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(仮称)(案)_参考資料(PDF:4516KB)
参 「第 5 章 考 資 料 地下水・土壌汚染等に関する対応」 についての詳細資料 目次 第 1 章 基本的事項 ................................................................ 資-1 1.1 米軍基地の返還時に実施される支障除去について(沖縄県における駐留軍用地跡地の有効 かつ適切な利用の推進に関する特別措置法(平成7年法律第 102 号)より抜粋) ....... 資-1 1.2 土壌汚染対策法の基準値設定の基本的な考え方 ................................. 資-2 1.3 ダイオキシン類の土壌汚染に係る環境基準において、直接摂取に着目した「1,000pg-TEQ/g 以下」の設定手法 ............................................................... 資-2 1.4 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第一種特定化学物質 ............. 資-4 1.5 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 ............................... 資-6 1.6 POPs 廃農薬の処理に関する我が国の取組 ....................................... 資-7 1.7 POPs 条約対象物質の有害性について ........................................... 資-9 1.8 米国内の基地において汚染が確認された物質から対象物質を選定する方法 ........ 資-11 1.9 2002 年に米国国防総省が米国議会へ報告した弾薬等に由来する成分のうち、環境や健康に 影響を生じるおそれのある物質について .......................................... 資-25 第 2 章 調査計画の立案・実施の基本的な考え方 ..................................... 資-37 2.1 沖縄の米軍基地において調査を実施する際の留意すべき地域特性 ................ 資-37 第 3 章 盛土地調査 ............................................................... 資-51 3.1 不発弾探査、文化財調査等及び廃棄物探査並びに自然環境調査との関係について .. 資-51 第 4 章 リスク評価調査 ........................................................... 資-56 4.1 日本国内の土壌汚染に対してリスク評価を実施した事例 ........................ 資-56 4.2 RBCA プロセスの階層アプローチ .............................................. 資-57 4.3 ばく露経路の選定方法 ...................................................... 資-60 4.4 土壌汚染対策法におけるばく露の考え方 ...................................... 資-61 4.5 米国のスーパーファンド法におけるばく露経路 ................................ 資-62 4.6 リスク評価モデルでのパラメーター設定例 .................................... 資-64 4.7 ASTM E1689-95(2014) Standard Guide for Developing Conceptual Site Models for Contaminated Sites で示されたサイト概念モデルの作成の考え方 .................... 資-65 4.8 グアム島でのリスク評価事例等 .............................................. 資-67 4.9 カルスト地形内の地下水流動を対象とした近年の研究事例 ...................... 資-95 4.10 優先評価化学物質に該当するか否かを判定するためのスクリーニング評価おける有害性 情報の収集及び選定について ................................................... 資-109 4.10.1 人健康影響 .......................................................... 資-109 4.10.2 生態系 .............................................................. 資-113 4.11 米国スーパーファンド法でのばく露別のばく露の算出方法 .................... 資-115 4.12 PBESL2012 で取りまとめられた汚染物質の地下水の最高濃度の算定方法 ......... 資-116 4.13 RBCA Tool kit での汚染物質の大気の最高濃度の算定方法 ..................... 資-119 第 5 章 国内使用禁止等物質及び基地内相当量使用物質の分析法 ...................... 資-122 5.1 分析方法に関する指針 ..................................................... 資-122 5.2 分析に関する精度管理 ..................................................... 資-126 第 6 章 環境対策の考え方 ........................................................ 資-129 6.1 土壌汚染対策法に則した環境対策の考え方 ................................... 資-129 6.2 ダイオキシン類特別措置法に則した環境対策の考え方 ......................... 資-148 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 1章 基 本 的 事 項 2 1.1 米 軍 基 地 の 返 還 時 に 実 施 さ れ る 支 障 除 去 に つ い て ( 沖 縄 県 に お け る 駐 留 軍 用 地 3 跡 地 の 有 効 か つ 適 切 な 利 用 の 推 進 に 関 す る 特 別 措 置 法 ( 平 成 7 年 法 律 第 102 4 号)より抜粋) 5 (返還実施計画) 6 第八条 国は、合同委員会(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条 7 に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(第三十一条第二 8 項において「日米地位協定」という。)第二十五条に規定する合同委員会をいう。以下同じ。) 9 において返還が合意された駐留軍用地の区域の全部について、返還後において当該土地を利用 10 する上での支障の除去に関する措置を当該土地の所有者等に当該土地を引き渡す前に講ずるこ 11 とにより、その有効かつ適切な利用が図られるようにするため、速やかに、当該駐留軍用地の 12 返還に関する実施計画(以下この条及び第十一条第一項「返還実施計画」という。)を定めな 13 ければならない。ただし、駐留軍用地の所有者等が、自ら当該土地を使用する目的で行った申 14 請に係る返還については、この限りでない。 15 2 返還実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 16 一 返還に係る区域 17 二 返還の予定時期 18 三 第一号の区域内に所在する駐留軍が使用している建物その他土地に定着する物件の概要及 19 び当該建物その他土地に定着する物件の除却をするとした場合に当該除却に要すると見込ま 20 れる期間 21 四 第一号の区域において次に掲げる事項について、調査を行う区域の範囲、調査の方法、調 22 査に要すると見込まれる期間及び調査の結果に基づいて国が講ずる措置に関する方針 23 イ 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質又 24 はダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第二条第 25 一項 に規定するダイオキシン類をいう。ロにおいて同じ。)による土壌の汚染の状況 26 ロ 27 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項第一号に規定する物質 又はダイオキシン類による水質の汚濁の状況 28 ハ 不発弾その他の火薬類の有無 29 ニ 廃棄物の有無 30 ホ その他政令で定める事項 31 3 32 33 の意見を聴かなければならない。 4 34 35 国は、返還実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、沖縄県知事及び関係市町村の長 関係市町村の長は、前項の規定により意見を聴かれた場合において、国に対し意見を申し出 るときは、あらかじめ、駐留軍用地の所有者等の意見を聴かなければならない。 5 前二項の規定により意見を聴かれた者は、沖縄県知事及び駐留軍用地の所有者等にあっては 36 意見を聴かれた日から三十日以内に、関係市町村の長にあっては意見を聴かれた日から六十日 37 以内に、それぞれ意見書を提出することができる。 38 6 国は、返還実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを沖縄県知事及び関係市町村の長に通 資-1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 知するものとする。 1 2 7 3 4 国は、返還実施計画を定めたときは、当該返還実施計画(変更があったときは、その変更後 のもの)に基づき支障の除去に関する措置を講ずるものとする。 8 第三項から第六項までの規定は、返還実施計画の変更について準用する。 5 6 7 1.2 土 壌 汚 染 対 策 法 の 基 準 値 設 定 の 基 本 的 な 考 え 方 8 (1) 毒性に関する閾値がある項目 9 10 11 12 13 14 15 16 基準値 = 耐容一日摂取量 ÷ 媒体日摂取量 × 平均体重 × 寄与率 (TDI、mg/kg/day) 50kg 通常 10% (2) 毒性に関する閾値がない項目 一 生 涯 に わ た り そ の 地 下 水 を 飲 用 し た 場 合 の リ ス ク 増 分 が 10 万 分 の 1 と な る レ ベルをもって基準値を設定 ①溶出量基準(土壌中の有害物質が地下水に溶出し、当該地下水を摂取することに対する基準) 日飲料水量が2L/day として算定 ②含有量基準(有害物質を含む土壌を摂取することに対する基準) 17 一生涯(70 年)汚染土壌のある土地に居住した場合を想定し、1日当たりの土壌摂食量が子 18 ども(6歳以下)200mg、大人 100mg として算定 19 20 21 22 備考:土壌環境施策に関するあり方懇談会(第6回)資料2 1月 9 日、環境省)より作成 指定基準値の設定の考え方(平成 20 年 23 24 25 1.3 ダ イ オ キ シ ン 類 の 土 壌 汚 染 に 係 る 環 境 基 準 に お い て 、 直 接 摂 取 に 着 目 し た 「 1,000pg-TEQ/g 以 下 」 の 設 定 手 法 26 (1) 前提:土壌中のダイオキシン類の半減期は無限大と仮定 27 (2) 曝露経路とデフォルト値 28 29 30 31 ア.土壌の摂食(消化管を経由する経口摂取) ①1日当たりの土壌摂食量:子供 150∼200mg/day、大人 50∼100mg/day ②土壌中のダイオキシン類の吸収率:10∼40% ③曝露頻度:年間 365 日 32 33 34 35 36 37 イ.土壌及び巻き上げられた土壌粒子の皮膚接触(皮膚吸収)注 1 ①皮膚面積あたりの土壌の皮膚接触量:0.5mg/cm2 ②曝露する皮膚面積:子供 2,800cm2、大人 5,000cm2 ③土壌中のダイオキシン類の吸収率:1% ④曝露頻度:晴天率 0.6×{子供毎日(7/7)、大人週末(2/7)} 38 資-2 1 2 3 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 (3) 土壌中のダイオキシン類に対する生涯の平均曝露リスクの算定 汚染土壌における継続居住年数:30∼70 年 4 5 生涯の一日平均吸収量(pg-TEQ/kg/day) = (子供の一日当たりの曝露量)× 6 +(大人の一日当たりの曝露量)×(曝露期間 ― 6) 70(年)×平均体重 50(kg) 6 (居住年数 30 年の場合は、生涯 70 年のうち汚染土壌に 30 年(子供6年間及び大人 24 年間)、 7 8 9 10 一般的な環境中の土壌(20pg-TEQ/g)に 40 年間滞在するとして計算。) (4) 吸収量の推定 幅 で 示 し た デ フ ォ ル ト 値( 曝 露 期 間 、土 壌 摂 食 量 、土 壌 摂 食 の 吸 収 率 )に つ い て 、 いずれも最小値又は最大値を用いて土壌の直接摂取による吸収量を推定すると、 11 土 壌 中 濃 度 1,000pg-TEQ/g に 対 し 0.11∼ 0.97pg-TEQ/kg/day 12 さ ら に 、 現 時 点 で 最 も 妥 当 性 の 高 い 推 定 値 ( 曝 露 期 間 30 年 、 土 壌 摂 食 量 大 人 13 100mg/day 及 び 子 供 200mg/day、 土 壌 摂 食 の 吸 収 率 25% 注 2 ) を 用 い て 土 壌 の 直 接 摂 14 取 に よ る 吸 収 量 を 推 定 すると、 15 土 壌 中 濃 度 1,000pg-TEQ/g に 対 し 0.31pg-TEQ/kg/day 16 以 上 か ら 、 我 が 国 の 耐 容 一 日 摂 取 量 ( TDI 注 3 )並 び に 食 品 及 び 大 気 か ら の 吸 収 量 17 を勘案して、土壌の直接摂取による曝露について、ダイオキシン類濃度 18 1,000pg-TEQ/g 以 下 を 環 境 基 準 と す る こ と は 妥 当 と 判 断 。 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 注 1:ダイオキシン類による土壌の汚染に係る環境基準の設定等及びダイオキシン類土壌汚染対策地域の指定の要 件について(答申)(平成 11 年 12 月 10 日中央環境審議会)では、吸入によるばく露経路による推定吸収 量は全吸収量の約 0.9%程度と寄与は小さいことが示されている。 注 2:平成 11 年度に環境庁が実施した調査において、我が国における代表的な 2 種類の土壌に放射性同位元素で 標識したダイオキシン(14C-TCDD)を添加し、動物に摂食させることにより土壌中のダイオキシン類の吸収率 を求めた結果、吸収率は 4∼6%であった。 注 3:耐容一日摂取量については、平成 11 年 6 月に環境庁及び厚生省の合同審議会が科学的知見に基づいて検討 した結果により、体重 1kg あたり 4pg とされている。 出典:「平成 11 年度土壌中ダイオキシン類の吸収率調査結果に関する中間報告」(平成 11 年 11 月 25 日、環境庁) 資-3 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1.4 化 学 物 質 の 審 査 及 び 製 造 等 の 規 制 に 関 す る 法 律 の 第 一 種 特 定 化 学 物 質 2 化 学 物 質 の 審 査 及 び 製 造 等 の 規 制 に 関 す る 法 律 の 第 一 種 特 定 化 学 物 質 は 、自 然 的 3 作 用 に よ り 環 境 中 で は 容 易 に 分 解 せ ず 、生 物 の 体 内 に 蓄 積 し や す く 、人 又 は 高 次 捕 4 食 動 物 に 対 し て 長 期 毒 性 を 有 す る も の で あ る こ と か ら 、ひ と た び 環 境 中 に 排 出 さ れ 5 る と 、環 境 汚 染 の 進 行 を 管 理 す る こ と が 困 難 と な り 、人 の 健 康 や 生 活 環 境 動 植 物 に 6 係 る 被 害 を 生 じ る お そ れ が あ る も の で あ る こ と か ら 、そ の 製 造 ・輸 入 に つ い て 許 可 7 制 と す る と と も に 、環 境 汚 染 を 生 じ る お そ れ の な い 一 定 の 用 途 以 外 の 使 用 を 認 め な 8 い等の厳格な管理を行うこととされているものである。 9 第一種化学物質の指定状況は以下のとおりである。 NO. 1 2 3 4 官報告示名 ポリ塩化ビフェニル ポリ塩化ナフタレン (塩素数が 3 以上のものに限る 。) ヘキサクロロベンゼン 1,2,3,4,10,10- ヘ キ サ ク ロ ロ -1,4,4a,5,8,8a- ヘ キ サ ヒ ド ロ - エ キ ソ-1,4-エンド-5,8-ジメタノ ナフタレン (別名アルドリン) 5 1,2,3,4,10,10-ヘ キ サ ク ロ ロ -6,7-エ ポ キ シ -1,4,4 a ,5,6,7,8,8 a -オ クタヒドロ-エキソ-1,4-エン ド-5,8-ジメタノナフタレン (別名 ディルドリン) 6 1,2,3,4,10,10-ヘ キ サ ク ロ ロ -6,7-エ ポ キ シ -1,4,4 a ,5,6,7,8,8 a -オ クタヒドロ-エンド-1,4-エン ド-5,8-ジメタノナフタレン (別名 エンドリン) 7 1,1,1-ト リ ク ロ ロ -2,2-ビ ス (4-ク ロ ロ フ ェ ニ ル )エ タ ン ( 別 名 DDT) 8 1,2,4,5,6,7,8,8-オ ク タ ク ロ ロ -2,3,3 a ,4,7,7 a -ヘ キ サ ヒ ド ロ -4,7メ タ ノ -1 H -イ ン デ ン 、 1,4,5,6,7,8,8-ヘ プ タ ク ロ ロ -3a,4,7,7a-テ トラヒドロ-4,7-メタノ -1 H -インデン及びこれらの類縁 化合物の 混合物 (別名クロルデン又はヘプタクロル) 9 ビス(トリブチルスズ)=オキ シド 10 N , N’ -ジ ト リ ル - p -フ ェ ニ レ ン ジ ア ミ ン 、 N -ト リ ル - N’ -キ シ リ ル - p -フェニレンジアミン又は N , N’ -ジキシリル- p -フェニ レンジア ミン 11 2,4,6-トリ- tert -ブチルフェ ノール 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 指定年 1974 1979 1979 1981 過去の用途例 絶縁油等 機械油等 殺虫剤等原料 殺虫剤 1981 殺虫剤 1981 殺虫剤 1981 殺虫剤 1986 白アリ駆除剤等 1989 漁網防汚剤、船底塗料等 2000 ゴム老化防止剤、スチレン ブタジエンゴム 2000 酸 化 防 止 剤 そ の 他 の 調 製 添加剤(潤滑油用又は燃料 油用のものに限る。)、潤 滑油 ポ リ ク ロ ロ -2,2-ジ メ チ ル -3-メ チ リ デ ン ビ シ ク ロ [2.2.1]ヘ プ タ 2002 殺虫剤、殺ダニ剤(農業用 ン (別名トキサフェン) 及び畜産用) ド デ カ ク ロ ロ ペ ン タ シ ク ロ [5.3.0.0(2,6).0(3,9).0(4,8)] デ カ ン 2002 樹脂、ゴム、塗料、紙、織 (別名マイレックス) 物、電気製品等の難燃剤、 殺虫剤・殺蟻剤 2,2,2-トリクロロ-1,1-ビス (4-クロロフェニル)エタノー ル (別 2005 防ダニ剤 名ケルセン又はジコホル) ヘキサクロロブタ-1,3-ジエ ン 2005 溶媒 2-(2 H -1,2,3-ベ ン ゾ ト リ ア ゾ ー ル -2-イ ル )-4,6-ジ - tert -ブ チ ル フ 2007 紫外線吸収剤 ェノール ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸) (別名 PFOS)又はそ 2010 撥水撥油剤、界面活性剤 の塩 ペ ル フ ル オ ロ ( オ ク タ ン -1- ス ル ホ ニ ル )=フ ル オ リ ド ( 別 名 2010 PFOS の原料 PFOSF) ペンタクロロベンゼン 2010 農薬、副生成物 r -1, c -2, t -3, c -4, t -5, t -6-ヘキ サクロロシクロヘキサン (別名 α - 2010 No.22 の副生成物 ヘキサクロロシクロヘキサン) r -1, t -2, c -3, t -4, c -5, t -6-ヘキ サクロロシクロヘ キサン (別名 β - 2010 No.22 の副生成物 ヘキサクロロシクロヘキサン) r -1, c -2, t -3, c -4, c -5, t -6-ヘキ サクロロシクロヘキサン (別名 γ - 2010 農薬、殺虫剤 ヘキサクロロシクロヘキサン又はリンデン) 資-4 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 NO. 官報告示名 23 デカクロロペンタシクロ[5.3.0.0 2,6 .0 3,9 .0 4,8 ]デカン-5-オ ン (別 名クロルデコン) 24 ヘキサブロモビフェニル 25 テ ト ラ ブ ロ モ (フ ェ ノ キ シ ベ ン ゼ ン ) ( 別 名 テ ト ラ ブ ロ モ ジ フ ェニルエ-テル) 26 ペ ン タ ブ ロ モ (フ ェ ノ キ シ ベ ン ゼ ン ) ( 別 名 ペ ン タ ブ ロ モ ジ フ ェニルエ-テル) 27 ヘ キ サ ブ ロ モ (フ ェ ノ キ シ ベ ン ゼ ン ) ( 別 名 ヘ キ サ ブ ロ モ ジ フ ェニルエ-テル) 28 ヘ プ タ ブ ロ モ (フ ェ ノ キ シ ベ ン ゼ ン ) ( 別 名 ヘ プ タ ブ ロ モ ジ フ ェニルエ-テル) 29 6,7,8,9,10,10-ヘ キ サ ク ロ ロ -1,5,5a,6,9,9a-ヘ キ サ ヒ ド ロ -6,9-メ タノ-2,4,3-ベンゾジオキサ チエピン=3-オキシド (別名エンド スルファン又はベンゾエピン) 30 ヘキサブロモシクロドデカン 31 ペンタクロロフェノール又はその塩若しくはエステル 指定年 過去の用途例 2010 農薬、殺虫剤 2010 難燃剤 2010 難燃剤 2010 難燃剤 2010 難燃剤 2010 難燃剤 2014 農薬 2014 難燃剤 2016 防腐材 1 2 な お 、法 律 の 第 三 十 四 条 に は 、第 一 種 特 定 化 学 物 質 の 指 定 等 に 伴 う 措 置 命 令 が 以 3 下の通り定められている。 4 第三十四条 主務大臣は、一の化学物質が第一種特定化学物質として指定された場合において、 5 当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するため特に必要があると認めるときは、必要な 6 限度において、その指定の際当該化学物質又は当該化学物質が使用されている製品の製造又は 7 輸入の事業を営んでいた者に対し、その製造又は輸入に係る当該化学物質又は当該製品の回収 8 を図ることその他当該化学物質による環境の汚染の進行を防止するために必要な措置をとるべ 9 きことを命ずることができる。 10 2 主務大臣は、一の製品が第一種特定化学物質使用製品として指定された場合において、当該 11 製品に使用されている第一種特定化学物質による環境の汚染の進行を防止するため特に必要が 12 あると認めるときは、必要な限度において、その指定の際当該製品の輸入の事業を営んでいた 13 者に対し、その輸入に係る当該製品の回収を図ることその他当該製品に使用されている第一種 14 特定化学物質による環境の汚染の進行を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずるこ 15 とができる。 16 3 主務大臣は、次の各号に掲げる場合において、第一種特定化学物質による環境の汚染の進行 17 を防止するため特に必要があると認めるときは、必要な限度において、当該各号に定める者に 18 対し、その製造、輸入若しくは使用に係る第一種特定化学物質又はその輸入に係る第一種特定 19 化学物質使用製品の回収を図ることその他当該第一種特定化学物質による環境の汚染の進行を 20 防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 21 一 22 23 を製造した者 二 24 25 28 第二十二条第一項の規定に違反して第一種特定化学物質が輸入された場合当該第一種特定 化学物質を輸入した者 三 26 27 第十八条の規定に違反して第一種特定化学物質が製造された場合当該第一種特定化学物質 第二十四条第一項の規定に違反して第一種特定化学物質使用製品が輸入された場合当該第 一種特定化学物質使用製品を輸入した者 四 第二十五条の規定に違反して第一種特定化学物質が使用された場合当該第一種特定化学物 質を使用した者 資-5 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1.5 残 留 性 有 機 汚 染 物 質 に 関 す る ス ト ッ ク ホ ル ム 条 約 2 環 境 中 で の 残 留 性 、生 物 蓄 積 性 、人 や 生 物 へ の 毒 性 が 高 く 、長 距 離 移 動 性 が 懸 念 3 さ れ る ポ リ 塩 化 ビ フ ェ ニ ル( PCB)、DDT 等 の 残 留 性 有 機 汚 染 物 質( POPs:Persistent 4 Organic Pollutants) の 、 製 造 及 び 使 用 の 廃 絶 ・ 制 限 、 排 出 の 削 減 、 こ れ ら の 物 質 5 を含む廃棄物等の適正処理等を規定している。 6 7 8 9 10 11 12 本 条 約 は 、2001 年 に 採 択 さ れ 、2004 年 に 発 効 し て い る 。我 が 国 は 2002 年 に 受 諾 している。 条 約 を 締 結 し て い る 加 盟 国 は 、対 象 と な っ て い る 物 質 に つ い て 、各 国 が そ れ ぞ れ 条約を担保できるように国内の諸法令で規制することになっている。 我 が 国 で は 、条 約 の 対 象 物 質 は 、原 則 と し て 化 審 法 の 第 一 種 特 定 化 学 物 質 に 指 定 され、使用の禁止等の措置が講じられる。 条約の第六条の中で、廃棄物の措置に関して以下の通が定められている。 廃棄物(廃棄物となった製品及び物品を含む。)が次のように取り扱われるよう適当な措置をとる こと。 (ⅰ) 環境上適正な方法で取り扱われ、収集され、輸送され及び貯蔵されること。 (ⅱ) 国際的な規則、基準及び指針並びに有害廃棄物の管理について規律する関連のある世界的及び 地域的な制度注) 考慮して、残留性有機汚染物質である成分が残留性有機汚染物質の特性を示さな くなるように破壊され若しくは不可逆的に変換されるような方法で処分されること又は破壊若し くは不可逆的な変換が環境上好ましい選択にならない場合若しくは残留性有機汚染物質の含有量 が少ない場合には環境上適正な他の方法で処分されること。 (ⅲ) 残留性有機汚染物質の回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつくよう な処分作業の下に置かれることが許可されないこと。 (ⅳ) 関連する国際的な規則、基準及び指針を考慮することなく国境を越えて輸送されないこと。 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 注:有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下、 「 バ ー ゼ ル 条 約 」と い う 。)に お い て 、P OPs 廃 棄 物 の 環 境 上 適 正 な 管 理 に 関 す る 総 合 技 術 ガ イ ド ラ イ ン が 第 7 回 締 約 国 会 議 に お い て 採 択 さ れ 、以 降 の 締 約 国 会 議 に お いて改訂されている。 そ の 中 で 、 残 留 性 有 機 汚 染 物 質 の 特 性 を 示 さ な く な る 含 有 量 ( 低 PO Ps 含 有 量 ) と し て 、 暫 定 的 に 表 1-1 に 示 す 値 と す べ き と さ れ て い る 。 こ の 他 、廃 棄 物 の 環 境 上 適 正 な 管 理 に 関 す る 総 合 技 術 ガ イ ド ラ イ ン に は 、破 壊 及 び 不可逆的変換の水準並びに環境上適切な破壊及び処分方法等が示されている。 資-6 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 1-1 POPs 廃棄物の環境上適正な管理に関する総合技術ガイドラインの低 POPs 含有量 物質名 低 POPs 含有量 アルドリン、クロルデン、クロルデコン、DDT、ディルドリン、エンド 50mg/kg リン、ヘキサブロモベンゼン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、 マイレックス、PCBs、ペンタクロロベンゼン、PFOS 及びその塩並びに PFOSF、エンドスルファン及びその関連異性体、トキサフェン α-HCH、β-HCH 及びリンデン(γ-HCH) 合計値として 50mg/kg ヘキサブロモシクロドデカン 100mg/kg 又は 1000mg/kg 注) ヘキサブロモビフェニル、ヘプタブロモビフェニル、テトラブロモビ 50mg/kg 又 は 合 計 値 と し て フェニル及びペンタブロモビフェニル 1000 mg/kg PCDDs 及び PCDFs 3 4 5 6 7 8 15mg-TEQ/kg 注:一つの値とすべく、別に検討中 出典:General technical guidelines on the environmentally sound management of wastes of wastes consisting of, containing or contaminated with persistent organic pollutants, Conference of the Parties to the Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and Their Disposal Twelfth meeting, 14 July 2015 9 10 11 12 1.6 POPs 廃 農 薬 の 処 理 に 関 す る 我 が 国 の 取 組 13 ク ロ ル デ ン 、 デ ィ ル ド リ ン 、 エ ン ド リ ン 、 ヘ プ タ ク ロ ル 、 DDT 及 び BHC) は 、 過 去 14 に 我 が 国 に お い て 農 薬 と し て 使 用 実 績 の あ っ た 農 薬 で あ る が 、 昭 和 40 年 代 半 ば 以 15 降 使 用 に 関 し て 規 制 強 化 が 図 ら れ 、併 せ て 農 薬 と し て の 登 録 が 失 効 し て い て 、現 在 16 は 農 薬 と し て 使 用 さ れ て い な い 。そ の 規 制 強 化 の 際 に 農 林 水 産 省 の 支 援 に よ り 各 地 17 域で使用できなくなった農薬が回収され地中に埋設処分された。 POPs 条 約 対 象 物 質 21 物 質 ( 平 成 21 年 8 月 現 在 ) の う ち 、 9 物 質 ( ア ル ド リ ン 、 18 平 成 16 年 度 か ら 農 林 水 産 省 に お い て 埋 設 農 薬 の 処 理 を 推 進 す る た め の 埋 設 農 薬 19 最 終 処 理 事 業 が 実 施 さ れ る こ と と な っ た こ と か ら 、POPs 廃 農 薬 の 処 理 に 関 す る 技 術 20 的 留 意 事 項 ( 平 成 16 年 10 月 12 日 付 け 環 産 廃 発 第 041012002 号 環 境 省 大 臣 官 房 廃 21 棄 物 ・ リ サ イ ク ル 対 策 部 産 業 廃 棄 物 課 適 正 処 理 ・ 不 法 投 棄 対 策 室 )を 発 出 し 、平 成 22 21 年 8 月 に は 改 訂 が な さ れ て い る 。 23 ま た 、有 害 廃 棄 物 の 国 境 を 越 え る 移 動 及 び そ の 処 分 の 規 制 に 関 す る バ ー ゼ ル 条 約 24 の 締 約 国 会 合 に お い て 、POPs 廃 棄 物 の 環 境 上 適 正 な 管 理 に 関 す る 総 合 技 術 ガ イ ド ラ 25 イ ン が 採 択 さ れ 、 ま た 、 国 内 に お い て は 、 埋 設 農 薬 調 査 ・掘 削 等 マ ニ ュ ア ル ( 平 成 26 20 年 1 月 17 日 環 境 省 水 ・ 大 気 局 土 壌 環 境 課 農 薬 環 境 管 理 室 )が 策 定 さ れ て い る 。 27 28 POPs 廃 農 薬 の 管 理 及 び 処 理 の 状 況 は 表 1-2 に 示 す と お り で あ る 。 資-7 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 表 1-2 POPs 廃 農 薬 の 管 理 及 び 処 理 の 状 況 ( 平 成 27 年 9 月 現 在 ) 1 種別 箇所数 埋設 処理済 2 3 4 5 6 種類別数量(t) 数量 (t) BHC DDT アルドリン ディルドリン エンドリン 不明 159 4,374.007 2,202.792 912.069 68.346 18.789 39.076 1,132.936 77 4,056.693 2,061.515 898.447 64.621 17.790 38.951 975.368 注 1:種別の「埋設」とは、平成 13 年調査において、確認された埋設農薬である。 2:種別の「処理済」とは、「埋設」のうち無害化処理された農薬である。 3:種類別数量が「不明」の中には、一部土壌を含むものがある。 出典:「埋設農薬の管理状況」(平成 28 年 7 月 11 日閲覧、農林水産省ホームページ) http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_maisetu/maisetu.html 7 8 9 な お 、 埋 設 農 薬 調 査 ・掘 削 等 マ ニ ュ ア ル に は 、 POPs 農 薬 に 関 す る 環 境 管 理 指 針 値 として以下の値が示されている。 10 11 表 1-3 農薬名等 大気 mg/m3 POPs 農 薬 に 関 す る 環 境 管 理 指 針 値 環境水 mg/L 土壌 溶出量 mg/L 含有量 mg/kg 処理 溶出量 mg/L 備考 BHC 0.0017 0.013 0.013 50 0.13 異性体の合量 DDT 0.0035 0.026 0.026 50 0.26 代謝物との合量 アルドリン 0.000035 0.00026 0.00026 4.1 0.0026 ディルドリンとの合量 エンドリン 0.000071 0.00053 0.00053 8.3 0.0053 ディルドリン 0.000035 0.00026 0.00026 4.1 0.0026 アルドリンとの合量 クロルデン 0.00017 0.0013 0.0013 0.013 trans-クロルデン、cis-ク 20 ロルデン、オキシクロルデ ン、trans-ノナクロル、cisノナクロルの合量 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 ヘプタクロル 0.000035 0.00026 0.00026 4.1 0.0026 代謝物との合量 注 1:大気中濃度指針値 大気中濃度指針値=ADI×体重(53.3kg)×大気への経路配分(0.1)÷一日呼吸量(15m3) 2:環境水中濃度指針値 環境水中濃度指針値=ADI×体重(53.3kg)×水への経路配分(0.1)÷一日水取水量(2L) 3:土壌濃度指針値(溶出量)は、環境水中濃度指針値を採用することとしている。 4:土壌濃度指針値(含有量)の設定方法 土壌濃度指針値(含有量)=ADI×体重(53.3kg)×土壌への経路配分(0.1))÷{生涯平均一日土 壌摂食量(108.6mg)+ 生涯平均一日土壌皮膚接触量(463.8mg)×吸 収率(0.04)} 及び、バーゼル条約の POPs 廃棄物の環境上適正な管理に関する総合 技術ガイドラインに示された低 POPs 含有量の低値 5:処理溶出量指針値は、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の埋立処分に関する判定基準(第二 溶出基準)(土壌汚染対策法施行規則第二十四条及び同規則別表 4)が土壌溶出基準(土壌汚染 対策法施行規則第十八条及び同規則別表 2)の 10∼30 倍に設定されていることから、これを参考 にして土壌濃度指針値(溶出量)の 10 倍とすることとした。 資-8 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1.7 POPs 条 約 対 象 物 質 の 有 害 性 に つ い て 2 POPs 条 約 対 象 物 質 は 、環 境 中 で 分 解 し に く く 、生 物 の 体 内 に 蓄 積 し や す い な ど の 3 性 質 し 、人 の 健 康 へ の 影 響 な ど の 有 害 性 が あ る 。POPs 条 約 対 象 物 質 の 分 解 性 、生 物 4 5 6 濃 縮 性 及 び 有 害 性 の 程 度 は 表 1-4 に 示 す と お り で あ る 。 表 1-4 物質名 PCB POPs 条 約 対 象 物 質 の 分 解 性 、 生 物 濃 縮 性 及 び 有 害 性 の 程 度 土壌中の分解性(半減期) 生物濃縮性(BCF) 約 10 日∼1.5 年 120,000、270,000 有害性の程度 0.005mg/kg/day(ADI) (<1 年∼37.7 年) (約 25,000∼1,585,000) ― 154,100 、 51,335 ( 600 ∼ 0.01mg/kg/day(ADI) (50日∼15.6年) 84,500) アルドリン ―(20日∼10年) ―(735∼20,000) エンドリン ∼12年(63日∼約12年) 6,400(4,860∼14,500) 0.0002mg/kg/day(ADI) ディルドリン 約5年(20日∼約7年) 12,500、13,300( 3,300∼ 0.0001mg/kg/day(ADI) クロルデン 約1年(9日∼9.6年) 37,800、16,000( 約 400∼ 0.0005mg/kg/day(ADI) DDT 0.0001mg/kg/day(ADI) 14,500) 38,000) ヘプタクロル 2年(23.1時間∼5.5年) 9,500 、 14,400 ( 200 ∼ 0.0001mg/kg/day(ADI) 37,000) クロルデコン 1∼2年 6,000∼60,200 0.0003mg/kg/day(RfD) トキサフェン 100日∼12年(9日∼14年) 4,247 、 76,000 ( 3,100 ∼ 0.00125mg/kg/day(ADI) 69,000) マイレックス ∼10年(8.2年) 2,610、51,400(2,580∼約 0.0002mg/kg/day(RfD) 18,197,000) ヘキサクロロベンゼン ペンタクロロベンゼン 2.7 年 ∼ 22.9 年 ( 50 日 ∼ 22,000 、 106,840 ( 1,600 0.0008mg/kg/day(RfD) 5.7年) ∼20,000) 194∼345日 577∼23,000(水生生物) 0.001mg/kg/day(TDI)、 0.0008mg/kg/day(RfD) β-HCH 91∼184日 1,460(魚類) α-HCH 48-125日(嫌気的条件)、 250∼1,500(魚類) 0.00002mg/kg/day(TDI) 0.001mg/kg/day(TDI) 161日(温暖地汚染土壌) リンデン(γ-HCH) 約2∼3年 約10∼6,000 0.0125mg/kg/day(ADI)、 0.0003mg/kg/day(RfD)、 0.00004mg/kg/day(TDI) テトラブロモジフェニル ― ― エーテル類 0.0001mg/kg/day ( RfD 、 BDE-47) ペンタブロモジフェニル 150日 17,700 0.002mg/kg/day(RfD) ― 0.0002mg/kg/day(RfD 、 エーテル類 ヘキサブロモジフェニル ― エーテル類 BDE-153) ヘプタブロモジフェニル ― ― ― ヘキサブロモビフェニル >6ヶ月 100∼18,100 0.002mg/kg/day(RfD) PFOS 2,796∼3,100 0.00015mg/kg/day(TDI) エーテル類 1∼2年 ポリ塩化ジベンゾ-パラ- ― ( 10分 ( 表 面 土 壌 ) ∼ ―(約4,000∼25,000) 資-9 4pg-TEQ/kg/day ( TDI 、 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 物質名 ジオキシン(PCDDs) 土壌中の分解性(半減期) 生物濃縮性(BCF) 102.7年) とポリ塩化ジベンゾフ ―(62.8年) 有害性の程度 PCDDs、 PCDFs及 び コ プ ラ ―(2,042∼4,467) ナーPCBsの合計値) ラン(PCDFs) エンドスルファン 25∼391日 1,000∼ 3,000( 魚 類 ) 、 0.006mg/kg/day(ADI)、 3,278(藻類)、3,278(ミ 0.006mg/kg/day(RfD) ジンコ) ヘキサブロモシクロドデ 8.5∼850日 13,085∼18,100(魚類) 1mg/kg/day(ADI) カン ポリ塩化ナフタレン 57ヶ月 ヘキサクロロブタジエン 4週間∼6ヶ月 2,290∼33,884(魚類) ― BCF1∼19,000(魚類) 0.2μg/kgbw(TDI) ペンタクロロフェノール 10 週 間 未 満 、 < 13 ∼ < 190 ∼ 790 ( 魚 類 ) 、 0.9 0.005mg/kg/day(RfD) 144日 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ∼4,900 注 1:“半減期”は、化学物質がある条件下で半分の量に分解・減少するのに要する期間を表し、この 期間が長いほど分解しにくいことを意味する。 2:“BCF”は、一定の期間水生生物が化学物質の曝露を受けたときの生物体内の化学物質濃度を、 その期間の周辺水中の化学物質濃度で割った値で、この値が大きいほど生物体内に濃縮しやす いことを意味する。 3:“ADI”(一日許容摂取量)、“TDI”(耐容一日摂取量)は、人が一生涯にわたり摂取し続けて も健康に対する有害な影響が現れないとされる1日あたりの摂取量を意味する。 “RfD”(参照用量)は、米国環境保護庁において、acceptable(許容される)という非科学的 な意味あいを避けるため、ADI の代わりに用いられている言葉である。 4:“−”は、POPs 条約に関する政府間の交渉会議や POPs 検討委員会における資料において具体的 な数値の記載のなかったものであり、( )内には国際的な文献やデータベースにおいて示さ れている数値を記載した。 5:平成 27 年度末現在、デカブロモジフェニルエーテル、ジコホル、短鎖塩素化パラフィン並びに ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及び PFOA 関連物質について、条約対象物質としての 検討されている。 出典:「環境省パンフレット POPs」(2016 年 3 月作成、環境省) 資-10 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1.8 米 国 内 の 基 地 に お い て 汚 染 が 確 認 さ れ た 物 質 か ら 対 象 物 質 を 選 定 す る 方 法 2 (1) 米国内の基地において汚染が懸念された物質の把握方法 3 米 国 内 の 基 地 に お い て 汚 染 が 懸 念 さ れ た 物 質 は 、以 下 の 手 順 で 把 握 す る こ と が で 4 きる。 5 ① 米国国防総省のウェブサイト 1等から、米国内の基地を使用している軍(空軍、海兵隊等)及 6 び種類(航空基地、兵站基地等)別に分類する。 7 (ア) 運 用 中 の 基 地 8 Military INSTALLATIONS の ウ ェ ブ サ イ ト か ら 運 用 中 の 米 軍 基 地 を 分 類 す る 方 9 法 を 以 下 に 示 す 。 [View a directory of installations]を ク リ ッ ク す る と 、 軍 10 11 の 区 分 が 表 示 さ れ る ( 図 1-1)。 12 13 14 15 16 図 1-1 Military INSTALLATIONS の ウ ェ ブ サ イ ト − ト ッ プ ペ ー ジ 例えば、「Marine Corps」を選択すると、海兵隊の基地一覧が表示される(図 1-2)。 17 18 図 1-2 1 海兵隊基地一覧 US DoD, Military Installations,http://www.militaryinstallations.dod.mil/MOS/f?p=MI:ENTRY:0 資-11 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 次 に 各 基 地 名 を 選 択 し「 GO>>」を ク リ ッ ク す る と 基 地 の 概 要 が 表 示 さ れ る 。一 2 例 と し て 、 ア リ ゾ ナ 州 の MCAS Yuma の 情 報 を 示 す 。 左 端 の メ ニ ュ バ ー か ら 3 「 Installation Overview」 を ク リ ッ ク す る と 、 基 地 の 歴 史 、 任 務 等 が 表 示 さ れ 4 る ( 図 1-3)。「 Mission」 に は 、 ユ マ 海 兵 隊 航 空 基 地 は 、 太 平 洋 艦 隊 海 兵 軍 、 大 5 西洋艦隊海兵軍および海軍の航空兵器訓練を支援するための航空基地であるこ 6 7 とが、記載されている。 8 9 10 11 図 1-3 米軍基地の概要―ユマ海兵隊航空基地の例 (イ) 閉 鎖 さ れ た 基 地 12 米 国 ス ー パ ー フ ァ ン ド サ イ ト に は 閉 鎖 さ れ た 基 地 も 含 ま れ て い る 。 US EPA の 13 基 地 再 編 閉 鎖 プ ロ グ ラ ム の ウ ェ ブ サ イ ト ( Base Relignment and Closure (BRAC ) 14 Sites by State、 図 1-4) 2 か ら 、 閉 鎖 さ れ た 米 軍 基 地 を 分 類 す る 方 法 を 以 下 に 15 16 示す。 17 18 図 1-4 基地再編閉鎖プログラムのウェブサイト−トップページ 19 2 US EPA, Base Realignment and Closure (BRAC) Sites by Site, https://www.epa.gov/fedfac/base-realignment-and-closure-brac-sites-state 資-12 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 図 1-5 再編・閉鎖された基地の情報 3 4 図 1-5 の よ う に 、 州 ご と に 、 再 編 ・ 閉 鎖 さ れ た 基 地 が リ ス ト 化 さ れ て い る 。 5 各基地の情報についてはリンクが貼られているものの、現在は見ることができ 6 ない。また所轄の省庁も記載されているが、旧海兵隊基地については海軍省の 7 管 轄 で あ る た め 、「 US NAVY」 に 分 類 さ れ る 。 両 者 は 基 地 名 で 分 別 で き 、 基 地 名 8 に 「 Naval」 と 付 く 基 地 は 海 軍 基 地 で あ り 、「 Marine Corps」 と 付 く 基 地 が 海 兵 9 隊基地である。 10 11 ② 米国スーパーファンド法の土壌汚染サイトのサイト名、スクリーニングレベルを超えている 12 汚染懸念物質(Contaminants of Concern:COC)及び最大濃度等がまとめられたリストを、米国 13 環境保護庁のウェブサイト 3から入手する。 14 土壌汚染サイトの発見・包括的環境対策・補償・責任情報システム 15 ( Comprehensive Environmental Response, Compensation and Liability 16 Information System: CERCLIS)の 公 表 デ ー タ が 入 手 で き る 。CERCLIS は 2013 年 17 11 月 12 日 で 廃 止 さ れ 、 新 た な 情 報 シ ス テ ム で あ る ス ー パ ー フ ァ ン ド ・ エ ン タ 18 ー プ ラ イ ズ 管 理 シ ス テ ム ( Superfund Enterprise Management System, SEMS ) 19 に 変 更 さ れ た 。 そ の た め 、 2013 年 時 点 で の 情 報 で あ る 。 CERCLIS デ ー タ の う ち 、 20 「 List-10 Contaminants at CERCLIS Sites」 の Excel フ ァ イ ル を ダ ウ ン ロ ー ド 21 す る ( 図 1-6)。 デ ー タ フ ァ イ ル の 内 容 を 図 1-7 に 示 す 。 22 3 US EPA, Superfund Data and Reports, CERCLIS Reports and Data Files, List 10 - Contaminants at CERCLIS Sites, https://www.epa.gov/superfund/superfund-data-and-reports 資-13 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 図 1-6 米国スーパーファンド法の土壌汚染サイト情報 3 媒体 汚染サイト名 4 5 図 1-7 (土壌、地下水など) 最高濃度 汚染懸念物質 List-10 Contaminants at CERCLIS Sites の 内 容 6 資-14 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 ③ ①で得られた米軍基地のリストを Excel で作成しておき、②で得られた土壌汚染サイトのリ 2 ストと照合することにより、スーパーファンド法の土壌汚染サイトとして登録された基地を抽 3 出する。 4 5 ④ ③で抽出された基地について、米国環境保護庁のウェブサイト(図 1-8) 4から、調査区域 6 (Operable Unit: OU)ごとの汚染懸念物質の情報を収集する。「Site Name」に該当する基地 7 名を入力し、「Search」をクリックすると、結果が表示され(図 1-9)、リンクをクリックす 8 ると、スーパーファンドサイトとなった各基地の情報が記載されているウェブページが表示さ 9 れる。一例としてチェリーポイント海兵隊航空基地の情報を示す(図 1-10)。再編・閉鎖され 10 11 た基地については、ここで基地の概要情報を入手する。 12 13 図 1-8 米国スーパーファンドサイトの情報検索 14 4 US EPA, Search Superfund Site Information, https://cumulis.epa.gov/supercpad/Cursites/srchsites.cfm 資-15 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 図 1-9 米国スーパーファンドサイトの情報検索結果 3 4 5 図 1-10 スーパーファンドサイト(チェリーポイント海兵隊航空基地)の情報 6 資-16 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 次に、各基地情報のページ右下の「Site Facts」にある「Contaminant Information」 2 をクリックすると、当該基地の汚染懸念物質リストが表示される(図 1-11)。さらに、 3 「Operable Units」をクリックすると、調査区域ごとの汚染物質リストが表示される(図 4 1-12)。図 1-12 の情報を収集し、スーパーファンド法の土壌汚染サイトとして登録され 5 6 た基地における、調査区域ごとに汚染が懸念された物質を整理する。 7 8 9 10 11 図 1-11 図 1-12 基地ごとの汚染懸念物質リスト(チェリーポイント海兵隊航空基地) 調査区域ごとの汚染懸念物質リスト(チェリーポイント海兵隊航空基地) 12 資-17 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 ⑤ 米国スーパーファンド法の土壌汚染サイトの決定記録(Record of Decision: ROD)を米国環 2 境保護庁のウェブサイト(図 1-13) 5から入手する。各 ROD から、各調査区域における土地の 3 使用用途(車両整備場、航空機格納庫、演習場等)を整理する。ROD の一例を図 1-14 に示す。 4 5 OU 14 は、舗装された区域であり、航空機格納庫、滑走路等があると記載されている 6。 6 7 図 1-13 ス ー パ ー フ ァ ン ド サ イ ト ROD 検 索 サ イ ト 8 9 10 図 1-14 ROD の 例 ( チ ェ リ ー ポ イ ン ト 海 兵 隊 航 空 基 地 OU 14 の 使 用 用 途 ) 11 5 6 US EPA, Search for Superfund Decision Documents, https://www.epa.gov/superfund/search-superfund-decision-documents NAVFAC, Final Record of Decision Operable Unit 14, Site 90, Marine Corps Air Station Cherry Point, North Carolina (2009) 資-18 1 2 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 ⑥ ④及び⑤で得られた情報から、土地の使用用途ごとに汚染懸念物質をとりまとめ、米国内の 基地における土地の使用用途別の汚染が懸念された物質として整理する。 3 4 (2) 米国内の基地において汚染が確認された物質の例 5 前 述 の 方 法 に よ り 、米 国 内 の 海 兵 隊 航 空 基 地 に つ い て 、土 地 使 用 用 途 別 の 汚 染 が 6 懸 念 さ れ た 物 質 の リ ス ト を 作 成 し た 。 表 1-5 に 米 国 内 の 海 兵 隊 基 地 一 覧 を 示 す 。 7 米 国 内 の 海 兵 隊 基 地 の う ち 、ス ー パ ー フ ァ ン ド サ イ ト と な っ た 航 空 基 地 は 、ユ マ 海 8 兵 隊 航 空 基 地 、エ ル ト ロ 海 兵 隊 航 空 基 地 、チ ェ リ ー ポ イ ン ト 海 兵 隊 航 空 基 地 の 3 か 9 所 存 在 し た 。3 か 所 の 基 地 に つ い て 、調 査 区 域 ご と の 汚 染 懸 念 物 質 を 整 理 し た リ ス 10 ト に つ い て 、ユ マ 海 兵 隊 航 空 基 地 の も の を 表 1-6、エ ル ト ロ 海 兵 隊 航 空 基 地 の も の 11 を 表 1-7 に 、 チ ェ リ ー ポ イ ン ト 海 兵 隊 航 空 基 地 の も の を 表 1-8 に そ れ ぞ れ 示 す 。 12 13 表 1-5 米国海兵隊航空基地とスーパーファンドサイト該当基地 州 基地名 航空基地 スーパーファンドサイト ○ ○ アリゾナ ユマ海兵隊航空基地 カリフォル キャンプペンドルトン海兵隊基地 ○ ニア バースト―海兵隊兵站基地 ○ サンディエゴ海兵隊新兵訓練所 ミラマー海兵隊航空基地 ○ マウンテン海兵隊戦闘訓練センター トゥエンティナイン・パームス海兵隊空陸戦闘センター エルトロ海兵隊航空基地 ○ タスティン海兵隊航空基地 ○ ジョージア アルバニー海兵隊兵站基地 ハワイ ハワイ海兵隊基地 ノースカロ キャンプレジューン海兵隊基地 ライナ チェリーポイント海兵隊航空基地 ○ ニューリバー海兵隊航空基地 ○ サウスカロ ビューフォート海兵隊航空基地 ○ ライナ パリスアイランド海兵隊新兵訓練所 バージニア ヘンダーソンホール海兵隊基地 ○ ○ ○ ○ キャンプアレン海兵隊治安部隊 クアンティコ海兵隊基地 海兵隊戦略開発コマンド ○ 14 15 資-19 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 1-6 ユマ海兵隊航空基地における土壌汚染サイトの土地利用と汚染懸念物質 OU 汚染サイト 番号 名 1 OVERALL SITE (基地 内の 地下 水 及 び地表 から 3 m 以 深の 土壌) 土地 利 用の 用途 ROD 作成 時に存在 した 汚染 物 質 1,1-ジクロロエチレン 飛行 場 (旧 陸 軍 航 空 隊 航 空 テトラクロロエチレン 学 校 、現 在 は海 兵 隊 トリクロロエチレン 航 空 団 の支 援 。航 空 機 の維 持 管 理 に 様々な塩素 系炭 化 水素の溶媒 を使 用 し、それらの漏 出 が 懸念 。) ダイオ 化審 法 第一 種 キシン 特定 化 第 1 種第 2 種第 3 種 類 学物 質 土壌 汚 染対 策 法 物質 区 分 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 ● ● ● 3 4 5 表 1-7 エルトロ海兵隊航空基地における土壌汚染サイトの土地利用と汚染懸念物質 OU 汚染サイト 番号 名 1 2 BASEWIDE GROUND WATER (Site 18 及 び 24 の地 下水 、 汚染 プルー ム) 土地 利 用の 用途 ROD 作成 時に存在 した 汚染 物 質 − (Site 18 は基 地外 。 Site 24 も 一 部 基 地 外。) 1,1,1-トリクロロエタン 1,1,2,2-テトラクロロエタン 1,1,2-トリクロロエタン 1,1-ジクロロエタン 1,1-ジクロロエチレン 1,2-ジクロロエタン 1,2-ジクロロエチレン 1,2-ジクロロプロパン 2-ブタノン 4-メチル-2-ペンタノン アセトン ベンゼン ブロモジクロロメタン 二硫 化 炭素 四塩 化 炭素 クロロベンゼン クロロホルム ジブロモクロロメタン エチルベンゼン ジクロロメタン テトラクロロエチレン スチレン トリクロロエチレン トルエン トリクロロフルオロメタン 塩化 ビニル キシレン SOIL VOC ・大型 航空 機 格納 庫 1,1,1-トリクロロエタン SOURCE ・航空 機・車 両 整備 場 1,1,2-トリクロロエタン AREA: (溶剤の廃棄による 1,1-ジクロロエチレン SITE 24 VOC 汚 染が懸念) 1,2-ジクロロエタン 1,2-ジクロロエチレン 2-ブタノン 2-ヘキサノン 4-メチル-2-ペンタノン アセトン ベンゼン ブロモジクロロメタン ブロモホルム 二硫 化 炭素 四塩 化 炭素 クロロホルム ジブロモクロロメタン エチルベンゼン 資-20 ダイオ 化審 法 第一 種 キシン 特定 化 第 1 種第 2 種第 3 種 類 学物 質 土壌 汚 染対 策 法 物質 区 分 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 燃料・油類 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 OU 汚染サイト 番号 名 (続き) 3 5 6 7 8 9 土地 利 用の 用途 (続き) SOIL SITES: 8, 11, 12 ROD 作成 時に存在 した 汚染 物 質 ジクロロメタン テトラクロロエチレン スチレン トリクロロエチレン トルエン キシレン メコプロップ(MCPP) 4,4-DDT アロクロール-1254 アロクロール-1260 ディルドリン ベンゾ[B]フルオランテン ベンゾ[A]ピレン ベンゾ[A,H]アントラセン ・旧 国 防 再 利 用 販 売 事務 所の保 管 場所 (機械・電気部品、 様 々な液 体 を回 収 ・ 保 管 。機 器 スクラップか らの PCB 汚染 油の漏 出が懸 念 。) ・変圧 器保 管 場所 ( PCB 、 農 薬 汚 染 が 懸念 。) ・汚泥 乾燥 場 所 LANDFILL ・埋立 処分 場 ベンゾ[A]ピレン S: SITES 3 ( 廃 棄 物 は 、 可 燃 ご &5 み、都市固型廃棄 物 、クリーニング液 、 金 属くず、塗料 、詳 細 不 明 な燃 料・油・ 溶 剤 を 、減 容 化 の た め焼却処分したも の) NFA SITES 不明 アルミニウム(ヒュームまたは 粉じん) ヒ素 マンガン ベンゾ[B]フルオランテン ベンゾ[K]フルオランテン ベンゾ[A]アントラセン ベンゾ[A]ピレン クリセン ベンゾ[A,H]アントラセン インデノ[1,2,3-CD]ピレン NFA: ・ 旧 落 下 タ ン ク 保 管 アルミニウム(金属) SITES 7 & 場所 、排水 路 ヒ素 14 (防 塵 目 的 でジェット マンガン 燃 料 JP5、潤 滑 油 を ベンゾ[A]ピレン 散布 。) ジベンゾ[A,H]アントラセン ・旧酸 電池 廃 棄場 所 (車 両 バッテリー工 場 か らの 液 体 、 塗 料 廃 棄 物 が、雨 水により 舗 装路 面 から未 舗 装 路面に集められる。) EOD ・旧爆 発物 処 理場 過塩 素 酸塩 RANGE: (爆発 物は、大 量 生 1,1,2-トリクロロエタン SITE 1 産されている爆 発 物 1,2-ジクロロエタン の他に、手榴 弾 、地 テトラクロロエチレン 雷、クラスター爆 弾、 トリクロロエチレン ロケット弾 頭も使 用 。) cis-1,2-ジクロロエチレン ヒ素 BURN ・旧消 火訓 練 場所 PITS: SITE (ジェット燃料 JP5、航 ベリリウム 16 空 機 用 ガ ソ リ ン 、ク ラ マンガン ンクケース油 、その他 トリクロロエチレン 廃 棄 物 を燃 料 として 訓 練実 施 。石 油系 炭 化水素および揮発 性 有 機 化 合 物 により ジベンゾ[A,H]アントラセン 土 壌 および地 下 水 が 汚染 。) 1 2 資-21 ダイオ 化審 法 第一 種 キシン 特定 化 第 1 種第 2 種第 3 種 類 学物 質 土壌 汚 染対 策 法 物質 区 分 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 燃料・油類 農薬 類 ダイオキシン類・POPs ダイオキシン類・POPs ダイオキシン類・POPs ダイオキシン類・POPs 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 ● ● ● ● ● 多環 芳 香族 炭 化水 素 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 多環 芳 香族 炭 化水 素 多環 芳 香族 炭 化水 素 弾薬 関 連物 質 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 多環 芳 香族 炭 化水 素 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 表 1-8 チ ェ リ ー ポ イ ン ト 海 兵 隊 航 空 基 地 に お け る 土 壌 汚 染 サ イ ト の 土 地 利 用 と 汚 染 懸 2 念物質 OU 汚染サイト 番号 名 1 2 3 SITES 15,16,40,4 2,47,51,52 SITES 10, 44A, 46 土地 利 用の 用途 工 場排 水 処 理場 、工 業 地 域 下 水 道 、メッ キ工 場 、側 溝 旧 衛生 埋 立 地 、車 両 整備 地 域、浄 化池 (旧 衛 生 埋 立 地 は、 1955 年∼1980 年代 の廃 棄 場 所 である。 石 油 、 油 、潤 滑 油 の 廃 棄 、焼 却 、漏 洩 防 止 措 置 のない穴 での 貯蔵、埋設がされ た。) ROD 作成 時に存在 した 汚染 物 質 − 物質 区 分 土壌 汚 染対 策 法 ダイオ 化審 法 第一 種 キシン 特定 化 類 学物 質 − ヒ素 金属 又は無機 化 合物 カドミウム 金属 又は無機 化 合物 クロム 金属 又は無機 化 合物 鉄 金属 又は無機 化 合物 鉛 金属 又は無機 化 合物 マンガン 金属 又は無機 化 合物 亜鉛 金属 又は無機 化 合物 1,1-ジクロロエタン 揮発 性 有機 化 合物 1,1-ジクロロエチレン 揮発 性 有機 化 合物 1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン 揮発 性 有機 化 合物 1,2-ジクロロエタン 揮発 性 有機 化 合物 1,2-ジクロロプロパン 揮発 性 有機 化 合物 2-ブタノン 揮発 性 有機 化 合物 2-ヘキサノン 揮発 性 有機 化 合物 アセトン 揮発 性 有機 化 合物 クロロホルム 揮発 性 有機 化 合物 クロロメタン 揮発 性 有機 化 合物 エチルベンゼン 揮発 性 有機 化 合物 テトラクロロエチレン 揮発 性 有機 化 合物 トリクロロエチレン 揮発 性 有機 化 合物 塩化 ビニル 揮発 性 有機 化 合物 cis-1,2-ジクロロエチレン 揮発 性 有機 化 合物 1,4-ジクロロベンゼン 有機化合物(VOC 以外) 2,4-ジメチルフェノール 有機化合物(VOC 以外) 2-クロロフェノール 有機化合物(VOC 以外) 2-メチルフェノール 有機化合物(VOC 以外) 3-メチルフェノール 有機化合物(VOC 以外) 4-メチルフェノール 有機化合物(VOC 以外) ヘキサクロロブタジエン 有機化合物(VOC 以外) N-ニトロソジフェニルアミン 有機化合物(VOC 以外) 2-メチルナフタレン 多環 芳 香族 炭 化水 素 アセトフェノン 多環 芳 香族 炭 化水 素 フタル酸ビス(2-エチルヘキ 有機化合物(VOC 以外) シル) SITES 6, 7 飛 灰 捨 場 、焼 却 炉 お アルミニウム(金属) 金属 又は無機 化 合物 よび隣接 地 域 アンチモン 金属 又は無機 化 合物 ヒ素 金属 又は無機 化 合物 バリウム 金属 又は無機 化 合物 ベリリウム 金属 又は無機 化 合物 カドミウム 金属 又は無機 化 合物 カルシウム 金属 又は無機 化 合物 クロム 金属 又は無機 化 合物 銅 金属 又は無機 化 合物 鉄 金属 又は無機 化 合物 鉛 金属 又は無機 化 合物 マグネシウム 金属 又は無機 化 合物 マンガン 金属 又は無機 化 合物 水銀 金属 又は無機 化 合物 ニッケル 金属 又は無機 化 合物 カリウム 金属 又は無機 化 合物 ナトリウム 金属 又は無機 化 合物 タリウム 金属 又は無機 化 合物 バナジウム(金 属、合 金) 金属 又は無機 化 合物 亜鉛 金属 又は無機 化 合物 資-22 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 OU 汚染サイト 番号 名 (続き) 4 5 6 BORROW PIT LANDFILL -SITE 4 HOBBY SHOP DEBRIS AREA FIRE FIGHTING TRAINING 土地 利 用の 用途 (続き) 土取 場/埋立 地 (土取 場は 土取 場/埋立 地 ROD 作成 時に存在 した 汚染 物 質 物質 区 分 ベンゼン 揮発 性 有機 化 合物 塩化 ビニル 揮発 性 有機 化 合物 フタル酸ビス(2-エチルヘキ 有機化合物(VOC 以外) シル) β-ヘキサクロロシクロヘキサン ダイオキシン類・POPs エンドリンアルデヒド 農薬 類 メトキシクロル 農薬 類 1,2,3,4,6,7,8-ヘプタクロロジ ダイオキシン類・POPs ベンゾ-p-ジオキシン 1,2,3,6,7,8-ヘキサクロロジ ダイオキシン類・POPs ベンゾ-p-ジオキシン 4,4-DDD ダイオキシン類・POPs 4,4-DDE ダイオキシン類・POPs 4,4-DDT ダイオキシン類・POPs アルドリン ダイオキシン類・POPs α-クロルデン ダイオキシン類・POPs アロクロール-1248 ダイオキシン類・POPs アロクロール-1260 ダイオキシン類・POPs ディルドリン ダイオキシン類・POPs エンドスルファン ダイオキシン類・POPs エンドリン ダイオキシン類・POPs γ-クロルデン ダイオキシン類・POPs ヘプタクロルエポキシド ダイオキシン類・POPs ペンタクロロフェノール ダイオキシン類・POPs 2-メチルナフタレン 多環 芳 香族 炭 化水 素 ベンゾ[A]ピレン 多環 芳 香族 炭 化水 素 ベンゾ[A,H]アントラセン 多環 芳 香族 炭 化水 素 1,1,1,2-テトラクロロエタン 揮発 性 有機 化 合物 1,1,2,2-テトラクロロエタン 揮発 性 有機 化 合物 ベンゼン 揮発 性 有機 化 合物 ベンゼン トリクロロエチレン 塩化 ビニル 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 救難 訓 練地 域 (廃石 油 、廃 油 、廃 潤滑 油 、廃 溶 剤の焼 却) ヒ素 鉄 エチルベンゼン アロクロール-1248 2-メチルナフタレン 13 BORROW 土取 場/埋立 地 、旧 1,1-ジクロロエチレン PITS/LAN 下水 汚 泥廃 棄 場所 ジクロロメタン DFILL 塩化 ビニル RUNWAY フ タ ル 酸 ビ ス ( 2- エ チ ル ヘ キ 32 シル) 14 SITE 90 第 130 番棟(大型 航 1,1-ジクロロエタン 空機 格 納庫) 1,2-ジクロロエタン (VOC による地 下 水 クロロメタン 汚染) ジクロロメタン テトラクロロエチレン トリクロロエチレン 塩化 ビニル cis-1,2-ジクロロエチレン 1 2 3 資-23 金属 又は無機 化 合物 金属 又は無機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 ダイオキシン類・POPs 多環 芳 香族 炭 化水 素 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 有機化合物(VOC 以外) 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 揮発 性 有機 化 合物 土壌 汚 染対 策 法 ダイオ 化審 法 第一 種 キシン 特定 化 類 学物 質 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 (3) 基地内相当量使用物質として調査すべき物質の選定方法 2 前 述 の (1)米 国 内 の 基 地 に お い て 汚 染 が 懸 念 さ れ た 物 質 の 把 握 方 法 に よ り 整 理 さ 3 れ た 物 質 に つ い て は 、自 然 由 来 の 物 質 や 基 地 建 設 以 前 の 土 地 利 用 に お い て 土 壌 へ 排 4 出された物質なども含まれる。 5 6 こ の た め 、汚 染 が 懸 念 さ れ た 物 質 の リ ス ト に つ い て 決 定 記 録 の 内 容 、得 ら れ た 濃 度及びスクリーニングレベル設定の考え方等から精査を加える必要がある。 7 沖 縄 の 米 軍 基 地 の 返 還 合 意 時 に 実 施 す る リ ス ク 評 価 で は 、原 則 と し て 、評 価 す る 8 基 地 と 合 致 す る 土 地 の 使 用 用 途 の リ ス ク 評 価 の 対 象 物 質 に つ い て 、ま ず は ス ク リ ー 9 ニング調査で残留状況を確認するべきである。 10 こ の た め 、返 還 の ス ケ ジ ュ ー ル に あ わ せ 、返 還 さ れ る 施 設 と 一 致 す る 米 国 内 の 基 11 地において汚染が懸念された物質について、返還実施計画の作成に先立ち、順次、 12 地下水・土壌汚染及び基地内の化学物質の利用等に関する有識者による検討を進 13 め、土地の使用用途別のリスク評価の対象物質を整理する必要がある。 14 資-24 1 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1.9 2002 年 に 米 国 国 防 総 省 が 米 国 議 会 へ 報 告 し た 弾 薬 等 に 由 来 す る 成 分 の う ち 、 2 環境や健康に影響を生じるおそれのある物質について 3 2002 年 に 米 国 国 防 総 省 が 米 国 議 会 へ 提 出 し た 報 告 書 に お い て 、米 軍 基 地 内 で 用 い 4 ら れ る 弾 薬 成 分 の う ち 健 康 ・ 環 境 へ の リ ス ク が 特 に 高 い と し て と し て 、 以 下 の 20 5 物質があげられている。 6 7 表 1-9 弾 薬 成 分 の う ち 健 康・環 境 へ の リ ス ク が 特 に 高 い と さ れ て い る 物 質 の 基 本 情 報 番号 化学物質名 1 ニトロベンゼン Nitrobenzene CAS 98-95-3 分子式 C6H5NO2 構造式 NO2 2 1,3-ジニトロベンゼン 1,3-Dinitrobenzene 99-65-0 C6H4N2O4 NO2 3 1,3,5-トリニトロベンゼン 1,3,5-Trinitrobenzene 99-35-4 C6H3N3O6 NO2 NO2 O2N 4 2-ニトロトルエン 2-Nitrotoluene 88-72-2 5 3-ニトロトルエン 3-Nitrotoluene 99-08-1 C7H7NO2 6 4-ニトロトルエン 4-Nitrotoluene 99-99-0 C7H7NO2 NO2 C7H7NO2 NO2 NO2 NO2 7 2,4-ジニトロトルエン 121-14-2 C7H6N2O4 2,4-Dinitrotoluene NO2 NO2 8 資-25 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 番号 8 化学物質名 2,6-ジニトロトルエン CAS 分子式 606-20-2 C7H6N2O4 2,6-Dinitrotoluene 9 2,4,6-トリニトロトルエン 2,4,6-Trinitrotoluene 118-96-7 構造式 O 2N NO2 O 2N NO2 C7H5N3O6 NO2 10 2-アミノ-4,6-ジニトロトルエン 2-Amino-4,6-Dinitrotoluene 35572-78-2 C7H7N3O4 O 2N NH2 NO2 11 4-アミノ-2,6-ジニトロトルエン 4-Amino-2,6-Dinitrotoluene 19406-51-0 C7H7N3O4 O2N NO2 NH2 12 2,4-ジアミノ-6-ニトロトルエン 2,4-Diamino-6-Nitrotoluene 6629-29-4 C7H9N3O2 O2N NH2 NH2 13 2,6-ジアミノ-4-ニトロトルエン 2,6-Diamino-4-Nitrotoluene 59229-75-3 C7H9N3O2 H2N NH2 NO2 14 テトリル(トリニトロフェニルメ 479-45-8 チ ル ニ ト ロ ア ミ ン 、 N- メ チ ル -N,2,4,6-テトラニトロアニリン、 ピクリルメチルニトロアミン) N-Methyl-N,2,4,6-Tetranitroaniline C7H5N5O8 NO2 N O2N NO2 NO2 15 トリメチレントリニトロアミン 121-82-4 (シクロトリメチレントリニト ロアミン、ヘキソーゲン) Hexahydro-1,3,5-Trinitro-1,3,5-Tria zine 1 資-26 C3H6N6O6 NO2 N N O 2N N NO2 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 番号 化学物質名 CAS 16 シクロテトラメチレンテトラニト 2691-41-0 ラミン(オクトーゲン) Octahydro-1,3,5,7-tetranitro-1,3,5,7-t etrazocine 分子式 C4H8N8O8 構造式 O 2N NO2 N N N N O2N 17 亜硝酸メチル Methyl nitrite 624-91-9 CH3NO2 18 ニトログリセリン Nitroglycerin 55-63-0 C3H5N3O9 NO2 N O O NO2 O O O O 2N 19 四硝酸ペンタエリスリットペンス 78-11-5 リット(ペンスリット) Pentaerythritol tetranitrate NO2 C5H8N4O12 O 2N O NO2 O O O2N O NO2 20-1 過塩素酸 Perchloric acid 7601-90-3 ClHO4 20-2 過塩素酸アンモニウム Ammonium perchlorate 7790-98-9 ClH4NO4 20-3 過塩素酸ナトリウム Sodium perchlorate 7601-89-0 ClO4Na 20-4 過塩素酸カリウム Potassium perchlorate 7778-74-7 ClO4K HClO4 NH4ClO4 NaClO4 KClO4 1 2 弾 薬 成 分 の う ち 健 康 ・ 環 境 へ の リ ス ク が 特 に 高 い と さ れ て い る 20 物 質 の 国 内 法 3 の 規 制 情 報 は 表 1-10 に 、 化 管 法 に 基 づ く 環 境 へ の 排 出 状 況 は 表 1-11 に 、 物 理 化 4 学 性 状 は 表 1-12 に 示 す と お り で あ る 。 5 6 資-27 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 1-10 弾薬成分のうち健康・環境へのリスクが特に高いとされている物質の国内法の規制情報 化審法 化管法 安衛法 大防法 危険物 難分解性 有害大気 優先評価 旧第二種 旧第三種 第一種 第二種 ・低濃縮性 汚染物質 爆発性の物 酸化性の物 1 ニトロベンゼン ○ ○ ○ ○ ○ 2 1,3-ジニトロベンゼン ○ ○ ○ 3 1,3,5-トリニトロベンゼン ○ a) 4 2-ニトロトルエン ○ ○ ○ b) ○ 5 3-ニトロトルエン ○ ○ b) 6 4-ニトロトルエン ○ 7 2,4-ジニトロトルエン - c) ○ d) ○ d) ○ d) ○ d) 8 2,6-ジニトロトルエン 9 2,4,6-トリニトロトルエン - e) ○ a) 10 2-アミノ-4,6-ジニトロトルエン 11 4-アミノ-2,6-ジニトロトルエン 12 2,4-ジアミノ-6-ニトロトルエン 13 2,6-ジアミノ-4-ニトロトルエン 14 テトリル 15 トリメチレントリニトロアミン 16 シクロテトラメチレンテトラニトラミン 17 亜硝酸メチル 18 ニトログリセリン ○ ○ 19 四硝酸ペンタエリスリットペンスリット 20-1 過塩素酸 20-2 過塩素酸アンモニウム ○ f) 20-3 過塩素酸ナトリウム 20-4 過塩素酸カリウム 注: a) トリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸その他の爆発性のニトロ化合物として。 b) 平成 20 年 11 月の政令改正において対象物質に新規追加。 c) 平成 26 年 10 月1日に優先評価化学物質の指定取消し(ジニトロトルエンとして)。 d) ジニトロトルエンとして。 e) 平成 20 年 11 月の政令改正で対象物質から削除。 f) 過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウムその他の過塩素酸塩として。 その他の規制 番号 対象物質 規制 7 2,4-ジニトロトルエン 安衛法:既存化学物質(強い変異原性が認められた化学物質) 17 亜硝酸メチル 安衛法:公表化学物質 注:略称について、化審法の「優先評価」は「優先評価化学物質」、「旧第二種」は「旧第二種監視化学物質」、「旧第三種」は「旧第三種監視化学物質」、化管法の「第 一種」は「第一種指定化学物質」、「第二種」は「第二種指定化学物質」をそれぞれ意味する。 番号 資-28 2 3 4 5 6 7 8 9 10 物質名 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 1-11 番号 物質名 用途(出典) 平成 26 年度 製造・輸入量(t) a) PRTR 集計排出量 (kg/年):平成 26 年度 届出排出量 届出外排出量 排出量 合計 大気 公共用水 合計 (推計値) 1963 570 2533 2533 19 37 56 56 28 483 511 25835 b) 26346 アニリン原料,染料・香料中間体 (1) 48887 染料中間体 (1) X (2) 爆薬 染料中間体 (1) 2000 (ニトロトルエン 染料中間体 (1) として) 染料中間体 (1) 有機合成原料(トルエンジアミン,火薬 1000 未満 の中間体,染料)(3) (ジニトロトルエ 8 2,6-ジニトロトルエン トルエンジアミン原料,火薬の中間体, ンとして) 染料中間体 (3) 9 2,4,6-トリニトロトルエン ダイナマイト・硝安爆薬用成分 (1) (520) c) 10 2-アミノ-4,6-ジニトロトルエン 11 4-アミノ-2,6-ジニトロトルエン 12 2,4-ジアミノ-6-ニトロトルエン 13 2,6-ジアミノ-4-ニトロトルエン 14 テトリル 産業火薬・工業雷管の添装薬 (1) 15 トリメチレントリニトロアミン 爆薬 (1) X 16 シクロテトラメチレンテトラニトラミン 火薬 (2) 17 亜硝酸メチル ロケット燃料,有機合成原料 (2) 18 ニトログリセリン 産業用爆薬の鋭敏剤,防衛用爆弾の無煙 (658) c) 620 82 702 702 火薬(発射薬),医薬品 (3) 19 四硝酸ペンタエリスリットペンスリット 火薬(工業雷管の装てん薬)(1) 5.4 d) (1) 20-1 過塩素酸 分析用試薬,有機合成原料 1000 未満 20-2 過塩素酸アンモニウム 爆薬カーリット・ロケット推薬原料 (1) 20-3 過塩素酸ナトリウム 酸化剤(無水)(1) 20-4 過塩素酸カリウム 爆薬・花火・信号炎管原料,酸化剤 (1) 注: a) 経済産業省届出公表値。届出がなされている物質ではあるが、届出事業者数が 2 社以下の場合には、事業者の秘密保持のため「製造輸入数量」欄に「X」を表示し ている。( )は平成 10 年度の製造・輸入量を意味する。 b) 対象業種を営む事業所からの排出 c) 出典:化学物質安全性(ハザード)評価シート d) 生産量(出典:2016 年版 16716 の化学商品(化学工業社)) 用途の出典:(1) 化学工業日報社、(2) NITE 調査、(3) NITE 初期リスク評価書 1 2 3 4 5 6 7 資-29 2 3 4 5 6 7 弾薬成分のうち健康・環境へのリスクが特に高いとされている物質の化管法に基づく環境への排出状況 ニトロベンゼン 1,3-ジニトロベンゼン 1,3,5-トリニトロベンゼン 2-ニトロトルエン 3-ニトロトルエン 4-ニトロトルエン 2,4-ジニトロトルエン 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 1-12 番 物質名 号 1 ニトロベンゼン 融点 (°C) 5.7 2 1,3-ジニトロベンゼン 77.7 b) 118.5 3 1,3,5-トリニトロベン 111.92 b) ゼン 121.5 4 2-ニトロトルエン -10.6 5 3-ニトロトルエン 6 4-ニトロトルエン 資-30 2 弾薬成分のうち健康・環境へのリスクが特に高いとされている物質の物理化学的性状 38.16 b) 15.5 51.3 出 沸点 典 (°C) 1) 210.8 4) 4) 8) 290.38 b) 318 353.54 b) 315 225 - 225.86 b) 4) 232 8) 238 出 対水溶解度 典 (mg/L, 25°C) 1) 2090 1797 - 133 4) - 278 (15°C) 4) 8) 650 (30°C) 537 (20°C, pH=7) - 500 (30°C) 4) 8) 442 (30°C) 262 (20°C, pH=7) 9), 200 13) 270 (22°C) 9), 208 10) - 115 (23°C) 出 蒸気圧 典 (mm Hg, 25°C) 2) 0.21 b) 3) 0.245 3) 8.85×10-5 b) 4.55×10-5 7) 9.65×10-5 b) 6.44×10-6 3) 0.1 (20°C) 8) 3) 0.0704 b) 0.205 10) 0.164 8) 12) 2.17×10-4 8) 8) 5.67×10-4 出 分配係数 典 (log Kow) - 1.85 4) 1.69 4) - 1.18 4) 8) 2.3 - 2.45 4) 11) 2.37 出 比重または 典 密度 5) 1.205 (15°C /4°C) 5) 5) 1.76 (20°C /4°C) 5) 1.1611 g/cm3 (19°C) 5) - 出 ヘンリー 典 定数 a) 19) 2.13×10-5 b) 2.4×10-5 - 8.39×10-8 b) 5.33×10-8 6) 3.31×10-10 b) 6.5×10-9 9) 2.35×10-5 b) 1.25×10-5 - 2.35×10-5 b) 9.3×10-6 8) 2.35×10-5 b) 5.63×10-6 13) 9.26×10-8 b) 5.4×10-8 8) 9.26×10-8 b) 7.47×10-7 16) 3.65×10-10 b) 2.08×10-8 - 3.27×10-11 b) 出 典 4) 4) 4) 4) 4) 4) 4) - 352.03 b) 4) - 352.03 b) 4) - 338.74 b) - 1223 b) - 3.33×10-6 b) - 1.84 b) 5) 1.29 g/cm3 (20°C) 5) 1.521 g/cm3 (15°C) 5) 1.54 g/cm3 (15°C) 5) 1.654 (20°C /4°C) - - 1223 b) - 3.65×10-6 b) - 1.84 b) - - - 3.27×10-11 b) - - 21430 b) - 2.7×10-5 b) - 0.55 b) - - - 2.93×10-12 b) - 338.74 b) - 21430 b) - 2.7×10-5 b) - 0.55 b) - - - 2.93×10-12 b) - - 432.11 b) 4) 6) 353.43 b) - 74 7) 1.17×10-7 b) - 1.64 b) - - - 2.71×10-9 b) - - 59.7 6) 436.41 b) - 5 7) 1.34×10-6 b) 4.10×10-9 (20°C) 18) 2.41×10-8 b) 3.3×10-14 - 0.87 4) - 0.16 4) 7 2,4-ジニトロトルエン 70.5 13) 300 8 2,6-ジニトロトルエン 66 9) 285 9 2,4,6-トリニトロトル 80.1 エン 10 2-アミノ-4,6-ジニトロ 129.14 b) トルエン 174.5 11 4-アミノ-2,6-ジニトロ 129.14 b) トルエン 171 12 2,4-ジアミノ-6-ニトロ 121.22 b) トルエン 13 2,6-ジアミノ-4-ニトロ 121.22 b) トルエン 14 テトリル 159.69 b) 131.5 15 ト リ メ チ レ ン ト リ ニ 205-206 トロアミン 16 シ ク ロ テ ト ラ メ チ レ 281 ンテトラニトラミン 14) 365.14 b) - 12) 1.99×10-4 (20°C) 8) 1.98 8) 2.1 15) 1.6 17) 1.82 (20°C /4°C) 18) - 6) 6.32×10-8 b) 2.01×10-11 - 8.67×10-10 b) 4) 4) - 4) - 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 出 分配係数 出 比重または 出 ヘンリー 出 沸点 出 対水溶解度 出 蒸気圧 出 典 (log Kow) 典 密度 典 定数 a) 典 (°C) 典 (mg/L, 25°C) 典 典 (mm Hg, 25°C) -75.08 b) - 3.49 b) - 24230 b) - 2780 b) - 0.88 b) - 2.93×10-12 b) -16 4) -12 4) 18 ニトログリセリン 2.8 (不安定結晶形) 19) 218 19) 1305 b) - 4.00×10-4 4) 1.62 5) 1.5931g/cm3 20) 2.54×10-9 b) -4 13.5 (安定結晶形) (20°C) 1380 (20°C) 11) 2.00×10 (20°C) 11) 19 四 硝 酸 ペ ン タ エ リ ス 140 6) 363.86 b) - 43 21) 4.21×10-6 b) - 2.38 b) - 1.773 6) 1.2×10-11 b) -9 リットペンスリット (20°C /4°C) 5.45×10 4) 20 過塩素酸及びその塩 -112 9) ∼90 9) 2050000 9) - -5.84 b) - 1.768 g/cm3 6) (分解) (Na 塩) (Na 塩) (22°C) 注:a)計算値は Bond Method による(25°C, atm-m3/mole)。 b) 計算値(U.S. EPA, Estimation Programs Interface (EPI) Suite v4.1) 出典: 1) CRC Handbook 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Whitehouse Station, NJ. 20) Lide, D.R. ed. (2002-2003): CRC Handbook of Chemistry and Physics, 83rd ed., Boca Raton, London, New York, Washington D.C., CRC Press 21) Rinkenback, W.H. (1965): Explosives. in: Kirk-Othmer Encycl. Chem. Tech. 2nd ed. 8:581-658. 番 対象物質 号 17 亜硝酸メチル 資-31 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 融点 (°C) 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 米 国 国 防 総 省 が 2002 年 に 米 国 議 会 に 提 出 し た 報 告 書 に 記 載 さ れ て い る 20 物 質 に 2 ついて、有害性情報の有無を以下のデータベースで調査した。 3 ・独立行政法人 製品評価技術基盤機構 (NITE): 化学物質総合情報提供システム NITE CHRIP 4 ・経済協力開発機構(OECD):eChem Potal 5 有害性情報は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」 7, 8 6 と い う 。) に お け る 信 頼 性 評 価 の 考 え 方 7 一 般 化 学 物 質 及 び 新 規 化 学 物 質 を 対 象 に 、優 先 評 価 化 学 物 質 に 該 当 す る か 否 か を 判 8 定するために実施されるスクリーニング評価で用いられている。 9 10 に基づいて収集した。信頼性評価は、 米 国 国 防 総 省 が 2002 年 に 米 国 議 会 に 提 出 し た 報 告 書 に 記 載 さ れ て い る 20 物 質 の 有 害 性 情 報 を 表 1-13 に 示 す 。 11 なお、ここではリスク評価に用いる数値を掲載した。人の健康影響については、 12 経 口 参 照 容 量 (Reference Dose, RfD O )、 吸 入 参 照 容 量 (Reference Concentration, 13 RfC) 、 経 口 ス ロ ー プ フ ァ ク タ ー ( Slope Facter – Oral, SFO )、 吸 入 ユ ニ ッ ト リ ス 14 ク ( Inhalation Unit Risk, IUR ) を 示 し た 。 ま た 、 生 態 影 響 に つ い て は 、 予 測 無 15 影 響 濃 度 ( Predicted No Effect Concentration, PNEC) 及 び 導 出 に 用 い た 毒 性 デ 16 ータを示す。 17 2,4-ジ ア ミ ノ -6-ニ ト ロ ト ル エ ン 、2,6-ジ ア ミ ノ -4-ニ ト ロ ト ル エ ン 及 び 亜 硝 酸 メ 18 チ ル に つ い て は 毒 性 デ ー タ が 得 ら れ な か っ た 。 2- ア ミ ノ -4,6- ジ ニ ト ロ ト ル エ ン 、 19 4-ア ミ ノ -2,6- ジ ニ ト ロ ト ル エ ン 、 テ ト リ ル に つ い て は 生 態 影 響 デ ー タ が 得 ら れ な 20 かった。 21 米 国 で は ス ー パ ー フ ァ ン ド 法 で 実 施 す る リ ス ク 評 価 に お い て 、以 下 の 情 報 源 か ら 22 毒 性 情 報 を 収 集 し て い る 。 し た が っ て 、2-ニ ト ロ ト ル エ ン 、 3-ニ ト ロ ト ル エ ン 、4- 23 ニ ト ロ ト ル エ ン 、 ニ ト ロ グ リ セ リ ン 、ペ ン ス リ エ ッ ト 、 テ ト リ ル に つ い て は 、 こ れ 24 らのデータを用いた。 25 ①米国統合リスク情報システム(Integrated Risk Information System: IRIS) 26 ②暫定審査済み毒性値(Provisional Peer Reviewed Toxicity Value: PPRTV) 27 ③その他 28 ・米国毒性物質疾病登録機関(Agency for Toxic Substances and Disease Registry: ATSDR) 29 ・カリフォルニア州環境保護庁 30 ・米国環境保護庁 健康影響評価要約表(EPA's Health Effects Assessment Summary Tables: HEAST) 31 32 7 8 「化審法における人健康影響に関する有害性データの信頼性評価等について」( 2011、経済産業省) 「化審法における生態影響に関する有害性データの信頼性評価等について」( 2011、経済産業省) 資-32 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 ま た 、2-ア ミ ノ -4,6-ジ ニ ト ロ ト ル エ ン 及 び 4-ア ミ ノ -2,6-ジ ニ ト ロ ト ル エ ン の 2 2 物質については、米国スーパーファンド法で使用されるスクリーニングレベル 3 ( Regional Screening Levels ) の 算 出 に 、 2,4- ジ ニ ト ロ ト ル エ ン の デ ー タ を 用 い 4 て い る 。し た が っ て 、2-ア ミ ノ -4,6-ジ ニ ト ロ ト ル エ ン 及 び 4-ア ミ ノ -2,6-ジ ニ ト ロ 5 ト ル エ ン の 2 物 質 に つ い て は 、 人 の 健 康 影 響 評 価 に 用 い る 経 口 参 照 容 量 ( RfD O ) と 6 し て 、 2,4-ジ ニ ト ロ ト ル エ ン の デ ー タ を 用 い た 。 7 資-33 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 1-13(1) 弾 薬 成 分 の う ち 健 康・環 境 へ の リ ス ク が 特 に 高 い と さ れ て い る 物 質 の 有 害 2 性情報(人健康影響) 番号 物質名 1 ニトロベンゼン 2 1,3-ジニトロベンゼン 0.00010 I 3,000 3 1,3,5-トリニトロベンゼン 0.030 I 4 2-ニトロトルエン 0.0020 P 5 3-ニトロトルエン 0.00010 X 6 0.0043 E 1,000 0.0020 I P 4-ニトロトルエン 0.016 P 7 2,4-ジニトロトルエン 0.068 A 8 2,6-ジニトロトルエン 0.68 I 0.0020 A 2,4,6-トリニトロトルエン 2-アミノ-4,6-ジニトロトル エ ン 4-アミノ-2,6-ジニトロトル エ ン 2,4-ジアミノ-6-ニトロトル エ ン 2,6-ジアミノ-4-ニトロトル エ ン テトリル トリメチレントリニトロア ミン シクロテトラメチレンテト ラニトラミン 亜硝酸メチル 0.030 I 0.00050 I 1,000 0.0020 S 0.0020 S 0.0020 P 3,000 0.0030 I 0.050 I 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ニトログリセリン 四硝酸ペンタエリスリット 19 ペンスリット 20 過塩素酸及びその塩 0.11 8.9E-05 I C 0.017 P 0.00040 P 0.0040 X 0.0020 P 0.00070 I AF 30 100 0.22 9 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 経口スロープ 吸入ユニット 経口参照容量 吸入参照容量 ファクター リスク AF (RfD o ) (RfC i) (SFO) (IUR) (mg/kg-day) (mg/m 3 ) -1 3 -1 (mg/kg-day) (ug/m ) 4.0E-05 I 0.0020 I 1,000 0.0090 I 100 100 10 注 1:AF は、アセスメントファクターを意味する。 2:灰色の網掛はデータが得られなかったことを意味する(2,4-ジアミノ-6-ニトロトルエン、2,6ジアミノ-4-ニトロトルエン及び亜硝酸メチルについては人の健康影響に関する毒性データが 得られなかった)。 出典:I. 米国統合リスク情報システム(Integrated Risk Information System: IRIS)、A. 米国毒 性物質疾病登録機関(Agency for Toxic Substances and Disease Registry: ATSDR)、P. 暫定 審査済み毒性値(Provisional Peer Reviewed Toxicity Value: PPRTV)、C. カリフォルニア州 環境保護庁、X. APPENDIX PPRTV SCREEN(通常の PPRTV 導出はできないが、不確実係数を乗じて スクリーニングに使用するための RfDO を算出)、S. 2,4-ジニトロトルエンのデータで代用 、 E. 欧州化学品庁(ECHA) 資-34 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 1-13(2) 番 号 弾薬成分のうち健康・環境へのリスクが特に高いとされている物質の有害性情報(生態影響) PNEC 対象物質 1 ニトロベンゼン 1,3- ジ ニ ト ロ ベ ン ゼン 1,3,5- ト リ ニ ト ロ 3 ベンゼン 2,4,6- ト リ ニ ト ロ 4 トルエン 2 淡水 水生生物 26 M 0.32 E 資-35 5 M 6 3-ニトロトルエン 166 E 7 4-ニトロトルエン 7 M 9 10 11 12 13 2,4- ジ ニ ト ロ ト ル エン 2,6- ジ ニ ト ロ ト ル エン 2-ア ミ ノ -4,6-ジ ニ トロトルエン 4-ア ミ ノ -2,6-ジ ニ トロトルエン 2,4-ジ ア ミ ノ -6-ニ トロトルエン 2,6-ジ ア ミ ノ -4-ニ トロトルエン 26 100 115 毒性値(mg/L) PNEC 計算値 (μg/L) AF 急性 毒性 AF 慢性 毒性 AF 慢性毒性 魚類 甲殻類 0.63 100 0.32 100 急性毒性 藻類 魚類 甲殻類 100 0.63 J 5 2-ニトロトルエン 8 PNEC 報告値 (μg/L) ECHA CHEM 環境省 水質 慢性 急性 水質 AF AF AF 淡水 海水 毒性 毒性 0.063 J 12 J 35 J 0.5 E 12.7 E >17 E 0.066 500 5 100 54 100 7 100 43 100 0.2 M 0.2 100 63 100 6 M 6 10 22 100 50 E 166 50 50 10 9.9 E 8.3 E 1.4 E 3.64 E 14 テトリル 15 トリメチレントリ ニトロアミン 1.27 10,000 藻類 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 番 号 PNEC 対象物質 シクロテトラメチ 16 レ ン テ ト ラ ニ ト ラ ミン 淡水 水生生物 66 E 4 M PNEC 報告値 (μg/L) ECHA CHEM 環境省 水質 慢性 急性 水質 AF AF AF 淡水 海水 毒性 毒性 毒性値(mg/L) PNEC 計算値 (μg/L) AF 急性 毒性 66 AF 50 慢性 毒性 15 AF 慢性毒性 魚類 甲殻類 1,000 >3.3 E >3.9 E 急性毒性 藻類 魚類 甲殻類 藻類 >15 E >32 E >32 926 E 292 E 17 亜硝酸メチル 18 ニトログリセリン 四硝酸ペンタエリ 19 ス リ ッ ト ペ ン ス リ ット 過塩素酸及びその 20 塩 資-36 1 2 3 4 5 6 7 8 300 96 4 100 E 300 M 29.2 10,000 96 100 490 1,000 注 1:AF は、アセスメントファクターを意味し、PNEC 報告値では各出典に記載されたアセスメントファクターを、PNEC 計算値の場合では化審法における優 先評価化学物質に関するリスク評価の技術ガイダンス III. 生態影響に関する有害性評価 ver.1.0(平成 26 年 6 月、厚労省・経産省・環境省)に記 載された考え方に基づいて設定した値を示した。 2:灰色の網掛はデータが得られなかったことを意味する。 出典:E.欧州化学品庁(ECHA CHEM)、 M. 環境省、 J. Japan チャレンジプログラム(Japan HPV Challenge program.) E 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 2章 調 査 計 画 の 立 案 ・ 実 施 の 基 本 的 な 考 え 方 2 2.1 沖 縄 の 米 軍 基 地 に お い て 調 査 を 実 施 す る 際 の 留 意 す べ き 地 域 特 性 3 4 沖縄固有の自然環境、社会環境に起因して生じている課題及び留意点と沖縄の米 軍基地に起因する課題の前提となる地域特性について整理した。 5 1) 地 形 ・ 地 質 特 性 6 (ア) 地 形 7 8 沖 縄 島 は 、南 北 方 向 の 長 さ 135km、最 大 幅 28km、最 小 幅 4 km の 中 央 の く び れ た 細長い島である。 9 地形は残波岬から石川間の石川地峡を境として、北部と中南部で大きく異なっ 10 て お り 、 北 部 は 「 高 島 ( こ う と う : 古 期 岩 類 ・ 山 地 )」、 中 南 部 は 「 低 島 ( て い と 11 う : 新 期 岩 類 ・ 丘 陵 ・ 台 地 )」 と 大 き く 2 つ に 分 類 さ れ る 。 12 北 部 で は 、島 の 中 央 部 を 標 高 503m の 与 那 覇 岳 を 最 高 峰 と す る 200∼ 500m 級 の 脊 13 梁山地が続き、標高は南ほど低くなっている。脊梁山地の周囲には海成段丘起源 14 と考えられる丘陵、その縁辺部に砂礫層を持つ海成段丘が形成されている。 15 一方、中南部では、傾動地塊状の台地や分離丘陵と考えられる残丘地形と小起 16 伏 の 波 浪 状 地 形 を 呈 し て お り 、 最 高 標 高 は 知 念 台 地 の 糸 数 の 残 丘 193.2m で 典 型 17 的な低島の地形である。この地域では、島尻層群泥岩を基盤として、台地上には 18 琉球石灰岩が分布している。 出典:内閣府沖縄総合事務局ウェブページ 19 図 2-1 沖縄島の地形概要 資-37 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 5 (イ) 地 質 沖縄島の地質構造は、ほぼ琉球列島に沿って走る構造線によって本部累帯、国 頭累帯、島尻累帯の概ね3つに区分される帯状構造となっている。 本部累帯に区分される本部半島は、主として古生代二畳系の本部層や中生代三 畳系の今帰仁層の厚い石灰岩で構成されている。 6 国頭累帯に区分される北部は、主として粘板岩、千枚岩、片岩類からなる中生 7 代の名護層や砂岩・粘版岩互層、礫岩からなる新生代古第三系の嘉陽層で構成さ 8 れている。 9 島尻累帯に区分される中南部は、主として新生代新第三系の島尻層群が基盤を 10 な し、上 位 に新 生 代 新 第四 系 の 琉 球 石灰 岩 が基 盤 低 地 を 埋め て 地下 水 盆 を 形 成し 11 ている。 12 出典:「平成 27 年版 土木工事設計要領」 (内閣府沖縄総合事務局) 図 2-3 沖縄島帯状構造 出典: 「沖縄の地形・地質と河川・砂防・海岸等」 (内閣府沖縄総合事務局開発建設部ウェブページ) 図 2-2 沖縄島の地質 出典:「平成 27 年版 土木工事設計要領」(平成 27 年、内閣府沖縄総合事務局) 図 2-4 琉球石灰岩地域の地形・地質模式断面図 13 14 資-38 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2) 地 下 水 特 性 2 琉 球 列 島 に 広 く 分 布 す る 琉 球 石 灰 岩 層 は 、 透 水 量 係 数 ( T ) 9 が 10 - 3 ∼ 10 - 4 m 2 /s 3 程 度 と 透 水 性 が 非 常 に 大 き く 、 沖 縄 県 に お け る 全 地 下 水 賦 存 量 の 75% を 占 め る 最 4 も主要な地下水帯水層である。 5 地下に浸透した雨水などは、地下水となって琉球石灰岩の割れ目や空洞などを 6 通って、次第に地下深所に伏没し、琉球石灰岩層の基底部あるいは基盤岩である 7 島尻層群などとの不整合面に従って、傾斜方向に流動している。したがって、琉 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 球石灰岩地帯の地下水は、ほとんど自由面地下水の形態をとっている。 注 1:凹地泉 (おうちせん):陥没ドリーネの中にある湧き水で「カルストの窓」をつくっている。代 表的なものに嘉数のアガリガー、野嵩のクシヌカーなどがある。 2:洞穴泉 (どうけつせん):地下の洞穴(鍾乳洞)に入って水を汲む湧き水で、地表からは見えませ ん。代表的なものに新城のアラグスクガーなどがある。 3:崖泉 (がいせん):崖の途中にある湧き水で、位置的に地下水系の下流末端にあたるため湧水量 は多い。代表的なものに我如古のヒージャーガー、大山のヒージャーガーなどがある。 4:崖下泉 (がいかせん):崖下に開口する洞穴から湧き出している湧き水。代表的なものに大山の ヤマチヂャガー、喜友名のチュンナーガーなどがある。 5:渓谷泉 (けいこくせん):湧き出した地下水が地面を削って小さな谷を作っている湧き水。代表 的なものに大山ヒャーカーガー、 真志喜のムンヌカー(森の川)などがある。 出典:「ぎのわん自然ガイド」(平成 12 年3月、宜野湾市教育委員会) 34 図 2-5 地下水及び湧水の特徴 35 36 3) 土 壌 特 性 37 沖縄県は、日本で唯一、温暖多雨な亜熱帯海洋性気候に属しており、落葉樹が少 38 なく、土壌動物や土壌微生物の活動が活発で有機物の分解が速いため、堆積腐植層 39 が極めて薄く、その気候や地形を反映してシルト・粘土質に富む風化土壌が生成さ 40 れ広く分布している。 41 この風化土壌については、沖縄県では古来から、特性の違いにより、琉球石灰岩 42 を 母 材 と す る 「 島 尻 マ ー ジ 」、 非 石 灰 質 の 国 頭 礫 層 を 母 材 と す る 「 国 頭 マ ー ジ 」、 島 43 尻層群の泥灰岩(クチャ)を母材とする「ジャーガル」の概ね3つに分類して利用 44 されている。 9 単 位 動 水 勾 配 の 下 で 、 単 位 幅 の 帯 水 層 を 通 っ て 伝 送 さ れ る単 位 時 間 当 た り の 水 の 量 で 表さ れ る 。 一 般 に は 透 水 係 数 と 帯 水 層厚 と の積 で 表さ れ る。 資-39 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 2-1 沖縄県内主要土壌の特徴 3 4 5 6 出 典 :「 沖 縄 に お け る 都 市 緑 化 樹 木 の 台 風 被 害 対 策 の 手 引 き 」( 平 成 23 年 1 月 、 国土技術政策総合研究所) 7 8 資-40 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 沖 縄 県 土 面 積 に 占 め る 土 壌 分 布 割 合 は 、図 2-6 に 示 す と お り 国 頭 マ ー ジ が 55.1% で 最 も 多 く 、 次 い で 島 尻 マ ー ジ が 27.4%、 ジ ャ ー ガ ル が 8.0%と な っ て い る 。 出典:内閣府沖縄総合事務局 農林水産部土地改良課 ウェブページ 3 図 2-6 沖縄における土壌構成 4 5 沖 縄 県 の 主 要 土 壌 で あ る 国 頭 マ ー ジ 、島 尻 マ ー ジ 、ジ ャ ー ガ ル( 母 材 の ク チ ャ を 6 含む)はいずれも粒径が小さく、沖縄県衛生環境研究所の研究によれば、土壌試 7 料 中 に お け る 0.45μ m 以 下 の 極 微 細 粒 子 の 平 均 割 合 は 0.39∼ 0.54%と な っ て い る 。 8 9 表 2-2 沖縄県内主要土壌試料の平均粒度分布 国頭マージ (n=106) 200 直径 (μm) 20 2 < d ≦ 2000 < d ≦ 200 <d ≦ <d ≦ 1 0.45 < d ≦ d ≦ 10 11 12 20 2 (粗砂) (細砂) (シルト) (粘土) (微細粒子) 1 0.45 (極微細粒子) 島尻マージ (n=126) ジャーガル (n=83) クチャ (n=77) % S.D. % S.D. % S.D. % S.D. 3.58 30.3 5.97 13.5 3.96 27.4 8.17 15.5 1.88 24.4 3.96 11.6 2.88 34.5 4.17 12.5 57.8 5.75 16.0 5.49 59.3 6.46 18.3 4.03 64.2 6.64 13.3 2.64 56.0 4.65 13.7 2.25 1.84 1.24 2.14 1.33 2.26 1.26 1.58 1.03 0.44 0.46 0.46 0.54 0.54 0.58 0.39 0.57 出典:「沖縄県内主要土壌の粒度分布及び流出濁水における懸濁物質の粒度分布」(2016、 第 22 回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集(2016)、座間味 ・ 知花・金城) 13 14 15 4) 境 界 標 ・ 不 動 産 登 記 資 料 等 ( 調 査 範 囲 を 確 定 す る た め の 情 報 ) の 入 手 沖縄県内では、第二次世界大戦による破壊、米軍による基地の建設等によって、 16 土地の形質の変更、または土地登記簿及び公図が滅失したことにより、広範囲に 17 渡って各筆の土地の位置境界が不明確として指定された「位置境界不明地域」が 18 発生している。 19 位 置 境 界 不 明 地 域 内 に お け る 各 筆 の 土 地 の 位 置 境 界 の 明 確 化 の た め 、昭 和 52 年 20 5月に沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明 21 確 化 等 に 関 す る 特 別 措 置 法( 位 置 境 界 明 確 化 法 、昭 和 52 年 法 律 第 40 号 )が 公 布 ・ 資-41 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 施行された。 2 位置境界不明地域として指定された非軍用地については内閣総理大臣(沖縄県 3 が国より事務委任を受けて実施)が、軍用地については防衛大臣(防衛省)が調 4 査を実施することとされている。 5 36 施 設 ( 返 還 施 設 含 む ) に 係 る 位 置 不 明 地 域 面 積 116.82km 2 の う ち 、 115.36km 2 6 ( 進 捗 率 98.75%) の 位 置 境 界 明 確 化 措 置 が 完 了 し て い る ( 平 成 27 年 3 月 31 日 現 7 在 )。 8 9 5) 地 表 の 高 さ に 関 す る 情 報 の 入 手 10 土 壌 汚 染 対 策 法 で は 、汚 染 の お そ れ が 生 じ た 場 所 の 鉛 直 方 向 の 位 置 を 把 握 す る 目 11 的として、地表の高さが変更された履歴に関する情報を入手・把握することとさ 12 れている(土壌汚染対策法施行規則及び土壌汚染対策法施行規則の一部を改正す 13 る 省 令 の 一 部 を 改 正 す る 省 令 の 施 行 に つ い て ( 平 成 23 年 7 月 8 日 環 水 大 土 発 第 14 110706001 号 ))。 15 ま た 、自 然 由 来 で 汚 染 さ れ た 地 層 の 土 壌 が 盛 土 材 料 と し て 用 い ら れ た 盛 土 に つ い 16 ては、用いられた盛土材料の掘削場所や盛土の工事に関する情報を入手・把握す 17 ることもあわせて示されている。 18 米軍基地の建設に伴って地形改変が行われており、返還跡地においては、近年、 19 沖縄市サッカー場や西普天間住宅地区をはじめとして、盛土造成された土地にお 20 いて廃棄物が埋設されていた事案が生じている。 21 これらは基地が建設されてから長い年月が経過していること、また、基地の管 22 理・運用形態等から、基地建設に係る造成工事記録や盛土の産地証明書等の情報 23 の入手は困難であることが考えられ、地表の高さの変遷を把握することは困難で 24 ある。 25 こ の た め 、既 存 の 航 空 写 真 、地 形 図 等 を 収 集 し 、こ れ ら に 基 づ い て 返 還 予 定 の 基 26 地における切土・盛土等の地形改変状況について把握する必要がある。地形改変 27 状 況 の 把 握 に 資 す る 収 集 地 図 資 料 の 例 に つ い て 、 表 2-3 に 示 す 。 28 29 表 2-3 地形改変状況の把握に資する収集地図資料の例 作成機関 縮 尺 旧日本陸軍陸地測量部 1/25,000 旧米国陸軍地図局(AMS) 1/4,800 国土地理院 1/10,000、1/25,000 30 資-42 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 6) 米 軍 基 地 内 の 有 害 化 学 物 質 の 使 用 等 に 関 す る 情 報 の 入 手 日 本 に 駐 留 す る 米 軍 に つ い て は 、日 米 地 位 協 定 第 三 条 に お い て 、米 軍 の 施 設・区 域内に対する排他的管理権が定められている。 4 在 日 米 軍 に よ る 環 境 保 護 及 び 安 全 の た め の 取 り 組 み に つ い て は 、在 日 米 軍 が 作 成 5 す る JEGS( Japan Environmental Governing Standards: 日 本 環 境 管 理 基 準 ) に 従 6 って行われることとされている。 7 ま た 、平 成 27 年 9 月 に 署 名 さ れ た 日 米 地 位 協 定 の 環 境 補 足 協 定 で は 、米 国 は JEGS 8 を 発 出 ・ 維 持 す る と と も に 、 JEGS は 漏 出 へ の 対 応 ・ 予 防 に 関 す る 規 定 を 含 み 、 両 9 国又は国際約束の基準のうち、最も保護的なものを一般的に採用することとされ 10 11 ている。 な お 、 ASTM( American Society for Testing and Materials: 米 国 材 料 試 験 協 会 ) 12 の PhaseⅠ 環 境 サ イ ト ア セ ス メ ン ト (ESA)の 実 務 規 格 で あ る E 1527 で は 、米 国 内 に 13 おいて連邦政府・州政府への提出が義務付けられている公的届出資料として以下 14 のものが示されている。 15 16 表 2-4 米国内において連邦政府・州政府への提出が義務付けられている土壌汚染に係 17 る公的届出資料一覧 • 連邦 NPL(スーパーファンド法における全国浄化優先順位リスト)に記載された地点 • 連邦 CERCLIS リスト記載地点 • 連邦 RCRA CORRACTS TSD 施設リスト記載地点 • 連邦 RCRA 非 CORRACTS TSD 施設リスト記載地点 • 連邦 RCRA 廃棄物発成者リスト記載地点 • 連邦 ERNS リスト記載地点 • 調査、浄化のために特定された有害廃棄物サイトの州リスト記載地点 • 調査、浄化のために特定された有害廃棄物サイトの州 NPL 同等施設記載地点 • 調査、浄化のために特定された有害廃棄物サイトの州 CERCLIS 同等施設記載地点 • 州埋立地かつ/または土壌廃棄物処分サイトリスト記載地点 • 州漏出 UTS リスト記載地点 • 州登録 UST リスト記載地点 18 19 資-43 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 7) 米 軍 基 地 特 有 の 有 害 物 質 の 存 在 現 在 、在 日 米 軍 に よ る 環 境 保 護 及 び 安 全 の た め の 取 り 組 み に つ い て は 、在 日 米 軍 が 作 成 す る JEGS に 従 っ て 行 わ れ る こ と と さ れ て い る 。 4 JEGS で は 、 有 害 物 質 の 有 害 物 質 の 保 管 、 取 り 扱 い 及 び 処 分 の 基 準 、 廃 棄 物 、 有 5 害廃棄物、地下貯蔵タンク、石油貯蔵や関連の偶発的流出や緊急対応の要件につ 6 いて規定されており、有害物質の保管や取り扱いについては、有害物質の保管及 7 び 取 り 扱 い に 関 す る 統 合 軍 公 報 ( Joint Service Publication) を 含 む 米 国 国 防 総 8 省部隊の方針に従うとされている。ただし、弾薬については規定されていない。 9 10 表 2-5 米軍基地の化学物質の管理に関する規定等の一覧 有害物質の保管及び取り扱いに関する追加的な指針 ・ 米国国防総省兵站局通達(DLAI)4145.11 ・ 陸軍技術マニュアル(TM)38-410 ・ 海軍補給公報(NAVSUP PUB)573 ・ 空軍統合マニュアル(AFJMAN)23-209 ・ 海兵隊指令(MCO)4450.12A 有害物質の保管や取り扱い(1999 年1月 13 日) 米国国防総省の施設由来の有害物質の国際海上輸送についての要件 ・ 国際海上危険物(IMDG)コード及び適切な米国国防総省や部隊の通達 米国国防総省の施設由来の有害物質の国際空輸 ・ 国際民間航空機関技術指示または空軍各部隊相互マニュアル 24-204(I) ・ 陸軍技術指令書米国国防総省部隊指針(TO)38-250 ・ NAVSUP PUB 505、MCO P4030.19I ・ DLAI 4145.3、DCMAD1 ・ Ch3.4(HM24)航空軍事輸送のための有害物質の事前処理(2007 年4月 15 日(2007 年 5月4日の改正を含む)) 11 12 資-44 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 8) 埋 設 不 発 弾 の 存 在 2 沖 縄 県 は 、第 二 次 世 界 大 戦 に お い て 我 が 国 最 大 の 地 上 戦 闘 の 場 と な り 、艦 砲 射 撃 、 3 空 爆 、地 上 兵 器 に よ る 砲 爆 撃 等 で 、約 2,100 ト ン 余 10の 埋 設 不 発 弾 11が 残 存 し て 4 いるとみられている。 5 1974 年 ( 昭 和 49 年 ) 3 月 に 那 覇 市 小 禄 で 発 生 し た 爆 発 事 故 を 契 機 に 、 地 域 住 民 6 の生活の安全に資することを目的として、内閣府沖縄総合事務局、防衛省、厚生 7 労 働 省 、 沖 縄 県 等 県 内 16 機 関 か ら 構 成 さ れ る 沖 縄 不 発 弾 等 対 策 協 議 会 が 発 足 し 、 8 沖縄における不発弾等の調査、探査、発掘、除去及び処分等に関する情報の交換 9 並びに対策を協議検討が行われている。 10 沖 縄 不 発 弾 等 対 策 協 議 会 で 決 定 さ れ た 埋 設 不 発 弾 等 の 磁 気 探 査 要 領 ( 昭 和 49 年 11 5月、沖縄不発弾対策協議会)の中で、本協議会を構成する公共事業等を行う事 12 業者は、埋設不発弾等の事前発見に積極的に取り組むこと、また、事業の実施に 13 当たっては、事前調査を必ず実施し、不発弾等が埋設している可能性を否定でき 14 な い 地 域 ( 箇 所 ) に お い て は 、 磁 気 探 査 指 針 ( 平 成 21 年 3 月 、 沖 縄 不 発 弾 対 策 協 15 議会)に基づき磁気探査を行うこととされている。 16 沖縄不発弾等対策協議会の構成機関である内閣府沖縄総合事務局ならびに沖縄 17 県 で は 、 磁 気 探 査 実 施 要 領 ( 案 )( 平 成 25 年 4 月 、 沖 縄 県 土 木 建 築 部 ) を そ れ ぞ 18 れ策定し、発注工事で実施する不発弾等探査において、不発弾等の有無、埋設位 19 置 の 把 握 を 適 切 に 行 う べ く 運 用 し て い る 。ま た 、事 業 の 実 施 に あ た っ て は 、Web 上 20 で過去に発見された不発弾等位置や磁気探査実施箇所が閲覧できる不発弾等事前 21 調 査 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム ( 図 2-8 22 義務付け、不発弾等が埋没している可能性を否定できない地域については磁気探 23 査を行うこととされている。 24 参照)による不発弾等に関する事前調査を 次に磁気探査指針及び埋設不発弾等の磁気探査要領の抜粋を示す。 25 10 11 「 消 防 防災 年 報( 第 39集 )」(平 成 24年版 、 沖縄 県 ) 不 発 弾 等は 発 見形 態 によ り「発 見 弾」と「 埋 没弾 」の 2 つに 区 分 され 、民 間 の住 宅 建設や 公 共 事業 等 にお い て偶 然 発 見 さ れ、 処 理さ れ るも の を「 発 見 弾 」、 住 民等 か らの 情報に 基 づ き探 査 、発 掘 を行 い 処理 さ れ るも の を「 埋 没弾 」 と さ れ てい る 。 資-45 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 出典:「沖縄における不発弾対策の取り組み」(平成 25 年7月、内閣府沖縄総合事務局) 3 図 2-7 主な不発弾の種類 4 出典:「内閣府沖縄総合事務局ウェブページ」(http://www.fd.ogb.go.jp/) 5 図 2-8 不発弾等事前調査データベースシステム表示例 6 7 資-46 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 資-47 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 資-48 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 9) 埋 設 廃 棄 物 等 の 存 在 2 (ア) 運 用 中 の 基 地 に お け る 投 棄 ・ 流 出 等 事 案 3 1998 年 ( 平 成 10 年 ) の 嘉 手 納 飛 行 場 に お け る PCB を 含 む 廃 油 投 棄 事 案 で は 、 4 日米合同委員会の枠組みなどを通じて、米国側からの情報提供、日米協議の上で 5 の実態調査の実施、周辺住民への情報の開示を行うなどの措置が行われた。 6 ま た 、 主 要 な 米 軍 基 地 へ の 送 油 の た め に 敷 設 さ れ た POL ( Petroleum,Oils, 7 Lubricants: 精 製 さ れ た 石 油 ・ 油 脂 ・ 潤 滑 油 ) 貯 油 施 設 や パ イ プ ラ イ ン と 呼 ば れ 8 る送油管施設からの油流出事案や運用する航空機、車両等に起因する油、有害物 9 質等の流出事案も生じている。 10 11 12 13 SACO 最 終 報 告 等 に お け る 返 還 合 意 等 さ れ た 返 還 予 定 の 基 地 に つ い て は 、防 衛 省 により支障除去措置に係る資料等調査として順次、調査が行われている。 表 2-6 運用中基地における有害物質等に係る主な投棄・流出等事案 基地等 嘉手納飛行場 嘉手納弾薬庫地区 キャンプ・ハンセン 所在地 事案内容 中頭郡 ため池への 嘉手納町 廃油投棄 中頭郡 有害物質等 時 期 PCB 平成 10 年8月 送油管連結部 六価クロム、 平成 11 年6月 嘉手納町 の汚染土壌 鉛 国頭郡 ヘリコプター 砒素、鉛、 宜野座村 墜落事故 カドミウム 平成 25 年8月 14 15 (イ) 支 障 除 去 措 置 に 係 る 資 料 等 調 査 16 返還が予定されている米軍基地では、跡地利用推進法に基づき、支障除去措置 17 の一環として、調査対象地における土壌汚染、水質汚濁、不発弾等及び廃棄物の 18 存 在の 蓋 然 性 を 把握 す るた め 、調査 対 象 地 の米 軍 基 地 建 設以 前 を含 め た 土 地 利用 19 履 歴等 の 調 査 を 実施 す ると と も に、土 壌 汚 染等 が 存 在 す るお そ れが 認 め ら れ た場 20 合、または、土壌汚染等が存在するおそれがないと認められる客観的な理由が見 21 つ から な か っ た 場合 に おい て 、土壌 汚 染 状 況調 査 等 の 計 画を 立 案す る こ と を 目的 22 として、資料等調査が行われている。 23 24 (ウ) 支 障 除 去 措 置 に 係 る 廃 棄 物 等 調 査 25 支障除去措置に係る廃棄物等調査については、資料等調査の結果に基づいて、 26 埋設廃棄物等が存在するおそれのある範囲を対象に、目視調査、地中レーダー探 27 査等を行い、埋設廃棄物等が発見された場合には、掘削し、廃棄物等を撤去する 28 方針で進められている。 資-49 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 なお、キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の事例では、宜野湾市による埋蔵 2 文化財調査の試掘中に、油臭・油膜があり、ドラム缶等の埋設廃棄物が確認され 3 たことを受けて、埋設廃棄物とその周辺土壌についての調査が行われている。 4 5 6 7 (エ) 返 還 跡 地 に お け る 既 往 事 案 返還跡地においては、返還後、建設工事等を契機として、各種有害物質が発見 される事案が多く、防衛省により原状回復措置の一環として対処されている。 8 9 表 2-7 基地等 恩納通信所 返還跡地における有害物質等に係る主な投棄・流出等事案 所在地 事案内容 有害物質等 時 期 国頭郡 汚水処理層内 カドミウム 平成 8 年3月 恩納村 汚泥 ・水銀・PCB キャンプ瑞慶覧 中頭郡 ドラム缶 タール状物質 平成 14 年1月 (メイ/モスカラ 北谷町 中頭郡 安定器・ 鉛・六価クロム 平成 15 年 11 月 北谷町 機関銃弾等・汚 油分 射撃場地区) キャンプ桑江 染土壌 泡瀬ゴルフ場 中頭郡 未使用砲弾等 − 平成 22 年9月 汚染土壌 鉛・ふっ素・ 平成 23 年9月 北中城村 泡瀬ゴルフ場 中頭郡 北中城村 嘉手納飛行場 沖縄市 油分 ドラム缶 (諸見里地区) ダイオキシン類 平成 25 年8月 ・PCB・ふっ素 嘉手納飛行場 中頭郡 コンクリート (上勢頭地区) 北谷町 がら・木くず 10 11 12 資-50 ダイオキシン類 平成 27 年 11 月 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 3章 盛 土 地 調 査 2 3.1 不 発 弾 探 査 、 文 化 財 調 査 等 及 び 廃 棄 物 探 査 並 び に 自 然 環 境 調 査 と の 関 係 に つ い 3 て 4 返還時において米軍基地内で実施すべき主な調査は、 「 土 壌 汚 染 調 査 」、 「不発弾探 5 査 」、「 埋 蔵 文 化 財 調 査 」、「 自 然 環 境 調 査 」 及 び 「 廃 棄 物 探 査 」 と 考 え ら れ る が 、 調 6 査対象地域の特性によって優先して実施する必要のある調査があると考えられる。 7 このうち「自然環境調査」については、米軍基地内の現状を把握する観点や地形 8 改変等を伴う調査を行う際における環境配慮の方針を検討する観点からも、他の調 9 査よりも優先して実施される必要があると考えられる。その後、地形改変や土地の 10 掘 削 を 伴 う 調 査 の 前 に 、 調 査 実 施 者 の 安 全 確 保 の た め の 「 不 発 弾 探 査 (表 層 探 査 )」 11 を実施する必要があると考えられる。 12 13 これらを踏まえて、土壌汚染調査の観点から安全・健康を重視し、適切と考える 調査の流れ及び手順並びに土壌汚染の観点から留意すべき点を以下に示す。 14 15 16 (1) 土壌汚染調査の観点から調査実施者の安全・健康を重視した理想的な調査の流れ等 前述のとおり、自然環境調査については、原則的に他の調査よりも優先して実施 17 す る 必 要 が あ る と 考 え て い る 。そ の 後 、不 発 弾 探 査 に お け る 水 平 探 査 を 行 っ た 上 で 、 18 土壌汚染の調査を行う必要があると考えられる。 19 土壌汚染の調査に当たっては、第一に表層土壌調査を実施し、表層で汚染が確認 20 された場合は深度方向の詳細土壌調査を実施する。しかしながら、その後に実施す 21 る 「 不 発 弾 探 査 に お け る 経 層 探 査 」、「 埋 蔵 文 化 財 に お け る 本 調 査 」 及 び 「 廃 棄 物 探 22 査」において、汚染が疑われる土壌が発見された場合は、必要に応じて適宜土壌調 23 査を実施するものとする。 24 資-51 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 自然環境調査 既存資料調査 「環境カルテ(仮称)」を参照とし、不足情報について収集整理 現地調査 土壌汚染調査 廃棄物探査 不発弾等 不発弾探査 埋蔵文化財 埋蔵文化財調査 資料等調査 資料等調査 土地の改変有無等確認 事前調査 地歴調査 汚染のおそれあり 汚染のおそれなし 調査対象外 不発弾の発見状況及び磁気探査等の状況、 戦時中の交戦状況、戦後の地形の変化及び 改変状況、地形・地質状況の確認 写真、古地図等を用いて遺跡の可能性を把握 調査対象外 調査計画立案 探査計画策定 調査計画立案 既存資料調査 埋蔵文化財分布状況、地形・地質図、航空 異常なし 異常あり 基本計画作成 水平探査(0∼0.5m深さ) 異常あり 異常なし 【探査有効深度】 □電磁探査(金属探知機):約1.5m □地中レーダー探査:約1∼2m 報告・協議 □電気探査(比抵抗法):約50m □弾性波探査:約50m 不発弾等 確認・撤去 物理探査 表層踏査 (磁気探査含む) 現地踏査などにより遺跡の存在を確認 異常あり 異常なし 調査対象外 土壌汚染状況調査(一般調査、盛土地調査) 埋蔵文化財調査と協議 スクリーニング調査(リスク評価調査) (表層・配管下等) 初期確認調査 基準等適合 基準等不適合 急性毒性の懸念 懸念あり 危険性なし 危険性あり 応急措置 懸念なし 埋蔵文化財調査と協議 表層∼0.5m深さ 廃棄物確認 (種類・量・性状等の把握) 詳細調査計画立案 詳細調査等計画立案 詳細調査(一般調査、盛土地調査) 詳細調査 リスク評価データ取得調査及びリスク (表層∼0.5m深さ) 評価(リスク評価調査) 詳細調査時に併せて撤去するとともに、汚染 (表層∼0.5m深さ) が疑われる土壌が発された場合は、必要に 応じて土壌調査を実施する。 詳細調査等の結果を踏まえて 埋蔵文化財調査と協議 土壌と廃棄物の分別 汚染土壌の処理 ※廃棄物 急性毒性が懸念され ない場合においても、 汚染土壌の処理前に 試掘調査を実施する 場合は、呼吸による吸 試掘調査 2∼4m四方ごとに、全面積の1%程度のエリ アについて表層探査で確認した層(表層∼0.5 m深さ)を発掘し、埋蔵文化財の有無を確認 引や土壌の経口摂取 及び経皮摂取を行わ ないよう、適切な対策 を講じる。 確認調査 範囲をより確実に把握するために、三次元 レーザースキャナー等を使用して、全面積の 数%程度のエリアについて実施 本調査 発掘予定範囲において地層毎に発掘実施 ※文化財 詳細調査等計画立案 詳細調査(一般調査、盛土地調査) リスク評価データ取得調査及びリスク評価(リス ク評価調査) (表層∼0.5m深さ) 汚染土壌の処理 掘削工事(表層∼0.5m深さ) 1 2 資-52 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 不発弾探査 土壌汚染調査 廃棄物探査 埋蔵文化財調査 経層探査(0.5 m 以深) 水平探査(0.5∼1m深さ) 異常あり 異常なし 報告・協議 0.5∼1m深さ 不発弾等 確認・撤去 盛土地調査 基準等不適合 廃棄物探査 基準等適合 表層∼0.5m深さにおいて「※廃棄物」とし て破線で囲んだ内容の調査等のうち、必 要な調査等を0.5∼1m深さにおいても実 急性毒性の懸念 施 懸念なし 懸念あり 埋蔵文化財調査と協議 詳細調査等計画立案 詳細調査(盛土地調査) リスク評価データ取得調査及びリスク 評価(リスク評価調査) (0.5∼1m深さ) 詳細調査等の結果を踏まえて 埋蔵文化財調査と協議 汚染土壌の処理 埋蔵文化財調査 表層∼0.5m深さにおいて「※文化財」として 破線で囲んだ内容の調査等のうち、必要な調 査等を0.5∼1m深さにおいても実施 詳細調査等計画立案 詳細調査(一般調査、盛土地調査) リスク評価データ取得調査及びリスク評価(リスク評 価調査) (0.5∼1m深さ) 汚染土壌の処理(必要に応じ) 掘削工事(0.5m層以深) 盛土地では、基地建設以前に地表面であっ た深さまで、0.5∼1m深さで実施した内容を 0.5m深さ間隔で繰り返し実施 x∼x+0.5m深さ 基準等不適合 基準等適合 必要とされる深さまで、0.5∼1m深さで実施し た内容を0.5m深さ間隔で繰り返し実施 廃棄物の埋設が想定される深さまで、0.5∼ 1m深さで実施した内容を0.5m深さ間隔で 【参考:不発弾における探査の最大深度】 5インチ砲弾 :最大深度 3.5m 50kg爆弾 :最大深度 5.5m 250kg爆弾:最大深度 10.0m 繰り返し実施 掘削等により改変される深さまで、0.5∼ 1m深さで実施した内容を0.5m深さ間隔 で繰り返し実施 ※上記の最大深度は参考値であり、実際のN 値による貫入深度計算結果を考慮すること。た 基準等に適合する深さまで、詳細調査並 びにリスク評価データ取得調査及びリスク評 価について、0.5∼1m深さで実施した内容 を0.5m深さ間隔で繰り返し実施 だし、5インチ砲弾の貫入深度計算については、 知見等の蓄積が必要であるため、当面は、最 大深度を参考に探査深度を設定するものとす る。 出典:磁気探査実施要領(案)(平成25 年4月、沖縄県土木建築部) 1 2 3 4 5 6 注 1:図中の赤色の波線で囲んだ調査等は同時期に実施するもので、赤い破線で囲んだ全ての調査等が 終了した時点で、各調査の進捗状況を報告し、必要に応じてその後の調査内容を調整する。 2:図中の黒色の実線は行動の流れを、黒色の破線は情報の流れを意味する。 図 3-1 調査の流れ及び手順並びに土壌汚染の観点から留意すべき点 7 資-53 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 (2) 土壌汚染の観点から留意すべき点 実施する調査は複数あるため、調査の順番をどのように行うかは米軍基地の利用 状況等により異なると考えられる。 4 前述のとおり、原則として自然環境調査及び不発弾の水平探査を優先して行うこ 5 と と し 、 そ の 後 、 土 壌 汚 染 に 係 る 表 層 調 査 を 行 い 、「 埋 蔵 文 化 財 調 査 」 及 び 「 廃 棄 物 6 探査」を行うことが、調査実施者の安全、健康の観点から望ましいと考えられる。 7 その際の留意すべき点を以下に示す。 8 ・調査区域内に埋蔵文化財が存在する可能性がある場合は、土壌汚染調査の実施前に埋 9 蔵文化財調査関係者と協議の上、土壌汚染調査実施による埋蔵文化財への影響を与え 10 ないよう留意点を確認する。また、試料採取時には埋蔵文化財調査関係者の立会いの 11 下に調査を行うことが望ましい。 12 ・ 「自然環境調査」等の原則として土壌汚染調査より前に実施すべき調査実施前に異臭や 13 目の痛みが感じられるなど急性毒性が疑われる汚染が報告された場合、有害物質の呼 14 吸による吸引、土壌の経口摂取及び経皮摂取等による急性毒性及び慢性毒性に留意し 15 た対策を実施する。また、そのような状況において土壌汚染調査を先んじて実施せざ 16 るを得ないと判断される場合には、土壌汚染調査より前に実施すべき調査の関係者と 17 必要な協議を行うことが望ましい。 18 19 一方、米軍基地の利用状況等により、やむを得ず土壌汚染に係る表層調査を「埋 20 蔵文化財調査」及び「廃棄物探査」後に実施しなければならない事も考えられるこ 21 とから、土壌汚染の観点から、留意すべき点を以下に示す。 22 ・ 「土壌汚染調査」よりも前にその他の調査を実施することで汚染状況が不明な土壌を掘 23 削及び発掘(以下、「掘削等」という。)し他の土壌と混合することになる可能性が考 24 えられるため、もしそれらの土壌が汚染土壌であった場合には汚染土壌の拡散防止及 25 び希釈防止の観点から、調査範囲を区画に分け、区画ごとに掘削等土壌をフレコン等 26 に入れて保管する。また、どの区画の掘削土かわかるように記録管理する事が望まし 27 い。 28 ・保管土壌のうち、一定範囲(100m 2 )ごとに選定した区画について土壌分析を実施し、 29 基準を超過した際には、その区画が汚染していると判断し、周辺の区画についても土 30 壌分析を実施する。また、汚染土壌の埋戻しは行わないものとする。 31 ・土壌汚染対策法における第一種特定有害物質を分析する場合、先行して実施される他 32 の調査において土壌が掘削されるなどやむを得ず土壌ガス分析ができない場合は各 33 深度で土壌溶出量調査を実施する。 34 ・保管土壌の汚染状況が不明な場合や保管土壌が汚染土壌と判明した場合、それ以降に 35 その他の調査を実施する者は有害物質の呼吸による吸引、土壌の経口摂取及び経皮摂 資-54 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 取等による急性毒性及び慢性毒性に留意した対策を実施する。また、その他の調査実 2 施時に異臭・目の痛み等を感じた際には直ちに作業を中止し、土壌汚染調査関係者に 3 連絡すること。 4 ・廃棄物探査において、既存資料調査により基地建設前に谷地であった土地が埋立造成 5 され盛土地となったことが確認された場合は、ボーリング調査を実施し、廃液や焼却 6 灰等の地中レーダーで確認困難な汚染状況を把握する。 7 8 ・廃棄物探査で廃棄物が確認された場合には、周辺土壌において土壌汚染調査を実施す る。 資-55 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 4章 リ ス ク 評 価 調 査 2 4.1 日 本 国 内 の 土 壌 汚 染 に 対 し て リ ス ク 評 価 を 実 施 し た 事 例 3 国内においても、建設工事における自然由来重金属含有岩石・土壌への対応マニ 4 ュ ア ル ( 暫 定 版 )( 平 成 22 年 3 月 、 国 土 交 通 省 )、 建 設 工 事 で 遭 遇 す る 地 盤 汚 染 対 応 5 マ ニ ュ ア ル ( 改 訂 版 )( 平 成 24 年 4 月 、 独 立 行 政 法 人 土 木 研 究 所 編 ) 及 び 建 設 工 事 6 で 発 生 す る 自 然 由 来 重 金 属 等 含 有 土 対 応 ハ ン ド ブ ッ ク( 平 成 27 年 3 月 、国 立 研 究 開 7 発法人土木研究所)において、リスク評価が取り入れられている。 8 ま た 、北 海 道 開 発 局 旭 川 開 発 建 設 部 士 別 道 路 事 務 所 が 実 施 し た 一 般 国 道 40 号 バ イ 9 パス建設事業の事例では、国土交通省の指導をベースに建設残土からの自然由来の 10 化学物質を対象として、サイト概念モデルが用いられ、影響を受ける地点でリスク 11 を評価し、そのリスクに応じた措置が行われている。その結果、リスクは汚染源で 12 評価された場合と比較して小さいものとなり、対策コストが大幅に減少されたこと 13 が報告されている 12 。 14 15 16 17 出典:「建設工事における自然由来重金属含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)」(平成 22 年3月、国土交通省) 18 図 4-1 日本国内において検討されたサイト概念モデルの例 19 20 21 12 「 建 設 工 事に お ける 自 然由 来重 金 属 含有 岩 石を も ちい た 盛土 設 計 につ い て∼ サ イト 概 念モ デ ル の構 築 ∼」( 2012、平 成 24年 度国 土 交通 省 国土 技 術研 究 会 発表 論 文( 2012) 林 ・掛 田 ・ 宮川 ) 資-56 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.2 RBCA プ ロ セ ス の 階 層 ア プ ロ ー チ 2 3 欧 米 で は 土 壌 汚 染 対 策 を 実 施 す る た め の 枠 組 み と し て RBCA ( Risk-Based Corrective Action; リ ス ク に 基 づ く 修 復 措 置 ) が 多 く 用 い ら れ て い る リスクに基づく修復措置のための規格ガイド 4 14 13 。 に よ れ ば 、RBCA の 特 徴 は 、 「土壌汚 5 染によって引き起こされる環境リスクの低減に主眼を置き、そのために実現可能な 6 方 法 を 階 層 別 の 検 討 に よ っ て 合 理 的 に 決 定 し 、 実 施 す る こ と 」 と さ れ て い る 。 RBCA 7 の プ ロ セ ス の 簡 略 化 し た フ ロ ー チ ャ ー ト は 、 図 4-2 に 示 す と お り で あ る 。 8 9 10 11 12 出典:「リスク評価モデル普及・ツール化検討部会,土壌・地下水汚染対策におけるリスク評価の活用 についてのガイダンスの作成」(2014、第 20 回地下水土壌汚染とその防止対策に関する研究集 会講演集 S5-15、中島誠・山田優子・鈴木弘明・白井昌洋・伊藤豊) 13 図 4-2 RBCA の プ ロ セ ス の 簡 略 化 し た フ ロ ー チ ャ ー ト 14 13 「 RBCAに よ る リ ス ク 評 価 に つ い て ( そ の 1 ) -リ ス ク ア セ ス メ ン ト の 考 え 方 -」( 2003、 地 下 水 ・ 土 壌 汚 染 と そ の 同 市 対 策 に関 す る研 究 集会 第 9回講 演 集 、中 島 誠、 RBCA研 究 WG) 14 「 リ ス ク に基 づ く修 復 措置 のた め の 規格 ガ イド 」 ( 2003、ASTM( 米 国 材料 試 験協 会 )規格 .イン タ ー リス ク 総研 ,RBCA E2081-00) 資-57 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 以 上 の よ う な 階 層 ア プ ロ ー チ の 特 徴 は 、 図 4-3 の よ う に 整 理 さ れ て い る 。 階 層 が 2 低いほどより安全側の評価となる。一方で、階層が高くなるにつれてデータ収集と 3 解析のレベルは複雑になり、経済性の高い修復対策方法の選定が可能になる代わり 4 に、要求されるデータの量及びアセスメントの費用と時間は多く要求される。サイ 5 ト 特 性 に 応 じ た 修 復 対 策 を 柔 軟 か つ 効 率 的 に 選 択 で き る と い う の が RBCA の 特 徴 で あ 6 る。 7 ま た 、RBCA は 近 年 注 目 さ れ て い る「 社 会 を 取 り 巻 く リ ス ク に 関 す る 正 確 な 情 報 を 、 8 行政・専門家・企業・市民等のステークホルダーである関係主体間で共有し、相互 9 に 意 思 疎 通 を 図 る 合 意 形 成 ( リ ス ク ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン )」 の ツ ー ル と し て の 有 効 10 性も期待される。 11 12 13 14 出典:「RBCA 研究 WG の活動について」(2004、土壌環境センター技術ニュース,No.9,pp.57-64、中 島誠) 15 図 4-3 階層アプローチの特徴 16 17 18 資-58 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 中 島 ら (2014)は 、 RBCA プ ロ セ ス の 階 層 ア プ ロ ー チ に つ い て 、 わ か り や す く 整 理 し ている。 3 階 層 1 評 価 で は 、「 最 も 安 全 側 に 見 積 も っ た 対 策 目 標 レ ベ ル ( 影 響 対 象 ( 受 容 体 ) 4 が 汚 染 源 の 位 置 に 存 在 す る と 仮 定 し た 場 合 の 目 標 レ ベ ル )」と「 対 象 サ イ ト に お け る 5 最 高 濃 度 」 を 比 較 す る が 、 こ れ を 可 視 化 す る と 図 4-4 の 左 側 の よ う な イ メ ー ジ と な 6 る。ここでは、鉛直方向の汚染物質の移動のみを考慮し、横方向の汚染物質の移動 7 に伴う濃度の低下は反映されておらず、安全側で不確実性の小さい評価となる。 8 9 一方で、階層2評価では、汚染源とリスク受容体の距離としての位置関係は実際 の 位 置 関 係 を 想 定 し て 、 リ ス ク 受 容 体 ご と に リ ス ク が 評 価 さ れ る ( 図 4-4 の 右 側 )。 10 階層3評価では、階層2評価と同様に、汚染源とリスク受容体の距離としての位 11 置関係は実際の位置関係を想定して評価されるが、階層2よりも精度の高い方法で 12 詳細にばく露量を求め、リスク評価を行う。 13 14 図 4-4(1) 15 16 17 18 19 20 21 22 階 層 1 及 び 階 層 2 の ば く 露 シ ナ リ オ 設 定 ( 中 島 ら (2014)) (非汚染源エリア:住宅地) 図 4-4(2) 階 層 1 及 び 階 層 2 の ば く 露 シ ナ リ オ 設 定 ( 中 島 ら (2014)) (汚染源エリア:工業地、非汚染源エリア:住宅地) 出典:「土壌・地下水汚染対策におけるリスク評価の活用についてのガイダンスの作成」(2014、第 20 回地下水土壌汚染とその防止対策に関する研究集会講演集,S5-15、中島誠・山田優子・鈴木弘明・ 白井昌洋・伊藤豊・リスク評価モデル普及・ツール化検討部会) 資-59 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.3 ば く 露 経 路 の 選 定 方 法 2 佐 々 木 ら (2010) は 、 日 本 の リ ス ク 評 価 に お い て 考 慮 す べ き ば く 露 経 路 を 明 確 化 す 3 る 検 討 を 行 っ て い る 。 こ の 検 討 は 、 図 4-5 の 手 順 で 行 わ れ て い る 。 こ の 検 討 結 果 で 4 選 定 さ れ た ば く 露 経 路 は 、 図 4-6 に 示 す と お り で あ る 。 5 6 7 8 9 10 出典:「S5-6 わが国のリスク評価の対象とするばく露経路選定について」(2010、(社)土壌環 境センター,pp.461-466、佐々木哲男・菱川絢子・リスク評価活用方法検討部会) 図 4-5 日本のリスク評価において考慮すべきばく露経路を明確化する検討の手順例 11 12 13 14 15 16 出典:「S2-3 わが国におけるリスク評価モデル(案)の計算式」(2010、(社)土壌環境センター, pp.111-116、福浦清・奥田信康・伊貝聡司・リスク評価活用方法検討部会) 図 4-6 リスク評価モデルにおいて優先的に検討するばく露経路 17 資-60 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.4 土 壌 汚 染 対 策 法 に お け る ば く 露 の 考 え 方 2 3 土壌汚染対策法では、国民の健康の保護を目的としており、リスク受容体を人と し、人に至るまでのばく露シナリオを設定して、基準値を検討している。 4 主 な ば く 露 シ ナ リ オ と し て は 、 図 4-7 に 示 し た 6 経 路 ( ① 汚 染 土 壌 の 摂 食 、 ② 汚 5 染土壌との接触による皮膚吸収、③地下水へ溶出したものを飲用、④大気中へ揮散 6 したものを吸入、⑤公共用水域へ土壌粒子が流出し魚介類へ蓄積したものを食餌経 7 由で摂取、⑥農作物及び家畜へ蓄積したものを食餌経由で摂取)が考えられる。こ 8 のうち、土壌汚染対策法では、①及び③の経路を対象とし、その影響の程度から基 9 準値を設定している。この基準値の設定において、他の経路が考慮されていない主 10 な理由は以下のとおりである 15 。 11 ②:他の経路で問題となる濃度よりもはるかに高くならない限り、人への健康影響はない。 12 ④:土壌から大気中への拡散による人の健康影響に関する基準値設定を判断する十分な知見が 13 ない。 14 ⑤:十分なデータや知見が得られておらず、十分な精度でリスク評価を実施することが困難で 15 ある。 16 ⑥:既に農用地の土壌汚染防止に関する基準値が定められている。 17 ④ 18 19 ⑤ 20 ⑥ ①② 21 22 23 24 ③ 25 26 27 28 29 出典:「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(平成 27 年6月、 公益財団法人日本環境協会) 30 図 4-7 土壌汚染による有害物質の摂取経路 31 32 なお、土壌汚染対策法では、生態影響は考慮されていない。これは、生活環境への影響や生態 33 系保全の観点からの土壌環境保全に関しては、法律制定時に、科学的知見の蓄積が十分ではなく、 34 早急な対応が必要とされる人の健康影響防止を目的とすることになったためである。 15 「自治体職 員のた めの土 壌 汚染に関す るリス クコミ ュ ニケーショ ンガイ ドライ ン (案)」( 平成16年7月、 環境省) 資-61 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.5 米 国 の ス ー パ ー フ ァ ン ド 法 に お け る ば く 露 経 路 2 ス ー パ ー フ ァ ン ド 法 は 、 包 括 的 環 境 対 策 ・ 補 償 ・ 責 任 法 ( CERCLA、 1980 年 ) と ス 3 ー パ ー フ ァ ン ド 修 正 及 び 再 授 権 法( SARA、1986 年 )の 2 つ の 法 律 を 合 わ せ た 通 称 で 、 4 汚染の調査や浄化は米国環境保護庁が行い、汚染責任者を特定するまでの間、浄化 5 費用は石油税などで創設した信託基金(スーパーファンド)から支出することなど 6 を定めたものである。 7 8 9 10 土 壌 汚 染 に 対 す る リ ス ク 評 価 の 手 法 は 、 リ ス ク 評 価 ガ イ ダ ン ス ( Risk Assessmen t Guidance for Superfund: RAGS) で 規 定 さ れ て い る 。 (1) 人の健康影響を対象としたばく露 11 リ ス ク 評 価 ガ イ ダ ン ス 、 人 の 健 康 評 価 マ ニ ュ ア ル Part B 仮 の 修 復 目 標 値 の 設 定 12 ( RAGS: Volume I-Human Health Evaluation Manual Part B, Development o f 13 Risk-based Preliminary Remediation Goals) に 、 主 な ば く 露 シ ナ リ オ と し て 表 4-1 14 15 16 に示すばく露経路が記載されている。 表 4-1 媒体 地下水 表流水 土壌 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 宅 地 及 び 商 用 / 工 業 用 地 に お け る 媒 体 別 の 人 へ の 主 なば く 露 経 路 1),2) 推定ばく露経路 宅地として使用する場合 商用/工業用地として使用する場合 ・飲料水から摂取 ・飲料水から摂取 4) ・揮発性物質の吸入 ・揮発性物質の吸入 ・経皮吸収 ・入浴による経皮吸収 ・外部被ばく 3) ・飲料水から摂取 ・飲料水から摂取 4) ・揮発性物質の吸入 ・揮発性物質の吸入 ・経皮吸収 ・入浴による経皮吸収 ・遊泳中の摂取 ・汚染魚の摂取 ・外部被ばく 3) ・摂取 ・摂取 ・粒子吸引 ・粒子吸引 ・揮発性物質の吸入 ・揮発性物質の吸入 3) ・直接外部被ばく ・直接外部被ばく 3) ・土壌からの溶出により汚染された地 ・土壌からの溶出により汚染された地 下水へのばく露 下水へのばく露 ・植物経由の摂取 ・トラック及び重機からの粒子の吸引 ・園芸による経皮吸収 注 1:土地利用、媒体及びばく露経路は包括的なものではない。 2:太字のばく露経路は、標準的なデフォルトのリスク算出式がガイドラインに記載されている。 3:放射性核種のみに適用される。 4:油と有害物質による汚染に対する全国的緊急対応プラン(National Oil and Hazardous Substances Pollution Contingency Plan: NCP」では地下水を最大限に有効利用するため、地下水の保護を奨励して いる。そのため、地下水が飲料水として適していると確認されたとすれば、リスクに基づく仮の修復目標 値(Preliminary Remediation Goals: PRGs)は、一般的に“宅地ばく露”に基づくべきである。同様に、 表流水が飲料水として使われる場合に、一般的な基準(「適用または参照すべき要求値(Applicable or Relevant and Appropriate Requirements: ARARs)」など)は、単に労働者だけでなく、一般人のための 保護レベルを満たすべきである。宅地ばく露シナリオでは、摂取及び飲料水の他の用途に関するリスクに 基づく PRGs を設定すべきである。 資-62 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 なお、各媒体で揮発性物質の吸入についてばく露経路が想定されているが、これ 2 は 、 ヘ ン リ ー 定 数 が 1×10 - 5 atm-m - 3 /mol よ り 大 き く 、 か つ 分 子 量 が 200 g/mol 未 満 3 の化学物質についてのみ考慮されるものである。 4 5 (2) 生態影響を対象とした場合 6 スーパーファンド法では生態影響も考慮されている。生態リスク評価ガイダンス 7 ( Ecological Risk Assessment Guidance for Superfund: Process for Designing and 8 Conducting Ecological Risk Assessments) に 、 基 本 的 な ば く 露 経 路 と し て 表 4-2 9 に示す経路が記載されている。 10 11 12 13 また、生態リスク評価ガイダンスには、生態影響を評価すべきかの事例として、 以下が記載されている。 哺乳類の繁殖に影響がある化学物質が、植物の根がある領域よりはるかに深い場 所にのみ存在する場合: 14 ・植物は汚染されないため草食動物はばく露されない。 15 ・植物の根のある領域に生息する昆虫を食べる哺乳類もばく露されない。 16 ・地中に生息する哺乳類がいなければ、哺乳類への土壌・食餌経由の顕著なリスクはない。 17 ただし、土壌から地下水へ汚染物質が溶出し、河川等へ流出する場合: 18 ・水生生物へのリスクがある。 19 ・河川水を飲む陸上哺乳類へのリスクがある。 20 ・汚染された水生生物を餌とする哺乳類へのリスクがある。 21 22 表 4-2 動植物への基本的なばく露経路 陸域 動物 植物 水域 ・吸入 ・直接摂取(水または底質からエラ ・経口摂取 または外皮による摂取) ・皮膚吸収 ・食餌または底質の経口摂取 ・土壌からの根による吸収 ・直接摂取(水、底質、大気経由) ・揮発性物質の葉からの吸収 ・葉への沈着 23 24 資-63 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.6 リ ス ク 評 価 モ デ ル で の パ ラ メ ー タ ー 設 定 例 2 RBCA の 階 層 1 の 目 標 レ ベ ル ( RBSL; Risk-Based Screening Level) の 算 定 に 必 要 3 なパラメーターについて、国内でリスク評価を行う場合に使用するデフォルト値を 4 検 討 し た 事 例 の 内 容 と 課 題 は 表 4-3 に 示 す と お り で あ る 。 5 6 表 4-3 分類 ばく露 毒性 物理化学 建物 表層 土壌 パラメーター分類別の国内での設定例 設定例とその考え方 設定に関する課題 ダイオキシン類対策特別措置法にお 土地用途の区別がなく住宅地想定の けるダイオキシン類の環境基準や土壌 安全側の値が全ての土地用途に対して 汚 染対 策 法 にお け る 土 壌 含有 量 基 準を 使用されている。 定める際に使用された文献値から設定。 ⇒ 土地 用 途 別の パ ラ メ ー ター 整 備 が必 要 耐 用 1 日 摂 取 量 ( TDI)、 1 日 許 容 摂 取 水道水の水質基準及び大気環境基準 の 根 拠 と な っ て い る 耐 用 1 日 摂 取 量 量 ( AD I)、 ユ ニ ッ ト リ ス ク 、 リ ス ク レ ベ ( T D I )、 1 日 許 容 摂 取 量 ( ADI ) 等 を 調 ル 等 に つ い て 整 理 さ れ た デ ー タ ベ ー ス 査し提案。 が少ない。 吸入については日本産業衛生学会の 許容濃度を参考に提案。 発がん性については日本作業衛生学 会の発がん性評価と国際がん研究機構 ( I A R C )及 び I R I C、経 済 産 業 省 ・ 環 境 省 資料等を参考に化学物質ごとの発がん 性を提案。 パラメーターを公にオーソライズし 環境省及び経済産業省で運営されて い る PRTR 法 指 定 化 学 物 質 検 索 で 何 種 類 た も の は な い 。 物質によっては文献値が得られない かの物性値を得ている。 ものがある。 モ デ ル 自 体 は J&E モ デ ル を そ の ま ま 適 アメリカの建物を対象に用いられる J o h n s o n a n d E t t i n g e r ( J&E ) モ デ ル を 用 可 能 か ど う か に 疑 問 が あ る 。 用 い て お り 、パ ラ メ ー タ ー は 建 築 基 準 法 を 基 に 、居 室 の 最 低 高 さ 、空 気 交 換 速 度 、 鉄筋コンクリート構造における床板の 最小厚さ等を参考とした。 ASTM-RBCA の 枠 組 み に 沿 っ て 評 価 し た (垂直方向の拡散を考慮しないボック ス モ デ ル )。 【土壌の性質】 【土壌の性質】 有機質土や高有機質土についてのデ RBCA Tool Kit で は 米 国 土 壌 分 類 シ ス テ ム( U S C S )の 代 表 的 な 土 壌 タ イ プ 毎 の フ ォ ル ト 値 が な く 、国 内 の 土 壌 分 類 に お デ フ ォ ル ト 値 が 示 さ れ て い る が 、 JGD け る 有 機 質 、火 山 灰 質 及 び 高 有 機 質 の 土 0 0 5 1 -2 0 0 0 ( 地 盤 材 料 の 工 学 的 分 類 法 ) 壌 に 対 し て 参 照 で き る デ フ ォ ル ト 値 は と ほ と ん ど 対 応 し て お り 、そ の ま ま 使 用 設 定 さ れ な い 。 しても良いと考えられる。 【土壌の状態】 水文地質構造や気象条件の違いを考 慮してデフォルト値を検討していくこ とが必要である。 オーソライズされた文献値がない。 【土壌の状態】 個別の文献値を探って設定。 (地下水) 7 8 9 10 ※ サイトにより異なるためデフォルト 値の設定は不要 備考:本表は、中島誠, RBCA 研究 WG の活動について,土壌環境センター技術ニュース,No.9,pp.57-64 (2004)及び原元利浩,RBCA 研究 WG,RBCA によるリスク評価について(その4)―我が国に おける毒性パラメーターの提案―,地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会第 10 回講演集,pp.160-163(2004)から作成したものである。 資-64 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 4.7 ASTM E1689-95(2014) Standard Guide for Developing Conceptual Site Models for Contaminated Sites で 示 さ れ た サ イ ト 概 念 モ デ ル の 作 成 の 考 え 方 3 世 界 最 大 規 模 の 標 準 化 団 体 で あ る ASTM が と り ま と め た 土 壌 汚 染 の サ イ ト 概 念 モ デ 4 ル の 作 成 に 関 す る 標 準 ガ イ ド ラ イ ン ( Standard Guide for Developing Conceptual 5 Site Models for Contaminated Sites ) で 、 考 慮 す べ き 事 項 と し て 以 下 の 6 項 目 が 6 挙げられている。 7 ①潜在的な汚染物質の同定 8 ②汚染源の同定及び特徴付け 9 ③環境媒体(地下水、表流水、土壌、底質、生物及び大気)を通した汚染物質の移動経路の同 10 定 11 ④汚染媒体に対するバックグラウンド地域の設定 12 ⑤潜在的な環境受容体(人及び生態系)の同定及び特徴付け 13 ⑥調査地域またはシステム境界の決定 14 15 また、考慮すべき事項に対して、以下を実施することが示されている。 16 (1) 情報収集 17 ・過去及び現在の土地に関する情報を、地図、航空画像、横断面図、環境データ、記録、報告書、 18 研究成果及びその他の情報源から収集する。 19 ・現地踏査を実施する。 20 ・収集データの質を評価する。 21 ・汚染源の区別がつかないような近隣の地点でない限り、汚染サイトごとに作成する。 22 23 (2) 汚染物質の同定 24 ・地下水、表流水、土壌、底質、生物及び大気中の汚染物質を同定する。 25 26 27 (3) 汚染物質のバックグラウンド濃度の設定 バックグラウンド試料を以下の目的で使用する。 28 ・自然由来であると判断する濃度範囲の設定 29 ・汚染源及びその他の対象となる汚染源の濃度範囲の設定 30 ・汚染物質のバックグラウンドを超える程度の設定 31 32 (4) 汚染源の特徴付け 33 ・汚染源の場所、境界、量 34 ・可能性のある有害成分及び汚染源での媒体中の濃度 35 ・汚染源からの汚染物質放出の開始時期、期間及び速度 資-65 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (5) 汚染物質の移動経路の同定 2 ・地下水、表流水、大気、土壌、底質及び生物を介した、可能性のある移動経路を同定する。 3 ・完全なばく露経路と不完全なばく露経路を同定し、区別する。 4 ・以下の要素が欠けていれば不完全なばく露経路である。 5 1)一次または二次汚染源からの汚染物質放出のメカニズム 6 2)影響を受ける対象者が汚染源に存在しない場合の輸送媒体 7 3)影響を受ける対象者と汚染された媒体との接点 8 ・完全なばく露経路に沿った、現在及び将来の汚染物質放出・移動を調べる。 9 ・汚染源から影響を受ける対象者までの移動を追跡することがサイト概念モデル作成で最も重要 10 な点の 1 つである。 11 Ⅰ:地下水経路 12 Ⅱ:表流水及び土壌経路 13 Ⅲ:大気経路 14 Ⅳ:土壌接触経路 15 Ⅴ:生物経路 16 17 (6) 影響を受ける対象の同定 18 ・汚染源に直接接触する、汚染源からの移動経路がある、または汚染源の近くに位置する人及び 19 その他の生物が対象である。 20 ・調査場所に存在する主要な生物種リストを作成することが望ましい。 21 ・主要な栄養段階の生物種、ギルド(同一の栄養段階に属し、ある共通の資源に依存して生活し 22 ている複数の種または個体群)を含めることが推奨される。 23 1) ヒ ト 24 2) 生 態 系 25 ・絶滅が危惧される種またはその環境として国または州政府がリスト化した生息地を考慮する。 26 ・調査場所に生息(通年、季節性、一時的)あるいは移動経路とする種の優先性、重要性、減 27 少傾向、絶滅の恐れ、希少性を同定する。 28 資-66 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.8 グ ア ム 島 で の リ ス ク 評 価 事 例 等 2 沖縄島には琉球石灰岩帯水層といった沖縄島ならではの水理地質構造を有してお 3 り 、リ ス ク 評 価 に あ た っ て は 、こ れ ら の 地 域 の 特 色 に 留 意 し た モ デ ル が 必 要 で あ る 。 4 グ ア ム 島 で は 図 4-8 に 示 す よ う に 、 ① 薄 い 土 壌 が 覆 わ れ た 石 灰 岩 帯 水 層 を 有 し て 5 いること、②熱帯・亜熱帯気候、③地下水・表層水の海域への流出が海域生態系に 6 影響を及ぼす可能性があることなど、沖縄島と類似していると考えられる特色を有 7 している。 8 グ ア ム 島 で の リ ス ク 評 価 の 事 例 で は 、「 ESL surfer」 と い う U.S.EPA・ CNMI DEQ・ 9 Guam EPA が 公 開 し て い る リ ス ク 評 価 ( Tier1) が 適 用 さ れ て い る 。 こ こ で は 、 こ の グ 10 アム島での適用事例を参考に、沖縄島でのリスク評価を行う場合の留意点などを整 11 理する。 12 な お 、 こ こ で は 、 ESL(Environmental Screening Levels) sufer Pacific Basin 13 Edition を 適 用 し た 2012 年 の 報 告 書 ( 以 下 、「 PBESL 2012」 と い う 。) を 整 理 す る も 14 のとする。このバージョンは、太平洋周辺の熱帯・亜熱帯地域の特徴に留意したリ 15 スク評価について、少ない変更または変更なしに適用できるように整備されたもの 16 である。 17 18 19 図 4-8 グ ア ム 島 の 特 色 (PBESL 2012) 20 21 資-67 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 (1) 沖縄とグアム島の特徴の差異 1) 沖 縄 の 地 質 に つ い て 3 琉 球 弧 ( 琉 球 列 島 ) の 地 質 学 的 な 特 徴 は 、 図 4-9 左 側 に 示 す と お り で あ る 。 琉 4 球弧の東側には南西諸島海溝があり、これを境界としてフィリピン海プレートが 5 琉球弧(ユーラシアプレート)の下に沈みこんでいる。沖縄島の地質は南部と北 6 部の地質に大別され、北部は「付加体」に関連した堆積物で、南部は主にその場 7 で 堆 積 し た 現 地 性 堆 積 物 の 地 層 と さ れ て い る( 図 4-9 右 側 )。付 加 体 と は 、プ レ ー 8 トが沈み込むときに海洋底にたまっていた堆積物がはぎとられて陸側へ押し付け 9 られ、海溝の陸側斜面の先端部に付け加えられた堆積物である。 10 11 12 13 14 15 琉 球 石 灰 岩 の 厚 さ( 琉 球 層 群 厚 )の 統 計 基 本 量 は 、図 4-10 に 示 す と お り で あ る 。 厚 い 場 所 で は 、 50m に も 達 す る 場 所 が あ る 。 出典:左図は新城竜一,琉球弧の地質と岩石,沖縄島を例として,土木学会論文集 A2(応用力 学),70(2),I_3-I_11( 2014)、右 図は原久 夫, 沖縄島にお ける地 盤の工 学的諸問題 に 関する研究(2004) 16 図 4-9 琉球弧と沖縄島の地質学的特徴 頻度 頻度 250 200 150 100 50 0 217 指数分布による頻度 149 87 57 34 23 22 13 7 8 2 1 0 0 0-5 5- 10- 15- 20- 25- 30- 35- 40- 45- 50- 55- 60- 6510 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 琉球層群層厚(m) 図 4.2.5 琉球石灰岩の層厚頻度分布 17 18 琉球層群層厚(m)の統計基本量 平均 11.46118 標準誤差 0.434238 中央値 (メジアン) 8.3 最頻値 (モード) 2.4 標準偏差 10.81245 分散 116.9091 尖度 2.172354 歪度 1.51683 範囲 59.4 最小 0.1 最大 59.5 合計 7105.93 標本数 620 最大値(1) 59.5 最小値(1) 0.1 信頼区間(95.0%) 0.852759 出典:「沖縄島における地盤の工学的諸問題に関する研究」(2004、原久夫) 図 4-10 琉球層群厚の統計基本量 資-68 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 南 部 の 主 に そ の 場 で 堆 積 し た 現 地 性 堆 積 物 の 地 層 の 形 成 モ デ ル に つ い て 、概 念 図 2 は 図 4-11 に 示 す と お り で あ る 。 図 4-11 左 側 は 、 氷 期 ・ 間 氷 期 に よ る 海 水 面 変 動 3 に 対 応 し た 石 灰 岩 の 地 層 の 形 成 モ デ ル の 概 念 図 で あ り 、図 4-11 右 側 は 、島 尻 層 群 4 堆積以降の琉球弧形成モデル(島尻変動、うるま変動)についての概念図である。 5 海水面変動や大規模な地殻変動に伴って、沖縄島南部の琉球石灰岩が形成された 6 ものと考えられている。 7 8 9 10 出典: 「琉球弧の地質と岩石,沖縄島を例として」 ( 2014、土木学会論文集 A2(応用力学),70(2), I_3-I_11、新城竜一) 図 4-11 そ の 場 で 堆 積 す る 地 層 の 形 成モ デ ル 11 資-69 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 琉 球 石 灰 岩 の 鉛 直 的 な 地 層 の 一 例 ( 宮 古 島 ) は 、 図 4-12 に 示 す と お り で あ る 。 2 石灰岩帯水層の下は島尻層群泥岩がある。これらの地層は断層によって複雑な形 3 状となっており、水平的にも複雑な流れ場を形成している。 4 ま た 、琉 球 列 島 の 地 下 水 利 用 の 特 徴 と し て 、地 下 ダ ム の 普 及( 図 4-13 参 照 )が 5 ある。地質条件等が適する沖縄県内や奄美諸島などの島嶼部を中心に、地下ダム 6 建設は普及してきている。 7 8 9 10 11 出典 1:「地下水を活かした豊かな美ぎ島」 (平成 27 年 2 月版、内閣府沖縄総合事務局宮古伊良部農業水 利事業所) 2:「平成 23 年第3次宮古島地下水利用基本計画 」(平成 23 年3月、宮古島市) 図 4-12 琉球石灰岩帯水層と地下水(宮古島を例に) 12 13 14 15 出典:「地下水を活かした豊かな美ぎ島」 (平成 27 年2月版、内閣府沖縄総合事務局宮古伊良部農業水 利事業所) 図 4-13 地下ダムの普及状況 資-70 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2) グ ア ム 島 の 地 質 と 沖 縄 島 と の 共 通 点 ・ 差 異 2 グ ア ム 島 と 沖 縄 島 の 位 置 関 係 と 地 層 の 情 報 は 、図 4-14 に 示 す と お り で あ る 。沖 3 縄島は、東側に南西諸島海溝がある琉球弧に位置しており、グアム島は東側にマ 4 リ ア ナ 海 溝 が あ る マ リ ア ナ 島 弧 に 位 置 し て い る 。 USGS[U. S. Geological 5 Survey](2003) 6 ており、北部では石灰岩の地層となっている。 16 に よ る と 、グ ア ム 島 の 地 層 の 特 徴 は 北 部 と 南 部 で 明 ら か に 異 な っ 7 グ ア ム 島 の 形 成 過 程 は 図 4-15 に 示 す と お り 、 約 4000 万 年 前 に 海 底 火 山 と し て 8 出現したのが始まりといわれている。その後、地殻変動により沈降し、西側の斜 9 面が残り現在に至ったと考えられている。地質構造としては、沖縄島南部は泥岩 10 の 上 に 石 灰 岩 地 層 が 形 成 さ れ て い た が 、 グ ア ム 島 は 火 山 岩 ( volcanic rock) の 上 11 に石灰岩地層が形成されている。 12 沖縄島 図 は Wikipedia( マリ アナ 海 溝) に 掲 載さ れ てい る 図面 か ら作 成 し た 13 14 出典:USGS,Hydrologic Resources of Guam, USGS Water-Resources Investigations Report 03-4126(2003) 15 図 4-14 グアム島と沖縄島の位置関係 16 16 USGS(2003): Hydrologic Resources of Guam, USGS Water-Resources Investigations Report 03-4126 資-71 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 出典:「グアム島の地質概況」(1989、新潟応用地質研究会誌,Vol.33,p.39-40、平野吉彦) 図 4-15 グアム島の形成過程 5 6 グ ア ム 島( 北 部 )の 地 層 の 鉛 直 的 な 断 面 図 と 地 下 水 流 れ の 概 念 図 は 、図 4-16 に 7 示 す と お り で あ る 。ま た 、グ ア ム 島( 北 部 )の 地 層 の 断 面 図 は 、図 4-17 に 示 す と 8 おりである。沖縄島もグアム島も石灰岩の地層よりも透水性の低い地層(泥岩・ 9 火山岩)の上に石灰岩の地層が形成されている。ただし、グアム島の石灰岩の地 10 層 の 厚 さ は 、 図 4-17 の 場 合 を み る と 、 厚 い 場 所 で 1,000 フ ィ ー ト ( 約 300m) と 11 な っ て い る 。 琉 球 層 群 の 層 厚 の 最 大 約 60m( 詳 細 は 図 4-10) と 示 さ れ て お り 、 グ 12 アム島の石灰岩の地層の層厚は、琉球層群とくらべて厚い特徴がある。 13 ま た 、沖 縄 島 の 島 尻 泥 岩 は 不 透 水 層 と 考 え ら れ る( 例 え ば 、図 4-12 に 示 し た 事 14 例などでは島尻泥岩内での地下水の流動は考慮されていないように見える)が、 15 グ ア ム 島 は 火 山 岩 の 上 に 石 灰 岩 の 地 層 が 形 成 さ れ て い る 。図 4-16 で は 、火 山 岩 の 16 中も地下水の流動が描画されている。 17 資-72 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 出典:USGS,Hydrologic Resources of Guam, USGS Water-Resources Investigations Report 03-4126(2003) 5 図 4-16 グアム島北部の地下水流れの概念図 6 7 8 9 10 出典:USGS,Hydrologic Resources of Guam, USGS Water-Resources Investigations Report 03-4126(2003) 図 4-17 グアム島北部の地層の断面図 11 12 資-73 (平面図の赤線の断面) 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 (2) 太平洋周辺の熱帯・亜熱帯地域の特性に留意したリスク評価の視点 リスク評価を行う上で、太平洋周辺の熱帯・亜熱帯地域の特性と関連して留意す べ き 点 は 、 大 き く 分 け て 表 4-4 の よ う な 3 つ の 視 点 が 考 え ら れ て い る 。 4 5 表 4-4 視点① 特有の地層構造に 由来した留意点 PBESL 2012 で の 留 意 点 太平洋周辺の島嶼部では、石灰岩(岩盤であるが透水性が高い)に薄 い土壌が覆っている特徴を有している場所があるが、この場合、対象化 学物質が岩盤へ移行する場合のリスクをより厳密に評価する必要があ る。 特に汚染された浸出液が石灰岩帯水層へ移行するおそれがある場合 は、汚染土壌は即座に除去または隔離(recapping)される必要がある。 ü 吸着性の対象化 学物質の浸出の 評価をより高精 度に評価すべき ü VOCs に つ い て は土壌ガスの測 定によって評価 可能 視点② 熱帯・亜熱帯の気候では、温帯よりも建物がより熱せられているため、 汚染土壌・地下水からの化学物質の蒸気吸入のおそれが大きいという特 徴がある。 気温に関係した 蒸発吸引経路への 留意点 視点③ 「全ての地下水は、任意の時点で表層水へ湧出し、水圏の生態系に影 響を及ぼすことがありうる」ことを前提とする。 湧出の経路としては、湧水を通じた河川・湖沼・湿地・湾灘などへの 水圏への湧出、人間活動などを通じても起こりうるもの考えられている。 海域生態系への 配慮 6 資-74 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 (3) リスクを基にしたスクリーニングレベル(RBSL)の開発(Tier1) PBESL 2012 で 構 築 さ れ た 太 平 洋 地 域 の 一 般 的 な サ イ ト 概 念 モ デ ル を 図 4-18 に 示 した。 4 Tier1 で は 、こ の サ イ ト 概 念 モ デ ル で 想 定 さ れ て い る ば く 露 経 路 の す べ て に つ い て 5 リ ス ク を 基 に し た ス ク リ ー ニ ン グ レ ベ ル ( RBSL ) を 構 築 し 、 リ ス ク の 有 無 を 判 定 す 6 る。 7 ESL surfer を 用 い て 得 ら れ る ば く 露 経 路 と 土 地 利 用 や 岩 盤 の 上 の 土 壌 が 厚 い /薄 8 い な ど と い っ た 状 況 別 の RBSL の リ ス ト を 表 4-5 に 、ま た こ れ ら を 総 括 し た 出 力 例 の 9 一 つ を 図 4-19 に 示 し た 。 10 11 図 4-18 グ ア ム 島 の リ ス ク 評 価 に お け る サ イ ト 概 念 モ デ ル (PBESL 2012) 12 資-75 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 4-5 ESL surfer ( エ ク セ ル フ ァ イ ル ) の シ ー ト の 内 容 テーブルの シリーズ 内容の詳細 土壌に対するスクリーニングレベル(皮膚からの吸収、蒸気・粒子の吸入) 土壌 地下水の飲用 あり 浅い A-D シリーズ なし あり 深い なし 土地利用 居住地・無制限 商業・工業利用 居住地・無制限 商業・工業利用 居住地・無制限 商業・工業利用 居住地・無制限 商業・工業利用 テーブル A-1 A-2 B-1 B-2 C-1 C-2 D-1 D-2 室内空気に対するスクリーニングレベル E シリーズ ・テーブル E-1a:地下水から室内空気へ ・テーブル E-1b:土壌から室内空気へ ・テーブル E-2 :土壌ガスから室内空気へ ※テーブル E-3 には目標値が整理されている。 地下水に対するスクリーニングレベル F シリーズ ・テーブル F-1a:地下水(飲用する場合) ・テーブル F-1b:地下水(飲用しない場合) ・テーブル F-2a:表層水(淡水域へ流出;飲用しない場合) ・テーブル F-2b:表層水(海域へ流出;飲用しない場合) ・テーブル F-2c:表層水(汽水域へ流出;飲用しない場合) ・テーブル F-3a:表層水の毒性(飲用する場合) ・テーブル F-3b:水道水(飲用する場合) ※テーブル F-4a∼4f、F-5 には、生態系に影響を判定するための目標値や農業用水としての水質基 準値などが整理されている。 室内空気と土壌ガスの吸引に対するスクリーニングレベル G シリーズ ・テーブル G-1a:土壌から地下水への浸出(デフォルト設定) ・テーブル G-1b:土壌から地下水への浸出(浅い土壌) ・テーブル G-2 :土壌ガスが浸出 表層水(Surface water)に対するスクリーニングレベル H シリーズ ・テーブル H-1:上限レベル(Ceiling Level) ・テーブル H-2:総量の上限レベル(Gross Contamination Ceiling Value) 地下水・表層水の味(飲用の場合)や臭気に関するスクリーニングレベル I シリーズ J シリーズ K シリーズ L シリーズ ・テーブル I-1:地下水(飲用する場合) ・テーブル I-2:地下水(飲用しない場合) ・テーブル I-3:表層水 ・テーブル I-4:海水 土壌・水道水・蒸気の吸入モデルを用いた人健康へのリスクモデル(June 2011 U.S.EPA)に用いら れた毒性係数(Toxicity factors)と生理化学定数(physiochemical constants) 「発がん性物質」を対象とした土壌の直接ばく露に関するスクリーニングレベル 「非発がん性物質」を対象とした土壌の直接ばく露に関するスクリーニングレベル ü A∼F シリーズは、土壌・室内空気・地下水の最終的なスクリーニングレベル(final ESL)を総括するテーブ ルである。G∼L シリーズは、A∼F シリーズのテーブルへ参照されている個別のスクリーニングレベルを計算し ているテーブルである。 ü ESL surfer では、土壌が浅い場合と深い場合を区別してばく露経路を評価することを基本としている。この浅 い/深い土壌は3m を閾値として区別している。この閾値は、将来汚染土壌が発掘される可能性のある最大深度 として見なされる。ただし、深い位置ある土壌が再開発活動等によって地表まで運ばれる場合は、個別に評価 する必要がある。 土壌内での移動性の小さい対象化学物質のスクリーニングレベルは、一部の例外を除いて、浅い場合の方が深 い場合よりも厳しく評価される。一方で揮発性の高い物質などのスクリーニングレベルは土壌の浅い/深いに関 係なく同じ値となる。 資-76 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 図 4-19 ESL surfer の 出 力 画 面 の 一 例 4 5 (4) サイト特有のターゲット・レベルの開発について(Tier2∼3) 6 前 述 の Tier1 RBSL で は 、 サ イ ト 特 有 の 特 徴 を 反 映 せ ず に ス ク リ ー ニ ン グ レ ベ ル が 7 開発され、リスクがないものと評価された土地利用と対象化学物質の組み合わせに 8 ついては、サイト特有の特徴を踏まえたスクリーニングレベルの開発は行われない 9 ( た だ し 、石 灰 岩 の 地 層 を 薄 い 土 壌 が 覆 っ て い る な ど の 特 徴 を 踏 ま え て RBSL は 調 整 10 さ れ て い る な ど と い う 意 味 で の サ イ ト 特 有 の 開 発 は 反 映 さ れ て い る )。 11 PBESL 2012 マ ニ ュ ア ル に お い て 紹 介 さ れ て い る 、 Tier2 ま た は Tier3 相 当 の SSTL 12 ( Site-Specific Target Levels) の 開 発 例 に は 、 表 4-6 の よ う な も の が あ り 、 状 況 13 に 応 じ て フ レ キ シ ブ ル に SSTL の 開 発 を 行 っ て い る 。 14 表 4-6 を み る と 、 SSTL 開 発 の た め に さ ま ざ ま な 考 え 方 や 、 場 合 に よ っ て 調 査 ・ 室 15 内試験・数値モデルを組み合わせて評価するガイドラインになっていることがわか 16 る。要素技術別に必要となる考え方(調査・室内試験・評価の考え方)とモデルの 17 内 容 は 、 PBESL 2012 で は 、 表 4-7 の よ う に 整 理 さ れ て い る 。 18 資-77 1 2 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 表 4-6(1) 詳細なスクリーニングレベルの開発例(土壌汚染の場合) 環境のハザード サイト特有の評価手法 ü MIS データを使用して DU 別に直接ばく露を評価 注 直接ばく露 (DU-MIS アプローチ) ü Tier2 用のエクセルファイルを使用した評価 注 ü 生物試験結果を利用して評価(ヒ素) 注 ü 技術的・法的制限の基でのリスク軽減の検討 ü 土壌ガス採収データを使用した評価 蒸気吸引 ü サイト特有の蒸気吸引モデルを使用した評価 注 浸出 ü VOCs 浸出の評価のための土壌ガス採収 注 (Leaching) ⇒運命(Fate)と輸送を考慮した評価 ü 地下水データを使用した評価 ü 浸出液の流動性等を室内バッチ試験により推定して評価 注 陸上生態系への影響 ü 影響の有無を確認するための現地調査 ü 生態影響の評価 ü 石油による汚染土壌の総量に関する現地調査 汚染物質の総計 (gross contamination) 注:別途ツールが公開されているか、マニュアルに考え方の記載がある内容 3 4 表 4-6(2) 詳細なスクリーニングレベルの開発例(地下水汚染の場合) 環境のハザード 飲料水への汚染 サイト特有の評価手法 ü 近隣の井戸による地下水の確認とモニタリング ü 対象化学物質のプルームの移行に関する長期モニタリング ü 長期モニタリングと連携した地下水プルームの運命(Fate)・ 輸送モデルを用いたプルームの移行の評価 注 蒸気吸引 ü 土壌ガス採収データを使用した評価 ü サイト特有の蒸気吸引モデルを使用した評価 注 海域生態系への影響 ü 地下水データを用いてプルームの拡がりと移行を評価 ü 地下水プルームの運命(Fate)・輸送モデルを用いたプルーム の移行の評価 汚染物質の総計 (gross contamination) 5 ü 地下水の確認 ü 放流領域(discharge areas)を確認 注:別途ツールが公開されているか、マニュアルに考え方の記載がある内容 資-78 1 2 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 表 4-7 詳細なスクリーニングレベルの開発のために必要な考え方やモデルについて 3 (概要) PBESL 2012 内での整理状況と SSTL 開発に必要な考え方・モデル 本資料での整理方針 調査とモニタリングによって汚染物質の空間的な分布構 造を正確に把握するための手法 DU-MIS アプローチ 汚染土壌の厚さの情報をサイト特有情報として反映した Tier2 用のエクセルファイル 場合のスクリーニングレベルを算定するファイル。 (土壌の直接ばく露経路) ※対象物質は VOCs のみ、直接ばく露経路のみ 生物試験結果のデータを、人を対象としたスクリーニング レベルに活用する考え方が記載されている。 生物試験結果を利用した評価 (Vol.1 4.1.4) パラメーターがデフォルトと異なるバージョンのもの。 サイト特有の蒸気吸引モデル 汚染物質が石灰岩の地層内に侵入してしまうと直接測定 土壌ガス採収 が難しいため、代替的な評価手法として、VOCs の土壌ガス の測定によって評価が行われている。 計算パラメーターにバッチ試験の結果を利用して、土壌浸 出量を正確に見積もった場合での汚染物質の総計量のスク 室内バッチ試験 地下水プルームの運命(Fate)・輸送 4 5 6 リーニングレベルを算定するファイル。 (輸送モデルはマニュアルの中では記載がない) モデル ※汚染プルームは調査で把握する方針 注:表中に示したエクセルファイルなどには、別途参考文献なども引用されているものがあり、「ESL surfer」同様、エクセルファイルやレポートもダウンロードできるようになっている。これらの 内容を精査すれば、有益な情報が得られる可能性がある。 資-79 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (5) 石灰岩帯水層特有の物質輸送の取扱いの考え方について 2 土壌にある汚染物質が輸送されるプロセスの考え方について、モデル的な取扱い 3 と と も に 整 理 す る 。た だ し 、物 質 輸 送 の 取 扱 い は 、以 下 の 2 つ に 区 別 し て 整 理 す る 。 4 ü Tier1 相当の取扱いとなる鉛直的な物質輸送に関する取扱い (不飽和層(ベイドス・ゾーン)における土壌中の浸出液が地下水面まで移動し混合する プロセス) ü 地下水に溶け込んだ汚染物質が水平的に輸送される取扱い 5 6 た だ し 、PBESL2012 に お い て 、汚 染 物 質 が 水 平 的 に 輸 送 さ れ る 取 扱 い に 関 す る 記 述 7 は、モデルの使用に関する一般的な情報にとどまっていたため、グアム島での別の 8 リスク評価事例についても整理しており、石灰岩帯水層内での汚染物質の輸送の取 9 扱いを考える際の参考資料としている。 10 11 1) 鉛 直 的 な 物 質 輸 送 の 取 扱 い に つ い て ( Tier1 相 当 ) 12 (ア) モ デ ル 式 の 差 異 13 ESL surfer に 使 わ れ て い る 数 式 を 確 認 す る 前 に 、 RBCA toolkit で の 土 壌 か ら の 14 地 下 水 浸 出 の ス ク リ ー ニ ン グ レ ベ ル の 取 扱 い に つ い て 整 理 し 、そ の あ と で 比 較 検 15 討 を 行 う 。 RBCA toolkit で の 取 扱 い は 、 図 4-20 に 示 す と お り で あ る 。 16 このモデル的取扱いは、浸出液の濃度が固相と液相の対象化学物質の平衡条件 17 ( 濃度 の 比 が 分 配係 数 と呼 ば れ る パ ラメ ー ター )を 基に 計 算 す る考 え 方 と な って 18 いる。浸出液が地下水面まで移動する間の濃度の希釈減衰は考慮せず(安全側の 19 取 扱 い )、浸 出 液 と 地 下 水 の 混 合 に よ る 希 釈 は DF( 希 釈 係 数 ま た は 希 釈 減 衰 係 数 ) 20 を用いて表現する。 21 22 資-80 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 LF θas θws ρs ks H L1 L2 Vgw δgw I W b Soil-to-GW leaching factor (mg/L-water)/(mg/kg-soil) Volumetric air content in vadose zone soils (cm3-air/cm3-soil) Volumetric water content in vadose zone soils(cm3-H2O/cm3-soil) Soil bulk density (kg-soil/L-soil) Soil-water sorption coefficient = foc * koc (g-H2O/gsoil) Henry’s law constant (cm3-H2O)/(cm3-air) Thickness of affected soils (m) Distance from top of affected soils to top of water-bearing unit = LGW – Ls (m) Groundwater Darcy velocity (cm/day) Groundwater mixing zone thickness (cm) Infiltration rate of water through soil (cm/year) Width of source area parallel to groundwater flow direction (m) Aquifer saturated thickness (m) é (mg/L water )ù K sw × SAM LF ê ú= LDF ëê (mg/kg soil )ûú Soil-Water Partition Factor:(土壌 - 水分配係数) é (mg/L water )ù rs K sw ê ú= k q + mg/kg ú ws s r s + Hq as soil û ëê Soil Attenuation Model Factor (Optional): (土壌減衰モデル係数) ( ) SAM [unitless] = L1 L2 Leachate Dilution Factor: (浸出水希釈係数) LDF [unitless] = 1 + Vgwd gw I ×W Mixing Zone Thickness Estimation (Optional): (ミキシングゾーンの厚さの推定) é æ öù - I ×W ÷ d gw = min êb, 0.10583 × W + bçç1 + exp ú V gw × b ÷øúû êë è 【 モ デ ルの 考 え方 ( ASTM 規 格等 も 参 照)】 ü 全 土 壌 濃度 と 地下 水 濃度 の 比は 、 土 壌/地 下水浸 出 係 数 で表現 さ れ る。 ü 浅 層 土 壌に お ける 化 学物 質 濃度 は 一 定で あ る。 ü 土 壌 マ トリ ッ クス 内 で、吸着相 、溶 解相 及 び気 相 の間 で一次 関 数 的に 平 衡分 配 する 。ここ で 分 配は 、一定 の 化 学 的 パ ラメ ー ター 及 び土 壌 特有 の パ ラメ ー ター の 関数 と して 表 さ れる 。 ü 通 気 帯 から 地 下水 へ 一定 の 浸出 率 に よっ て 、定 常 状態 で 浸出 す る 。 ü 浸 出 に よる 輸 送と 比 較す れ ば、 通 気 帯を 通 して の 気相 及 び液 相 で の拡 散 の影 響 は無 視 して よ い 。 ü 化 学 物 質が 地 下水 に 浸出 す ると き に 、そ の 化学 物 質の 損 失は 生 じ ない 。(す な わち 、 生物分 解 は ない 。) ü 地 下 水 の「 混 合ゾ ー ン」 内 で、 浸 出 液が 定 常で よ く混 合 され た 状 態で 分 散す る 。 ü 浸 出 係 数に は 質量 収 支を 課 さな い 。 ・ 影 響 を 受け た 浅層 土 壌層 の 深度 d s が 特 定 で きた 場 合、 質 量収 支 を 課す こ とが で きる 。 ・ 2 3 4 影響を受けた浅層土壌層にもともと存在するすべての化学物質がばく露期間中に揮発してしまった場合 に 生 じ る流 量 が超 え ると き は、浅 層 土 壌層 に 存在 す るす べ ての 化 学 物質 が ばく 露 期間 中 に揮 発 す ると 仮 定 し て 、 質量 収 支か ら 揮発 係 数を 求 め る。 出典:GSI ENVIRONMENTAL,Software Guidance Manual RBCA Tool Kit for Chemical Releases, Risk-Based Corrective Action Tool Kit Version 2, GSI ENVIRONMENTAL Inc., p.B-5 (2007) 図 4-20 RBCA toolkit に お け る 土 壌 か ら の 地 下 水 浸 出 の 取 扱 い 5 資-81 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 ESL surfer に お け る Tier1 相 当 の 鉛 直 的 な 物 質 輸 送 に 関 す る 取 扱 い は 、図 4-21 2 に示すとおり、不飽和層(ベイドス・ゾーン)における土壌中の浸出液が地下水 3 面 ま で 移 動 し 混 合 す る プ ロ セ ス を 表 現 す る も の で あ る 。 本 内 容 は 、 PBESL 2012 4 Appendix7 ま た は 同 じ 内 容 が HDOH( Hawai’i Department of Health) の 2007 年 の 5 報 告 書 ( 以 下 、「 HDOH 2007」 と い う 。) に 記 載 さ れ て い る 。 6 Cleachate = Ctotal æ æ öö æ ö ç Kd + ç q w + (q a ´ H ') ÷ ÷ ´ çç 1mg ÷÷ ç ÷ ÷ ç rb è ø ø è 1,000μg ø è (安全側の取扱いとして減衰なし) Cgroundwater (mg / L ) = Claechate (μg/L ) DF m3 /m3 ( DF はデフォルト値 7 8 9 10 ) または æ K ´i´d ö DF = 1 + ç ÷ è I´L ø 注:記号の定義は次ページに記載。 出典:「PBESL 2012 Appendix7」または「HDOH 2007」 図 4-21 鉛直的な物質輸送の取扱い 11 ESL surfer に お い て も 、 ASTM 規 格 や RBCA toolkit と 同 様 に 、 平 衡 条 件 か ら 浸 12 出 液 の 濃 度 を 計 算 し ( ※ ESL surfer の 分 配 係 数 の 定 義 式 は 単 位 が 逆 数 に な っ て い 13 る こ と に 注 意 )、鉛 直 輸 送 中 の 濃 度 減 衰 は 考 え ず( 安 全 側 の 取 扱 い )、浸 出 液 に DF 14 ( 希 釈 係 数 ま た は 希 釈 減 衰 係 数;デ フ ォ ル ト 値 は 20)を 除 し て 地 下 水 で の 対 象 物 15 質濃度を得る考え方である。浸出液の濃度について、具体に記載されている数式 16 を 並 べ て 記 載 す る と 表 4-8 に 示 す と お り で あ る 。 17 図 4-20 と 比 較 す る と 、こ こ で の DF は RBCA toolkit の LDF と 同 等( ※ V g w = K×i)、 18 K d 値 と RBCA toolkit の K s w が 同 じ も の で あ り 、 RBCA toolkit に お い て 、 SAM や 19 dgw の 詳 細 な モ デ ル 化 が な さ れ て い る 点 を 除 け ば 同 じ 取 扱 い と い え る 。 資-82 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 4-8 浸出液の濃度を計算するための数式の比較 é æ æ æ L water ö ö öù æL ö ç çq w ç ÷÷ + q a çç air ÷÷ ´ H ' ÷ ÷ú ê ç ç ÷ ÷ú æ mg ö ê æ L ö ç è è L soil ø è L soil ø ø SSL(mg/kg) = Cw ç ÷ ´ ê K d çç ÷÷ + ç ÷ú æ kg ö è L ø ê è kg ø ç ÷ú rb ç ÷ ÷ú ç èLø ê øû è ë ö æL ö æ L ö æL q a çç air ÷÷ = nçç water ÷÷ - q w çç water ÷÷ è L soil ø è L soil ø è L soil ø æ æ kg ö ö ç rb ç ÷ ÷ æ L pore ö ç è L ø÷ ç ÷ nç ÷ = 1 - ç æ kg ö ÷ L è soil ø ç rs ç ÷ ÷ è è L øø æ Lö æ Lö K d çç ÷÷ = K oc çç ÷÷ ´ f oc ( unitless) è kg ø è kg ø ESL surfer r b =1.5(乾燥した土壌のバ ルク密度) q w =0.3(水で満たされた間 隙率) r s =2.65(土粒子密度) f oc =0.002(土壌の有機炭素 含有割合) SSL は土壌のスクリーニン グレベル C w は、汚染物質の濃度 q a は、空気で満たされた空 隙率 K d は、土壌と水の分配係数 K oc は、有機炭素と水の分 配係数 H’ は、ヘンリー則定数 n は、土壌の総空隙率 é (mg/L water )ù K sw × SAM LF ê ú= LDF ëê (mg/kg soil )ûú Soil-Water Partition Factor:(土壌 - 水分配係数) RBCA toolkit é (mg/L water )ù rs K sw ê ú= êë (mg/kg soil )úû q ws + k s r s + Hq as Soil Attenuation Model Factor (Optional): (土壌減衰モデル係数) SAM [unitless] = L1 L2 Leachate Dilution Factor: (浸出水希釈係数) LDF [unitless] = 1 + Vgwd gw I ×W Mixing Zone Thickness Estimation (Optional): (ミキシングゾーンの厚さの推定) é æ öù - I ×W ÷ d gw = min êb, 0.10583 × W + bçç1 + exp ú V gw × b ÷øúû êë è 注:記号の詳細は前述のとおり 3 4 資-83 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (イ) 混 合 層 厚 さ の モ デ ル 式 に つ い て 2 RBCA toolkit で は 、 浸 出 液 と 地 下 水 が 混 合 す る 混 合 層 の 厚 さ は 以 下 の 式 で 表 現 3 4 さ れ て い る ( 図 4-20)。 d gw é æ - I × W ö÷ù ç = min êb, 0.10583 × W + b 1 + exp ÷úú ç V × b êë gw øû è ※記号等は図 4-20 に示したとおり。 5 6 こ の 算 定 式 の 詳 細 は 、U.S.EPA(1996) 17 に 記 載 さ れ て い る 。MULTIMED モ デ ル 18 を 7 参 考 に し た モ デ ル で あ り 、さ ら に MULTIMED モ デ ル は EPACML( EPA’s Office of Solid 8 Waste for the EPA Composite Model for Landfills ) と 同 様 の 手 法 が 採 用 さ れ 9 て い る も の で あ る 。 本 モ デ ル の 基 本 的 な 考 え 方 は 、 混 合 層 厚 さ ( d(m)) を 「 地 下 10 水 の 輸 送 に 伴 う 鉛 直 方 向 の 分 散 に よ る 混 合 層 厚 さ( d a V (m))」と「 鉛 直 方 向 の 浸 透 11 流 速 に よ る 混 合 層 厚 さ( d I V (m))」の 和 で 表 現 す る こ と で あ る 。た だ し 、記 号 の 以 12 降 の 表 記 は U.S.EPA(1996)に 合 わ せ た 表 記 で 整 理 す る ( RBCA toolkit と は 表 記 が 13 14 異 な る 部 分 が あ る )。 d = daV + d IV 15 16 式(a) ま ず 、「 地 下 水 の 輸 送 に 伴 う 鉛 直 方 向 の 分 散 に よ る 混 合 層 厚 さ ( d a V (m))」 に つ 17 18 いては、以下の式で表現できる。 daV = (2a V L ) 0.5 ただし, L = 汚染源の長さ (m ) aV = 鉛直方向の分散度 (m/m ) 19 20 こ れ は 、 物 質 の 移 動 距 離 ( travel distance) が 大 き く な る ほ ど 混 合 層 厚 さ も 大 21 き くな る こ と を 表現 し てお り 、ある 移 動 距 離に 対 し て ど の程 度 の厚 さ に な る かを 22 23 24 25 決 め て い る の が aV と い う パ ラ メ ー タ ー で あ る 。 aV に つ い て は 以 下 の 式 で 推 定 す る こ と が で き る 17 18 19 19 。 U.S.EPA, Soil Screening Guidance: Technical Background Document, Second Edition (1996) Sharp-Hansen et al., A Subtitle D Landfill Application Manual for the Multimedia Exposure Assessment Model (MULTIMED). EPA Contract No. 68-03-3513. Environmental Reseaech Laboratory, Office of Research and Development U.S. Environmental Protection Agency, Athens, GA. (1990) Gelhar and Axness, Stochastic Analysis of Macro-Dispersion in Three-Dimensionally Heteogeneous Aquifers. Repor No. H-8. Hydraulic Research Program. New Mexico Institute of Mining and Technology, Socorro, NM. (1981) 資-84 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 aV = 0.056 a L ただし, aV = 水平方向の分散度 = 0.1xr xr = 受容体の水平距離 (m ) 1 2 「地下水の輸送に伴う 受 容 体 の 水 平 距 離( x r )は L と 考 え る こ と が で き る た め 、 3 鉛 直 方 向 の 分 散 に よ る 混 合 層 厚 さ( d a V (m))」に つ い て は 、最 終 的 に 以 下 の 式 で 表 4 5 現できることになる。 ( d aV = 2 ´ 0.056 ´ 0.1´ L2 6 7 8 9 ) 0.5 = 0.10583L 式(b) 次 に 、「 鉛 直 方 向 の 浸 透 流 速 に よ る 混 合 層 厚 さ ( d I V (m) )」 に つ い て は 、 以 下 の 式で推定することができる。 æ - LI ö ÷÷ d IV = d a çç1 - exp V n d s e a ø è I V ただし, s ne da 10 11 12 = 浸透流速 = 水平的な浸透流速 = 帯水層の有効空隙率 = 帯水層厚さ (L (m/yr) (m/yr) / L aquifer ) (m ) pore 一 方 で 、 V s = Ki / n e で あ る こ と を 考 慮 す る と 、 以 下 の よ う に 変 換 で き る 。 æ - LI ö ÷÷ d IV = d a çç1 - exp Kid a ø è ただし, K = 帯水層の透水係数 i = 動水勾配 (m/yr) 式(c) (m/yr) 13 14 式 (b)(c)を 式 (a)に 代 入 す る と 、 RBCA toolkit で 計 算 さ れ て い る 混 合 層 厚 さ と 15 同 様 の 式 が 得 ら れ る ( ※ RBCA toolkit は 地 下 水 の 実 流 速 を V g w と し て 表 記 し て い 16 る が 意 味 と し て は 同 じ で あ る )。 æ - LI d = 0.10583L + d a çç1 - exp Kid a è 17 資-85 ö ÷÷ ø 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (ウ) パ ラ メ ー タ ー の 差 異 2 RBCA toolkit と ESL surfer の モ デ ル 式 の 具 体 的 な 記 載 は 異 な る が 、 モ デ ル 構 3 築 の 設 計 概 念 自 体 は 同 様 で あ る こ と が わ か っ た 。 一 方 、 ESL surfer で は 、 太 平 洋 4 周辺の熱帯・亜熱帯地域の地層の特徴を反映するため、パラメーターの改訂が行 5 われており、パラメーターの差異について整理する。 6 ESL surfer の特徴は、石灰岩の地層を覆っている土壌が薄い場合と厚い場合を別々の 7 シナリオで取り扱っており、とくに土壌が浅く、なおかつ地下水を飲用する場合のみ特 8 別な配慮を行う設計になっている(表 4-9 参照)。ただし、土壌が浅いかどうかを判定 9 する閾値は報告書によって異なる値が記載されている(HDOH 2007 では1m、PBESL 2012 10 では 1.5m)。 11 12 表 4-9 太平洋周辺の熱帯・亜熱帯気候特有の地層を考慮した土壌浸出モデルの取扱い 石灰岩を覆う土壌の厚さ 薄い 厚い 特別な配慮 あり 通常の取扱い ⇒ 地下水の 吸着性を弱める 飲用 なし 通常の取扱い 通常の取扱い 13 14 土壌が浅い場合、有機塩素系農薬のような通常移動性を考慮しなくてよい化学 15 物 質が 地 下 水 へ 移行 す るリ ス ク を 評 価す る 必要 が 出 て く る。こ のよ う な 懸 念 を評 16 価 す る た め 、 移 動 性 の 低 い 化 学 物 質 の 吸 着 係 数 を 例 え ば 100,000cm 3 /g か ら 17 5,000cm 3 /g と し て 取 り 扱 う( 1/20 倍 )こ と と し て い る 。た だ し 、吸 着 係 数 が 大 き 18 い と 判 定 す る 閾 値 は 30,000cm 3 /g と し て お り 、 メ チ ル タ ー シ ャ リ ー ブ チ ル エ ー テ 19 ル [MTBE]( 11cm 3 /g) や テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン [PCE]( 95cm 3 /g) な ど は 吸 着 係 数 の 20 小 さ い 化 学 物 質 で 、 ポ リ 塩 化 ビ フ ェ ニ ル [ PCBs]( 131,000cm 3 /g) や 有 機 塩 素 系 殺 21 虫 剤 で あ る ク ロ ル デ ン ( 87,000cm 3 /g)、 有 機 塩 素 系 農 薬 な ど は 吸 着 係 数 の 大 き い 22 化学物質である。この設定は、化学物質が薄い土壌では移動してしまう場合があ 23 るというシナリオを意図して設定されている。 24 改 訂 情 報 ( PBESL 2012, Appendix 8) を 見 る 限 り 、 吸 着 係 数 以 外 の パ ラ メ ー タ 25 ー の 改 訂 情 報 は な く 、 例 え ば 、 希 釈 係 数 ま た は 希 釈 減 衰 係 数 (DF)な ど の 希 釈 に 関 26 するパラメーターの改訂に関する記載はない。 27 資-86 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 吸 着 係 数 の 取 扱 い に 関 連 し て 、 Tier1 評 価 で リ ス ク が あ る 判 定 を 受 け た 化 学 物 2 質 の K d 値 は 、 必 要 に 応 じ て 室 内 バ ッ チ 試 験 ( SPLP[Synthetic Precipitation 3 Leaching Procedure]試 験 ) の 実 施 に よ る パ ラ メ ー タ ー の 取 得 が 推 奨 さ れ て い る 。 4 本 手 法 は HDOH 2007 ま た は PBESL 2012 Appendix 7( Long-Term Management of 5 Petroleum-Contaminated Soil and Groundwater) に 詳 細 に 整 理 さ れ て い る 。 HDOH 6 に よ り 取 得 さ れ て い る K d 値 の デ フ ォ ル ト 設 定 と の 比 較 は 、表 4-10 に 示 す と お り 7 である。 8 ただし、バッチ試験により得られた数値は、デフォルト設定よりも緩和された 9 値 にな っ て お り、デ フ ォル ト 設 定 で はよ り 安全 側 の 評 価 がさ れ てい る 物 質 が 多い 10 結 果 で あ っ た 。 こ れ ら の バ ッ チ 試 験 の パ ラ メ ー タ ー を 用 い た 評 価 は 、 Tier3 評 価 11 に位置付けられている。 12 13 14 表 4-10 Kd 値 の 比 較 出典:「PBESL2012 Appendix 8」 15 16 (エ) 石 灰 岩 の 地 層 へ の 化 学 物 質 の 移 行 の 有 無 17 PBESL 2012 で は 、 石 灰 岩 の 地 層 に 化 学 物 質 が 移 行 し て し ま っ た 場 合 に 対 策 が 難 18 しくなるという指摘が明記されているが、揮発性の化学物質については、この恐 19 れ が あ る か ど う か を 評 価 す る 考 え 方 に つ い て も 記 載 さ れ て い る( こ の 評 価 で は DF 20 ( 希 釈 係 数 ) は 20 の 固 定 値 を 使 用 し て い る と 記 載 が あ り 、 混 合 層 の 厚 さ な ど の 21 サ イ ト 情 報 は 設 定 し て い な い )。 資-87 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2) 水 平 的 な 物 質 輸 送 の 取 扱 い に つ い て 2 (ア) 調 査 に よ る 汚 染 プ ル ー ム の 把 握 3 不圧帯水層に薄く広がる汚染プルームの3次元的な空間分布を把握する事例と 4 し て 、 ハ ワ イ 州 ホ ノ ル ル の Hickam 空 軍 基 地 ( 基 地 名 「 CG110」) の 事 例 が 紹 介 さ 5 れている。 6 初期アセスメントは過去の化学物質の汚染に関する空軍が実施したレポートを 7 基 に 実 施 さ れ 、 こ こ で の 調 査 の 対 象 化 学 物 質 は 、 ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン 、 1,2 シ ス 8 -ジ ク ロ ロ エ チ レ ン 、 塩 化 ビ ニ ル に 絞 り 込 ま れ て い る 。 こ こ で 紹 介 さ れ て い る 調 9 査 手 法 は 、「 DU-MIS ( Decision Unit and Multi-Increment Sampling ) ア プ ロ ー 10 チ 」 と 呼 称 さ れ て い る 。 DU( Decision Unit) は 、 調 査 を 行 う 領 域 単 位 の こ と で 、 11 MIS( Multi-Increment Sampling) は ボ ー リ ン グ ・ コ ア な ど の 土 壌 サ ン プ ル か ら 、 12 等 間 隔 に サ ブ サ ン プ リ ン グ す る こ と で 、 DU-MIS ア プ ロ ー チ は 、 DU 内 で の 汚 染 物 13 質 の 平 均 濃 度 を 正 確 に 把 握 し よ う と す る 分 析 方 法 で 、正 確 か つ 費 用 便 益 性 の 高 い 14 調査手法として紹介されている。 15 こ こ で は 、 ボ ー リ ン グ 調 査 地 点 ( 図 4-22 左 側 ) が DU と し て の 役 割 を 果 た し て 16 おり、等間隔に設置されている。さらにボーリング・コアは、地下水面位置から 17 深 さ 方 向 に 2 m 間 隔 の 薄 い 層 に 分 割 さ れ DU Layer( DUL) と し て 区 別 さ れ る ( 図 18 4-22 右 側 )。 こ の DUL 別 に MIS に よ っ て 汚 染 物 質 の 平 均 濃 度 が 測 定 さ れ 、 汚 染 物 19 質濃度の3次元分布が評価できることになる。ただし、ここでは土壌サンプルの 20 測 定を 行 っ て い るも の で、地 下 水の 溶 存 濃 度や 土 壌 ガ ス 濃度 は 研究 目 的 以 外 では 21 測定していない。土壌サンプルの濃度から液相・気相濃度を推定し、実測値と比 22 較することで再現性の検証を行っている。また、土壌サンプルはメタノール保存 23 され、汚染プルームのより詳細な構造を把握する場合に、再評価できるような体 24 25 制が整えられている。 26 27 28 29 30 出典:Hawai‘i Department of Health (HDOH) Hazard Evaluation and Emergency Response (HEER) Office , USE OF DECISION UNIT AND MULTI-INCREMENT SOIL SAMPLE INVESTIGATION APPROACHES TO CHARACTERIZE A SUBSURFACE SOLVENT PLUME SITE CG110 HICKAM AIR FORCE BASE, HONOLULU, HAWAI‘I (2011) 図 4-22 ボ ー リ ン グ 調 査 地 点 ( DU) 31 資-88 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 土 壌 サ ン プ ル か ら 液 相 で の 汚 染 プ ル ー ム の 空 間 分 布 を 推 定 し た 結 果 は 、図 4-23 2 に示すとおりである。ただし、液相の濃度は、平衡関係より以下の式で推定され 3 4 ている。 C groundwater = Csoil 5 6 7 soil density 1kg ´ soil density total porosity + koc ´ TOC ´ 1,000,000μg この式は以下の質量保存則と平衡方程式から導出されているものである。 8 Ctotal (mg/kg ) = Cdissolved (mg/kg ) + Csorbed (mg/kg ) + Cvapor (mg/kg ) 9 Cdissolved (mg/kg ) = C sorbed (mg/kg ) = 10 Cdissolved (mg/kg ) ´ water filled porosity soil bulk density (kg/L ) Cdissolved (mg/kg ) ´ k oc ´ f oc soil bulk density (kg/L ) 11 た だ し 、 f o c は fraction of organic carbon 、 k o c は published sorption 12 coefficient で あ り 、 地 下 水 面 よ り 下 の 土 壌 で は 気 相 の 汚 染 物 質 は 存 在 し な い も 13 の と し て い る 。ま た 、土 壌 密 度 は 1.5、土 壌 の 総 空 隙 率 は 0.43 と 仮 定 し た( HDOH 14 2009 20 )。 15 推 定 さ れ た 結 果 は 、 他 の 報 告 書 ( 2007 RI ※ 調 査 地 点 が 少 な い ) に 整 理 さ れ て 16 いる地下水濃度を直接測定した汚染プルームの結果を再現しているものであっ 17 18 た。 19 20 21 22 出典:Hawai‘i Department of Health (HDOH) Hazard Evaluation and Emergency Response (HEER) Office , USE OF DECISION UNIT AND MULTI-INCREMENT SOIL SAMPLE INVESTIGATION APPROACHES TO CHARACTERIZE A SUBSURFACE SOLVENT PLUME SITE CG110 HICKAM AIR FORCE BASE, HONOLULU, HAWAI‘I (2011) 図 4-23 23 20 地 下 水 内 の VOCs( 推 定 値 ) の 水 平 コ ン タ ー 図 HDOH (2009)、defaults in U.S.EPA screening level models, U.S.EPA 2009 資-89 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (イ) モ デ ル を 用 い た 汚 染 プ ル ー ム の 評 価 2 地下水モデルの利用に関する指針については、ハワイ州保健局のウェブサイト 3 の オ ン ラ イ ン の 技 術 マ ニ ュ ア ル ( HEER Office Technical Guidance Manual (TGM)) 4 に記述を見つけることができる。この技術マニュアルは、グアム島で実施されて 5 い る評 価 に 関 す る具 体 的な 調 査 方 法 など が 詳細 に 整 理 さ れて お り、調 査 方法 で は 6 機材の使用方法や使用事例、参考文献へのリンクなどが整理されている。地下水 7 モ デ リ ン グ ( groundwater modeling) に つ い て は 、 6.8 節 に 記 述 さ れ て い る 。 8 地 下 水 モ デ リ ン グ は 汚 染 サ イ ト に お け る 汚 染 物 質 の 運 命 ( fate) と 輸 送 に よ る 9 地下水の動きを可視化することや、汚染プルームの将来予測、浄化措置を行った 10 場合の将来予測に用いられる。地下水モデリングは、手作業で行う場合とパーソ 11 ナルコンピューター等の電子計算機を用いる場合の2種類に大別できる(表 12 4-11)。 13 14 表 4-11 地下水モデリングについて 地下水モデリング 手作業での地下水モデリング 実施内容 ・観測井戸の水頭データからフローネット(等ポテンシャル線 と流線を描画)を作成して、地下水の流動場の概況を整理す る。 ・電卓や表計算ソフトを用いて、汚染プルームの範囲を描画す ることに使用する。 ・汚染プルームの時空間的な変遷の追跡はできない。 電子計算機を用いた地下水モ デリング ・汚染プルームの時空間的な変遷を追跡する必要がある場合な どに用いる。 15 16 ア) 手 作 業 の 地 下 水 モ デ リ ン グ の 場 合 17 地下水の流速は、ダルシー則を用いて計算できる。 18 た だ し 、 こ の 計 算 式 は 亀 裂 の あ る 岩 盤 ( fractured rock) の 場 合 、 異 な る 取 り 19 扱 い が 必 要 と な る 場 合 が あ る 。 亀 裂 が 浸 透 性 媒 体 ( porous media) と 水 理 学 的 に 20 等価であれば上式は適用が可能であるが、その条件が満たされない場合、亀裂と 21 そこを流れる流れの関係を直接表現する必要がある。 22 典 型 的 な サ イ ト の ス ケ ー ル で は 、多 く の 場 合 、岩 盤 の 亀 裂 は 浸 透 性 媒 体( porous 23 media ) と 等 価 と は み な せ ず 、 亀 裂 内 の 地 下 水 の 流 れ を 直 接 表 現 す る 必 要 に 迫 ら 24 れ る 。 亀 裂 内 の 流 れ 場 の 取 扱 い は Snow(1968) 21 に よ っ て 開 発 さ れ 、 平 面 の 亀 裂 に 21 Snow, D.T., (1968) ; Rock Fracture Spacings, Openings, and Porosities. Proc Amer Soc Civil Eng, J Soil Mech Found Div. 94(1):73-91. 資-90 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 つ いて 水 理 学 的 浸透 率 を測 定 し て 定 式化 し てい る 。亀裂 内 の 流 れを 直 接 表 現 する 2 には、水理学的な等方性・異方性、亀裂の形状など、非常に多くの情報が必要と 3 な る 。Domenico ら (1990) 4 メーターが必要になることが示されている。 22 に よ る と 、亀 裂 内 の 流 れ の 計 算 に は 、以 下 に 示 す パ ラ 5 6 ü 亀裂と地下水流れの方向(orientation) 7 ü 亀裂の密度(fracture density) 8 ü 連続性の度合い(degree of connectivity) 9 ü 開口部のひらき(aperture opening) ü 亀裂の形状の滑らかさ(smoothness of fractures) 10 11 12 (ウ) 電 子 計 算 機 を 用 い る 地 下 水 モ デ リ ン グ ( コ ン ピ ュ ー タ ー モ デ ル ) の 場 合 13 パーソナルコンピューター等の電子計算機を用いて計算するいわゆるコンピュ 14 ーターモデルは、以下に示すように多くの目的がある。 15 16 ü 実際の地下水システムの把握 17 ü 調査方法(目的と地点配置)の選定 18 ü 汚染物質の運命(fate)と輸送の予測 19 ü 汚染状況の把握 20 ü 浄化アプローチとシステムのケーススタディ(U.S.EPA,1992 23 ,1995 24 ) 21 22 コンピューターモデルは、解析解を用いる方法と数値解を用いる方法に大別さ 23 れる。解析解を用いる方法は、取り扱う問題がシンプルであり、費用が多くかか 24 らず、初期段階の評価に便利である。一方、数値解を用いる方法は、より複雑で 25 より多くの情報を必要とするものの、より細かな地下水の輸送を表現できる。 26 27 22 23 24 Domenico et al., (1990) ; Domenico, Patrick A,. and Franklin W. Schwartz. Physical and Chemical Hydrogeology. Second Edition. New York: John Wiley & Sons, Inc. U.S.EPA, United States Environmental Protection Agency, Office of Solid Water and Emergency Response. Groundwater Issue - Fundamentals of Ground-Water Modeling. EPA/540/S-92/005. Washington DC. (1992) Website URL: http://nepis.epa.gov/Exe/ZyPURL.cgi?Dockey=10002DP6.txt.; U.S.EPA, Superfund Program, Representative Sampling Guidance, Volume 5: Water and Sediment. Interim Final. OSWER Directive 9360.4-16. (1995) Website URL: http://www.epa.gov/region09/qa/pdfs/fieldsamp-sfguidance-vol5.pdf. 資-91 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 3) グ ア ム 島 の PBESL2012 以 外 の 事 例 ( ア ン ダ ー セ ン 空 軍 基 地 ) 2 PBESL2012 以 外 の 参 考 事 例 と し て 、 MARBO Annex OU ( Marianas/Bonins Command 25 3 Annex Operable Unit; 図 4-24) の ROD( Record of Decision) 4 終 の ROD は 1998 年 7 月 の 終 結 し て お り 、そ の 後 5 年 間 の モ ニ タ リ ン グ に つ い て 整 5 理されている報告書である。 6 を整理した。最 地 下 水 に つ い て は 、 ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン ( TCE) と テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン ( PCE) 7 汚 染 に 対 し て 、 自 然 の 希 釈 に よ る 制 度 的 制 御 ( Natural Attenuation with 8 Institutional Controls ) が 行 わ れ て お り 、 こ れ は 分 散 ( dispersion ) と 希 釈 9 ( dilution ) の 物 理 的 プ ロ セ ス に よ る 濃 度 低 下 を 期 待 す る も の で 、 脱 塩 素 10 ( dechlorination) の 効 果 を 期 待 す る も の で は な い 。 11 制 度 的 制 御 の 時 間 枠 は 10∼ 40 年 を 想 定 し て お り 、以 下 の 3 つ の 取 り 組 み を 行 っ 12 13 14 ている。 15 ü 地下水のモニタリング( Groundwater Monitoring :観測井戸が追加されている) 16 17 ü 既存の水源の保護( Existing Wellhead Treatment ) 18 19 20 ü 土地利用の制限( Land Use Restrictions ) 【火山岩の分布と地下水流れ】 出典:Andersen Air Force Base, Guam,The United States Air Force Installation Restoration Program, Final First Five-year Review of Record of Decision for Marbo Annex Operable Unit (2004) 21 図 4-24 MARBO Annex OU の 位 置 情 報 と そ の 他 の 情 報 25 Andersen Air Force Base, Guam (2004): The United States Air Force Installation Restoration Program, Final First Five-year Review of Record of Decision for Marbo Annex Operable Unit 資-92 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 この事例は、グアム島北部の複雑なカルスト地形の帯水層内に汚染物質が入っ 2 てしまった場合の対処事例であり、地下水の流動場を把握したうえで、自然希釈 3 4 5 を評価している事例である。 (ア) サ イ ト 概 念 モ デ ル 6 石灰岩カルスト地形では、降水は土壌や石灰岩帯水層に素早く浸透する。石灰 7 岩 帯 水 層 に は 溶 解 し て で き た 空 隙 ( dissolution porosity) が 多 く あ る た め 水 の 8 涵 養 量 が 大 き い( エ ピ カ ル ス ト 帯 ; epikarst zone,不 飽 和 層 よ り も 上 側 に あ る )。 9 溶解は深度とともに減少し、それに伴って涵養量も減少する。エピカルスト帯に 10 存在する水は、不飽和層(ベイドス・ゾーン)に徐々に浸透する。カルスト地形 11 の 鉛 直 的 な 水 の 輸 送 の 概 念 モ デ ル は 、 図 4-25 に 示 す と お り で あ る 。 12 13 14 出典:Andersen Air Force Base, Guam,The United States Air Force Installation Restoration Program, Final First Five-year Review of Record of Decision for Marbo Annex Operable Unit (2004) 15 16 17 図 4-25 カルスト地形での水の輸送の概念モデル 地下水の鉛直移動は、亀裂の構造などに影響されて変化する。不飽和層では、 18 水 頭勾 配 な ど に よっ て ゆっ く り と し た地 下 水の 鉛 直 的 な 流れ が 起こ り 、地下 水 面 19 に到達する。流れの方向と流速は、その他の優先的な流れ(亀裂や洞窟の流れ) 20 に 影 響 さ れ て 変 化 す る 。 こ れ ら の 流 れ へ の 変 化 は ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン ( TCE) や 21 テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン ( PCE) の 輸 送 に も 影 響 す る 。 22 ここで用いられているモデルは、沖縄島の石灰岩帯水層地域の物質輸送の評価 23 す る場 合 の 参 考 にす る こと が で き る と考 え られ る( 関連 し て い ると 思 わ れ る 技術 24 は 、 後 述 す る 「 4.9 25 に 整 理 し て い る )。 カルスト地形内の地下水流動を対象とした近年の研究事例」 資-93 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (イ) 地 下 水 の 流 れ の 把 握 の た め の ト レ ー サ ー の 利 用 2 本事例では、地下水による物理的な希釈を想定して、土地利用の制限、モニタ 3 リング、水源の保護が実施されているが、評価に必要となる地下水流量、地下水 4 の 滞 留 時 間 の よ う な サ イ ト 特 有 の 情 報 は 、 色 素 の 追 跡 ( Dye trace) に よ っ て 推 5 定されている。手法としては、既存の技術でトリチウムを利用した手法と同様の 6 内容を、色素を用いて実施しているものである。 7 8 9 10 11 出典:Andersen Air Force Base, Guam,The United States Air Force Installation Restoration Program, Final First Five-year Review of Record of Decision for Marbo Annex Operable Unit (2004) 図 4-26 地 下 水 の 水 位 調 査 井 戸 と 地 下 水 位 図 か ら 得 ら れ る 地下 水 の 流 況 12 13 本事例は、自然希釈に関して、石灰岩帯水層内の希釈を考慮しており、本事例 14 に つい て 、詳細 な 分 析 を行 う こ と で 参考 に なる 知 見 が 得 られ る 可能 性 が 考 え られ 15 る。 16 17 資-94 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.9 カ ル ス ト 地 形 内 の 地 下 水 流 動 を 対 象 と し た 近 年 の 研 究 事 例 2 3 カ ル ス ト地形の地下水流動のモデル的な取り扱いは、USGS や WERI(Water and Environmental Research Institute)によって、様々な技術が開発されている。 4 WERI では、1980 年代初期から海水侵入のある2相数値モデルの開発を開始 27 26 し、有限要素法の解析 5 プログラム SWIG2D を開発し、海域への湧出量の推定 、ベイドス・ゾーンでの物質輸送 6 島北部を対象に検討している。より最近の検討は USGS の SUTRA を用いた検討もある 29 28 を、グアム 。 7 石灰岩帯水層での地下水の流れは、多孔質(porous) 、割れ目(fracture) 、洞窟(conduit)の流れ 8 が複雑に入り組んでいる。このようなカルスト地形の概念モデルには Mylroie and Carew (1995) 30 が 9 あり、以降、グアム島 10 31 、サイパン島 32 、Tinian 島及び Aguijan 島 取りまとめた一 般 的 な 石 灰 岩 カ ル ス ト 地 形 形 成 モ デ ル 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 35 33 、Rota 島 34 、これらの知見を などがある。 Contractor, D. N., A two-dimensional, finite-element model of salt water intrusion in groundwater systems, WERI Technical Report No. 26, Mangilao, Water & Energy Research Institute, University of Guam. (1981) Contractor, D. N., Numerical modeling of saltwater intrusion in the Northern Guam Lens: Water Resources Bulletin, v. 19, p. 745-751. (1983) Contractor, D. N., J. F. Ayers, and S. J. Winter, Numerical modeling of salt-water intrusion in the Northern Guam Lens, WERI Technical Report No. 27, Mangilao, Water & Energy Research Institute, University of Guam. (1981) Contractor, D. N., and R. Srivastava, Simulation of saltwater intrusion in the Northern Guam Lens using a microcomputer: Journal of Hydrology, v. 118, p. 87-106. (1990) Jocson, J. M. U., J. W. Jenson, and D. N. Contractor, Recharge and Aquifer Response: Northern Guam Lens Aquifer, Guam, Mariana Islands: Journal of Hydrology, v. 260, p. 231-254. (2002) Contractor, D. N., and J. W. Jenson, Simulated Effect of Vadose Infiltration on Water Levels in the Northern Guam Lens Aquifer: Journal of Hydrology, v. 229, p. 232-254. (2000) Olsen, A. E., and T. Hormillosa, Northern Guam Vadose Zone: 30 Years of WERI Research, Gerace Research Centre 14th Geology Conference, San Salvador, Bahamas. (2008) Wuerch, H. V., B. C. Cruz, and A. E. Olsen, Analysis of the Dynamic Responses of the Northern Guam Lens Aquifer to Sea Level Change and Recharge, WERI Technical Report No. 115, Mangilao, Water & Environmental Research Institute of the Western Pacific, University of Guam. (2007) Mylroie, J. E., and J. L. Carew, Karst development on carbonate islands, in D. A. Budd, P. M. Harris, and A. Saller, eds., Unconformities and Porosity in Carbonate Strata, v. Memior 63, American Association of Petroleum Geologists, p. 55-76. (1995) Mylroie, J. E., J. W. Jenson, D. Taborosi, J. M. U. Jocson, D. T. Vann, and C. Wexel, Karst features on Guam in terms of a general model of carbonate island karst: Journal of Cave and Karst Studies, v. 63, p. 9-22. (2001) Wexel, C., Karst features of Saipan in terms a general carbonate island karst model: Masters thesis, University of Guam. (2007) Stafford, K., J. Mylroie, D. Taboroši, and J. W. Jenson, Eogenetic karst development on a small, tectonically active, carbonate island: Aguijan, Mariana Islands: Cave and Karst Science: Transactions of the British Cave Research Association, v. 31, p. 101-108. (2004) Stafford, K. W., T. M. Keel, J. E. Mylroie, J. W. Jenson, and J. R. Mylroie, Eogenetic karst development in the Mariana Islands: Aguijan, Rota, and Tinian: Journal of cave and Karst Studies, v. 65, p. 188. (2003) Stafford, K. W., J. E. Mylroie, and J. W. Jenson, Karst geology of Aguijan and Tinian, CNMI cave inventory and structural analysis of development, WERI Technical Report No. 106, Mangilao, Water & Environmental Research Institute of the Western Pacific, University of Guam. (2004) Stafford, K. W., J. E. Mylroie, D. Taboroši, J. W. Jenson, and J. R. Mylroie, Karst development on Tinian, Commonwealth of the Northern Mariana Islands: Controls on dissolution in relation to the carbonate island karst model: Journal of Cave and Karst Studies, v. 67, p. 14-27. (2005) Keel, T. M., J. E. Mylroie, and J. W. Jenson, Preliminary report on the caves and karst of Rota (Luta), CNMI, WERI Technical Report No. 105, Mangilao, Water & Environmental Research Institute of the Western Pacific, University of Guam. (2004) Keel, T. M., J. E. Mylroie, and J. W. Jenson, The caves and karst of Rota Island, Commonwealth of the Northern Mariana Islands, WERI Technical Report No. 107, Mangilao, Water & Environmental Research Institute of the Western Pacific, University of Guam. (2005) Keel, T. M., J. E. Mylroie, J. R. Mylroie, and J. W. Jenson, The cave and karst of Rota Island, Commonwealth of the Northern Mariana Islands: Journal of Cave and Karst Science, v. 67, p. 187. (2005) Jenson, J. W., T. M. Keel, J. R. Mylroie, J. E. Mylroie, K. W. Stafford, D. Taborosi, and C. Wexel, Karst of the Mariana Islands: The interaction of tectonics, glacio-eustasy, fresh-water/salt-water mixing in island carbonates: Geological Society of America Special Paper, v. 404, p. 129-138. (2006) 資-95 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 ま た 、USGS と WERI の 共 同 で カ ル ス ト 地 形 へ の モ デ ル 適 用 に 関 す る 研 究 が 進 め ら れ 2 て い る 。 例 え ば 、 USGS の 2013 年 の 報 告 書 で は 、 SUTRA( USGS の 地 下 水 流 動 モ デ ル ) 3 を用いた、グアム島北部の石灰岩帯水層の計算が行われており、地下水の湧出量の 4 算 定 が 行 わ れ て い る( 図 4-27)。こ こ で は 、石 灰 岩 帯 水 層 部 分 を モ デ ル 化 し て お り 、 5 火 山 岩 部 分 へ の 水 の 浸 透 は 考 慮 さ れ て い な い 。 水 理 地 質 構 造 の 条 件 設 定 に は 、 34 か 6 所 の 井 戸 で の 地 下 水 位 の 時 間 変 動 の 解 析( tidal-signal attenuation in water-level 7 records) の 結 果 が 用 い ら れ て い る ( 図 4-28)。 こ れ は 、 観 測 井 戸 の 地 下 水 位 の 応 答 8 をモデルで再現できるような地質条件を決める手法である。 9 10 11 12 13 出典:Stephen B. Gingrerich (USGS), The Effects of Withdrawals and Drought on Groundwater Availability in the Northern Guam Lens Aquifer, Guam, Scientific Investigations Report 2013-5216 (2013) 図 4-27 地下水の水位調査井戸と地下水位図から得られる地下水の流況 14 15 16 17 18 出典:Kolja Rotzoll, Stephen B. Gingerich, John W. Jenson, Aly I. El-Kadi, Estimating hydraulic properties from tidal attenuation in the Northern Guam Lens Aquifer, territory of Guam, USA, Hydrogeology Journal, 21, 643-654 (2013) 図 4-28 観測井戸の地下水変動の再現状況(パラメーター推定の結果) Mylroie, J. E., and J. W. Jenson (2000) ; The Carbonate Island Karst Model applied to Guam: Theoretical and Applied Karstology, v. 13-14, p. 51-56. 資-96 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 エ ピ カ ル ス ト 層 と 不 飽 和 層 の モ デ ル 化 に つ い て は 、 VADOCHARGE と 呼 ば れ る 鉛 直 モ 2 デ ル の 開 発 も 進 め ら れ て い る ( 図 4-29 )。 地 下 水 面 よ り 下 の 地 下 水 流 動 は 格 子 で 区 3 切 ら れ た モ デ ル ( 有 限 要 素 法 表 現 ) を 用 い た 計 算 を 行 う が ( 図 4-29 左 側 )、 エ ピ カ 4 ル ス ト 層 の 水 の 動 き は 、 Fast flow と Slow flow の 2 つ の 亀 裂 の 流 れ を 表 現 し 、 こ れ 5 らのパラメーターをデータから推定して設定する形式のモデル化としている。ただ 6 し、このモデル化では、亀裂の効果はエピカルスト層・不飽和層の鉛直的な水の移 7 動のみを表現しているもので、洞窟の水平的な連続構造の流れを表現しているわけ 8 ではない。 9 10 11 12 13 14 出 典 : Nathen C. Habana, Leroy F. Heitz, Arne E. Olsen, John W. Jenson, Jonathan L. Salvacion; VADOCHARGE: Groundwater Recharge Model for an Uplifted Island Karst Aquifer, Guam, USA, International Journal of Environmental Engineering Science and Technology Research, 1(8), 141-164 (2013) 図 4-29 エ ピ カ ル ス ト 層 の 新 た な モ デ ル 化 の 取 り 組 み ( VADOCHARGE) 15 16 このように、地下水面より上の層での鉛直的な地下水の流れを、洞窟構造を擬似 17 的に表現できるモデルを用いる手法は、グアム島の観測井戸の水位データの変遷を 18 再 現 す る に は 欠 か せ な い も の と な っ て お り 、少 な く と も 1999 年 以 降 そ の よ う な モ デ 19 ル が WERI と USGS で は 主 流 に な っ て い る よ う で あ る ( 図 4-30)。 た だ し 、 こ れ ら の 20 モデルの利用目的は、主に淡水の地下水涵養量の把握と管理である。 21 資-97 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 出典:D.N. Contractor and J.W. Jenson (1999) ; Simulated Effect of Vadose Infiltration on Water Levels in the Northern Guam Lens Aquifer, WERI Technical Report No.90 4 図 4-30 グアム島でのエピカルスト層の鉛直的な水の移動を表現したモデル事例 5 6 こ れ ら の エ ピ カ ル ス ト 層 で の 鉛 直 的 な 地 下 水 の 動 き の モ デ ル は 、「 van Genuchte n 7 model 36 」 が ベ ー ス と な っ て お り 、 こ の モ デ ル 形 式 に お い て パ ラ メ ー タ ー を 最 適 化 す 8 るようなモデル適用事例がほとんどである。 9 10 以降は、グアム島に限らず、カルスト地形を取り扱った事例について、参考のた 11 め整理する。大まかには、①洞窟構造をモデルで直接表現せずに、マクロにみて実 12 態と等価となるような水理地質構造をデータから推定して用いるモデルと、②洞窟 13 構造を直接表現しようとするモデルに大別される。 14 15 36 M. Th. VAN GENUCHTEN and D. R. NIELSEN, On describing and predicting the hydraulic properties of unsaturated soils, Annales Geophysicae, 0755 0685/85/05/ 615 13 (1985) 資-98 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (1) カルスト地形の地下水モデル事例(洞窟を間接的に表現する場合) 2 湧水量を基に水理地質構造を推定した事例として、水位データと湧水湧出量の2 3 つ の デ ー タ か ら 地 質 構 造 を 推 定 し た 事 例 で の 計 算 結 果 の 一 部 は 、図 4-31 に 示 す と お 4 りである。また、観測井戸の時系列データを対象に水理地質構造を推定した事例で 5 の 計 算 結 果 の 一 部 は 、 図 4-32 に 示 す と お り で あ る 。 6 どちらも、水理地質構造はあらかじめグループ化されており、グループ内ではお 7 なじパラメーターを有することとして、水位・湧水湧出量・水位の時間変動が観測 8 値 と 一 致 す る よ う に そ れ ぞ れ の グ ル ー プ の パ ラ メ ー タ ー が 推 定 さ れ て い る 。図 4-3 2 9 に示した事例における水理地質構造のパラメーターは、エピカルスト層と不飽和層 10 の水のやり取りに関するものである。 11 【水位データの再現状 況】 【湧水湧出量データの 再現状況】 12 13 14 15 出 典 : WEI Jia-hau, CHU Hai-bo, WANG Rong, JIANG Yuan, Numerical simulation of karst groundwater system for discharge prediction and protection design of spring in Fangshan District, Beijing, Journal of Groundwater Science and Engineering, 3(4), 316-330 (2015) 16 図 4-31 地 下 水 位( 水 頭 )と 湧 水 湧 出 量 デ ー タ か ら 水 理 地 質 構 造 を 指 定 し た モ デ ル 事 例 17 資-99 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 5 出典:XI CHEM, ZHICAI ZHANG, PEN SHI and XUANWU XUE, Estimation of hydrological dynamics and ecodhydrological effects in the Karst region of southwest China, IAHS Publ. 328, 170-180 (2009) 図 4-32 観 測 井 戸 の 時 系 列 デ ー タ を 対 象 に地 質 構 造 を 推 定 し た モデ ル 化 事 例 6 7 資-100 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (2) カルスト地形の地下水モデル事例(洞窟を直接的に表現する場合) 2 1) 実 地 形 で の モ デ ル 化 事 例 3 地下水の流れと水平・鉛直に限らず管路網や洞窟網構造を同時に取り扱うモデルも多く 37 4 公開されている。USGS の MODFLOW を例にすれば、MODFLOW-2005 には CFP パッケージ を 5 用いれば、地下水流れ と洞窟網流れを同時に 計算することができる (境界条件の受け渡 6 し)。MODFLOW-USG 38 についても洞窟網と地下水流れを同時に計算する機能が備わっている 7 (境界条件の受け渡しを行うわけではなく行列演算自体を同時に実施する)。 8 洞窟網を扱うモデルが公開されている一方で、実際のカルスト地形を対象に計算を行っ 9 ている事例はほとんど見つからず、1 次元モデルを用いたものがある(図 4-33)程度で 10 あった。 11 12 13 出典:Jerome Perrin, A conceptual model of flow and transport in karst aquifer based on spatial and temporal variations of natural tracers, PhD thesis(2003) 図 4-33 14 37 38 カルスト地形の実際の洞窟構造を表現したモデル化事例 W. Barclay Shoemaker, Eve L. Kuniansky, Steffen Brik, Sebastian Bauer, and Eric D. Swain (USGS), Documentation of Conduit Flow Process (CFP) for MODFLOW-2005, Techniques and Methods, Book 6, Chapter A24 (2008) Sorab Panday, Christian D. Langevin, Richard G. Niswonger, Motomu Ibaraki, and Joseph D. Hughes, MODFLOW-USG Version 1: An Unstructured Grid Version of MODFLOW for Simulating Groundwater Flow and Tightly Coupled Processes Using a Control Volume Finite-Difference Formulation, USGS Techniques and Methods 6-A45 資-101 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2) 洞 窟 の 時 間 的 な 形 成 過 程 の モ デ ル 化 事 例 2 実際のカルスト地形の洞窟網を直接表現したモデル事例の文献が少ない理由の 3 一 つに 、洞 窟網 の 設 定 条件 が 網 羅 的 に入 手 でき な い こ と が予 想 でき る 。ここ で は、 4 視点を変えて洞窟構造やエピカルスト層が時間的にどのように発達するかという 5 視点に立った研究事例について整理する。 6 エ ピ カ ル ス ト 層 の 発 達 に 関 す る 概 念 モ デ ル の 事 例 は 、図 4-34 に 示 す と お り で あ 7 る。また、任意の地形から石灰岩の溶解する関係式を用いて、自由に洞窟構造を 8 発 達 さ せ た 計 算 事 例 は 、 図 4-35 に 示 す と お り で あ る 。 9 10 11 12 13 出典:Sebastian Bauer and Rudolf Liedl, Modeling the influence of epikarst evolution on karst aquifer genesis: A time-variant recharge boundary condition for joint karst-epikarst development, Water Resource Reserch, 41, W09416 (2005) 図 4-34 エピカルスト層の発達に関する概念モデル 14 石 灰 岩 が溶 解 する 関 係式 は 以下 の と おり で ある 。 æ c F (c ) = k1 ç1 ç c eq è ö ÷ ÷ ø æ c F (c ) = k n ç1 ç c eq è ö ÷ ÷ ø for c < c s n for c ³ c s た だ し 、 k l と k n は 速 度定 数 (mol/(cm 2 s))、 c は Ca 2+ の 濃 度( mol/cm 3 )、c eq は カ ル サイ ト にな る 平衡 濃度、 c s は ス イ ッ チ す る濃 度 15 16 17 18 出典:F. Gabrovsek and W. Dreybrodt, A model of the early evolution of karst aquifers in limestone in the dimensions of length and depth, Journal of Hydrology, 240, 206-224 (2001) 図 4-35 カルスト地形の実際の洞窟構造を表現したモデル化事例 19 資-102 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 (3) 沖縄島南部における上水道汚染事例の解析について 1) 汚 染 事 例 の 概 要 3 沖 縄 島 南 部 に お い て 1971 年 に PCP に よ る 地 下 水 汚 染 が 発 見 さ れ た 事 例 ( 以 降 、 4 PCP 水 道 汚 染 事 例 ) 39 に つ い て 、 そ の 概 要 と 実 際 の 地 下 水 の 汚 染 デ ー タ に つ い て 整 5 理した。 6 7 PCP に よ る 地 下 水 汚 染 が み ら れ た 場 所 を 図 4-36 に 、 ま た 汚 染 が 発 見 さ れ て か ら 対 策 が 取 ら れ る ま で の 詳 細 な 流 れ を 表 4-12 に 整 理 し た 。 8 表 4 -12 投棄現場から 半径 2km の範囲 汚染の発見から対策までの流れ 1971年 概要 ∼ 具志頭村字仲座の採石場跡 C製糖工場が多量のパガスを捨てる 5/14∼5/20 A社、PCP油剤多量(11,500ガロン)を 具志頭村字仲座の採石場跡に投棄 5/21 【早朝】 ユームナガーにて、主婦による死魚(ウナギ)発見 【正午】 学校給食センター(東風平村・大里村)における 水道水からの異臭(シンナー様)発見 ⇒公害衛研に通報 山岳部 5/22 図 4-36 【午前10時ごろ】 南部水道組合長が ただちに給水を停止・調査を依頼 ⇒PCPを検出(ギーザ水源、ワタヤ水源、世持川) ・ギーザ、ワタヤの2水源からは6ppm ・5匹の金魚30∼45分で全部死滅 現場付近の見取り図 【午後11時ごろ】 A社代表者B宅を突き止め、 「5月14日から20日の間にPCP油剤多量(11,500ガロン)を 具志頭村字仲座の採石場跡に投棄したこと」を確かめる。 5/23 琉球政府関係各局の職員がPCP投棄場所を確認 (具志頭村字仲座の採石場跡) ∼6/5 PCP含有量の急激な減少の時期 6/6∼6/21 ガスクロで痕跡程度検出(0.05ppm∼0.01ppb) 6/22 ∼7月下旬 ガスクロで痕跡程度検出(0.01ppb以下) 6/26 具志頭簡易水道給水再開を許可 7/6 南部水道給水再開を許可 7月下旬∼ ガスクロで検出されない 9 10 汚 染 発 見 後 に 、ワ タ ヤ 水 源 、ギ ー ザ 水 源 、ヨ モ チ 水 源( 世 持 川 )の 3 水 源 に お い 11 て 、地 下 水 の PCP の モ ニ タ リ ン グ が 行 わ れ た 。結 果 を 図 4-37 及 び 図 4-38 に 示 す 。 12 た だ し 、 図 4-37 は 事 例 発 生 当 初 の 5 月 22 日 か ら 7 月 初 旬 ま で ppm の 単 位 で 示 し 13 て い る 。図 4-38 は 6 月 15 日 以 降 の 結 果 を ppb( 1/1000ppm)の 単 位 で 示 し て い る 。 14 また、両図の下段には、アメダス那覇における降水量のデータを同時に示した。 15 大山らは、同文献において、以下のような考察を行っている。 39 大山ら:pcpによる南部上水道汚染について 資-103 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 ・事例発生当初(1971 年5月 22 日)、6ppm の PCP が水源で検出されたが、時間経過に連れて 濃度が減少していった。 3 ・大雨の降った数日後に PCP 量が一時的に増加している。 4 ・井戸でも別途 PCP の観測を行っているが、井戸ではほとんど検出されず、水の豊富に湧き出 5 6 る水源及びその支流でのみ PCP が検出されている。 ⇒ 洞窟や亀裂に PCP がよどんでおり、大雨や雨の降り続いた後3∼4日後には微量ずつ水脈 7 8 に入り込み、水源に流れ込んでいるものと考えられる。 ⇒ PCP は投棄場所を流れている大きな水脈に通じている湧出場所に流れ込んでいるものと考 9 えられる。 10 降雨の数日後に濃度が高まる 11 100 アメダス那覇 降水量[mm] 80 60 40 20 0 12 13 5/22 5/24 5/26 5/28 5/30 6/1 図 4-37 6/3 6/5 6/7 6/9 6/11 6/13 6/15 6/17 6/19 6/21 6/23 6/25 6/27 6/29 7/1 PCP 含 有 量 の 時 系 列 変 動 ( 単 位 : ppm) 14 資-104 7/3 7/5 7/7 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 降雨の数日後に濃度が高まる 1 100 アメダス那覇 降水量[mm] 80 60 40 20 2 3 4 0 6/15 6/17 6/19 6/21 6/23 6/25 6/27 6/29 7/1 7/3 7/5 7/7 7/9 7/11 7/13 7/15 7/17 7/19 7/21 7/23 7/25 7/27 7/29 7/31 8/2 注 : 凡 例 は 図 4-37 と 同 様 図 4-38 PCP 含 有 量 の 時 系 列 変 動 ( 単 位 : ppb) 5 6 資-105 8/4 8/6 8/8 8/10 8/12 8/14 8/16 8/18 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 (4) 地形・地下水の流れと PCP の実データとの関係 こ こ で は 、PCP 水 道 汚 染 事 例 の 調 査 地 点 の 位 置 的 関 係 を「 地 形 」や「 地 下 水 流 動 場 」 3 と 重 ね 合 わ せ を 行 う こ と で 、 汚 染 物 質 PCP が ど の よ う な 経 路 で ど の 範 囲 に 浸 透 し て 4 いったかを考察することとした。 5 6 た だ し 、文 献 の 地 図 情 報 は 、現 在 の 沖 縄 島 の 地 形 と 若 干 異 な る た め 、図 4-39 の よ うに座標をずらして比較を行った。 7 8 図 4-39 PCP 含 有 量 の 時 系 列 変 動 ( 単 位 : ppb) 9 10 資-106 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 PCP 水 道 汚 染 事 例 の 調 査 地 点 と 地 表 の 地 形 を 重 ね 合 わ せ た 結 果 を 図 4-40 に 、安 元 らによる地下水流動の計算結果 40 と 重 ね 合 わ せ た 結 果 を 図 4-41 に 示 し た 。 3 図 4-41 を 見 る と 、投 棄 場 所 か ら ギ ー ザ 水 源 な ど の PCP が 検 出 さ れ た 場 所 ま で 、流 4 速が相対的に速い地下水流動によって接続されている様子がわかる。地下水流速は 5 最 大 500m/day 程 度 で あ る た め 、 2 km 移 動 す る の に 最 短 で 4 日 程 度 要 す る 概 算 と な 6 る 。 4 日 程 度 遅 れ て 汚 染 が み ら れ る 点 に つ い て も PCP 水 道 汚 染 事 例 の 実 態 と 整 合 が 7 取れている。 8 地下水流動の計算は現場の流動場を完全に再現しているものとは言い切れない 9 が、 「 水 脈 を 通 じ て 汚 染 が 輸 送 さ れ て い る 」と 考 え ら れ た 当 時 の 考 察 と よ く 整 合 し て 10 いる関係がみられている。 11 【地下水流動の計算結果について】 琉球石灰岩帯水層における地下水流 動 を 計 算 す る 場 合 、不 均 質 な 地 質 の 条 件 を設定する必要がある。 安元らの研究では観測された水位の 情報を再現できるように地質条件を推 定 す る こ と で 、不 均 質 な 地 質 の 条 件 を 設 定する手法を採用している。 ここで示した地下水流動の計算結果 は 、少 な く と も 水 位 に つ い て は 再 現 性 が 確保されている流動場である。 ( 図 の 出 典 : 安 元 ら (2015)) 12 13 40 「琉球石灰岩帯水層における広域地下水流動モデルの構築」 (2015、土木学会論文集B1(水工学),Vol. 71, No.4, p.I_217-I_222、安元純・阿部真己・中野拓治) 資-107 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 ※情報を追加すれば、より精度の高い重ね合わせが可能 1 2 3 注:地表の地形の高低を で示した 図 4-40 PCP 含 有 量 の 時 系 列 変 動 4 ※情報を追加すれば、より精度の高い重ね合わせが可能 投棄場所 ヨモチ川 地下水流動の大まかな方向 ギーザ水源 5 6 7 ワタヤ水源 注:図中の―が地下水の流動場(直線が長いほど流速が大きい) 図 4-41 PCP 含 有 量 の 時 系 列 変 動 8 9 (5) 沖縄の特徴に合わせたリスク評価の考え方について 10 過去の PCP 水道汚染事例を参考にすると、琉球石灰岩帯水層における汚染物質の輸送の実 11 態として、地下水の流速の大きい水脈を通じて、汚染物質の濃度減衰がほとんどないまま輸 12 送されているような場合があることが明らかとなってきた。 13 14 15 16 このような物質の輸送(運命と輸送)は、通常の土壌における広がりながら濃度減衰して いくような状況と大きく異なることが考えられる。 リスク評 価 を 行 う 場 合 に は 、沖 縄 特 有 の 汚 染 物 質 の 輸 送( 運 命 と 輸 送 )プ ロ セ ス を 十分に踏まえた評価が必要となる。 資-108 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 4.10 優 先 評 価 化 学 物 質 に 該 当 す る か 否 か を 判 定 す る た め の ス ク リ ー ニ ン グ 評 価 お け る有害性情報の収集及び選定について 3 4.10.1 人 健 康 影 響 4 (1) 有害性情報の収集 5 6 7 8 人 の 健 康 影 響 に つ い て は 、表 4-13 に 示 す 情 報 源 か ら 一 般 毒 性 、生 殖 発 生 毒 性 、変 異原性、発がん性についての有害性情報を収集する。 表 4-13 化審法スクリーニング評価で使用する有害性情報の情報源 機関/情報源名 化審法審査済み等の有害性データ(新規及び既存化学物質) (独)製品評価技術基盤機構:「化学物質の初期リスク評価書」 及び「化学物質有害性評価書」 厚生省試験報告:「化 学 物質毒性試験報告」化 学 物質点検推進 連絡協議会 環境省環境リスク評価室:「化学物質の環境リスク評価」 日本産業衛生学会:許 容 濃度提案理由書及び許 容 濃度等の勧告 (毎年発行) OECD:SIDS レポート(SIDS Initial Assessment Report) WHO/IPCS:「環境保健クライテリア(EHC)」 WHO/IPCS: 「国際簡潔評価文書(CICAD)」 (Concise International Chemical Assessment Documents) FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA): FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives – Monographs ( JECFA Monographs) FAO/WHO 合 同 残 留 農 薬 専 門 家 会 議 ( JMPR ) : FAO/WHO Joint Meeting on Pesticide Residues - Monograps of toxicological evaluations (JMPR Monographs) EU ECB(European Chemicals Bureau):リスク評価書(EU Risk Assessment Report) European Center of Ecotoxicology and Toxicology of Chemicals(ECETOC) : Technical Report シ リ ー ズ 及 び JACC Report シリーズ 米国産業衛生専門家会議(ACGIH):ACGIH Documentation of the threshold limit values for chemical substances (化学物質 許容濃度文書) 及び"TLVs and BEIs" 米国 EPA:Integrated Risk Information System(IRIS) 米国国家毒性プログラム(NTP)NTP Database Search Home Page ATSDR:Toxicological Profile カ ナ ダ 環 境 省 / 保 健 省 : Assessment Report Environment Canada:Priority Substance Assessment Reports Australia NICNAS : Priority Existing Chemical Assessment Reports 資-109 人の健康影響 に関する有害性 優先 生殖 発 順位 一般 変異 がん 発生 毒性 原性 毒性 性 1 ○ ○ ○ 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ - - 1 ○ - - - 1 1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 1 1 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 1 ○ ○ ○ - 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 人の健康影響 に関する有害性 優先 生殖 発 順位 一般 変異 がん 発生 毒性 原性 毒性 性 機関/情報源名 1 2 3 4 5 6 ド イ ツ 学 術 振 興 会 ( DFG ) : MAK Collection for Ocupational Health and Safety, MAK Values Documentations 及び List of 1 ○ ○ ○ MAK and BAT values Patty’s Toxicology (5th edition, 2001) 1 ○ ○ ○ United States Environmental Protection Agency ( EPA ) : 1 ○ ○ ○ Pesticides “Reregistration Eligibility Decision” 内閣府食品安全委員会:食品健康影響評価 1 ○ ○ ○ 厚生労働省:既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究 1 ○ ○ ○ US HPV Challenge Program(HPV-IS)(EPA 評価済みのもの) 1 ○ ○ ○ Japan チャレンジプログラムで収集された有害性情報 1 ○ ○ ○ WHO 飲料水質ガイドライン 1 ○ EPA 水質クライテリア 1 ○ WHO 欧州地域事務局大気質ガイドライン 1 ○ 国による GHS 分類結果(厚生労働省(中災防)及び 1 ○ ○ ○ GHS 関係省庁連絡会議) 国内法令における基準 値 等( 水道水質基準、水 質 汚濁に係る環 境基準値と要監視項目指針値、大気汚染防止に係る環境基準値、 1 ○ 指針値、非食用農薬暫定 ADI 等) EU ECB(European Chemicals Bureau):International Uniform 2 ○ ○ ○ Chemical Information Database (IUCLID) 米国 国 立医 学 図 書館 (NLM) :Hazardous Substance Data Bank 2 ○ ○ ○ (HSDB) German Chemical Society-Advisory Committee on Existing 2 ○ ○ ○ Chemicals of Environmental Relevance: “BUA Report” Dreisbach’s Handbook of Poisoning ( 13th edition, 2002) 2 ○ 農林水産省消費技術安全センター:農薬抄録 2 ○ ○ ○ 農薬工業会:農薬安全性情報(公開情報一覧) 2 ○ ○ ○ US HPV Challenge Program( HPV-IS) (EPA 評 価 済み で ない も 2 ○ ○ ○ の) EU ECHA ( European Chemicals Agency ) : Information on 2 ○ ○ ○ Registered Substances WHO : International Agency for Research on Cancer ○ (IARC:国際がん研究機関)による発がん性カテゴリー 米国 EPA(米国環境保護庁)による発がん性カテゴリー ○ National Toxicological Program ○ (NTP:米国国家毒性プログラム)による発がん性カテゴリー American Conference of Governmental Industrial Hygienists ○ (ACGIH:米国産業衛生専門家会議)による発がん性カテゴリー 日本産業衛生学会による発がん性カテゴリー ○ EU における発がんクラス ○ 注:沖縄の米軍基地における土壌汚染のリスク評価を行なうに当たっては、国内外の機関(IARC、US EPA、 US NTP、EU、ACGIH 及び日本産業衛生学会)のいずれかにおいて、人に対して発がん性を示すと分類さ れた化学物質については、別途、IRIS 及び ATSDR 等の情報源から ADI、TDI 及び RfD 等の有害性情報を 収集する。また、ADI、TDI 及び RfD が定められていないものについて、閾値がない場合は、ユニットリ スクまたはスロープファクターを、閾値がある場合は、無毒性量(NOAEL)、最小毒性量(LOAEL)、無 影響量(NOEL)、最小影響量(LOEL)及びベンチマークドーズ(BMD)の情報を収集するものとする。 資-110 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 1) 閾 値 が 有 る 場 合 の 人 の 健 康 影 響 に 関 す る 許 容 量 の 設 定 2 有害性情報は、化審 法 における信頼性評価 の 考え方に基づいて選 定 する。 3 人の健康影響に関す る 有害性情報は、優先 順 位の高い情報源から 順 次収集し、評価に 4 採用し得るデータの 候 補が得られた時点で 、仮選定及び信頼性評 価 を行う。優先順位1 5 の情報源からデータ の 候補が得られない場 合 は、優先順位2の 情報 源に対し情報収集を 6 行う。この収集過程 に おいて、有害性デー タ が複数得られた場合 は 、表 4-14 に示す仮 7 選定順位で順位付け を 行い、さらに複数 デー タがある場合には 、最 小の有害性評価値を 8 与える有害性データ が 上位になるよう順位 付 けを行い、上位の 有害 性データから仮選定 9 を行う。 10 また、有害性評価値導出 に際し、収集した有害性 データが NOAEL(No Observed Adverse 11 Effect Level:無毒 性 量)や LOAEL(Lowest Observed Adverse Effect Level:最小毒 12 性量)ではない 場合に おいては、表 4-15 に示 す区分に従い、それぞ れ NOAEL 相当、LOAEL 13 相当とする。不確 実係 数の設定等、有害 性評 価値の導出方法につ い てはスクリーニング 14 評価手法(「スクリー ニ ング評価手法の詳細( 案)」等で規定された 方 法に従い算定する。 15 16 表 4-14 有害性データが複数得られる場合の順位 順位 調査対象情報源において有害性項目 ごとのキースタディ 41 に合致するか 無毒性量等 1 − TDI(又は ADI) 2 3 4 5 合致する 合致しない NOAEL LOAEL NOAEL LOAEL 17 18 表 4-15 収 集 し た 有 害 性 デ ー タ が NOAEL や LOAEL で は な い 場 合 の 区 分 NOEL(No Observed Effect Level 無影響量) NOEC(No Observed Effect Concentration 無影響濃度) NOAEL 相当 とするもの NOAEC(No Observed Adverse Effect Concentration 無毒性濃度) BMDL 10 (Benchmark Dose Lower Confidence Limit 10:10%信頼限界値) 最大投与量 LOEL(Lowest Observed Effect Level:最小影響量) LOEC(Lowest Observed Effect Concentration:最小影響濃度) LOAEL 相当 とするもの LOAEC(Lowest Observed Adverse Effect Concentration: 最小毒性濃度) TD Lo (Toxic Dose Lowest:最小中毒量) TC Lo (Toxic Concentration Lowest:最小中毒濃度) 最小投与量 19 41 有害性情報の使用可否の判断において、使用可に該当するデータが複数得られた場合、原則、その中の 最も厳しいデータをキースタディとする。ただし、必要に応じ専門家の判断によりキースタディを選定 するものとする。 資-111 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 選 定 し た NOAEL、LOAEL は 、 下 式 に 示 す よ う に 不 確 実 係 数( Uncertainty Factor: 2 UF) 及 び 修 正 係 数 ( Modyfing Factor: MF) で 除 し て 、 参 照 容 量 ( Reference Dose: 3 RfD) と し て 許 容 量 を 算 出 す る 。 米 国 環 境 保 護 庁 の UF 及 び MF の 考 え 方 を 表 4-16 4 5 6 に示す 42 。国 内 で は 初 期 リス ク 評 価 書 にお い て、同 様 の 考え 方 を 採用 し て い る 43 。 RfD = NOAEL / (UF × MF) 7 8 表 4-16 米 国 環 境 保 護 庁 の 不 確 実 係 数 ( UF) 及 び 修 正 係 数 ( MF) の 考 え 方 標準的な不確実係数(UF) 10H 平均的な人の健康影響を調べた有効な試験結果から人の個体差を外挿して評価する際に 10 倍 する。人集団における個体間の感受性の変動を表す係数で「10H」と表記する。 10A 人のばく露データが適用できない又は不十分である場合で、実験動物の有効な長期毒性試験 結果から人の健康影響を外挿して評価する際に、追加で 10 倍する。実験動物データを人の健 康影響に外挿する際の不確実性を表す係数で「10A」と表記する。 10S 人の長期毒性データがない場合で、十分な実験動物の慢性毒性試験結果がない際に、追加で 10 倍する。慢性毒性の NOAEL ではないデータから慢性毒性の NOAEL を外挿する際の不確実性 を表す係数で「10S」と表記する。 10L NOAEL の代わりに LOAEL から RfD を算出する際に追加で 10 倍する。LOAEL から NOAEL を外挿 する際の不確実性を表す係数で「10L」と表記する。 修正係数(MF) MF は専門家判断により、0より大きく 10 以下の不確実係数が決定される。MF の大きさは、科学的 な不確実性の評価及び明確に専門家判断がされていないデータベース(データベース全体の完全性、 試験された生物種数など)に基づいて決定される。デフォルト値は1である。 9 10 2) 閾 値 が な い 場 合 の 有 害 性 の 許 容 量 ( 発 が ん リ ス ク ) 設 定 11 発 が ん 性 物 質 の 有 害 性 に は 閾 値 が な い と さ れ 、リ ス ク レ ベ ル は 発 が ん リ ス ク で 表 12 される。国内のこれまでに実施されたリスク評価や、基準値の設定において採用 13 さ れ た リ ス ク レ ベ ル を 参 考 に 、対 策 目 標 レ ベ ル の 発 が ん リ ス ク は 10 - 5 ∼ 10 - 4 と す る 14 ことが適当であると考えられる。 15 16 42 U.S.EPA,Reference Dose (RfD): Description and Use in Health Risk Assessments Background Document 1A. https://www.epa.gov/iris/reference-dose-rfd-description-and-use-health-riskassessments(1993) 43 「化学物質のリスク評価について−よりよく理解するために−、pp 12-13」 (2016、(独)製品評価技術 基盤機構) 資-112 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.10.2 生 態 系 2 水生生物の有害性情報は以下により収集する。 3 なお、底生生物の有害性については、底質に蓄積されやすい有害物質による汚染 4 が確認され、汚染土壌が周辺の流域に流出していることが確認された場合に対象と 5 することとし、有害性情報は、水生生物と同様に化審法の優先評価化学物質のリス 6 ク評価で実施している方法を参考に収集するものとする。 7 (1) 有害性情報の収集 8 9 生 態 影 響 に つ い て は 、表 4-17 の 情 報 源 か ら 水 生 生 物( 魚 類 、甲 殻 類 、藻 類 )等 の 長期毒性に関する有害性情報を収集する。 10 11 表 4-17 化審法スクリーニング評価で使用する生態影響情報の情報源 機関/情報源名 化審法審査済み等の有害性データ(新 規及び既存化学物質) (独)製品評価技術基盤機構:「化学 物質の初期リスク評価書」及び「化学 物質有害性評価書」 環境省 化学物質の環境リスク評価 (生態リスク初期評価)で信頼性が評 価された毒性値 環境省(庁)等、国が実施した生態影 響試験結果のうち、既に毒性値の信頼 性評価がされているもの(生態リスク 初期評価での信頼性が評価済みの有害 性データ等) 農薬取締法及び水産動植物登録保留基 準の設定に用いられた有害性データ で、指定試験法の条件を満足するもの 米 国 環 境 保 護 庁 ( US EPA ) Pesticide Ecotoxicity Database に登録された有 害性データ OECD: SIDS Assessment レ ポ ー ト ( SIDS Initial Report) WHO/IPCS : 「 環 境 保 健 ク ラ イ テ リ ア (EHC)」 優先 順位 備考 1 - 2 - 2、 優先順位2:有害性データの信頼性が「A」または「B」 3、 優先順位3:有害性データの信頼性が「C」 4 優先順位4:有害性データの信頼性が「D」 1、 優先順位1:信頼性Aランク 2、 優先順位2:信頼性Bランク 3 優先順位3:信頼性Cランク 界面活性作用のある分散剤を化審法試験法に規定する濃 度以上に用いておらず、かつ、水溶解限度以下の有害性デ ータ 優 先 順 位 1 : カ テ ゴ リ ー が 「 C( Core) 」 に 該 当 す る 有 害 性データのうち、化審法試験法と同等の試験 1、 により得られた有害性データ 2、 3 優先順位2:カテゴリー「S(Supplemental)」 優先順位3:カテゴリー「IN(invalid)」 優 先 順 位 1 : 「 reliability」 が 「 1 」 と さ れ 、 か つ 試 験 が GLP に 従 っ て 実 施 さ れ た 有 害 性 デ ー タ の 1、 うち、化審法試験法と同等の試験により得ら れた有害性データ 2、 3、 優 先 順 位 2 : 「 reliability」 が 「 1 」 ( 優 先 順 位 1 の も のを除く。)又は「2」 4 優先順位3:「reliability」が「3」 優先順位4:「reliability」が「4」 1 2 - WHO/IPCS: 「国際簡潔評価文書(CICAD)」 ( Concise International Chemical 2 Assessment Documents) - EU ECB(European Chemicals Bureau): 2、 優先順位2:「Valid」とされた有害性データ リ ス ク 評 価 書 ( EU Risk Assessment 3 優先順位3:「Invalid」とされた有害性データ Report) 資-113 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 優先 順位 機関/情報源名 European Center of Ecotoxicology and Toxicology of Chemicals(ECETOC): 水 生 生 物 毒 性 デ ー タ ベ ー ス ( ECETOC 2 Aquatic Toxicity:EAT)に登録された 有害性データ 備考 - 優先順位1:試験が GLP に 従って実施された有害性データ 1、 優先順位2:試験が GLP に 従って実施されなかった有害性 2 データ EU ECB(European Chemicals Bureau): 2、 優先順位2:「reliability」が「1」又は「2」 International Uniform Chemical 3、 優先順位3:「reliability」が「3」 Information Database (IUCLID) 4 優先順位4:「reliability」が「4」 Japan チ ャ レ ン ジ プ ロ グ ラ ム で 収 集 さ れた有害性情報 EU ECHA( European Chemicals Agency) : Information on Registered Substances 2 「reliability」が「1」又は「2」 1 2 (2) 生態影響に関する有害性情報の選定について 3 化審法の新規化学物質の審査における有害性データの信頼性と大きく異ならない 4 も の と す る 。 試 験 法 は 化 審 法 試 験 法 ・ OECD 試 験 法 等 に 準 拠 し て お り 、 生 物 種 は こ れ 5 ら 試 験 法 で の 推 奨 種 と し 、 エ ン ド ポ イ ン ト は 慢 性 毒 性 で は 無 影 響 濃 度 ( No Observe d 6 Effect Concentration 7 影 響 濃 度 ( EC 5 0 ) と す る 。 : NOEC)、 急 性 毒 性 に つ い て は 半 数 致 死 濃 度 ( LC 5 0 ) と 半 数 8 な お 、 慢 性 毒 性 で の 無 影 響 濃 度 が 得 ら れ な い 場 合 は 、 10%影 響 濃 度 ( EC 1 0 ) ま た は 9 最 大 許 容 濃 度 ( Maximum Acceptable Toxicant Concentration : MATC ) 等 を 活 用 す 10 ることができる。 11 有 害 性 デ ー タ は 、以 上 の 前 提 を 踏 ま え て 信 頼 性 を 評 価 し 、 「 信 頼 性 あ り( 制 限 な し ) 12 ( ラ ン ク 1 )」、「 信 頼 性 あ り ( 制 限 付 き )( ラ ン ク 2 )」、「 信 頼 性 な し ( ラ ン ク 3 )」、 13 「 評 価 不 能 ( ラ ン ク 4 )」の 4 つ の 信 頼 性 ラ ン ク に 区 分 す る 。 リ ス ク 評 価 に 用 い る 有 14 害性データは、信頼性ランク「1」又は「2」に該当するものとする。栄養段階ご 15 とに、基本的には、まず、慢性毒性試験による毒性値を優先して用い、次に毒性分 16 類(急性毒性・慢性毒性)が同じ場合は信頼性ランクの高い毒性値を、信頼性ラン 17 ク が 同 じ 場 合 は 、よ り 小 さ な 毒 性 値 を 採 用 す る 。栄 養 段 階 に よ り 毒 性 値 の 信 頼 性 ラ 18 ンクが異なる場合においても、同等に扱うものとする。 19 以上の原則により難い場合には、専門家により、その妥当性を判断する。 20 資-114 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.11 米 国 ス ー パ ー フ ァ ン ド 法 で の ば く 露 別 の ば く 露 の 算 出 方 法 2 米 国 ス ー パ ー フ ァ ン ド 法 の Regional Screening Level で は 、 環 境 媒 体 、 受 容 体 、 3 汚染物質、ばく露経路ごとに算出式が公表されている。公表されている算出式のリ 4 ストをに示す。 5 6 表 4-18 環境媒体 土壌 土壌濃度とばく露量との関係式が公表されている項目 受容体 居住者 変異原性物質 経口、経皮、吸入 塩化ビニル 経口、経皮、吸入 トリクロロエチレン 経口、経皮、吸入 非発がん性物質 経口、経皮、吸入 発がん性物質 経口、経皮、吸入 非発がん性物質 経口、経皮、吸入 発がん性物質 経口、経皮、吸入 非発がん性物質 経口、経皮、吸入 発がん性物質 経口、経皮、吸入 建設労働者 非発がん性物質 経口、経皮、吸入 (標準交通車両) 発がん性物質 経口、経皮、吸入 建設労働者 非発がん性物質 経口、経皮、吸入 (標準交通車両以外) 発がん性物質 経口、経皮、吸入 レクリエーション 非発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮、吸入 対象者 発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮、吸入 変異原性物質 経口、経皮、吸入 塩化ビニル 経口、経皮、吸入 トリクロロエチレン 経口、経皮、吸入 屋内労働者 大気 魚類摂取 非発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮、吸入 経口、経皮、吸入 屋外労働者 水道水 ばく露経路 発がん性物質(子供、大人) 複合労働者 表流水 物質種類 レクリエーション 非発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮 対象者 発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮 変異原性物質 経口、経皮 塩化ビニル 経口、経皮 トリクロロエチレン 経口、経皮 居住者 居住者 居住者 非発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮、吸入 発がん性物質(子供、大人) 経口、経皮、吸入 変異原性物質 経口、経皮、吸入 塩化ビニル 経口、経皮、吸入 トリクロロエチレン 経口、経皮、吸入 非発がん性物質 吸入 発がん性物質 吸入 非発がん性物質 経口 発がん性物質 経口 土壌から地下水への移動 資-115 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4.12 PBESL2012 で 取 り ま と め ら れ た 汚 染 物 質 の 地 下 水 の 最 高 濃 度 の 算 定 方 法 2 土 壌 の 濃 度 か ら 地 下 水 の 濃 度 を 算 定 す る 方 法 を 表 4-19 に 示 し た 。こ こ で 整 理 し た 3 算 定 方 法 は 、 石 灰 岩 地 盤 を 有 す る 地 域 の 特 性 に 合 わ せ た 手 法 と し て 「 PBESL2012 44 」 4 という報告書に掲載されている内容を参考に整理している(グアム島で適用されて 5 い る )。 た だ し 、 PBESL2012 の 算 定 式 は 、 RBCA toolkit 45 等 と よ く 整 合 し て お り 、 部 6 分的に改良されているものである。 7 8 表 4-19 ばく露経路のプロセスごとの濃度の算定式 プロセス 算定式 ここでは、土壌の濃度から浸出液の濃度を算定する。 平衡状態を仮定すると、以下の式から算定できる。 浸出液の濃度 (μg/L ) = 汚染物質が土壌から浸出して浸出 液となる 土壌の濃度 (mg/kg ) æ æ öö æ ö ç Kd + ç q w + (q a ´ H ') ÷ ÷ ´ ç 1mg ÷ ç ÷ ç ÷ ç ÷ ρb è ø ø è 1,000 μg ø è ただし、 r b は、乾燥した土壌のバル ク密度 q w は、水で満たされた間隙 率 q a は、空気で満たされた空 隙率 K d は、土壌と水の分配係数 H’ は、ヘンリー定数 浸出液が地下水面に達するまで移 (安全側の取扱いとして、濃度は減衰しないものとする) 動する ここでは、先ほどまで計算されてきた浸出液の濃度から地下水 の濃度を算定する。浸出液と地下水の混合により、浸出液の汚 染物質濃度は希釈されることになるため、希釈の度合い(希釈 地下水面に達した浸出液が地下水 係数:DF)で除して以下の式から算定できる。 に溶出する 地下水の濃度 (μg/L ) = 浸出液の濃度 ( μg/L ) 3 3 DF m /m ( ) 9 44 45 CNMI DEQ and Guam EPA,Evaluation of Environmental Hazards at Sites with Contaminated Soil and Groundwater Pacific Basin Edition, CNMI DEQ and Guam EPA. (2012) GSI ENVIRONMENTAL Inc.,Software Guidance Manual RBCA Tool Kit for Chemical Releases, Risk-Based Corrective Action Tool Kit Version 2, GSI ENVIRONMENTAL Inc., p.B-5(2007) 資-116 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 4-19 の 算 定 に 必 要 と な る パ ラ メ ー タ ー を 表 4-20 に 示 す 。 表 4-20 に つ い て も 2 PBESL2012 を 参 考 に 整 理 し て い る が 、 こ れ は グ ア ム 島 に 適 用 さ れ た も の で あ る た め 、 3 そのまま沖縄で利用してよいかどうか(適用性)についても併せて整理している。 4 5 表 4-20 算定に必要なパラメーターと適用性 パラメーター デフォルト値または関連する算定式 rb 乾燥した土壌のバルク密 度 1.5 適用性 土壌の基本的な性質であり、 情報があれば更新できる。 qw 水で満たされた間隙率 0.3 土壌の基本的な性質であり、 情報があれば更新できる。 æ L ö æL ö æL q a çç air ÷÷ = nçç water ÷÷ - q w çç water è L soil ø è L soil ø è L soil n:土壌の間隙率 qa 空気で満たされた空隙率 ö ÷÷ ø æ æ kg ö ö ç rb ç ÷ ÷ æ L pore ö L ç ÷ nç = 1- ç è ø ÷ ÷ ç æ kg ö ÷ è L soil ø ç rs ç ÷ ÷ è è L øø 土粒子密度(rs)自体は大き く変化しないパラメーター と考えられる。 土壌のバルク密度(rb)と間 隙率( q)が決まれば一意的 に決まると考えられる。 rs :土粒子密度(2.65) Lair :空隙の容積 Lwater:間隙水の容積 Lpore :土粒子の容積 Lsoil :土壌の容積(空隙、間隙水及び土 粒子の和) æLö æLö K d çç ÷÷ = K oc çç ÷÷ ´ f oc ( unitless) è kg ø è kg ø Kd 土壌と水の分配係数 foc:土壌の有機炭素含有割合(0.002) Koc:有機炭素と水の分配係数 ただし、石灰岩帯水層の上に薄い土壌(厚 さ 1m)が覆っている状況の場合には、脆弱 性を勘案して、Kd 値を 1/20 倍する注 1。 20.0(デフォルト値注 2) ただし、サイトの情報が十分に得られる場 合は、物質収支から DF を以下の式で計算 することも可能である。 DF 希釈係数 (または希釈減衰係数) 物質や土壌の状況に応じて 変化する。 Kd値について、石灰岩での値 は不明なので実際に分析し た方が良い。沖縄はpH が高 いため本州と値が異なる。 石灰岩帯水層を対象として いる ESL surfer でもデフォ ルト値として 20 が採用され ており、沖縄でも適用可能と 考えられる。 æ K ´i´d ö DF = 1 + ç ÷ è I´L ø K:透水係数 i:動水勾配 d:混合層の厚さ I:浸透速度 L:地下水面に平行な汚染源の長さ 注 1:Kd 値を直接取得する場合は、foc や Koc は不要である。また、PBESL にて取得されたパラメーターは後述す る。 2:PBESL 2012 を参考にしている。土壌が浅い場合、有機塩素系農薬のような通常移動性を考慮しなくてよ い化学物質が地下水へ移行するリスクを評価する必要が出てくる。このような懸念を評価するため、移動 性の低い化学物質の吸着係数を 1/20 倍することとしている。ただし、吸着係数が大きいと判定する閾値 は 30,000cm3/g としている。 資-117 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 PBESL 2012 で は 、 土 壌 と 水 の 分 配 係 数 ( K d 値 ) を 室 内 バ ッ チ 試 験 に よ り 取 得 し て 2 い る 。バ ッ チ 試 験 に よ り 取 得 さ れ る 前 の デ フ ォ ル ト の K d 値 と 試 験 結 果 の 比 較 は 、表 3 4-21 に 示 す と お り で あ る 。 4 5 表 4-21 Kd 値 の 比 較 出典:PBESL2012 Appendix 8 6 7 8 地 下 水 の 濃 度 か ら 、土 壌 の 濃 度 と し て の ス ク リ ー ニ ン グ レ ベ ル を 算 定 す る 場 合 は 、 表 4-19 に 示 し た 算 定 式 を 逆 算 し て 、 以 下 の よ う な 算 定 式 で 求 め る こ と が で き る 。 9 土壌のスクリーニング・レベル(mg / kg ) 10 é æ æ æ L water ö æL ç çq w ç ÷÷ + q a çç air ê ç ç è L soil æ mg ö ê æ L ö ç è è L soil ø = 地下水の汚染物質の濃度ç ÷ ´ ê K d çç ÷÷ + ç æ kg ö è L ø ê è kg ø ç rb ç ÷ ç ê èLø è ë 11 12 資-118 ö öù ö ÷÷ ´ H ' ÷ ÷ú ÷ ÷ú ø ø ÷ú ÷ú ÷ú øû 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4.13 RBCA Tool kit で の 汚 染 物 質 の 大 気 の 最 高 濃 度 の 算 定 方 法 土 壌 ま た は 地 下 水 の 濃 度 か ら 大 気 の 濃 度 を 算 定 す る 方 法 を 表 4-22 に 示 し 、算 定 に 必 要 と な る パ ラ メ ー タ ー を 表 4-23 に 示 す 。 4 5 表 4-22(1) ばく露経路のプロセスごとの濃度の算定式(大気) 変数の定義 表層土壌から大気へ(蒸気) 大気の濃度の算定式 [ ] 大気の濃度 mg/m3air = 土壌の濃度[mg/kg soil ] VFss ただし,VFSS には以下の式から小さい方を採用する. ( ) ( ) é mg/m3 air ù 2Wr s Dseff H ´ 103 VFss ê ú= ë (mg/kg soil ) û U aird air pt (q ws + k S r S + Hq as ) é mg/m3 aiρ ù Wρ s δ s VFss ê ´ 103 ú= ( ) U mg/kg soil û aiρd aiρt ë 表層土壌から大気へ(微粒子) [ ] 大気の濃度 mg / m 3 - air = ただし, ( 土壌の濃度[mg / kg - soil ] PEF ) é mg/m3air ù PeW PEF ê ´ 103 ú= ( ) d U mg/kg soil air air ë û 土壌から大気へ(屋外) [ ] 大気の濃度 mg / m 3 - air = 土壌の濃度[mg / kg - soil ] VFsamb ただし,VFsamb には以下の式から小さい方を採用する. é (mg/m3 air ) ù Hr s ´ 103 VFsamb ê ú= ( ) mg/kg é U aird air Ls ù soil û ë [q ws + k s r s + Hq as ]ê1 + eff ú ( ) ë Ds W û é mg/m aiρ ù Wρ s δ s VFsamb ê ´ 103 ú= ( ) U d t mg/kg soil û aiρ aiρ ë 3 出典:GSI ENVIRONMENTAL Inc.,Software Guidance Manual RBCA Tool Kit for Chemical Releases, Risk-Based Corrective Action Tool Kit Version 2, GSI ENVIRONMENTAL Inc., p.B-5(2007) 6 7 資-119 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 4-22(2) ばく露経路のプロセスごとの濃度の算定式(大気) 変数の定義 土壌から大気へ(室内) 大気の濃度の算定式 [ ] 大気の濃度 mg/m3air = 土壌の濃度[mg/kg soil ] VFsamb ただし,VFsesp には以下の式から小さい方を採用する. é Dseff / Ls ù Hρ s [q ws + k s ρ s + Hq as ] êë ER LB úû é mg/m aiρ ù ´ 103 VFsesp ê ú= eff ù Dseff / Ls ë (mg/kg soil ) û 1 + é Ds / Ls ù + é ú ê ú ê eff ë ER LB û ë Dcρack / Lcρack ×h û ( 3 ) ( ) é mg/m3 air ù Ps d s VFsesp ê ´ 103 ú= ë (mg/kg soil ) û LB ERt 地下水から大気へ(屋外) [ ] 大気の濃度 mg/m3air = ただし, ( 土壌の濃度[mg/kg soil ] VFwamb ) é mg/m3 air ù H VFwamb ê ú= ( ) mg/L é U d L water û ë 1 + ê air effair GW D ws W ë 地下水から大気へ(室内) [ ] 大気の濃度 mg/m3air = ù ú û ´ 103 土壌の濃度[mg/kg soil ] VFwesp ただし, é D eff / L ù H ê ws GW ú é mg/m air ù ë ER LB û ´ 103 VFwesp ê ú= eff eff ( ) mg/L é ù é Dws / / LGW ù D L water û ë ws GW 1+ ê ú ú + ê eff ë ER LB û ë Dcrack / Lcrack ×h û ( 3 ) 出典:GSI ENVIRONMENTAL Inc.,Software Guidance Manual RBCA Tool Kit for Chemical Releases, Risk-Based Corrective Action Tool Kit Version 2, GSI ENVIRONMENTAL Inc., p.B-5(2007) 3 4 5 資-120 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 表 4-23 算定に必要なパラメーターと適用性(大気) パラメーター デフォルト値または関連する算定式 適用性 rs 乾燥した土壌のバルク密度 1.5 (表 4-20 のrb と同様) - ks 土壌と水の分配係数 水で満たされた間隙率 (表 4-20 のKd と同様) 0.3 (表 4-20 のqw と同様) - 空気で満たされた空隙率 混合層における屋外大気速 度(m/s) (表 4-20 のqa と同様) 国内の気象記録等から設定 可能と考えられる。 qws qas Uair δair τ 2.25 混合層厚さ(大気)(m) 2.00 蒸気フラックスの平均時間 (年) 30 25 基本的なサイト情報であり、 情報があれば更新できると 考えられる。 (住宅地) (工業地) - ds 汚染土壌の厚さ(m) - 基本的なサイト情報であり、 情報があれば更新できると 考えられる。 Pe 単位面積あたりの汚染源か らの吸引全粒子放出フラッ クス(g/cm2-s) 6.9e-14 - Ls 表層土壌の厚さ(m) 1.00 基本的なサイト情報であり、 情報があれば更新できると 考えられる。 LB 室内の容積/浸透面積比(m) 2.00 3.00 Lcrack 室内の基礎または壁の厚さ (m) 0.15 注 LGW 地下水面までの深さ(m) 3.00 基本的なサイト情報であり、 情報があれば更新できると 考えられる。 ER 室内の空気交換率(1/day) 12 20 η 基礎のクラック分率 (cm2-クラック/cm2-全面積) 0.01 Dseff Dwseff 土壌中の通気帯の 有効拡散係数 地下水面上の 有効拡散係数 (住宅地) (工業地) (住宅地) (工業地) 注 注 注 3.33 é D wat ù éq ws3.33 ù é cm2 ù air q as = + Dseff ê D ú ê úê ú qT2 ë H û ë qT2 û ë s û Dair:空気中の分子拡散係数(物質別) Dwat:水中の分子拡散係数(物質別) qT:土壌間隙率(0.38) 2 é hc ù é hv ù eff é cm ù Dws ê ú = (hc + hv )ê eff ú ê eff ú êë Dcap úû ë Ds û ë s û hc:毛管帯の厚さ(cm) hv:通気帯の厚さ(cm) 2 eff :毛管水縁帯の有効拡散率(cm /s) Dcap 土壌間隙率は土壌の基本的 な性質であり、情報があれば 更新できる。 分子拡散係数は基本的な物 理パラメーターであり汎用 性がある。 通気帯・毛管帯の厚さは土壌 の基本的な性質であり、情報 があれば更新できる。 毛管水縁帯の有効拡散率は、 化学的特質と土壌特質に依 存するパラメーターである。 注:建物に関するパラメーターは ASTM 規格では米国の建物をベースに検討された Johnson and Ettinger モデルを用いている.一方で,ESL surfer では熱帯・亜熱帯地域の気候に対応した評価を行うための検 討が行われており,参考にできる部分があると考えられる.室内の基礎または壁の厚さなどは,建築基 本法を基に設定値を検討することができると考えられる. 資-121 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 5章 国 内 使 用 禁 止 等 物 質 及 び 基 地 内 相 当 量 使 用 物 質 の 分 析 法 2 5.1 分 析 方 法 に 関 す る 指 針 3 (1) 金属及び無機化合物 4 金 属 及 び 無 機 化 合 物 の 分 析 方 法 に つ い て は JIS K0102:2016:工 場 排 水 試 験 方 法 (日 5 本 規 格 協 会 )、 底 質 調 査 方 法 (平 成 24 年 8 月 環 境 省 水 ・ 大 気 環 境 局 )な ど が 容 易 に 6 参 照 で き る 。 JIS K0102 に つ い て は 水 質 の 試 験 法 で あ る が 、 酸 に よ る 分 解 ・ 抽 出 の 手 7 法によって土壌試料についても適用できる物質が多い。上記に記載がない物質につ 8 い て は 類 似 の 物 性 を 持 つ ( 同 族 )物 質 の 分 析 方 法 を 参 考 に 分 析 方 法 を 検 討 す る 項 が 有 9 効であることが多いが、物質独自の反応や妨害を示すものも多いので注意が必要で 10 あ る 。ま た 、要 調 査 項 目 等 調 査 マ ニ ュ ア ル (現 在 は 環 境 省 水・大 気 環 境 局 水 環 境 課 。 11 調 査 年 度 毎 に 作 成 、 発 行 さ れ て い る 。 )で 分 析 法 が 記 載 さ れ て い る 物 質 も あ る た め 、 12 こちらも参照されたい。 13 金属及び無機化合物において多く用いられる測定装置には以下の様なものがあ 14 る。これらの装置については長所、短所及び測定妨害を引き起こす要因などにそれ 15 ぞ れ 異 な っ て い る た め 、 調 査 対 象 、 必 要 と さ れ る 感 度 (検 出 下 限 )な ど を 考 慮 し て 装 16 置の選定を行うべきである。 17 18 1) フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 (AAS) 19 古 く か ら 金 属 類 の 分 析 に 用 い ら れ て い る 装 置 で あ り 、以 下 の 装 置 と 比 較 す る と 安 20 価である。多元素同時測定は基本的に行えず、また測定対象物質(元素)に応じ 21 たランプが必要となるため、調査対象物質が多くなる場合には不向きである。 22 23 2) 電 気 加 熱 式 原 子 吸 光 分 析 装 置 ( GFAAS) 24 原 理 は フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 に 近 い が 、よ り 比 較 的 1 回 の 測 定 に 用 い る 試 料 25 量 が 少 な く 、ま た 測 定 感 度 は フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 よ り 高 い (測 定 で き る 限 界 26 濃 度 が 低 い 。 た だ し 対 象 元 素 に よ っ て 差 が あ る )。 フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 と 同 27 じく多元素同時測定は基本的に行えず、また測定対象元素に応じたランプが必要 28 となるため調査対象物質が多くなる場合には不向きである。 29 30 3) 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 析 装 置 ( ICP-AES 又 は OES) 31 上 記 の フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 (AAS) 及 び 電 気 加 熱 式 原 子 吸 光 分 析 装 置 32 ( GFAAS) と 比 較 し て 測 定 感 度 の 高 い 元 素 が 多 く 、 ま た 多 元 素 同 時 測 定 が 可 能 で あ 33 る。また測定元素毎にランプを準備する必要がないため調査対象物質が多くなる 34 場 合 に は 特 に 有 用 で あ る 。 下 記 の 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 計 ( ICP-MS ) と 比 較 35 して安価であるが、測定感度では劣る。 資-122 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4) 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 質 量 分 析 計 ( ICP-MS) 2 上 記 の フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 (AAS)、 電 気 加 熱 式 原 子 吸 光 分 析 装 置 ( GFAAS) 3 及 び 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 析 装 置( ICP-AES 又 は OES)に 比 べ て 測 定 感 度 が 高 く 、 4 ま た 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 析 装 置 ( ICP-AES 又 は OES) と 同 様 、 多 元 素 同 時 測 定 5 が 可 能 で あ る 。 価 格 は 上 記 の フ レ ー ム 原 子 吸 光 分 析 装 置 (AAS)、 電 気 加 熱 式 原 子 吸 6 光 分 析 装 置 ( GFAAS) 及 び 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ 発 光 分 析 装 置 ( ICP-AES 又 は OES) と 7 比較して高価である。 8 9 (2) 揮発性有機化合物(VOC) 10 揮 発 性 有 機 化 合 物 ( VOC) に つ い て は JIS K0125: 2016: 用 水 ・ 排 水 中 の 揮 発 性 有 11 機 化 合 物 試 験 方 法 、 底 質 調 査 方 法 (平 成 24 年 8 月 、 環 境 省 水 ・ 大 気 環 境 局 )な ど が 容 12 易に参照できる。分析方法はパージ・トラップ型あるいはヘッドスペース型のガス 13 クロマトグラフ装置による分離測定が一般的であり、多物質の同時測定が可能であ 14 る。 15 16 VOC の 測 定 に お い て 多 く 用 い ら れ る ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 装 置 に つ い て 以 下 の 検 出 装置が異なるものがある。 17 18 1) ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /水 素 炎 イ オ ン 検 出 器 ( GC/FID) 19 以 下 の ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 計 ( GC/MS) 等 の 装 置 と 比 較 す る と 小 型 ・ 安 20 価であるが測定感度は劣る。別途燃料として水素を準備する必要がある(直接水 21 か ら 水 素 を 発 生 す る 装 置 も 市 販 さ れ て い る )。 22 23 2) ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /電 子 捕 獲 検 出 器 (GC/ECD) 24 比 較 的 小 型・安 価 で 測 定 感 度 も 高 い 装 置 で あ る が 構 造 に ハ ロ ゲ ン( 塩 素 等 )を も 25 た な い 物 質 の 測 定 は 難 し い 。 検 出 計 に 放 射 性 同 位 元 素 ( ニ ッ ケ ル 63) を 用 い る 装 26 置が多い(密閉型で危険はほとんどない)ので厳正な管理を必要とする。 27 28 3) ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 計 ( GC/MS) 29 上 記 の ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /水 素 炎 イ オ ン 検 出 器 ( GC/FID) 及 び ガ ス ク ロ マ ト グ 30 ラ フ / 電 子 捕 獲 検 出 器 (GC/ECD ) と 比 較 す る と 高 価 で あ る が 、 測 定 感 度 が 高 く 、 ま 31 た 多 く の 化 学 物 質 に 対 応 で き る 。 VOC 測 定 で 用 い ら れ る 質 量 分 析 計 は 四 重 極 型 32 ( QMS) が 主 で あ る が 、 下 記 の 化 学 物 質 で は さ ら に 高 感 度 、 高 選 択 性 を も つ 質 量 分 33 析計が必要に応じて用いられる。 34 資-123 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 (3) 多環芳香族炭化水素(PAHs) 2 PAHs に つ い て は 底 質 調 査 方 法 が 容 易 に 参 照 で き る 。 水 質 に つ い て JIS K0102 等 に 3 は現在記載がないが、要調査項目等調査マニュアルに記載があるため必要に応じて 4 参照されたい。 5 測 定 に つ い て は ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ 質 量 分 析 計( GC/MS)を 用 い る も の が 一 般 的 で 6 あ る 。 メ ー カ ー に よ っ て PAH 測 定 用 に 作 成 さ れ た 分 離 カ ラ ム が 市 販 さ れ て お り 、 多 7 く の PAH 物 質 を 同 時 に 測 定 す る こ と が 可 能 で あ る 。 8 底 質 調 査 方 法 で は ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /四 重 極 型 質 量 分 析 計( GC/QMS)を 用 い る こ 9 と が 想 定 さ れ て い る が 、よ り 高 感 度 、高 選 択 性 (試 料 中 の 妨 害 物 質 に よ る 影 響 が 少 な 10 い )を も つ 以 下 の 様 な 装 置 が 市 販 さ れ て い る た め 、よ り 高 感 度 ( 低 濃 度 レ ベ ル の 評 価 ) 11 を必要とする場合には検討すべきである。 12 • ガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC/MS/MS) 13 • ガスクロマトグラフ/イオントラップ型質量分析計(GC/IT-MS) 14 • ガスクロマトグラフ/飛行時間型質量分析計(GC/TOF-MS) 15 • ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析計(GC/HRMS) 16 注:2016 年現在で普及している装置を例示しているが、適用できる測定装置は上記の限りではない。 17 18 (4) 農薬類、POPs 等の有機化学物質 19 農 薬 類 や POPs な ど の 有 機 化 学 物 質 に つ い て は 底 質 調 査 方 法 、農 薬 等 の 環 境 残 留 実 20 態 調 査 分 析 法 ( 平 成 11 年 10 月 、 環 境 庁 水 質 保 全 局 土 壌 農 薬 課 ) が 容 易 に 参 照 で き 21 る。底質調査方法及び農薬等の環境残留実態調査分析法に記載のない物質について 22 は 外 因 性 内 分 泌 撹 乱 化 学 物 質 調 査 暫 定 マ ニ ュ ア ル ( 平 成 10 年 10 月 、 環 境 庁 水 質 保 23 全 局 水 質 管 理 課 )、 要 調 査 項 目 等 調 査 マ ニ ュ ア ル 、 化 学 物 質 と 環 境 ( 化 学 物 質 環 境 実 24 態調査 調査結果報告書) ( 現 在 は 環 境 省 環 境 保 健 部 環 境 安 全 課 、調 査 年 度 毎 に 作 成 、 25 発 行 さ れ て い る 。) 等 の 資 料 に て 分 析 方 法 を 調 査 す る こ と が で き る 。 26 測 定 装 置 と し て は ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /電 子 捕 獲 検 出 器( GC/ECD)及 び ガ ス ク ロ マ 27 ト グ ラ フ 質 量 分 析 計 ( GC/MS) が 上 記 資 料 で は 用 い ら れ て い る 。 質 量 分 析 装 置 は 四 重 28 極 型 ( GC/QMS) あ る い は 高 分 解 能 ( GC/HRMS) で あ る が 、 測 定 対 象 の 必 要 と さ れ る 検 29 出下限等によって選択すべきである。 30 上記に掲げた資料ではガスクロマトグラフによる分離が記載されているが、化学 31 物 質 の 物 理 化 学 的 性 質 に よ っ て は 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ 装 置 ( LC) が 有 効 で あ る も の 32 も多い。液体クロマトグラフに付随する検出装置はガスクロマトグラフ装置と類似 33 しているが、一般的に下記のような装置が使用されている。 34 • 液体クロマトグラフ/紫外可視吸光光度計(LC/UV) 35 • 液体クロマトグラフ/四重極型質量分析計(LC/QMS) 資-124 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 • 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC/MS/MS) 2 • 液体クロマトグラフ/イオントラップ型質量分析計(LC/IT-MS) 3 • 液体クロマトグラフ/飛行時間型質量分析計(LC/TOF-MS) 4 注:2016 年現在で普及している装置を例示しているが、適用できる測定装置は上記の限りではない。 5 6 (5) 燃料・油類 7 油 類 の 分 析 に つ い て は 油 汚 染 対 策 ガ イ ド ラ イ ン( 平 成 18 年 3 月 、中 央 環 境 審 議 会 8 土 壌 農 薬 部 会 土 壌 汚 染 技 術 基 準 等 専 門 委 員 会 )、 底 質 調 査 方 法 が 容 易 に 参 照 で き る 。 9 分 析 方 法 と し て は ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /水 素 イ オ ン 化 検 出 器 ( GC/FID) に よ る 方 法 、 10 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ / 質 量 分 析 計 ( GC/MS ) に よ る 方 法 、 赤 外 分 光 光 度 計 ( IR ) に よ 11 る方法、重量法(ヘキサン抽出物質の重量測定)があるが、油分の性質などの情報 12 を 得 る に は GC/FID 及 び GC/MS に よ る 方 法 が 有 用 で あ る 。 13 な お 、 こ れ ら の GC/FID あ る い は GC/MS に よ る 方 法 と IR に よ る 方 法 、 重 量 法 に お 14 いては測定の原理的な違いから対象となる油の性質が異なっており、分析結果が一 15 致するものではないことに留意するべきである。 16 17 (6) 爆薬類、推進剤等 18 芳香族ニトロ化合物のような爆薬類について参照できる国内の資料は少ないが、 19 米 国 EPA よ り 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ / 紫 外 可 視 吸 光 光 度 計 ( LC/UV ) に よ る 方 法 ( EPA 20 Method 8330) 及 び ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ /電 子 捕 獲 検 出 器 ( GC/ECD) に よ る 方 法 ( EPA 21 Method8095)が 公 開 さ れ て い る の で こ れ を 参 照 す る こ と が で き る 。測 定 装 置 は GC/ECD 22 及 び LC/UV が 前 述 マ ニ ュ ア ル に 記 載 さ れ て い る が 、他 の 検 出 装 置( GC/MS、GC/MS/MS、 23 GC/IT-MS、GC/TOF-MS 及 び GC/HRMS 並 び に LC/MS、LC/MS/MS、LC/IT-MS 及 び LC/TOF-MS 24 等)によっても測定が可能であるので、必要とされる測定感度等を考慮して装置を 25 選定するべきである。 26 27 なお、一部の物質については要調査項目等調査マニュアルに記載があるためこち らも参照されたい。 28 ロ ケ ッ ト 、 ミ サ イ ル の 推 進 剤 に 用 い ら れ る 過 塩 素 酸 に つ い て は 米 国 EPA よ り イ オ 29 ン ク ロ マ ト グ ラ フ 装 置 に よ る 分 析 方 法 が 公 開 さ れ て い る ( EPA Method 314.0 ) ま た 30 平 成 19 年 度 版 の 要 調 査 項 目 等 調 査 マ ニ ュ ア ル に も イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ フ 及 び 液 体 ク 31 ロマトグラフ法による記載があるため、必要に応じて参照されたい。 32 資-125 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 5.2 分 析 に 関 す る 精 度 管 理 2 調査分析において、その結果の信頼性を担保する品質管理・精度管理の体制はいかなる場 3 合でも重要であるが、基地特有の汚染物質に関する化学分析においては高度な技術を必要と 4 する手法も多く、必要とされるスクリーニングレベルを正しく評価できる結果であったかを 5 判断するために特に重要である。このため、下記の手順を参考に適切な精度管理を行い、結 6 果を記録することを強く推奨する。 7 なお、底質調査方法に詳細な精度管理の方法が記載されているため参考とされたい。 8 9 (1) 精度管理の項目 10 化学分析における精度管理は、大きくは以下の様に分けることができる。 11 ○内部精度管理 12 • 標準作業手順書(SOP)の整備 13 • 分析方法の妥当性評価(メソッドバリデーション) 14 • 分析値の信頼性の評価 15 ○外部精度管理 16 • 技能試験 17 • 精度管理調査(クロスチェック) 18 19 20 (2) 内部精度管理 1) 標 準 作 業 手 順 書 ( SOP) の 整 備 21 公 定 法 の な い 分 析 法 で は 、分 析 機 関 で 行 う 操 作 手 順 を 明 確 に し 、再 現 性 の 高 い 分 22 析を維持するため、分析に先立って機関で統一して用いるための標準作業手順書 23 ( SOP) を 準 備 す る 必 要 が あ る 。 SOP に 記 載 す べ き 内 容 と し て は 以 下 の 様 な も の が 24 ある。 25 • 試料採取・運搬用器具等の準備、メンテナンス、保管及び取扱い方法 26 • 分析用試薬類の準備、保管及び取扱い方法 27 • 標準物質等の準備、標準溶液の調製、保管及び取扱い方法 28 • 検量線等に使用する標準溶液の保証(トレーサビリティの確保) 29 • 各前処理方法の操作の手順 30 • 分析装置の測定条件の設定、調整、操作手順 31 • 分析方法全工程の記録 32 • 安全管理 33 等 34 SOP は操作毎に利用しやすいよう分冊として準備するのがよいが、発行や改訂について 35 は明確にし、分析時に旧版が誤って参照されることはないようにする べ き で あ る 。 資-126 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2) 分 析 方 法 の 妥 当 性 評 価 ( メ ソ ッ ド バ リ デ ー シ ョ ン ) 2 SOP を 作 成 し た の ち 、実 際 に そ の 手 順 に お い て 分 析 操 作 を 行 っ た 場 合 に て 適 切 な 3 結果を得ることが可能であるかを操作毎に評価する必要がある。問題が確認され 4 た 場 合 (操 作 ブ ラ ン ク 値 が 高 い 、 回 収 率 が 低 い 、 検 出 下 限 が 目 的 に 適 う レ ベ ル に 達 5 し な い 、 回 収 試 験 の 結 果 が 良 好 で な い な ど )、 各 作 業 手 順 や 分 析 室 内 環 境 、 器 具 ・ 6 機 材 、 試 薬 類 ( 標 準 物 質 含 む )、 分 析 装 置 を 点 検 し て 原 因 を 究 明 し て か ら 再 度 確 認 7 を 行 う 。 原 因 が 究 明 で き な い 場 合 、 あ る い は 作 成 し た SOP で は 妥 当 な 分 析 結 果 を 8 得られないと判断された場合には手順の変更を検討する必要がある。 9 10 表 5-1 試 料 採 取 、 分 析 室 内 環 境 、 器 具 ・機 材 、 試 薬 類 及 び 測 定 装 置 の 評 価 の 例 操作 試料採取手順 内容 採取器具、容器、採取環境などから分析対象物質の汚染が発生しないか。 試料の採取後に対象物質の分解や容器への吸着がないか等 分析室内環境 室内環境(雰囲気等)から分析対象物質や測定妨害物質の汚染がないか等 器具・機材類 対象物質の揮散、付着・吸着、分解が発生しないか、計量器は目的に則した 精度での計量が可能か等 試薬類 分析対象物質や測定妨害物質の汚染がないか等 測定装置 装置の安定性、分解能、応答性、感度変動などが目的とする能力に適うか等 11 12 表 5-2 分析方法の評価の例 操作 内容 装置検出下限値 低濃度標準溶液の繰返し試験等により機器測定の検出下限値を算出し、評価 (IDL) すべき値(スクリーニングレベル)より十分に低いかを確認する 分析方法検出下限 操作ブランク試験、あるいは低濃度添加試料の繰り返し試験等により分析操 値(MDL) 作全体での検出下限値を算出し、評価すべき値(スクリーニングレベル)より 十分に低いかを確認する 検量線 検量線の直線性と範囲を確認し、想定される分析結果の範囲で適用が可能で あることを確認する 認証標準物質の分 析 注 又は添加回収試験 分析対象物質の濃度について認証値がある物質の分析を行い、認証値と十分 に近い測定値が得られることを確認する。 あるいは実試料について一定量の分析対象物質の添加回収試験を行い、適切 な回収率が得られることを確認する 操作ブランク試験 試料がない状態で分析操作を行い、分析対象物質が検出されない(あるいは 目的の試料分析値(スクリーニングレベル)を評価できる十分に低い値であ 13 14 る)ことを確認する。 注:分析対象物質によっては認証標準物質が入手できないものもある。この場合、添加回収試験など によって結果の妥当性を判断すること。 15 資-127 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 3) 分 析 値 の 信 頼 性 の 評 価 2 分析方法の妥当性確認を行い、目的とする感度(検出下限)で分析が行えることを確認し 3 た後、実際の分析操作を行う。分析を行うに当たっては、日常の操作が正しく行われてい 4 たか、分析に異常な要素はなかったかを常に確認し、記録する必要がある。確認のために 5 必要な項目は分析方法などによって異なるが、一般的には以下の様な項目が挙げられる。 6 7 表 5-3 分 析 値 の 信 頼 性 評 価 の 為 の 試 験 項 目の 例 項目 操作ブランク試験 内容 試料がない状態で分析操作を行い、分析対象物質が検出されない(あるいは 目的の試料分析値(スクリーニングレベル)を評価できる十分に低い値であ る)ことを確認する。 二重測定 同一の試料について複数回分析を行い、ほぼ同じ分析値が得られることを確 認する。 日常の精度管理用試 あらかじめ分析を行い、結果を得ている試料について分析を行い、ほぼ同じ 料による試験 分析値が得られることを確認する 認証標準物質による 分析対象物質の濃度について認証値がある物質について定期的に分析を行 試験 8 9 10 11 注 い、認証値と十分い近い測定値が得られることを確認する。 装置の性能点検 注:分析対象物質によっては認証標準物質が入手できないものもある。この場合は精度管理用試料の 分析結果のみによって評価することとなるが、意図しない分析値の偏り(バイアス)を防ぐため、 外部機関との比較試験などを行うことが望ましい。 12 これらの項目については頻度や手段、良否の判断基準についてあらかじめ決定し、標準 13 作業手順書(SOP)として作成する。また日常の分析操作については操作を行った日時、 14 場所、使用した試薬等及び使用した装置と性能確認データについて記録 し 、 保 管 す る こ 15 と。 16 17 18 (3) 外部精度管理 「(2) 内部精度管理」の内容に準じて適正な精度管理を行った場合においても、想定し 19 ていない要因によって正しく分析値を得られていないケースが少なからず確認される。これ 20 らのケースは分析機関特有の未確認の原因によるものの可能性が大きいため、外部試験機関 21 が主催する技能試験や精度管理調査(クロスチェック)などに定期的に参加し、他の分析機関 22 の結果との比較を行うことで分析手順及び結果の妥当性を確認することが望ましい。 23 なお、環境調査が一般的でない分析対象物質においては上記技能試験や制度管理 24 調査が行われていない場合も存在する。この場合には同様の方法にて分析を行える 25 外部機関と同一試料の分析を行い、その結果を比較することで分析手順及び結果の 26 妥当性を確認することが望ましい。 資-128 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 第 6章 環 境 対 策 の 考 え 方 2 6.1 土 壌 汚 染 対 策 法 に 則 し た 環 境 対 策 の 考 え 方 3 (1) 基本的な考え方 4 土壌は水や大気と比べ移動性が低く、土壌中の有害物質も拡散・希釈されにくい 5 ため、汚染土壌から人への有害物質のばく露経路の遮断により、リスクを低減し得 6 るという特質がある。 7 このため、土壌汚染対策法では、このような土壌汚染の特質から、国民の健康の 8 保護という公益の実現を図る上で、必要な限度で必ずしも過重な負担を伴わないリ 9 スク低減措置を講じることにより、可能な限り速やかに適切なリスク管理を行うこ 10 ととされている。 11 一方で、土壌汚染対策法では、土地利用や土壌の特性、周辺環境など様々な要因 12 に関係なく、非意図的に汚染土壌を生涯摂取し続けた場合や汚染地下水を生涯飲用 13 し続けた場合を想定した一律基準が設けられており、その基準に適合させることと 14 なっている。 15 このため、自然由来レベルの低濃度汚染である場合においても、掘削除去による 16 完全浄化を講じているケースが多く、多大な経済的負担を伴った過剰な環境対策が 17 行われているのが現状である。 18 米軍基地を管理・運用している米国本国では、土地利用に応じた基準値を設けて 19 お り 、汚 染 物 質 の 有 害 性 と ば く 露 経 路 を 考 慮 し た リ ス ク 評 価 と い う 考 え 方 に 基 づ き 、 20 リスクベースで修復目標を土地ごとに定めている。 21 平 成 8 年 の SACO 及 び 平 成 18 年 の SCC に よ り 返 還 合 意 さ れ た 基 地 は 、普 天 間 飛 行 22 場 ( 481ha) を は じ め と し て 面 積 が 広 大 で 、 多 く の 施 設 も 存 在 す る た め 、 掘 削 除 去 に 23 よる完全浄化は、環境対策に係る費用についても膨大で、期間の長期化や環境への 24 負荷が大きくなることも想定される。 25 平 成 18 年 の S C C に よ り 返 還 合 意 さ れ た 6 施 設 に つ い て は 、 関 係 市 町 村 、 地 主 26 会等の協力のもと、沖縄県により広域的な視点から6施設が連携した跡地利用の方 27 向 性 を 示 す 中 南 部 都 市 圏 駐 留 軍 用 地 跡 地 利 用 広 域 構 想 ( 平 成 25 年 1 月 、 沖 縄 県 ) が 28 とりまとめられ、キャンプ桑江南側地区などでは、土地区画整理事業による公共事 29 業を中心とした整備計画が示されている。 30 返還予定の基地における環境対策にあたっては、これらを踏まえて、リスク評価 31 を活用し、対象とする土地特有の条件を考慮した修復目標を設定することにより、 32 公共用地内に汚染土壌を残置したまま土地の活用を図る対策方法や土地利用の検 33 討、また、大規模な面的整備事業であるスケールメリットを活かした対策方法の検 34 討も有用と考えられる。 資-129 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 1) 土 壌 ・ 地 下 水 汚 染 に よ る 環 境 リ ス ク リ ス ク 評 価 を 活 用 し た 土 壌 ・ 地 下 水 汚 染 対 策 の 考 え 方 ( ガ イ ダ ン ス )( 一 般 社 3 団法人土壌環境センター 平 成 26 年 10 月 ) に よ れ ば 、 土 壌 ・ 地 下 水 汚 染 に よ る 4 環境リスクは、一般に土壌・地下水中に存在する化学物質の有害性(ハザード) 5 とばく露量(摂取量)の積で表され、土壌・地下水中での化学物質のばく露経路 6 やばく露量によって異なるとされている。 7 環境リスクとして人の健康被害のおそれ(健康リスク)を取り上げた場合、化 8 学物質により人に何らかの健康影響が生じるのは、次に示すすべての条件が満た 9 された場合である。 10 11 ①化学物質に何らかの有害性(ハザード)があること 12 ②化学物質にばく露する(化学物質を摂取する)機会があること 13 ③化学物質へのばく露量(摂取量)が有害性の発現に十分であること 14 15 したがって、有害性のある化学物質が土壌・地下水中に存在する場合において 16 もばく露する機会がなければ環境リスクは生じないこととなる。また、ばく露す 17 る機会がある場合においても、健康被害が生じる可能性のある量よりもばく露量 18 が少なければ環境リスクが許容されるレベルに収まることとなる。 19 20 21 22 2) 土壌・地下水汚染による環境リスクへの対応 土壌・地下水汚染による環境リスクへの対応には「ハザード管理」と「リスク 管 理 」 が あ り 、 そ の 概 念 は 図 6-1 に 表 さ れ る と お り で あ る 。 23 「ハザード管理」は、すべての化学物質はあるレベルの有害性(ハザード)を 24 有しているという前提に立ち、土壌・地下水中に有害物質が存在しないことを目 25 指し、土壌・地下水中の有害物質の濃度を許容できる一定レベルの濃度以下にす 26 る管理手法である。 27 一 方 、「 リ ス ク 管 理 」 は 、 有 害 性 ( ハ ザ ー ド ) の 大 き さ の み で 評 価 を 行 う の で は 28 なく、その化学物質へのばく露状況も考慮し、土壌・地下水汚染による環境リス 29 クを許容できるレベルにする管理手法である。 30 31 資-130 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 出典:「リスク評価を活用した土壌・地下水汚染対策の考え方 (ガイダンス)」(平成 26 年 10 月、一般社団法人土壌環境センター) 4 図 6-1 ハザード管理とリスク管理の概念図 5 6 土壌汚染対策法における土壌汚染対策は、リスク管理の考え方を基本としてお 7 り 、 土 壌 汚 染 に よ る リ ス ク を 許 容 範 囲 に 抑 え る 方 法 と し て 、 表 6-1 に 示 す 4 つ の 8 対策方法による措置を定めている。土壌・地下水汚染対策におけるハザード及び 9 リ ス ク 管 理 の 方 法 と 対 策 方 法 は 表 6-2 に 示 す と お り で あ る 。 10 11 表 6-1 リスク防止方法 ① 12 13 土壌汚染によるリスクを許容範囲に抑える対策方法 内 容 ばく露管理 ハザード 管理 リスク 管理 汚染土壌と人が接触する機会を抑 × ○ 制する方法 ② ばく露経路遮断 汚染土壌又は汚染土壌中に含まれ る特定有害物質が人にばく露しな × ○ いよう移動を遮断する ③ ばく露量低減 ばく露経路途中での汚染物質濃度 の減衰を高めて、人にばく露する × ○ 段階での汚染物質濃度を低減する ④ 土壌浄化 汚染源の汚染土壌(地下水)を浄 (地下水浄化) 化することで、人にばく露する段 ○ ○ 階での汚染物質濃度を低減する 出典:「リスク評価を活用した土壌・地下水汚染対策の考え方 (ガイダンス)」(平成 26 年 10 月、一般社団法人土壌環境センター) 14 資-131 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 6-2 土壌・地下水汚染対策におけるハザード及びリスク管理の方法と対策方法 対策実施位置 曝露の形態 ハザード管理の 方法 土壌浄化 曝露管理 曝露経路遮断 リスク管理の方法 曝露量低減 土壌浄化 地下水浄化 2 3 4 汚染源の範囲 土壌からの 直接摂取 地下水の飲用 (摂食、皮膚接 触による吸収) ・掘削除去 ・原位置浄化 ・立入禁止 汚染源の範囲の周辺 大気・室内空気 の吸入 ・掘削除去 ・原位置浄化 ・掘削除去 ・原位置浄化 ・飲用禁止 ・地下水モニ タリング ・立入禁止 ・大気・室内 空気モニタ リング ・土壌ガスモ ニタリング 地下水の飲用 大気・室内空気 の吸入 − − ・飲用禁止 ・地下水モニ タリング ・立入禁止 ・大気・室内 空気モニタ リング ・土壌ガスモ ニタリング ・封じ込め (地下水) ・盛土 ・舗装 ・封じ込め ・遮水 ・舗装 ・封じ込め (空気) ・透過性地下 ・封じ込め ・土壌入換え ・建物捕集 ・遮蔽 水浄化壁 ・封じ込め (亀裂封鎖) ・バイオバリア ・バリア井戸 ・盛土 ・透過性地下 ・不溶化 ・空気浄化 ・盛土 ・空気浄化 水浄化壁 ・地下水浄化 ・換気 ・原位置浄化 ・換気 ・地下水浄化 ・原位置浄化 ・原位置浄化 ・掘削除去 ・掘削除去 ・掘削除去 (一部) (一部) (一部) − − ・原位置浄化 ・原位置浄化 ・原位置浄化 (濃度低減) (濃度低減) (濃度低減) ・地下水揚水 ・地下水揚水 ・地下水揚水 ・地下水揚水 ・地下水揚水 処理 処理 処理 処理 処理 ・原位置浄化 ・原位置浄化 ・原位置浄化 ・原位置浄化 ・原位置浄化 出典:「リスク評価モデル普及・ツール化検討部会,土壌・地下水汚染対策におけるリスク評価の活用 についてのガイダンスの作成」(2014、第 20 回地下水土壌汚染とその防止対策に関する研究集 会講演集,S5-15、中島誠・山田優子・鈴木弘明・白井昌洋・伊藤豊) 5 6 3) 土 壌 汚 染 対 策 法 に お け る リ ス ク 低 減 措 置 の 考 え 方 7 土壌汚染対策法では、リスク管理を基本とした必要かつ合理的なリスク低減措 8 置を講じることとされているが、一方で、実際の土壌汚染対策では、健康リスク 9 の 大 小 に か か わ ら ず 、掘 削 除 去 に よ る 完 全 浄 化 が 選 択 さ れ て い る の が 現 状 で あ る 。 10 このような現状を受け、中央環境審議会は、今後の土壌汚染対策の在り方につ 11 い て ( 答 申 )( 平 成 20 年 12 月 ) に お い て 、「 掘 削 除 去 は 汚 染 土 壌 の 所 在 を 不 明 に 12 するおそれや搬出に伴い汚染を拡散するおそれがあることから問題となっている 13 ことから、サイトの汚染状況に応じた合理的で適切な対策を促進する」ものとす 14 る答申を行った。 15 こ れ を 踏 ま え て 、 よ り 合 理 的 か つ 適 正 な リ ス ク 管 理 の 実 現 を 図 る た め 、 平 成 22 16 年4月に土壌汚染対策法が改正、施行され、要措置区域・形質変更時要届出区域 17 の区分、要措置区域における指示措置の創設等、これまでの掘削除去に偏重した 18 土壌汚染対策から、健康被害のおそれの有無に留意した適切な土壌汚染対策を講 19 ずるといったリスク管理の考え方が強化された。 資-132 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 具体的には、土壌汚染状況調査の結果、基準不適合が確認された場合において 2 も、下流域等の周辺地域において地下水の飲用利用などがなければ人への健康影 3 響のおそれがないとして、直ちに措置を実施しなくてもよい形質変更時要届出区 4 域 に 指 定 さ れ る こ と 、 要 措 置 区 域 で あ っ て も 完 全 浄 化 を 要 求 す る の で は な く 、「 ば 5 く露の管理」のための立入禁止や「ばく露経路遮断」のための封じ込め等の指示 6 措置が発出されることなどがあげられる。 7 8 このように土壌汚染対策法では、汚染の程度や健康被害のおそれの有無に応じ て合理的で適切に講ずべき措置として、指示措置が定められている。 9 出典:「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(平成 27 年6月、公益財団法人日本環境協会) 10 図 6-2 土 壌 汚 染 対 策 法 に お け る ば く 露( 摂 取 ) 経 路 と 措 置 ( 対 策 ) 11 12 13 (ア) 直 接 摂 取 に よ る リ ス ク に 係 る 措 置 14 本措置は土壌含有量基準に適合しない汚染土壌に対して行うもので、 「土壌汚染 15 対 策 法 に 基 づ く 調 査 及 び 措 置 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン ( 改 訂 第 2 版 )」( 平 成 24 年 16 8 月 、 環 境 省 ) で は 、 表 6-3 に 示 す 措 置 が 示 さ れ て い る 。 17 18 19 20 このうち、一般に必要かつ合理的な措置として、ばく露経路を遮断することに よ り 人 の 健 康 影 響 も 防 止 し 得 る こ と か ら 、「 盛 土 」 が 指 示 措 置 と さ れ て い る 。 な お 、直 接 摂 取 等 に よ る リ ス ク に 関 す る 対 策 の 内 容 等 は 、節 末 の 表 6-6 に 示 す とおりである。 21 資-133 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 5 6 表 6-3 直接摂取によるリスクに対する汚染の除去等の措置 出 典: 「 土 壌 汚 染 対 策 法 に 基 づ く 調 査 及 び 措 置 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン( 改 訂 第 2 版 )」 ( 平 成 24 年 8 月 、 環 境 省 ) (イ) 地 下 水 等 の 摂 取 に よ る リ ス ク に 係 る 措 置 7 本措置は、土壌溶出量基準に適合しない汚染土壌に対して行うもので、土壌汚 8 染 対 策 法 に 基 づ く 調 査 及 び 措 置 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン ( 改 訂 第 2 版 )( 平 成 24 年 9 8 月 、環 境 省 )で は 、表 6-4 に 示 す 措 置 が 示 さ れ て お り 、当 該 土 地 の 周 辺 の 地 下 10 水が飲用利用等されている場合にリスク低減措置を行うこととなる。 11 この場合、地下水等への溶出の有無によりその措置が異なっており、地下水等 12 への溶出がない場合には、一般に必要かつ合理的な措置として、継続的に地下水 13 等のモニタリングを行う「地下水の水質の測定」が、指示措置とされている。 14 一方、地下水等への溶出があって、地下水汚染が生じている場合には、一般に 15 必要かつ合理的な措置として、当該汚染地下水が周辺に拡散しないよう「封じ込 16 め 」 を 行 え ば 人 の 健 康 影 響 は 防 止 し 得 る こ と か ら 、「 封 じ 込 め 」 が 指 示 措 置 と さ 17 れている。 18 19 20 21 22 23 24 な お 、地 下 水 の 摂 取 等 に よ る リ ス ク に 関 す る 対 策 の 内 容 等 は 、節 末 の 表 6-7 に 示すとおりである。 表 6-4 地下水の摂取に係るリスクに対する汚染の除去の措置 出 典 :「 土 壌 汚 染 対 策 法 に 基 づ く 調 査 及 び 措 置 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン ( 改 訂 第 2 版 )」( 平 成 24 年 8 月 、 環 境 省 ) 資-134 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 特に地下水の摂取に係るリスクに対する指示措置である原位置封じ込めは、基 2 準 不適 合 土 壌 の ある 区 域の 側 面 を 囲 み、基 準不 適 合 土 壌 の下 に ある 不 透 水 層 のう 3 ち、最も浅い位置にあるものの深さまで、鋼矢板その他の遮水の効力を有する構 4 造 物 を 設 置 す る も の で あ る ( 土 壌 汚 染 対 策 法 施 行 規 則 別 表 第 6 の 2 の 項 )。 5 返還予定の基地に広く分布する琉球石灰岩層は、未固結の砂礫状のものから硬 6 く固結した塊状のものまで混在し、大きな空隙や空洞なども存在するため、強度 7 のばらつきが大きく、不均一で複雑な地層である。また、層厚の変化が大きく、 8 鋼矢板等の遮水壁の根入れ部となる島尻泥岩層まで最大で数十 m に達するところ 9 も存在する。 10 このため、琉球石灰岩層を貫通して鋼矢板等の遮水壁を打設するには非常に困 11 難 が伴 う と と も に、打 設に よ っ て 地 下水 流 動環 境 に 影 響 を与 え るお そ れ が あ るこ 12 と から 、施 工に あ た っ ては 工 法 の 選 択や 施 工管 理 な ど に 十分 に 留意 す る 必 要 が あ 13 る。また、鋼矢板等の遮水壁を打設にあたっては、磁気探査実施要領(案)に基 14 づいて、施工箇所の事前調査を行い、不発弾等が埋没している可能性が否定でき 15 ない場合は磁気探査を行う必要がある。 16 17 18 19 20 出 典: 「 土 壌 汚 染 対 策 法 に 基 づ く 調 査 及 び 措 置 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン( 改 訂 第 2 版 )」 ( 平 成 24 年 8 月 、 環 境 省 ) 図 6-3 原位置封じ込め(一例)概念図 21 資-135 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 4) 土 壌 汚 染 地 に お け る 合 理 的 な 対 策 の 在 り 方 2 土壌汚染地における合理的な対策の基本的な考え方としては、土地の活用方法 3 を考慮して、土地利用上の制約が最小限で、かつ、低コストな措置により環境リ 4 スクの低減化を図って指定基準に適合させることである。 5 また、環境リスクが指定基準に適合した状態が維持されるよう、土地活用を図 6 り なが ら 、リス ク 管 理 を継 続 す る と とも に、土 地 の 形質 の 変 更 等を 行 う 場 合 に は 、 7 環境リスクが指定基準に不適合となることがないよう注意し、基準不適合となる 8 場合は指定基準に適合させるためのリスク低減化策を講じることが必要である。 9 土壌汚染地における合理的な対策の普及を図り、土壌汚染地の取引円滑化と有 10 効活用を促進することを目的として、国土交通省により、掘削除去以外の合理的 11 な対策による土地活用事例についての収集・整理、土壌汚染対策と土地利用の要 12 因分析が行われている 13 46 。 本報告書において、土地活用と整合した土壌汚染対策を進める上での検討の流 14 れと考慮すべき事項について、次のとおり示されている。 15 16 (ア) 土 地 活 用 と 整 合 し た 土 壌 汚 染 対 策 の 検 討 の 流 れ 17 土 地 活 用 と 整 合 し た 土 壌 汚 染 対 策 を 進 め る 上 で の 検 討 の 流 れ を 図 6-4 に 示 す 。 18 土地活用については、広域的・地域的な立地条件、敷地の面積等の土地条件や 19 立地特性、土壌汚染の状況等を踏まえて、当該土地に対する用途別の土地利用ニ 20 ーズ、施設建設コストや資金計画、事業採算見通しなどを総合的に検討してプラ 21 ンが決定される。 22 土地活用と整合した土壌汚染対策については、土壌汚染状況を前提として周辺 23 の 土地 状 況 や 利 用や 飲 用井 戸 の 存 在 の有 無 等の 条 件 を 踏 まえ て、技 術 的 に適 用 可 24 能な工法の中から、経済性、スケジュール、施工性、リスク管理の必要性、工法 25 の技術的確立度などを考慮して選択される。 26 27 46 「 合 理 的対 策 によ っ て土 壌 汚染地 の 有 効活 用 に成 功 した 事 例に 関 す る情 報 収集・分析 業 務 報 告 書 」 (平 成 22 年 3 月 、 国 土 交 通省 土 地・ 水 資源 局 土地 政 策 課土 地 企画 調 整室 ) 資-136 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 出典:「合理的対策によって土壌汚染地の有効活用に成功した事例に関する情報収集・分 析業務報告書」(平成 22 年3月、国土交通省土地・水資源局土地政策課土地企画 調整室) 2 図 6-4 土地利用と整合した土壌汚染対策法の検討の流れ 3 4 (イ) 土 地 活 用 と 整 合 し た 土 壌 汚 染 対 策 を 進 め る 上 で 考 慮 す べ き 事 項 5 土地活用と整合した土壌汚染対策を進める上で検討・整理すべき項目は、①立 6 地条件、②土地条件、③土壌汚染の種類と程度、④土地の利用用途と使用形態、 7 ⑤ 技術 的 適 用 可 能な 土 壌汚 染 対 策 手 法の 5 つが 考 え ら れ ると さ れ、そ れ ぞれ の 項 8 目 に つ い て の 考 慮 す べ き 事 項 が 、 表 6-5 に 示 さ れ て い る 。 9 資-137 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 表 6-5( 1) 土 地 活 用 と 整 合 し た 土 壌 汚 染 対 策 を 進 め る 上 で 考 慮 す べ き 事 項 ( 1/2) 出典:「合理的対策によって土壌汚染地の有効活用に成功した事例に関する情報収集・分析業務 報告書」(平成 22 年3月、国土交通省土地・水資源局土地政策課土地企画調整室) 5 資-138 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 表 6-5(2) 土地活用と整合した土壌汚染対策を進める上で考慮すべき事項(2/2) 出典: 「合理的対策によって土壌汚染地の有効活用に成功した事例に関する情報収集・分析業務 報 告書」(平成 22 年3月、国土交通省土地・水資源局土地政策課土地企画調整室 5 6 (ウ) 土壌汚染地における合理的な対策における課題 7 土壌汚染リスクが残存した状態、すなわち土壌汚染対策法における形質変更時 8 要届出区域において、土地の有効利用等を行うにあたっては、土壌汚染のある土 9 地は、健康被害の発生など環境的側面のみならず、土地資産評価の低減という経 10 済 的側 面 、心理 的 な 嫌 悪感 や 不 安 感 等に 起 因す る 周 辺 住 民と の 軋轢 の 発 生 な ど社 11 会 的側 面 で の 影 響を 及 ぼす お そ れ が ある た め、適 切 な土 壌 汚 染 対策 の 選 択 や リス 12 ク管理の実施、関係主体間での円滑な合意形成が重要となる。 13 また、現状の土壌汚染対策では掘削除去による完全浄化がほとんどであり、汚 14 染が残存した状態のリスク管理のノウハウや先進事例は少ない。このため、長期 15 に わ た る リ ス ク 管 理 の 実 施 に あ た っ て は 、土 地 利 用 の 変 化 等 に よ っ て 現 況 リ ス ク 16 の 状況 が 変 化 し、人 の 健康 リ ス ク の 大き さ が許 容 さ れ る 範囲 を 超え る こ と が ない 17 よう、定量的かつ客観的に現況リスクの再評価を行い、適切な対策を講ずること 18 が求められる。このため、土地の利用形態を考慮した土壌汚染地の環境リスク評 19 価方法の整備が必要である。 資-139 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 5) リ ス ク 評 価 を 活 用 し た 土 壌 汚 染 対 策 2 平 成 22 年 4 月 の 土 壌 汚 染 対 策 法 一 部 改 正 の 検 討 に あ た っ て は 、 平 成 19 年 6 月 3 に環境省水・大気環境局長の諮問で設置された「土壌環境施策のあり方に関する 4 懇談会」で今後の土壌汚染対策のあり方が議論された。 5 この懇談会の結論として、汚染された土地ごとの汚染状況に応じた合理的かつ 6 適正な対策の促進方策の一つとして、欧米におけるサイトリスクアセスメントの 7 手法や運用実態について、まずは知見を深め、わが国でサイトリスクアセスメン 8 トを導入するとした場合の手法や技術的事項について検討を行っていくべきであ 9 り、その上で、わが国の法制度や施策の中で対策の必要性や妥当性の判断にどの 10 ような仕組みでサイトリスクアセスメントを活用できるのかさらに議論を深めて 11 いくべきであるという指摘がなされた(土壌環境施策のあり方に関する懇談会報 12 告 ( 平 成 20 年 3 月 ))。 13 しかしながら、本改正により、リスク管理の考え方は強化されたものの、汚染 14 地ごとの条件を考慮したサイトリスクアセスメントの考え方までは取り入れられ 15 ていないため、リスク評価を用いることで、汚染地ごとに精緻なリスク評価に基 16 づく現況リスクの評価、措置の選択や採用した措置の設計・運営管理を効率的に 17 実現することが期待される。 18 このような現状を踏まえ、土壌・地下水汚染対策におけるリスク評価の活用方 19 法について、一般社団法人土壌環境センターによりとりまとめられている 20 体的な内容について以下に示す。 47 。具 21 22 23 24 47 「 土 壌・地下 水 汚染 対 策に おけ る リ スク 評 価の 活 用に つ いて の ガ イダ ン スの 作 成」( 2014、第 20回地 下 水土 壌 汚染 と そ の 防 止対 策 に関 す る研 究 集会 講 演 集,S5-15中 島・山田・鈴 木・白 井・伊 藤・リ スク 評 価モ デ ル 普及・ツ ー ル化 検 討部会) 資-140 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 (ア) リ ス ク 評 価 を 用 い た 土 壌 汚 染 対 策 の 流 れ 土 壌 汚 染 対 策 に リ ス ク 評 価 を 用 い る 場 合 の 土 壌 汚 染 対 策 の 流 れ は 、図 6-5 に 示 すとおりであり、リスク評価を活用する場面として、次の3つの場面がある。 4 5 ①現況リスクの評価 6 ②修復目標の決定 7 ③対策方法の選定 8 出典:「リスク評価を活用した土壌・地下水汚染対策の考え方 (ガイダンス)」(平成 26 年 10 月、一般社団法人土壌環境センター ) 9 図 6-5 リスク評価を用いた土壌・地下水汚染対策の流れ 10 11 資-141 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 4 5 ア) 現 況 リ ス ク の 評 価 現況リスクの評価では、土壌・地下水汚染対策を実施する前の状態(現況) における人の健康リスクを評価する。 現 況 リ ス ク が 許 容 さ れ る レ ベ ル( 目 標 リ ス ク )を 超 え て い る 場 合 、健 康 リ ス クを許容されるレベルまで低減するための対策を行う必要がある。 6 な お 、対 策 の 必 要 が な い 、ま た は 対 策 の 実 施 後 な ど 、健 康 リ ス ク が 目 標 リ ス 7 ク以下となっている状態であっても、土壌・地下水汚染が残存する場合には、 8 土地利用の変化等によって現況リスクの前提となる状況が変化する可能性が 9 あるため、目標リスクを超えることがないよう管理していくことが必要であ 10 る。 11 12 イ) 修 復 目 標 の 決 定 13 現 況 リ ス ク の 評 価 に よ り 、現 況 リ ス ク が 目 標 リ ス ク を 超 え て お り 、健 康 リ ス 14 ク を 低 減 す る た め の 対 策 が 必 要 で あ る と 判 断 さ れ た 場 合 に 、健 康 リ ス ク を 目 標 15 リスク以下とするために必要な修復目標を決定する。 16 修復目標は、リスク管理の方法ごとに、以下のように設定される。 17 18 19 20 21 22 23 24 25 ① 汚染源で土壌浄化や地下水浄化を行う場合に目標となる汚染源土壌・地下水の濃 度レベルの達成 ② ばく露経路においてば く 露量低減を行う場合に目標となる摂取媒体中の汚染物質 濃度レベルの達成 ③ ばく露経路遮断により環境リスクを目標リスク以下とするために必要となるばく 露経路の遮断の完了 ④ ばく露管理により健康リスクを目標リスク以下とするために必要となるばく露管 理(摂取媒体の摂取の防止)の完了 26 27 修 復 目 標 の 決 定 に お い て は 、そ れ ぞ れ の 対 策 の 方 法 で リ ス ク 管 理 し て い る と 28 き の ば く 露 シ ナ リ オ を 設 定 し 、そ の ば く 露 シ ナ リ オ に お い て 目 標 リ ス ク 以 下 と 29 なるときの状態を逆解析的に算定し、修復目標を決定する。 30 修 復 目 標 は 、① と ② が 濃 度 値 と し て 、③ が 遮 断 さ れ る ば く 露 経 路 の 種 類 と し 31 て 、④ 摂 取 が 防 止 さ れ る 環 境 媒 体 の 種 類 と し て 、対 象 と す る サ イ ト 特 有 の 条 件 32 の下でそれぞれ設定されることになる。 33 資-142 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 2 3 ウ) 対 策 方 法 の 選 定 修 復 目 標 を 決 定 し た 後 、対 策 方 法 の 選 択 肢 と し て 複 数 の 選 択 肢 を 選 び 、修 復 目標の達成が可能な対策方法を選定する。 4 対 策 方 法 の 選 定 で は 、複 数 の 対 策 方 法 の 選 択 肢 に つ い て 、決 定 し た 修 復 目 標 5 を 達 成 で き る か ど う か を リ ス ク 評 価 の 手 法 を 用 い て 定 量 的 に 評 価 し 、さ ら に 次 6 に 示 す よ う な 項 目 に つ い て も 、定 性 的 ま た は 定 量 的 に 評 価 を 行 い 、総 合 的 に 評 7 価に基づいて対策方法を決定することが有効である。 8 9 10 ・ 法や条例で定められている基準等(例えば、摂取する環境媒体(地下水、大気等) の基準、排水規制、騒音・振動に関する基準等)への適合性 11 ・対策の実施による長期的な効果(効果の持続性) 12 ・対策の実施による汚染物質の有害性、移動性または量の減少の有無 13 ・対策の実施による短期的な効果(即効性) 14 ・対策費用 15 ・自治体の承諾が得られる可能性 16 ・コミュニティーの承諾が得られる可能性 17 ・その他付加的な条件への適合性 18 19 な お 、対 策 を 実 施 し 、汚 染 土 壌 を 残 存 さ せ た ま ま の 状 態 で 修 復 目 標 を 達 成 し 20 た 場 合 に は 、目 標 リ ス ク が 達 成 さ れ た 状 態 が 維 持 さ れ る よ う 、そ の 土 地 を 管 理 21 し、定期的に修復計画を見直してレビューを行うことが重要である。 22 ま た 、土 地 の 利 用 用 途 や 形 質 変 更 等 に よ っ て リ ス ク 評 価 の 前 提 と な る 条 件 に 23 変更が生じる場合には、その変更後の条件の下での現況リスクを再度評価し、 24 必要に応じて適切な対策を行うことが必要である。 25 26 資-143 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 6-6 対策の種類 舗装 直接摂取によるリスクに関する対策 措置内容 資-144 厚さ 10 ㎝以上のコンクリート若しくは厚さ3㎝以上のアスファルト又はこれと同等以 上の耐久性及び遮断の効力を有するものにより覆う。 立入禁止 当該土地のうち基準不適合土壌のある場所の周囲に、人が当該場所に立ち入ることを防 止するための囲いを設ける。また区域外への飛散防止のためシートを覆う等し、囲いの 出入り口に関係者以外の立入を禁止する旨を表示する立札等を設置する。 土壌入換え 区 域 外 土 壌 当該土地の土壌を掘削し、地表から深さ 50 ㎝までに基準不適合土壌がある場所を砂利等 入換え で覆い、次に厚さ 50 ㎝以上の基準不適合土壌以外の土壌により覆う。 区 域 内 土 壌 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握し、基準不適合土壌の層の深さまで掘削し、 入換え さらにその下の基準不適合土壌以外の土壌層を 50 ㎝以上の深さまで掘削し、基準不適合 土壌を埋め戻し、その上を当該区域内の汚染されていない土壌により 50 ㎝覆う。 盛土 基準不適合土壌のある場所をまず砂利等で覆い、次に厚さが 50 ㎝以上の基準不適合土壌 以外の土壌で覆う。さらに覆いの損壊防止策を講じる。 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握し、基準不適合土壌を掘削後に基準不適合以 土 壌 汚 染 の 掘削除去 除去 外の土壌で埋め戻しを行う。 対策の効果確認は、基準不適合土壌があるとして掘削した場所及び深さが適切であるか、 埋め戻した土壌が汚染されていないかについて一定量ごとに確認が行われているか等を 確認する。 対策が適切に行われていることが確認された場合、要措置区域の指定が解除となる。 原位置浄化 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握し、基準不適合土壌がその場所にある状態で 抽出又は分解その他の方法により土壌中から汚染物質を除去する。 対策の効果確認は、対策実施後 100m2 ごとに任意の地点において深さ1m から基準不適合 土壌のある深さまで1m ごとに土壌を採取し、土壌含有量基準に適合することを確認す る。 対策が適切に行われていることが確認された場合、要措置区域の指定が解除となる。 2 3 4 5 6 7 8 土地の種類ごとの適用可能性 盛り土では 特別な場合 通常の土地 支障がある 注3 土地注 2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ × × ○ ◎ × ○ ○ ◎ 注 1: ◎. 講ずべき対策(指示措置)、○. 指示措置と同等以上の効果を有すると認められる対策(措置)、×. 選択できない対策(措置) 2: 「盛土では支障がある土地」とは、住宅やマンション(一階部分が店舗等の住宅以外の用途であるものを除く。)で、盛土して 50 ㎝かさ上げされると日常生活に 著しい支障が生ずる土地 3: 乳幼児の砂場遊び等に日常的に利用されている砂場等や、遊園地等で土地の形質変更が頻繁に行われ盛土等の効果の確保に支障がある土地については、土壌汚染 の除去を指示することになる。 4: 土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第 2 版)(環境省 水・大気環境局 土壌環境課 平成 24 年8月)より作成 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 表 6-7 地下水の摂取等によるリスクに関する対策 汚染物質種ごとの適用可能性 対策の種類 地下水の水質測定 当該土地において土壌汚染に起因する地下水汚染の状況を 的確に把握できる地点に観測井を設け、当初1年は4回以 上、2年目から 10 年目までは1年に1回以上、11 年目以降 は2年に1回以上定期的に地下水を測定する。 原位置封じ込め 基準不適合土壌のある区域の側面を囲み、基準不適合土壌の 下の不透水層のうち最も浅い位置の深さまで綱矢板等の遮 水壁を設置する。さらに土地の上面については、雨水が浸透 せずかつ土地利用に耐えられる強度の素材で覆う。 資-145 遮水工封じ込め 2 3 措置内容 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握して基準不適合 土壌を掘削した後に、当該土地に地下水の浸出を防止するた めの構造物を設置し、当該構造物内に掘削した基準不適合土 壌を埋め戻すことで地下水との接触を防止する。さらに土地 の上面については、雨水が浸透せずかつ土地利用に耐えられ る強度の素材で覆う。 対策実施後は、下流側に1地点以上観測井を設け、1年に4 回以上定期的に地下水を測定すして2年間地下水基準に適 合した状態が続くことを確認する。また、封じ込め内部の1 地点以上にも観測井を設け、下流側の地下水で基準を適合し ている間に雨水や地下水等の侵入がないことを確認する。 第一種特定 第二種特定 第三種特定 有害物質(揮 有害物質(重 有害物質(農 発 性 有 機 化 金属等) 薬等) 合物) ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 留意点 土壌溶出量基準に適合せず地下水 汚染が生じていない土地に対して 実施する。 地下水の水質測定は、地下水汚染 が生じていないことを確認する対 策のため、対策の期限は定められ ない。 第二溶出量基準適合土壌について 適用可能であり、不適合土壌につ いては、第二溶出量基準適合後に 対策を実施する。 対策実施後に基準不適合土壌が残 置するため、封じ込め構造の管理 が必要となる。 第二溶出量基準適合土壌について 適用可能であり、不適合土壌につ いては、第二溶出量基準適合後に 対策を実施する。 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 汚染物質種ごとの適用可能性 対策の種類 措置内容 第一種特定 第二種特定 第三種特定 有害物質(揮 有害物質(重 有害物質(農 発 性 有 機 化 金属等) 薬等) 合物) 地下水 汚染 揚水施 設の 地下水汚染が認められる場合に、地下水揚水施設を設置して の拡大 の防 設置 地下水を揚水する。 止 揚水設置後は、効果確認のため地下水の流動状況を踏まえて 揚水施設の下流側に観測井を設置し、地下水汚染が拡大して いないことを確認する。 資-146 透過性 地下 地下水汚染が認められる場合に、透過性地下水浄化壁を設置 水浄化 壁の する。 設置 透過性地下水浄化壁設置後は、効果確認のため地下水の流動 状況を踏まえて透過性地下水浄化壁の下流側に観測井を設 置し、一年に4回以上定期的に地下水を測定し、地下水汚染 が拡大していないことを確認する。 土壌汚 染の 掘削除去 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握し、基準不適合土 除去 壌を掘削後に基準不適合以外の土壌で埋め戻しを行う。 対策の効果確認は、土壌溶出量基準に不適合土壌について は、下流側に1以上の観測井を設置し、一年に4回以上定期 的に地下水を測定し、地下水汚染が2年間継続してないこと を確認する。ただし、対策前に地下水汚染が生じていない場 合は、掘削除去後の地下水測定は1回で可能とする。 対策が適切に行われていることが確認された場合、要措置区 域の指定が解除となる。 原位置浄化 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握し、基準不適合土 壌がその場所にある状態で抽出又は分解その他の方法によ り土壌中から汚染物質を除去する。 浄化の効果確認は、壌溶出量基準に不適合土壌については、 1以上の観測井を設置し、一年に4回以上定期的に地下水を 測定し、地下水汚染が2年間継続してないことを確認する。 対策が適切に行われていることが確認された場合、要措置区 域の指定が解除となる。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 留意点 地下水汚染の拡散防止を目的とし ているため、第一種特定有害物質 の原液等、水とは異なる相として 移動している汚染物質は対象とし ない。 また、継続的に地下水汚染が拡大 していないことを確認する必要が あるため、対策が完了することは ない。 対策実施において、事前に帯水層 の透水係数等を確認し、自然地下 水流がほとんどない場合、あるい は一定しないとみなされる場合及 び非常に地下水流速が速い場合は 別の対策も検討するものとする。 原位置浄化は、対象汚染物質が浄 化可能な手法を事前に確認するこ とがが重要であり、そのために事 前の試験や実績等を確認する。ま た、原位置浄化は対策完了まで比 較的時間がかかること、浄化が均 一には進まないおそれがあること を念頭において検討を進める必要 がある。 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 汚染物質種ごとの適用可能性 対策の種類 措置内容 遮断工封じ込め 不溶化 資-147 1 2 3 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握して基準不適合 土壌を掘削した後に、仕切設備を設置し、仕切設備内部に掘 削した基準不適合を埋め戻す。さらに土地の上面について は、雨水が浸透せずかつ土地利用に耐えられる強度の素材で 覆う。また、目視等により損壊の有無を点検できる構造とす る。 原位置 不溶 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握してその範囲に 化 おいて薬剤の注入等により汚染物質が溶出しないように性 状変更する。さらにシートによる覆い、覆土、舗装等地表面 からの飛散等の防止のための対策を講じる。 対策の効果確認は、対策実施後 100m2 ごとに任意の地点にお いて深さ1m から基準不適合土壌のある深さまで1m ごとに 土壌を採取し、土壌溶出量基準に適合することを確認する。 また、下流側に1以上の観測井を設置し、一年に4回以上定 期的に地下水を測定し、地下水汚染が2年間継続してないこ とを確認する。 不溶化 埋め 基準不適合土壌のある範囲及び深さを把握して基準不適合 戻し 土壌を掘削後に、薬剤の注入等により汚染物質が溶出しない ように性状変更し、土壌溶出量基準適合土壌として埋め戻 す。 性状変更を行った土壌は埋め戻す前に、概ね 100m2 ごとに5 点採取して同重量混合後に測定し、土壌溶出量基準に適合し ていることを確認する。 さらにシートによる覆い、覆土、舗装等地表面からの飛散等 の防止のための対策を講じる。 対策の効果確認は、下流側に1以上の観測井を設置し、一年 に4回以上定期的に地下水を測定し、地下水汚染が2年間継 続してないことを確認する。 第一種特定 第二種特定 第三種特定 有害物質(揮 有害物質(重 有害物質(農 発 性 有 機 化 金属等) 薬等) 合物) × × × 留意点 第一種特定有害物質(揮発性有機 化合物)は地中深く浸透しやすく 取扱いが困難なため、それ以外の 汚染物質を対象とする。 事前に適用可能性試験を実施し、 不溶化が可能であることを確認す る。また、不溶化材を基準不適合 土壌に注入することから、地下水 にそれらが拡散していないかを周 囲の地下水で確認する必要があ る。 × × × 対象汚染物質は第二特定有害物質 による基準不適合土壌のみを対象 としており、第一種特定物質や第 三種特定物質の共存があった場合 には、それを除去した後に実施す る。 事前に適用可能性試験を実施し、 不溶化が可能であることを確認す る。 注 1: ◎. 講ずべき対策(指示措置)、○. 指示措置と同等以上の効果を有すると認められる対策(措置)、×. 選択できない対策(措置) 2: 「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」(環境省 水・大気環境局 土壌環境課 平成 24 年8月)より作成 参考資料 「第5章 地下水・土壌汚染等に関する対応」についての詳細資料 1 6.2 ダ イ オ キ シ ン 類 特 別 措 置 法 に 則 し た 環 境 対 策 の 考 え 方 2 ダ イ オ キ シ ン 類 土 壌 汚 染 対 策 事 業 実 施 要 領 ( 平 成 13 年 3 月 、 環 境 省 ) 及 び 建 設 工 3 事 で 遭 遇 す る ダ イ オ キ シ ン 類 汚 染 土 壌 対 策 マ ニ ュ ア ル ( 平 成 17 年 12 月 、 独 立 行 政 4 法 人 土 木 研 究 所 ) か ら と り ま と め た ダ イ オ キ シ ン 類 の 汚 染 土 壌 対 策 の 概 要 は 表 6-8 5 に示すとおりである。 6 7 表 6-8 対策内容 原位置浄化処理 抽出、分解 掘削搬出処分 掘削除去 原位置封じ込め 覆土・敷土工法、 遮水壁工、固化工法等 8 9 ダ イ オ キ シ ン 類 の 汚 染 土 壌 対 策の 概 要 留意点 (モニタリング等) 土 壌 に 含ま れ る ダ ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 が ・作業実施時 に二次汚染 の発生防止及 イオ キ シン 類を 無害 3,000 pg-TEQ/g 超 の土壌 に び 作 業 員 の 作 業 環 境 の 確 認 の た め に、大気、排 出水及び地 下水につい 化し 、 環境 基準 以下 ついて適用する。 て、施工開始 直後及び工 事実施期間 にす る 。浄 化処 理技 術 は 、「 熱 分 解 法 」、 中にモニタリングを 実施 する。 「化 学 分解 法」 及び ・浄化処理が適切に実施されている か、一定処理 量ごとに土 壌の環境基 「その他の分解方 準を満たしているか 確認 する。 法」等がある。 ダ イ オ キシ ン 類 汚 受 入 可 能 な 浄 化 処 理 施 設 ・作業実施時 に二次汚染 の発生防止及 染 土 壌 を 掘 削 搬 出 または最終処分場等の搬出 び 作業 員 の作業 環 境の確認 の ため し、 最 終処 分場 (管 先 が 確 保 で き る 場 合 に 適 用 に、大気、排 出水及び地 下水につい 理型 ) など で適 切に する。 て、施工開始 直後及び工 事実施期間 処分する方法。 ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 が 中にモニタリングを 実施 する。 3,000pg-TEQ/g 以 下 の 土 壌 ・掘削除去し たダイオキ シン類汚染土 は 管 理 型 処 分 場 、 壌 は 、土 壌 汚 染 対 策 法 に 準 じ た 管 理 3,000pg-TEQ/g 超 の 土 壌 は 票 等 に よ り 、搬 出 ・ 運 搬 ・ 処 分 を 管 理する。 浄化処理施設へ搬出 する 。 ダ イ オ キシ ン 類 汚 掘 削 し た 汚 染 土 壌 の 受 入 ・作業実施時 に二次汚染 の発生防止及 染土 壌 の現 場内 で、 可 能 な 浄 化 処 理 施 設 及 び 最 び 作 業 員 の 作 業 環 境 の 確 認 の た め 土や 遮 水壁 、固 化剤 終 処 分 場 が 確 保 で き な い 場 に、大気、排 出水及び地 下水につい など を 用い て周 辺環 合等に適用する。 て、施工開始 直後及び工 事実施期間 境と ダ イオ キシ ン類 中にモニタリングを 実施 する。 ・工事中に濁り が発生し た場合、地下 汚染 土 壌を 分離 し、 水へダイオキシン類が移動してい ダイ オ キシ ン類 の汚 ないことを確認する ため 、措置後の 染拡 大 を防 止す る方 地下水を年1回以上 、2 年間実施す 法。 ることが望まれる。 措置内容 適用条件 注:ダイオキシン類土壌汚染対策事業実施要領(平成 13 年3月、環境省)及び建設工事で遭遇するダイオキシン 類汚染土壌対策マニュアル(平成 17 年 12 月、独立行政法人 土木研究所)より作成 10 11 資-148