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英語英米文学科ゼミナール連合通信 第1号

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英語英米文学科ゼミナール連合通信 第1号
1
KANTO GAKUIN UNIVERSITY
THE ENGLISH DEPARTMENT NEWSLETTER VOL.1
関東学院大学文学部 英語英米文学科ゼミナール連合通信
CONTENTS
英語英米文学科主催
シンポジウム・連続講演会
今年度、本学科は英 語 教
育・英 語 学・英 米 文 学 の
各分野から講師を招いて
シンポジウムおよび連続
講演会を開催。大盛況のう
ちに終了したそれぞれの
様子をお伝えする。
翻訳の裏話:日本文学翻訳家
A.パウエルさんを迎えて
日本文学を英訳する作業
の難しさ、そして“真のバ
イリンガル”とは。NY 在
住の翻訳家パウエルさん
の見解に迫る。
インタビュー:留学体験
米国への長期留学、英国へ
の短期留学を体験した2
人の学生が、それぞれの経
験と留学に行く価値につ
いて語る。
MACBETH by ITCL
シェイクスピア の4大 悲
劇として名高い『マ ク ベ
ス』を上演。演出に込めら
れた意味とその面白さに
ついて、演者であるエリッ
クさんに聞いた。
シェイクスピア英語劇
『から騒ぎ』
本学の恒例行事である
シェイクスピア英語劇に
て、本学科の1年生と4年
生が好演。それぞれ、初舞
台とは思えぬ落ち着きぶ
りと、4度目の舞台で堂々
たる演技を見せた。
就活体験談
厳しい就職戦線を勝ち抜
くためには、どのようなこ
とを心掛ければよいのか。
成果を挙げた2人 の 学 生
に聞いた彼らの成功の秘
訣とは。
第1号
2013年1月11日発行
創刊にあたり
英語英米文学科長 安藤
潔
英語英米文学科では、昨年2011年度より、学科活性
化、学生の学内活動奨励を目的にゼミナール連合会を
結成しました。初年度は先ず連合会の組織作りをして、
次いで2年次学生のゼミナール選びに資する学生主体
のゼミ案内、
“Seminars in English Studies”を文字通
り学生の皆さん中心に作っていただきました。年度末
にはこれまた学生主体で卒業論文発表会を開催し、同
At Lyme Regis in West Dorset, England
時に卒業論文要旨集を発行し、それぞれ好評を得まし
た。
2年目の今年度は、昨年度の活動に加え、
「英語英米文学科ゼミナール通信」を創刊
し、ゼミを中心としたこれまでの学科の活動を広く広報することにしました。この出
版に際しても学生の皆さん主体に活動していただいています。
現在関東学院大学では、学部レベルでの改組構想が進行中ですが、英語英米文学科
では改組を検討する一方で、7項目にわたる学科活性化策を実施しています。
ゼミナー
ル連合会の関連行事はその一つで、ゼミナールを通じての学科および学生活動の活性
化を目指しています。以下にご紹介の各項目にも、これらの活動の説明が行われてい
ますが、このような学生と教員の活発な活動が本学の評価に結びつくことを期待して
います。
今後も学生と教員が一致して溌剌として活発な学科にしていきたいと思います。
実りの季節に
桃栗三年柿八年。木々は一定の年月
を経なければ実がならないと言われま
す。人も同じのようで、大学生という
木は実をつけるまでに4年の歳月が必
要です。皆さんは4年をかけてどんな
実をつけたいですか。どんな実をつけ
ましたか。
卒業論文は大学生の木になる実りの
一つと言っていいでしょう。昨年は29
名の方が論文を提出しました。その中
2011年度 卒業論文発表会の様子
から代表者9名が「第1回卒業論文発
」で4年間の勉学の成果を披露してくれました。ハンドア
表会(2012年2月2日開催)
ウトによる発表もあれば、パワーポイントを利用した発表もありました。日本語によ
る発表もあれば、英語による発表もありました。どれもそれぞれに味わいのある素晴
らしい研究成果であったと思います。司会や会場準備などの大会運営もゼミナール連
合会の役員の学生が行い、学生による学生のための発表会になりました。
今年も第2回の卒業論文発表会を予定しています。4年間の勉学の成果が凝縮され
た実り豊かな発表が聞けることを楽しみにしています。来年度卒業論文を書こうと
思っている3年生はもちろんのこと、まだまだ先のことと思っている1、2年生も是
非参加して、先輩たちの研究成果を味わってみてはいかがですか。
(英語英米文学科教授 大橋 一人)
2 The English Department Newsletter Vol.1
英語英米文学科主催シンポジウム
『e-ラーニングの現状と可能性』
写真左より、細谷、杉浦、伊藤、神谷各講師
近年とみに研究と実践が進む「e-ラーニング」による外国語研
究のありかたについてのシンポジウムが、英語英米文学科の主
催にて行われた。
講師の方々は「e-ラーニング教育学会」の中心
的なメンバーで、いずれもこの分野での牽引者的な立場にある
方々であった。英語学習の自習ソフトの現状という実践的な学
習法についての講義や、大学を中心とした地域との外国語学習
における連帯や、高大連携の可能性など現在注目を集めている
e-ラーニングの活用についてのシンポジウムであった。IT教
育に関心のある学生や教職員および近隣の方々など100人を超
える参加者があり、活発な質疑応答ののち盛会のうちに終了し
(英語英米文学科教授 仙葉 豊)
た。
2012年7月6日 14:30∼17:00 於 K-231教室
◆パネリスト
◆司会兼キーノート・スピーチ
杉浦健介(東北大学大学院国際文化研究科教授)
「e-ラーニング・システムを活用した外国語教育」
細谷行輝(大阪大学サイバー・メディア・センター教授)
「e-ラーニング教育の現状と可能性」
伊藤直哉(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション学術院教授)
「北海道大学の e-ラーニング外国語教育の特徴」
神谷健一(大阪工業大学知的財産学部講師)
「ウェブ・サイトを使った効果的な英語学習法」
この秋、英語英米文学科では、在学生および学外者
一般の皆さんを対象に3回にわたる連続講演会を実施
しました。
英語英米文学科主催連続講演会
第1回 「一億人の英文法
THE STRUCTURED MIND」
講師:大西泰斗
(東洋学園大学教授) 10月25日
(木) 午後2:40∼4:10
第1回講演会では、
NHK 教育テレビの「ハートで感じる英文法」の講座講師として
も広く知られる大西泰斗先生が「文学部の専門性」ということを念頭に、英文法につ
いて講演されました。大西先生のパワフルで圧倒的な語り口が受講者のハートを鷲づ
かみにし、講演後の質問コーナー、急遽開催された著書サイン会、ともに大盛況のう
ちに幕を閉じました。
第2回 「イギリス・ロマン派の詩を読む
ブレイクを中心に」
講師:松島正一
(学習院大学名誉教授) 11月9日
(金) 午後4:20∼5:50
第2回講演会では、イギリス・ロマン派研究の第一人者である松島正一先生が、
ワー
ズワス、へリック、バイロン、キーツの詩、さらには、ご専門のブレイクの『無垢と
経験の歌』の主要な詩について、初学者にも分かりやすく講演されました。ブレイク
の思想が“Innocence”から“Experience”を通じ、
“Higher Innocence”に到達する
という結語には、多くの受講者が感銘を受けました。
第3回 「アメリカ小説に恐ろしさを読むこと」
講師:片山厚
(北海道大学名誉教授) 12月7日
(金) 午後4:20∼5:50
第3回講演会では、アメリカ文学がご専門の片山厚先生が、ロバート・フロストの
詩とジョイス・キャロル・オーツの短編を中心に、アメリカ文学の中にある、なんと
もいいいようのない不気味さと恐ろしさを語ってくださいました。講演の途中、地震
があり、長くつづいたので、その恐ろしさも、講演の内容とあいまって、印象深い講
演会でした。
The English Department Newsletter Vol.1 3
翻訳の裏話:日本文学翻訳家 アリソン・パウエルさんを迎えて
アリソン・パウエルさんは、ニューヨークを本拠地にして
活躍するフリーランスの翻訳家であり編集者である。11月6
日(火)に予定されていた講演が、ハリケーン・サンディの
影響で来日不可能になり、残念な思いであった。しかし毎年、
一週間はビジネスの合間をぬっての休暇も兼ねているとのこ
とで、約一カ月後に来日が実現して、12月4日(火)にまた
講演を引き受けてくれ、ありがたいことであった。
当日は、今年出版したばかりの川上弘美の小説『センセイ
の鞄』の英訳本 The Briefcase の題名を決めた際、なぜ「セ
ンセイ」を省略したのか。翻訳を仕上げた後、ニューヨーク
で作者の川上弘美と会って、一緒にお酒を飲んだところ、意
外にも作者が酒豪であったことなど、興味深い逸話を話して
(前列左より)本学名誉教授エリオット先生、
パウエルさん、
筆者
くれた。
ゼミナールでの講演をと依頼したところ、自分ひとりで話すより、
同じ翻訳に携わっているウィリアム・Ⅰ・エリオッ
トさんやわたしとの鼎談は、気楽にやれるので、それで行きましょうということになった。打ち合わせなしのぶっつ
け本番なので、どんなことになるやら不安はあったものの、エリオットさんのかじ取りで、翻訳にまつわる適切な言
葉の発見の難しさを、体験に即して語ってもらえた有意義な時間であった。パウエルさんの翻訳が目指すのが、ひと
つの意味に断定される文体ではなく、どちらかというと曖昧な雰囲気をまとった文体であるというのが印象に残った。
エリオットさんの見解は、本当の意味でのバイリンガルは実は見つけるのは本当に困難であるというもの。表面的
にはバイリンガルはあちこちにいそうだが、深いレベルでのバイリンガルは皆無に近いとのこと。ジョージ・スタイ
ナーのようなトライリンガル(3つの言語を操るひと)な存在が、いかに珍しいかを力説していた。学生たちは狐に
つままれていたかもしれないが、じつに真剣な面持ちで熱心に聞き入ってくれていた。同僚の先生方もお二人参加し
て下さり、活発な質問をいただき、感謝申し上げる。
(英語英米文学科教授 西原 克政)
大橋ゼミ・草山ゼミ対抗スポーツ大会結果
スポーツの秋というには少し遅い11月中旬,大橋ゼミ対草山
ゼミ対抗の合同スポーツ大会が開かれました。種目はバスケッ
トボールとドッジボール。
「ドッジボールなんて」と最初はばか
にしていたものの、やってみると体力が10代の頃よりも落ちて
いて「こんなに疲れたっけ?」という声もちらほら。バスケッ
トボールでも、コートの端から端まで走って息も絶え絶になっ
てしまいました。結果はどちらの種目も草山ゼミの勝利となり
ました。
同じ英語学を学ぶゼミナールとして交流を深め、今後もこの
ような合同行事が増えればと思います。互いの好敵手として、
研究の刺激となる行事もしていきたいと考えています。
(英語英米文学科4年 大谷 孝志)
4 The English Department Newsletter Vol.1
インタビュー:留学体験
∼イギリス、アメリカへの留学(3週間と4ヶ月)∼
◆大沼雄太
英語英米文学科4年、本村ゼミ所属。2011年
度、米国リンフィールド大学へ交換留学(4
ヶ月間)
。同校サッカー部に所属、公式戦出場
を果たす。また、近隣の各州への遠征にも参
加するなど、精力的に活動。
本日は、共に留学経験のある大沼さん(アメリカ・長期)と宮山さん(イ
ギリス・短期)にお越しいただきました。お二人はそれぞれ異なった環境
に行かれたわけですが、現地に到着してみて、
日本の生活と違った点や困っ
た点など、気づいたことはありましたか?
大沼 まず学生の生活についてですが、彼らは宿題に追われる平日を過ごし、
週末になると一気に解放されて遊ぶ、というケジメのついた日々を送っていま
した。日本の学生以上に勉強に時間を割いていて、学習に対する意欲の高さを
感じさせられました。
宮山 夏休み期間中の短期留学だったので、現地(オックスフォード大マンス
フィールド・カレッジ)の学生と授業を受けることはできなかったんですが、
話を聞いた限りでは、1年次から積極的に専門科目を取っているなど、アメリ
カ同様に勉強が主のようです。困ったのは食生活ですね。味付けなどがかなり
異なっていて、他のメンバーも困っていました。
大沼 食生活は僕も困りました。脂っこいものが多くて、体に悪いかなという
のはありました。あとは土地が広いので、学生は基本的に車で移動しなきゃい
けなかったことですね。一応バスはあったんですが、本数が少なかったり、移
動時間が長かったり。なので、移動で一日が潰れてしまうことも多かったです。
ありがとうございます。さて、次の質問は期間についてです。長期(4ヶ
月)と短期(3週間)という期間は、それぞれ自分にとってどうだったか
を総括してください。
大沼 まず思ったのは、
「短かった」ということですね。よく言われますが、3
ヶ月経っていろいろと慣れて、これから楽しみ始める時期に帰国するのは、や
はりやりきれない気持ちが大きかったです。期間についても1年行ければいい
なとは思ったんですが、日本での就活などもありますからね。
「2年生の時に行
ければ」というのはありました。それとみんな感じていたのは、2、3ヶ月目
交換留学生との交流会
日本語と英語の不思議を“言語を学ぶ友人”とともに分かち合う
11月9日、大橋ゼミは米国リンフィールド大学から4
名、同ミネソタ州立大学から1名の留学生を迎え、
『英
語・日本語の不思議』と題した交流会を開きました。留
学生は日本語について、ゼミ生は英語についての疑問を
3つの班でディスカッションし、そこで得られた答えを
プレゼンテーションする今回の交流会。
「日本語の“分か
る”と“知る”の違いは何?」等、日頃私達が意識しな
い表現を、どう英語で説明しようか悩んだり、
「日本の若
者が別れ際に『お疲れ様』と言う理由は?」といった習
慣についての質問もありました。
大橋ゼミ初の試みである今回の特別ゼミは、留学経験
のあるゼミ生が中心に司会進行し、時に笑いありの和や
かなムードに包まれ、最後は、
「お疲れ様でした」と交流
会を締めくくりました。
この交流会では、同年代の“言語を学ぶ友人”として
“痒いところに手が届く表現”を教え合うことができた
と実感しました。大橋ゼミでは、文献や辞書だけでは分
からない言葉の不思議をテーマに、今後も留学生との交
流を続けていきたいと考えています。
(英語英米文学科4年 大谷 孝志)
意見交換をする大橋ゼミ生と交換留学生
The English Department Newsletter Vol.1 5
今回は、それぞれアメリカ・リンフィールド大学への4ヶ月間の交換留学、およびイギリス・オックスフォード大学マンス
フィールド・カレッジへの3週間の夏季研修を修了した留学経験について、英語英米文学科生の2人にお話を聞きました。
留学を検討するにあたって、多くの方々が気になるであろうポイントを中心に取り上げました。このインタビューが皆さん
にとってよい材料になればと思います。
(英語英米文学科3年 末松 慧)
に気持ちの緩みが出来て、
“欲のない時期”というものもありました。高いモチ
ベーションを維持するのは、思っていた以上に難しいことでした。
宮山 4ヶ月が短いなら、3週間はもっと短いですね。ただ、
“たった3週間だ
からこそ、徹底的にやらなきゃ”という思いがありました。個人的には耳が英
語に慣れるのも早かった気がするし、話すことについても、もしかしたら4ヶ
月(長期留学に)行くよりもペースが早かったかな、という感じです。
そこは決定的に違うポイントかもしれません。次の質問ですが、お二人の
留学経験が活きた場面などはこれまでにありましたか?
大沼 英語力がついたというのももちろんですが、僕のゼミの3年生の半分ぐ
らいが留学に行くということだったので、その時にアドバイスすることができ
ました。このとき、自分の経験を還元できたかなと思っています。
宮山 僕は、自分自身が積極的になったと思います。挙手する回数が増えると
か、発言数が増えるとか。向こうでの日々の中で圧倒されないようにしていた
姿勢を、そのまま日本に持って帰ってきたせいだと思います。
お二人とも確かな収穫があったようですね。それでは最後に、今後留学を
考えている人々に向けたメッセージをお願いします。
宮山 行けば絶対に英語力はつきます。
僕自身、
“オックスフォードに行きたい”
というのが KGU に来た理由のひとつなので、そういった経験から、学びたい文
化、地域をハッキリさせることが大事だと思います。行きたい理由を述べられ
るようになってほしいですね。期間の長さはそれに伴ってくると思います。
大沼 留学に行く過程も含めて、一生懸命やってこそ留学に行くメリットがあ ◆宮山大輝
ると思います。自分の知る世界が広がったし、勉強の楽しさを知ることも出来 英語英米文学科3年、草山ゼミ所属。2012年
ました。
“一生懸命に取り組む自分”に出会えるので、そういった観点からも、度、英国オックスフォード大学マンスフィー
留学は自分の生き方にとってもプラスになります。留学に行く価値は絶対にあ ルド・カレッジ夏季語学研修に参加(3週間)。
同研修のリーダーを務め、現地の人々と本学
りますね。
学生とのパイプ役として活躍。
2012年度学内留学プログラムにおける
英語英米文学科生参加状況
夏のおわり―休日のホームパーティーにて〈リンフォード大学〉
カレッジ BAR で乾杯!〈オックスフォード大学マンスフィールドカレッジ〉
本学国際センターによると、2012年度学内留学プ
ログラムに、英語英米文学科からは長期留学に13名、
夏期語学研修に4名の学生が参加しました。特に、
長期留学の参加人数については、学内でも群を抜く
実績となっています。
本学では、長期留学・短期留学の2つの留学プラ
ンが設けられています。なお、長期留学プログラム
への申し込みには、各協定校が設ける基準に達する
TOEFL-ITP スコアの取得が必須となっています。
今年度最終となる TOEFL-ITP テストは、2013年2
月20日(水)に金沢八景キャンパスにて実施されま
す。留学を考えている学生のみなさんはこの機会に
受験しましょう!
お問い合わせ:国際センター
(金沢八景キャンパス・フォーサイト21内)
[email protected]
6 The English Department Newsletter Vol.1
英語英米文学科主催 英語劇公演
Macbeth
by International Theatre Company London
シェイクスピア4大悲劇の一つとして名高い『マクベス』が、ITCL
による公演で、2012年6月1日に金沢公会堂で行われました。本学が演
劇の本場ロンドンから ITCL を招聘するようになって7回目の今回の公
演には、学生から一般の方々まで幅広い年齢層の500名を超える来場者が
ありました。
公演終了後に、一人六役を演じたエリック=テシエ=ラヴィーニュ氏
に、萩原ゼミでインタビューしました。まずエリックさんが好きな役に
ついて尋ねてみたところ、意外にもダンカン王の名が最初に挙がりまし
た。シェイクスピアが、実際には悪い王だったダンカンと善き王だった
マクベスの善悪を入れ替えて戯曲に脚色したところが、エリックさんは
好きだということですが、今回の劇ではダンカンが盲目の設定になって
ダンカンに忠誠を誓うマクベスだったが…
いることについて話してくれました。これは、マクベスに裏切られて殺
されるダンカンを、より一層「無防備で傷つきやすい」
(vulnerable)存在にするための演出だということでした。
「盲
目の善き王ダンカンがマクベスによって殺害される場面」は、原作者シェイクスピアと演出家ポール・ステッビング、
二人の「技」が感じられる場面だったのです。
他にエリックさんが好きなのは、門番が「性と死」について踊りながら語る場面と、マクベス夫人がマクベスにダン
カン王の暗殺をそそのかす場面だということでした。たしかに門番のシーンは、悲劇的な場面が多い中、会場内が笑
いで溢れた場面でしたし、マクベス夫妻の会話の場面は、本公演のポスターの副題である“Are we driven or do we
drive?”
(人は破滅へと追い込まれるのか?それとも突き進むのか?)という言葉を連想させる印象的なシーンでした。
昨年6月に日本公演を終えて以来、世界ツアーという名目通り、ヨーロッパ各地で上演され続けてきた ITCL の『マ
クベス』は、いよいよツアー終了を迎える頃でしょう。最新情報によれば、2013年春の ITCL による公演は5月31日に、
例年通り、金沢公会堂で実施される予定です。注目の上演演目には、シェイクスピア喜劇『じゃじゃ馬ならし』
( The
Taming of the Shrew )の名が挙がっています。今年も大盛況だった ITCL 英語劇でしたが、来年の公演にも期待が膨
らみます。
(英語英米文学科3年 森 夢作志)
英語英米文学科の学生が熱演
第61回関東学院大学シェイクスピア英語劇公演『から騒ぎ』にて
関東学院大学の年末の恒例
行事となっているシェイクス
ピア英語劇の公演が、2012年
11月30日∼12月1日に桜木町
の県民共済みらいホールにて
行われ、3回の公演を通して
400名を超えるお客様に楽し
んでいただきました。今年の
演目はシェイクスピアのロマ
ンティック・コメディを代表
する『から騒ぎ』
(Much Ado
アーシュラを好演した遠藤さん
鴨志田君演じるクローディオ
About Nothing )。
今回の公演には英語英米文学科から2名の学生が参加してくれました。4年生の鴨志田大輝君と1年生の遠藤玲奈
さん。鴨志田君は今回の舞台で4度目となるベテランで、主人公のクローディオを熱演。一方、遠藤さんは高校の時
にも英語劇を経験した期待の実力派。ヒロインの侍女アーシュラを演じ、一年目とは思えない落ち着いた演技で舞台
を支えてくれました。聞き取りやすい英語で堂々と演じ切ったのは、さすがに二人とも英語英米文学科の学生ですね。
(英語英米文学科准教授 福圓 容子)
The English Department Newsletter Vol.1 7
就活体験談
厳しい就職戦線を勝ち抜くために
釜利谷キャンパスのキャリアセンターによると、英語英米文学科4年生の今年度の就職内定率は12月現在、約5割
強だということ。昨年より好転したとはいえ決して順調とはいえません。そんな中、成果を上げた4年生の齊藤基世
さんと阿部直紀君にどのような就活をしたのか聞いてみました。2人に共通しているのはフットワークのよさ。あれ
これ考えるより、就職説明会や企業訪問ツアー等に積極的に参加し始めることが大事なようです。
(英語英米文学科准教授 萩原 美津)
齊藤基世さんの場合
∼荘内銀行に内定
阿部直紀君の場合
∼ECC に内定
…………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………………
多くの学生が本格的に就職活動を
始める4月早々に、第一志望の荘内
銀行から内定をもらい、就活を終え
た齊藤さん。彼女は山形県出身で、
Uターン就職をするか、首都圏で就
職するか、3年生の12月まで迷って
いたそうです。何をどうしてよいの
か分からないながらも、彼女はキャ
リアセンターに通いつめ、その時々
にできることをこなしていきました。
キャリアセンターが把握するかぎ
り、英語英米文学科最多の5社から
内定を獲得した阿部君も、齊藤さん
と同様、教育系、食品系、サービス
業など様々な業種の会社の試験を受
験しました。自分に何が向いている
のか見当すらつかないなか、就職説
明会に足繁く通ううち、自然と興味
が絞られていったそうです。
仕事をするということについて阿部君が真剣に考えるよう
になったきっかけは、3年時に学外でインターンとして働い
たことでした。副専攻で経営学科の授業を取っていた彼は、
先輩の紹介で子供たちに起業家体験をさせる経営コンサルタ
ントのプログラムに参加します。首都大学や法政大学の学生
も参加するなか、学歴コンプレックスに苦しんだという彼は、
自分の居場所をつくるために何をすべきか考えた末、プログ
ラムリーダーに立候補します。皆のスケジュール管理をした
り、意見をとりまとめたりするうち、ネガティブ思考からポ
ジティブ思考へと変わっていったそうです。そんな阿部君に
皆がついてきてくれたことも大きな自信になったとか。
面接対策で彼が特に力を注いだのは自己分析です。就活本
を入手してみたものの、自分には役に立たないと直感し、一
から考えたそうですが、たしかに自らを語る彼の言葉は独特
で、印象に残ります。一例を挙げるなら、
「短所は疑り深いこ
と」。他の人がなかなか言わないような言葉を耳にすると、面
接官は目に見えて興味をもってくれたそうです。
阿部君が一つ後悔しているのは、就活の序盤にSPI対策
をほとんどしなかったこと。当時、第一志望だった会社の集
団面接で、司会の学生がその場を収拾できなくなった時、急
遽、彼がその場をとりまとめ、難関を突破できたのですが、
その直後に SPI で失敗し、あっけなく落とされてしまった時
には、準備不足を心から後悔したそうです。
11−12月…SPI 対策。購買で購入した対策本を2、3回繰
り返す
12−1月初旬…履歴書、エントリーシート用の自己 PR
文を完成
1月中旬…履歴書の送付を開始
2月…就職説明会や山形県主催の企業見学ツアーに参加。
食品製造販売業、農業機器製作所、車のディーラー
等、異業種の約10社から話を聞き、4社にエント
リー。適正検査や筆記試験を受ける
3月…面接、グループ・ディスカッション
4月初旬…2次面接、3次面接を経て、荘内銀行に内定
エントリーシートや履歴書には自信を持って答えられるこ
とだけを書くこと、面接では相手の話しをよく聞き、論旨が
ぶれない発言をすることを心がけたそうです。一見、順調に
見えますが、2月はあまりの忙しさに発狂しそうになったと
か。4月に荘内銀行の内定がでた時には、他の大手銀行の面
接も進んでいましたが、地域に根ざした新しい銀行像を提案
する荘内銀行に魅力を感じ、同行に就職することを決めたそ
うです。女性が長く働ける環境が整い、女性支店長の数が多
いことも決め手だったということです。
2013年卒業・修了者対象 学内企業説明会
主催:関東学院大学キャリアセンター
開催日程:2013年2月14日 14:00∼17:00(予定)
場所:関東学院大学金沢八景キャンパス・フォーサイト21 10階
※ 時間、会場は調整中です。詳細は、キャリアセンター掲示板、KGU 就活 NAVI の掲示でご確認ください。
問い合わせ先:金沢八景キャンパス キャリアセンター(TEL:045‐786‐7017)
8 The English Department Newsletter Vol.1
2012 年度英語英米文学科
卒業論文発表会
2013年2月2日(土)13:30∼
於 K-123教室
今年度、英語英米文学科に提出された卒業論文の発表会を開催します。来年卒業論文を書く3年生はもちろん,卒
論ってどんなものなのだろうかと思っている1、2年次生も是非ご参加ください。もちろん他の学科の方や先生方も
大歓迎です。
※日程などは変更になる場合があります。校内掲示のポスターをご確認ください。
英語英米文学科生対象
TOEIC-IP テスト
実施のお知らせ
実施日:2013年2月2日(土)
2012年度卒業論文発表会同日開催
時間:9:20∼12:00(予定)
場所:金沢文庫キャンパス K-310,311教室
受験費用:無料(2・3年生対象)
※1・4年生については申し込んだ学生は受験可能です。
英語英米文学科ゼミナール連合会
昨年度、関東学院大学文学部
英語英米文学科にゼミナール連
No.1
合が発足した。同学科に所属す
る各ゼミナール間の連携を深め、
より広範な活動を可能にするのが、連合の大きな魅力のひと
つである。今年度の活動としては、ゼミナール紹介冊子およ
び本紙の発行、そして来る2月には、各ゼミナールに所属す
る4年生の卒業論文発表会を予定している▼こうした組織の
結成は、将来的に十分有益なものとなるだろう。当英語英米
文学科には実に多彩な専門を持つゼミナールが存在する。そ
れぞれが分野の枠を超えた交流を持つことになれば、即ちそ
れは学科全体の活気にもつながり得る▼将来への展望と希望
を込め、
“Vista”という言葉を当コラムのタイトルに冠させて
いただいた。この言葉のルーツはイタリア語にあり、
「光景」
を意味するものである。イタリアといえば、かつて繁栄を極
めたローマ帝国が連想されるが、
「ローマは一日にして成ら
ず」ということわざのように、このゼミナール連合も一歩ず
つ成長の途を歩んでいきたい。
(レイアウト編集担当 英語英米文学科3年 末松 慧)
Vista
LAST year, The Union of Seminar of KGU s Department of English started. One of the greatest advantages of
the Union is that we will be able to take more action in
strengthening cooperation among seminars. The Union s
upcoming activities are a publication Seminars in English
Studies and this paper, The English Department Newsletter , and presenting of graduation theses by senior students who belong to seminars / ORGANIZING a union like
this can be of great benefit to KGU students. Our English
Department has many seminars which have their own specialty, and if they meet each other and get an inspiration
over the borders, it means that there is a possibility to become more lively / THEREFORE, I decided to myself to
name this column Vista , with an outlook and a hope for
the future. This word comes from an Italian word, which
means scene in English. Speaking of Italy, we can associate with the prosperous Roman Empire. Rome was not
built in one day is an old saying. Like this proverb, I hope
that the Union will take greater steps in the future.
(Akira Suematsu)
The English Department Newsletter Vol.1(英語英米文学科ゼミナール通信 創刊号) 2013年1月11日 発行
編集:関東学院大学文学部英語英米文学科
編集協力:関東学院大学文学部英語英米文学科ゼミナール連合会
(786)
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