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iPhone/iPadアプリケーションを用いた動物病院支援システムの開発
琉球大学主催 工学部情報工学科 卒業研究発表会 iPhone/iPad アプリケーションを用いた動物病院支援システムの開発 学籍番号:075721H 氏名:古謝 翼 指導教員 : 宮里 智樹 はじめに 1 機能もそなえている。その他にも、TIFF や JPEG、PDF、 動画形式の AVI、MPEG、QuickTime などにも対応してい 現代社会において携帯電話が一般化し、平成 21 年 6 月に る。Osirix は、従来であれば、手術中における画像確認は、 おける携帯電話及び PHS の加入契約数は 1 億 1,629 万 5 千 備え付けの固定モニタで行っていたが、iPad 版の OsiriX を 人 [1] で人口普及率は 89.3%となっており、我々の生活におい 使えば、医師の手元に iPad を置き患部に近い位置で画像確 て非常に重要なツールとなっている。また、PDA(Personal 認できるため、手術の効率を上げることが可能である。本 Data Assistance) 機能が付いた多機能携帯電話、いわゆる アプリケーションは既にアメリカの医療現場や日本の神戸 スマートフォンの平成 20 年度の販売台数は 240 万台販売で 大学などの一部先進的な施設では、OsiriX の iPad 版アプリ 前年対比 214%[2] となっており、今後もスマートフォンの ケーションが使用されている利用実績がある。また、Mac 販売台数、さらには携帯電話全体のスマートフォン販売比 用は無料、iPhone/iPad 版は 1800 円という低コストで画像 率は伸張していくことが予想される。そのなかでも Apple 処理システムが導入できるのも魅力の一つである。 社の「iPhone」は、国内スマートフォンシェアが 63.8%に のぼり、注目を集めている。 このような中 iPhone と同様に、タブレット型 PC であ る iPad 向けのアプリケーションも注目を集めている、中で もオープンソースの下で開発が行われている、医療画像の フォーマット形式である DICOM 画像を参照する事に特化 した画像処理ソフトウェア OsiriX は、人間と比べてコスト がかけられない動物病院向けの医療ツールとして注目を集 めている。OsiriX は、タッチパネル上で CT や MRI など の 3 次元画像を自在に操りながら、手術時におけるコミュ ニケーションツールとして、これまでにない画期的なツー ルとして、あるいは、飼い主に対する、ペット患部の画像 を用いた解析ツールとして幅広く活用されている。 図 1: Osirix の起動画面 本研究では、人間医療用として開発・適用されてきた OxiriX を動物医療向けにカスタマイズすることを目的と した iPhone および iPad 用アプリケーションの開発を行う。 2.2 さらに、本研究では、動物病院に通院する飼い主を対象に、 ペットに関する様々な情報や当該病院の情報を気軽に参照可 能な iPad 用アプリケーションの開発も行う。将来的には、 iPad 用動物病院情報提供アプリケーション について 本研究室と県内企業が産業連携体制により開発を進めて これらのアプリケーションを統合することで、従来の動物 いるアプリケーション (仮称:InfoPet) の起動画面は、図 2 に 病院とは全く異なったコンセプトに基づく新たな枠組みの 示すような外観である。主に動物病院の待合室で利用する 提案を目指す。 ことを目的としており、診察中などの待ち時間にユーザが ペットについての様々な情報や画像、動画を見る事が可能で 2 2.1 プロジェクト概要 OsiriX とは OsiriX とはオープンソースの下で開発が行われている MacOSX および i OS で動作する画像処理ソフトウェアであり 図 1 がその起動画面である。OsiriX では CT 画像や MRI 画 像といった、医療機器によって生成される DICOM 形式の医 用画像を参照することができ、3 次元画像に対する画像処理 ある。また動画等のコンテンツはアプリケーションがサー バ上にアップロードされた物を取得することにより、病院 ごとのアプリケーションカスタマイズをすることが可能と なっている。 できるが、これらは iPhone のアプリケーションに比べ ると機能が限定されている。 図 2: iPhone シュミレーター上での起動画面 2.3 開発環境 アプリケーションの開発は iPhone,iPad, 等の iOS で動作す 図 3: Macintosh 上での iPhone シュミレータ起動画面 るアプリケーションを作成するためのソフトウェア開発キット iOS SDK(Software Development Kit) を用いる。iOS SDK は無償での提供がされているが、動作するのは Macintosh • Instruments のみであり、Intel 製の CPU を搭載した Macintosh、OS は Instruments は、iOS でのアプリケーションの実行中の Mac OS X 10.5 Leopard 以上となっている。以下は現在の 開発環境である 表 1: 開発環境 2.4GH Intel Core 2 Duo プロセッサ OS Mac OS X 10.6 Snow Leopard メモリ 2GB 667 MHz DDR2 SDREAM 情報を収集し、解析するツールである。CPU やメモリ などの使用状況を分析することが可能である。 3 今後の予定 現在、関東圏にある 14 病院と連携し、OsiriX、InfoPet の 実証実験を行っている段階である。今後、実証実験から得 られた知見に基づき改良を重ねていく予定である。 また iOS SDK には以下のものが含まれる。 • Xcode Xcode はソフトウェアを開発するためのアップルの統 合開発環境であり、iOS アプリケーション開発の中心的 な役割を果たす。プロジェクトを管理し、ソースコー ド等の編集、アプリケーションのビルド及び実行を行 う。また開発関連の技術資料の検索、閲覧機能や、ア プリケーションのデバッグ機能も Xcode に組み込まれ 参考文献 [1] 総務省—電気通信サービスの加入契約数等の状況 http://www.soumu.go.jp/menu news/s−news/29930.html [2] 市場調査とコンサルティングのシードプランニング http://www.seedplanning.co.jp/press/2010/2010061801.html ている。 • Interface Builder Interface Builder は iOS アプリケーションの画面上の 表示や、ユーザーインターフェイスの作成や編集を行 う事ができ、テキストや画像、ボタン等のアイテムを 配置し、設定できるようになっている。 • iPhone Simulator iPhone Simulator は開発中の iPhone/iPad 用のアプリ ケーションを Macintosh 上で動作させるシュミレータで ある (図 3)。開発したアプリケーションの他に Settings や Safari といったアプリケーションを使用することも [3] 赤松 正行、 2010 年「iPhone SDK の教科書 Cocoa Touch プログラミング、最初の一歩」