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F θ θ - 埼玉工業大学
埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 埼玉工業大学学習支援センター 平成28年度入学前教育(物理)第2回課題 Ⅳ 仕事と力学的エネルギー 1 仕事 1 仕事の定義 F x 上の図のように、物体に一定の大きさ F の力を加え、その力の向きに距離 x だけ動 かすとき、 W = Fx W の単位:J(ジュール) の仕事 W をしたと定める。仕事の単位は、1 N の力で、その力の向きに物体を 1 m 物体を動かしたとき、1 J(ジュール)の仕事をしたと定めている。すなわち、 1 J = 1 N×1m である。 練習問題 12 物体に 10 N の力を加え続けて、その力の向きに 3.0 m 動かすとき、仕事は である。 1 J にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 10 ② 20 ③ 30 ④ 40 ⑤ 50 ⑥ 60 ⑦ 70 2 力と移動方向が異なるとき F sinθ F θ F cosθ θ x 力 F が移動方向と角度θ だけ異なる場合は、力 F の移動方向の分力 F cosθ と、こ れとは垂直な方向の分力 F sinθ とに分解する。物体は分力 F sinθ 方向には移動しな いから、分力 F cosθ が物体を距離 x 移動させたことになる。このときの仕事 W は W = F x cosθ となる。 - 14 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 ※ 物体にただ力を加えただけでは、仕事をしたことにはならない。力を加えて、力の 向きに物体を移動させた時、はじめて物理で定義する仕事をしたことになる。例えば、 重いものを持ち上げるときに、上向きに力を加えるが、重すぎて持ち上がらない時に は仕事をしたことにはならない。持ち上げてはじめて仕事をしたことになる。 平らなところを歩く場合と山道を登る場合を比較すると、疲れ方は極端に異なって くる。山道を登っていく場合は、重力に逆らって、自分で自分の体を持ち上げるとい う物理で定義する仕事を行うことになるため、大変疲れの程度が大きくなってくる。 練習問題 13 P.14 の図で、F=10 N、θ =60°のとき、物体を 1.0 m 動かすときの仕事は である。 2 J にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 2.0 ② 3.0 ③ 4.0 ④ 5.0 ⑤ 6.0 ⑥ 7.0 ⑦ 8.0 3 仕事の原理 図 A のように、質量 m 図A 図B の物体を h の高さまで持 定滑車 定滑車 ち上げる場合、人は 𝑚𝑚𝑚𝑚の 力で h だけひもを引くの で、 𝑚𝑚𝑚𝑚 × ℎ = 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ の仕 事をすることになる。 動滑車 図 B のように、軽い動 滑車を使って同じ高さま で物体を引き上げる場合 は、ひもを引く力は 1 2 𝑚𝑚𝑚𝑚 、ひもを引く距離は 2h になるので、仕事は 1 2 𝑚𝑚𝑚𝑚 h F h 𝑚𝑚𝑚𝑚 1 2 F 𝑚𝑚𝑚𝑚 × 2ℎ = 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ となる。 図 B では半分の力で物体を持ち上げることができるが、引く距離は 2 倍になるの で仕事の大きさは同じである。 一般に、 「機械や道具などを使って仕事を行うとき、動く部分の摩擦や質量が無視 できる場合、力で得をすることはあっても、仕事で得をすることはない。 」 このことを「仕事の原理」という。 - 15 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 2 運動エネルギー 1 エネルギー 水力発電は、高いところから落下する水の勢いで、発電機を回し、電気を起こし ている。弓に矢をあてがい、弦を引いて手をはなすと矢は勢いよく前に飛んでいき、 的に刺さる。自動車が塀に衝突すると、塀を壊す。 高いところにある水は、発電機を回すという仕事を行う。変形した弓は、矢に仕 事を行い、飛んでいる矢は的にあたると、突き刺さるという仕事を行う。走ってい る自動車は、塀を壊すという仕事を行う。 一般に、高いところにある物体や変形した物体、運動している物体は「仕事をす る能力」を持つ。この「仕事をする能力」のことを「エネルギー」という。 2 運動エネルギー 台車が静止するまでに物体 W にした仕事 W = F x 速さ𝑣𝑣 質量 m -F 静止 一定の力 F 台車が静止するまでに移動した距離 x 上の図のように、速さ𝑣𝑣で動いていた台車が静止するまでの間、軽い物体を一定の 力で押し続け、x だけ移動して止まった。台車は左向きに F の力を受けるので、台車 a =- の加速度を a とすると、台車は 𝑣𝑣 2 -𝑣𝑣02 =2 a x に代入すると、 これから Fx = 1 2 m𝑣𝑣 2 の物体は、止まるまでの間に 1 2 𝐹𝐹 𝑚𝑚 02 ―𝑣𝑣 2 の等加速度運動をする。これを、 = -2 𝐹𝐹 𝑚𝑚 x となる。 であり、速さ𝑣𝑣[m/s]で運動している質量 m[kg] m𝑣𝑣 2 の仕事を外部に行う。したがって、速さ𝑣𝑣[m/s] で運動している質量 m[kg]の物体のもつ運動エネルギーK[J]は 運動エネルギー K = 1 2 m𝑣𝑣 2 である。 練習問題 14 質量 65 kg の人が、10 m/s で走っているとき、 この人のもつ運動エネルギーは - 16 - 3 J 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 である。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 3 ② 1050 ③ 1250 ④ 2500 2250 ⑤ 3250 ⑥ 3750 運動エネルギーと仕事の関係 速さ𝑣𝑣0 質量 m 速さ𝑣𝑣 仕事 W = F x 一定の力 F 移動距離 x 運動エネルギー 運動エネルギー 1 2 1 𝑣𝑣02 2 m𝑣𝑣 2 上の図のように、はじめ速さ𝑣𝑣0 で運動している質量 m の力学台車に、距離 x 移動す る間、進行方向に一定の大きさの力Fを加え続けたところ、台車の速さは 𝑣𝑣となった。 この間の台車の加速度を a とすると、𝑚𝑚𝑚𝑚 = 𝐹𝐹 𝐹𝐹 動の式に代入すると、𝑣𝑣 2 − 𝑣𝑣02 =2 これから 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣2 - 1 2 𝑚𝑚 x 𝑚𝑚𝑚𝑚20 = F x から a= となる。 𝐹𝐹 𝑚𝑚 となり、これを等加速度運 の関係が得られる。 この式は 物体の運動エネルギーの変化は、物体にされた仕事に等しい。 ということを示している。 練習問題 15 投手が質量 0.15 kg のボールを投げると、ボールの速さは 108 km/h になった。投手 がボールにした仕事は 4 J である。 にあてはまるもっとも適切なものを解 答群から選べ。 <解答群> ① 4.5 ② 22.5 ③ 67.5 ④ 120 - 17 - ⑤ 125 ⑥ 135 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 3 位置エネルギー 1 重力による位置エネルギー 高く持ち上げられた物体は、もとの位置に 戻るまでに、外部に仕事を行う。 例えば、右図のように引き上げたおもりを 放し、落下させると杭を打ち込む仕事をする。 このとき、おもりの質量が大きいほど、高さ が高いほど杭は深く打ち込まれる。高いとこ ろにある物体は、質量と高さに応じた仕事を する能力(エネルギー)を持っている。 おもり 一般に、地面から高さ h にある質量 m の 物体は、𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ の重力による位置エネルギー h をもつと定義している。 重力による位置エネルギー 𝑼𝑼 = 𝒎𝒎𝒎𝒎𝒎𝒎 地面 ※地面から質量 m の物体を持ち上げるとき、 重力に逆らって、同じ大きさの力を鉛直上向きに加え、高さ h 持ち上げる仕事を行 うことになる。この仕事が、物体の中にエネルギーとして蓄えられ、そして、もと の位置に戻るまでに、おもりの重力が外部に 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ の仕事することになるのである。 練習問題 16 地面を重力による位置エネルギーの基準として、質量 5.0 kg の物体が、地上 10 m の 位置にあるときの重力による位置エネルギーは 5 J である。また、地下 2.0 m の 位置にあるときの重力による位置エネルギーは 6 J である。 <解答群> ① -49 ⑦ 490 ② -98 ⑧ 980 ③ -196 ④ 49 ⑨ 1960 - 18 - ⑤ 98 ⑥ 196 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 2 弾性力による位置エネルギー F kx A ばねが自然の長さにもどるまでにする仕事は △OAB= B 0 自然の長さ x 1 2 ×k x×x x 弾性力による位置エネルギー F=k x U = 1 2 x 𝒌𝒌𝒙𝒙𝟐𝟐 変形したばねは、ばねが自然の長さにもどるときに外部に仕事をするこ とができる。左の図のように、自然の長さから x だけ引き伸ばされたばね 1 は、自然の長さにもどるまでに弾性力が △OAB= ×k x×x 2 の大きさの仕事を外部に行う。すなわち、引き伸ばされたばねは 弾性力による位置エネルギー U = 1 2 𝒌𝒌𝒙𝒙𝟐𝟐 を持つ。 練習問題 17 ばね定数 30 N/m のつるまきばねに物体をつけ、ばねを 0.10 m だけ伸ばしたとき、 弾性力による位置エネルギーU は 7 J である。 <解答群> ① 0.10 ② 0.15 ③ 0.20 ④ 0.25 ⑤ 0.30 ⑥ 1.0 3 保存力と位置エネルギー 物体が移動するとき、物体にはたらく力のする仕事が途中の経路に関係なく、 始点と終点の位置だけで決まる場合、その力を「保存力」という。 保存力の例…重力、弾性力、静電気力、万有引力など 物体が点 A から点 B まで移動するとき、保存力のする仕事 WAB は、2 点の 位置エネルギーUA、UB の差になる。 WAB =UA -UB - 19 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 4 力学的エネルギー保存の法則 1 力学的エネルギー保存則 <力学的エネルギーの定義> (力学的エネルギー)=(運動エネルギー)+(位置エネルギー) <力学的エネルギー保存則> 物体に保存力だけがはたらくとき、または保存力以外の力がはたら いていても仕事をしないとき、力学的エネルギーは一定に保たれる。 (例1)自由落下運動の力学的エネルギー 次の図のように、高さℎ0 から物体を自由落 下させる。このときの運動エネルギーおよび 重力による位置エネルギーを調べる。 はじめの高さℎ0 での力学的エネルギーは ℎ0 m 𝑣𝑣0 = 0であるから、重力による位置エネルギー 𝑈𝑈 = 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ0 のみである。高さ h では、運動エネルギーは 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣 2 h であり、重力による位置エネルギーは 𝑣𝑣 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ である。したがって、力学的エネルギーは 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣 2 + 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ である。ここで、𝑣𝑣 2 − 𝑣𝑣02 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣 2 = 𝑚𝑚𝑔𝑔(ℎ0 − ℎ) =2𝑔𝑔(ℎ0 − ℎ) から 基準水平面 となる。これから、h の位置における力学的エネルギーは 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣 2 + 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ = 𝑚𝑚𝑔𝑔ℎ0 であり、はじめと同じである。 したがって、この場合の力学的エネルギーは保 存される。 - 20 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 (例2)ジェットコースターの運動 m A 静止 B 10 m 𝑣𝑣 なめらか 7.5m 図のように、なめらかなレール上を A 点(地上から高さ 10 m)から動き始めたジェ ットコースターが B 点(高さ 7.5 m)を通過するときの速さ𝑣𝑣を求める。ただし、空気 の抵抗力はないものとする。 コースターは重力のみの影響を受けて運動するから力学的エネルギーは保存される。 A 点における力学的エネルギーと B 点における力学的エネルギーは等しい。A、B 点に おけるコースターの速さを𝑣𝑣A、𝑣𝑣B 、地上からの高さをℎA 、ℎA コースターの質量を m、重力加速度を𝑔𝑔とすると、 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣2A + 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎA = 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣2B + 𝑚𝑚𝑚𝑚ℎB となる。 この式に、𝑣𝑣A = 0 m/s 、ℎA = 10 m、𝑣𝑣B = 𝑣𝑣、ℎA = 7.5 m、𝑔𝑔 = 9.8 m/s2 を代入すると、 1 2 𝑚𝑚 × 02 + 𝑚𝑚 × 9.8 × 10 = これから、𝑣𝑣 2 = 49 1 2 𝑚𝑚𝑣𝑣2 + 𝑚𝑚 × 9.8 × 7.5 ゆえに 𝑣𝑣 = 7.0 m/s 答え 7.0 m/s (例3)弾性力による物体の運動 k なめらか 速さ 𝑣𝑣 縮み x 自然の長さ 図のように、なめらかな水平面上に、ばね定数が k のつるまきばねの左端が固定さ れている。質量 m の物体をばねの先端に置き、自然の長さから x だけ押し縮め、手 をはなした。物体はばねの弾性力で右方向に運動をはじめ、𝑣𝑣の速さになった。 速さ𝑣𝑣を m、k、x を用いて表す。 - 21 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 物体はばねの弾性力のみによって運動するから、力学的エネルギーは保存される。 1 したがって 2 𝑣𝑣 = � これから 𝑘𝑘𝑥𝑥2 = 𝑘𝑘 𝑚𝑚 1 𝑚𝑚𝑣𝑣 2 2 𝑥𝑥 [m/s] が成り立つ。 となる。 練習問題 18 長さ L[m]の糸に質量 m[kg]のお もりをつけた振り子がある。このおもり を最下点から h[m]だけ持ち上げて静 かに放した。最下点でのおもりの速さ𝑣𝑣0 は 8 L m/s である。 ただし、空気の抵抗は無視できるとする。 速さ𝑣𝑣0 h にあてはまるもっとも適切なもの を解答群から選べ。 最下点 <解答群> ① �𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ ② �2𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ ⑦ � ⑥ �3𝑔𝑔ℎ ℎ 𝑔𝑔 ③ �3𝑚𝑚𝑚𝑚ℎ ⑧ � 2ℎ 𝑔𝑔 ④ �𝑔𝑔ℎ ⑨ � 3ℎ 𝑔𝑔 ⑤ �2𝑔𝑔ℎ 練習問題 19 図のようになめらかなレールがある。A 点から物体は静かに運動をはじめ、B 点、 C 点へと移動する。A 点は最下点Bから 4.9 m、C 点は 2.4 m の高さにある。B 点を 通過するときの物体の速さ𝑣𝑣B は 体の速さ𝑣𝑣C は 10 9 m/s である。また、C 点を通過するときの物 m/s である。 にあてはまるもっとも適切なものを下記の解答群から選べ。 A 𝑣𝑣C 𝑣𝑣B 4.9m 2.4m C B <解答群> ① 3.5 ② 4.9 ⑧ 11 ⑨ 12 ③ 7.0 ④ 7.5 - 22 - ⑤ 8.9 ⑥ 9.8 ⑦ 10 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 Ⅴ 運動量の保存 1 運動量と力積 1 運動量 運動する物体は、質量と速さに関係する「運動の勢い」の量を持つ。例えば、砂 利を満載したダンプカーと自転車が同じ速さで走っていても運動の勢いは異なって くる。また、自転車でも走っている速さが速いほど運動の勢いは大きくなる。 運動の勢いを表す量として、(質量)×(速度)という量を考え、これを運動量と 定める。 (運動量)=(質量)×(速度) 質量 m [kg]の物体が速度 ����⃗ 𝑣𝑣 [m/s]で運動しているとき、この物体の運動量は 𝑚𝑚����⃗ 𝑣𝑣 単位:[kg・m/s] である。 ※「運動の勢い」を表す量として、運動量とは別に「仕事をする能力」である運動 エネルギーがある。運動エネルギーは仕事と関係する量であり、運動量は次に示 すように力積と関係する量である。2 つとも質量と速度に関係する量であるが、全 く別の量である。 2 運動量と力積の関係 ����⃗ 𝑣𝑣 m ������⃗ 𝑣𝑣′ ����⃗ F ⊿t ����⃗ 上図のように、一直線上を動いている質量 m の台車に、一定の大きさに力Fを時 間⊿ t の間、運動の向きに加えた場合、 ����⃗ 𝑎𝑎 = ����⃗ 𝑎𝑎 =F ) に代入して、 程式(𝑚𝑚����⃗ ������⃗ 𝑣𝑣 ′ −����⃗ 𝑣𝑣 ⊿ 𝑡𝑡 となる。これを運動方 ����⃗ 𝑚𝑚�����⃗ 𝑣𝑣′ − 𝑚𝑚����⃗ 𝑣𝑣 = F・⊿t となる。この式の ����⃗ 右辺の量 F・⊿ t を「力積」という。 ����⃗ ※力積F・⊿ t の単位 [N・s]=[kg・m/s2・s]=[kg・m/s] となり、運動量 の単位と同じである。 物体の運動量の変化は、その変化の間に物体が受けた力積に等しい。 - 23 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 練習問題 20 静止していた質量 0.20 kg のボールに 5.0 N の一定の力を 0.40 s 間加え続けた。ボ ールの速さは m/s となる。 11 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 10 2 ② 20 ③ 30 A �����⃗ 𝑣𝑣1 ④ 40 ⑤ 50 ⑥ 60 運動量の保存 m1 m2 衝突前 �����⃗ 𝑣𝑣2 B A ����⃗ F(B が受ける力) B 衝突中 A ― 衝突後 ��������⃗ −F(A が受ける力) �����⃗ 𝑣𝑣1′ B �����⃗ 𝑣𝑣2′ 上図のように、台車 A(質量 m1)と台車 B(質量 m2)の衝突を考える。衝突前の台 𝑣𝑣1 �����⃗ 𝑣𝑣2 、衝突後の速度を�����⃗ 𝑣𝑣1′、�����⃗ 𝑣𝑣2′、とする。衝突時に台車 A、B は 車 A、B の速度を�����⃗、 短い時間⊿ t の間に一定の力を互いに及ぼしあうとする。作用反作用の法則から、それ ぞれの台車は、⊿ t の間に等大逆向きの力を受けることになる。したがって、衝突前後 の台車 A、B の運動量の変化と力積の関係式は 台車 A: 台車 B: ����⃗ ������⃗ 𝑚𝑚1 𝑣𝑣′1 − 𝑚𝑚1 �����⃗ 𝑣𝑣1 =- F・⊿ t ����⃗ 𝑚𝑚2 �����⃗ 𝑣𝑣2′ − 𝑚𝑚2 �����⃗ 𝑣𝑣2 = F・⊿ t この 2 つの式から、 𝑚𝑚1 �����⃗ 𝑣𝑣1 + 𝑚𝑚2 �����⃗ 𝑣𝑣2 = 𝑚𝑚1 �����⃗ 𝑣𝑣1′ + 𝑚𝑚2 �����⃗ 𝑣𝑣2′ となる。 この式の左辺は、衝突する前の 2 つの台車の運動量の和であり、右辺は衝突後の運動 量の和である。すなわち、衝突の前後で、2 つの台車の運動量の和は一定に保たれる。 これを「運動量保存の法則」という。 ※運動量は、物体の衝突の現象を考えるときに、必要となってくる重要な物理量で ある。 一般に、2 つ以上の物体の衝突や物体が複数の物体に分かれる(分裂)の場合で も、互いに関係する物体が及ぼしあう力(内力)だけで、外からの力(外力)がは たらかなければ、運動量の和は保存される。 - 24 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 「運動量保存の法則」 いくつかの物体が内力を及ぼしあうだけで外力を受けていないとき、 全体の運動量は変化しない。 練習問題 21 一直線上を、質量 2.0 kg の物体 A が東向きに 4.0 m/s の速さで進み、前方を質量 3.0 kg の物体 B が西向きに 4.0 m/s の速さで進んできて物体 A と衝突した。衝突後の物 体 B の速さが東向きに 2.0 m/s であるとき、 小球 A の衝突後の速さは 向きは 13 12 である。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 2.0 ⑧ 東向き ② 4.0 ③ 5.0 ④ 8.0 ⑨ 西向き - 25 - ⑤ 10 ⑥ 12 ⑦ 15 m/s で、 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 Ⅵ 円運動と万有引力 1 等速円運動 1 速度と角速度 ����⃗ 𝑣𝑣 右図のように、半径 r[m]の円 周上を一定の速さ𝑣𝑣[m/s]で回る運 P 動を等速円運動という。 今、物体が点 P0 から t[s]間に円 ℓ 周上をℓ[m]移動し点Pに達したと すると、 𝜃𝜃 = 𝜔𝜔𝜔𝜔 0 𝑣𝑣 = ℓ r となる。 t P0 また、この間の回転角を𝜃𝜃[rad] 𝜃𝜃 とすると、𝜔𝜔 = は 1 秒当たり 𝑡𝑡 の回転角を表し、これを角速度(𝜔𝜔… 読み方は「オメガ」)という。角速度の単位は ℓ = 𝑟𝑟𝑟𝑟 𝑣𝑣 = ℓ であるから 𝑟𝑟𝑟𝑟 = 𝑡𝑡 ラジアン毎秒(記号…rad/s)である。 𝑡𝑡 = 𝑟𝑟𝑟𝑟 となる。 等速円運動は、角速度が一定の円運動ということもできる。 2 周期と回転数 等速円運動している物体が1回転する時間を周期という。1周期の間に、物体は 1回転することになるから、周期を T[s]とすると、 2𝜋𝜋𝜋𝜋 T = 𝑣𝑣 2𝜋𝜋 = 𝜔𝜔 また、1秒間の回転数を n[Hz]とすると n = ここで、𝜔𝜔 = 1 𝑇𝑇 2𝜋𝜋 𝑇𝑇 となる。 = 2 𝜋𝜋 𝑛𝑛 と表すことができる。 練習問題 22 以下の文中の にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 1分間に 6.0 回転するメリーゴーランドの回転台上で、回転の中心から 4.0 m 離れた ところにいる人の、周期T は <解答群> ① 0.10 ⑦ 6.0 14 ~ 15 s であり、回転数 n は 15 Hz である。 の解答群 ② 0.15 ⑧ 8.0 14 ③ 0.17 ⑨ ④ 0.20 10 - 26 - ⑤ 0.26 ⑥ 5.0 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 また、角速度𝜔𝜔は rad/s であり、速さ𝑣𝑣は 16 17 m/s である。 ただし、円周率を𝜋𝜋とする。 <解答群> 0.1 𝜋𝜋 ① ⑦ ~ 16 0.7𝜋𝜋 17 の解答群 ② 0.2𝜋𝜋 ③ 0.3𝜋𝜋 ⑧ 0.8𝜋𝜋 ⑨ 0.9𝜋𝜋 ④ 0.4𝜋𝜋 ⑤ 0.5𝜋𝜋 ⑥ 0.6𝜋𝜋 3 等速円運動の加速度 �����⃗ 𝑣𝑣′ ����⃗ 𝑣𝑣 �������⃗ ⊿𝑣𝑣 ⊿ t 秒後 r �����⃗ 𝑣𝑣′ 0 ⊿θ = 𝜔𝜔⊿ t ����⃗ 𝑣𝑣 ⊿θ 等速円運動している物体が短い時間⊿ [s] t に⊿θ[rad]だけ回転し、速度が����⃗ 𝑣𝑣[m/s] から�����⃗ 𝑣𝑣′ [m/s]になったとする。このとき、速度の向きも⊿θ[rad]だけ回転するの で、����⃗ 𝑣𝑣 と �����⃗ 𝑣𝑣′ のなす角は⊿θである。⊿ t をさらに短くとると、⊿θも小さくなり、 �����⃗ ����⃗ 𝑣𝑣 と 𝑣𝑣′ の大きさが等しいから、速度の変化 ⊿����⃗ 𝑣𝑣 = �����⃗ 𝑣𝑣′ - ����⃗ 𝑣𝑣 は円の中心を 𝑣𝑣 の大きさ ⊿𝑣𝑣 は弧の長さ 𝑣𝑣⊿θ=vω⊿t に近づく。したが 向く。そして、⊿����⃗ って、等速円運動の加速度の大きさは a = すなわち、等速円運動の加速度の大きさは であり、向きは円の中心方向である。 ⊿𝑣𝑣 ⊿𝑡𝑡 = 𝑣𝑣𝑣𝑣 a = 𝒗𝒗𝒗𝒗 = 𝒓𝒓𝝎𝝎𝟐𝟐 = 𝒗𝒗𝟐𝟐 𝒓𝒓 練習問題 23 半径 3.0 m の円周上を、周期 2.0 s で等速円運動する物体がある。この円運動の角 速度は 18 rad/s であり、加速度は 19 m/s2 である。ただし、円周率をπとする。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 0.5𝜋𝜋 ⑦ 5𝜋𝜋2 ② 𝜋𝜋 ⑧ 6𝜋𝜋2 ③ 2𝜋𝜋 ④ 3𝜋𝜋 ⑨ 𝜋𝜋2 - 27 - ⑤ 3𝜋𝜋2 ⑥ 4𝜋𝜋2 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 4 向心力 なめらかな水平面上で、糸の先におもりをつけ、水平面上でおもりを円運動させる とき、円運動の中心方向に力を加えなければならない。この力がなくなる(糸が切れる) とおもりは円運動できなくなる。 ����⃗ 等速円運動している物体の質量を m[kg]、物体が受ける力をF ����⃗ 𝑚𝑚����⃗ 𝑎𝑎 = F とすると、 から、物体は常に加速度と同じ向きに、一定の大きさの力を受けている。 この力を「向心力」という。 向心力 向 𝒗𝒗𝟐𝟐 F = 𝑚𝑚𝑎𝑎 = 𝑚𝑚𝑣𝑣𝑣𝑣 = 𝑚𝑚𝑟𝑟𝜔𝜔2 = 𝑚𝑚 大きさ: き: 𝒓𝒓 円の中心向き 例題 質量 0.20 kg の物体が、半径 1.2 m の円周上を 0.50 rad/s の角速度で等速円運動して いる。 (1) 回転の周期と速さ、および 1 秒間の回転数はいくらか。 2𝜋𝜋 2×3.14 周期 T = 速さ 𝑣𝑣 = 𝑟𝑟𝑟𝑟 = 1.2×0.50 = 0.60 m/s 回転数 n = 𝜔𝜔 1 𝑇𝑇 から、T= = 1 0.50 = 12.56 ≒ 13 s ≒ 8.0×10-2 Hz 12.56 (2) 加速度の大きさと向きを求めよ。 加速度 a = 𝑟𝑟𝜔𝜔2 = 1.2×0.502 = 0.30 m/s2 向きは、円の中心向き (3) 物体にはたらいている向心力の大きさはいくらか。 向心力 F = 𝑚𝑚𝑚𝑚 = 0.20×0.30 = 6.0×10-2 N 練習問題 24 糸をつけた質量 0.10 kg の物体を、糸の端を持って、なめらかな水辺面上で、半径 0.50 m、回転数 2.0 Hz で回転させる。ただし、円周率をπとする。 以下の にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 (1) 物体の角速度は <解答群> ① 𝜋𝜋 ⑧ 8 𝜋𝜋 20 ~ ② 2 𝜋𝜋 ⑨ 9 𝜋𝜋 (2) 加速度の大きさは rad/s であり、速さは 20 21 m/s である。 の解答群 ③ 3 𝜋𝜋 22 21 ④ 4 𝜋𝜋 m/s2 である。 - 28 - ⑤ 5 𝜋𝜋 ⑥ 6 𝜋𝜋 ⑦ 7 𝜋𝜋 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 (3) 糸から物体に加わる向心力の大きさは <解答群> ① 0.5 𝜋𝜋2 6𝜋𝜋2 2 単振動 1 単振動 ~ 22 N である。 の解答群 23 ③ 𝜋𝜋2 ② 0.8𝜋𝜋2 ⑧ 7𝜋𝜋2 23 ④ 1.2𝜋𝜋2 ⑤ 4𝜋𝜋2 ⑥ 5𝜋𝜋2 ⑦ ⑨ 8𝜋𝜋2 x x A P A 𝜔𝜔𝜔𝜔 O O Q 𝑇𝑇 2 t T 𝑥𝑥 = 𝐴𝐴sin𝜔𝜔𝜔𝜔 -A 半径 A[m]の等速円運動をしている物体 P の x 軸上への垂線の足 Q は、x 軸上を A[m]から-A[m]の範囲を往復運動する。この x 座標の値(変位)は、 𝑥𝑥 = 𝐴𝐴sin𝜔𝜔𝜔𝜔 で表され、この運動を単振動という。x-t グラフは、上図のようになり、このよう な曲線を正弦曲線という。A[m]を振幅、𝜔𝜔[rad/s]を角振動数、1 振動の時間T[s] を周期、1 秒間の振動回数 f[Hz]を振動数という。 角振動数 𝜔𝜔 = の関係式が成り立つ。 2𝜋𝜋 𝑇𝑇 = 2π f 、周期 T = 1 𝑓𝑓 = 2𝜋𝜋 𝜔𝜔 練習問題 25 時刻 t[s]における変位が 𝑥𝑥 = 0.50 sin4.0𝜋𝜋𝜋𝜋 [m] である単振動の、振幅 A は 24 m、周期Tは 25 s、振動数 f は 26 Hz である。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 0.20 ⑦ 2.0 ② ⑧ 0.30 3.0 ③ 0.40 ④ 0.50 ⑨ 4.0 - 29 - ⑤ 0.60 ⑥ 1.0 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 2 速度と加速度 x 単振動する点 Q の速 度成分𝑣𝑣𝑥𝑥 、加速度成分ax は、右図から、 A 𝑣𝑣𝑥𝑥 = 𝐴𝐴𝐴𝐴cos𝜔𝜔𝜔𝜔 𝑎𝑎𝑥𝑥 = ����⃗ 𝑣𝑣 −𝐴𝐴𝜔𝜔2 sin𝜔𝜔𝜔𝜔 ����⃗ 𝑎𝑎 = −𝜔𝜔2 𝑥𝑥 である。 3 𝜔𝜔𝜔𝜔 𝑣𝑣𝑥𝑥 = 𝐴𝐴𝐴𝐴cos𝜔𝜔𝜔𝜔 P 𝑎𝑎𝑥𝑥 = −𝐴𝐴𝜔𝜔2 sin𝜔𝜔𝜔𝜔 𝜔𝜔𝜔𝜔 復元力 𝑥𝑥 = 𝐴𝐴sin𝜔𝜔𝜔𝜔 Q 𝜔𝜔𝜔𝜔 = −𝜔𝜔2 𝑥𝑥 O 単振動する質量 m[kg]の物体には、振動の中心に向かう、𝐹𝐹𝑥𝑥 = 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑥𝑥 =−𝑚𝑚𝑚𝑚2 𝑥𝑥 の 力がはたらいている。この力は、つねに振動の中心に向き、大きさは変位の大きさに 比例している。振動を引き起こすこのような力を「復元力」という。 一般に、復元力は K:正の定数 (K = 𝑚𝑚𝑚𝑚2 ) F = -K x 単振動の周期は T = 2𝜋𝜋 = 2𝜋𝜋 � 𝜔𝜔 𝑚𝑚 𝐾𝐾 練習問題 26 質量 2.0 kg の物体が周期 0.63 s で単振動している。この物体の変位が 20 cm のとき、 物体の加速度は 27 である。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 m/s2 であり、このとき物体にはたらいている力は 28 <解答群> 4 ① -50 ⑦ 20 ② -40 ⑧ 30 ③ -30 ④ -20 ⑤ -10 ⑥ 10 ⑨ 40 ばね振り子 ばね定数 k[N/m]の軽いつるま 自然の長さ つりあいの位置 きばねに、質量 m[kg]の小球を F=-kA つけ、右図のようになめらかな水 平面上で自然の長さから A[m]伸 F=-kx ばして静かに手をはなす。この後、 小球は自然の長さ(位置 O)を中 x 心として単振動を行う。小球には F=-kx たらく力は復元力であり F=-kx x と表される。 O - 30 - x N 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 5 単振り子 軽い糸に小球をつるし、鉛直面内で振動させた 𝜃𝜃 ものを単振り子という。 振幅の小さな単振り子を考える。糸の長さを ℓ[m]、小球の質量を m[kg]とする。小球には ℓ たらく力は、糸が引く力 S[N]と重力𝑚𝑚𝑚𝑚[N]で あり、S は小球の運動方向に垂直である。小球を 最下点 O へ引きもどすはたらきをするのは、重力 の接線方向の成分𝑚𝑚𝑚𝑚sin𝜃𝜃である。 S 𝑥𝑥 𝜃𝜃が小さいときには、sin𝜃𝜃≒𝜃𝜃= だから、 ℓ 𝑚𝑚𝑚𝑚sin𝜃𝜃≒ 𝑚𝑚𝑚𝑚 ℓ x x となる。 O したがって、小球が運動する円周に沿ったおもり の運動方程式は、力の向きが変位 x と逆向きであ 𝑚𝑚𝑚𝑚sin𝜃𝜃 𝜃𝜃 るから 𝑚𝑚𝑚𝑚 F=-𝑚𝑚𝑚𝑚sin𝜃𝜃≒- 復元力の定数 K = x ℓ 𝑚𝑚𝑚𝑚 ℓ 2𝜋𝜋 𝜔𝜔 𝜃𝜃 𝑚𝑚𝑚𝑚 となる。 だから、T = m = 2𝜋𝜋� ℓ 𝑔𝑔 となる。 したがって、単振り子の周期は、おもりの質量や振幅によらないことがわかる。 練習問題 27 𝑇𝑇 長さℓで周期 T の単振り子がある。 周期を すればよい。 2 にするには、 単振り子の長さを 29 に にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 半分 3 万有引力 1 ケプラー法則 ② 4 分の1倍 ③ 同じ ④ 2倍 ⑤ 4倍 古くから太陽や惑星、恒星などすべての天体は地球を中心に回転しているとする天 動説が信じられていた。16 世紀半ば、コペルニクスは、地球を含めた惑星が、太陽を 中心とした円運動をしているとする地動説を発表した。その後、ティコ・ブラーエは、 惑星を中心に、30 年以上にわたって天体観測を行い、膨大な観測データーを残した。 彼の弟子であったケプラーは、観測データーを整理し、惑星の運行に関することがら を3つの法則にまとめた。 - 31 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 半長軸a 太陽 (焦点) 半短軸b 惑星 の部分:同じ時間に描く面積は等しい <ケプラーの法則> 第1法則:惑星は太陽を1つの焦点とするだ円上を運動する。 第2法則:惑星と太陽を結ぶ線分が一定時間に通過する面積は一定である。 (面積速度一定の法則) 第3法則:惑星の公転周期 T の 2 乗は、軌道だ円の半長軸(惑星の太陽からの 平均距離)a の 3 乗に比例する。 T2 = 2 ka3 (k は比例定数) 万有引力 ニュートンは惑星が太陽のまわりを公転するのは、太陽が惑星に引力を及ぼすため であると考え、その引力の大きさ F を求めた。 惑星の公転軌道を近似的に円軌道とすると、ケプラーの第 2 法則から、惑星は等速 円運動することになる。太陽が惑星に及ぼす力 F が向心力であるから、惑星の質量を m、角速度を𝜔𝜔、軌道半径を r とすると、𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚2 =F が成りたつ。 公転周期を T とすると、𝜔𝜔 = 2𝜋𝜋 𝑇𝑇 から、運動方程式は となる。さらに、ケプラーの第 3 法則から F = 4𝜋𝜋2 𝑚𝑚 𝑘𝑘𝑘𝑘 2 = K 𝑚𝑚 𝑟𝑟 2 ただし、K = mr T2 = k r 3 4𝜋𝜋2 𝑘𝑘 4𝜋𝜋2 𝑇𝑇 2 =F が成りたつので となる。 一方、惑星も、太陽の引力の反作用として、大きさが等しく、向きが反対の引力を 太陽に及ぼしている。したがって、ニュートンは、F の力は太陽と惑星の質量に比例 し、距離の 2 乗に反比例する引力を及ぼしあっていると結論した。この引力はすべて の物体の間にはたらく力で、「万有引力」といわれる。 - 32 - 埼玉工業大学学習支援センター 物理第2回課題 <ニュートンの万有引力の法則> 2 つの物体の間にはたらく万有引力の大きさ F は、それらの物体の質量 m1、 m2 の積に比例し、距離 r の 2 乗に反比例する。 F = G 𝒎𝒎𝟏𝟏 𝒎𝒎𝟐𝟐 𝒓𝒓𝟐𝟐 G = 6.67×10-11 N・m2/kg2 (G:万有引力定数) 練習問題 28 質量 2.0×1030 kg の太陽と質量 6.0×1024 kg の地球とが及ぼしあう万有引力の大き さFは 30 N である。ただし、地球と太陽の距離を 1.5×1011 m とし、万有引力定 数を 6.67×10-11 N・m2/kg2 とする。 にあてはまるもっとも適切なものを解答群から選べ。 <解答群> ① 1.1×1021 ② 3.6×1021 ③ 4.2×1021 ④ 5.3×1021 ⑤ 1.1×1022 ⑥ 3.6×1022 ⑦ 4.2×1022 ⑧ 5.3×1022 - 33 -