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主要論点に対するCDMとの比較

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主要論点に対するCDMとの比較
参考資料
主要論点に対するCDMとの比較
CDM のルール(マラケシュ&EB追加レポート)
1.手続き全体の流れ
2.管理・監督機関
3.管理監督機関専門組織
4.審査機関(DOE)
5.審査機関の認定手続き
6.プロジェクト実施者
7.CDMとして充たすべき条件
8.追加性の概念
9.追加性の実証方法
10.ベースラインシナリオ
11.ベースラインと追加性の概念
12.ベースラインシナリオ具備すべき
要件
13.ベースライン方法論
14.ベースラインアプローチ
15.バウンダリー
16.モニタリング
17.クレジット期間
18.バリデーション
19.バリデーション、ベリフィケーショ
ン・ツール
20.CERの検証・認証・発行
21.CERの分配
22.プロジェクト登録料
23.PDDの記載項目
24.小規模CDM(SSC)の定義
25.機器の効率性
26.複数の活動で構成される場合
27.小規模CDMの定義を逸脱した場合
28.小規模CDMに該当することの証明
29.クレジット期間の更新
30.簡易化されているルール・手続き
31.簡易方法論の使用について
32.バンドリングの場合のモニタリング計画
33.PDDの改定
34.小規模CDMの追加性
35.バンドリングの定義
36.バンドリングに関するルール
37.デバンドリングの定義
38.ベースラインモニタリング方法論
39.新方法論の申請
40.方法論の詳細
①特定技術を用いた省エネプロジェクト
方法論
②エネルギー効率化および燃料転換
③燃料転換
国内中小CO2クレジット制度
1.CDMと同じ
2.詳細なルール設定の要請が強い
3.詳細なルール設定の要請が強い
4.機関ではなく、個人を想定し、規模
と簡易化に対応(審査人資格基準
制定)
5.能力要件を明確にすることで、資格
者を認定する方針
6.中小企業の定義
7.追加性概念は要件として残す。原
子力、植林、ODA等は無関係なた
め要件から除外
8.追加性の概念を採用
9.実証方法の簡易化
10.CDMと同じ
11.CDMと同じ
12.シナリオの設定
13.CDMと同じ
14.A.b.cのアプローチのうちcを捨象
15. N/A
16.CDMと同じ
17.今後検討すべき事項
18.簡易実施ルール(バリデーションマ
ニュアル)を制定
19.
20.クレジットの発行に検証を必須とす
ることは同様である。
21.クレジット発行ルールは未設定
22.今後の課題
23.PDDの作成は簡易化要請が強い
24.N/A
25.CDMと同じ定義を採用
26.N/A
27.N/A
28.N/A
29.更新は考えていない
30.小規模CDMから更なる簡易化がさ
れている
31.SSCと同じ概念を使用
32.N/A
33.改定ルールは未設定
34.SSCのルールを更に簡易化
35.N/A
36.N/A
37.N/A
38.モニタリングのルールは簡易化され
たルールを設定
39.CDMと同じ
40.SSCの方法論を更に簡易化
平成18年度中小企業CO2認証事業作成資料
1
1.手続き全体の流れ
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:プロジェクト計画に対する国家および登録検証機関による事前審査、国
要点:CO2削減プロジェクト計画に対する事前審査及び、CO2削減量に対する
家による承認及び、CO2削減量に対する登録検証機関による事後審査を
経てEBからクレジット発行となる。
プロジェクトの計画策定
プロジェクト設計書の作成
関係締約国による承認
プロジェクトの有効化審査
事後審査を経てクレジット発行を行うものとする。
プロジェクト参加者がCDMプロジェクト
の計画を策定する
プロジェクト参加者がプロジェクト計画書
を作成する
プロジェクト設計書をもとにCDMとして
適格かどうか、排出削減量の計算が正
しいかどうか等を評価・判断する有効化
審査が行われる。
プロジェクトの発掘
プロジェクトの計画策定
プロジェクト計画書の作成
プロジェクトの有効化審査
プロジェクトの登録
有効化審査を通過したプロジェクトは登
録を行うことができる。
プロジェクトの登録
モニタリング
モニタリングはプロジェクト設計書
(PDD)に記載されているモニタリング計
画に沿っておこなう。
モニタリング
CERの検証・認証
CERの発行
CERの分配
本制度の評価:
削減量の検証・記録
「検証」とはモニタリング結果について
定期的に独立審査を行い、排出削減
量を事後的に決定すること。
・検証はDOEが行う。
「認証」とは検証結果に基づき、DOEが
書面によって排出削減量を確約するこ
と。
削減クレジットの発行
削減クレジットの分配
広報活動
大企業のサプライチェーン、ESCO会社、
エネルギー会社等、中小企業での省エ
ネ機会を見つける仕組み
申請事業者がプロジェクトの計画を策定
する。
事業者の作成した「CO2削減プロジェク
ト計画書」をもとに、記載内容の検討や
排出削減量の計算式の設定が正しい
かどうか等を評価・判断する。
•有効化審査の手順については、「有効
化審査実施ガイドライン」を参照。
有効化審査を通過したプロジェクトは登
録される。
•登録は「CO2クレジット認証協会」が行
う。
•登録申請の手順については、「プロ
ジェクト実施ガイドライン」を参照。
審査人による簡易で低コストな事後審
査を行う。
•審査の手順については「ベリフィケー
ション手続書」を参照。
大きな流れは同じ方式を採用し、事前審査と事後審査を必須とした。
2
2.管理・監督機関
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
CDM理事会が、プロジェクト実施に関する支援、検証業務の管理、クレ
ジット発行の機能をCOP/MOPの実務機関として実施する。
要点:
CDM理事会と同じ機能を有する機関を要するが、対象プロジェクト規模、
事業者の資源が限定されることから、実施事業者の負荷、品質管理作業の負荷
軽減を重視する。
CDM理事会(Executive Board: EB)とは、CDMの実質的な管理・監督機関で、
主に以下のような機能がある。[CMP/2005/8/Ad1, p8 パラ5]
国内中小企業CO2クレジット制度においても、CDM理事会のような機能を有す
る機関が必要となる。
<プロジェクト実施に関する支援>
• CDMの手続き、その他必要な事項について、COP/MOPに勧告を行う。
<プロジェクト実施に関する支援>
• 手続き、その他必要な事項についてはCDM理事会と同じとする。
• ベースライン設定、排出量のモニタリング、プロジェクトの境界(バウンダ
リー)設定等について新たな方法を承認する。
• 小規模CDMの簡易化された方法、手順、定義を再審査し、必要に応じて
COP/MOPへの勧告を行う。
• 方法論案とガイダンスに関して技術的な報告書を作成・公開し、 8週間以上
パブリックコメントを求める。
<検証業務の管理>
• 運営組織(Operational Entity)の認定(accreditation)に際し責任を持ち、
運営組織の指定(designation)を行うCOP/MOPへの勧告を行う。
<クレジット発行>
• CDM登録簿の開発・整備
• CDMプロジェクトを正式に登録(registration)する[CMP/2005/8/Ad1, p14
パラ36]
• CDMプロジェクトによるCERを発行するためにCDM登録簿管理者に指示
する[CMP/2005/8/Ad1, p19 パラ66]
• 方法論の開発には高い専門能力と莫大なコストを必要とない、本制度の対
象となる事業者には負荷が高いため、簡易化された削減量計算方法をガイ
ドラインとして事前に示す。
• 小規模CDMは簡易化されたために、漠然とした方法となってしまっている。
本 制度では方法論を具体的な式で示すことで、なにをモニタリングすべ
きなのか の迷いが生じることを防いでいる。
<検証業務の管理>
• プロジェクト検証人に必要な能力の検討、プロジェクト検証人の申請受付、
登録、
• プロジェクト検証人の業務評価、プロジェクト検証人の審査業務支援等
• CDMにおけるDOEに求められる組織的品質管理を要請する替わりに、本
制度が対象とするプロジェクト規模に応じた個人審査員の活動裁量の及ぶ
範囲で、クレジットの品質管理を訴求する。
<クレジット発行>
• プロジェクトから生じるクレジットの登録、償却、管理
本制度の評価:
CDMでは実施者、DOEに制度運営に一定の裁量を与えているが、本制度では、制度参加者および検証人(審査人)の負荷を軽減するために、
作業を出来る限り定式化し作業コストの発生を抑制する。どこまで定型化できるかが重要となる。
3
3.管理監督機関専門組織
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
CDM理事会のもとにワーキンググループを設置し、専門的検討を実施。
ガイドライン・ルールの明確化を図る。
要点:
個人に審査を委ねることから審査・検証方法について、より精緻な検討
を加える必要。制度が広範にわたる結果、プロジェクトの追加性については別紙t
検討する。
「CO2クレジット取引管理センター」内で、継続的に以下の検討を行うWG(あるい
はパネル)が必要と考えられる。CDMではDOEにある程度の権限を与えること
ができるが、本制度では、審査人に判断の幅を持たせることが実質的に不可能
であり、ルールで不明な部分を明確化する要求が強い。
CDM理事会
<方法論WG>
事前にプロジェクトによる削減量計算の方法論を提示。汎用性やモニタリング
手法の適切性などを継続的に検討。制度開始後も新たな方法論提案を受領
し、これを検討する。
<検証業務WG>
方法論パネル
A/R CDM
WG
小規模CDM
WG
運営組織
認定パネル
検証人が審査を行う際のガイドラインや手順書などの整備及び、審査業務管
理等を実施する。
<検証人認定・登録WG>
プロジェクト検証人の要件基準を整備し、適格者を検証人として登録。プロ
ジェクトへ派遣し検証を実施する。検証人への教育プログラムなどを検討。
<クレジット管理WG>
プロジェクトから生じるクレジットの登録、償却、管理を実施。
登録・発行チーム
運営組織
評価チーム
上記WGと別して、プロジェクトの「追加性」について、基準を検討する組織が必
要。
本制度の評価:
クレジット取引管理センターの下に設置するWGとそのタスクはおおむねCDMーEBに沿ったものとなるが、「追加性」、及び「クレジット管理」につ
いては、引き続き検討が必要。
4
4.審査機関(DOE)・審査人
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
マラケシュ・アコードの定める要件に則り、COP/MOPが指定。作業瑕
疵についてDOEの責任負担が求められる。
組織ではなく個人に審査人としての働きを委ねる。ただし、その活動に
より生じる責任負担については検討を要する。
CDMにおける審査機関は以下の要件を満たす。
本事業におけるプロジェクトの審査は、取引コストを抑制する必要がある一方、
検証対象が多いことから低予算で行われることを前提とする。
• CDM理事会による認定(accreditation)を受け、COP/MOP(京都議定書の締
約国会議)から指定(designation)される国内法人又は国際機関
• 以下の2つの機能を持っている
⇒提案されたCDMプロジェクトについて有効化審査を行い、引き続き登録申請
を行う
⇒登録されたCDMプロジェクトの排出削減量を検証・認証し、CDM理事会に対
してCER(Certified Emission Reduction)発行の申請を行う
• CDM理事会に要請すれば、1つのDOEが、あるプロジェクトの有効化審査から
CERの検証・認証まで実施することが認められる場合がある。
• CDMで検証機関が見過した削減量を補填する仕組み
DOEはプロジェクトが発行したCERに瑕疵があった場合、その不足分を負担す
ることが必要
• CDMにおけるDOEの業務保険制度
DOEは認定の際に、業務におけるindemnityを負担する能力が備わっているこ
とが条件
本制度の評価:
要点:
• 審査機関による組織的な審査ではなく、審査能力を有する個人に審査を委
託して、検証を実施する手法を想定。単一プロジェクトに対して同じ審査員
が有効化審査と事後審査を提供することも妨げない。
• なお、個人への委託を想定する場合には、有効化審査(Validation)と事後
審査(Verification)それぞれの審査に必要な能力をセンター内に設置する
パネルで検討し、各審査を行うために必要な基準や審査プロセス、審査手
順などを協会で整備する。
• また、検証結果に遺漏、瑕疵があった場合、その責任を負うべき一意の主
体は個人審査員であるが、どのような罰則を適用するべきか、またどのよう
に補填を行うのかについて検討する必要がある。上記のような事態に備え
るため、業務損害保険をセンターとして担う制度整備を行う必要がある。
• 審査を受審する企業からの異議申立などは、協会で受け付け仲裁されるよ
うな仕組みが必要。
• 審査品質を担保するためのスポット・チェック、ウィットネスの実施など、制度
の緊張感を維持する制度の採否
組織ではなく、個人に審査を委ねる制度となるが、その責任負担の方法については、検討を要する
5
5.審査機関の認定手続き
CDM
要点:
規定の手続きに則ってDOEが選定される
<運営組織(OE)の認定手続き>[EB07 Anx2, p2 パラ3]
・CDM-ATが、(CDM-APのガイダンスに従い)AE/DOEの評価を行い、不適合の
特定やCDM-APへの報告を行う
−CDM-ATは、CDM理事会が本目的のために作成した専門家名簿からCDMAPがメンバーを集めて結成する
・CDM-APは、CDM-ATによって行われた評価結果に基づき、AEの認定につい
てCDM理事会への勧告を行う
−CDM-APは、DOEに対する臨時査察や、再認定、専門部門(Sectoral scope)
の追加についても、勧告を行う
・CDM理事会は、AEの認定、及びCOP/MOPに対して(当該AEの)指定を勧告
するかどうかについて、決定を行う
・COP/MOPは、CDM理事会からの勧告に基づいて、運営組織の指定を行う
・UNFCCC事務局は、認定手続きの実施について支援を行う認定のための専門
部門(Sectoral scope)[EB07 Anx2, p4 パラ6]
・認定のための専門部門とは、(当該専門部門に関して)認定されたDOEが有効
化審査、検証・認証を行うことのできる分野のこと
・DOEは、認定されていない専門部門について有効化審査、検証・認証を行うこ
とはできない
<認定の有効期間[>EB07 Anx2, p10 パラ51]
・各専門部門におけるOEの指定は、COP/MOPによる指定から3年間有効であ
る
・この3年間には定期的な査察は行われない。ただし「スポット・チェック」は実施
されることがある。
国内中小CO2クレジット制度
要点: 機関ではなく個人を検証人として選定するため、その資格制度について
WGで基準を検討、制定する
審査実施主体が法人である審査機関ではなく、個人であると想定した場合、審
査機関認定に関する手続は生じない。CDMで運営組織(OE)が担う役割のどこ
までを協会が行い、どこからを個人の検証人が担うかを検討する必要がある。
(管理・監督を参照)
<検証人の管理>
プロジェクト検証人に必要な能力の検討
プロジェクト検証人の申請受付、登録
プロジェクト検証人の審査業務支援等
プロジェクト検証人の業務評価
プロジェクト実施事業者の異議申立
<認定のための専門分野>(Sectoral scope)
検証人は、登録する際に個人の専門分野がどの方法論に適合するかを検討・申
請し、「CO2クレジット取引管理センター」では、申請内容から検証人の専門分野
を評価したうえで登録を承認する。
<認定の有効期間>
検証人の登録後の有効期間については、「CO2クレジット取引管理センター」の
検証人認定・登録WGで検討すると考えられるが、検証の需要と各検証人の検
証実施可能件数等を考慮。更新時教習実施などを、審査員の資質に追加する
制度の構築が必要。これらの制度については要検討。
本制度の評価:
新たに検証人資格要件を定め、これに適格な審査人を認定・登録する制度を構築。検証人の任期・教育の手法については制度運営に係るコス
トとの関係で検討が必要
6
6.プロジェクト実施者(1)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
ホスト国とAnnexⅠ国の参加者がプロジェクト実施者となる。
CDMプロジェクトへの参加は自主的であることが必要[CMP/2005/8/Ad1, p12 パ
ラ28]またプロジェクト参加者としては(a)関係締約国、又は(b)関係締約国の認
可を受けた民間事業者及び公的機関が挙げられる[PDD GL ver6, p11]
<関係締約国の参加>
・京都議定書締約国であれば、非附属書Ⅰ国もCDMプロジェクトに参加可能
[CMP/2005/8/Ad1, p12 パラ30]
・「関係締約国」がプロジェクト参加者と見なされるのは、PDDのセクションA3に
明記されている場合、又は(既に登録されているプロジェクトにおいては、「関係
主体間の連絡方法」にしたがって事務局に明確に連絡している場合)[EB25 Rep,
p18 パラ110]
<民間事業者及び公的機関の参加>
・民間事業者及び公的機関の参加を認可した締約国が参加資格を持っている場
合にのみ、それらの事業者・機関はCERを移転・取得することができる
[CMP/2005/8/Ad1, p13 パラ33]
・(CDMプロジェクトに関する)書面による承認は、DNAによる、特定のCDMプロ
ジェクトへの参加に関する特定の事業者・機関への認可(authorization)を含む
こと[PDD GL ver6, p6]
要点:
中小企業法の定義に基づく中小企業
<制度参加対象>
プロジェクト実施者は中小企業基本法の中小企業の定義を満たす組織に限定し
た。趣旨としては省エネ法等でエネルギー使用抑制規制のない事業者に対し
て、CO2排出削減を促進させる制度作りを目指しているためである。
(中小企業者の範囲及び用語の定義)第2条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とす
る中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基
本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
1.資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人
以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに
掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2.資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人
以下の会社及び個人であって、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
3.資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100
人以下の会社及び個人であって、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
4.資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50
人以下の会社及び個人であって、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
中小企業以外の法人格所有事業者も対象とする。
・医療法人、学校法人、宗教法人、
・上記主体については、従業員数、売上高、病床数(医療法人の場合)などを改め
て検討、適確条件を整備する必要がある。
<プロジェクト参加者の変更>[PDD GL ver6, p12]
・プロジェクト参加者の変更が生じた場合は、ただちにUNFCCC事務局を通じて
CDM理事会に通知しなければならない
<公的機関の参加>
公的機関は制度の対象としない。
・プロジェクト参加者を変更するためには、過去やりとりしている全プロジェクト参
加者と新規及び残りの参加者による、変更の同意に関する署名が必要
・新規のプロジェクト参加者にも認可(authorization)が必要
<プロジェクト参加者の変更>
プロジェクト参加者の変更は、計画書の変更であるので、規定される手続きに
沿って事務局に報告されるべき、
本制度の評価:
本制度の目的が中小企業の省エネルギー促進を通じた温室効果ガスの排出削減であることから、対象は上記の通りとする。
7
6.プロジェクト実施者(2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
プロジェクト実施のためには締約国の承認が必要。
<ファンドによる参加[>PDD GL ver6, p6]
・国際ファンドについては、それぞれの出資者のDNAから書面による承認を得る
ことは必ずしも必要ない。しかし、書面による承認を得ていない場合は、一部の
権利や特典を放棄することになる可能性がある
要点:
ファンドなど団体による参加、あるいはESCO事業者などとの合同の参
加がありうる
<ファンドによる参加>
ESCO事業者、省エネファンドなどによる参加者もありうると考えられるが、プロ
ジェクトの申請者は、一意に中小事業者である。
<関係締約国による承認>[PDD GL ver6, p6]
・CDMプロジェクトの関係締約国のDNAは、次の事項を含む書面を発出すること
が必要
−京都議定書を批准していること
−CDMプロジェクトへの参加への自主的参加を承認すること
−ホスト国(複数の場合もある)の場合、そのプロジェクトが当該ホスト国の「持続
可能な開発」に貢献すること
・書面による承認は「無条件」であることが必要
・締約国の一通の承認書面により、複数のプロジェクトの承認が可能であるが、
その場合は明確にそれらのプロジェクトについて記述されていることが必要
・DOEは承認の書面を受け取ることが必要
・CDMプロジェクトの登録段階においては、附属書Ⅰ国の関与がなくても登録が
可能である。そのようなプロジェクトから生じたCER(CDM登録簿内の口座にあ
るもの)を附属書Ⅰ国が取得する(国別登録簿に移す)場合には、当該附属書Ⅰ
国がCDM理事会に対して承認書面を提出することが必要[EB18 Rep, p8 パラ
57]
本制度の評価:
本制度では、中小企業単体による制度参加が想定されているが、経営資源が十分でない事業者の能力を補うため、ESCO事業者、ファンドなど
との共同による申請もありうる。
8
7.CDMとして充たすべき要件
CDM
要点:ホスト国の持続可能な開発に寄与するか否かがポイントであり、その判
断を行うのはホスト国。また、追加的な削減をもたらすプロジェクトのみを
対象としている。
CDMの目的は非附属書Ⅰ国の持続可能な開発を達成し、条約の究極的な目的
に貢献すること、及び附属書Ⅰ国の数値目標の達成を支援すること[KP Art12
パラ2]⇒当該プロジェクトが「持続可能な開発の達成に貢献する」かどうかについ
ては、各ホスト国が判断する。
<充たすべき要件>
・そのCDMプロジェクトがなかった場合と比べて、人為的な温室効果ガス排出量
について追加的な削減をもたらすこと[CMP/2005/8/Ad1, p16 パラ43]
・原子力施設から生じたクレジットについては、国の数値目標の達成に活用する
ことは控える[CP/2001/13/Ad2, p20]
・吸収量増大プロジェクトの場合は、第1約束期間については新規植林・再植林
プロジェクトに限定[CP/2001/13/Ad2, p22 パラ7(a)]
国内中小CO2クレジット制度
要点:対象を中小企業が実施するCO2削減を目的とした「省エネ、新エネ事業」
のみに限定している。中小企業が実施する事業のみを対象とするという
前提のもとで考案された追加性基準を設けている。
国内でのプロジェクトのため、ホスト国、投資国という概念でのルールはない。
プロジェクト要件は、以下の通り。
ー「中小企業」が実施する、CO2削減に寄与する省エネ、新エネ事業であること。
ー追加性基準をクリアしたプロジェクトであること。
ープロジェクトにより、現状よりも環境の悪化が起こらないこと。
注)
中小企業の定義:中小企業基本法における中小企業の定義に合致した企業で
あり、かつ、省エネ法の第一種及び第二種指定管理工場となっていない企業。
経団連自主行動計画に組み入れられていない企業
(制度設計時に要検討)
・附属書Ⅰ国からの公的資金を活用する場合、その資金はODA(政府開発援
助)の流用であってはならない[CP/2001/13/Ad2, p20]⇒附属書Ⅰ国が「その資
金がODAの流用ではなく、それらの国の資金的義務とは別である」という確認を
行う[PDD GL ver6, p16]
・CDMとして登録されるためには、必要な項目を含むプロジェクト設計書(PDD)
を作成することが必要[CMP/2005/8/Ad1, p23 パラ2]
本制度の評価:
中小企業が実施する事業のみを対象とするという前提のもとで考案された追加性基準を設けている。具体的には、追加性基準の審査の簡便さ
と、制度がなくても実施されたであろうプロジェクトを排除できる仕組みの両立を目指して、追加性基準は考案されている。国内で実施されるプロ
ジェクトであるので、持続可能な開発や原子力、植林、ODAについての配慮は必要ないが、プロジェクト実施前よりも環境を悪化させるものでは
ないことを求めている。
9
8.追加性の概念
CDM
要点:追加性の概念自体は理解しづらい。追加性の実証・評価ツールにより、
国内中小CO2クレジット制度
要点:追加性の実証・評価ツールを用いて、プロジェクトが追加的であること、す
それを具体化し、プロジェクトが追加的であること、すなわち、プロジェクト
シナリオ=ベースラインシナリオでないことを実証することを求めている。
なわち、プロジェクトシナリオ=ベースラインシナリオでないことを実証す
ることを求めている。
登録されたCDMプロジェクトがなかった場合と比べて、温室効果ガスの排出が
削減されれば、そのCDMプロジェクトは追加的である[CMP/2005/8/Ad1, p16 パ
ラ43]
⇒DOE(指定運営組織)は、プロジェクト設計書及び全ての関連文書を審査し、
提案されているプロジェクトがなかった場合と比べて、温室効果ガスの追加的な
排出削減が予想されることを確認する[CMP/2005/8/Ad1, p14 パラ37(d)]
提案するプロジェクトに、以下に定義される「障壁」が一つ以上あるために、本制
度による削減クレジットが取得できなかった場合には、当該プロジェクトが実施さ
れないこと(追加性があること)を説明しなければならない。)
・プロジェクト参加者は、そのプロジェクトがなぜ、どのように追加的であるか、そ
してベースライン・シナリオでないことについて、選択したベースライン方法論を
用いてPDDの中に記述しなければならない。[PDD GL ver6, p18]
⇒通常の商慣習における意思決定では、当該プロジェクトは実現し得ない。
②一般の慣行に伴う障壁:エネルギー効率
当該プロジェクトで導入予定の機器(単体またはシステム)のエネルギー効率は、
一般に普及しているものよりも効率の良いものであることが実証できる。
⇒通常の商慣習における意思決定では、当該プロジェクトで導入予定の機器ほ
どの高効率機器を選択しない。
一般に普及しているものより効率の高い
機器であることを示す方法:
導入を予定している機器の効率が、以下のいずれかの値以上であることを示す
こと。
(a)本制度で設定している値
(b)上記(a)の設定がない機器の場合、同タイプの機器の効率の業界標準値○割
増しの値
③その他の障壁
本制度に参加しなければプロジェクトを実現できない合理的な理由がある。
⇒本制度に参加しなければ、その障壁が解決せず当該プロジェクトが実現でき
ない。
⇒プロジェクトの開始日が有効化審査の日よりも前である場合、CDMによるイ
ンセンティブが意志決定に際して真剣に考慮されたことの証拠を示すことが必
要。その証拠はプロジェクト開始日より前の時点での(公式、法的、その他企業
内の)文書でなければならない。[PDD GL ver6, p18]
・「追加性の実証・評価ツール」は、追加性の実証・評価のための一般的なフレー
ムワークを提供するものである。ただしプロジェクト参加者は、追加性実証のた
めのその他のツールを提案してもよい。[EB22 Anx8 パラ1]
①投資障壁:投資回収年数
当該プロジェクトで試算された投資回収年は、一般に中小事業者が設備投資に
おいて許容し得る投資回収年であるX年を上回ることが実証できる。
本制度の評価:「投資回収年数X年」、特定の機器の「エネルギー効率○%」という指標を制度側で設定することにより、何を基準に追加性
を実証できるかをより明確にしている。
10
9.追加性の実証方法(1)
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:フルスケールでは、原則、2つ以上の障壁(投資障壁+普及度障壁、技術
要点: SSCと同じく、障壁が1つ以上あれば追加性が認められる。より簡便化す
障壁+普及度障壁)がなければ追加性が認められない仕組みとなってい
る。また、各障壁分析の手順も具体的に定められている(例:投資分析の
サブステップ、感度分析の必要性など)。SSCでは、障壁が1つ以上あれ
ば追加性が認められる。各障壁分析の具体的な手順は定められていない。
例えば、投資分析であれば、分析手法は、簡易コスト分析、投資比較分析、
ベンチマーク分析のいずれでも良い。また、使用する指標も投資回収年数、
NPV、IRRなどいずれでもよい。
るために、「投資回収年数」、「エネルギー効率」、「その他」の3つの障壁
のうちいずれか1つをクリアすればよい。
【追加性の実証・評価ツール(ver2)】
合格
ステップ1: 提案するプロジェクトの代替シナリオ
(現在の法律・規制に合致するもの)の特定
合格
合格
ステップ2: 投資分析
ステップ3: 障壁分析
合格
合格
ステップ4: 普及度分析
ステップ5: CDM登録による影響
合格
提案されているプロジェクトは追加的である。
判断基準4 1−3に該当しない
上記いずれにも該当しない
× 提案プロジェクト
は追加的ではない
合格
判断基準1 投資障壁
提案するPJの投資回収年数は以上か?
判断基準1投資障壁
提案する PJ の投資回収年数は以上か?
判断基準2 一般的な慣習に伴う障壁
提案するPJで導入予定の機器の効率は
以下のいずれかの値以上のものか?
A)本制度で設定している値
B)上記Aの設定のない機器の場合同タイ
プの機器の効率の国内基準値の1.0%
の値
C)上記(B)が活用できない場合同タイプの
機器の国際基準値( ISOやIEC基準等
)の1.0%の値
判断基準3
その他の障壁
本制度に参加しなければ提案する PJ を実現
できない合理的な理由があるか?
判断基準3 その他の障壁
本制度に参加しなければ提案するPJを
実現できない合理的な理由があるか?
○ 提案プロジェクトは追加的である
ステップ0: プロジェクトの活動開始日に関する予備スクリーニング
「既存設備の継続利用」を
ベースラインシナリオとする?
「初期投資が最も安価な設備を
導入した場合」をベースライン
シナリオとする?
今回の検討課題
提案PJ=ベースラインシナリオ
→削減クレジットなし
本制度の評価:「投資回収年数X年」、特定の機器の「エネルギー効率○%」という指標を制度側で設定することにより、何を基準に追加性を実証できるかをより明
確にしている。
11
9.追加性の実証方法(2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
【追加性の実証・評価ツール(ver2)】
各ステップにおける小ステップおよび詳細を以下に示す。
<ステップ0>活動開始日に関する予備スクリーニング
提案するプロジェクトの活動開始日より前からのクレジット期間を希望する場合
はプロジェクトの開始日がクレジット期間の定義に当てはまることの証拠が必要。
<ステップ1>代替シナリオ(現在の法律・規制に合致するもの)の特定
1a 提案するプロジェクトに対する代替シナリオの特定
1b 適用される法律・規制の執行
<ステップ2>投資分析
CERの販売収入がなければ、提案するプロジェクトが代替シナリオと比べて経
済的又は財務的に魅力が劣ることを示す。
2a 適切な分析方法の決定
2b-1 簡易コスト分析
2b-2 投資比較分析
2b‐3 ベンチマーク分析
<ステップ3>障壁分析
3a 提案するプロジェクトの実施を阻害する障壁の特定
3b 特定された障壁が、少なくとも1つの代替シナリオは阻害しないことを示す
<ステップ4>普及度分析
4a 提案するプロジェクトに類似する他の事例の分析
4b 起こりつつある類似事例の検討
<ステップ5>CDM登録による影響
プロジェクトの認証・登録がどのように経済的または特定された障壁を緩和し、そ
のプロジェクトの実現を可能にするかについて説明する。
本制度の評価:
12
9.追加性の実証方法(3)
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:現在、追加性とベースラインの両方を実証するツールが考案されている。
要点:追加性の実証ツールとベースラインの選択ツールの両方を個別に設けて
いる。
追加性の実証ツールにより、クレジットの追加性についてまず判断する。
○ 提案プロジェクトは追加的である
以下のシナリオを全て検討した上で、実証ツールを使用する。(EB28でのドラフ
ト)
(a)今回提案するプロジェクトがCDMとならないで実施されるケース
(b)その他の可能性のあるシナリオ(必要とされるアウトプットやサービス(電気、
熱、製品等)が賄え、且つ、当該セクターでよく利用されている技術を採用する
ケース等)
(c)該当する場合は、現状維持のケース。また、該当する場合には、(規制、既設
の設備の寿命、資金繰りなどの理由から)今回提案するプロジェクトがCDMとな
らないで将来的に実施されるケース。
判断基準1 投資障壁
判断基準1
投資障壁
提案するPJの投資回収年数は以上か?
提案する PJ の投資回収年数は以上か?
判断基準2 一般的な慣習に伴う障壁
提案するPJで導入予定の機器の効率は以下
のいずれかの値以上のものか?
A)本制度で設定している値
B)上記Aの設定のない機器の場合同タイプの機
器の効率の国内基準値の1.0%の値
C)上記(B)が活用できない場合同タイプの機器
の国際基準値( ISOやIEC基準等)の1.0%の値
×提案プロジェクト
は追加的ではない
判断基準3 その他の障壁
本制度に参加しなければ提案するPJを
判断基準3 その他の障壁
実現できない合理的な理由があるか?PJ
本制度に参加しなければ提案する
を実現
判断基準4
1−3に該当しない
できない合理的な理由があるか?
上記いずれにも該当しない
追加性が実証できた
PJは、「ベースライン
の選択ツールへ」
追加性の基準をクリアしたプロジェクトは、本制度への参加が認められる。ベー
スラインの選択は、以下のベースラインの選択ツールを用いて決定する。
判断基準1 設備の償却年数
既存設備の法定償却年数は終えているか
OR
判断基準2 設備の寿命
既存設備は、稼動できない状態である
YESの場合
ベースライン
初期投資が最も
安価な設備を導
入したシナリオ
NO
NO
ベースライン
既存設備の
継続利用
いずれにしても更新はしていたであろうと考えられるので・・・
ベースライン
最も普及している
設備を導入した
シナリオ
本制度の評価:中小企業が追加性の実証やベースラインの選択において頭を悩ます必要がないように、中小企業としての一般的な設備投資の実態を考慮し、分
かりやすい選択肢を精度側であらかじめ設けている。
13
10.ベースラインシナリオ
CDM
要点:フルスケールでは、事業者がプロジェクトなかりせばの状態を考えること
を求めている。
CDMプロジェクトのベースライン・シナリオとは、提案するプロジェクトがなかった
場合に排出されていたであろう温室効果ガス排出量を合理的に表すシナリオ
[PDD GL ver6, p8]。
・提案されるCDMプロジェクトの実施前の状況に応じて、いくつかの異なるシナリ
オが考えられる
−現状維持はシナリオの一つとなり得る
−提案されているCDMプロジェクトの実施も、その一つとなり得る
国内中小CO2クレジット制度
要点:ベースラインの選択ツールにより、簡単な質問に答えるだけでベースライ
ンが選択できる。
追加性の基準をクリアしたプロジェクトは、本制度への参加が認められる。ベー
スラインの選択は、以下のベースラインの選択ツールを用いて決定する。
判断基準1 設備の償却年数
既存設備の法定償却年数は終えているか
OR
判断基準2 設備の寿命
既存設備は、稼動できない状態である
YESの場合
−その他いろいろなケースが考えられ得る
・ベースライン方法論では、可能性の高い全てのベースライン・シナリオを叙述す
ることが必要
ベースライン
ベースライン
初期投資が最も
安価な設備を導
入したシナリオ
最も普及している
設備を導入した
シナリオ
NO
NO
ベースライン
既存設備の
継続利用
いずれにしても更新はしていたであろうと考えられるので・・・
・異なるシナリオを詳しく述べるため、異なる要素を考慮しなければならない
−例えば、国家・産業政策や状況、技術革新、投資障壁など[PDD GL ver5, p7]
・ホスト国固有の状況によって、将来の温室効果ガス排出量が現状レベルと比べ
て増大するというベースライン・シナリオもあり得る[CMP/2005/8/Ad1, p16 パラ
46]
本制度の評価:中小企業がベースラインの選択において頭を悩ます必要がないように、中小企業としての一般的な設備投資の実態を考慮し、分かりやすい選択
肢を制度側であらかじめ設けている。
14
11.ベースラインと追加性の概念
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:プロジェクトなかりせばの状況をベースラインシナリオとして事業者が検
討し、プロジェクトシナリオ=ベースラインシナリオでないことを実証するこ
とにより追加性を実証する。
要点:追加性の実証ツールとベースラインの選択ツールの両方を個別に設けて
いる。追加性の実証ツールにより追加性の基準をクリアしたPJのみが本
制度では認められ、その後、ベースラインの選択ツールにより適切なベー
スラインを選択する。
CDMプロジェクトのベースライン(シナリオ及び排出量)とは、提案するプロジェク
トがなかった場合に排出されていたであろうGHG排出量を合理的に表すシナリ
オ。(CMP/2005/8Ad1、p16パラ44)
追加性:回収年数基準
追加性:回収年数基準
ベースライン:既存設備の継続利用
ベースライン:既存設備の継続利用
CO2排出量
CO2排出量
ベースライン
ベースライン
削減量
(=クレジット)
削減量
(=クレジット )
0年
2年
不採用
設備D
既存設備の
継続利用
設備C
プロジェクト
排出量
設備B
設備A
既存設備の
継続利用排出量
4年
採用
削減量
(=クレジット )
回収年数
*基準回収年数を 2年とした場合
・ベースライン排出量と、CDMプロジェクト実施後のGHG排出量(プロジェクト排
出量)との差が、CDMプロジェクトによる排出削減量(すなわちクレジット量)とな
る。
本制度の評価:中小企業が追加性の実証やベースラインの選択において頭を悩ます必要がないように、中小企業としての一般的な設備投資の実態を考慮し、分
かりやすい選択肢を制度側であらかじめ設けている。
15
12.ベースラインシナリオが具備すべき要件
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:ベースラインシナリオが具備する要件を定め、事業者にベースラインシナ
要点:事業者は、ベースラインシナリオについて考案する必要は無い。ベースラ
リオを考案させる仕組み。
インの選択ツールにより、簡単な質問に答えるだけでベースラインが選択できる。
ベースライン(シナリオ及び排出量)は以下のように設定しなければならない。
[CMP/2005/8/Ad1, p16 パラ45]
ベースライン方法論を自ら開発することは中小企業にとっては実質不可能である
と判断し、本制度では以下のようなベースライン選択ツールを設けている。
(a)承認済み方法論及び新方法論使用に関する規定に従って、プロジェクト参加
者によって設定されること
(b)アプローチ・前提・方法論・パラメータ・データ出所・重要な要因・追加性の選
択について、不確実性を考慮に入れつつ、透明な、かつ保守的に行うこと
(c)個別のプロジェクト毎に設定すること
(d)小規模CDMについては、そのために開発された簡易化されたルール・手続き
に従うこと
(e)関連する国家・産業政策や状況を考慮に入れること(例:産業改革、現地燃料
調達の可否、電源拡張計画、プロジェクトの産業における経済状況など)
・ベースライン排出量を計算するためには、ベースラインシナリオを特定すること
が必要
・ベースライン排出量は、プロジェクト・バウンダリー内の全てのガス、部門、排出
源区分からの排出量を入れること[CMP/2005/8/Ad1, p16 パラ44]
判断基準1 設備の償却年数
既存設備の法定償却年数は終えているか
OR
判断基準2 設備の寿命
既存設備は、稼動できない状態である
YESの場合
ベースライン
ベースライン
初期投資が最も
安価な設備を導
入したシナリオ
最も普及している
設備を導入した
シナリオ
NO
NO
ベースライン
既存設備の
継続利用
いずれにしても更新はしていたであろうと考えられるので・・・
本制度の評価:中小企業がベースラインの選択において頭を悩ます必要がないように、中小企業としての一般的な設備投資の実態を考慮し、分かりやすい選択
肢を制度側であらかじめ設けている。
16
13.ベースライン方法論
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
CDM理事会が承認したベースライン方法論か、プロジェクト実施者が新規に提
案したベースライン方法論(CDM理事会の承認が必要)の何れかを使用。
あらかじめ設定している3種類のベースライン方法論のいずれかを事業者が選
択。
1.既存設備・技術の継続利用
特定されたベースライン・シナリオにおけるベースライン排出量は、プロジェクト参
加者によって承認済み方法論、又は新方法論に従って計算されなければならな
い。プロジェクト参加者は、どのような方法論でも、それを提案する機会が与えら
れる[PDD GL ver6, p7]
・ベースライン方法論と、それによって導き出されるベースライン・シナリオ、及び
ベースライン排出量計算の手順と式について、整合性を確保することが必要
[PDD GL ver6, p30]
プロジェクト実施時に採用したものと同じ設備・技術のうち、有効化審査受
審時に得られる情報の範囲で初期投資がもっとも安価な設備・技術を導入
した場合のCO2排出量をベースラインとする。
3.最も普及している設備・技術を導入したシナリオ
プロジェクト実施時に採用したものと同じ設備・技術のうち、有効化審査受
審時に得られる情報の範囲で、最も普及している設備・技術を導入した場
合のCO2排出量をベースラインとする。
ベースライン1
CO2排出量
削減量1
<承認済み方法論>
・CDM理事会による承認済みベースライン方法論は、関連するガイダンスと併せ
てUNFCCC CDMウェブサイト(http://unfccc.int/cdm)で公開される[PDD GL
ver6, p8]
−DOE(指定運営組織)は、承認済み方法論の適用可能性について質問を提出
することができる
プロジェクトを実施する前に使用していた設備・技術を、プロジェクト実施後
も継続して使用し続けた場合のCO2排出量をベースラインとする。
2.初期投資がもっとも安価な設備・技術を導入したシナリオ
ベースライン2
削減量
2
<新方法論>
・DOEが、提案されるCDMプロジェクトが新方法論の使用を意図していると判断
した場合、当該プロジェクトについて登録申請を行う前に、提案された方法論を
CDM理事会に提出して、審査の上、承認されなければならない [EB20 Anx2, p2
パラ2]
−「ベースライン及びモニタリング新方法論の作成に関する技術的ガイドライン
バージョン01」が公開されている[EB24 Anx16]
1.既存設備・ 2.初期投資が
技術の継続 もっとも安価な
利用
設備・技術
3.最も普及し
ている設備、
技術
削減量
3
ベースライン3
導入した設備
本制度の評価:
本制度ではCO2排出量が小規模で、エネルギー管理や環境管理業務への人的資源や資金の投入が難しい中小事業者を対象としている。このような事業者は、 「プ
ロジェクトなかりせば」の状態を特定することが困難であると考えられる。このため、本制度では「プロジェクトなかりせば」の状態として3種類をあらかじめ設定し、中小
事業者がもっとも適切なものを選択可能にした。この3種類で中小事業者の「プロジェクトなかりせば」の状態をほぼ網羅していると考えられること、あらかじめ3種類を
用意しておくことで、人的資源が乏しい事業者であっても容易にベースラインを選択することが可能になることから、この方法は本制度の効果的、効率的な運用に寄
与すると考えられる。
17
14.ベースラインアプローチ
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:事業者にABCのうちいずれかのベースラインアプローチを選択させ、それ
要点:事業者がベースラインアプローチを選択する必要はない。ベースラインの
を正当化することを求めている。
選択ツールにより、簡単な質問に答えるだけでベースラインが選択でき
る。選択ツールは、CDMのABCのアプローチの要素を取り入れて考案さ
れている。
<ベースライン方法論の選択>
CDMプロジェクトのベースライン方法論を選択する際、プロジェクト参加者は以
下の中から最適なアプローチを選択し、その選択が適切であることを正当化しな
ければならない[CMP/2005/8/Ad1, p16 パラ48]
(a)適用可能な場合、実際の又は過去の排出量
(b)投資障壁を考慮した上で、経済合理的な技術を採用した場合の排出量
(c)同様の社会・経済・環境・技術的な状況下で、過去5年に実施された類似のプ
ロジェクト(かつ同じ分野で効率が上位20%に入っていること)からの平均排出量
(詳細は[EB08 Anx1 パラ4-5]参照)
ベースライン方法論およびベースラインアプローチをを自ら開発することは中小
企業にとっては実質不可能であると判断し、本制度では以下のようなベースライ
ン選択ツールを設けている。
NO
判断基準1 設備の償却年数
既存設備の法定償却年数は終えているか
OR
判断基準2 設備の寿命
既存設備の
継続利用
既存設備は、稼動できない状態である
YESの場合
・CMP/2005/8/Ad1パラ48の(a)(b)(c)の間では、重複する部分があるという指
摘があるが、パラ48は1つのアプローチが選択されるべきとしているので、提案
者はベースライン排出量又はベースライン排出原単位の算定過程を最も良く反
映したものを1つだけ選択しなければならない[EB10 Anx1 パラ4]
NO
ベースライン
ベースライン
いずれにしても更新はしていたであろうと考えられるので・・・
ベースライン
初期投資が最も
最も普及している
OR
安価な設備を導
設備を導入したシ
入したシナリオ
ナリオ
本制度の評価:
18
15.バウンダリー
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
プロジェクト参加者の管理下にあるすべての温室効果ガス排出源がバウンダ
リー。バウンダリー外であっても、プロジェクトに起因して増加した温室効果ガス
は、プロジェクトによる削減量から控除。
プロジェクト実施時に採用した設備・技術のもっとも明確な物理的境界線がバウ
ンダリー。リーケージは考慮しない。
プロジェクトのバウンダリーとは、プロジェクト参加者の管理下にあって、顕著で、
当該プロジェクトの実施に起因する、全ての人為的な温室効果ガス排出源
[CMP/2005/8/Ad1, p17 パラ52]
• 中小事業者がプロジェクト実施時に採用した設備・技術のもっとも明確な物理
的な境界線をバウンダリーとする。
• 平成17年度、18年度事業で、プロジェクトでバウンダリーが問題となったことは
ない。
• リーケージは小規模CDMと同様に考慮しない。
方法論パネルは、「プロジェクト参加者の管理下」、「顕著な」かつ「当該プロジェ
クト実施に起因する」の定義を決定しなければならない[PDD GL ver6, p11]−こ
れらの定義が未決定のため、プロジェクト参加者がベースライン・モニタリング新
方法論(CDM-NM)を提案する際に、それらの解釈を説明することとなっている
リーケージとは、当該CDMプロジェクトの実施により生じる、プロジェクト・バウン
ダリー外での温室効果ガス排出量の純変化[CMP/2005/8/Ad1, p17 パラ51]で、
計測可能で当該プロジェクトに起因するもの[PDD GL ver6, p10]リーケージによ
る排出増加量は、プロジェクト・バウンダリー内の排出削減量から差し引かれる
[CMP/2005/8/Ad1, p17 パラ50]
本制度の評価:
本制度では中小事業者がプロジェクト実施時に採用する設備・技術によるエネルギー起源CO2排出量が対象となる。採用した設備・技術が使用したエネルギー起源
のCO2の特定は容易であるため、上記のような本制度でのバウンダリーの定義で問題が生じるプロジェクトは非常に限られると考えられる。問題が生じたプロジェク
トについては、制度運営組織のしかるべき部門で協議することが必要になると考えられる。
リーケージについては、本制度が対象とする中小事業者からのCO2排出量が小規模であることから、小規模CDMと同様の考え方を採用することで問題ないと考えら
れる。
19
16.モニタリング
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
CDM理事会が承認したモニタリング方法論か、プロジェクト実施者が新規に提案
したモニタリング方法論(CDM理事会の承認が必要)の何れかを使用。
モニタリング方法はプロジェクトごとに中小事業者が個別に設定。
モニタリングとは、ベースラインを決定するために必要なデータを収集・保管、プ
ロジェクト・バウンダリー内の温室効果ガス排出量とリーケージを測定すること。
[PDD GL ver6, p10]
• ベースラインを推定計算するために必要な項目と、プロジェクト実施後CO2排
出量を算定するために必要な項目を計測・記録する。
• ベースラインを推定計算するために必要な項目の中に、プロジェクト実施前の
実測結果に基づくことが望ましいもの(プロジェクト実施前の活動量やエネル
ギー使用量など)がある。これらのデータが実測されていない場合は、他の合
理的な方法で推定することが可能である。合理的な方法かどうかについては、
有効化審査時に審査人が判断する。
• ベースラインを推定計算するために必要な項目のうち、プロジェクト実施後の実
測結果に基づくもの(プロジェクト実施後活動量など)およびプロジェクト実施後
エネルギー使用量は、実測するための計測器を設定し、実測結果を記録する。
実測するための計測器が設置できず、他の合理的な方法によって実測が必要
な項目を推計する場合は、有効化審査時に審査人がその法王の合理性を審
査する。
• 測定器の不確実性のレベル及び校正方法については、どこまでのレベルを要
求するかについて、制度設計時に検討が必要である。
・提案するCDMプロジェクトのモニタリング計画は、CDM理事会によって承認さ
れている方法論、又は新たな方法論に基づいていることが必要
[CMP/2005/8/Ad1, p17 パラ54]
・モニタリング計画の情報の正確性/完全性を改善するための改訂は、プロジェク
ト参加者が証明し、有効化審査のためにDOEに提出することが必要
[CMP/2005/8/Ad1, p18 para57]
−CDM理事会は、登録されたCDMプロジェクトのモニタリング計画の変更のた
めの手順案を作成することを、事務局に対して要請した[EB25 Rep, p18
para109]
<モニタリングで使用する測定機器の条件>[EB23 Rep,p5 パラ24]
・様々な変数・パラメーターを測定するための機器の不確実性レベル及び較正
(カリブレーション)方法についてPDDに記載しなければならない(QA/QC手順を
含む)
・規格については、国又は国際レベルのものであることが必要
・機器の不確実性レベルの信頼性については、DOEによる検証段階で検証され
ること
・計測機器のゼロ点補正は、較正の代替とすることはできない[EB24Rep,p8 パラ
37]
本制度の評価:
本制度ではCO2排出量が小規模で、エネルギー管理や環境管理業務への人的資源や資金の投入が難しい中小事業者を対象としている。このような事業者対して
は、モニタリング結果に対する合理性を確保しながら簡易なモニタリング方法を採用することを要求する必要があると考えられる。このため、上記のような一定の幅を
持たせたモニタリング方法論を設定することが、本制度の効果的、効率的な運用に寄与すると考えられる。また、測定器の不確実性については、中小事業者の実態
と本制度がCO2排出量についてどこまでの制度を追求するかを考慮して、制度設計時に検討する必要がある。
20
17.クレジット期間(1)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
クレジットはプロジェクト登録日以降のクレジット期間に対してのみ発行される
[CP/2001/13/Ad2, p23 パラ12]
法定耐用年数の2倍の年数をひとつの基準とする。
単純化のため、ベースライン方法論の見直しを採用することが考えていない。
<クレジット期間の選択>
・プロジェクト参加者は、次のいずれかのクレジット期間を選択する
[CMP/2005/8/Ad1, p17 パラ49]
−最大7年間(2回更新可能:最長21年間)
−それぞれの更新の際に、DOE(指定運営組織)が既存のベースラインの維持、
又は適用可能な新たなデータに基づいてベースラインの再設定について判断
し、CDM理事会に通知する
−最大10年間(更新なし)◆CERの発行は、2000年以降の排出削減量が対象と
なり得る[EB12 Anx3, パラ1(b)]
<クレジット期間の更新>
クレジット期間の更新の際に必要な文書と手続き[EB20 Anx7]
・CDMプロジェクトの2回目、3回目のクレジット期間の開始時に、以下の2点につ
いて考慮することが必要
−継続するベースラインの有効性の評価
−ベースラインの更新
<クレジット期間の開始日の指定>[EB24 Anx31, パラ4-5]
・プロジェクト参加者はPDDにクレジット期間の開始日を日/月/年の形式で記入し、
条件(例えば、想定日)を付けてはならない
・段階的に実施されるプロジェクトであっても、クレジット期間の開始日は1つを特
定しなければならない
本制度の評価:
21
17.クレジット期間(2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
<プロジェクト開始の定義>
「プロジェクトの開始」の定義は、プロジェクトの実施、又は建設、又は実際の行
動を開始した日[PDD GL ver6, p12]
・CDMプロジェクトの開始日は、当該プロジェクトのクレジット期間の開始日と同
じである必要はない。したがって、2000年1月1日以降に開始されたプロジェクト
は、2006年以降に有効化されCDMプロジェクトとして登録されることは可能であ
る。[EB21 Rep, p10 パラ63]
本制度の評価:
22
18.バリデーション(1−1)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
プロジェクト参加者により選定されたDOE(指定運営組織)は、契約に基づきプロ
ジェクト設計書及び全ての関連文書を審査し、有効化審査のための要件(以下
参照)が満たされているかを確認する[CMP/2005/8/Ad1, p14 パラ37]
「CO2クレジット取引管理センター」によって任命された審査人は、契約に基づき
「CO2削減プロジェクト計画書」及び全ての関連文書を審査し、有効化審査のた
めの要件が満たされているかを確認する。
<有効化審査要件>
CDMに参加するための以下の条件が満たされていること。
−CDMプロジェクトへの参加が自主的であること
−締約国がCDMに参加する場合、DNA(指定国家機関)を設立していること
−非附属書Ⅰ国であっても、京都議定書締約国であればCDMプロジェクトに参
<有効化審査要件>
有効化審査における要件は、追加性及びベースラインの議論や、方法論検討後
でなければ、確定することは難しい。
現段階では、次のような事が考えられるが、CDMにおいて検討される以下の事
項については、本制度の参加要件としては求められない。
– 参加が自主的か : 申請される時点で自主的な参加とみなす。
– DNAの設立
: 国家間のやり取りではないため、必要ない。
– 参加国の要件
: 国としての要件は必要ないが、中小企業であるかの
確認は必要である為、参加者は申請時に必要な企業情報を記載する必
要がある。
– 利害関係者のコメント : 申請事業者の敷地内で実施されるプロジェクト
であるため、地元利害関係者のコメントは必要ないと考えられる。
– 環境影響分析 : 申請事業者の敷地内で実施されるプロジェクトであり、
国内法及び関連条例を充たすようなプロジェクトであれば、環境影響分析
を行う必要はないと考えられる。近隣住民に影響を与えるようなプロジェク
ト内容であると、「管理センター」が判断した場合には、その影響について
「管理センター」は吟味し、実施の可否について判断する。
– 追加性
: プロジェクト検討委員会で決まった本制度における追加性
判断を採用。
– ベースライン・モニタリング方法論 : 「CO2削減プロジェクト計画書」及び
「CO2削減計算書」の記載内容が適切か、計算書の選択に誤りはないか
などを有効化審査手続書に従って確認する。
加することが可能
−地元利害関係者のコメントを募り、受け取ったコメントの要約の提出、コメント
に対してどのように適切な考慮を行ったのかについてDOEへの報告書が提出
されていること
−環境影響分析、又はホスト締約国の要請に沿った環境影響評価に関する書
がDOEに提出されていること
−提案されているプロジェクトがなかった場合と比して、温室効果ガスの追加的
な排出削減が予想されること
−ベースライン・モニタリング方法論が、CDM理事会によって既に承認済み方法
論の要件又は新方法論を構築する方法や手順に関する要件を満たしているこ
と
23
18.バリデーション(1−2)
CDM
国内中小CO2クレジット制度
−モニタリング・検証・報告に関して、CDMのルールや関連するCOP/MOPの決
– プロジェクト実施に際しては、CO2クレジット取引管理センターから発行される・
「国内中小CO2クレジット制度参加ガイドライン*」の内容に則ってプロジェクトの
申請・実施・モニタリング・検証・報告・登録等が行われていること。
定に従っていること
−その他のCDMルール、COP/MOPやCDM理事会による関連する全ての決定
– 「CO2削減プロジェクト計画書」に記載すべき内容が全て記載されていること。
に従っていること
*本制度に関係する全ての人が、本制度を理解するためのガイドライン。H18年
度事業では、制度の全体像で未確定要素も含まれているため、現段階で総合
的なガイドラインを提供する事は困難である。次期の課題。
本制度の評価:CDMでは、有効化審査はCDM理事会が承認したDOEが行うため、各審査方法の詳細については各DOEによって異なる。また、有効化審査の
要件としては、ホスト国締約国間の承認や環境影響分析などが含まれている。本制度では、中小企業の敷地内で行われるプロジェクトであるため、そのような条件に
ついては考慮する必要がない。また、有効化審査の実施においても、「CO2クレジット取引管理センター」に登録された審査人が審査を実施する事を想定している。
CDMでは各審査機関・審査人ごとに審査のばらつきが懸念されているが、本制度では、「有効化審査手続書」が提供され、講習などが行われる事によって審査人の
質を均一化し、多くの審査を安価にこなせる仕組みを目指している。
24
18.バリデーション (2)
CDM
要点:有効化審査報告書は、審査が行われた結果を公表される
国内中小CO2クレジット制度
要点:有効化審査の結果として、有効化審査証明書が「管理センター」から事業
者に発行される予定。
<有効化審査報告書(Validation Report)>
有効化審査報告書に関してDOEは以下のことを行うことが必要。
[CMP/2005/8/Ad1, p15 パラ40]
−CDM理事会への有効化審査報告書の提出の前に、ホスト国による「当該プロ
ジェクト活動が持続可能な開発の達成に貢献する」という確認を含め、関係締
約国のDNAから書面による自主的参加の承認を受け取っていること
−守秘義務に関する規定に従いPDDを公表すること
−提案されたプロジェクトの有効性を決定した場合、PDD、ホスト締約国の書面
<有効化審査証明書 ( Validation Report )>
– 有効化審査証明書は、事業者が制度に参加し、有効化審査を通過した証
書として「管理センター」から事業者に発行される。
– (PDDを公表する場合は) PDDの公表に関しては「 CO2クレジット取引
管理センター」が行う。
による承認、受け取ったコメントへの対応についての説明を含む有効化審査報
告書によって、CDM理事会に登録申請を提出すること
−CDM理事会に提出した後、有効化審査報告書を公表すること
本制度の評価:CDMにおける、有効化審査報告書は、ホスト国の承認、関係締約国の承認、ステークホルダーのコメント等をCDM理事会に登録申請する事と
Web上で公開する事による審査の透明性の確保や他の申請者への情報提供という意味合いもあるといえるが、本制度では、国家間の承認文書及びステークホル
ダーのコメント等も添付する必要はない。本制度での有効化審査証明書は、事業者が制度に参加し、有効化審査を通過した証書として「CO2クレジット取引管理セン
ター」より発行される事を想定しており、証書の目的がCDMとは異なる。
25
19.バリデーション、ベリフィケーション・ツール
CDM
要点: CDMでは、制度に必要なツール(文書)が様々な主体から徐々に追加し
国内中小CO2クレジット制度
要点:本制度を運用するための以下の簡易化されたツールが提供される。
て提供されているため、文書が体系的ではなく、利用者にとって分かり難い。
バリデーション/ベリフィケーションの実務で使用されているガイドライン等。
•
•
•
•
•
•
バリデーション ベリフィケーション マニュアル
CDMバリデーションプロトコル ver3
CDMバリデーションレポートテンプレート
GHGプロトコルPJモジュール
PDDガイドラインver6
SSCガイドライン ver3
CDM方法論
• 追加性実証ツール
• 小規模CDM方法論(SSCガイドライン)
• CDM登録テンプレート(PDDガイドライン)
• プロジェクト種類別方法論・必要知識ガイド
その他
• 事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(日本語 環境省)
• エネルギー源別発熱量表の改訂について(日本語 資源エネルギー庁)
• Pwcによるバリデーション・レポート
• 経団連自主行動計画
本制度で利用される主なツールを以下に示す。
<制度全般>
・国内中小CO2クレジット制度参加ガイドライン
(本制度に関係する全ての人が、本制度を理解するためのガイドライン。
H18年度事業では、制度の全体像で未確定要素も含まれているため現段
階で総合的なガイドラインを提供する事は困難である。次期の課題)
<有効化審査ツール>
・CO2削減プロジェクト計画書 (事業者作成)
プロジェクト計画書には、6タイプのCO2削減計算書が含まれており、この計
算書を利用する事によって、事業者は簡易にCO2削減量を算出する事が
出来る。
計算書にはCO2削減量計算に必要な各種係数のデフォルト値も提供され
ている。
・有効化審査手続書 (有効化審査人利用)
・有効化審査証明書 (管理センター⇒ 事業者へ)
<事後審査ツール>
・CO2削減プロジェクト実施報告書 (事業者記載⇒管理センターに提出)
・事後審査手続書 (事後審査人利用)
・事後審査証明書 (管理センター⇒ 事業者へ)
本制度の評価:CDMでは、制度に必要なツール(文書)を徐々に追加しているため、文書が体系的ではなく、利用者にとって分かり難い。本制度では、事業で必要
なツールも可能な限り簡素化し、中小企業事業者が制度に参加しやすいような体系的な文書構成を目指している。個別の文書に関しては、実際
に制度を運用していく過程で、より利用しやすいように改訂されてゆく予定。
26
20.CERの検証・認証・発行 (1)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:モニタリング報告書の提出時期と提出頻度については、公式文書では明
要点:
記されていない。
本制度から発行されるクレジットについては、次期以降の課題であるが、CO2削
減量の検証については、事後審査として次のような手順で実施されることを想定
している。しかしながら、更なる検討が必要である。
CERの検証・認証・発行の手順
DOE
①CDM参加者がDOEに
モニタリング報告書を提出
②モニタリング報告書を
web上で公開
④検証を行い検証報告書
を作成
⑤検証報告書に基づき、
削減量を書面にて認証
⑥モニタリング報告書を
web上で公開
気候変動枠組条約事務局
(UNFCCC事務局)
③DOEからの連絡を受けた
後、直ちにUNFCCCウェブ
サイトにて情報を提供
⑦DOEからの提出が完全か
どうかを決定する
⑧提出様式、検証及び認証
報告書をUNFCCCウェブサ
イトにて公表する
⑨UNFCCC事務局はEB−
RITのメンバーから専門家
を指名する
CDM理事会
⑩発行申請受理後、15
日以内にプロジェクトに
関係する締約国、又は
CDM理事会メンバー3
名以上からCER発行の
再審査(レビュー)要請
【1年目の確認】
– 有効化審査を受審し、承認されたプロジェクトは1年後にモニタリ
ングが適切に行われているか、プロジェクト関係設備に変更など
の問題はないか等の確認を行う必要がある。この1年目の確認
は、十分な専門知識と経験を有する登録審査人が行う事とする。
「CO2削減プロジェクト計画書」の記載内容と実際の稼働状況に
おいて、修正・変更の必要が認められた場合には「CO2削減プロ
ジェクト計画書」の改訂を行う。
【2年目以降の確認】
– プロジェクト実施事業者は、前年度の審査以降申請が必要な変
更が発生した場合には、速やかに「 CO2クレジット取引管理セン
ター 」に変更申請を行う。
– 変更申請の有無によって「 CO2クレジット取引管理センター 」は
審査人の選定を行う。
– 「CO2クレジット取引管理センター」に選定された審査人が、「事
後審査手続書」に従って事後審査を実施する。
本制度の評価:
27
20.CERの検証・認証・発行 (2)
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:CDMでは、逸脱に関してDOEがCDM理事会に通知し、方針を述べ、理
要点: 本制度では、逸脱が発覚した場合、審査人はその内容について「CO2ク
事会の判断を仰いだ後、次の手続に進む。
レジット取引管理センター」に通知し、判断を仰ぐ。
逸脱要請の手順[EB24 Anx30]
審査人は、審査の対象となるプロジェクトが「国内中小CO2クレジット制度」の
ルール及び「計画書」「報告書」の規定の記入方法等から逸脱している場合には、
DOEは、承認済み方法論や登録済みプロジェクトの規定内容からの逸脱がある
場合、プロジェクトの登録申請又はCERの発行申請の前にCDM理事会に通知し、 「CO2クレジット取引管理センター」に通知し、判断を仰ぐ。
それらの逸脱にどのように対処する方針なのかについて説明を行う。DOEは、
CDM理事会からガイダンスを受けた後にしか、さらなる手続きに進むことはでき
ない。またパネルの議長は、それらの逸脱についてパネルで検討すべきかどうか
について意見を提出する。
本制度の評価:CDMでは、逸脱に関してDOEがCDM理事会に通知し、方針を述べ、理事会の判断を仰いだ後でなければ次の手続に進むことが出来ないが、本
制度では審査人は方針を述べる必要はなく、管理センターでは審査人の通知内容に基づいて次の手続についてパネルでの審議が必要か、審査
人が審査を続行するか、その際の注意点など指示を出す事によって審査機関(審査人)ごとの判断のばらつきを防ぐ事が可能である。
28
21.CERの分配
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
クレジットの管理方法については次期以降の課題とする。
本制度の評価:
29
22.プロジェクト登録料
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
プロジェクト参加者はプロジェクト登録の際に登録料を支払う。
<CDMプロジェクト登録料>[EB23 Rep Anx35]
・CDM参加者は登録の際、登録料を支払う
・登録料は、「CDM制度の運用経費に充てるための徴収分(SOP-Admin)」に当
該CDMプロジェクトのクレジット期間全体における平均年間排出削減量を乗じ
た額とする⇒SOP-Adminは、ある暦年におけるCER発行要求に対して、最初
の15,000t-CO2までは0.1米ドル/CER、それを超える分については0.2米ドル
/CER⇒登録料は最大350,000米ドルとする⇒クレジット期間全体における平均
年間排出削減量が15,000t-CO2を下回るCDMプロジェクトについては登録料
を支払う必要はない
・登録料は、(後に支払うべき)SOP-Adminから差し引かれる⇒結果として、登録
料は、1年目に支払うSOP-Adminの前払いとなる⇒プロジェクトが登録されな
かった場合、支払った登録料のうち30,000米ドルを超える部分は払い戻される。
・DOE(指定運営組織)はプロジェクト設計書に書かれている予想排出削減量の
達成可能性について記述しなければならない。この記述が登録料算定の基準
となる[EB11 Rep Anx6]
要点:
プロジェクトを登録する際に登録料を徴収することが想定される。更新
登録時にも登録料の徴収をする。
<中小CO2クレジット制度登録料>
管理センターを設置した場合に、その運営費用をどのように賄うかについては別
途議論が必要だが、本事業では割愛する。ただし、運営費用の原資としては本
制度へのプロジェクト登録料が有力と考えられるので、その徴収方法を以下に考
察する。
・登録料の徴収方法
1.初回登録時・・・プロジェクトを本制度に登録する際に支払。
2.更新登録時・・・一定期間を経た後、もしくは規定のプロジェクト期間経過
後、再度の登録時に登録料を徴収。
・登録料の使途
• 管理センター運営費用
• システム化されたプロジェクト・クレジット管理を行う場合、そのメンテナン
ス費用
• 登録審査員制度運営費用
• 制度の広報費用
・CDMのSOPのように「特定目的の登録料」を立てるならば、中小企業への技術
最適化、もしくは有用技術の低廉化支援などへの使途を考察することもあり得べ
き。
本制度の評価:
プロジェクトの登録時、再登録時に登録料を徴収。制度の規模が拡大した場合には、運営コストを賄うための何らかの費用徴収が必要。
30
23.PDDの記載項目
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
(2006年7月28日以降有効のバージョン03に基づく)
A.プロジェクト活動の概要
プロジェクト計画書
A.1 プロジェクト活動の名称
A.2 プロジェクト活動の内容
A.3 プロジェクト参加者
A.4 プロジェクト活動の専門的記述
A.4.1 プロジェクト活動の場所
A.4.1.1 ホスト国
A.4.1.2 地域/州/地方等
A.4.1.3 市/町/村等
A.4.1.4 実地場所の詳細(プロジェクト活動の場所を特定できる情報を含む)
A.4.2 プロジェクト活動の種類
A.4.3 プロジェクト活動で採用する技術
A.4.4 選択したクレジット期間における推定排出削減量
A.4.5 プロジェクト活動に対する公的資金
B. ベースライン及びモニタリング方法論の適用
B.1 プロジェクト活動に適用した承認済みベースライン方法論の名称及び出典
B.2 その方法論を選択した理由と当該プロジェクト活動への適用理由
B.3 プロジェクト境界内の排出源及び排出ガスについての記述
1.事業者情報
2.プロジェクトの概要
3.プロジェクト概略図
(1)プロジェクト実施前概要
①プロジェクト実施前設備の設備配置図・計測・記録状況を記してくださ
②計測・記録状況
③既存設備に関する情報
④写真
(2)プロジェクト実施後概要
①プロジェクト実施後設備の設備配置図・計測・記録状況を記してください
②計測・記録状況
③導入設備に関する情報
④計測・記録体制図
B.4 ベースラインシナリオの特定方法及び特定されたベースラインシナリオについての記述
B.5 登録されたCDMプロジェクト活動がなかった場合と比べ、GHG排出量がどのように削
減されるのかについての記述(追加性の評価・実証)
B.6 排出削減量
B.6.1 方法論選択についての説明
B.6.2 有効化審査時に入手可能なデータ及びパラメータ
B.6.3 排出削減量の事前計算
4.原単位の設定(と活動量の特定)
(1)活動量の特定:エネルギー使用量と強い相関関係を有すると考えられる活
動量指標を挙げよ。
(2)(1)の活動量指標が相関関係を持つと考える理由を記述。また当該指標と
エネルギー使用量との対比を示す資料を別に添付。
B.6.4 排出削減量の事前推定に関する要約
B.7 モニタリング方法論の適用及びパラメータ
B.8 ベースライン及びモニタリング方法論の適用を完成させた日付及び責任者/責任機関の名前
本制度の評価:
31
23.PDDの記載項目
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
(2006年7月28日以降有効のバージョン03に基づく)
プロジェクト計画書 (つづき)
5.事業費に関する情報
C。 プロジェクト活動期間/クレジット期間
C.1 プロジェクト活動期間
C.1.1 プロジェクト活動開始日
プロジェクトに要する費用
投下資金の回収見通し
設備投資を決定した要因
C.1.2 想定されるプロジェクト活動の耐用年数
C.2 クレジット期間の選択及び関連情報
C.2.1 更新可能なクレジット期間
C.2.1.1 第1期クレジット期間の開始日
C.2.1.2 第1期クレジット期間の長さ
C.2.2 固定クレジット期間
C.2.2.1 開始日
C.2.2.2 長さ
D. 環境への影響
D.1 環境への影響(国外への影響含む)について分析した文章
D.2 ホスト国又はプロジェクト参加者によって、環境への影響が大きいと判断された場合、
6.CO2排出量と削減量の算定
CO2削減計算書Ⅰ-1 燃料転換・ボイラ交換
CO2削減計算書Ⅰ-2 燃料転換・バイオマス化
CO2削減計算書Ⅱ-1 ボイラ燃料転換・コジェネ
CO2削減計算書Ⅱ-2 燃料転換・マイクロコジェネ
CO2削減計算書Ⅲ
空調
CO2削減計算書Ⅳ
照明
CO2削減計算書Ⅴ
断熱
CO2削減計算書Ⅵ
その他
付表1 CO2排出係数一覧表
付表2 エネルギー単価一覧表
環境影響評価の結果および全関連文章を提出すること
E. 利害関係者のコメント
E.1 地元の利害関係者のコメント受付・集計方法の概要
E.2 受け取ったコメントの概要
E.3 受け取ったコメントへの対応についての報告
採用した技術に適した計算書を選択して下さい。複数の技術を採用している場合
には、それぞれモニタリングしているデータに応じて分割し、複数の計算書を作
成して下さい。
C.クレジット期間は別途考慮必要があるが
D.環境影響評価は不要
E.プロジェクト規模が小さいため利害関係者コメントは不要
本制度の評価:
32
24.小規模CDM(SSC)の定義
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:タイプ別に排出削減量に一定の上限が設けられ、それ以下の規模である
必要
要点:中小事業者の実施するCO2削減プロジェクトであればそのプロジェクトタイ
<簡易化された様式・手続きが適用可能な小規模CDM>[CMP/2005/8/Ad1,
p43-45]
定義
中小企業法に定められる中小事業者が実施するCO2削減プロジェクトで、当制
度において追加性が認められるもの。
プを問わない
タイプ1 : 最大出力が15MWまでの再生可能エネルギープロジェクト
−ピート(泥炭)や非生物起源廃棄物を燃焼するプロジェクトは対象外
−バイオマス、バイオ燃料、バイオガス等のプロジェクトにおける15MW(電力)の
上限とは、45MW(熱量)までの装置又はプラント(例:ボイラー)の出力とする。
再生可能物と化石燃料の混焼の場合、化石燃料を用いる時のシステムの定
格出力を適用すること。[EB25 Anx32, p2 パラ7(c)]
タイプ2 :エネルギー供給又は需要サイドにおける、年間の削減エネルギー量
が15GWh(=1500万kWh)(又は同量相当分)までの省エネルギープ
ロジェクト
ー需要サイド及び供給サイドの省エネルギーの両方が対象となる。
CO2削減規模
CO2削減規模についての制限なし。
本制度の趣旨から、中小事業者の実施するCO2削減プロジェクトを対象にしたも
のであるため、おのずと規模が限られるが、上限は設けない。
プロジェクトタイプ
プロジェクトタイプの制約なし。
CO2削減の趣旨に適うプロジェクトであればそのプロジェクトタイプは問わないが、
省エネの趣旨に適合しない既存設備の改修・更新ではない設備の新設は対象
外。
タイプ3 :排出量がCO2換算で年間15kt(=1万5000t)未満の人為的な排出量
を削減するプロジェクト
−本タイプのプロジェクトは、GHG排出量を削減し、全体からの直接排出量が
CO2換算で15,000t/年を超えないことが必要
−本タイプのプロジェクトは年間排出削減量がCO2換算で25,000t以下であるこ
とが必要。クレジット期間中に年間排出削減量がCO2換算で25,000tを超え
たとしても、その年の排出削減量は25,000tを上限とする。[EB24 Rep, p11
パラ64]
本制度の評価:
33
24.【SSC】小規模CDM(SSC)の定義
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
<簡易化された様式・手続きが適用可能な小規模CDM>[CMP/2005/8/Ad1,
p43-45]
・技術の種類別に「CO2削減量計算書」が用意されており、事業者ごとに複数の
技術を一本の「CO2削減プロジェクト計画書」で申請できる。
タイプ1 : 最大出力が15MWまでの再生可能エネルギープロジェクト
・排出量の規模で制度対象事業者を特定していない。
・中小企業基本法による中小企業を対象事業者としている。
−ピート(泥炭)や非生物起源廃棄物を燃焼するプロジェクトは対象外
−バイオマス、バイオ燃料、バイオガス等のプロジェクトにおける15MW(電力)の
上限とは、45MW(熱量)までの装置又はプラント(例:ボイラー)の出力とする。
再生可能物と化石燃料の混焼の場合、化石燃料を用いる時のシステムの定
格出力を適用すること。[EB25 Anx32, p2 パラ7(c)]
タイプ2 :エネルギー供給又は需要サイドにおける、年間の削減エネルギー量
が15GWh(=1500万kWh)(又は同量相当分)までの省エネルギープ
・省エネ法第一種及び第二種特定事業者は対象外(制度設計時に要検討)
【参考】
①特定事業者には原単位5年度平均1%減の努力目標有り。
②特定事業者の指定指標は、年度間エネルギー使用量を原油に換算して、第二
種は原油換算1,500kL以上、第一種は3,000kL以上。
③原油換算1,500kL相当のC重油を使用した場合のCO2排出量は、約
4,100tCO2/年。
ロジェクト
ー需要サイド及び供給サイドの省エネルギーの両方が対象となる。
タイプ3 :排出量がCO2換算で年間15kt(=1万5000t)未満の人為的な排出量
を削減するプロジェクト
−本タイプのプロジェクトは、GHG排出量を削減し、全体からの直接排出量が
CO2換算で15,000t/年を超えないことが必要
−本タイプのプロジェクトは年間排出削減量がCO2換算で25,000t以下であるこ
とが必要。クレジット期間中に年間排出削減量がCO2換算で25,000tを超え
たとしても、その年の排出削減量は25,000tを上限とする。[EB24 Rep, p11
パラ64]
本制度の評価:本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。
34
25.【SSC】機器の効率
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
以下の5段階で機器の効率を選択
以下の2つの方法をから選択
<機器の効率の選択方法>
機器の効率[SSC GL ver3, p12]を決定するに際して、プロジェクト参加者は以下
から選択しなければならない。
ベースラインを推計するために機器の効率を使用する場合は、以下の2つの方
法の何れかを選択する。
(a)簡易化された方法論(=CP/2002/7/Ad3 ApxB)に記載されている値
(b)上記(a)が活用できない場合、同タイプの機器の国内基準値
(c)上記(b)が活用できない場合、同タイプの機器の国際基準値(ISOやIEC基準
等)
(d)上記(c)が活用出来ない場合、機器製造者の仕様値(国内又は国際的な第三
者認証機関によって試験され、認証されていることが必要)
1.機器のカタログに記載されている効率
2.プロジェクトを実施する中小事業者(外部の設備業者等も含む)による実測
結果に基づく効率
事業者が使用した効率については、有効化審査時に審査人がその効率が適切
かどうか審査を行う。
・プロジェクト参加者は、当該プロジェクトのために設置された機器について、独
立機関による試験結果から得られた効率データを使用することも可能
本制度の評価:
本制度ではさまざまな種類の省エネ機器によるプロジェクトを対象としているため、それら省エネ機器すべてに基準となる効率を設定することは非常に困難である。ま
た、本制度に参加する中小事業者はエネルギー管理や環境管理業務への人的資源や資金の投入が難しいため、外部の独立機関による測定に基づく効率を求める
ことも非常に困難である。このため、上記2つの方法を事業者に選択させ、使用した効率を審査人が審査する方法は、本制度の効果的、効率的な運用に寄与すると
考えられる。
35
26.【SSC】複数の活動で構成される場合
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:当該プロジェクトがSSCに該当することを、それぞれの活動で3つのタイ
要点:本制度では、エネルギー使用量や設置機器の規模で制度対象事業者を
プごとに証明する必要がある。
特定せずに、中小企業基本法による中小企業を対象事業者としている。
・小規模CDMの3つのタイプは排他的である[SSC GL ver3, p16]
・技術の種類別に「CO2削減量計算書」が用意されており、事業者ごとに複数の
技術を一本の「CO2削減プロジェクト計画書」で申請できる。
−複数の活動によって構成されるプロジェクトが、小規模CDMにおける簡易化さ
れたルール・手続きを適用したい場合、それぞれの活動が、適用できる3つのタ
イプにおける小規模CDMの定義に合致していることが必要
−例えば再生可能エネルギーと省エネルギーの両方から構成されるプロジェクト
の場合、再生可能エネルギーはタイプ1、省エネルギーはタイプ2の定義に合致
していなければならない
・排出量の規模で制度対象事業者を特定していない。
・中小企業基本法による中小企業を対象事業者としている。
・省エネ法第一種及び第二種特定事業者は対象外(制度設計時に、要検討)
【参考】
①特定事業者には原単位5年度平均1%減の努力目標有り。
②特定事業者の指定指標は、年度間エネルギー使用量を原油に換算して、
第二種は原油換算1,500kL以上、第一種は3,000kL以上。
③原油換算1,500kL相当のC重油を使用した場合のCO2排出量は、約
4,100tCO2/年。
本制度の評価:本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。このため、制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネル
ギー量などでの制限は設けていない。
36
27.【SSC】SSCの定義を逸脱した場合
CDM
要点:クレジット期間における毎年、SSCの定義を逸脱してはならない。
国内中小CO2クレジット制度
要点:本制度では、エネルギー使用量や設置機器の規模で制度対象事業者を
特定せずに、中小企業基本法による中小企業を対象事業者としている。
• 小規模CDMプロジェクトは、クレジット期間における毎年において、小規模
CDMの定義を逸脱してはならない[SSC GL ver3, p16]
−クレジット期間内のいずれかの年において定義を逸脱してしまった場合、プロ
ジェクト参加者が小規模CDMのプロジェクト設計書で見積もった当該年の最大
排出削減量が、請求できる排出削減量の上限となる
本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。このた
め、制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネルギー量などでの
制限は設けていない。
制限がないため、クレジット期間における定義の逸脱についても、現状では考慮
する必要はない。
設置機器やエネルギー使用量等で制限を設ける必要があるかは、制度運用後
の状況で検討されるものと思われる。
本制度において、省エネ法第一種及び第二種特定事業者を対象外とするか、
否かについて、制度設計時に要検討。
【参考】
①特定事業者には原単位5年度平均1%減の努力目標有り。
②特定事業者の指定指標は、年度間エネルギー使用量を原油に換算して、
第二種は原油換算1,500kL以上、第一種は3,000kL以上。
③原油換算1,500kL相当のC重油を使用した場合のCO2排出量は、約
4,100tCO2/年。
本制度の評価:本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。このため、制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネル
ギー量などでの制限は設けていない。
37
28.【SSC】SSCに該当することの証明
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:当該プロジェクトがSSCに該当することを、3つのタイプごとに証明する必
要点: 本制度では、エネルギー使用量や設置機器の規模で制度対象事業者を
要がある。
特定せずに、中小企業基本法による中小企業を対象事業者としている。
・プロジェクト参加者は、小規模CDMのプロジェクト設計書において、当該プロ
ジェクトが小規模CDMの上限を超えないことを実証することが必要[SSC GL
ver3, p16]
−タイプ1については、設置された機器の容量が15MWを超えないことについて
の証明を提供すること
−タイプ2については、クレジット期間全体を通じて、毎年の省エネルギー量が
15GWhを下回ることについての証明を提供すること
−タイプ3については、クレジット期間全体を通じてのプロジェクト排出量の見積も
りを提供するとともに
−クレジット期間全体について、毎年の排出量が15,000t-CO2/年を超えないこと
についての証明を提供すること
本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。このた
め、制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネルギー量などでの
制限は設けていない。
設置機器やエネルギー使用量等で制限を設ける必要があるかは、制度運用後
の状況で検討されるものと思われる。
本制度において、省エネ法第一種及び第二種特定事業者を対象外とするか、
否かについて、制度設計時に要検討。
【参考】
①特定事業者には原単位5年度平均1%減の努力目標有り。
②特定事業者の指定指標は、年度間エネルギー使用量を原油に換算して、
第二種は原油換算1,500kL以上、第一種は3,000kL以上。
③原油換算1,500kL相当のC重油を使用した場合のCO2排出量は、約
4,100tCO2/年。
本制度の評価:本制度では制度運用コストを抑えるためにも簡易な手続を目指している。このため、制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネル
ギー量などでの制限は設けていない。
38
29.【SSC】クレジット期間の更新
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:SSCプロジェクトにおけるクレジット期間の更新について、小規模CDMの
要点:本制度ではSSCのように設置機器やエネルギー量などでの上限は設け
場合は、その上限の範囲内であるかの確認が必要。
ていない。
・クレジット期間を更新するプロジェクトの場合、プロジェクト参加者がクレジット期
間更新の申請をする際に、小規模CDMの上限内にあるかどうかについて再評
価することが必要である。[SSC GL ver3, p16]
本制度では、SSCに該当する制限の設定などは設けていないため、クレジット期
間の更新に際しても、再評価を行う必要はないと考えられる。
本制度の評価:本制度では、SSCに該当する制限の設定などは設けていないため、クレジット期間の更新に際しても、再評価を行う必要はないと考えられる。
39
30.【SSC】簡易化されているルール、手続き
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:取引コストを下げるため、通常のCDMと比べて手続が簡易化されている。 要点:本制度では制度運用コストを抑えるためにもSSC同様、簡易な手続を目
指している。
<小規模CDMにおいて簡易化されている手続き内容>
[CMP/2005/8/Ad1, p45 パラ9]
−複数の小規模プロジェクトをバンドリング(一括化)して、手続き(PDD作成、有
効化審査、登録、モニタリング、検証・認証)を行うことが可能
−プロジェクト設計書(PDD)の記載事項が少ない
−ベースライン開発費用削減のため、プロジェクトの種類毎に簡易化されたベー
スラインの適用が可能
−モニタリング費用削減のため、簡易化されたモニタリング計画の適用が可能
−同じDOE(指定運営組織)が有効化審査と検証・認証を行ってもよい
−PDDに該当する「CO2削減プロジェクト計画書」では、記載内容は必要最
小限にとどめ、CO2削減量が容易に算定できるように技術毎に6種類の計
算書を作成している。
−制度に参加する条件としてSSCのように設置機器やエネルギー量などで
の制限は設けていない。
−審査はCDMのようにDOEという組織体に依頼するのではなく、「管理セン
ター」に登録された審査人が、共通の手続書を基本として審査を行う事に
よって審査の(人的、経済的)負荷を軽減する事を目指している。
今後、本制度内でもさらに簡易な手続で実施することができるか、個別のツール
の使いやすさ等は、制度運用後の状況で改善されていくものと思われる。
本制度の評価:小規模CDMの簡易化されている手続は、簡易化されている代わりに分かり難い一面もある。例えば、手続の簡素化としてPDDの記載事項が少な
かったり、モニタリング費用削減のために、簡易化されたモニタリング計画の適用が可能となったりしている。本制度では、この制度自体がSSCのように手続を簡素し
ているため、SSCのように設置機器やエネルギー使用量での制限は設けていない事や、有効化審査を個人で行う点について、CDM以上に簡素化されているといえ
る。
40
31.【SSC】簡易方法論の使用について
CDM
国内中小CO2クレジット制度
要点:SSCの分野別の簡易方法論リストが公表されている。適用にあたっては、
要点:本制度では中小事業者を対象として技術毎に6種類の計算書を作成して
1つ以上の障壁を示す必要がある。
いる。さらに簡易な方法論というものは現状では想定していない。
・CDM理事会によって承認された、小規模CDMの分野毎の簡易化されたベース
ライン・モニタリング方法論のリスト(=CP/2002/7/Ad3 ApxB)は、UNFCCCの
ウェブサイトからダウンロード可能[SSC GL ver3, p7]
http://cdm.unfccc.int/methodologies/SSCmethodologies/approved
本制度では、中小事業者を対象とした簡易な方法論となっているため、これ以上
の簡易な方法論は現状では想定していない。
今後、本制度内でもさらに簡易な方法論等を提供する必要があるかは、制度運
用後の状況で検討されるものと思われる。
・簡易化されたベースライン・モニタリング方法論を適用するためには、当該小規
模CDMプロジェクトを実施する上で別途定義される「障壁)」が1つ以上あるため
に、CDMがなかった場合には実施されないことをDOEに示すことが必要[SSC
GL ver3, p6]
本制度の評価:本制度では、中小事業者を対象とした簡易な方法論となっているため、これ以上の簡易な方法論は現状では想定していない。
41
32.バンドリングの場合のモニタリング計画
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
バンドリングの場合のモニタリング計画[SSC GL ver3, p14]
・複数の小規模CDMプロジェクトをバンドリング(一括化)する場合、それぞれの
プロジェクト別にモニタリング計画を適用する
・又はバンドリングされた複数のプロジェクト全体からの排出削減量の計算に必
要なデータを一括して収集・保管する包括的なモニタリング計画を適用することも
可能
−DOEによる有効化審査時に、バンドリングされたプロジェクトに適切なモニタリ
ングの知見が反映されていると判断されることが必要
本制度の評価:
42
33.PDDの改定
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
改訂前に有効化審査を受けた小規模CDM用PDDは有効。改訂後、6ヶ月経過
後は改訂前の小規模CDM用PDDは無効。
改訂前に有効化審査を受けた「CO2削減量計画書」は有効。改訂後、6ヶ月経過
後は改訂前の「CO2削減量計画書」は無効。
小規模CDM用PDD(CDM-SSC-PDD)の改訂[SSC GL ver3, p3]
「CO2削減量計画書」(以下「計画書」)の記載要求事項等を本制度運用組織体
が変更した場合の変更前「計画書」の取り扱いは以下の通り。
・小規模CDM用PDDの改訂は、その改訂の採択がされるより前に既に有効性を
確認されたプロジェクト、又は運営組織(OE)によってコメントを受けるために公
開されたプロジェクトには影響しない。
・CDM理事会は、PDDの改訂を採択してから6ヶ月経過後は、旧バージョンの小
規模CDM用PDDによる文書は受け付けない
• 運用組織体が「計画書」を変更した時点ですでに有効化審査を受けている変更
前の「計画書」は、運用組織体による変更を反映させる必要はない。
• 運用組織体が「計画書」を変更した時点から6ヶ月経過後は、運用組織体が「計
画書」を変更した時点ですでに有効化審査を受けていても、変更前の「計画書」
は無効となる(つまり、変更後の「計画書」で再度有効化審査を受審する必要
がある)。
本制度の評価:
本制度ではCO2排出量が小規模である中小事業者を対象としているため、SSCと同じルールを採用することが有効であると考えられる。
43
34.小規模CDMの追加性
CDM
要点:障壁が1つ以上あれば追加性が認められる。各障壁分析の具体的な手
順は定められていない。例えば、投資分析であれば、分析手法は、簡易
コスト分析、投資比較分析、ベンチマーク分析のいずれでも良い。また、
使用する指標も投資回収年数、NPV、IRRなどいずれでもよい。
小規模CDMの追加性についてプロジェクト参加者は、以下に定義される「障壁」
が一つ以上あるために、CDMがなかった場合には当該プロジェクトが実施され
ないこと(追加性があること)を説明しなければならない
<投資障壁>
当該プロジェクトと比べて、採算上、実現性が高い代替シナリオ(ただし
排出量は増大)がある
<技術的障壁>
当該プロジェクトで採用する新技術のリスク(性能の不確実性や市場普
及率の低さに起因)を低減する、技術的には低い代替シナリオ(ただし
排出量は増大)がある。
一般的な慣行に伴う障壁
一般的な慣行、既存の規制、又は政策的な必要性から採用される技術
(ただし 排出量は増大)がある
<その他の障壁>
プロジェクト参加者が特定するその他の障壁(制度的な障壁、情報不足、
経営資源、組織能力、資金源、又は新技術の採用能力)によって、プロ
ジェクトがなかった場合には排出量が増大する
上記のような障壁を根拠とせずに、定量的な証拠を用いて、CDMがなかった場
合には当該プロジェクトが実施されないことについて説明してもよい
国内中小CO2クレジット制度
要点:SSCと同じく、障壁が1つ以上あれば追加性が認められる。より簡便化す
るために、「投資回収年数」、「エネルギー効率」、「その他」の3つの障壁の
うちいずれか1つをクリアすればよい。
追加性の実証とベースラインの決定ツール案
提案するプロジェクトに、以下に定義される「障壁」が一つ以上あるために、本制
度による削減クレジット(又は補助金)が取得できなかった場合には、当該プロ
ジェクトが実施されないこと(追加性があること)を説明しなければならない。
<投資障壁:投資回収年数>
当該プロジェクトで試算された投資回収年は、一般に中小事業者が設備投資
において許容し得る投資回収年であるX年を上回ることが実証できる。
⇒通常の商慣習における意思決定では、当該プロジェクトは実現し得ない。
<一般の慣習に伴う障壁:エネルギー効率>
当該プロジェクトで導入予定の機器(単体またはシステム)のエネルギー効率
は、一般に普及しているものよりも効率の良いものであることが実証できる。
⇒通常の商慣習における意思決定では、当該プロジェクトで導入予定の機器
ほどの高効率機器を選択しない。
一般に普及しているものより効率の高い機器であることを示す方法:
導入を予定している機器の効率が、以下のいずれかの値以上であることを示
すこと。
(a)本制度で設定している値
(b)上記(a)の設定がない機器の場合、同タイプの機器の効率の業界標準値
○割増しの値
<その他の障壁>
本制度に参加しなければプロジェクトを実現できない合理的な理由がある。
⇒本制度に参加しなければ、その障壁が解決せず当該プロジェクトが実現で
きない。
本制度の評価:「投資回収年数X年」、特定の機器の「エネルギー効率○%」という指標を制度側で設定することにより、何を基準に追加性
を実証できるかをより明確にしている。
44
35.バンドリングの定義
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
バンドリング(一括化)[SSC GL ver3, p8]とは、複数の小規模CDMプロジェクト
を、それぞれのプロジェクトの独自性(技術/対策、場所、簡易化された方法論の
適用方法等)を保ちつつ、1つのCDMプロジェクト又は1つのプロジェクトポート
フォリオとして形成すること
本制度の評価:
45
36.バンドリングに関するルール (1)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
[SSC GL ver3, p34-35]
バンドル内のプロジェクトで用いられる技術/対策の合計規模(タイプ1であれば
最大出力、タイプ2であれば省エネ量、タイプ3であれば直接排出量)は、それぞ
れの小規模CDMのタイプの上限を超えてはならない。
バンドリングのルールは未設定。バンドリングは同じ事業者が複数のプロジェクト
を実施するときに使用するルールのため、別途考慮する必要はある。
・バンドリングを希望する場合、登録申請時に行うこと
・プロジェクト参加者は登録申請用紙とともに以下に関する書面を提出する
−全てのプロジェクト参加者が、それぞれの個別のプロジェクトがバンドルの一
部を構成することに合意していること
−全てのプロジェクト参加者を代表し、CDM理事会と連絡を行う参加者
・バンドルされた複数のプロジェクトの構成は、途中で変更することはできない
・バンドルされた複数のプロジェクトは、全て同じクレジット期間となる
・バンドルされた複数のプロジェクトは、CDM理事会に対して単一で申請を行い、
バンドル合計の年間平均排出削減量に基づいて登録料を支払う
・関係締約国又はCDM理事会メンバー3名よりプロジェクトに対して再審査の要
請があった場合、バンドルされたプロジェクト全体が再審査の対象となる
・登録申請時には、バンドリングに関連する情報を様式「F-CDM-BUNDLE」に記
入して提出しなければならない
・(複数の)ホスト国による承認の書面は、締約国が自分の領土内でプロジェクト
が行われていることについて承知していることを記載しなければならない。
本制度の評価:
46
36.バンドリングに関するルール(2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
<有効化審査・検証>
・バンドルされたプロジェクトは、1つのDOEが有効化審査できる
・1つの検証報告書で可。
・(バンドルされた全てのプロジェクトの)クレジットの発行は、同時、同時期に行
われ、1つの識別番号が付けられる
<PDD>
・バンドルされた全てのプロジェクトが同じタイプ・同じ分野・同じ技術/対策である
場合、プロジェクト参加者はバンドルされた全ての活動を対象とした単一のPDD
(CDM-SSC-PDD)を提出すればよい。この場合(単一のPDDが使用された場
合)、DOEによる検証及び認証報告書についても1つでよい。
・その他((a)同じタイプ・同じ分野・異なる技術/対策、(b)同じタイプ・異なる分野
(異なる技術/対策)、(c)異なるタイプ(異なる分野・異なる技術/対策))の場合、プ
ロジェクト参加者はバンドルされたプロジェクト毎にPDD(CDM-SSC-PDD)を作
成・提出しなければならない。この場合、検証及び認証報告書については、検証
期間が同じでそれぞれのプロジェクトについて個別に査定してあれば1つでよい。
本制度の評価:
47
37.デバンドリングの定義
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
<デバンドリング(細分化)>[SSC GL ver3, p10]
省略
・提案される小規模CDMプロジェクトについて、以下の全ての条件に当てはまる
別の小規模CDMプロジェクトが登録又は登録申請されている場合、大規模なプ
ロジェクトの一部をデバンドリングしたと見なされ、小規模CDMの簡易化された
ルール・手続きを活用することができない
−プロジェクト参加者が同じ
−プロジェクトの分野、技術/対策が同じ
−登録が2年以内
−それぞれのプロジェクト・バウンダリー(境界)の最短距離が1 km以内
本制度の評価:
48
38.ベースライン・モニタリング方法論
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
すでに開発済の方法論は以下の通り。
ベースライン方法論として10種類を設定。
タイプ1:再生可能エネルギープロジェクト
I.A. ver8 自家使用のための発電 1
I.B. ver8 自家使用のための機械エネルギー
CO2削減計算書Ⅰ-1
燃料転換・ボイラ交換用計算書
I.C. ver8 自家使用のための熱エネルギー
CO2削減計算書Ⅰ-2
燃料転換・バイオマス化用計算書
CO2削減計算書Ⅰ-3
ボイラ交換用計算書(エネルギー種別が変わらな
い場合)
CO2削減計算書Ⅱ-1
ボイラ燃料転換・コジェネ導入
CO2削減計算書Ⅱ-2
燃料転換・マイクロコジェネ導入用計算書
CO2削減計算書Ⅲ-1
空調設備効率化用計算書(エネルギー種別が変
わらない場合)
CO2削減計算書Ⅲ-2
空調設備効率化用計算書(エネルギー種別が変
わらず固定エネルギー使用量を考慮する場合)
CO2削減計算書Ⅳ
照明効率化用計算書(エネルギー種別が単一で
変わらない場合)
CO2削減計算書Ⅴ
断熱(炉や配管などを断熱し、熱源(ボイラ等)が使
用するエネルギーが断熱前後で同じ場合)
CO2削減計算書Ⅵ
その他の省エネ設備・技術の導入用計算書
I.D. ver9 系統連系する再生可能エネルギー発電
タイプ2:省エネルギープロジェクト
II.A. ver7 供給サイドの省エネルギー-送配電II.B. ver7 供給サイドの省エネルギー-発電II.C. ver7 需要サイドの省エネルギー(特定技術のための省エネプログラム)
II.D. ver7 産業施設の省エネルギー及び燃料転換
II.E. ver7 建物の省エネルギー及び燃料転換
II.F. ver7 農業施設・活動における省エネルギー及び燃料転換
タイプ3:人為的な排出量を削減するプロジェクト
(III.A. 農業方法論開発中)
III.B. ver9 化石燃料の燃料転換
III.C. ver9 温室効果ガス低排出車による排出量削減
III.D. ver10 メタンガス回収
III.E. ver9 バイオマス腐敗に伴うメタンガス発生の、管理燃焼による回避
III.F. ver2 バイオマス腐敗に伴うメタンガス発生の、コンポスト化による回避
III.G. ver3 埋立処分場メタンガス回収
モニタリング方法論は、個別に設定する。
III.H. ver3 排水処理におけるメタンガス回収
III.I. ver3 嫌気性ラグーンから好気性システムへの排水処理置換によるメタンガスの発生回避
本制度の評価:
ベースライン方法論10種類のうち9種類は、平成17年度、18年度事業の結果特定された代表的な省エネ設備・技術、新エネルギー設備についての方法論であるた
め、汎用性がある方法論であると考えられる(モニタリング方法論については本資料の「モニタリング」参照)。
49
39.新方法論の申請
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
CDM理事会に対して既存の方法論の変更と新規方法論の提案を行うことが可
能。
制度運用組織に対して、既存の方法論の変更と新規方法論の提案を行うことが
可能。
プロジェクト参加者は、CDM理事会に対して、簡易化された方法論の変更、新た
な小規模CDM分野の提案を行うことができる。
• 中小事業者は、制度運用組織に対して、既存の方法論の変更と新規方法論の
提案を行うことができる。
• 既存の方法論の変更と新規方法論の提案を行うための様式は、制度設計時に
検討する必要がある。
• 提案された既存の方法論の変更と新規方法論について、制度運用組織で検
討・承認・否決等を決定する手続を制度設計時に検討する必要がある。
・SSC-WGを通じてCDM理事会で検討を求める質問又は提案毎に、様式(FCDM-SSC-Subm)を用いる。
・新たな小規模CDMの分野を申請する場合は、PDD案(A∼E項を完成済み)及
び小規模方法論の必要性(適用可能な大規模方法論がなぜ使用できないのか)
についての実質的な根拠を提出しなければならない。
本制度の評価:
本制度ではCO2排出量が小規模である中小事業者を対象としているため、SSCとほぼ同じルールを採用することが有効であると考えられる。
50
40.方法論の詳細(小規模CDMとの対比)(1/2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
すでに開発済の方法論は以下の通り。
ベースライン方法論として10種類を設定。小規模CDMの方法論と対応するのは
以下の通り。
タイプ1:再生可能エネルギープロジェクト
タイプ1:再生可能エネルギープロジェクト
I.A. ver8 自家使用のための発電 1
該当なし
I.B. ver8 自家使用のための機械エネルギー
該当なし
I.C. ver8 自家使用のための熱エネルギー
該当なし
I.D. ver9 系統連系する再生可能エネルギー発電
該当なし
タイプ2:省エネルギープロジェクト
タイプ2:省エネルギープロジェクト
II.A. ver7 供給サイドの省エネルギー-送配電-
該当なし
II.B. ver7 供給サイドの省エネルギー-発電-
該当なし
II.C. ver7 需要サイドの省エネルギー(特定技術のための省エネプログラム)
• CO2削減計算書Ⅲ-1:空調設備効率化用計算書(エネルギー種別が変わら
ない場合)
• CO2削減計算書Ⅲ-2:空調設備効率化用計算書(エネルギー種別が変わら
ず固定エネルギー使用量を考慮する場合)
• CO2削減計算書Ⅳ:照明効率化用計算書(エネルギー種別が単一で変わら
ない場合)
• CO2削減計算書Ⅴ:断熱(炉や配管などを断熱し、熱源(ボイラ等)が使用する
エネルギーが断熱前後で同じ場合)
II.D. ver7 産業施設の省エネルギー及び燃料転換
• CO2削減計算書Ⅱ-1:ボイラ燃料転換・コジェネ導入
• CO2削減計算書Ⅱ-2:燃料転換・マイクロコジェネ導入用計算書
II.E. ver7 建物の省エネルギー及び燃料転換
• CO2削減計算書Ⅳ:照明効率化用計算書(エネルギー種別が単一で変わら
ない場合)
• CO2削減計算書Ⅴ:断熱(炉や配管などを断熱し、熱源(ボイラ等)が使用する
エネルギーが断熱前後で同じ場合)
II.F. ver7 農業施設・活動における省エネルギー及び燃料転換
該当なし
本制度の評価:省略
51
40.方法論の詳細(小規模CDMとの対比)(2/2)
国内中小CO2クレジット制度
CDM
要点:
要点:
すでに開発済の方法論は以下の通り。
ベースライン方法論として10種類を設定。小規模CDMの方法論と対応するのは
以下の通り
タイプ3:人為的な排出量を削減するプロジェクト
タイプ3:人為的な排出量を削減するプロジェクト
(III.A. 農業方法論開発中)
該当なし
III.B. ver9 化石燃料の燃料転換
• CO2削減計算書Ⅳ:照明効率化用計算書(エネルギー種別が単一で変わ
らない場合)
• CO2削減計算書Ⅴ:断熱(炉や配管などを断熱し、熱源(ボイラ等)が使用
するエネルギーが断熱前後で同じ場合)
III.C. ver9 温室効果ガス低排出車による排出量削減
該当なし
III.D. ver10 メタンガス回収
該当なし
III.E. ver9 バイオマス腐敗に伴うメタンガス発生の、管理燃焼による回避
該当なし
III.F. ver2 バイオマス腐敗に伴うメタンガス発生の、コンポスト化による回避
該当なし
III.G. ver3 埋立処分場メタンガス回収
該当なし
III.H. ver3 排水処理におけるメタンガス回収
該当なし
III.I. ver3 嫌気性ラグーンから好気性システムへの排水処理置換によるメタ
ンガスの発生回避
該当なし
本制度の評価:省略
52
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