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17302 - 青山学院図書館

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17302 - 青山学院図書館
氏 名 加藤 康男
学位
(専攻分野) 博士(工学)
学 位 記 番 号
博理工甲 第 18 号
学位授与の日付 2014 年 9 月 27 日
学位授与の要件 学位規則(昭和 28 年 4 月 1 日文部省令第 9 号)
第 4 条第 1 項該当
学 位 論 文 題 目 人体通信における高感度電界検出機構の基礎と応用技術に
関する研究
論 文 審 査 委 員 主 査 教 授 佐久田 博 司 副 査 教 授
山 口 博 明
副 査 教 授
戸 辺 義 人
副 査 教 授
松 谷 康 之
副 査 慶應義塾大学教授 武 藤 佳 恭
論文内容の要旨
加 藤 康 男
本論文は,人間の身体を通信経路として利用する「人体通信技術」についての研
究成果をまとめたものである。人体通信技術は,1995年にアメリカのマサチューセッ
ツ工科大学メディアラボで提案されたが,その後,プロトタイプおよび試作品とし
ての発表は国内においても続いているが,原理的な研究成果は未だほとんど報告さ
れていない。これは,現在の無線・有線通信技術に比べて技術的な蓄積がほとんど
ない人体という媒体を対象にしているため,研究主体が,従来の研究組織に適応し
ないことが背景として考えられるが,基礎研究がまだ十分行われていないことが主
な原因であった。他方,最近では人体に装着される実用的な機器として高性能ヘッド・
マウント・ディスプレイ(HMD)が発表されるなど,ウェアラブル装置の通信手段
として人体通信への期待が高まる素地が醸成されつつある。
そのような状況に鑑み,また,人体通信技術という新たな学問分野の確立を促す
意味を含め,人体通信技術について歴史的背景から体系立てて述べるとともに,現
— 39 —
在主流となっている電圧式人体通信技術に関する研究成果について記述する。
本論文の構成は以下のとおりである。
第1章 序論
第2章 人体通信技術の方式
第3章 電圧式人体通信技術の分類
第4章 電圧式人体通信と高感度電界検出機構
第5章 電圧式人体通信とシミュレーション技術
第6章 電圧式非接地型人体通信技術の応用
第7章 総括
附 録 電圧式人体通信装置開発事例
以下,各章の概要について記述する。
第1章では,通信の歴史に人体通信技術が登場する背景について述べる。電磁波
の発見以来,遠方に情報を送ることに主眼が置かれて研究開発が進められて来た無
線通信技術であるが,近年では電波障害対策や電波の有効利用の観点から通信距離
が短くなる傾向にある。通信の近距離化の延長上には,人体周囲で近距離通信をお
こなうBAN(Body Area Network)がある。BANは既存の無線技術の利用を前提と
しているが,無線通信にはデータ漏洩の懸念がある。データ漏洩抑制には人体通信
技術の適用が効果的である。
人体通信は,従来の有線・無線通信とは異なるウェアラブル・コンピュータの装
置間通信の新技術として,1990年代にアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)
で提唱された。各種装置を身に着けて使用するという意味では,
BANもウェアラブル・
コンピュータ間通信の一種であり,人体通信の適用でアプリケーションとしてのユー
ザビリティが向上する可能性がある。
第2章では,人体通信技術が提案された理由と,これまでに発表された人体通信
技術の方式について述べる。また,本論文の論旨である「電圧式人体通信技術」に
関わっている近接場電界の特性と,近接場電界の検出に大きな役割を果たした,筆
者らが開発した電気光学式オシロスコープについて述べる。
従来のウェアラブル・コンピュータには,人体に装着した装置間の通信方法に課
題があった。すなわち,各装置間をケーブルで接続する場合,ケーブルが利用者の
動作を制約する恐れがあり,無線通信を利用する場合は通信データの漏洩が懸念さ
— 40 —
れていた。
そこで,1995年にMITメディアラボのT.G.Zimmermanが,人体を通信経路として
利用する人体通信技術を提案した。日本では1997年から研究が始まり(NTT HI研)
,
これまでに報告された代表的な人体通信の方式として「電流式」
,
「導波管式」
,
「電
圧式」などがあるが,幅広い用途に適用できることから近年では電圧式が主流となっ
ている。
電圧式人体通信は,利用者が装着する送信機によって利用者自身の身体に交流電
圧を印加し,身体表面に近接場電界を形成,その近接場電界を介した静電容量結合
によってデータ伝送をおこなう方式で,
「電界式人体通信技術」と呼ばれることもある。
以下に,電圧式人体通信の重要な要素である近接場電界について述べる。波長に
対して十分に短い微小ダイポールから発生する電磁波は,
「静電界」
,
「誘導電界」
,
「放
射電界」の三種類で構成されていることはマクスウェルの方程式により既に明らか
にされている。静電界は発生源からの距離の3乗に反比例して強度が減衰し,誘導電
界は発生源からの距離の2乗に反比例して強度が減衰する。一方,放射電界は距離に
反比例して強度が減衰することから遠方に到達しやすい。この三種類の電界強度が
等しくなる点を境界点s,波源から境界点sまでの距離をDsとすると,Ds =λ/ 2π
[m]で表わされ,境界点sよりも波源側の領域を「近傍界」
,sよりも遠方側の領域を
「遠方界」と呼ぶ。
近傍界においては,静電界>誘導電界>放射電界 の関係が成り立ち,さらに本論
文では近傍界の波源近くを「近接場電界」と定義している。たとえば,周波数1MHz
の近接場電界では,静電界≫誘導電界≫放射電界 の関係が成り立ち,遠方伝搬要素
である放射電界に対して静電界の強度が約2500万倍となり,遠方には伝搬し難い状
況となる。しかし,周波数が10MHzになると放射電界と静電界の強度差は約25万倍
に縮まり,放射電界の影響が約100倍強くなる。これは,人体から染み出す通信デー
タの漏洩距離が,周波数に比例することを示す。よって,電圧式人体通信では,デー
タ伝送レートを勘案の上,搬送波周波数を可能な限り低く設定することが重要であ
る。また,電圧式人体通信の受信機には,近接場電界の強度変化を検出する電界セ
ンサが必要となる。MITは電界センサとしてオペアンプを用いていたため,人体上
の通信可能距離が短かったと考えられる。一方,筆者はオペアンプ以外の電界セン
サの原型となる,「電気光学式オシロスコープEDS1100」を1996年に開発していたこ
とから,電圧式人体通信研究の初期段階から電気光学効果を応用した光電界センサ
— 41 —
を使用できた。
第3章では,電圧式人体通信の特徴について述べる。電圧式人体通信は,人体通
信装置の回路グランドの接地形態によって細かく分類され,その分類に従って技術
の難易度が異なる。以下に,電圧式人体通信技術の分類について述べる。
本論文では,人体に装着した全ての人体通信装置の回路グランドが,完全なフロー
ティング状態にある場合を「非接地型」
,一部の通信装置の回路グランドが接地状態
にある場合を「部分接地型」,全ての通信装置の回路グランドが接地状態にある場合
を「完全接地型」と定義して分類する。
① 非接地型は,大地(グランド電位)に立つ人体の任意の箇所に,送信機や受信機
を装着して通信をおこなう。このとき,人体と大地間,送信機の回路グランド,
受信機の回路グランドと大地間にそれぞれ空間を介した静電容量結合が成り立つ。
② 部分接地型は,大地(グランド電位)に立っている人体の任意の箇所に装着した,
送信機か受信機のどちらか一方の回路グランドを大地に接続した状態で通信をお
こなう。このとき,人体と大地間に静電容量結合が形成され,送信機または受信
機の回路グランドと大地間にも空間を介した静電容量結合が成り立つ。
③ 完全接地型は,送信機と受信機の両方の回路グランドを大地(グランド電位)に
接続した上で,送受信機間に人体が位置して閉回路を構成して通信をおこなう。
このとき,人体と大地間には静電容量結合が形成されるが,送信機と受信機の回
路グランドはそれぞれ大地に接続され,静電容量結合は成立しない。
一般に,有線の信号伝送では送受信機の回路グランドが共通で,閉回路(閉ループ)
が成り立っている必要がある。送受信機の回路グランドの電位が異なると,伝送さ
れる信号レベルが送信側と受信側で異なり,信号が正しく伝送されないからである。
しかし,非接地型は,送信機の回路グランドと受信機の回路グランドが接続されて
おらず,ともにフローティング状態にある。この状態で安定した信号伝送を実現す
るためには,受信機側に大地グランドの影響を受けない特殊な電界センサが必要に
なる。なお,ケーブルレスのウェアラブル・コンピュータを実現するためには,こ
のタイプの人体通信の実現が不可欠となる。部分接地型は,受信機か送信機の回路
グランドを直接大地グランドに接続するタイプの人体通信で,受信機の回路グラン
ドを接地する場合は,回路グランドの電位が安定するため特殊な電界センサは必要
ない。一方,送信機の回路グランドを接地する場合は,受信機側に電界センサが必
要になる。また,完全接地型は,受信機の回路グランドと送信機の回路グランドの
— 42 —
両方を大地グランドに接続するタイプの人体通信を意味する。送信機と受信機の間
には,利用者の身体を経由して閉ループが成立することから安定した通信が可能と
なる。
なお,技術的な難易度は,
(難)非接地型 >部分接地型 > 完全接地型(易)となる。
以上,これまで明確に示されることがなかった,電圧式人体通信の接地形態によ
る電気的等価回路を示すとともに,技術の難易度を明示した。
(学術雑誌 [3])
第4章では,電圧式人体通信において重要な役割を果たす「電界センサ」につい
て述べる。1996年,NTT-AT(筆者ら)は電気光学センシング技術を応用したオシ
ロスコープEDS1100を開発した。その後,EDS1100の電圧検出部に使用していた電
気光学センシング技術を応用し,人体通信用の光電界センサを開発した。
光電界センサは,電気光学結晶や複数の光学部品,その他の電子部品を組み合わ
せた検出機構を用いて電界の強度変化を光の強度変化に置換して検出する。このセ
ンサを用いると,人体上を伝わる近接場電界の強度が光の強度変化に置換され,大
地グランドとは電気的に絶縁されることから,電気的にフローティング状態で人体
上を伝わる近接場電界の強度変化の検出が可能になる。ただし,このセンサは特殊
な結晶や複数のガラス製光学部品,半導体レーザ,受光素子などを必要とし,コス
ト面や耐衝撃性の面で小型のコンシュマー製品への適用には不向きであったことか
ら,人体通信の分野においては研究の初期段階でその役割を終えたようである。
2003年以降,筆者は光電界センサに代わる電界センサの開発を試みた。当初は,
ラジオの同調回路に類似したLC共振型センサを使用したが,センサの感度が送信機
出力電圧に依存するという欠点があった。送信機出力電圧の低電圧化は,装置の小
型化や消費電力の低減の面から避けられない課題であることから,さらに新しいセ
ンサの研究を始めた。その後,フェライト・コア型コイルの平面部に電極を設けた
特殊構造のコイルを考案し,シンプルな回路構成で高感度受信機を構成出来る「再
生回路」に適用することに成功した。その際,LC共振動作中のコイルに対して,静
電 容 量 結 合 に よ り 外 部 か ら 電 流 を 供 給 す る 効 果「 分 散 容 量 結 合(Dispersion
Capacitive Coupling:DCC)」を発見した。この技術を応用し,DCCを用いた再生回
路(Regenerative circuit)型センサ(Sensor)を開発した(DCC-RS)
。DCC-RSは,
LC共振型センサの約2.6倍の感度を持ち,非接地型人体通信の性能向上に大きな効果
— 43 —
があった。なお,DCC-RSの伝送帯域は約360KHzで,LC共振型センサの約700KHz
に対して狭帯域になったが,低速(1200bps程度)で支障なくID信号を伝送できるこ
とを確認している。
(受賞論文 [1])
第5章では,電圧式人体通信の設計,解析へのSPICE(LT SPICE)回路シミュレー
ション適用の可能性について述べる。まず,人間の右手(指)から左手(指)へと
信号を伝送する実験系を構成するが,送信機には信号発生器を使用し,周波数
2MHz,電圧500mVppの正弦波を発生させる。受信機にはLC共振型電界センサを用
いる。LC共振型電界センサは,コイル(560μH)や可変コンデンサ,オペアンプな
どの電子部品をモジュール化して外部電源で駆動する。オペアンプには,リニアテ
クノロジー社製LTC6088を使用し,R a=100Ωの帰還抵抗によって増幅率1倍の非反
転増幅器を構成する。電極(送信,受信)は,プリント回路板の製造技術で作製さ
れており,金属部の寸法は40mm×40mmで表面にはレジスト皮膜が塗布されている。
人体と各電極は,指先と電極表面の静電容量結合によって接続する。指先と電極面
の 接 触 方 法 は 二 種 類 と し, 左 右 の 人 差 指 を 各 電 極 の 表 面 に 接 触 さ せ る 場 合 を
「1Finger」,左右の人差指と中指を同時に各電極の表面に接触させる場合を「2Finger」
と定義する。1Finger,2Fingerの条件で5回計測をおこなったところ,1Fingerでの
受 信 波 形 の 振 幅 平 均 値 は 約462mVpp,2Fingerで の 受 信 波 形 の 振 幅 平 均 値 は 約
658mVppを得た。つぎに,実験系をシミュレーション回路図に変換するが,その際,
人体の静電容量はIEC61000-4-2に準拠して150pFと仮定する。指先と電極面の静電容
量は,接触面積から計算したところ約81pF(1Finger)であった。なお,シミュレー
ションにあたり,受信機出力が最大になる場合をBest,最小になる場合をWorst,中
間値になる場合をTypとする条件を設定する。実際にSPICEシミュレーションをおこ
なったところ,1Fingerでの受信波形の振幅平均値はBest条件で500mVpp,Worst条
件では365mVppであった。また,2Fingerでの受信波形の振幅平均値はBest条件で
760mVpp,Worst条 件 で は498mVppで あ っ た。 実 測 平 均 値462mVpp(1Finger)
,
658mVpp(2Finger)と比較したところ,1Finger,2Fingerいずれの条件の実測平均
値も,シミュレーション結果のBest-Worst範囲内に収まっていることが分かった。
1FingerのシミュレーションTyp値(420mVpp)は,実測平均値(462mV)に対して
約-9.1%,2FingerのシミュレーションTyp値(622mVpp)も実測平均値(658mVpp)
に対して約-5.5%となり,確度の高い値が導出されたと言える。なお,1Finger,
— 44 —
2Fingerの両方の条件において,シミュレーション値よりも実測平均値が大きくなっ
たが,電極と指先間の静電容量の見積りや,その他の条件に誤差があった可能性が
考えられる。つぎに,2Fingerでの実測平均値(658mVpp)が1Fingerでの実測平均
値(462mVpp)の約1.42倍であったのに対して,シミュレーションTyp値においても,
2Finger(622mVpp)が1Finger(420mVpp)の約1.48倍となり,
実測値に近い値となっ
た。この結果は,電極に触れる指の本数が変化した場合でも,シミュレーションに
より適切な値が導出されたことを示している。すなわち,本検討によって電圧式人
体通信の開発にSPICEシミュレーションを適用できる可能性が示された。
(学術雑誌 [4])
第6章では,人体通信の医療分野への定用可能性について述べる。現在,大規模
災害発生時には,重症度に応じて色分けされた紙製のトリアージ・タグを被救護者
の身体に装着し,医療機関への搬送順位を設定している。しかし,従来のトリアージ・
タグでは,被救護者の時系列的な経過観察は難しい。そこで,被救護者の生体情報
を収集する電子トリアージの研究が始まった。さらに,筆者が開発した電圧式非接
地型人体通信装置を用いて,被救護者を想定した被験者の身体表面に近接場電界に
よるデータ信号を発生させ,同一人体上における近接場電界の強度特性を測定する
実験をおこない,緊急医療現場において医師が被救護者に触れることで人物を特定
するような,新たなタイプの電子トリアージの実現可能性について検討する。
実験に使用する人体通信送信機は片方向通信用で,動作時の消費電力は約500μW,
変調方式は振幅変調(100% ASK)
,出力電圧2.8Vppである。搬送波周波数2MHzの
信号を,10Hzの低速パルス信号で変調して人体に印加,受信機で受信した信号のS/
N比を評価して適用可能性を考察する。なお,実験に使用する受信機は片方向通信用
で,無線モジュールを搭載しており,動作時の消費電力は約15mWである。
屋内の床面に横臥した被験者の左手首に送信機,右手首に受信機を装着して伝送
実験をおこなった。なお,受信信号は無線モジュール(Bluetooth)を経由してパソ
コンに転送される。実験の結果 得 ら れ た 信 号 のS/N比 は 約25.7dBと 良 好 な 値 で,
100%ASKで信号を処理する上で問題のないレベルで人体上の信号伝送が実現されて
いることを確認した。この結果から,電圧式非接地型人体通信技術を,災害時の人
物特定に適用出来る可能性が示された。
(学術雑誌 [1][2])
— 45 —
第7章では,本論文の総括をおこない,今後の課題と展望について述べる。
発表論文
本研究に関する論文
【学術雑誌】
(査読のあるもの)
[1]
加藤康男,梅田祐司,水澤純一:人体通信技術の災害時人物定への適用実験(第
一報),日本医療機器学会誌(医療機器学)
,第82巻-第3号,pp. 267-272,2012. 6
[2]
西垣正勝,安倍史江,山本匠,藤川真樹,加藤康男:電子トリアージタグへ
の情報入力に関する一検討:人体通信と音声入力の利用,情報処理学会論文誌,
第53巻-第9号,pp. 2182-2193,2012. 6
[3]
加藤康男,佐久田博司:電界式人体通信の分類と自動車への適用に関する一
考察,自動車技術会論文集,第44巻-第5号,pp. 1315-1320,2013. 9
[4]
加藤康男,佐久田博司:電圧式人体通信とSPICEシミュレーションの親和性,
エレクトロニクス実装学会誌,第17巻-第3号,pp. 224-229,2014. 5
(依頼原稿)
[5]
加藤康男:人体を伝送路として用いる電界通信技術,自動車技術第63巻-第7号,
pp. 114-115,2009. 7
【国際会議議事録】
(査読のあるもの)
[1]
Masaki Fujikawa,Masakatsu Nishigaki,Masasumi Yoshizawa,Kenji
Furusawa,Yasuo Kato,Proposal of uniform dressing/undressing detection
system using intra-body communication technology:To prevent a crime
abusing uniforms,Poster and Demonstration Paper Proceedings of the
Fourth IFIP WG 11.11 International Conference on Trust Management,pp.
37-40,2010. 6
[2]
Yasuo KATO,New Type Sensing Technology Using Evanescent
Electromagnetic Field Area,Poster Paper Proceedings of ICEP-IAAC 2012,
Joint Conference of “ 12th International Conference on Electronics
— 46 —
Packaging ”and“ 1st IMAPS ALL Asia Conference”CD-ROM,Poster
Session,pp. 24(pp. 727-730)
,2012. 4
【受賞論文】
[1]
IEEE CPMT協賛,エレクトロニクス実装学会 第22回マイクロエレクトロニ
クスシンポジウム(MES2012)
,ベストペーパー賞受賞
加藤康男,水澤純一,佐久田博司:人体通信用新型電界センサによる微小信
号測定,エレクトロニクス実装学会 第22回マイクロエレクトロニクスシンポ
ジウム論文集,pp. 245-248,2012. 9
【研究会口頭発表】
[1]
加藤康男,秋岡幸,三林浩二:ユビキタス人体通信による脈拍計測,信学技報.
MVE,2005-37,pp. 61-64,2005. 9
[2]
安倍史江,山本匠,藤川真樹,加藤康男,西垣正勝:人体通信を利用した電
子トリアージタグへの情報入力:評価実験,コンピュータセキュリティシン
ポジウム2010,CD-ROM(1D1-4. pdf)
,2010. 11
[3]
加藤康男,梅田祐司,水澤純一:人体通信技術の電子トリアージ適用実験,
信学技報.MBE 2010-55,pp. 35-40,2010. 12
[4]
加藤康男,大越祐志,佐久田博司:ロボットアームを用いた非伝搬波の測定
実 験 ~ 非 伝 搬 波: 人 体 通 信 技 術 に 用 い ら れ る 近 傍 界 電 界 ~, 信 学 技 報.
Vol.112,No. 436,pp. 17-20,2013. 2
[5]
加藤康男,佐久田博司:分散容量結合による正帰還コイル:人体通信用電界
センサの高感度化,エレクトロニクス実装学会 第23回マイクロエレクトロニ
クスシンポジウム(MES)論文集,pp. 257-260,2013. 9
[6]
竹内章裕,加藤康男,長谷川大,佐久田博司:人体通信装置の心電図への影
響調査に関する一検討,情報処理学会第76回全国大会講演論文集,pp. 79-80,
2014. 3
【著 書】
[1]
ユビキタス・バイオセンシング(分担執筆)
,シーエムシー出版,2006. 1
[2]
ユビキタス・バイオセンシングによる健康医療科学(分担執筆)
,シーエムシー
出版,2010. 12
— 47 —
[3]
Interface 2013年7月号特集記事,CQ出版,2013. 7
本研究に関するその他の事項
【登録特許】
(国 内:6件)
[1]
加藤康男,特許第4099484号,
「通信システム」
,2008. 3. 21登録
[2]
加藤康男,特許第4754508号,
「交流信号検出装置,受信装置及び基板間伝送
システム」,2011. 6. 3登録
[3]
加藤康男,特許第4814014号,
「電界検出装置,受信装置及びフィルタアンプ」
,
2011. 9. 2登録
[4]
加藤康男,特許第5074240号,
「交流信号検出装置及び受信装置」
,2012. 8. 31
登録
[5]
加藤康男,特許第5216565号,
「送信装置」
,2013. 3. 8登録
[6]
加藤康男,特許第5216705号,
「受信機」
,2013. 3. 8登録
(外国:4件)
[1]
加藤康男,(中国)特許第908083号,
「通信システム」
,2012. 2. 8登録
[2]
加藤康男,(香港)特許第1113443号,
「通信システム」
,2012. 9. 21登録
[3]
加藤康男,(韓国)特許第10-1186450号,
「通信システム」
,2012. 9. 20登録
[4]
加藤康男,
(アメリカ)Patent No.
:US 8,340,575 B2,
「COMMUNICATION
SYSTEM」,2012. 12. 25登録
【講 演】
[1]
人体を伝送路とした情報通信:
(主催:東京都立産業技術センター)
,2005. 1
[2]
実用化進む人体通信技術/ Wirelesswireの概要・開発動向と最新応用及び今
後の展開:(主催:日本技術情報センター)
,2009. 1
[3]
NFC技術と人体通信ソリューション:
(主催:大日本印刷)
,2009. 6
[4]
人体を伝送路とした情報通信:
(主催:サイエンス&テクノロジー)
,2009. 7
[5]
人体通信とは:(主催:サムスン電機韓国本社,招待講演)
,2010. 1
[6]
人体通信技術とは:(主催:青山学院大学総合研究所)
,2010. 2
【展示会】
— 48 —
[1]
センサ総合展2005:(東京医科歯科大学ブース)
,2005. 4
[2]
イノベーションジャパン2005:
(東京医科歯科大学ブース)
,2005. 9
[3]
CEATEC JAPAN 2007:(NTT DoCoMoブース)
,2007. 10
[4]
慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2007:
(武藤研究室)
,2007. 11
[5]
セキュリティショー 2008:(綜合警備保障ALSOKブース)
,2008. 3
[6]
オフィスセキュリティ EXPO 2008:
(岡村製作所ブース) ,2008. 7
[7]
自動認識総合展 2008:(大日本印刷ブース)
,2008. 9
[8]
慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2008:
(武藤研究室)
,2008. 11
【マスコミ報道】
(新聞)
[1]
朝日新聞,2005. 4. 5
[2]
フジサンケイ・ビジネス・アイ,2005. 4. 7
[3]
日本経済新聞,2007. 10. 2
[4]
日本経済新聞,2007. 12. 10
[5]
日経産業新聞,2008. 4. 24
[6]
日刊工業新聞,2008. 9. 9
[7]
タウンニュース,2008. 9. 25
[8]
日経産業新聞,2009. 4. 17
(テレビ)
[1]
NHK総合テレビ「おはよう日本」
,人体通信特集,2005. 5. 17
[2]
テレビ東京「ワールドビジネス・サテライト」
,人体通信特集,2007. 9. 18
[3]
テレビ朝日「さきっちょ」,人体通信技術紹介,2010. 8. 11
(雑誌)
[1]
月刊ニューメディア(表紙,インタビュー記事)
,2005. 9
[2]
日経エレクトロニクス「人体通信特集」
,2008. 6
【国際的な活動】
[1]
国 際 連 合・ 国 際 電 気 通 信 連 合(ITU) の 招 請 を 受 け た 展 示 会 出 展:
Telecomworld 2013(Bangkok)
,人体通信技術,2013. 11
— 49 —
その他の公表論文
【研究会口頭発表】
[1]
永妻忠夫,品川満,加藤康男,矢板信:EOサンプリングの高感度化の検討,
電子情報通信学会総合大会講演論文集,1995年,エレクトロニクス(1)
,pp.
294,1995. 3
[2]
品川満,永妻忠夫,加藤康男,松広一良:EOSによるハンディ型ハイインピー
ダンスプローブ,光波センシング技術研究会講演論文集,pp. 123-129,1995. 5
[3]
品川満,永妻忠夫,加藤康男,松広一良:EOサンプリングによるペン型ハイ
インピーダンスプローブ,電子情報通信学会総合大会講演論文集,1995年,
エレクトロニクス(2),pp. 184,1995. 9
[4]
品川満,加藤康男:EOサンプリングにおけるS/N自動調整ユニット:電子情
報通信学会総合大会講演論文集,1996年,エレクトロニクス(2)
,pp. 145,
1996. 3
[5]
加藤康男,品川満:EOS技術を用いたデジタルオシロスコープ,電子情報通
信学会総合大会講演論文集,1997年,エレクトロニクス(2)
,pp. 152,1997. 3
その他の学術活動
[1]
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
,2007年4月~
[2]
一般社団法人 電子情報通信学会 論文査読委員,2011年~ 2012年
[3]
一般社団法人 エレクトロニクス実装学会 ミッションフェロー 幹事,
2014年4月~
審査の結果の要旨
本稿は,人間の身体を通信経路として利用する人体通信技術,とりわけ応用範囲
が広いとされる電圧式人体通信技術について,その歴史的背景から応用アプリケー
ションの提案までの幅広い内容を網羅した論文である。1995年にアメリカMITで提
唱された人体通信技術は,次世代のウェアラブル・コミニュケーションにおける,
重要な通信手段のひとつとして注目され,日本国内においても研究が進められた。
しかし,現在の無線・有線通信技術に比べて技術的な蓄積がほとんどない人体とい
う媒体を対象にしているため,基礎研究がまだ十分行われていないことから,まだ
— 50 —
製品として実用化されていないのが現状である。
そのような状況にあって,本論文における,電圧式人体通信に関する通信原理の
明確化,電界検出機構開発に関連する新発見と新型デバイスの開発,電子回路シミュ
レーションの利用による設計技術の普及促進への努力と将来の応用についての言及
は,人体通信技術の実用化を早めるのみならず,人体通信技術という新たな学問分
野創出の面からも意義深いものである。なお,本論文は,以下の7章から構成され
ている。
第1章 序論
第2章 人体通信技術の方式
第3章 電圧式人体通信技術の分類
第4章 電圧式人体通信と高感度電界検出機構
第5章 電圧式人体通信とシミュレーション技術
第6章 電圧式非接地型人体通信技術の応用
第7章 総括
第1章では,無線通信の歴史に人体通信技術が登場する経緯について概観してい
る。従来の無線通信は,遠方に情報を送ることに主眼が置かれて研究開発が進めら
れて来たが,携帯電話や無線LANの普及に伴う電波障害対策や電波の有効利用の観
点から,無線端末の通信距離は短くなる傾向にある。その延長線上に,人体周囲の
近距離領域で通信をおこなうBAN(Body Area Network)が登場した。BANは,利
用者の身体に各種装置を装着して利用するウェアラブル・コンピュータの一種で,
装置間通信には既存の近距離無線の利用を前提としているが,電波障害やデータ漏
洩の懸念から,新たな通信技術の確立が課題となっていた。課題の抽出とともに,
無線端末の通信距離の変遷を切り口として人体通信技術が考案された背景について
述べている。
第2章では,主に人体通信技術が提案された理由と人体通信技術の方式について
言及するとともに,近接場電界の特性について考察している。BANを含む従来のウェ
アラブル・コンピュータには,人体に装着した装置間の通信方法に課題があった。
すなわち,各装置間をケーブルで接続する場合,ケーブルが利用者の動作を制約す
る恐れがあり,無線通信を利用する場合は通信データの漏洩が懸念されていた。そ
こで,1995年にMITメディアラボが,人体を通信経路として利用する人体通信技術
を提案した。これまでに発表された主な人体通信の方式は,電流式,導波管式,電
— 51 —
圧式であるが,衣服を介した通信が可能であるなど,幅広い用途に適用できること
から,近年では電圧式が主流である。電圧式人体通信は,送信機によって利用者自
身の身体に交流電圧を印加し,身体表面に染み出すような近接場電界領域を形成,
その領域を介した静電容量結合によってデータ伝送をおこなう方式で,電界式人体
通信技術と呼ばれることもある。
近接場電界が,静電界,誘導電界,放射電界で構成されることは,マクスウェル
の方程式により知られており,周波数1MHzのとき波源から1cmの距離においては,
静電界≫誘導電界≫放射電界 の関係が成り立ち,遠方伝搬要素である放射電界に対
して静電界の強度が約2500万倍となり,近接場電界は遠方に伝搬し難い。周波数が
10MHzになると,放射電界と静電界の強度差は約25万倍に縮まり,放射電界の影響
が約100倍強くなる。これは,人体から染み出す通信データの漏洩距離が周波数に比
例することを示している。よって,電圧式人体通信においては,データ伝送レート
を勘案の上,搬送波周波数を可能な限り低く設定することが重要となる。なお,電
圧式人体通信の受信機には,近接場電界の強度変化を検出する電界センサが必要と
なるが,MITは電界センサとしてオペアンプを用たため,人体上の通信距離が伸び
なかったと考えられる。
第3章では,電圧式人体通信の特徴について述べている。電圧式人体通信は,人
体通信装置の回路グランドの接地形態によって細かく分類されるが,一般には殆ど
知られていない。本論文では,人体に装着した全ての人体通信装置の回路グランドが,
完全なフローティング状態にある場合を「非接地型」
,一部の通信装置の回路グラン
ドが接地状態にある場合を「部分接地型」
,全ての通信装置の回路グランドが接地状
態にある場合を「完全接地型」と定義して分類している。
一般に,有線の信号伝送では送受信機の回路グランドが共通で,閉回路が成り立っ
ている必要がある。送受信機の回路グランドの電位が異なると,伝送される信号レ
ベルが送信側と受信側で異なり,信号が正しく伝送されないからである。しかし,
非接地型では,送信機の回路グランドと受信機の回路グランドが接続されておらず,
ともにフローティング状態にある。この状態で安定した信号伝送を実現するために
は,受信機側に特殊な電界センサが必要になる。なお,ケーブルレスのウェアラブル・
コンピュータを実現するためには,このタイプの人体通信の実現が不可欠となる。
部分接地型は,送受信機どちらか一方の回路グランドを大地グランドに接続するタ
イプの人体通信を意味し,受信機の回路グランドを接地する場合には,回路グラン
— 52 —
ドの電位が安定するため特殊な電界センサは必要ない。また,完全接地型は,送受
信機の回路グランド両方を大地グランドに接続するタイプの人体通信を意味する。
送信機と受信機の間には,利用者の身体を経由して閉ループが成立することから安
定した通信が可能となる。
なお,技術的な難易度は,
(難)非接地型 >部分接地型 > 完全接地型(易)となる。
これまで殆ど示されることがなかった,電圧式人体通信の接地形態による電気的等
価回路を明示したことは,今後同分野の開発に挑戦する研究者の指針となるであろ
う。
第4章では,人体表面から染み出すように発生する「近接場電界」を検出する電
界センサについて述べている。2000年~ 2003年頃までは,研究用として電気光学効
果を応用した光電界センサを用いていたが,このセンサは半導体レーザなどの高額
な部品を必要とし,コスト面や耐衝撃性の面で課題があった。2003年以降は,光電
界センサに代わる電界センサの開発に挑戦し,フェライト・コア型コイルの平面部
に電極を設けた特殊構造のコイルを考案し改良を重ね,シンプルな回路構成で高感
度受信機を構成出来る「再生回路」を構成することに成功した。その際,LC共振動
作中のコイルに対して,静電容量結合により外部から電流を供給する「分散容量結
合(Dispersion Capacitive Coupling:DCC)
」効果を発見した。この技術を応用し,
DCCを用いた再生回路(Regenerative circuit)型センサ(Sensor)の開発に成功し
た(DCC-RS)。
DCC-RSは,従来のLC共振型センサの約2.6倍の感度を実現し,非接地型人体通信
の性能向上に大きな効果があった。なお,DCC-RSの伝送帯域は約360KHzで,LC共
振型センサの約700KHzに対して狭帯域になったが,低速(1200bps程度)で支障な
くID信号を伝送できることが確認されている。人体通信用電界センサの開発は,同
分野の進歩発展に大きく寄与するものである。
第5章では,電圧式人体通信の設計や解析への,汎用電子回路シミュレーション
(SPICE)適用の可能性について検討している。検討は実験とシミュレーションから
なり,人間の右手(指)から左手(指)へと信号を伝送する実験系を構成し,実験
値とシミュレーション値を比較している。
送信機には信号発生器を使用,周波数2MHz,電圧500mVppの正弦波を発生させ
て人体に印加する。受信機にはLC共振型電界センサを用いており,コイルや可変コ
ンデンサ,オペアンプなどの電子部品をモジュール化したものを実験用に新たに開
— 53 —
発した。つぎに,実験系をシミュレーション回路図に変換し,シミュレーション条
件を設定した後にシミュレーション(LT SPICE)を実行する。実際に回路シミュレー
ションをおこなったところ,実測平均値に対して約-9.1% ~-5.5% 程度の誤差を
もって確度の高いシミュレーション値が導出されている。すなわち,
本検討によって,
電圧式人体通信の装置開発や評価に電子回路シミュレーションを適用できる可能性
が示されたと言える。これまで,人体通信に電磁界シミュレーションを適用した例
はあるが,時間軸波形を扱う電子回路シミュレーションの適用について述べたのは
画期的成果である。
第6章では,人体通信の医療分野への応用の可能性について述べている。現在,
大規模災害発生時には,重症度に応じて色分けされた紙製のトリアージ・タグを被
救護者の身体に装着し,医療機関への搬送順位を設定している。今後,電圧式非接
地型人体通信を利用し,緊急医療現場において医師が被救護者に触れることで人物
を特定するような,新たなタイプのトリアージを実現できる可能性があることから,
被救護者を想定した被験者の身体表面に近接場電界によるデータ信号を発生させ,
同一人体上における近接場電界の強度特性を測定する実験をおこない,新システム
の実現性について検討している。実験は,屋内の床面に横臥した被験者の左手首に
送信機,右手首に受信機を装着しておこなっている。この実験に使用する人体通信
送信機は片方向通信用で,変調方式は振幅変調(100% ASK)
,
出力電圧2.8Vppである。
搬送波周波数2MHzの信号を,10Hzの低速パルス信号で変調して人体に印加し,受
信機で受信した信号のS/N比を評価考察している。実験の結果得られた信号のS/N比
は約25.7dBと良好な値で人体上の信号伝送が実現されており,電圧式非接地型人体
通信技術を災害時の人物特定に適用出来る可能性が示されている。
以上のように,本論文は電圧式人体通信技術の歴史的な背景から,その応用に至
る広範囲な内容について記述されている。特に,一般に余り知られていない,電圧
式人体通信技術の細分類や電界検出機構に関する新発見と電界センサの開発,汎用
電子回路シミュレーションによる設計手法の提案などは,今後の同分野の発展に大
きく貢献するものであると確信する。なお,これらの研究成果は,合計4報の査読
付き学術論文誌に採録済みであるほか,IEEE CPMT協賛のシンポジウム(MES
2012)においてベストペーパー賞を受賞している。また,国連機関である国際電気
通 信 連 合(ITU) よ り 直 接 の 招 請 を 受 け, 国 際 的 な カ ン フ ァ レ ン ス で あ る
— 54 —
Telecomworld 2013(Bangkok)に技術出展を果たし,国際的な評価も得ている。さ
らに,関連特許として国内6件,外国4件が既に登録されており,その研究成果は
高い評価に値する。したがって,審査委員一同は,加藤康男氏が博士(工学)の学
位を受けるに十分な資格を有することに同意するとともに,本論文が博士(工学)
の学位論文に値するものであるとことを認めるものである。
— 55 —
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