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ポスター発表概要
研究会「量子論の諸問題と今後の発展」 ポスター発表概要 (五十音順、敬称略) 1. 市川 翼 (東京大学大学院理学系研究科物理学専攻・KEK): シュミット分解をあらわに用いた量子ゲームの定式化とその帰結 2. 内海 裕洋(理化学研究所 古崎物性理論研究室): メゾスコピック系の計数統計理論 3. 奥平 陽介(東京工業大学理工学研究科基礎物理学専攻): Quantum Brachistochrone 4. 黒谷 雄司(東京工業大学大学院物性物理学専攻 上田研究室): 回路を用いた量子測定の分析 5. Tamás Fülöp(KEK, IPNS-Theory): Physical effects caused by boundary conditions in quantum mechanics 6. 中山 茂 (鹿児島大学工学部情報工学科): 量子ビット表現を用いた進化的アルゴリズムの研究 7. 林 剛史 (筑波大学数理物質科学研究科): 空間的相関を有するノイズに対するスタビライザー符合による量子誤り訂正 8. Pavel Hejčı́k(高知工科大学): One-Dimensional Quantum Chaos with Scale Invariant Point Interactions 9. 宮本 学 (早稲田大学理工学部物理学科大場・中里研究室): 有限温度下における調和振動子の非指数崩壊 10. 森川 雅博(お茶の水女子大 物理): 量子測定と対称性の自滅 11. 森前 智行(東大院総合文化研究科): マクロエンタングルメントをつくる時間発展 12. 湯浅 一哉(早稲田大学理工学部): Projection Operator Method for Open Quantum Systems in the Presence of Initial Correlations • ポスター掲示板に1から12まで番号が振ってありますので、発表者は各自の名前 の横に振られている番号と合致する掲示板を用いて発表して下さい。 1 1. 氏名 市川 翼 (東京大学大学院理学系研究科物理学専攻・KEK) 題名 シュミット分解をあらわに用いた量子ゲームの定式化とその帰結 概要 シュミット分解とは、二体系の純粋状態の表示方法のひとつであり、与えら れた純粋状態が有している量子的な相関を定量的に表示できるという特徴を 持っている。最近我々はこの表示法をあらわに用いて量子ゲーム(与えられた 二つの物理量の期待値に対する、局所ユニタリ操作のみによる最適化法)を定 式化し、2-qubit 系についてゲームの最適解を求めた。この解の性質が量子相 関を調整することによって大きく変化し、古典的な確率変数をもとにしたゲー ムでは解決不可能なジレンマが、この変化を用いて解消しうることを示す。ま た、以前に提唱された定式化との異同などを論じる。この発表は筒井泉、全卓 樹との共同研究にもとづく。 —————————————————— 2. 氏名 内海 裕洋 (理化学研究所 古崎物性理論研究室) 題名 メゾスコピック系の計数統計理論 概要 単電子トランジスタつまり多チャンネル非平衡近藤モデルの計数統計を議論 する.我々は Keldysh 生成汎関数法を用い,電流の分布関数を主要対数近似 で求めた.強いトンネル結合はコンダクタンスや帯電エネルギーの対数的な繰 り込みだけではなく散逸も引き起こす.それにより電流の統計的性質が変わ ることが分かった.(Y. Utsumi, D. Golubev, G. Schön:cond-mat/0508500 PRL, in press) —————————————————— 3. 氏名 奥平 陽介 (東京工業大学理工学研究科基礎物理学専攻) 題名 Quantum Brachistochrone 概要 純粋状態の量子系における最速曲線を生成する Hamiltonian を、物理的制 約を満たす集合の中から見つけ出す一般的方法。 —————————————————— 4. 氏名 黒谷 雄司 (東京工業大学大学院 物性物理学専攻 上田研究室) 題名 回路を用いた量子測定の分析 概要 量子測定の一般的な枠組みとして,von Neumann によって導入された間接 測定が知られている.その手法を発展させることにより,我々は測定直後の状 2 態が測定演算子にも測定結果にも依存しない測定過程が,2準位系及び連続変 数系に対して存在することを見出した.この測定過程のユニタリ時間発展は, それぞれ CNOT 演算子(2準位形の場合)及び von Neumann 演算子(連続 変数系の場合)を3つ用いた量子回路(SWAP 回路) を用いることによって記 述することができる.この測定法は,測定直後の状態が測定結果に依存しない のでその初期化が非常に簡単である. —————————————————— 5. 氏名 Tamás Fülöp (KEK, IPNS-Theory) 題名 Physical effects caused by boundary conditions in quantum mechanics 概要 Boundary conditions (contact, reflection and connection conditions) arise in quantum mechanics when quantum particles are reflected from a boundary, meet a pointlike singular object, or reach a singularity of a potential that diverges at a point. These conditions depend on a few free parameters and different parameters cause remarkably different physical behavior. The presentation wishes to show some illuminating examples for these effects. —————————————————— 6. 氏名 中山 茂 (鹿児島大学工学部情報工学科) 題名 量子ビット表現を用いた進化的アルゴリズムの研究 概要 染色体の遺伝子に量子ビット表現を用いた量子風進化的アルゴリズム (QEA)が提案され,その有効性が着目されている.QEA は集団のなかで部 分集団を作成し,部分集団内で最良解を共有する局所移住,および集団全体で 最良解を共有する大域的移住の処理を含む.しかし,部分集団数や移住のタイ ミングなど,調整すべきパラメータを多数含んでいる,得られる最良解の品質 のばらつきが大きい,などの問題があった.本発表では,新しい戦略を提案し、 ナップザック問題に適用した実験により,調整すべきパラメータが少なく,ま た,安定した品質の最良解を得ることができることを示す. —————————————————— 7. 氏名 林 剛史 (筑波大学数理物質科学研究科) 題名 空間的相関を有するノイズに対するスタビライザー符号による量子誤り訂正 概要 「各量子ビットに作用するノイズが相関を持たない」との仮定の下に設計さ 3 れた量子誤り訂正符号により、空間的相関を有するノイズによって生じるエ ラーも、無相関の場合と全く同じ誤り訂正アルゴリズムで訂正できることを、 スタビライザー符号に対して、一般的に示す。 (共同研究者:有光敏彦,北島佐知子,柴田文明) —————————————————— 8. 氏名 Pavel Hejčı́k (高知工科大学) 題名 One-Dimensional Quantum Chaos with Scale Invariant Point Interactions 概要 We show that the solvable quantum motion of a particle on a onedimensional line with Fülöp-Tsutsui point interactions exhibits characteristics usually associated with nonintegrable systems both in bound state level statistics and scattering amplitudes. We argue that this is a genuine sign of the existence of stochastic dynamics whichpersists in classical domain. —————————————————— 9. 氏名 宮本 学 (早稲田大学理工学部物理学科大場・中里研究室) 題名 有限温度下における調和振動子の非指数崩壊 概要 電磁場と相互作用する励起原子などを念頭に,不安定量子系の崩壊様式を調 べる.従来の研究では,場の初期状態を真空状態に選ぶのが常であった.本研 究では熱平衡状態を選び,長時間での指数崩壊則からのずれを考察する.特 に,有限温度効果により新たな非指数崩壊則が出現し,その結果,従来予言さ れていた非指数崩壊則が覆い隠される事を示す. —————————————————— 10. 氏名 森川 雅博 (お茶の水女子大 物理) 題名 量子測定と対称性の自滅 概要 量子力学は、シュレージンガー方程式に従う決定論的時間発展と、測定に よって射影される確率的時間発展からなる二元論である。このことによって、 特定の測定者のいない初期宇宙などには適用しにくい理論である。そこで、自 発的対称性の自滅の視点から、測定過程を単に数学的射影の公準ではなく、物 理的過程として量子力学の一元化を試みる。特に、様々な測定方法に対して、 4 量子系がどのように時間発展するか、特徴時間、測定精度、などを導出する。 —————————————————— 11. 氏名 森前 智行 (東大院総合文化研究科) 題名 マクロエンタングルメントをつくる時間発展 (森前智行、清水明) 概要 マクロエンタングルメントをつくるようなユニタリ時間発展について調べ た。少数自由度系に近似することなく、多自由度系かつ短距離相互作用ハミル トニアンで考えた場合でも、系のサイズの多項式程度の時間で作ることがで きる。 —————————————————— 12. 氏名 湯浅 一哉 (早稲田大学理工学部) 題名 Projection Operator Method for Open Quantum Systems in the Presence of Initial Correlations 概要 環境との相互作用下にある量子系の緩和過程を記述する「マスター方程式」 の導出を議論する.通常は,対象系と環境系との間に相関のない初期条件が仮 定されるが,本講演ではこの仮定を課さずに一般の「相関のある初期条件」の 下でマスター方程式を導出する.初期相関が存在する場合には,射影演算子の 選び方が自明ではなく,マスター方程式の導出に際しては,その適切な選択が 重要であることを明らかにする. 5