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290
ネパール産大麦系統および大麦品種
“トルコ
2
9
0
"のう どんこ病に対する
抵抗性遺伝子
日浦運治 ・河
龍雄*・部田英雄
官
緒
日浦ら(19
6
1
)はうどんこ病菌の r
a
c
eI
Xと raceX
Iのどちらか一方には抵抗性で
あるが,他の一方には感受性を示す 300の大麦品種あるいは系統を選び,これら 300の品
a
c
eI
Xと raceX
Iとを交雑してできた 100培養を接種した.その
種あるいは系統に, r
結果,それらの品種あるいは系統に対するうどんこ病菌の非病原性の, 1
0
0
培養における,
2
2に対する非病原性の遺伝状況と完全に一致した品種あるい
遺伝状況が,大麦品種A.2
1あった. この 4
1の中, 28はネパール産のうどんこ病抵抗性の系統で、あった.
は系統が 4
同じ実験において,
トルコ 290に対する非病原性遺伝子は,他のどの品種に対する非病
原性遺伝子とも異なっていることから,
トルコ 290の抵抗性遺伝子は既知抵抗性遺伝子と
は異なったものであろうことを報告した.
高橋ら(19
6
8
)はネパールおよびインドから収集した大麦 1
7
6系統に,日本のうどんこ
1の r
a
c
e
sを接種し, 1
1の r
a
c
e
sに対する反応型から, 176系統を 1
1の反応型
病菌の 1
群に分類した.その中.
1
1の r
a
c
e
sに高度の抵抗性を示す Hordeums
p
o
n
t
a
n
e
u
mnigrum
型が 9
系統. r
a
c
eI
Xには権病性であるが, 残りの 10racesに高度の抵抗性を示すヒ
マラヤ抵抗型が 6
0系統もあった.この 6
0系統の中には,さきに日浦ら(19
61)が A.222
型として報告したネパール産の 28系統が含まれている. 日浦ら(19
61)は,
うどんこ
病菌の非病原性の遺伝状況から,ネパール産の 28系統を A.222型としてグループした
a
c
eX
Iに対して高度の抵抗性(反応型 0) を示すのに
ネパール産の抵抗系統は r
が
,
2
2は r
a
c
eX
Iに
, 抵抗性ではあるが, 反応型 0-1程度に確実に感染する.
対し. A.2
6
8
)は,抵抗程度が違っているからそれに関与する抵抗性遺伝子も異なったも
高橋ら(19
のであろうとして,
ネパール産の抵抗系統をヒマラヤ抵抗型として A.222型から区別し
た.
以上を要約すると, (1)ネバールにはうどんこ病菌に対して,野生種 Hordeums
p
o
n
t
a
-
.nigrum
neumnigrum と区別できない高度の抵抗性系統がある.これらの系統は.H.s
と同じ抵抗性遺伝子を持っているかも知れない. (2) うどんこ病菌の非病原性の遺伝状
況からは, A.2
2
2と区別できないが,抵抗程度で区別できる系統群がある.これらの系統
は
, A.222とは異なった抵抗性遺伝子を持っておるであろう. (3) トルコ 290に対する
うどんこ病菌の非病原性遺伝子は,他のどの品種に対する非病原性遺伝子とも異なってい
*大樟民国水原市農村振興庁作物試験場
-9
1一
るから,
トルコ 2
9
0は新しい抵抗性遺伝子を持っておるであろう.
上に述べた抵抗性遺伝子に関する予想は,
うどんこ病菌のいろいろな r
a
c
e
s あるいは
race間交雑によってできた雑種培養を大麦品種あるいは系統に接種した結果からの間接
的推定である.それゆえ,これらの予想を実証するために,本研究では,問題の大麦品種
あるいは系統と擢病性品種および既知抵抗性遺伝子を持った品種とを交雑し, それらの
九および F
3を使って,
(1)ネバール産の高度抵抗系統と H
.s
.nigrum との抵抗性遺
伝子の比較, (2) ヒマラヤ抵抗型に属する系統と A.222との抵抗性遺伝子の比較,およ
び
, トルコ 2
9
0の抵抗性遺伝子の同定ならびにその連鎖関係について研究した.
実験遂行に御協力いただし、た当研究室の字野英雄氏ならびに弁上明美嬢に深謝する.
実験材料および方法
ネパール産の高度抵抗性の系統から,中尾 1
4
0
2および中尾 1
6
3
3を
, ヒマラヤ抵抗型か
ら中尾 1
6
5
9を任意に選んだ. トルコ 2
9
0は日浦ら(19
61)の実験に使ったものである.抵抗
性遺伝子の同定および連鎖関係を明らかにするために , H
ordeums
ρo
n
t
a
n
e
u
mn
i
g
r
u
m
.
ロシア 7
4,A
.222および H
e
i
l
sHanna を使った.これらの品種は既知抵抗性遺伝子を持
った品種である (
Hiura1
9
6
0
)
. 権病性品種として黒麦 1
4
8を使った.
うどんこ病菌は倉敷
第 1表
供使うどんこ病菌の培養に対する供使大麦品種の反応
産 r
ace1
,北海道産
raceIX
,関東産 r
ace
の関係は第 1表の通り
である.
九試験は5
4x3
5x
A
.2
2
2
ロシア
トルコ
0
0
ー
01
7
4
2
ω
0
0-1
He
i
!
sHanna
黒 麦 1
4
8
0
4
a
u
z aaza44H2
品種〈または系統〕と
。
中尾 1
4
0
2
中尾 1
6
3
3
中尾 1
6
5
9
訓告
これらの菌培養と大麦
。
H
.s
.n
i
g
r
u
m
0
0
0
0
0-1
0
0-1
‘
H
↑ 040
Ht と H!th を使った.
r
a
c
e1 r
a
c
eI
Xr
a
c
eXI
0000
配によってできた培養
それぞれの培養に対する品種の反応
nununuaaz
XI (Hiura & Heta
1
9
5
5
), お よ び 人 工 交
大変品種
0
4
Hhh
0
0
0
0
0ー 1
0
0ー 1
4
4
4
9cmのアルミニュー
ム製の箱に畑土を入れ, F2 3
0
0個体と親品種をそれぞれ 2
0個体ずつ矯種した. F
3試験は
向上の箱に 1系統2
0
個体ずつ, 1
5系統を婚種した. F
.および九試験とも, 2
0
'
"
'
'
2
50 Cの
1
80 C の接種室内で,あらかじめ用意して
おいた分生胞子を撮りかけて接種し,接種後 8日目に調査した.反応型の判定基準はさき
の報告 (
Hiura1
9
6
0
) と同じである.
温室内で育苗した.第 2葉が出はじめたとき,
実
験
結
果
1
. 中尾 1
4
0
2および中尾 1
6
3
3の低抗性遺伝子
両系統とも日本の日の r
a
c
e
sに対して高度の抵抗性を示し , H
.s
.nigrum と区別で
きない. 両系統と擢病性品種エルハルトフレデリクソンとを交雑した九に r
a
c
e1およ
-92-
第 2表
中尾 1
4
0
2および中尾 1
6
3
3と擢病性品種エルハルト・フレデリタソン
および箆抗性品種 H.s
.nigrunを交雑した九に r
a
c
e1および
r
a
c
eIXを接種した結果
九における観祭数
接種
r
a
c
e
交雑および親品種の感染程度
R
中尾 1
4
0
2
(0)xエルハル卜 (4)
I
1
7
3
中尾 1
4
0
2
(0)xエルハルト (4)
中尾 1
6
3
3
(0)xエルハルト (4)
I
X
2
1
2
1
9
7
I
中尾 1
6
3
3
(0)xエルハルト (4) 1
x
中尾 1
4
0
2
(0)xH.s
.nigrum(O) 1
x
中尾 1
6
3
3
(0)xH.s
.nigrum(O) 1
x
び raceIXを接種すると,
1
6
2
1
1
5
3
1
1
6
4
M
計
5
4
2
2
7
0.7~.5
7
5
5
2
2
8
7
2
4
9
-iJ
.
5
0
.
7
-iJ
.
1
0
.
2
2
0
5
-iJ
.
1
0
.
2
。
。
。
。
。 。
。 。
4
3
第 2表に示したように,
3:1として
P
S
1
1
5
3
1
1
6
4
両系統の race1および raceIX
に対する抵抗性には 1つの完全優性遺伝子が関与していることがわかる.
中尾 1
4
0
2xH
.s
.nigrum お よ び 中 尾 1633xH
.s
.nigrum の F2 雑 種 に raceIXを
.s
.nigrumの raceIXに対す
接種すると,第 2表のように羅病性個体の分離がない.H
M
l
.
nであった (Hiura1960). それゆえ,
る抵抗性に関与する遺伝子は 1つの優性遺伝子 ]
第 2表の結果から,
性遺伝子
H.s
.nigrum の抵抗
中尾 1
4
0
2および中尾 1
6
3
3の抵抗性遺伝子は,
]M
ふと同じか,あるいは極めて密接に連鎖していると考えられる.
2
. 中尾 1
6
5
9の抵抗性遺伝子
RaceIXxraceXIからできた 1
0
0培養を中尾 1
6
5
9に接種した結果
緒言で述べたように,中尾 1659, ロシア 74
,およびトルコ 290など raceIXには擢病
性であるが raceXI には抵抗性を示す品種(または系統〉に,
raceIXxraceXIから
できた 1
0
0培養を接種した結果,これらの品種はそれぞれ異なった抵抗性遺伝子を持って
いることが予想された. その結果は,
トルコ 290については詳しく報告したが(日浦ら
1
9
6
1,Hiura 1
9
6
4
), 中尾 1
6
5
9については, 単にA. 222型に属するものとして報告され
9
6
1
) における中尾 1
6
5
9についての観察結果を,
た.それで,さきの実験(日浦ら 1
あら
ためてここに示すと第 3表の通りである.
第 1表に示したように,中尾 1
6
5
9は供使 5培養に対して, ロシア 74と全く同じ反応を
示し, A.2
22によく似た反応を示す. しかし,第 3表で明らかなよう に,中尾 1659とロ
第 3表
RaceIX と r
a
c
eXIを交雑してできた 1
∞培養における,中尾 1
6
5
9,
4および A.222に対する非病原性遺伝子の関係
ロシア 7
接種された大変品種
X
中 尾1
6
5
9
中 尾1
6
5
9
ホ
Y
ロシア 7
4
A. 2
2
2
それぞれの病原型を示した培養数
V叉 Vy* Vx
,
Av AxVy AxAy*
3
3
4
9
。。
1
6
2
4
2
7
5
1
Vx,Vy-それぞれ X品種および Y品種上において病原性
A,
:
x Ay=それぞれ X品種および Y品種上において非病原性
-9
3-
計
1
0
0
∞
1
分離比
1:1:1:1
1:1
P
1
0
.
2-iJ.
0
.
9
-iJ
.
8
7
4に対する r
a
c
eXIの非病原性遺伝子は独立の遺伝をしているから,非病原性遺伝
子に対応した両品種の抵抗性遺伝子は異なっていることがわかる. 他方, 中尾 1
6
5
9と
2
2は r
a
c
eXIに対する抵抗程度が異なり,その差は僅かであるが,確実に区別できる
A. 2
シア
から,両品種の抵抗性遺伝子は異なっておると考えられる. しかし,第 3表に示したよう
a
c
eIXと
に,両品種に対する非病原性遺伝子の新しい組合わせは全くない.すなわち, r
6
5
9と A.222両方に病原性があるもの 4
9, r
a
c
eXIと同じく両方に非病原性
同じく中尾 1
のもの 5
1であって,単性雑種の分離である.このことは,両品種に対する r
a
c
eXIの非
病原性遺伝子が異なっているとしても,極めて密接に連鎖していることを示している.そ
れゆえ,第 3表の結果は, 中尾 1
6
5
9とA.2
2
2の抵抗性遺伝子が異なっている ことの証明
6
5
9と A.222を交雑した F,雑種について , 直接遺伝子を比較す
には役立たない. 中尾 1
る必要がある.
6
5
9の 民 雑 種 に r
a
c
e1を接種した結果
中尾 1
第 4表
黒麦1
4
8
x中尾1
6
5
9および A
.2
2
2x中尾 1
6
5
9の F,雑極に r
a
c
巴 I
を接種 じた結果
交雑および親品種の感染程度
黒麦 1
4
8
(4
)x中尾1
6
5
9
(0)
A
.2
2
2
(
0
1
)x中尾1
6
5
9
(0)
F, に お け る 観 察 数
R
R-M
2
1
8
4
5
7
1
2
3
。
S
。
6
8
計
2
8
6
5
8
0
3:1として
P
0.7-0.5
0
.
0
5
-0
.
0
2
擢病性品種黒麦 1
4
8と中尾 1
6
5
9の 民 雑 種 に
r
a
c
e1を接種すると, 第 4表の通りである. 中
尾1
6
5
9と A.222に対する r
a
c
e1の非病原性遺
伝子は,それぞれ r
a
c
eXI の非病原性遺伝子と
同じであることがわかったので(未発表), F,試
a
c
eXI の代りに r
a
c
e1を使った.結
験では r
果 は 第 4表に示したように,
中尾 1
6
5
9と同程度
の高度の抵抗性(反応型 0)を示したもの 2
1
8に
対し,梶病性個体(反応型 3~ 4)が 68あり,その
割合は 3:1の比に適合し,中聞は 1個体も観察
されなかった.このことから,中尾 1
6
5
9の r
a
c
e
Iに対する抵抗性には 1つの完全優性遺伝子が関
与していることがわかる.つぎに. A.2
2
2x中尾
1
6
5
9の 九 雑 種 に r
a
c
e1を接種すると,穣病性
2
2の r
a
c
e1に対す
個体の分離はなかったA.2
る抵抗性遺伝子は lつであった (
H
i
u
r
a1
9
6
0
)
.
それゆえ. F,雑種 5
8
0個体に対し擢病性個体の
分離がないことは. A
.222と中尾 1
6
5
9の遺伝子
が同じか,あるいは密接に連鎖していることであ
る.第 1図でも明らかなように, A.2
2
2と中尾
-9
4一
A
B
第1
図 R
a
c
e1に対する反応型
A:中尾 1
6
5
9
…………O
B:A.222.
.
.
.・ ・.
0
ー1
H
1
6
5
9は感染程度に明らかな差がある.また,第 4表に示したように,羅病性個体は 1個体
も分離しなかったが,中尾 1659と同程度の抵抗性(反応型 0) を示したもの 457に対し,
A.222と同程度(反応型かー1)に感染した個体が 123あった. これはほぼ 3:1の分離比
に適合している.すなわち, A.222の抵抗性遺伝子と中尾 1
6
5
9の抵抗性遺伝子は異なっ
たものであるが,密接に連鎖しているため, 2つの遺伝子の新しい組合わせは起らなかっ
たと考えたい. しかし,中尾 1659とA.222の抵抗程度の差が主働遺伝子の違いによると
言う確証はないから, 中尾 1659の抵抗性遺伝子はさらに実験を重ねた上で決定したい,
3. トルコ 2
9
0の抵抗性遺伝子
F. 詑
験
擢病性品種黒麦 148にトルコ 290を交雑した F
.に race1を接種すると,
トルコ 290
と同程度の抵抗性(反応型かー1)を示すものから中等の抵抗性(反応型 2) まで,いろい
ろの程度の抵抗性を示すものがあり, R type と M type の区別は困難である.しかし,
Stype (反応型3
ー の と M type との区別は明瞭であり, CR+M):Sは 3
:1の分離比
に適合している(第 5表). それゆえ. トルコ 290の r
ace1に対する抵抗性には 1つの
第 5表
黒麦 1
48xトルコ 2
9
0, トルコ 2
9
0x He
i
1
sHanna,および
4の九雑種に r
a
c
e1を接種した結果
トルコ 290xロシア 7
交雑および親品種の感染程度
黒 麦1
4
8
(4)xトルコ 2ω(0
一1
)
F,における観察数
R R-M M
。
S
言
十
2
8 1
3
25
7
1
2
1
12
。o
分
離
比
(R-M+M):S
3:1
:(R-M)
1
1
3
3 R
3:1
P
0
.
3
-0
.
2
トルコ 2
9
0
(
0
ー1
)x H
e
i
l
sH
a
n
n
a
(
O
)
邸8
トルヨ 2
9
0
(01
)xロシア 74(0)
R: (R-M+M) :S 0.5-0
.
3
1 3
9
1 1
1 13 2
2
2
6 2
2
:
3
:1
2
7
5
-0
.
5
0
.
7
・
→
不完全優性遺伝子が関与していると言える.つぎに,
るために,第 5連鎖群に所属する
JM15を持った
トルコ 290の遺伝子の連鎖関係を知
He
i
1
sHannaおよび JMl
ごとは独立
の遺伝子 JM
,/夕刊を持ったロシア 7
4C
Hiura1960) とトルコ 290と の 九 雑 種 に race1
を接種すると,
トルコ 290xロシア 74では,ロシア 74型:トルコ 290型:権病型が 1
2:
3:1の分離をしている.このことから, ロシア 74の遺伝子 JMl
,
u とトルコ 290の遺伝子
i
1
sHannaでは, 1133個体試験して,擢病性個体
は独立であると言える. トルコ 290xHe
e
i
l
sHanna型(反応型 0) とトルコ 290型(反
は 1個体も分離していない. しかし, H
応型かー1
) は明瞭に区別でき, H
e
i
l
sHanna型 858に対し. トルコ 290型は 275でその
i
1
sHannaの遺伝
割合は 3:1に適合している.このことはトルコ 290の抵抗性遺伝子は He
子J
M
I
'
;
:
.と密接に連鎖していることを示している.
F, 絞 験
九試験結果をさらに確かめるために,
九試験を行なった.第 1表に示したように,培
養 Htはトルコ 290に病原性を示すが H
e
i
l
sHannaに対しては非病原性である. これと
i
1
sHannaには病原性を示
は反対に,培養 Hhhはトルコ 290には非病原俊であるが He
e
i
l
sHannaの F
.系統をそれぞれ 2分し, はじめの半分に Ht弘 残
す. トルコ 290xH
-9
5ー
・
∞
0ltm 0
向
・
HHNUH
ν
J
u
りの半分に
2つの接種結果を組合わすと,
Hbbを接種し,
第 6表に示したように,
それぞれの系統の九における遺
トルコ 2
9
0と同
伝子型を知ることができる.実験結果は,
じ遺伝子型 1
9, F,と同じもの 4
1, および H
e
i
l
sHanna
と同じ遺伝子型 1
7が観察され, 新しい組合わせの遺伝子
t
こ
;
t
;
主
型は 1つも観察されなかった.
トルコ 2
9
0の
抵抗性遺伝子は H
e
i
l
sHannaの抵抗性遺伝子
JMI
公と閉
じ遺伝子直にあるか,あるいは密接に連鎖していると 言え
ω
ぷ出口
U
明
る. H
e
i
l
sHannaの遺伝子
o
伝子
JMlZは H
.s
.n
i
g
r
u
mの遺
JM
仏の複対立遺伝子であるから, ト
ノ
レ
コ 2
9
0の遺
J
M.
ふと同じ位置にあるか, または密接に連鎖し
伝子も
e
Jω
I
2.
陰、
出
た遺伝子である.それで,
V吋
トルコ 2
9
0の r
a
c
e1に対する
抵抗性遺伝子を J
M
I
;
"とする.
岡
山
岡
山H'F
王 国 弘 M U司
C
J
)
C
J
)
o
p
:
:
ω 日一回
ω 日一信
円
由
民H
'
H
持活M
司
。
p
:
:
C
J
)
'H'F
回目﹄
‘
。
F司
N向
的日以
岡
山
田'HLF
。
d
H向、仰副umM
p
:
: CJ)
担割問
xoaNnA
之
C
J
)
p
:
:
:経 線 騒
民
王国
岬
s s
a
-れ・包s
m
m
,
‘
.
,
bu司お
Q8N明、
ぇム帳
且宵出国ぉ・岡山岡山ドド
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ネパール産うどんこ病高度抵抗性の中尾 1
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3の抵抗性遺伝子は,本実験に関する限り,野生種
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きなかった.大麦品種 R
icardや Multanの抵抗性遺伝子
は,日本のうどんこ病菌を接種したのでは,H
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抵抗性遺伝子と区別できないが〈未発表),
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侵すが R
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dや Multanには非病原性の r
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の反対の病原性を示す r
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)
. 日本では H
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は発見されていないから, H
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mの抵抗性遺伝子
と中尾 1
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2および中尾 1
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3
3のそれとを同定するために
は,外国との協同研究が必要である.このように,本実験
では遺伝子の決定はできなかったが,中尾1
4
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2と中尾 1
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3
・の抵抗性遺伝子が
H
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mの遺伝子と異なっ た も
のであるとしても,極めて密接に連鎖していることは確実
である.
ヒマラヤ抵抗型に属する中尾 1
6
5
9は r
a
c
eXIに対して
高度の抵抗性(反応型 0) を示すが,
に対して反応型。-1であるから,
A.222は r
a
c
eXI
両者は違った抵抗性
中尾 1
6
5
9と
A
.2
2
2に対する r
a
c
eXIの非病原性の遺伝状況は完全に
一致し, 非病原性遺伝子の遺伝状況からでは中尾 1
6
5
9と
A
.2
2
2の抵抗性遺伝子を区別することができなかった.さ
遺伝子を持っておると考えられる. しかし,
nE
らに, A.222x中尾 1659の F
.試験においても,両者の抵抗性遺伝子は完全に連鎖している
と考えられ, F
.試験を行なっても,遺伝子が異なっていることの確証にはならなかった.
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f
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l と中尾 1
4
7
6においても観察されたく未発表). 日浦(19
6
0
)
このような例は品種 G
はうどんこ病抵抗性に関する 7つの複対立遺伝子を報告した.これらは,この報告でも述
e
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sHanna とトルコ 290の遺伝子の例に見られたように. 2つの抵抗性遺伝子は
べた H
完全に連鎖しているが,それぞれの抵抗性遺伝子に対応した非病原性遺伝子が独立の遺伝
をするので. 2つの遺伝子を確実に区別できた. し か し 中 尾 1659と A.222のように,
抵抗程度によって確実に区別で‘きる 2つの品種において(第 1図
)
,
抵抗性遺伝子も,
ま
た,それぞれの抵抗性遺伝子に対応したうどんこ病菌の非病原性遺伝子も,ともに完全に
連鎖していると. 2つの品種の抵抗程度の違いが,主働遺伝子の相異によるものか,また
は,主働遺伝子は同じであっても,徽{動遺伝子あるいはその他の原因で抵抗程度に差を生
じるのか,容易に結論できない. それゆえ,中尾 1659と A.222の遺伝子の同定はさらに
実験を重ねたうえで決定したい.
6
8
) によれば,
高橋ら(19
ネパールから収集した大麦の中,
60系統がヒマラヤ抵抗型
であった.この 60系統の中から任意に選ばれた 28系統は同じ抵抗性遺伝子を持っておる
と推定されたく日浦ら 1
9
61).それゆえ,高橋ら(19
6
8
) がヒマラヤ抵抗型としてグルー
プした 60系統はすべて同じ抵抗性遺伝子を持っておると考えられる. しかも, 世界各地
6
5
9と同じ抵抗反応を示し,
から収集した 2,000余の大麦品種中,中尾 1
子を持っておると考えられるものは,
同じ抵抗性遺伝
ネパール産の 60系統だけであり. ネパール地方特
有の系統であることは注目すべきことである.
トルコ 290の抵抗性に関与する遺伝子は 1つの不完全優性遺伝子であった.この遺伝子
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mの遺伝子 JMI
,
"と複対立遺伝子と考えられるので, 新遺伝子 JM/~" と
した.日浦(19
6
0
)は J
MI
,
, と同じ遺伝子座にある 7つの対立遺伝子を報告した. Moseman(1968) は多くの研究者によって報告きれた遺伝子の中.JM
ふと同じ遺伝子座にあ
ると思われるものが, 多数あることを報告した. トルコ 290の遺伝子 J
M
/
!
"もまた同じ
は
遺伝子座にあり. 1つの遺伝子座にこのように多くの遺伝子が集中していることは輿味あ
る問題である.
要
摘
ネパール産のうどんこ病抵抗性大麦および品種トルコ 290のうどんこ病抵抗性遺伝子に
ついて研究した.
1)ネパール産の大麦,中尾 1402および中尾 1633に日本のうどんこ病菌を接種した結
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mと区別できない. これら 2つの系統の抵
抗性には 1つの完全優性遺伝子が関与し,その遺伝子は H
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mの遺伝子と同じ
果では,野生種
か,あるいは密接に連鎖したものである.
2) ネパールにはヒマラヤ抵抗型と称するネパール特有のうどんこ病抵抗系統がある.
その中の 1つ中尾 1659と品種A.222は抵抗程度によって確実に区別できるから,抵抗性
遺伝子も異なっていると考えられる. しかし,中尾 1659とA.222の抵抗性遺伝子が異な
っているとしても. 2つの遺伝子は完全に連鎖し,しかも,それぞれの抵抗性遺伝子に対
-9
7ー
応したうどんこ病菌の非病原性遺伝子も完全に連鎖しているから,
中尾 1659と A.222の
抵抗性遺伝子は遺伝学的には区別できなかった.
3) トルコ 290の抵抗性には,
1つの不完全優性遺伝子が関与し,その遺伝子は H
.
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.
nigrumの遺伝子 JM
ふと同じ遺伝子座にあると考えられるから,
新遺伝子として,
JM/~" とした.
文
献
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の変異.病原性の変異に関する研究 I
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