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ソフトウェア無線
サンプ ご購入はこちら ル・ 高速ワンチップ・マイコンではじめるソフトウェア無線 プログラ 高速ワンチップ・マイコンではじめる 付き! ム ソフトウェア無線 第7回 高次 IIR フィルタで一方の側波帯だけをきれいに取り出す 7MHz 帯 SSB 無線受信機レベルアップ! 混信を減らす 高橋 知宏 7MHz帯受信向けRF回路 (フィルタ+アンプ) 今回,改良するソフトウェア信号処理部 LPC-Link2ボード 高速A-Dコンバータ入力 LPC4370マイコン 短波用 アンテナ バンドパス・フィルタ LPC4370マイコン 内蔵高速A-Dコン バータ入力RF信号 アンテナから ソフトウェア 信号処理部 BPF 30dB 7M∼8MHz 12MHz オーディオ用D-Aコンバータ TLV320AIC3204&スピーカへ 図 1 7MHz 帯アマチュア無線 SSB 受信機の回路構成 今回はソフトウェア信号処理部を改良する LPC4370 マイコン搭載 LPC-Link2ボード オーディオ 出力 オーディオ用D-AコンバータICや ユーザ・インターフェースを搭載した LPC-Link2拡張ラジオ回路基板 写真 1 製作した 7MHz 帯アマチュア無線 SSB 受信機 前回と同様.アンテナ(写真外)から簡単なフィルタとアンプを通してラ ジオ回路基板に接続 前回(第 6 回,2016 年 3 月号)は,ソフトウェアによ る SSB(Single Side Band)受信機(写真 1,図 1)を紹 介しました.ダイレクト・サンプリングでキャプチャ した信号を,キャリア周波数が 0Hz になるようにシフ トし,そして CIC と FIR によるデシメーションと同時 にローパス・フィルタで帯域制限したものが,そのま ま音声信号になるものでした.原理的に SSB の変調 波は,音声のスペクトラムが,そのままキャリアの周 波数に平行移動したものですから,原理通りに逆操作 を行うことで復調ができるわけです. ただし簡単ゆえに欠点もありました.この方法では キャリアの反対側にある逆サイドの成分も同時に取り 出されてしまうため,混信が発生してしまいます.こ れを改善するためには,片側の側波帯のみを取り出す 処理を追加する必要があります.今回は周波数シフト とローパス・フィルタを使用した SSB 復調の改良方 法を紹介します. 2016 年 4 月号 設計 準備 ● SSB の復調方式 ディジタル方式による SSB 復調では複素信号とい う強力なツールがあります.サンプリングとチューニ ングを行いディジタル・ダウンコンバータから出力さ れる複素信号で表現されたベースバンド信号は,0Hz を中心に正と負の周波数領域に広がっています.キャ リアが 0Hz に相当しますので,SSB の復調とはベース バンド信号の正の周波数成分,または負の周波数成分 だけを取り出すことに他なりません.では,どのよう にして正または負の周波数成分だけを取り出すので しょうか.SSB 復調には図 2 に示すように三つの方法 が考えられます. ▶方法 1:ヒルベルト・フィルタによる SSB 復調 図 2(a)に示すように,正または負の周波数だけを 取り出すフィルタを用意することです.代表的なのが ヒルベルト・フィルタで,その伝達関数は,正,また は負の片側の周波数のみを通過させる特性となってい ます.通過と阻止が切り替わる遷移周波数はちょうど 0Hz となります. ヒルベルト・フィルタは FIR で実装することがで き,原理もわかりやすいのですが,長いタップ長を必 要とすることが欠点です.実装の制約である程度の 第 1 回 AM ラジオを作る(2015 年 10 月号) 第 2 回 AM ラジオで行う信号処理(2015 年 11 月号) 第 3 回 短波ラジオを受信する(2015 年 12 月号) 105