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合格レスキュー2012 - LEC東京リーガルマインド

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合格レスキュー2012 - LEC東京リーガルマインド
複製・頒布を禁じます
著作権者
株式会社東京リーガルマインド
2012 年 社会保険労務士
HR 道場
合格 レスキュー2012
(サプライズ編)
工藤の合格レスキュー2012(サプライズ編)
(サプライズ編)
Rescue Point!
労務管理
工藤の合格レスキュー2012(サプライズ編)
第一節
□ 001
労務管理論
労務管理論の沿革・体系
科学的管理法(F.W.テーラー)
*
出来高払制 を提唱
人間関係論(メイヨー、レスリスバーガー)
*
*
科学的管理法を批判
ホーソン実験 により、インフォーマル組織における人間関係の重要性を提唱
<人間関係論に基づく諸施策>
●カウンセリング
●労使協議
●苦情処理
●提案制度
●モラール・サーベイ
行動科学の諸理論
*
人間関係論をふまえつつ、フォーマル組織における能率の向上も重視
*
動機づけ等に対する理論
● 欲求5段階説(マズロー)
● X理論・Y理論(マグレガー)
● 動機づけ衛生理論(ハーズバーグ)
等
<行動科学に基づく諸施策>
□ 002
*
●職務拡大
●ジョブローテンション
●職務充実
●目標管理
科学的管理法
科学的管理法
19 世紀末から 1910 年代にかけてF.W.テーラーが提唱
→
(背景)当時の工場においては・・・
①工場において組織的怠業が蔓延(経営者の定めた仕事の量をこなせば労働者は仕事を失うから)
②経営者も適正な1日の仕事量を把握していなかった。
③作業管理 → 過去の慣行による成り行きまかせであった。
【科学的管理法の構築】
①労使協調に基づいて、労働者を教育して適正な職務に就かせる
②科学的に作業分析を行い、その効率化を図り、かつ、個人の能力及び成果に対して報酬を与える 等
3
(1)課業管理
ストップウォッチを用いて標準作業量を測定
(2)差別出来高払制
(懲罰的な格差づけ)
標準作業量を達成した労働者
標準作業量を達成できなかった労働者
/第一節
労務管理論
→
→
高い賃率による賃金の支払い
低い賃率による賃金の支払い
LEC東京リーガルマインド
□ 003
*
人間関係論
無断複製・頒布を禁じます
→ インフォーマル組織の存在を強調。
ホーソン実験(※1) →
労務管理に人間関係論が導入される契機となった実験
(※1)ハーバード大学の学者(メイヨー、レスリスバーガー 等)が 1920 年代から 1930 年代に
かけてウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行った長期の実験
(作業時間や照明度、賃金などの作業条件と生産性の関係を調査)
①生産性の向上は、作業条件の改善ではなく、作業条件の改善を通じて職場における人間関係
が変化して労働者のモラールが高まることに達成されるものとの結論を得る。
②モラール(※2)は、労働者の感情によって左右されるものであり、職場における人間関係に大
きく依存している。
→ 労働者の感情に大きな影響を与えるインフォーマル組織(※3)の存在がクローズアップ
された。
(※2)モラール(士気、作業意欲のこと)
・集団のメンバーが協働を通じて人間的満足を得、その集団に帰属することに誇りを持ち、共
同して目標達成に努力しようとする心理的態度を意味する。
(※3) フォーマル組織
・部、課、係やラインスタッフ等の会社の公式の組織をいう。
インフォーマル組織
・会社の公式な組織ではなく、私的なグループのことをいう。インフォーマル組織には、共通
の目的や明確な構造関係はないが、労働者は集団への帰属感や安定感を満たすためにインフ
ォーマル組織の規範に従い行動する。
【人間関係論に基づく諸施策】
①人の理解
ヒューマンスキル
カウンセリング
苦情処理制度
部下の心情把握の訓練
※従業員の仕事上の不平不満、職場内での人間関係、生活における個
人的な悩みについて相談に応じ、解決への助力を行う制度。
→ 従業員のモラールの向上を図る。
職場における管理に対する不平不満を団体交渉によらず、日常的に解
決するための仕組み。苦情処理機関を置いているところであっても利
用度は少なく、むしろインフォーマルに解決していることが多い。
②十分なコミュニケーション
モラール・サーベイ
(従業員意識調査)
※従業員の経営に対する満足度を、賃金・人事・労働意欲等のいくつ
かの項目に分けて調査し、経営に対する不満等を把握し、勤労意欲
の動向をとらえる。
自己申告制度
※職務満足度、希望職種等を申告させる。
職場懇談会
※日常の業務運営や人間関係等を話し合う。
③決定への参加
労使協議制
※事業所における生産や経営等に関する問題について、経営者と従業
員が協議する制度。
→ 労働条件に関する団体交渉と異なり・・・
労使の利害が共通する事項についても協議することが特徴。
小集団活動
※QC活動=品質管理・ZD活動=無欠点運動
提案制度
※従業員に対し、経営や業務に関しての着想、改善案、意見等を提案
する正式な途を与え、従業員の経営参加意識を促進し、モラール
の向上を図る。
第一節
労務管理論/
4
工藤の合格レスキュー2012(サプライズ編)
□ 004
行動科学
【人間関係論から行動科学へ】
人間関係論(メイヨー、レスリスバーガー 等)
従業員の行動が、企業内の社会的状況や人間関係によって左右されることを明らかにしたが、
人間関係を強調するあまりに経済的な能率を軽視したことは否めなかった。
↓
人間関係論におけるインフォーマル組織の利点に、能率理論を加え、人間の感情の理論との融
合を図ることが求められるようになった。
↓
行動科学(人間の行動と、その社会や組織との関わりについての科学的研究)
※科学的管理法(テーラー)や人間関係論(メイヨーら)
→「組織」のあり方を出発点として人間の行動を分析していた。
※行動科学の諸理論
→「個人」の行動を出発点として、個人の欲求と組織の目的を統合した人事管理を目指す。
(1) 行動科学の諸理論
→
モラールの向上や、やる気を引き出すのは、モチベーション(動機づけ)である。
①欲求5段階説(マズロー)
→
(著書:モチベーションとパーソナリティ)
・低次元の欲求が満たされるにしたがって、高次元の欲求が現れてくる。
・自己実現の欲求は完全に充足されることはなく、持続的で強い動機づけの要因となる。
低次元
①生理的欲求
衣食住・睡眠等に対する欲求
②安全・安定の欲求 身体・生活の保護・保障を受けたいという欲求
集団への帰属・仲間からの受け入れ・友情や愛情を深めた
③社会的欲求
いという欲求
④自我の欲求
達成感や自立を求める・好評や尊敬を受けたいという欲求
高次元
⑤自己実現の欲求
自分自身の能力を発揮し、創造的でありたいとする欲求
②X理論・Y理論(マグレガー)
→
(著書:企業の人間的側面)
・テーラー以来の人間を科学的に管理する伝統的管理論
・個人の自己実現の欲求が企業の繁栄にもつながる
→
→
X理論
Y理論の必要性を提唱
・Y理論の考え方に立てば、目標管理制度による労務管理が有効になってくる。
X理論
(性悪説)
Y理論
(性善説)
人間は生来怠け者で、仕事は嫌いである・・・
→ 企業目標達成には強制・命令・処罰が必要であるとする考え方
人間は生来働くことに喜びを感じており、目標を達成するには進んで働く・・・
→ 経営者は、従業員が企業繁栄のために協働するための労務管理をする必要が
あるとする考え方
③動機づけ・衛生理論(ハーズバーグ)
→
(著書:仕事と人間性)
・労働者が積極的に仕事に取り組み、目標に対して行動するためには・・・
→ 「動機づけ」
(モチベーション)(※1)が必要である。
・動機づけの要因
→ 促進要因(職務満足に寄与する要因)であり、これがあるほど動機付けは強くなる。
→ 衛生要因(不満足に寄与する要因)が解決されても、積極的に動機付けられるものでは
ない。
5
/第一節
労務管理論
LEC東京リーガルマインド
無断複製・頒布を禁じます
【促進要因及び衛生要因】
促進要因
達成感、業績の承認、やりがいのある仕事、責任
等
仕事に対する満足を生み出し、積極的な動機づけにつながる要因
賃金、労働条件、会社方針、作業条件、対人関係
等
衛生要因
十分でないと不満をもたらすが、十分であっても満足はもたらされず、
「やる気」
を引き起こさない要因
(※1)モチベーション(動機づけ)
人間の行動にやる気を起こし、方向づけて統合する内的な要因を「動機」というが、動機
づけとは、この動機を有する状態になること、又は動機をもたらすことをいう。
(2) 行動科学の諸理論に基づく諸施策
上司と協議しながら、従業員が自主的に目標を設定・計画し、実行し、
自己評価する制度
※職務の課業を増やして、その仕事を数工程もたせる方法。
職務拡大
単純な職務の繰り返しではなく、変化があり能力を要する職務に変
職務の(水平的拡大)
え、従業員が疎外感・単純感を持つことを防止する。
※仕事そのものを質的に充実させるため、仕事に、計画・準備・統制
職務充実
といった内容を加え、責任や権限の範囲を拡大して仕事の幅を広げ
職務の(垂直的拡大)
ようとするものである。
目標管理
第一節
労務管理論/
6
工藤の合格レスキュー2012(サプライズ編)
第二節
□ 005
*
労務管理の全体構造
労務管理の目的
労務管理の直接的な目的
→
労働力の効率的活用を図り、これにより企業の生産性を向上させる。
□ 006
労務管理の対象と内容
(1) 労務管理の対象
→
*
1人1人の労働者(従業員)であるとともに、集団としての労働者
労働者の持つ3要因 → 労務管理はこの3要因に対応した施策を行う必要がある。
①生産要素の一つである労働力
②社会的感情を持った人間
③経済的に対立した賃労働者
2) 労務管理の内容
①雇用管理
②職務・職能制度と人事考課
③賃金管理
④福利厚生管理
⑤教育訓練・能力開発
7
/第二節
労務管理の全体像
LEC東京リーガルマインド
□ 007
無断複製・頒布を禁じます
我が国の労務管理の特徴
(1) 日本的雇用慣行・・・
(①終身雇用制 ②年功賃金制
①終身雇用制
②年功賃金制
③企業別労働組合
③企業別労働組合)
※企業は、原則として、新規学卒者を採用して通常定年まで雇用保障
することに努め、他方、労働者も経済的利益や心理的圧迫のため転
職を避ける傾向にあるという雇用慣行
※法律や労働協約によって明確に制度化されるのではなく、労使相互
の信頼関係、暗黙の合意によって支えられている。
・長期間の企業生活の中で組織内のジョブ・ローテーション、
組織内教育を経て幅広い思考や長期的思考を養成すること
長所
ができる
・個人と組織の一体感の強化が図られ、集団における「和」
を重視する共同体意識の醸成に役立つ
・不況期における雇用調整が難しい
短所
・定年までの雇用が保障されているため、従業員の士気が低
下しやすい
※学歴別に初任給が決定され、その後の賃金調整において、勤続年数、
経験、能力、成績、勤務状態等の各要素を総合的に考慮するが、特
に定期昇給制度を通じて年齢と勤続年数がもっとも決定的な要因
となる賃金制度
・賃金が自動的に上がるため、従業員は年々経済的に安定し、
長所
長期的な生活の見通しを立てることが可能
・基本的に同一の年功者に対しては同水準の役職が与えられ
短所
ることになるので、能力のある者が処遇面で十分に報いら
れているとは限らず、人材の活性化が難しくなる
※特定の企業ないし事業所ごとに、その企業の従業員だけで組織する
労働組合
(欧米では、企業の枠を超えた「産業別労働組合」が多い)
・個々の企業ごとに労使の団体交渉を行うため・・・
(企業側)賃金等の労働条件について企業の業績を反映しや
すく、支払能力を超えた負担を回避できる。
長所
(組合側)解雇には厳しく抵抗するが、他の合理化案につい
ては、企業の繁栄は労働者の福祉の向上につなが
るとの観点から比較的スムーズな受け入れがで
き、企業の安定につながる
・企業単位で組織されているため、労使ともにその企業の存
短所
在を第一に重視することとなり、労働運動そのものが弱体
化しやすい
(2) 日本的雇用慣行の現状と変化
*
日本的雇用慣行の本質的変化
→ 集団主義的な労働関係から、個別的な労働関係が形成されている。
※年齢や勤続年数といった外形的な要素で労働者を集団的に扱ってきた集団主義的な労働関係から、
一人一人の能力形成と能力評価を軸とした個別的な労働関係が形成されている。
*
非正規雇用者問題
従来の日本型雇用システムの特徴が必ずしも当てはまらないことが多い
→
※労働者の意識の変化、企業のコスト削減意識の高まりの中で、契約社員、パートタイム労
働者、派遣労働者などのいわゆる非正規雇用の労働者が増加傾向にある。これら非正規雇
用者に関する労務管理のあり方についても大きな課題となっている。
第二節
労務管理の全体像/
8
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