫製作 業がスタートします。 撮影場所:木下カッティングセンター 縫製工場で服を縫い始めるまでには、色々な人の手が掛かっています。 マーキングシートへ型を写し取る元になる型紙作りはパターン屋さんと言わ れる人たちの仕事です。 -6- 縫製の仕事と一口に言っても様々な業種に分類されます。 今回の縫製技術者育成事業で入社した3名はジーンズ・カジュアルと言う 分野の縫製工場です。 他にも学生服や作業服、ユニフォーム、シャツ専 門の工場など多岐にわたります。 ジーンズ・カジュアル以外の縫製工場がどの様なものか知ってもらうため 児島にある学生服の工場へ実習を兼ねて見学に行きました。 菅公学生服株式会社の倉敷工場です。 道を挟んで左右に大きな建物のある 学生服メーカーさんです。 こちら では裁断から縫製、完成仕上げ出荷 まで、全て社内で作業されておりま す。 CADと呼ばれるパソコンを使った パターン製作と、裁断の型入れ(マ ーキング)は全てデータでやり取り されます。 そしてCAMと言われ る自動裁断機で生地が裁断されてい きます。 今回特別に裁断前の生地を重ねる延 反(えんたん)作業を手伝わさせてい ただきました。 撮影場所:菅公学生服株式会社 -7- 大量生産のできるジーンズ・カジュアルの縫製工場へも研修に行きました。 こちらの工場では60名近い方が縫製に従事しピーク時には月産4万本とい う生産量の県下最大級の縫製工場です。 こちらの工場は平均年齢38歳と縫 製工場にしては非常に若い方の多い 工場です。 縫ったものを次へ運んでくれるアー ムが動いてたり、ファスナーを縫い 付けた前立てパーツを自動で箱の中 へ落としてくれる装置が付いていた りと、効率を追求した設備がたくさ ん整っておりました。 工場内での作業は細分化されていて 1人が2~3台のミシンを使い専門 のパーツを担当しておりました。 入社から3ヶ月もすると決まった持 ち場を与えられ、一人前の作業を こなす事ができるようです。 撮影場所:角南被服有限会社 箕島工場 -8- ジーンズと言えば中古加工や洗い加工が付き物です。 地元児島にある、洗い加工の工場へも研修に行きました。 日頃は縫製工場 で作業をする3名にとって、見たことのない設備がいっぱいです。 縫製が済むと、ほとんどのジーンズは 洗い屋さんと言われる工場へ運ばれて いきます。 ワンウォッシュと言って糊の効いたデ ニム生地を糊抜きするためだけの洗い もあれば、着古した感じを出すために 擦りやダメージを加え、軽石と一緒に ドラムへ入れて洗ったりとハードな中 古加工などもあります。 たくさんダメージを与えることで頑丈 なジーンズも破れたり壊れてしまう事 があり、それを直すのも縫製工場の仕 事です。 撮影場所:株式会社 WHOVAL -9- 新入社員3名の日頃の仕事をご紹介いたします。 アジトさんへ入社した O さん。 入社間なしの頃はアイロンを使った 仕事からです。 縫製工場ではアイ ロン作業から習うことが多いです。 これは大事な仕事で、アイロンが下 手だと縫製もきれいにあがりません。 展示会サンプルの裁断です。 ベテランたちは本生産が忙しいので 1~2点の裁断は入社して間の無い 社員の仕事になることが多いです。 しかし、これも無くてはならない大 切な作業です。 ミシンを使った作業に慣れるための 部品作りです。 失敗しても解けば直す事のできるパ ーツからです。 入社から半年が近くなると多少の技 術を要する作業が出来るようになり ます。 コバステッチと言って端か 2mm の ところを狙って縫います。 - 10 - 株式会社 WHOVAL へ入社した N さん。 入社して早々の作業はローラー式の アイロンを使って芯貼り作業です。 裁断された生地と接着芯を重ねて反 対側から通すと、しっかり接着され た状態で出てきます。 ジーンズの裾上げをする前工程とし て指示通りの寸法にアイロンで2回 折り曲げます。 ものさしで測りながら丁寧に素早く アイロンしていきます。 アタッチングマシーンと言う半自動 機の打ち機を使ってスナップボタン を取り付けてます。 手を打たないよう注意のいる作業で す。 前立てパーツにファスナーを縫い付 ける作業です。 こうした部品作りも、ミシンに慣れ 始めると任せてもらえるようになり ます。 - 11 - ProStudio KASEI へ入社した H さん。 まずミシンへ慣れてもらうため、縦 に同じ幅で縫うこと。 そして今度はあみだクジのように横 方向へ縫って行きます。 針が行き 過ぎないよう思い通りのところで止 める事ができるまで練習しました。 小物ポーチの吊り下げ金具を留める ための杉綾テープを縫い付けており ます。 こうした作業もある程度ミシンに慣 れないと上手く縫う事ができません。 ベルトループを縫う作業です。 比較的操作の簡単なミシンの部類に 入ります。 このミシンはパンツを 縫うのに必ず要るものです。 初心 者が担当する事の多いミシンです。 普通のミシンを使って刺繍のような ステッチを入れて行く作業です。 糸1本ずつ、ずらしながら縫う作業 はミシンに慣れてないとむつかしい 作業となります。 - 12 - 縫製技術者育成事業 新入社員3名のブログが読めます。 http://kurashiki-sttp.com/ ■ 発行者 ProStudio KASEI 倉敷市児島産業振興センター DI-7(縫製技術者育成事業) 〒711-0921 倉敷市児島駅前 1-37 TEL:086-486-2537 平成 26 年 3 月発行