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ノルウェー - 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所

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ノルウェー - 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所
IEEJ:2004 年 6 月掲載
ノルウェー∗
総合エネルギー動向分析室
研究員
山中
裕之
1.概要(マクロ経済・社会指標等)
正式国名:ノルウェー王国
人口:456.5 万人<2003 年>
国土面積:323,877km2
首都:オスロ
民族:北方ゲルマン民族
宗教:福音ルーテル教会
国家元首:ハラルド 5 世:Harald V(1991 年∼)
首相:ヒエル・マグネ・ボンネヴィーク:Kjell Magne Bondevik(2001 年∼)
GDP 総額:1,817 億ドル <2002 年>(下表(1)参照)
一人当り GDP:40,164 ドル <2002 年>(下表(1)参照)
GDP 成長率:0.9% <2002 年>(下表(2)参照)
(1)GDP 総額、人口、一人当り GDP の推移
1999
2000
2001
2002
GDP 総額
億ドル(95 年価格)
1,717
1,766
1,800
1,817
人口
千人
4,462
4,491
4,524
4,524
38,481
39,323
39,788
40,164
一人当り GDP ドル〔95 年価格〕
(出所)「OECD Main Economic Indicators」、Statistics Norway データより作成
(2)実質 GDP 成長率の推移(%)
GDP 成長率
1999
2000
2001
2002
2003
1.1
2.9
1.9
0.9
0.6*
2002
3Q
GDP 成長率(前年同期比)
0.2
2003
4Q
1Q
0.4
0.1
∗
2Q
-1.8
3Q
0.2
本報告は、平成 15 年に経済産業省資源エネルギー庁より受託して実施した受託研究の一部である。この
度、経済産業省の許可を得て公表できることとなった。経済産業省関係者のご理解・ご協力に謝意を表す
ものである。
1
IEEJ:2004 年 6 月掲載
* 推定値
(出所) 「OECD Economic Outlook」、
「OECD Main Economic Indicators」より作成
● ノルウェー経済は、石油産業への依存度(GDP の約 2 割)が高く、石油価格の動向に
大きく左右されている。
● 1998 年以降の石油価格の下落等により減速した。その後、石油価格が上昇し 1999 年後
半より回復したが、2001 年以降、景気後退に伴い実質 GDP 成長率は 2 年連続で低下し、
2002 年は前年比 0.9%の成長に止まった。
2.エネルギー需給の概要
(1)一次エネルギー消費
総消費
伸び率 GDP 成長率 GDP 弾性値 一人当り消費 GDP 原単位*
(石油換算百万トン) (%)
(%)
(石油換算トン)
2000
45.9
10.6
2.9
3.7
10.2
26.0
2001
41.0
-10.7
1.9
−
9.1
22.8
2002
42.9
4.6
0.9
5.1
9.5
23.6
* エネルギー総消費(石油換算千トン)/GDP(億ドル・95 年)
(出所)「BP statistical review of world energy」、
「OECD Main Economic Indicators」等
より作成
● 2002 年のノルウェー経済はわずかながら成長、それに伴いエネルギー消費量は石油換
算 4,290 万トンと前年比 4.6%の増加となった。
(2)一次エネルギー需給バランス(2001 年、石油換算百万トン)
石油
国内生産 164.66
ガス
石炭
48.88
1.20
原子力
その他
−
11.83
合計
226.57
輸入
4.46
−
0.88
−
0.93
6.28
輸出
163.26
43.45
1.01
−
0.62
208.34
在庫変動
2.23
−
-0.13
−
−
2.10
一次供給
8.08
5.42
0.94
−
12.16
26.61
(出所) IEA「Energy Balances of OECD Countries, 2000-2001」
● ノルウェーは豊富な天然資源に恵まれており、世界第 7 位の産油国である。また、豊富
な水力資源に恵まれており、生産された石油・天然ガスのほとんどは他の欧州地域を中
心に輸出(世界第 3 位の石油輸出国)されている。なお、2001 年の 1 次エネルギー供
給は、2,661 万石油換算トンであり、同 2 億 834 万トンの輸出を行なっている。
2
IEEJ:2004 年 6 月掲載
(3)エネルギー源別消費動向(石油換算百万トン)
石油
ガス
石炭
原子力
その他
合計
2000
9.4
3.6
0.7
−
32.2
45.9
2001
9.7
3.4
0.6
−
27.4
41.0
2002
9.4
3.5
0.5
−
29.4
42.9
(出所) 「BP statistical review of world energy」
● ノルウェーの国内エネルギー消費の中心は、水力である。2002 年のエネルギー源別の
消費シェアは、石油 21.9%、天然ガス 8.1%、石炭 1.2%、水力他 68.8%となっている。
(4)エネルギー資源(2002 年末)
確認埋蔵量
世界シェア(%)
可採年数
石油 (億バレル)
103
1.0
8.7
ガス (兆立米)
2.19
1.4
33.5
1
0.0
N.A.
石炭 (百万トン)*
(出所) 「BP statistical review of world energy」
*石炭の確認埋蔵量は WEC「Survey of Energy Resources 2001」(1999 年末時点)より
● ノルウェーの石油確認埋蔵量は 2002 年末現在で 103 億バレル、天然ガスの確認埋蔵量
は 2.19 兆立米となっており、その大部分は北海地域に賦存している。
(5)エネルギー源別生産動向(石油換算百万トン)
石油
ガス
石炭
原子力
その他
合計
2000
160.2
44.8
N.A.
−
32.2
237.2
2001
162.2
48.5
N.A.
−
27.4
238.1
2002
157.4
58.9
N.A.
−
29.4
245.7
(注) 合計は、石油、ガス、その他の合計値
(出所)「BP statistical review of world energy」
● 2002 年の原油生産量は 1 億 5,740 万トンで、対前年比 3.0%の減少であった。逆に、天
然ガスの生産量は石油換算 5,890 万トンで、対前年比 21.4%の増加となった。
(6)エネルギー輸出入動向(石油換算千トン)
原油
輸入
石油製品
輸出
ガス
輸入
輸出
輸入
石炭
輸出
輸入
輸出
2000
904 145,356
3,615
9,167
−
40,964
−
−
2001
932 151,434
3,607
8,901
−
43,779
−
−
2002
642 146,337
3,529
8,637
−
48,392
−
−
2002 年
3
IEEJ:2004 年 6 月掲載
1月
72
10,721
310
998
−
4,970
−
−
2月
24
11,772
282
659
−
4,067
−
−
3月
−
11,396
288
582
−
3,716
−
−
4月
44
12,260
339
856
−
4,515
−
−
5月
81
11,650
286
372
−
4,515
−
−
6月
23
12,271
333
1,163
−
3,909
−
−
7月
137
13,383
255
721
−
4,168
−
−
8月
35
13,197
241
513
−
3,245
−
−
9月
−
11,346
275
975
−
3,178
−
−
10 月
34
10,170
306
458
−
3,973
−
−
11 月
98
14,225
260
765
−
3,567
−
−
12 月
94
12,675
354
575
−
4,567
−
−
2003 年
1月
158
10,777
413
1,165
−
4,905
−
−
2月
41
11,569
298
1,283
−
4,602
−
−
3月
76
9,373
362
831
−
5,289
−
−
4月
17
11,923
378
1,268
−
4,483
−
−
5月
16
13,307
296
1,383
−
3,812
−
−
6月
−
9,678
355
1,115
−
3,470
−
−
7月
41
11,175
303
1,029
−
4,538
−
−
8月
−
11,599
336
1,085
−
3,966
−
−
9月
57
9,814
330
1,044
N.A
N.A
N.A
N.A
(出所)eurostat「Energy Monthly Statistics」
● 2002 年の原油輸出量は 1 億 4,634 万トンで、対前年比 3.4%の減少であった。天然ガスの
輸出量は石油換算 4,839 万トンで、対前年比 10.5%の増加であった。
● 月次ベースでは、原油生産量の減少の影響からか 2003 年 1∼9 月期の原油輸出量が対
前年同期比-8.1%と大幅に落ち込んでいる。一方で、天然ガスは 2003 年 1∼8 月期で、
対前年比 5.9%増加している。
(7)石油需給バランス(石油換算千トン)
原油
生産
輸入
石油製品
輸出
国内処理
生産
輸入
輸出
消費
1999
149,336
2,085
136,326
15,307
15,346
3,356
8,857
8,733
2000
160,662
904
146,160
15,069
15,223
3,633
9,167
7,783
2001
162,506
932
151,470
14,335
14,013
3,593
8,762
7,876
2002
156,381
642
145,195
13,321
13,033
3,505
8,572
7,525
2002 年
4
IEEJ:2004 年 6 月掲載
1Q
38,900
96
35,160
3,554
3,474
880
2,187
1,927
2Q
40,019
148
36,179
3,435
3,355
943
2,387
1,709
3Q
38,636
172
36,784
3,045
2,991
765
2,014
1,799
4Q
38,826
226
37,072
3,287
3,213
917
1,984
2,090
2003 年
1Q
39,430
275
31,719
3,707
3,677
1,073
3,279
2,239
2Q
36,563
33
34,908
3,625
3,543
1,029
3,766
2,082
(出所)IEA「OIL,GAS,COAL, AND ELECTRICITY QUARTERLY STATISTICS」
● 国内の原油生産は、1998 年 3 月と 1999 年 3 月の OPEC との協調減産から復帰し、
2001
年の原油生産量は 1 億 6,251 万トンまで回復した。2002 年には OPEC と協調し 15 万
B/D の減産を行ったことから原油の生産量は 1 億 5,638 万トンまで減少した。国内の石
油製品消費は、エネルギー消費の主力である水力の状況によっても左右されるが、2002
年の実績は、対前年比 4.5%減少し 753 万トンであった。
● 2003 年第 2 四半期の原油生産量は、対前年同期比 8.6%減少した。また同期間の原油処
理量は 5.5%増加、石油製品の輸出と消費量はそれぞれ 57.8%、21.8%増加している。
(8)石油在庫動向(石油換算千トン)
原油
石油製品
石油合計
日数
2000
3,691
1,101
4,792
160
2001
1,616
910
2,526
94
2002
1,546
1,011
2,557
76
2002 年 1Q
1,462
915
2,377
104
2Q
1,926
1,059
2,985
123
3Q
−
−
−
−
4Q
1,546
1,011
2,557
76
2003 年 1Q
3,267
1,105
4,372
141
2Q
1,700
1,067
2,767
82
3Q
2,058
990
3,048
−
(出所)IEA「Oil Market Report」および「Monthly Oil Survey」より作成
● 2003 年第 3 四半期の原油在庫は 205.8 万トン、石油製品が 99.0 万トンで、合計 304.8
万トンであった。
5
IEEJ:2004 年 6 月掲載
3.エネルギー政策の概要
(1) 政策担当機関・部門・主要 VIP
● ノルウェーの主要なエネルギー政策担当機関は、石油エネルギー省(Ministry of
Petroleum and Energy)であり、現在の大臣は Einar Steensnæs 氏(2001 年∼)で
ある。
● 同省は、
「Oil and Gas」
(石油・ガスの探鉱開発、油ガス田のライセンスの供与、石油・
ガス市場の監督、環境対策等)、「Energy and Water Resources」(発電部門管理、国営
電力会社の監視、水資源管理等)、
「Administration, budgets and accounting」
(一般管
理)の部門からなる。また、石油エネルギー省の下部組織として、石油管理局(石油探
鉱開発における労働環境管理等)、水資源エネルギー管理局(水およびエネルギー資源
の管理)が存在する。
● 基本的なエネルギー政策の決定および大型プロジェクトの承認等は、ノルウェー議会
(Storting)の決定・承認が必要となる。比較的小規模なプロジェクトについては、政
府の権限で実行が可能となっている。
● 2001 年にエネルギー政策(後述)の目標を達成するため、石油エネルギー省管轄下に
国有企業 Enova を設立した。Enova は、送配電料金への課徴金と国からの補助金で成
り立つエネルギー基金を活動原資として、エネルギー政策の達成を推進している。
(2) 基本政策
● 石油、天然ガスの輸出収入は同国最大の収入源であり、急激な開発・生産の増加による
インフレ等を抑制するため、ライセンス付与、開発投資額など、調整的な開発政策を進
めている。
● 近年、国営エネルギー会社(Statoil、Norsk Hydro、Statkraft 等)の部分民営化を進
めるなど、エネルギー産業の再編・合理化に力を入れている。
● 1999 年に発表した「エネルギー政策に関する白書」において、省エネルギーの推進や
代替エネルギーの積極的な導入、風力発電の開発や発電用燃料としての天然ガスの利用
促進など、ノルウェーのエネルギー政策を明らかにした。
(3) 2003-04 年度エネルギー予算の概略
● ノルウェーは、2004 年の石油エネルギー省の予算として 225.6 億ノルウェー・クロー
6
IEEJ:2004 年 6 月掲載
ネ(NOK)の支出と 810 億 NOK の歳入を計上した。本予算の重点課題は、①エネル
ギーの消費と生産の継続的な変化に対する対策の優先、②石油の研究開発費の増加、③
ガス火力導入に関する研究費の増加、④河川地域などでの地滑りの対策費である。
(2004
年 2 月現在:1NOK=約 18 円)
(4) 環境政策
● ノルウェーは、2002 年 5 月に先進国としては最も早く京都議定書を批准した。なお、
京都議定書におけるノルウェーの温室効果ガス削減目標は、2008∼2012 年において
1990 年レベル排出量の+1%に抑えることとなっている。
● 環境に対する意識が非常に高く、1991 年に CO2 税を導入した。2004 年時点の CO2 税
額は、燃料油がl当たり 0.51NOK、ガソリン・ヒーティングオイルが同 0.76NOK、オ
フショアの石油・ガスが同 0.76NOK などとなっている。
4.エネルギー産業の概要
● 2001 年には、エネルギー産業における自由化の一貫として、SDFI(State’s Direct
Financial Interest)が保有するノルウェー大陸棚の油田の権益 6.5%を Norsk Hydro、
TotalFinaElf、Shell、Conoco、Marathon Oil、出光等、合計 9 社に売却(約 9.65 億
米ドル)した。同売却により 2000 年に政府が決定した 21.5%資産売却計画(残り 15%
は 2001 年に Statoil に売却済)が完了した。なお、SDFI とは、1985 年に Statoil の所
有する沖合の油・ガス田に関する権益を分轄して設立された政府直轄の権益である。
(1) 石油産業
● ノルウェー国内(ノルウェー大陸棚)での探鉱開発は、議会および政府の管理下に置か
れている。上流資産の約 40%を政府直轄の SDFI が保有しており、参加割合に応じて発
生する投資、操業費、収入は国家予算に直接組み入れられている。また、SDFI の所有
する資産の商業的なマネージメントを行なう会社として Petro がある(部分民営化以前
は Statoil が行なっていた)。
● 現在、ノルウェーの上流部門では BP、Shell、Phillips など約 20 社の国際石油企業が
ノルウェーの国営石油企業(Statoil、Norsk Hydro)と共同で上流開発を行なっている。
なお、2002 年 8 月現在、政府は、Statoil の株式 81.8%、Norsk Hydro の株式 44%を
保有している。
● 2001 年 12 月、世界的な景気減速とテロ事件によるエネルギー需要後退に伴う原油価格
7
IEEJ:2004 年 6 月掲載
の下支えの目的で、ノルウェーは OPEC との協調減産(15 万 B/D)で合意、2002 年 1
月から減産を実施してきたが、2002 年 7 月から同削減を解除している。
● ノルウェーには現在、Statoil が 79%、Shell が 21%の権益を保有する Mongstat 製油所
(原油処理能力:20 万 B/D)と ExxonMobil の Slagen 製油所(同:11 万 B/D)の 2
つの製油所がある。
(2) ガス産業
● 開発・生産および輸送能力に関しては、政府による調整の下で、計画・実行されている。
● 国内天然ガス生産量の生産者別割合は、2000 年実績で、SDFI が 47%、Statoil が 15%、
Norsk Hydro が 9%、ExxonMobil が 9%、TotalFinaElf が 9%、Shell が 4%などとな
っている。
● 天然ガスの売買契約については、Statoil 主導するガス販売コンソーシアムである GFU
(Gas Negotiations Committee)を通して、一括して買い手との交渉を行なってきた。
しかし、同システムは自由化を進める EU のガス指令に相反するため 2002 年 1 月で廃
止、今後は生産者が個別に買い手と交渉し、販売契約を締結することになる。なお、2000
年の主要な輸出先は、ドイツ(18.8%)、フランス(12.1%)、ベルギー(5.4%),オラ
ンダ(5.1%)等となっている。
● ガス輸送事業については、2001 年 5 月に、ノルウェー大陸棚のガス生産の効率的輸送、
全ての事業者に対し中立を保つ等の目的で、13 社あった天然ガスパイプライン会社を
統合し、国営の Gassco を設立、輸送事業を一本化した。
(3) 電力産業
● ノルウェーは 1991 年に完全自由化を達成しており、発電・送電の分離がなされている。
● ノルウェー国内の発電所は 99%が水力発電となっている。2002 年 1 月時点で、ノルウ
ェーには 156 の発電会社が存在しており、発電能力に占める割合は、国営電力会社
Statkraft が約 30%でもっとも大きく、残りは地方自治体等の公営企業や民間企業によ
ってまかなわれている。
● 送電部門の大部分は、国営の Statnett がほぼ独占(国内送電設備の約 8 割を所有)し
ており、送電線の建設計画、建設、運用など系統運用全体の責任を負っている。また、
北欧地域の電力取引市場である Nord Pool(後述)における権益を 50%所有している。
8
IEEJ:2004 年 6 月掲載
● ノルウェーには現在約 200 の配給事業者(ほとんどは地方の公営事業者)が存在してお
り、消費者は自由に供給者を選択することができる。また、産業用などの大口事業者は
Nord Pool から直接購入することも可能である。
● Nord Pool は、1993 年に設立された世界初の多国間卸電力市場であり、現在ノルウェ
ー、スウェーデン、フィンランド、デンマークが加入している。Nord Pool は、任意プ
ールであり、相対取引も可能となっている。市場へは、域内だけでなく、周辺国から、
270 以上の事業者が参加している(うちノルウェーからの参加者が 60%)。Nord Pool
にはスポット取引市場(一日前市場、時間前市場、リアルタイム市場)、先物市場、先
渡市場、オプション市場、需給バランス市場が設立されている。同取引所での Spot 取
引(約 3 割)価格は、地域の指標価格として多く利用されている。
(4) 国営石油会社 Statoil の概要
● Statoil(Den norske stats oljeselskap)は、1972 年に設立された国営石油会社であり、
ノルウェー国内以外でも、西ヨーロッパ、カスピ海、ベネズエラ、西アフリカ等でも探
鉱開発活動を行なっている。また、2001 年にはイランの South Pars ガス田(フェーズ
11、12)の入札にも参加している。かつては、政府が 100%の株式を所有していたが、
2001 年にオスロとニューヨークで上場、18.3%の株式が売却された。
● 2002 年の収益動向は以下のとおり
売上高:351 億 4,400 万ドル(対前年比:36.4%増)
純利益:24 億 2,800 万ドル(対前年比:26.5%増)
保有確認埋蔵量:42.7 億石油換算バレル(2002 年末現在)
うち原油 18.7 億石油換算バレル、天然ガス 24 億石油換算バレル
生産量:3 億 9,200 万石油換算バレル
うち原油 2 億 7,400 万バレル、天然ガス 188 億立米
5.最近の重要トピックス
● Snoehvit LNG プロジェクトの動向
Snoehvit LNG プロジェクトは、バレンツ海に位置する天然ガス開発・液化基地プロ
ジェクトで、オペレーターである Statoil(33.53%)、Petoro(30%)、、Total(18.4%)、
GdF(12%)等が参加している。同プロジェクトは、税制面での優遇措置が競争を阻
害する行為であるとして、欧州自由貿易連合の監視当局(ESA)から批判された。こ
れを受け、Statoil と同社パートナーは 2002 年 3 月から同問題が解決されるまで計画
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IEEJ:2004 年 6 月掲載
をストップしていたが、同年 5 月に ESA の承認を得てプロジェクトが再開された。
● EU との天然ガス供給契約
EU は、域内のガス市場自由化に向けて、生産国に対し、長期契約や仕向け地条項の
撤廃を求めているが、ノルウェーは欧州委員会と今後は Statoil や Norsk Hydro などの
企業が、需要家と個別に契約条件を決めることで合意、EU の求める契約の柔軟化に応
じる形となった。
● バレンツ海開発
2002 年 8 月、Statoil のファール CEO は、バレンツ海での石油・天然ガス探鉱開発
で、ロシアとのより緊密な協力体制を構築することを目指す意向を発表した。バレンツ
海は豊富な炭化水素資源の埋蔵が期待されているが、環境団体による反発などもあり、
環境に配慮した開発を進める上で、両国の協力体制が必要とされている。
● 英国との北海油田での共同開発
2002 年 9 月、ノルウェーと英国は、北海の両国境界付近に置ける開発促進策で協力
していくことで合意、2003 年初めまでに具体的な策を決定する予定である。これまで、
同海域では両国の優遇措置の違いなどから、開発が遅れていたため、この協力策により、
減退が予測される北海地域での生産拡大を促したい考え。
6.わが国とのエネルギー分野での関わり
● 日本は、ノルウェーから原油輸入を行なっており、2002 年の輸入実績は約 33 万 kl で
あった。
● また、ノルウェー領北海では、ノルウェー石油開発(株)、出光スノーレ(株)が生産
活動を行なっている。また、2002 年 3 月には、SDFI の権益売却の入札でフラム油田の
権益 15%を獲得している。
● 2002 年 4 月に、Snoehvit LNG プロジェクトに関連して、商船三井はノルウェーの海
運会社と合弁で、船舶管理会社を設立することで合意に達している。
以上
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