Comments
Description
Transcript
いろいろな電池をつくろう(発展)
電池を探る いろいろな電池をつくろう(発展) 日常生活の中では,さまざまな電池が利用されています。電池とは,物質のもつ化学エネルギーが 化学変化によって電気エネルギーに変わる装置のことをいいます。さまざまな化学変化をうまく利用 して,装置を工夫することにより電気エネルギーを取り出す電池について,体験的に学ばせてみては いかがでしょうか。 1 準備 2mol/L 希硫酸,亜鉛板,銅板,銅線,ステンレス線,鉛板,備長炭,ディスポーザブル注 射器,2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液,シリコンチューブ,三方活栓,クリップ付きリード 線(赤・黒),電子オルゴール,パラフィルム,ゴム栓,プラスチック容器,ガラス管,電源 2 実験 (1) ボルタ電池をつくる ・ディズポーザブル注射器を利用して,電極に亜鉛板と銅板を使用して次の手順①~⑩(図1 及び図2)で反応容器を製作し,ボルタ電池をつくる。 金属板 穴 金属線 ① 三方活栓 電極 チューブ 1 本の中央にキ リで穴を開 ける( 銅線を 通すための穴) ② ③ ディスポーザブル注射器 金属線の端をチューブの 内側から穴に通す チューブ 注射器内に電極を入れ, 金属線を注射器先端か ら外に出し,銅線の端を 少し曲げる ④ (次頁へ) 図1 製作手順①~④ (前頁から) 注射器先端に チューブをはめ て,金属線を整 える ⑤ ⑥ ⑦ 電極の上端は 注射器の目盛 り 2mL の位置 金属線の穴のまわりにパラフィル ムを巻きつけて密閉する 反応管完成,亜鉛板,銅 板 1 本ずつつくる 吸い上げる ⑧ ⑨ 開く ⑩ 閉じる 希硫酸で満 たす 希硫酸 ゴム栓 三方活栓を開き,別の注射器で希硫酸を吸い上げて, 反応管内を希硫酸で満たす ガラス管 ゴム栓 ガラス管 ボルタ電池完成 図2 製作手順⑤~⑩ 亜鉛板と希硫酸は反応するので,この後すぐに電池の電極から出た銅線にクリップ付きリ ード線をつなぎ,電子オルゴールに接続して放電し,電流が流れることを確かめる。 電極をアルミニウム板に交換し,起電力の違いを確かめてもよい。 (2) 鉛蓄電池をつくる ・(1) のボルタ電池の電極を2本とも鉛板に交換して,同様な手順で鉛蓄電池を完成させる。 ・装置完成後,まず電池の電極から出た銅線にクリップ付きリード線をつなぎ,電源に接続 して3分間充電する。 ・充電時に電極から気体が発生するが,電池の性能には影響しない。 ・電池の電極から出た銅線にクリップつきリード線をつなぎ,電子オルゴールに接続して放 電し,電流が流れることを確かめる。 (3) 水素燃料電池をつくる ・(1) のボルタ電池の電極を2本ともニッケル金網上にパラジウムをメッ キした電極に交換し,容器を電気分解用容器に交換し,容器内に水酸化 ナトリウム水溶液を入れて,同様な手順で水素燃料電池(図3)を完成 させる。 ・装置完成後,まず電気分解容器から出たステンレス線にクリップつきリ ード線をつなぎ,電源に接続して充電する。電気分解によりシリンジ内 に水素と酸素がたまる。 ・充電後,シリンジ内の電極から出た銅線にクリップ付きリード線をつな ぎ,電子オルゴールに接続して放電し,電流が流れることを確かめる。 3 図3 電気分解容器による 水素燃料電池 実験上の留意点 ・金属板のうち,特に鉛板は有毒のため,直接手で触れないように注意する。 ・希硫酸溶液,水酸化ナトリウム水溶液は直接手で触れないように注意し,実験中はゴーグル や使い捨て手袋などを使用し,安全に配慮する。 ・ボルタ電池及び鉛蓄電池の電極から発生する気体には水素が含まれているため,実験中の換 気を十分に行う。 ・実験後の希硫酸溶液,水酸化ナトリウム水溶液は,中和処理後廃棄する。 ・実験後の電極は,ビーカーに水道水を入れて図2の手順⑧により水道水で反応容器を満たし て電極を洗浄する。 ・鉛蓄電池及び水素燃料電池の充電は,手回し発電機を利用してもよい。 4 予想される学習者の思考 ・「電池放電時の電極の様子から,化学変化が起きていることがよくわかる。 」 ・「鉛蓄電池や水素燃料電池は充電すれば何度も使用することができるのだろうか。」 ・「鉛蓄電池や水素燃料電池の充電と放電では,どのような化学変化がおきているのだろう。」 ・「ボルタ電池の電極を他の金属板に変えても,電池となるのだろうか。」