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グローバル・トピックス (PDF:1462KB)
グローバル・トピックス North, Central & South America 北中南米 従来ビジネスのコスト低減、新規プロジェクトの 収益向上で、収益改善をさらに強化 2010年度も昨年度に引き続き、収益改善を強力に進めてきました。部品の現地調達化による原価低減、物流費などの固定費 削減、生産性向上などに多角的に取り組んだ結果、従来ビジネスは堅調に推移しました。新規プロジェクトにおいても収益構造 改革活動の成果が出はじめています。 当期のトピックス 023 中長期戦略と目標 生産性向上への取り組みとして、 リードタイムの短縮をテーマ 当期の売上高は、2009年度に立ち上げたアメリカのトヨタ に工程改善を推進しました。生産ライン88本の設備レイアウト ハイランダーとシエナ、 メキシコのキャデラックSRXなどの新車 を見直し、北中南米グループ全体で108の工程を削減すること 立ち上げ効果などによって当初計画を上回りましたが、営業利益 ができました。 は厳しい結果となりました。 また、主要工場にトレーナー役の人員を育成・配置することで、 今後は、厳しい価格競争下においても利益を確保できるよう、 教育体制の充実と技能伝承のスピードアップを図りました。 固定費のさらなるスリム化を図り、低コストを基本とした組織の 構築を第一の重点課題としていきます。さらに、低価格製品が 事業の拡大と再編に向けた取り組み 中心である新興国で収益を確保するとともに、 トヨタ車以外の ビジ ネス拡 大 を 図るため 、新 規 プ ロジェクトを 確 実に立 ち トヨタ紡 織ミシシッピ では 、2 0 1 1 年 1 0 月に生 産 開 始 が 上 げ ることができる生産技術力を強化していきます。そして、 予 定されているトヨタカローラ向けのシート、 ドアトリムの これらに取り組んでいくためにローカル人材の育成・活用を 生産準備を進めています。 「お客さまに喜んでいただける良い品 進めます。 を、タイムリーにお届けすること」 を合言葉に、立ち上がり品質 東日本大震災の影響もあり、日系自動車メーカーの生産台数 の安定化を目指しています。 減少が懸念されますが、徹底的なコスト削減で乗り切り、需要 引き続き、グループ会社の再編も進めています。 トータル 回復時に的確に対応できる柔軟な事業基盤づくりを推進して インテリアシステムズアメリカとトヨタ紡 織インディアナを いきます。 合併し、固定費削減と人材の有効活用を推進しました。また、 ジョンソン・コントロ ー ル ズ 社との 合 弁 会 社 で あった A R J マ ニュファクチャリン グ をトヨタ 紡 織 アメリカの ● 地域統括会社 トヨタ紡織アメリカ TOYOTA BOSHOKU AMERICA, INC. ■ 事業体 アメリカ7社 カナダ1社 メキシコ2社 ブラジル1社 アルゼンチン1社 100%子会社とし、プレス 部品の中核企 業とすべく 事業構造改革に取り組ん でいます。 トヨタ紡織アメリカ 会長 トヨタ紡織ミシシッピ 古澤 昭 Akira Furusawa 自動車市場動向 北米における2010年の自動車販売台数は、 ほぼ横ばい の約1,060万台となりました。2011年の予測は当初 1,303万台でしたが、急激な原油高と東日本大震災の 影響を受け、1,209万台に修正されています (2011年 6月時点)。このように2011年から市場は拡大に転じ、 2 0 1 4 年 以 降に2 0 0 7 年 以前の1,500∼1,700万台 レベルに回復するとみられています。 IHS Inc.調べ Asia & Oceania アジア・オセアニア (アセアン・豪・印・台湾) 地域に根ざした態勢と経営手法で、 地域ならではのニーズを捉える 当期は売上高の増加に加え、利益面においても2009年度から取り組んできた収益構造改革活動の成果により、引き続きグループ 13社すべてが黒字を達成しました。アジア地域の特性を的確に捉えた取り組みで、好調の持続と拡大を目指していきます。 当期のトピックス 中長期戦略と目標 タイで監督者教育制度をスタート 小型車市場への対応を強化 アジアは豊富な労働力に恵まれている反面、労務管理が非常 小型車の急速な需要拡大が期待されるなか、この に難しい地域です。社員と日々接する監督者の資質が、労使 成長市場で勝ち抜くために、素材・材料分野まで踏み 関係に大きく影響することも考えられます。 込 ん だ 原 価 低 減 などを進 め 、事 業 基 盤を強 化して トヨタ紡織アジアは、 タイで労務管理能力の向上を目的とした いきます。 監督者教育制度を設け、2010年9月から3カ月間カリキュラム の研修を行っています。研修終了者への評価が高いことから、 アジアに適応した移動空間の提案 今後はタイ以外の地域にも広げていく予定です。 アジアでは、車の購入者がドライバーとは限らず、 グ ロ ー バ ル ・ ト ピ ッ ク ス 中型車以下でも運転手付きで使用されるケースも多くあり 多品種少量生産に適したアジア式の型・治具を開発 アジ ア で 原 価 低 減 活 動 を 推 進 するには 、大 量 生 産 方 式 ではなく多品種少量生産に適した工程、型・治具が必要です。 ます。便利で、楽しくさせる後部座席の居住性に重点をおいた 「アジアのお客さまに喜んでいただける移動空間」を積極的に 提案していきます。 2010年4月、 トヨタ紡織アジア管轄の工機工場を開設し、 アジア 式の型・治具を開発して各生産事業体に供給する取り組みを ケナフ事業の競争力向上 進めています。 種子開発からプレボード (内装基材)の生産までを一貫して 行っているケナフ事業では、 事業構造を抜本的に見直し、 競争力を 品質、生産性向上活動を着実に推進 高めていきます。 社 員 の 意 識 改 革を通じて品 質 、生 産 性 向 上に取り組 んで ● 地域統括会社 トヨタ紡織アジア TOYOTA BOSHOKU ASIA CO., LTD. います。なかでもトヨタ紡織サイアムメタルとトヨタ紡織インド ネシアでは、プレス工程の生産性が著しく向上しました。 また、 トヨタ紡織フィルトレーションシステム (タイランド) では、 オイルフィルター工程の不良 低減活動を推進し、廃却不良品 の97%減少(対2006年度比) ■ 事業体 タイ6社 インド1社 インドネシア1社 マレーシア1社 フィリピン1社 台湾1社 ベトナム2社 オーストラリア1社 トヨタ紡織アジア 会長 を達成しました。 石川 捷三 Shozo Ishikawa 不良品勉強会 自動車市場動向 アジア・オセアニアにおける2010年の自動車販売台 数は、インド、タイ、インドネシアを中心に飛躍的に伸び、 約600万台(前年比約30%増) となりました。2015年まで の中期予想では、小型車市場のさらなる拡大が予想され ています。 024 グローバル・トピックス China 中国 豊富な生産実績と、現地開発の強みを活かし、 成長し続ける市場で新規ビジネスの獲得を目指す 2002年に内装品の生産を開始して以来、中国におけるトヨタ車のシート、 ドアトリムのすべてを受注してきました。デザインから 開発、試験評価までを一貫して行い、移動空間全体について提案できる強みを活かし、新規ビジネスの獲得を目指していきます。 当期のトピックス 025 中長期戦略と目標 一貫した現地開発体制を確立 中国の自動車市場が急成長を続けていくなか、 「新たな成長の 日本で行っていた材料・製品の試験評価を中国に移管する ための経営基盤の確立」 は大きな課題です。デザインから開発、 ことで、開発のスピードアップとコストダウンを図り、デザイン 試 験 評 価までを一 貫して行 い 、移 動 空 間 全 体について提 案 から開発、試験評価までを一貫して行う現地開発体制を確立 できる強みを活かし、従来のお客さまはもちろん、環境対応車の しました。 トヨタカローラEXなど現地開発車においても、 お客さま 開発や自社ブランドの育成などを急ぐ中国自動車メーカーへ の要望に現地で早急に応える体制としています。 の提案活動を積極的に行うとともに、欧米自動車メーカーに シートに限らず移動空間全体のデザインや、開発についての 対してもこれらの強みをアプローチして、 どこにも負けないよい 提案が高く評価され、自社ブランドの育成を目指す中国自動車 製品を、 どこにも負けない低価格で提供していきます。 メーカーからの開発依頼が増加しています。 生産品目の拡大、品質・コスト競争力の強化 内装品だけでなく、 シート用ファブリックやオイルフィルター、 エアクリーナーなど生産品目を拡大しています。2011年4月 には、 トヨタ紡織グループとして日本以外の地域ではじめて、 樹脂製シリンダーヘッドカバーを受注しました。 また、 トヨタのRR−CI (良品廉価コストイノベーション) 活動と 連動し、 トヨタ紡織と協働でベンチマークを行い、よい製品を より低価格で提供する取り組みを行っています。 事業の拡大と再編へ向けた取り組み 2010年9月、豊田紡織(中国) と中国第一汽車系列の会社 との合弁で、吉林省長春市に長春富維豊田紡織を設立しました。 上海GM技術展に出展 ● 地域統括会社 豊田紡織 (中国) ■ 事業体 13社 2012年にシート、 ドアトリムなど内装品の生産を開始し、中国 東北部の一大拠点として販路を拡大していきます。 自動車市場動向 中国における2011年の自動車市場は、GDP成長率 1 0%を背 景に引き続き拡 大 が 見 込まれる一 方 、地 場 メーカーを中心に生産能力の拡大が続いていることから 一層の競争激化が予想されています。2011年4月に開催 された上海モーターショーでは、各自動車メーカーとも 環境対応車、自社ブランド車をアピールしており、独創性 のある魅力的な車づくりへの取り組みがみられました。 豊田紡織(中国) 董事長 伊藤 文隆 Fumitaka Ito Europe & Africa 欧州・アフリカ 世界で活躍できる内装総合メーカーを目指し、 事業の拡大と品質向上を戦略的に進める フランスで立ち上げたトヨタ紡織ソマンのシート組立工場が順調な生産を続けています。競争の激しい市場で、よりレベルの 高い品質を目指すとともに、固定費の削減を柱とする収益構造改革活動に全社一丸となって取り組んでいます。 当期のトピックス ポリテック社の内装事業を取得。同社がドイツ、ポーランドなど 営業・開発体制を強化 として、7月から事業を開始しました。 ドイツ大手自動 欧州自動車メーカーのニーズに対応していくために、自動車 車メーカーとの取引をはじめます。 で展開する拠点を新会社「紡織オートモーティブヨーロッパ」 産業の中心地であるドイツ ミュンヘンに事務所を開設して営業 体制を強化するとともに、ベルギー ブラッセルの拠点において 開発評価能力の充実を図りました。 中長期戦略と目標 トヨタ紡織グループが世界で活躍できる内装総合 品質改善への取り組みで顧客から表彰 メーカーを目指していくなかで、欧州での新規ビジネ グ ロ ー バ ル ・ ト ピ ッ ク ス 品質管理のモデル工場であるトヨタ紡織トルコでは、エンド ス獲得は長年の目標でした。今回の内装事業取得は、 ユ ー ザ ー の 声 を 品 質 に 反 映して さらなる新規ビジネス獲得に向けた大きな足がかりとなります。 いくために、 トヨタと協力し、不具合 将来は事業範囲の拡大や、欧州自動車メーカーの欧州以外の の原因究明と改善を徹底的に進め、 地域への展開にも積極的に参画していく考えです。 クレーム数の大幅な低減を実現しま また、 シート組立生産を開始したフランスのトヨタ紡織ソマン した 。この 取り組 みにより、 トヨタ は、EU(欧州連合)加盟国における初のシート生産拠点として 自動車ヨーロッパから品質賞、 トヨタ 重要な位置を占めています。シートに加え、 天井、 エアクリーナー、 自動車トルコから品質金賞を受賞 キャビンエアフィルターを追加受注しており、生産品目を拡大 しました。 していきます。 品質賞のトロフィー さらに、欧 州・アフリカ全 体で部 品・材 料 の 現 地 調 達 化を 進め、地域に適した生産基盤を着実に構築していきます。 事業の拡大に向けた取り組み アイシン精機との合弁でポーランドに建設したTBAIポーランド のシートフレーム、シートカバー工場が、2011年6月に生産を 開始しました。 ま た 、欧 州 を 中 心 に 自 動 車 用 品 部 品 事 業 を 展 開 す る ● 地域統括会社 トヨタ紡織ヨーロッパ TOYOTA BOSHOKU EUROPE N.V. ■ 事業体 フランス2社 ドイツ1社 ポーランド3社 ロシア1社 スロバキア1社 トルコ1社 南アフリカ1社 (2011年7月1日時点) 自動車市場動向 欧州における2010年の自動車販売台数は、主要国の 自動車購入インセンティブ政策の終了が大きく影響し、 約1,400万台 (前年比約5%減) と3年連続で前年実績を 割り込みました。 ドイツ、 フランスは2011年に入ってから 回復の兆しがありますが、イギリス、イタリア、スペインは 市場の縮小が続いています。 南アフリカは49万台 (前年比24%増) と回復しましたが、 2004年のレベルにとどまっています。 トヨタ紡織ヨーロッパ 会長 原 保信 Yasunobu Hara 026 グローバル・トピックス Japan 日本 技術開発力、生産力の強化を図り、 グローバルなモノづくりに取り組む 東日本大震災の影響による生産の落ち込みは順調に回復に向かっていますが、日本国内生産の減少、コンパクトカーなどへのシフト に対応し、収益体質の抜本的な改革に取り組んでいます。世界トップレベルの内装システムサプライヤーとして、世界各地域 のトヨタ紡織グループとともに、グローバルなモノづくりを目指していきます。 027 当期のトピックス テーマに、地熱を利用した空調システム、採光トップライトなど、 猿投開発センター2号館を竣工 東日本大震災の影響により約1カ月間生産を停止したものの、 2010年5月、内装システムの開発・生技生産の管理機能を 順調に回復に向かっています。 CO2排出量削減や自然エネルギーの活用に取り組んでいます。 集約した猿投開発センター2号館が竣工しました。 各部門の連携を深め、企画提案力、技術開発力を強化して いくことで 、価 格 競 争 力をさらに高 めた 製 品 の 開 発に取り 中長期戦略と目標 組み、内装システムサプライヤーとして、より魅力的で快適な 収益改善とコンパクトカーへの対応が急務であるとの認識 移動空間の提供を目指していきます。 から、引き続き収益構造改革を推進し、生産変動に柔軟に対応 できるモノづくり・品質のつくり込みの徹底を目指したQCD TBカワシマが本格稼動を開始 (Quality, Cost, Delivery) 競争力の向上を図っていきます。 川島織物セルコン、豊田通商との合弁で設立した輸送機器 具 体 的 に は 、モ ノ づ くり 改 革 活 動「 R - 5 0 委 員 会 活 動 用内装材の製造販売会社、TBカワシマが2010年7月から本格 (Reduction by half)」 を通じて、開発効率の向上を目指し、 的に稼動を開始しました。 生産準備費用の削減、業務の効率化をグローバルに推進して 厳しい 事 業 環 境 のなかで勝ち抜くため、一 層 の 合 理 化や いきます。また、 世界共通の技能習得基準を設け、 製品・工程別の 効率化を進めるとともに、世界市場に対応できるグローバル化 技能認定制度を運用していきます。今後は、世界各地域で部品 の推進、機能性やデザイン性の向上を目指した商品開発を展開 の製造品質基準を統一し、同様の品質を確保できるようにし していきます。 ていく予定です。 トヨタ紡織東北 宮城工場が生産を開始 2011年1月、 トヨタ紡織東北 宮城工場は、 セントラル自動車 向けにトヨタヤリスセダンのシートの生産を開始しました。 日本拠点 ● 本社 ■ 工場17カ所 営業所/パーツセンター3カ所 2010年8月に竣 工 した宮城工場は、 トヨタ 紡 織グ ル ープ 最 新 鋭 日本関係会社 ● 生産子会社8社 その他子会社10社 関連会社4社 のサスティナブル・プラ ントであり、 「地域・環境 と 調 和 し た 工 場 」を トヨタ紡織東北 宮城工場 自動車市場動向 トヨタ紡織 取締役兼専務役員 日本事業統括 野田 憲一 Kenichi Noda 日本国内でのエコカー補助金制度の終了などの影響 による販売台数の減少と、東日本大震災の影響により、 先 行きは不 透 明です。省 燃 費 志 向 の 高まりから今 後 、 コンパクトカーやハイブリッドカーの需要が拡大していく とみられます。 愛知県内に12工場、 生産子会社2社