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(仮称)美しい愛知づくり基本計画 (素案)

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(仮称)美しい愛知づくり基本計画 (素案)
資料1
(仮称)美しい愛知づくり基本計画
(素案)
(仮称)美しい愛知づくり基本計画
- 目
序 章 基本計画の策定の趣旨
次 -
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
1.背景と目的
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
2.位置づけ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2
3.本書の構成
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
4
1.愛知の景観特性
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
4
2.景観形成の基本的な考え方
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
5
3.美しい愛知づくりに関する目標
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
6
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
9
第1章 景観形成の目標
第2章 広域景観の形成
1.多様な生物が共存する『自然景観』づくり
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2. 武家文化や近代化遺産が伝える『歴史景観』づくり
3. 心の豊かさを映し出す『生活景観』づくり
10
‥‥‥‥‥‥
20
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
30
4. 「モノづくり」の活力が創り出す『産業景観』づくり
‥‥‥‥‥‥
37
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
38
1.地域区分の考え方
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
47
2.地域別景観の形成
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
49
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
49
(2)西三河地域
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
53
(3)奥三河地域
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
57
(4)知多半島地域
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
61
(5)渥美東三河地域
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
65
第3章 地域別景観の形成
(1)尾張名古屋地域
①地域の広域的な景観特性
②景観形成の方向性
第4章 景観形成の推進
資
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
69
1.景観形成の推進にあたって
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
69
2.総合的・計画的な施策の推進
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
69
(1)景観施策と段階的な取組み
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
69
(2)景観形成の推進体制
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
73
料
1.愛知の景観特性
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2.施策・事業一覧
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3.美しい愛知づくり条例
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
美しい愛知づくり基本計画
序 章 基本計画の策定の趣旨
1.背景と目的
愛知県では、昭和 62 年(1987 年)に、県内の市町村が都市景観基本計画の策定等、景観
行政を進めていく際の手引書として「都市景観形成マニュアル」を策定し、また平成 3 年
(1991 年)には、景観形成の基本的な考え方を示した「愛知県都市景観マスタープラン」を
策定しました。
一方、県内の幾つかの市町村では、地域の景観資源を活かしつつ、それぞれの視点から
独自の景観基本計画や景観条例を制定するなど、景観形成を行政主導により展開してきま
した。
しかし近年、産業や社会構造の変化に伴い、人々の生活や意識も変化し、地域でのまち
づくりに積極的に参加する人が増えつつあるなど、景観形成に対する意識が高まりつつあ
ります。また、企業においても、企業の社会的責任(CSR)の一つとして、地域の景観形
成に果たすべき役割を認識し、緑化や建築物デザイン、屋外広告物等について景観形成に
向けた積極的かつ主体的な取組みが行われつつあります。
こうした中、国は、平成 15 年 7 月に「美しい国づくり政策大綱」を策定し、従来の景
観形成に対する反省を踏まえ、良好な景観形成を国政上の重要課題として位置づけ、平成
16 年 6 月には、
「景観緑三法」を整備しました。
愛知県では、中部国際空港の開港を契機に、世界に開かれた中部圏の玄関口(ゲートウ
ェイ)としての役割が一層求められていること、また愛知万博の開催等で
自然環境に対
する認識が深まり、地域の自然景観を活かしたまちづくりや観光振興に取り組んでいくこ
とが求められるなど、景観問題に取り組むことが地域活性化方策の一つであるとして関心
が高まっています。
愛知県は、平成 18 年 3 月に、本県の景観形成に関する基本的な考えを示した「美しい
愛知づくり基本方針」を策定し、同時に「美しい愛知づくり条例(平成 18 年条例第 6 号)」
を制定しました。そしてこのたび、この基本方針を踏まえるとともに、条例に基づいて、
美しい愛知づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための「美しい愛知づく
り基本計画」を策定することとしました。
-1-
美しい愛知づくり基本計画
2.位置づけ
「美しい愛知づくり基本計画」は、条例に基づいて、美しい愛知づくりに関する目標及
び施策についての基本的な方針、美しい愛知づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推
進するために必要な事項を示しています。
また、美しい愛知づくりを進めていくためには、地域における景観資源を守り育てる県
内市町村の取組みが重要であることから、各市町村における景観形成において、広域的な
景観形成への配慮が図られるよう、地域別の景観形成に関する方向性等を示しています。
図1
「美しい愛知づくり基本計画」の位置づけ
<美しい愛知づくり条例>
第六条 知事は、美しい愛知づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、美しい愛知づくりに関する基本的な計画
(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 美しい愛知づくりに関する目標及び施策についての基本的な方針
二 前号に掲げるもののほか、美しい愛知づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 以下、省略。
※市町村全域を対象とした景観形成の方針等
-2-
美しい愛知づくり基本計画
3.本書の構成
本書の構成は、次のようになっています。
第1章
景観形成の目標
条例に基づく美しい愛知づくりに関する目標を、全体目標と分野別の
目標に分けて示しています。
第2章
広域景観の形成
広域的な観点から愛知らしさを形成していくため、愛知の骨格的な景
観資源や愛知らしさを象徴する景観資源を抽出するとともに図示し、
それらの資源を捉えた景観形成の方向性を示しています。
第3章
地域別景観の形成
市町村等に対して、広域的な観点からの景観形成と市町村間の調和の
とれた景観形成を促すために、県土を地形の変化や資源のまとまり等
により分割した地域毎に広域的な景観特性を示し、また地域毎の望ま
しい景観形成の方向性を示しています。
第4章
景観形成の推進
美しい愛知づくりを進めるための施策に関する基本的な方針を示すと
ともに、施策の総合的・計画的な推進を図るため分類・整理した施策
の体系と取組みの段階(ステップ)等を示しています。
資
料
○愛知の景観特性
○施策・事業一覧
○美しい愛知づくり条例
-3-
美しい愛知づくり基本計画
第1章 景観形成の目標
1.愛知の景観特性
本県は、三河山地から濃尾平野の変化に富んだ地形や、肥沃な土地を形成してきた木曽
川や矢作川等の河川、また伊勢湾や三河湾に面した海岸線や、野鳥をはじめとした多様な
生物の生息地である藤前干潟やため池、さらには海上の森に代表される里山等、その他に
も水と緑に恵まれた地域固有の美しく魅力的な自然景観が各所に広がっています。
また、古来より東西交通の要衝であり、江戸時代に陸上交通が活発になると、城下町や
門前町に加えて東海道の宿場町を中心に大いに栄え、武家文化がめざましい発展をとげま
した。現在では、こうした歴史的な風情を残したまちなみ等を景観資源として捉えること
ができます。さらに、まちなかに残る明治以降の建築物や構造物等の近代化遺産も、地域
の歴史や風格を醸し出す貴重な歴史景観となっています。
生活環境では、戦後、戦災復興による市街地の形成が進み、また近年では、都心近郊で
敷地にゆとりのある大規模な住宅地の開発が緑豊かな公園や緑地の整備とともに進めら
れ、住みよい住環境が形成されています。一方、濃尾平野や岡崎平野では、稲作等が盛ん
に行われ、雄大な農地の風景が見られます。また県内各地で多数開催される祭り等の伝統
行事は、地域の季節を彩る風物詩として県民に親しまれているなど、豊かな生活景観が
見られます。
明治以降、窯業や製糸業等の産業が盛んになるとともに、重工業が大きく発展してきま
した。戦後は自動車関連産業の集積が進み、今日では「モノづくり」の中枢圏域として飛
躍的に発展しつつあります。昔を偲ぶ煉瓦造りの工場等が地域の資源として、またシンボ
ルとして残されるとともに、飛躍的な発展を象徴する近代的な建築物等が地域の個性を彩
る豊かな産業景観を作り出しています。
■恋路ヶ浜(田原市)
■犬山城(犬山市)
■桃花台ニュータウン(小牧市)
■葦毛湿原(豊橋市)
■三河の山(設楽町)
■集落(豊田市)
■山車まつり(半田市)
■マンリン小路
(豊田市)
■JR セントラルタワーズ(名古屋市)
■国道 19 号(名古屋市)
-4-
■電照菊(田原市)
美しい愛知づくり基本計画
2.景観形成の基本的な考え方
良好な景観は、潤いと安らぎのある生活環境の創造に欠くことのできないものです。ま
た、地域の個性豊かな景観は、訪れる人々に地域の魅力を感じさせ、人々の交流の促進に
も大きな役割を担うものです。
今、私たちは、このような良好な景観の有する価値をあらためて認識し、私たちの共通
の資産として守り、育てていかなければなりません。
愛知県は、河川やため池、里山等の豊かな自然が豊富に残され、また、それらが都市近
郊に多く位置していることで、都市住民が自然を容易に享受できる、恵まれた環境にあり
ます。また、先人達が築いた歴史や文化を今に伝える文化財や、現在の「モノづくり」を
生んだ歴史の記念碑ともいえる近代化遺産等を各所で見ることができます。さらに近年で
は、日本の「モノづくり」を支える中枢圏域として、中部国際空港や、都心部における開
発プロジェクト、建設中の高速道路等、この地域が活力を維持していることを象徴する景
観も各地で見ることができます。
このように、多彩で、魅力的な景観資源に恵まれた愛知県ですが、この景観資源は、そ
の特性から、
「自然」
「歴史」
「生活」
「産業」の4つの分野から捉えることができます。こ
れらは相互に深く関わりを持っており、「自然」の上に人の営みが積み重なって形成され
たものであることから、
「自然」を素地とし、その上に「歴史」、「生活」、「産業」が生
み出されたという認識を常に持ち、これら相互の調和を図ることが、美しい愛知を形成し
ていく上で必要です。
愛知県では、このような認識のもと、今ある豊かな景観資源を守り、育み、活用し、ま
た美しい景観を阻害するものを整序し、さらにはより魅力的な景観を創出することで、愛
着と親しみと誇りが持てる県土を形成していくことを目指します。その上で、住みたくな
る、訪れたくなる、緑豊かな「美しい愛知」を、県民・事業者・NPO等や市町村と連携・
協働しながら形成し、次世代に伝え残していきます。
-5-
美しい愛知づくり基本計画
3.美しい愛知づくりに関する目標
「景観形成の基本的な考え方」を受け、愛着と親しみと誇りが持てる県土を形成してい
くことを目指して、美しい愛知づくりに関する目標を設定します。
美しい愛知づくりに関する目標は、
「未来につなぐ緑豊かな“美しい愛知”
」を基本目標
として設定するとともに、前頁に示した「自然」
「歴史」「生活」
「産業」という 4 つの分
野に基づき、基本目標を支える「分野別の目標」を設定します。
■基本目標
■分野別の目標
-6-
美しい愛知づくり基本計画
(1)多様な生物が共存する『自然景観』
■ 変化に富んだ地形と生物多様性を支える自然環境を守ります
自然景観は、単に見た目が美しく心休まる空間を対象物
として捉え保全するだけではなく、その形成要因や内部の
生態系にも目を向けて対象物を捉えることが必要です。自
然生態系は非常に複雑なシステムです。その構成要素の一
部が欠けても自然が根底から破壊され、美しい景観が失わ
れる場合があることを認識する必要があります。
□田園(新城市)
また、樹林は、国土の保全や地球温暖化の抑制にも寄与
するため、安全・安心して暮らせるまちづくりを進める観
点からも、その大切さを認識する必要があります。
愛知県では、地形、里山・奥山、河川、湖沼等を包括す
る自然景観を、歴史景観、生活景観、産業景観の「素地」
となっている最も重要なものとして捉えます。その上で、
□太平洋ロングビーチ(田原市)
変化に富んだ地形の上で、時間や季節の移り変わりの中で変化し豊かで美しい表情を
見せる自然を、人工的な要素との調和や、水と緑のネットワークの形成等を意識しな
がら、心を和ませるゆとりと潤いのある景観として、また多様な生物の共存を促す空
間として、守り、育んでいきます。
(2)武家文化や近代化遺産が伝える『歴史景観』
■ 先人達が築いてきた尾張や三河の歴史・文化を伝え残します
歴史景観は、単に見た目の懐かしさや珍しさ、また美し
さを対象物として捉え保全するだけではなく、それらが生
まれた時代背景にまでも目を向けて対象物を捉えること
が必要です。
愛知県では、旧街道、歴史的なまちなみ、文化財、近代
化遺産等を包括する歴史景観を、地域の個性が映し出され
□大樹寺(岡崎市)
た貴重な「背景」として捉えます。その上で、先人達によ
る築かれた、歴史の中に秘められている数多くの物語や伝
統に着目しながら、現存する遺産や文化、また、まちなか
に残る貴重な緑としての鎮守の森等を保全するとともに、
忘れ去られた地域の歴史的シンボル等を発掘し、正しい形
で後世に引き継ぐことにより、長年の歴史に裏づけられた
愛知の風格を継承していきます。
-7-
□八丁味噌(岡崎市)
美しい愛知づくり基本計画
(3)心の豊かさを映し出す『生活景観』
■ 身近な文化を守り、育て、潤いと安らぎのある生活環境を創出します
生活景観は、まちの形態だけに捕らわれるのではなく、
地域の風土や文化に根ざした地域住民の暮らしの営みに
も着目することが必要です。
愛知県では、住まい・住宅地、公園・緑地・広場、農地・
漁港、伝統行事等を包括する生活景観を、人々の生活の営
みから生まれた彩り豊かな「色・模様」として捉えます。
□せせらぎの経(長久手町)
その上で、こうした生活の場が、県民にとって安全かつ快
適で、愛着と親しみを持って暮らし続けることのできる空
間となるよう、身近な文化を守り、育みながら潤いと安ら
ぎを創出していきます。また、地域住民の発意が反映され
るよう取り組んでいきます。
□市民四季の森(小牧市)
(4)「モノづくり」の活力が創り出す『産業景観』
■ 産業により創出される特色ある景観を守り、育みます
産業景観は、時代の移り変わりとともに、絶えず変化し
ていくものであることから、時代の一断面で捉えるのでは
なく、長い時間の経過の中で形成される魅力を捉えること
が必要です。
愛知県では、高度で幅広い産業集積を支える道路・鉄道、
駅・港・空港等の社会基盤とともに、商業系、事務所系、
□豊橋駅(豊橋市)
工場系、伝統・地場産業、農業系等を包括する産業景観を、
「モノづくり愛知」の魅力的な景観を生み出していく「新
たな力」として捉えます。その上で、県内各地において、
既存の産業の営みや新産業の創出を通じて形成される産
業景観が、50 年先、100 年先にも愛され親しまれる、魅力
ある景観となるよう力を注ぎます。また、伝統産業や地場
□工場(大府市)
産業については、産業観光等の新たな視点も含めた積極的な景観形成を図ります。
-8-
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