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事業の概況:電子材料(日鉱マテリアルズグループ)

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事業の概況:電子材料(日鉱マテリアルズグループ)
日鉱マテリアルズ
代表取締役社長
山梨功雄
日鉱マテリアルズグループ
電子材料
非鉄金属に関する高度な加工技術を活かし、多彩な電子材料を生産・販売して
います。ファーストベンダー戦略を展開し、世界のエレクトロニクス産業にとっ
て不可欠な電子材料製品群を世界トップクラスのシェアで供給しています。
日鉱マテリアルズグループで生産している電子材料製品は、主に「銅箔」、「スパッタリングター
ゲット」、「化合物半導体」の3つに分けられ、その中の多くの製品は、世界シェア1位、2位の座
を占めています。これらの電子材料製品は世界のエレクトロニクス産業の発展を支えています。
日鉱マテリアルズグループでは、長年培った高純度化技術、材料組織の制御技術等を基本に、
ナノテクノロジーをはじめとする革新的技術を積極的に取り入れ、常に新しい開発テーマにチャ
レンジし、次世代製品の開発に取り組んでいきます。
これからもますます多様化する市場のニーズに迅速に対応し、ワールドワイドな販売/サービ
スのネットワークを構築し、顧客にとって魅力あるファーストベンダーになることを目指します。
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事業の概況
日鉱マテリアルズグループの製品と用途分布
主な最終用途
パソコン、モバイル機器、デジタル家電
メディア
携帯電話
CD、
、D
DVD
通信インフラ
当社製品
一次用途
パソコン
TVディスプレイ
V
電解銅箔
プリント回路基板
銅箔
圧延銅箔
半導体用
CPU、
U メモリー等
FPD用
透明導電膜
磁性材
ハードディスク等
ターゲット材料
光ディスク用
InP、
、InP
In エピ
光通信用受発光デバイス
GaAsエピ
高速IC等
化合物
半導体材料
日鉱マテリアルズ
(ヨーロッパ)
グールド・エレクトロニクス
(ドイツ)
韓国日鉱マテリアルズ
ジェーダ・エレクトロニクス
上海事務所
蘇州日鉱材料
ジェーダ・エレクトロニクス
香港日鉱材料
日鉱マテリアルズ
(シンガポール)
台湾日鉱材料
日鉱マテリアルズ
(フィリピン)
日鉱マテリアルズ(USA)
一関製箔
日鉱マテリアルズ/戸田工場
日鉱マテリアルズ/磯原工場
日鉱マテリアルズ
日鉱マテリアルズ/GNF工場
グループ拠点
日鉱マテリアルズ/大阪営業所
日鉱マテリアルズ/本社
日鉱メタルプレーティング/本社
日鉱メタルプレーティング/高槻工場
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銅箔
銅箔は、コンピュータや携帯電話などの電子機器に使われるプリント回路基板に使用されます。日鉱マテリアルズグ
ループでは、電解銅箔と圧延銅箔の2種類の銅箔を生産しています。電解銅箔はリジッドプリント回路基板に、圧延銅
箔はフレキシブルプリント回路基板に、それぞれ使用されます。
電解銅箔
日鉱マテリアルズグループは、世界シェアの約15%を占める電解銅箔のトップメーカーです。極薄箔(5ミクロン)
から極厚箔(400ミクロン)まで豊富に取り揃え、プリント回路基板の高密度化やファインパターン化を追求するユー
ザーニーズに対応しています。
電解銅箔事業については、需給のアンバランス等に起因するマーケットの不振に対応するため、米国における工場の
集約化など事業再構築を推進し、生産体制の効率化等を図りました。また、2004年12月には、ドイツにおける銅箔
生産子会社(現 グールド・エレクトロニクス(ドイツ))を米国事業から分離し、日鉱マテリアルズの直接子会社としま
した。今後、日本、フィリピン、ドイツ、米国の各生産拠点の連携を高め、ワールドワイドな供給体制を機動的・効率
的に運営し、一層の収益改善を図ります。
フレキシブルプリント回路基板
ハードディスクドライブ
携帯電話のヒンジ部
圧延銅箔
圧延銅箔は、フレキシブルプリント回路基板に使用されます。フレキシブルプリント回路基板は、ポリイミドフィル
ムなどの絶縁フィルムに圧延銅箔を組み合せた銅張積層板に配線を形成したものです。
フレキシブルプリント回路基板は、プリント回路基板の主流であるリジッドプリント回路基板と異なり、屈曲性・柔
軟性が特長です。クラムシェル(折りたたみ式)の携帯電話のつなぎ部分であるヒンジ部、電話機本体のメインボード、
デジタルカメラ、ハードディスクドライブなどに使われており、電子機器製品が軽薄短小化するにつれ、その重要性が
飛躍的に拡大してきました。
圧延銅箔とは、銅インゴットを圧延し、表面処理したものです。日鉱金属グループで製造された銅を、日鉱金属加工
倉見工場で圧延し、日鉱マテリアルズグループにおいて表面処理を行います。このように新日鉱グループ一貫で圧延銅
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事業の概況
箔を手がけている点が他社にはない特長です。高屈曲圧延銅箔としてユーザーから高い評価を得ているHA箔は、新日鉱グ
ループの総力を結集して開発したもので、スライド式携帯電話や超小型HDDなど、過酷な折り曲げ条件において、高い接
続信頼性を求めるユーザーニーズに応えています。
日鉱マテリアルズグループにおける、圧延銅箔の世界シェアは約70%を占めています。今後もさらにマーケットが拡大
していくものと期待されており、2005年4月には、GNF工場において新ラインを稼動させ、生産能力を従来の約500
万m/月から約600万m/月に増強しました。
圧延銅箔の生産工程
圧延
日鉱金属加工倉見工場
インゴット鋳造
日本鋳銅(株)佐賀関工場
表面処理
日鉱マテリアルズGNF工場
日鉱マテリアルズ(フィリピン)社
スリットして製品に
スパッタリングターゲット
スパッタリングターゲットは、半導体、液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイ、記録部品等に使われる薄膜形
成材料です。
ここ数年で飛躍的に技術水準が高まったエレクトロニクス関連製品には、薄膜形成技術であるスパッタリング技術が使
まと
われています。スパッタリングとは、イオン化したアルゴン原子を薄膜形成材料(ターゲット=的)にぶつけ、その衝撃で
たたき出した原子を基板上に薄膜として形成させる方法です。その際に使用される薄膜形成材料が、スパッタリングター
ゲットです。
スパッタリング法の原理
冷却板
(バッキングプレート)
日鉱マテリアルズグループは、さまざまなスパッタリング
ターゲット材料
電源
ターゲットで、世界トップシェアを有しています。
日鉱マテリアルズ磯原工場(茨城県)
薄膜
アルゴン
イオン
アルゴン
ガス
基板
ターゲット材料原子
排気
プラズマ放電
基板ホルダー
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半導体用ターゲット
近年の集積度の急激な進展とデバイスの高速化から、半導体用ターゲットにはより厳しい品
質とさまざまな特性が要求されています。日鉱マテリアルズグループは、半導体の配線・バリ
ア用に使用される銅、タンタル、チタンをはじめ、モリブデン、タングステン、コバルトなど
の多種にわたる製品を供給しています。市場シェアは、世界トップの約40%を誇っています。
ICの断面概略図
配線材(銅)
シリコン酸化膜
0.13マイクロメートル
多結晶シリコン
バリア材(タンタル)
シリコン単結晶基板
半導体用ターゲット
FPD(フラットパネルディスプレイ)用ターゲット(ITOターゲット)
日鉱マテリアルズグループでは、液晶ディスプレイ(LCD)
、プラズマディスプレイ(PDP)、
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等のフラットパネルディスプレイの透明導電
膜に使われるITO(Indium Tin Oxide)ターゲットを生産しています。
近年、パソコンディスプレイの液晶化、家庭用薄型大画面テレビの普及本格化などの市場拡
大に伴い、ITOターゲットの需要は大きく増加しています。
日鉱マテリアルズグループでは、ITOターゲットの世界シェア約50%を占めていますが、
今後とも見込まれる需要増に対応するために、2005年3月、従来の生産能力約15トン/月
を約30トン/月に増強しました。また、今後も大きな需要の伸張が見込まれる韓国市場への
対応を図るため、2004年8月に韓国日鉱マテリアルズ株式会社を設立し、2005年5月、後
工程を行う工場の竣工式を行いました。
ITOターゲットには、パネルの大型化・高精細化に対応するため、厳しい品質管理が求めら
れます。日鉱マテリアルズグループでは、成型技術、
LCDの原理
光
焼結技術等、豊富なノウハウを駆使し、ディスプレイ
産業の発展を支えています。
偏光板
信号電圧
ガラス基板
カラーフィルター
液晶分子
(ITO)
TFT
ガラス基板
偏光板
ITOターゲット
電圧印加状態
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静止状態
事業の概況
その他のターゲット
その他、日鉱マテリアルズグループでは、ハードディ
スクなどの磁気記録媒体用の磁性材スパッタリングター
ゲットや、CDやDVDなどの相変化光ディスク用スパッ
タリングターゲットを生産しています。
磁性材ターゲット
光ディスク用ターゲット
化合物半導体(インジウムリン)
化合物半導体とは、2つ以上の元素からなる半導体で、単元素半
導体とは異なり、優れた光特性や電気的特性をもつため、さまざま
な特殊機能のデバイスに使われます。日鉱マテリアルズグループで
は、原料の高純度金属から単結晶ウェハー、さらにはエピタキシャ
ルウェハーまでの一貫した供給体制を確立しています。
化合物半導体の1つであるインジウムリンは、通信手段である
光ファイバーの受発光素子に使用されます。今後FTTH(ファイ
バートゥザホーム)など、光通信の普及とともに需要の伸長が期待
インジウムリン
されます。
TM
マキナス
電子機器の小型化・高密度化やLSIの高集積化の急速な進展により、
新製品開発
銅箔製品に対するマーケットニーズも高度化しています。日鉱マテリ
アルズグループでは、顧客との密接な連携のもと、製品の改良、開発、
高付加価値化に取り組んでいます。
TM
日鉱マテリアルズグループが開発したマキナス は、半導体実装用
フィルム基板(チップオンフィルム)向けの二層めっき基板で、液晶
表示装置の周辺に使用されます。液晶パネル市場は今後とも大きな拡
大が見込まれており、その需要の伸張に対応するため、2007年3月
2
期上期に10万m /月の体制で本格量産を開始することとしました。
また、表面処理分野においては、独自のナノテクノロジーを活かし、
ウェハーレベルからプリント基板レベルまでの各段階において、さら
なる回路微細化に対応するめっきプロセスの開発を推進するなど、次
マキナス
TM
世代の電子材料に求められる製品・技術の開発に取り組んでいます。
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