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4月号(PDF形式、 7.0Mバイト)
本印刷物は、Adobe 社 Acrobat により作成した PDFです。 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. アメリカ合衆国 キュラソー島 太平洋 ブラジル CONTENTS 2 新年度のごあいさつ 3 ソリューション&サービス・ケーススタディ-1 株式会社 日立製作所 執行役専務 情報・通信システム社 社長 岩田 眞二郎 大阪・東京間の編集会議や意思決定の迅速化に寄与する 日立ビジュアルコミュニケーションWooolive ―株式会社 日刊スポーツ新聞西日本― ̶ 富井義夫の世界遺産の旅 ̶ 5 オープンミドルウェア・ケーススタディ-1 拠点間の知識ノウハウの共有を1か月でサービスイン、 プロセスの標準化で、 業務効率と品質の向上を実現 ―株式会社 INAXメンテナンス― 移動するクイーン・エマ橋 (オランダ自治領/キュラソー島/ウィレムスタッド) 南米大陸のベネズエラから約60kmの沖合い、 カ リブ海に浮かぶキュラソー島。主都ウィレムスタッ ドは天然の良港に恵まれて発展した港町である。 7 オープンミドルウェア・ケーススタディ-2 自動車業界の購買業務をSaaS型サービスで効率化する 「Hi-PerBT ウェブ購買」 がHiRDBを採用 ―株式会社 すぎはら― ―株式会社 日立中国ソリューションズ― 明るい陽光の下、 シャーベットカラーの家並みが 続く景観は童話の挿絵のようでとても可愛らし い。 この町のプンダ地区とオトロパンダ地区を結 ぶクイーン・エマ橋は、船舶を通すため開閉式に なっているのだが、 その仕組みがちょっとユニーク 9 SOLUTION&SERVICE 冷蔵倉庫/食品物流センター向けのSaaS型サービス 「Sherpa/倉庫管理クラウドソリューション」 だ。 橋の下を見ると、 幾艘ものボートが!なんと、 橋 11 トラベルウォーキング 第99回 水と緑と歴史が息づく町、熊本を歩く (熊本県 熊本市) がボートに乗っていて移動する仕組みなのである。 橋を渡ろうとする人々は、 移動の間、 のんびりと両 岸で待っていた。 写真家 富井 義夫 13ソリューション&サービス・ケーススタディ-2 日立のシンクライアントソリューションを導入し、 国内同等の高速レスポンスによるオフショア化を実現。 高いセキュリティを確保しつつ、 業務コストを削減 ―株式会社 ジェーシービー― Photographer ・ Tomii Yoshio ■ ホームページにて 「フォトギャラリー世界遺産」 を掲載中 http://www.tomiiyoshio.com/ 15プラットフォーム&ソリューション・ケーススタディ-1 基幹システムを日立の 「BladeSymphony」 と 「Hitachi Storage Solutions」 で仮想化。 大幅な省スペース化と災害時の迅速な復旧を実現 ―中外製薬株式会社― 17 IT's eye ラボラトリー・レポート システム障害の根本原因をスピーディに特定できる障害対策支援システム (横浜研究所) 19 プラットフォーム&ソリューション・ケーススタディ-2 グローバルビジネスにおける競争力を強化すべく 「AP8800」 で基幹システムを刷新。 タイムリーな情報活用と業務効率化を実現 ―日本精機株式会社― 発 行 日 2011年4月1日 通巻527号 発 行 株式会社 日立製作所 情報・通信システム社 お問い合わせ 経営戦略室 ブランド・コミュニケーション本部 TEL (03) 5471-8900 (ダイヤルイン) 〒140-8572 東京都品川区南大井六丁目27番18号 日立大森第二別館 印 刷 日立インターメディックス株式会社 1 21 Learning Solution はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 日立研修ソリューション クラウドコンピューティング関連講座のご紹介 22 Topics & Information 東北地方太平洋沖地震への支援と対応について 本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しています。 はいたっく誌情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/hitac-magazine/ はいたっく 2011年4月号 新年度のごあいさつ 今回の東北地方太平洋沖地震で被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地 の一日も早い復興をお祈り申し上げます。我々情報・通信システム社としてもできるかぎりの支援活動 を行い、復興の一助となるべく努力をしてまいります。 皆さまには平素より、当社の製品・ソリューション・ なり、全員が力を合わせて事業運営にあたってまいり サービスをご愛顧いただき、 また、格別のご高配を賜り、 ますので、引き続きよろしくお願いします。 厚く御礼を申し上げます。新年度4月号の発刊にあた りまして、情報・通信システム社 社長として就任の 2011年度も情報・通信システム社は、 “お客さま視 ごあいさつを申し上げます。前任の中島と同様によろ 点” を第一に「お客さまとの協創による社会イノベー しくお願い申し上げます。 また、4月からの新体制とし ションへの貢献」 を経営ビジョンとし、 お客さまのビジネス て従来の3部門(サービス・グローバル部門、 システ の成長と社会のイノベーションに貢献するため、 そして、 ムソリューション部門、 プラットフォーム部門)が新たに 人と地球にやさしいサスティナブルな社会を実現する 2部門制となり、前年度から引き続いてシステムソリュー ため、情報・通信の技術を通じて社会の発展に貢献 ション部門CEOは最上 義彦、プラットフォーム部門 していきます。私ども日立製作所および日立グループ CEOは佐久間 嘉一郎が務めます。情報・通信システ へのご愛顧を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し ム社を構成する全世界のグループ会社各社と一体と 上げます。 株式会社 日立製作所 執行役専務 情報・通信システム社 社長 岩田 眞二郎 左から 情報・通信システム社 システムソリューション部門CEO 最上 義彦 情報・通信システム社 社長 岩田 眞二郎 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEO 佐久間 嘉一郎 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 2 ソリューション & サービス・ケーススタディ 1 大阪・東京間の編集会議や 意思決定の迅速化に寄与する 日立ビジュアルコミュニケーションWooolive 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本 ▶ http://www.nikkansports.com/ 時々刻々と新たなニュースを紙面に反映させなければならない新聞報道の現場では、 全国に展開されている拠点間でのリアルタイムな情報共有や意思決定の迅速化が重要な課題となっています。 そこで、 2009年に大阪・西部・名古屋の3社が合併して発足した 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本(以下、 日刊スポーツ新聞西日本)では、 東京・北海道も含めた 全国5本社(東京は株式会社 日刊スポーツ新聞社、 北海道は株式会社 北海道日刊スポーツ新聞社)を 高品質な映像と音声でつなぐ日立ビジュアルコミュニケーションWoooliveを導入。 オンデマンドに編集会議や経営会議を開催できる環境を整備し、 業務効率の向上と経営判断の迅速化に加え、 出張費用と移動時間の大幅な削減に成功しました。 Solution & Service case study 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本 役員待遇 役員待遇 編集センター 生産設備・システム担当 総務センター長 メディア戦略グループ 兼 経営戦略室長 石橋 聡一 氏 三笠 哲也 氏 島洋氏 画面の美しさと遅延のない音声が決め手に 「最後の最後という段階で、 とにかく一度Woooliveも試してみ ようということになりました。すると、 これまで検討していた他社製 東京・大阪・西部・北海道・名古屋の5本社を拠点に、 日本 画面がきわめて美しく、 音の遅延もないことに驚きました。 に比べ、 全国をカバーする取材体制を敷いている日刊スポーツ。全国 画面の動きと音声が同時に伝わってきたのはWoooliveだけで、 166万部の発行部数はスポーツ新聞トップクラスであり、週700 まるでその場で会議をしているようなリアルな臨場感が得られた 万PV(トップページ) を誇る国内有数のスポーツ情報サイト のです。PCや携帯電話からも会議に参加できたり、 アプリケー 「nikkansports.com」 でも24時間体制で多彩なスポーツ&エン ション連携が行える拡張性も気に入りました。 これらの総合力が ターテインメント情報が発信されています。 決め手となり、 一気に形勢が逆転したのです」 と島氏は語ります。 「2009年4月に大阪本社、西部本社、名古屋本社の3社が合 併して誕生した日刊スポーツ新聞西日本では、 カバー範囲が西日 導入コストを上回る出張コストの削減を達成 本全域に広がりました。 このため、営業部門の意思統一や情報 共有、大阪と東京に分かれて紙面づくりを行っている編集部門 3 高画質と高音質にこだわったWoooliveは、互いの表情や資 の紙面検討など、1対1ではないN対Nのコミュニケーション手段 料が細部まで見える最大1,280×720画素のHD画質に対応。 エ の確保が急務の課題となりました。 あわせて、出張時の移動時 ラー耐性が強い映像コーデックH.264/SVCにより、回線状況に 間やコスト低減も図れるツールとして、 テレビ会議システムの導入 かかわらず乱れのない映像・音声が送受信できるのが特長です。 検討をスタートさせたのです」 と語るのは、編集センター メディア 専用機を配置した拠点からだけでなく、外出先のモバイルPCや 戦略グループの三笠 哲也氏です。 携帯電話からもテレビ会議に参加でき、場所や状況を選ばない 当初、 日刊スポーツ新聞西日本では業界シェア上位の海外ベ シームレスなコミュニケーションを実現することが可能です。 ンダー1社と国内ベンダー1社のシステムで最終検討を進めてい 日刊スポーツは、 大阪・西部・名古屋・東京の各拠点にWooolive ました。 しかし役員会決定を行う1週間前になり、 急遽、 株式会社 の専用機 「セットトップ100B」 と大型ディスプレイを配備。 VPN※回 エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ) と株式会社 日立ソ 線がない北海道には、 PC用のソフトウェア 「デスクトップ」 とVPNモ リューションズが協力して提案したWoooliveが 「新たな候補とし バイルカード (NTTドコモ回線) で接続環境を整備しました。 て再検討の対象となりました」 と振り返るのは、生産設備・システ 現在メインとなっている会議用途では、大阪・西部・名古屋間 ム担当 兼 経営戦略室長の島 洋氏です。 の 「広告営業会議」 や 「販売営業会議」 「総務会議」 、 大阪・東京 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. USER PROFILE 株式会社 日刊スポーツ新聞西日本 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 大阪府大阪市福島区福島3-14-24 阪神ダイヤビル 1956年3月 9,800万円 330名 2011年4月から、 日刊スポーツがパワーアップします。 地デジ元年を見据え、 テレビ欄がワイドに、 文字が 大きくなり、 どこよりも読みやすい紙面になります。 さらにプロゴルファー 石川 遼の恩師である前杉並 学院監督 吉岡 徹治さんのゴルフレッスンを新連載。 大阪版では名物記者 高原 寿夫記者とスポーツ ライター 内匠 宏幸さんの阪神Wコラムで読み応え十分! 日刊スポーツに、 ぜひご期待ください。 Solution & Service case study 間の 「メディア会議」 などでWoooliveが頻繁に利用されています。 こっても、 すぐに Woooliveを設置した会議室の使用状況はグループウェア上 相互の意思疎 からいつでも確認でき、 その場で会議室の予約を入れることもで 通が図れる環 きます。 このため、 利用頻度は着実に向上し、 拠点間の距離を超 境 が 整 備され えたリアルタイムな情報共有と意思決定の迅速化に大きな効果 ることになり、従 を上げています。 来以上に機動 「予約済みの定例会議だけでなく、突発的な打ち合わせでも 力のある編 集 すぐに利用できる機動性の高さがうれしいですね」 と語るのは、 作業が実現で 総務センター長の石橋 聡一氏です。 きると期待され 「この冬、 中国・九州地域を中心に記録的な豪雪となった際、 ています。 現地の新聞輸送の担当者と代替ルートなどの打ち合わせを行う また、新聞編集システムや新聞製作システムなどのアプリケー ことになりました。急遽、双方の会議室にメンバーを招集し、 わず ション共有も 「検討課題の1つ」 (島氏) とされており、今後はモバ Woooliveを使ったテレビ会議の様子 か数分で対応策の検討に入ったわけですが、 テレビ会議だと互 イルカードによるPC端末からの本格的な会議参加や、携帯電話 いの表情や地図を見ながら細かな内容を確認し合え、改めてこ による現場からの状況報告などでも、 Woooliveの幅広い機能性 れは便利なシステムだなと実感しました」 と石橋氏は語ります。 が生かされるシーンが増えてくるはずです。 出張頻度の低減によって移動時間やコストも激減しました。 「大阪から東京や九州へ出張すると、 往復だけで6時間はかかり 業務運営に欠かせない情報基盤の1つに ます 。重 要な会 議は仕 方ありませんが、ほとんどの場 合は Woooliveによる会議で十分に事足りるため、 キーマン不在による Woooliveの導入をトータルに支援したNTTドコモと日立に対 業務停滞の心配がなくなりました。 また1年目にして、Woooliveの して三笠氏は、 「大阪だけでなく各拠点にまで出向いていただい 導入コストを上回る出張コストの削減目標をクリアできたことにも たおかげで、 スムーズに本稼働を果たすことができました。当社 感謝しています」 と三笠氏は笑顔で語ります。 側の手違いなどで起こったトラブルにもすぐに駆けつけてくださる ※ Virtual Private Network など、 サポート体制は完ぺきです」 と高く評価。 また、 「Woooliveは 大阪・東京を結んだ編集会議へも適用 定期的なバージョンアップによって陳腐化しないシステムであるこ とも魅力の1つと聞いています。 これからも継続的な機能拡張を 通常会議や打ち合わせなどの用途に加えて、2011年4月から 図っていただければうれしいですね」 と期待を寄せます。 は大阪・東京を結んだ編集会議への適用もスタートします。 島氏も、 「当社の中でも最初は “テレビ会議なんて本当に使え 「日刊スポーツでは東京と大阪、2つの編集局でそれぞれ独自 しかし るの?” という意見を持つ幹部が少なくありませんでした。 の紙面づくりを行っていますが、お客さまへ質と鮮度の高い 一度Woooliveを使ってみると “なんだ、便利じゃないの” という評 ニュースを提供するためには東京と大阪の編集局どうしの密接 価に変わり、今では業務運営に欠かせない情報基盤の1つに な情報共有と意思統一が欠かせません。一部紙面の共有を なっています。今後さらに全国の拠点で活用が進めば、 それぞ 図ったり、 他紙と比較した反省会などを行う際も、 写真を含めたレ れの文化圏に根ざした発想や情報の交換が促進され、新聞だ イアウトのイメージを相互に確認しながら進める方が、 ミスやロス けでなく電子メディアなどへの対応力でも他社に先駆けた新し がなくなり効率的です。 新聞の小さな活字でも高精細に表示でき いアイデアやビジネスモデルが生まれてくる可能性があります」 と るWoooliveは、 そういった編集用途でも大変有用なツールになっ 語ります。 ていくでしょう」 と石橋氏は語ります。 スポーツ新聞のリーディングペーパーとして、常に時代の変化 大阪本社では会議室のほか、編集局のフロア中央にも大型 を敏感にとらえた紙面づくりと質の高いコンテンツで多くの読者を ディスプレイ2台を並べたセットトップが配備されており、 4月以降は 獲得してきた日刊スポーツ。電子メディアの分野でも業界の先頭 東京編集局との間を24時間つなげる運用が予定されています。 を走るその積極果敢な挑戦を、 これからも日立はWoooliveと関 これにより、通常の編集会議に限らず、 いつ突発的な事態が起 連ソリューションの強化・拡充により支援していきます。 お問い合わせ先 (株) 日立製作所 通信ネットワーク事業部 企業ネットワーク本部 企画部 TEL(045) 881-1221(大代表) ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/wooolive/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 4 オープンミドルウェア・ケーススタディ ❶ 拠点間の知識ノウハウの共有を1か月でサービスイン、 プロセスの標準化で、 業務効率と品質の向上を実現 ▶ http://www.i-mate.co.jp/ 厳しい経営環境の中、 企業が持続的な成長を維持するためには、 個人の知識や経験を組織で共有し、 現場力の底上げを図るための仕組みづくりが重要です。 INAX製品のメンテナンスや住まいのリフォーム事業を全国展開する株式会社 INAXメンテナンス (以下、 INAXメンテナンス) は、 ユ ー コ ズ ミネ ク サ ス ナ ビ ゲ ー ション プラットフォーム 拠点ごとに異なっていた業務プロセスの標準化を図るため、 日立の業務ポータル 「uCosminexus Navigation Platform」 を導入。 さまざまな業務手順をフローチャートで 「見える化」 することで、 属人化していた知識やノウハウの全社共有をスピーディに実現。 企業競争力に直結する業務効率とサービス品質の継続的な向上を推進しています。 Open middleware case study 株式会社 INAXメンテナンス 事業本部 サービス開発担当 担当課長 平松 英明 氏 業務プロセスの標準化を図るJ-SATプロジ ェクトを始動 株式会社 INAXメンテナンス 経営管理本部 業務部 システム推進課 葛谷 憲治 氏 報共有を行う仕掛けを検討しました。 ところが、業務によって手 順が異なるため、 記述に統一感を持たすことが難しく、 コンテンツ 衛生陶器や住宅設備機器の大手メーカーとして知られ、 建材 数が増えるほど運用やメンテナンスも大変になるといった問題が メーカーのトステム株式会社とともに 「住生活グループ」 を形成し 顕在化。 「そこで、記述や運用を容易に標準化できるツールはな ている株式会社 INAX。 そのアフターサービス事業を担う専門 いかと考えていたところ、半年ほど前に日立さんから提案を受け 会社として1980年に設立されたINAXメンテナンスは、INAX製 ていたuCosminexus Navigation Platform(以下、業務ポータ 品の修理やメンテナンスに加え、住まいのリフォーム、 ビル・ホテル ル) の存在を思い出したのです」 と語るのは、経営管理本部 業 などのリニューアル、水まわり関連商品の通信販売なども手がけ 務部 システム推進課の葛谷 憲治氏です。 る 「住まいの総合サービス業」 を全国展開しています。 ※1 JOB-Standard All INAXメンテナンス 同社は2010年5月より、本部や各拠点における業務全体の見 を立ち上げ、業務プロ 直しと改善を図る 「J-SAT※1プロジェクト」 導入からわずか1か月でサービスイン セスの標準化に着手しました。 その経緯を、事業本部 サービス 5 開発担当の担当課長である平松 英明氏は 「当社では全国に 日立が提供する業務ポータルは、 業務の流れをわかりやすくフ 営業所を7か所、受付センター (コールセンター) を4か所、 サービ ローチャート化し、 ガイダンスで操作手順をナビゲートすることで、 スセンターを70か所設置しており、受付センターから入った案件 「何をどの順番で、 どう行えばいいのか」 をWeb画面上で視覚化 を各地のサービスセンターに展開し、 サービスマンがお客さまのト できるソリューションです。 さまざまな業務の流れに沿って、 必要な ラブルやご要望に対応する流れをとっています。 しかし長年にわ 情報をタイミングよく表示できるため、 経験の浅いユーザーでも質 たる事業展開の中で、業務プロセスが拠点固有のものになって の高い業務が効率よく行え、 ベテランが築き上げたノウハウを組 いたり、一部のスタッフに属人化することで、人事異動などの際 織内にスピーディに展開できます。 に支障を来すケースが発生するようになってきました。 そこで標 業務の流れの中で必要となる各種Webサービス、 ワークフ 準的な業務プロセスをマニュアル化することで、業務品質のさら ローシステム、 データベースなどといった既存のバックエンドシステ なる向上を図るJ-SATプロジェクトをスタートさせたのです」 と振り ムとも画面上で連携できる仕組みを備えているため、 業務変化に 返ります。 柔軟に対応したシステム構築が行える点も大きな特長です。 J-SATプロジェクトの基盤整備を担当したシステム課では、 当 「デモ機を操作させていただいたところ、GUIエディタによって 初Excelで作った業務マニュアルをイントラネットにアップして情 誰でも業務がフロー化できることに驚きました。作成したフロー はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 株式会社 INAXメンテナンス 本 社 設 立 資本金 従業員数 事業内容 愛知県知多市北浜町25-7(株) INAX知多事業所 1980年4月21日 2,000万円 295名 (2010年10月現在) ●便器・洗面器・流しなどの衛生陶器、 水栓金具、 温水洗浄便座、 電気温水器、 システムトイレ、 ユニットバス、 システムキッチンなどの修理・保守・販売・施工 ●建築物の管理・清掃、 各種設備機器・昇降機の点検・保守・管理 ●土木・建築工事の設計・管理・請負 など Open middleware case study チャートも容易に修正できるので、運用後の改善も迅速です」 す」 と 平松氏は笑顔で語ります。葛谷氏も、 「導入決定後、1時間ほど 間ほど 操作方法を教えていただいただけで、 すぐに操作できるようにな りました。直感的な操作が可能なため、 日立さんに操作方法を問 法を問 い合わせる必要もありません。 あとは私が講師役となり、 プロジェ ロジェ クトのメンバーに操作方法を教え、 その日のうちにコンテンツ制作 制作 をスタートさせることができたほどです」 と話します。 各部署の業務フローを精査して書き表した仕様書にあたる あたる 「標準シート」が、J-SATプロジェクトの活動ですでにできあがっ あがっ ていたため、入力/レビュー作業はスピーディに進みました。 そし 。 て導入からわずか1か月後には業務ポータル第1弾となる本部管 部管 轄系の標準化マニュアルがイントラネットにアップされ、迅速な J-SATプロジェクトのポータル画面。 Web画面上で業務の流れがわかりやすく表示されている サービスインへとつながっていったのです。 での意思疎通上の問題点やボトルネックなども浮き彫りとなり、 業務品質の底上げに加え、 業務改善にも大きく寄与 「抜本的な業務改革を進めるための大きなヒントになりました」 と 平松氏は続けます。具体的には、受付センターとサービスセン 業務ポータル上で提供されている標準化マニュアルは、 「工 ターとの連携手順を少し変えるだけで、業務の流れや双方の関 事」 「受注」 「在庫」 「業務管理」 「遵法」 「問い合わせ」 など30業 係性が「驚くほどスムーズになった」 とのこと。業務ポータルの導 務以上にわたっており、PC環境を持つ社員約500名が、引き継 入が、業務効率の向上や業務品質の底上げだけでなく、業務 ぎ時や研修時、判断に困った時などにWeb上から参照・確認で 改善にも大きく寄与していることを平松氏は高く評価します。 きるようになっています。 業務の最適なフローと、 その時々で必要となる資料やノウハウ さらなるベストプラクティスを追求 が全社的に共有されたことで、 「個人の判断で進めていたムダな 作業が、 どんどん削ぎ落とされていることを実感しています」 と平 「あと1年ほどでINAXメンテナンスのすべての業務が業務 松氏は語ります。 これまでマンツーマンで伝承するしかなかった ポータル上で標準化される予定です。次なるフェーズでは、Web サービスセンター長の管理ノウハウや業務手順もマニュアル化 で構築された業務システムから順次業務ポータルと連携させ、 よ することができたため、 引き継ぎ期間も2週間から3日へと大幅に り効率的な業務運用に生かしていければと考えています」 と、葛 短縮化されました。 なかでも業務ポータルが特に高い効果を発 揮しているのが、 教育研修への適用です。 「例えば受付センターでは、派遣・パート職員の入れ替わりが 谷氏はシステムのさらなる進化に期待を寄せます。平松氏も、 「標準化で最も重要なポイントとなるのが運用後の改善です。業 務ポータルは誰でもコンテンツを作成できるので、現場主導で作 激しいため、従来はどうしてもスキルに高低差があり、均一な応 成と改善が実行できる点が非常に助かります。今後は適宜各コ 対品質を確保するのが難しい状態でした。 しかし業務ポータル ンテンツの見直しを図り、 お客さま満足を最大化するためのベス を使うと、表示される手順に沿って質問や回答をしていくだけで トプラクティスの追求を図っていきます」 と力を込めます。 的確な対応が可能となり、1回の研修だけで、すぐ現場に入って 業務に必要な知識とノウハウをWeb画面上で融合させ、 現場 もらうことができます。教育期間の短縮やコスト低減だけでなく、 力の底上げとともに、業務改善への大きな “気づき” も与える日立 指導員ごとに異なる教え方の癖にも依存しないため、教育品質 の業務ポータル。 これからも日立は、 INAXメンテナンスをはじめと にバラつきがなくなったのもうれしいポイントです」 。 する企業の競争力向上とイノベーションの促進を、業務ポータル また、 すべての業務フローが 「見える化」 されたことで、部門間 の継続的な機能強化によって強力にサポートしていきます。 お問い合わせ先 HMCC(日立オープンミドルウェア問い合わせセンター) 0120-55-0504 利用時間 9:00∼12:00、 13:00∼17:00(土・日・祝日・弊社休日を除く) 携帯電話、PHS、 一部のIP電話など上記フリーダイヤルがご利用いただけない場合 TEL(03)5439-2733 ■ 情報提供サイト http://www.cosminexus.com/ http://www.hitachi.co.jp/cosminexus/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 6 オープンミドルウェア・ケーススタディ ❷ 自動車業界の購買業務をSaaS型サービスで効率化する 「Hi-PerBT ウェブ購買」がHiRDBを採用 株式会社 すぎはら ▶ http://www.sugihara-net.biz/ 株式会社 日立中国ソリューションズ ▶ http://www.hcu.co.jp/ 市場環境が急速に変化する中、 製造業ではリードタイムの短縮や在庫削減などへの対応に加え、 ITシステムの構築・運用にかかるコストの最適化が急務の課題となっています。 そこで広島に本拠を構える自動車内装部品の製造メーカーである株式会社 すぎはら (以下、 すぎはら)は、 株式会社 日立中国ソリューションズ(以下、 日立中国ソリューションズ)が提供する ※ を導入。クラウドならではの低コストな環境のもと、 SaaS型のWeb EDI「Hi-PerBT ウェブ購買」 従来FAXで行っていた購買業務の効率化と調達リードタイムの短縮を実現しました。 ハイアールディービー 本サービスの高信頼性と適正コストでのサービス運用を支えているのが、 日立製作所のノンストップデータベース「HiRDB」です。 ※サポートエリア:近畿/中国・四国/九州・沖縄(詳細はお問い合わせください) Open middleware case study 株式会社 すぎはら 代表取締役会長 杉原 昭三 氏 株式会社 すぎはら 代表取締役社長 杉原 滋 氏 株式会社 すぎはら SMCS推進室 室長 林 裕之 氏 株式会社 日立中国ソリューションズ 産業ソリューション部 嶋 教孝 氏 製造業の購買業務を効率化するSaaS型のWeb EDIシステム 部材を適正在庫でスムーズに回していくには、生産計画と部材 自動車の内装部品として欠かせないフロアカーペットやオプ 産計画に展開し、部材発注するまでの時間を、2時間は短縮す ションマット、 トランクマットなどの開発・製造を主力業務に、車内 る必要がありました。 発注を1つの確定受注情報でつなぐことで、確定受注情報を生 空間の快適性と安全性を追求し続けているすぎはら。同社は 「しかし、 そのためのシステム化には時間とコストがかかります。 「めざそう !内装品業界No.1」 というスローガンのもと、すべての 人的な努力もやり尽くしていたところ、 当社の生産管理システムの 領域でリードタイムの短縮と全体最適を図る経営戦略を策定。 開発元でもある日立中国ソリューションズさんからSaaS型サービス 「必要なものを必要な時に必要な量だけという “ムリ・ムダ・ムラの の提案をいただきました。 これならシステム開発にかかわる初期 ない価値作業の追求” を基本理念に、新たな業務改革に踏み 投資やリスクが抑制できますし、 サプライヤーさん側にもWebブラ 切りました」 と、代表取締役会長の杉原 昭三氏は語ります。 ウザさえあれば業務ができるため費用負担がかからない。 われわ その一環として導入されたのが、 製造業の購買業務を効率化 れにとって最良の選択だと判断しました」 と杉原 滋氏は語ります。 するSaaS型のWeb EDI 「Hi-PerBT ウェブ購買」 です。 日立中国 ソリューションズが開発・提供する同ソリューションは、 見積/発注/ 新サービスの導入でリードタイムを1日短縮 支払など、購買業務に必要な標準機能に加え、 自動車サプライ 7 ヤー向けの納期管理や検収、 図面配信なども充実させた定評あ 2010年2月に導入を決断し、4か月後の6月にはカットオーバー るパッケージをSaaS化したもので、基幹システムと連携したWeb と、SaaSならではのスピーディな導入により、 すぎはらの購買業務 EDIサービスをスピーディかつ低コストに利用することができます。 環境は一変しました。 「これまで当社ではサプライヤー約100社への部材発注を 「当社の基幹システムであるAP7000で処理した注文データ FAXによる手作業で行っていました。内示や注文、変更情報 を、Hi-PerBT ウェブ購買のクラウド環境をとおして、 ほぼリアル など、送りたい情報も多岐にわたるため、 自動車メーカーから タイムに取引先へ展開できるようになりました。出力情報の仕分 の受注と、サプライヤーへの部材発注の間に、 どうしても人の けやFAX送付、伝票郵送などの煩雑な作業がなくなったことに 手による紙ベースの作業や手戻りが介在し、 リードタイムの短 加え、FAX送付でありがちな “送った” “届いていない” などのト 縮に限界が生じていたのです」 と語るのは、代表取締役社長 ラブルもなくなり、業務効率と発注品質の大幅な向上につながり の杉原 滋氏です。 ました」 と語るのは、SMCS推進室 室長の林 裕之氏です。 確定受注情報で生産するラインと内示受注情報で調達する 約100社の取引先も、Webブラウザ上から受注情報がPDF はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. ᰬᘟఌ♣ USER PROFILE PARTNER PROFILE 株式会社 すぎはら 株式会社 日立中国ソリューションズ 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 広島県広島市安芸区矢野新町2-3-50 1923年4月 2,000万円 236名 (2010年9月末現在) 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 広島県広島市中区八丁堀3-33 1984年10月1日 1億円 632名 (2010年6月現在) Open middleware case study やCSVの電子データで取得できるようになったため、 システム 間連携や帳票発行などの事務作業が大幅に効率化。見やす います。 Hi-PerBT rBT ウェブ購買 SaaS S B/Single HiRDB/Single erver Server 「これまで受注と発注の間には “6時間” という大きな時間の壁 間” にまで縮めることができたのです。 わずか2時間と思われるか もしれませんが、 この情報伝達のスピードの差が、材料を発注し Hi-PerBT ウェブ購買 /AJS3※ JP1/AJS3 がありました。 しかしHi-PerBT ウェブ購買の導入で、 一気に “4時 株式会社 すぎはら サプライヤーさま <印刷オプシ オプション> uCosminexus nexus EUR てから入荷するまでの日数でいえば、1日分の短縮につながりま す。 これまでどうしても実現できなかった確定受注情報での部材 インターネット い画面と扱いやすいインタフェースにも高い評価が寄せられて 株式会社 日立中国ソリューションズ 日立中国ソリューション ンズ ※JP1/Automatic Job Management System3 ※JP システム概要図 図 発注を、SaaSというコストパフォーマンスの高い手段によって現 実にできたことが最大のメリットです」 と杉原 滋氏は語ります。 サービスの安定稼働と有効性を高く評価 SaaS展開にベストフィットしたデータベース基盤「HiRDB」 高信頼なHiRDBを採用したHi-PerBT ウェブ購買。 「運用開 Hi-PerBT ウェブ購買の提供元となる日立中国ソリューション ワーク経由とは思えないほどレスポンスもよく、 当社も取引先もスト ズは、 パッケージ版からSaaSへの展開にあたり、 システムの中核 レスなく業務を進められています」 と林氏はサービスの安定稼働 となるデータベースに日立のHiRDBを採用しました。 を高く評価します。杉原 滋氏も、 「これだけのシステムを自社で 「SaaSはマルチテナント型のサービスであるため、 お客さまへ 構築・運用していたら、 どれだけの労力とコストがかかるのかわ 始から1年近く経過した現在も、安定稼働を続けています。 ネット の高いサービス品質を確保するには、 より高い信頼性と保守性、 かりません。今後は基幹系システムも含めた、 より広範なクラウド スケーラビリティなどが求められます。 その点、HiRDBは純国産 活用を検討していきたいですね」 と将来構想に期待を寄せます。 のデータベースとして大規模なミッションクリティカルシステムへの 今回のHi-PerBT ウェブ購買によってすぎはらは、生産の全 導入実績が多いほか、同じ日立グループとして密な連携がとれ 体最適の一翼を担う柔軟な購買調達業務を実現し、受発注 ることから、万一のトラブルの際にも短時間での原因究明とシス リードタイムの短縮と在庫削減、事務効率の向上をともに達成。 テム復旧が可能となります。」 と語るのはSaaS開発を担当した日 お客さまである自動車メーカー、部品サプライヤーとのWin-Win 立中国ソリューションズ 産業ソリューション部の嶋 教孝氏です。 の関係を一段と強化することに成功しました。 嶋氏によれば、 フィー型ビジネスとなるSaaSの立ち上げ時には、 サービス導入にあたった日立中国ソリューションズの嶋氏も、 投資リスクの軽減も重要な要件となっていたため、 「SaaSに合わ 「アプリケーションとサービス、 ハードウェアやミドルウェア、すべて せた柔軟なライセンス体系にも対応してくれたHiRDBは、 よりコ を日立グループが一体となって提供することで、 すぎはらさまから ストパフォーマンスの高い料金設定が提示できる点でもベストな と喜びます。 引き続き、 高い評価と信頼をいただくことができました」 選択となりました。」 と強調します。 「見込み生産をしない、余分な在庫を持たない、最短距離で Hi-PerBT ウェブ購買へのHiRDB実装に際し、 日立は 流れるラインをめざすという、 当社の生産目標に合致したサービ HiRDBの開発者や技術者を日立中国ソリューションズに派遣し、 ス基盤を提供いただき、本当に感謝しています。 これからも日立 SaaS型サービスの迅速な立ち上げを全面的に支援。 日立中国ソ グループさんから、 いろいろな提案をいただきたいと思います」 と リューションズ内でも、 HiRDBの機能に精通した 「HiRDB認定資 杉原 昭三氏も笑顔で語ります。 その期待に応えるため、今後も 格」 を保持するエンジニアを40名以上も擁していることから、 今後 日立は日立中国ソリューションズとの密接な連携のもと、 同社のさ は処理性能の強化や最適化チューニングなどがスムーズに展開 らなる躍進とコスト低減を支援するソリューションを積極的に提 できることも、 利用者にとっては大きなメリットになるはずです。 案してまいります。 お問い合わせ先 HMCC(日立オープンミドルウェア問い合わせセンター) 0120-55-0504 利用時間 9:00∼12:00、13:00∼17:00 (土・日・祝日・弊社休日を除く) 携帯電話、PHS、一部のIP電話など上記フリーダイヤルがご利用いただけない場合 TEL(03)5439-2733 ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/hirdb/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 8 冷蔵倉庫/食品物流センター向けのSaaS型サービス 「Sherpa/倉庫管理クラウドソリューション」 中小規模の企業が比較的多い冷蔵倉庫業界や食品物流センター業界では、 低コストで高品質な倉庫管理システムへのニーズが増大しています。 そこで日立は、 低温物流業界最大手のニチレイロジグループが蓄積してきた、 シェル パ 在庫管理や保管料計算などの業務ノウハウを結集した業務用パッケージ 「Sherpa※1」 をSaaS※2で提供する 「Sherpa/倉庫管理クラウドソリューション」 を開発。 最短1か月※3での短期導入と、 必要機能/設備能力に合わせた柔軟なサービス料金設定で、 お客さまのビジネスにさらなるスピードと競争力を生み出します。 ※1 株式会社 ニチレイおよび日立などが出資する株式会社 日立フーズ&ロジスティクスシステムズ (日立F&L) が提供している冷蔵倉庫向け業務パッケージ ※2 Software as a Service ※3 個別開発なし、 データ移行ツールの設計・開発なし、InternetVPN構築なしの場合 Q. 倉庫管理システムのリプレースを検討していますが、構築期 持・構築・運用することなく、必要な時に必要なサービスを利用す 間と開発費用がネックとなり、 なかなか実施に踏み切れません。短 ることができるようになります (図1) 。 納期で高信頼な倉庫管理ソリューションはないでしょうか。 さらに、 システムの運用管理や保守業務は日立側で実施するた め、お客さまの業務や人的リソースへの負担もほとんど生じませ A. 日立の「Sherpa/倉庫管理クラウドソリューション(以下、SaaS ん。 サーバのリプレースやソフトウェアのバージョンアップも定期的 版Sherpa)」 をお勧めします。本サービスは、 ニチレイロジグループ に行われ、常に最新のシステム環境で高信頼なサービスをご利用 における約100拠点の導入ノウハウを集結して開発した業務用 いただけます。 パッケージ 「Sherpa」 をベースにしたもので、 冷蔵倉庫や食品物流 SaaS版Sherpaのサービスを提供するIT基盤は、国内トップレ センターなどで必要となる多様な管理機能を持つシステムを、短 ベルの堅ろう性とセキュリティを誇る日立の環境配慮型データセン 期間で導入かつ低コストで運用したいお客さま向けにクラウド ターで運用されるほか、約4万2,000社が利用する国内最大規模 サービスとして提供するものです。 の企業間ビジネスメディアサービス 「TWX-21※4」上でサービス提 お客さまの自社内に設置する従来型のパッケージシステムは、 供が行われるため、 トータルコストを低減しながら、安心して業務 どうしても相応の開発期間とハードウェアコスト、運用管理コストが の標準化と安定的なサービス活用を図ることができます。 必要であり、 加えて定期的なバージョンアップなどが発生します。 し ※4 企業活動に関わる設計、調達、生産、販売などきめ細かなアプリケーションサービスを提供している日立の企業間ビジネ スメディアサービス かしSaaS版Sherpaなら、 最短1か月で導入できるため、 お客さまの ビジネスニーズにすばやく対応することが可能です。 また、 ハード Q. SaaS版Sherpaは、どのような特徴・機能を備えているので ウェアやソフトウェアといったシステム基盤をお客さまみずから保 しょうか。 お客さまの抱える課題 すぐに使いたい! ITの管理者が少ない! ユーザー部門による システム運用を行っている! 資産は持たずに月額の 利用料のみ 一般的な営業倉庫で使用される 機能を標準機能として 準備しており開発が不要 運用保守業務はすべて 日立がワンストップで実施 クラウドサービスで実現可能 資産を持ちたくない! 業務ノウハウを結集したクラウドサービス 日立が提案する実現施策 低温物流業界最大手の企業グループ約100拠点で稼働しているシステムをもとに開 発し、冷蔵倉庫管理における業務ノウハウを結集させたパッケージソフトをクラウドソ リューションとして提供します。 運用保守までワンストップサービス システム導入∼運用保守業務までトータルサービスをご提供。 システムは24時間365 日常時監視もサポート可能。 お問い合わせには、 物流業務に精通したSEが対応いた します。 さまざまな物流センターモデルに対応 食品サプライチェーンで求められる多彩な物流センターモデルに対応、 短期間で納入 できます。 これにより、 新規荷主への対応を迅速に行えるほか、 現場作業効率の向上を 図ることができます。 短期間・低コストでの導入を実現 保守期限切れによるサーバの リプレースをやりたくない! リプレース/バージョンアップを 含んだサービス提供 図1 SaaS版Sherpaの概要 9 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. クラウド型として提供されるため、 初期導入コストが削減でき、 自社でのI T資産 (サーバ など) の所有が不要になります。 短期間 (最短1か月) かつ低コスト (月額10万円∼) で 倉庫管理システムの使用が可能です。 A. SaaS版Sherpaは、複数荷主・複数拠点に対応した営業倉 Middleでは機能追加も可能で、 お客さまに適したサービス環境を 庫向け食品物流管理の総合ソリューションであり、業界標準や業 柔軟に構築していただけます。 務標準を基本コンセプトとしていますが、 パラメータ設定などによる 設備能力ランクは、 お客さまの倉庫容積によって5,000トン以下 荷主個別ニーズへの柔軟な対応も重視しており、 「標準化」 と 「個 の 「A」、5,000トンから10,000トン以下までの 「B」、15,000トン以下ま 別機能」 の両立をバランスよく実現できるのが特徴です。 での 「C」 などのランクを設定しています。 ここに、帳票出力レコード 在庫保管型センター/通過型センターをはじめとした食品サプ 件数、FAX送信枚数、 メール送信回数などに応じた従量料金と、 ライチェーンのさまざまな物流センターモデルに対応しており、 基本 EDI※7連携、情報分析、夜間・休日保守サービスなどのオプション 的な保管料計算に加え、 業界特有の幅広い料金体系や諸掛もサ 料金が加わります (図3) 。 ポート。 新規荷主への対応を迅速に行えるほか、 現場作業効率の このようにSaaS版Sherpaでは、企業規模(倉庫容積) やサービ 向上と標準化を図ることができます。導入にあたっては、 さまざまな ス利用内容に応じた、 ムダのないスケーラブルな料金体系となって 物流センターモデルに対応した約400機能・150帳票からなる複数 いるため、お客さま企業のビジネス競争力の強化に欠かせない の業務グループ (サブシステム) から必要なファンクションを柔軟に トータルコストの低減に大きな効果をもたらします。 ※7 Electronic Data Interchange 選択していただけます。 さらに、 保税※5、 請求、 不定貫管理※6といった、 冷蔵倉庫業界で 必要とされる機能も含めて提供しますので、 サービスを導入する Q. クラウドサービスの導入には非常に興味があります。しかし、 だけですぐに業務でのご利用が可能となります (図2) 。 現行システムからスムーズに移行できるか心配です。 ※5 関税の徴収を一時保留すること ※6 商品ごとの重さを定めることができないものの管理 A. ご安心ください。日立は、お客さまの既存システムからSaaS版 Q. 料金体系はどうなっていますか。 Sherpaへの移行をスピーディかつスムーズにサポートするため、 A. SaaS版Sherpaでは、幅広いお客さまにご納得いただけるよう、 「Sherpa/倉庫管理クラウドソリューション初期導入支援サービス」 をご用意しています。 SaaSならではの柔軟かつユニークな料金体系をご用意しています。 本サービスでは、 お客さまの既存業務へのSaaS版Sherpaの適合 月額基本料金は 「サービスグレード」 と 「設備能力ランク」 の組み レベルを精査してサービス内容を確定させる 「Fit&Gap」 から、 「初期導 合わせで、 きめ細かく選択することができます。 入設定」 「データ移行支援」 「運用テスト支援」 「教育支援」 「稼働時立 サービスグレードでは、SaaS版Sherpaが備える豊富なサービス ち会い」 といった各種サービスをご提供。 現行システムからの移行を、 機能の中から、 お客さまが必要とする機能を選んでいただけるよ お客さまに負担をかけることなく、 短期間で実現することが可能です。 う、 「Sherpa Light:保管(基本)」 「Sherpa Middle:保管(基本) また、冷蔵倉庫、物流センター向けの業務設計や外部とのEDI +3機能選択」 「 Sherpa Full:全機能」の3グレードをご用意。 物流業者 WEB情報提供 寄託者 取引先 WEB物流情報 提供サービス 外部インタフェース系サブシステム WEB物流情報 依頼サービス (入庫・出庫) トータルに支援します。 拠点間連携 EDIサブシステム 自動FAX送信サービス メール送信サービス ASN*連携 再保管倉庫連携 在庫系サブシステム 配替・庫内作業 気軽にご相談ください。 顧客検品 通関管理 各種一覧 出庫けん制、在庫警告 入庫予定受注 在庫証明書 各種在庫検索 出庫系サブシステム 出庫依頼受注 輸入貨物搬入管理 引取出庫モジュール 通過系サブシステム 入庫格納計画 入荷検品 計画出庫モジュール 仕分リスト・ラベル 出荷検品 共通系サブシステム 追い入庫・戻り入庫 入庫実績管理・報告 作業進ちょく管理 不定貫重量管理 各種マスター管理 出切台帳・重量検索 ご利用機能で決まる 「サービスグレード」 グレード 専用伝票発行 1 L i gh t 保管 (基本) 2 保管 (基本) +3機能を選択 Mi dd l e 3 Fu l l 倉庫規模で決まる 「設備能力ランク」 利用可能な機能 全機能 (7機能) 出庫実績管理・報告 2. 従量料金 3. オプション料金 帳票・ラベル出力管理 請求・売上管理系サブシステム 諸掛請求入力 1. 月額基本料金 出荷受付 入荷検品 ロケーション確定 より広範囲なカスタマイズをご希望のお客さまには、 プライベート クラウドやオンプレミス (自社設置型)向けの 「Sherpa/倉庫管理シ ステム」 によるSIソリューションサービスもご提供いたします。ぜひお 名義変更 入庫系サブシステム 入庫準備・入荷受付 連携、簡易的な帳票追加などのカスタマイズに至るまで、 さまざま なオプションサービスもご用意し、お客さま企業の競争力向上を 請求・売上金額照会 料金マスター管理 保管料計算・請求書出力 実績管理サブシステム 物量系 売上系 使用回数で決まる従量課金 使用するオプション機能/サービスに合わせた課金 ・帳票出力レコード件数 ・FAX送信枚数 ・メール送信回数 ・ED I連携 ・他システム連携 ・情報分析システム ・夜間・休日保守サービス ・WEB情報システム *ASN:Advanced Ship Notice 図2 SaaS版Sherpaの機能体系 図3 SaaS版Sherpaの料金体系 お問い合わせ先 (株) 日立製作所 産業・流通システム営業統括本部 TEL(03)5471-2172 ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/sherpa/ht527/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 10 ソリューション & サービス・ケーススタディ 2 日立のシンクライアントソリューションを導入し、 国内同等の高速レスポンスによるオフショア化を実現。 高いセキュリティを確保しつつ、業務コストを削減 株式会社ジェーシービー ▶ http://www.jcb.co.jp/ クレジットカード大手の株式会社ジェーシービー(以下、 JCB)は、 業務コストの削減による事業競争力のさらなる強化をめざして、 中国・大連への業務オフショア化を進めてきました。 今回、 カード業務をオフショア化するにあたって、 日立のシンクライアントソリューション「セキュアクライアントソリューション」を導入。 シトリックス社の「Citrix XenDesktop™」 と高集積を実現した 日立のブレードPC「FLORA bd500」などを組み合わせたシステムにより、 国内での処理と同等の高速レスポンスを実現。 高いセキュリティを確保しつつ、 業務コストを削減できる見込みです。 Solution & Service case study 株式会社ジェーシービー システム本部 インフラ開発部 次長(インフラ開発グループ担当) 須崎 謙祐 氏 競争力のさらなる強化をめざしオフショア化を推進 株式会社ジェーシービー システム本部 インフラ開発部 インフラ開発グループ 副主事 中国移管システム PM 藤田 雄吾 氏 さらに今回、 カード業務の一部を中国・大連へ移管することを 決断しました。 日本のクレジットカードビジネスのパイオニアとして、創業以来 「カード会社として大量の顧客情報を扱う当社の情報システム 50年にわたって、常に業界をリードし続けてきたJCB。現在では、 は、 セキュリティを格段に重視した作りになっています。今回のオ クレジットカード会社としての役割にとどまらず、決済の仕組みそ フショア化にあたっても、 重要なデータを海外に出さない仕組みを のものを顧客ニーズに応じて総合的に提供する 「決済総合ソ 構築することを前提に考えました」 と須崎氏は語ります。 リューション企業JCB」へと変貌しつつあります。 そこで同社が注目したのが、 シンクライアント技術を利用した 「当社は、 クレジットカード事業で培ったノウハウやインフラを活 システムです。 かして、他のカード会社や企業、団体のクレジットカード運営業 データを保存するハードディスクを持たないシンクライアント端 務の受託も行っています。 また、 クレジットカード運営業務の受託 末を使うことで、顧客情報の流出を防止しながら、安心して業務 ノウハウを活かして、非接触ICを活用した電子マネーサービス のオフショア化を進められます。 の業務を受託するなど、受託業務の範囲は、決済スキーム全般 に拡大しています」 と藤田氏は説明します。 オフショア化の鍵となる国内同等の高速レスポンスを達成 現在のクレジットカード業界は、業界再編やサービス形態の 拡充など、大きな変革期を迎えており、投資コストの削減や最適 化が急務となっています。 こうした状況において同社は、業務コストの削減による事業競 PC「FLORA bd500」 などを組み合わせた日立の提案を採用し 争力のさらなる強化をめざして、 2008年度から中国・大連への業 ました。 務オフショア化による業務処理体制の再構築を進めてきました。 日立は、 シンクライアントソリューションとして、 さまざまな利用 「オフショア化を通じて高品質な業務処理をローコストで実現 シーンに応じた多彩なシステム形態を用意していますが、性能 することで、投資コストの削減や最適化が可能になるのです」 や信頼性、 コストなどを総合的に判断し、既存のPC環境からの (藤田氏)。 13 同社は複数の提案を慎重に比較検討し、 シトリックス社の 「Citrix XenDesktop™」 と高集積を実現した日立のブレード はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 移行が容易なブレードPC方式を提案。 USER PROFILE 株式会社ジェーシービー 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 東京都港区南青山5-1-22 青山ライズスクエア 1961年1月25日 106億1,610万円 (2010年3月末現在) 2,787名 (2010年3月末現在) 世界に数少ない国際クレジットカードブランドのひとつであるJCB。近年では、従 来からの 「クレジットカード事業」 のみならず、 「決済スキーム提供者」 や 「オペレー ションプロバイダー」 として、 「クレジットカード会社JCB」 から 「決済総合ソリュー ション企業JCB」 への転換に取り組んでいる。 2011年に創立50周年を迎えた。 Solution & Service case study 「シンクライアントシステムの構築において豊富な 実績を積んでいるだけに、 日立の提案内容は細部 まで具体的で、業務の流れや現地スタッフのニーズ まで配慮している点が優れていました」 (須崎氏)。 中国・大連 ハードディスクを 持たないため セキュリティを確保 シンクラント端末 オフショア化の鍵は、国内での処理と同等の高速 レスポンスの達成でした。 それは従来であれば、国 広域イーサネット (専用線) 内における既存のPC環境でしか実現不可能な数 秒単位の厳格なレスポンス要件でした。 「入力業務においては、 きわめて厳しいレベルの レスポンス性能が求められます。 レスポンスが遅くて 業務効率が落ちるようでは、 目的を達したとは言え 国内データセンター 1ブレード=PC1台分 管理サーバ 業務サーバ 「Citrix XenDesktop™」 「FLORA bd Link」 「動的割当」 で ブレードPCを 効率的に活用 ません」 (藤田氏)。 日立は、 シトリックス社との綿密な連携や豊富な 構築ノウハウを駆使して、チューニングなどに工夫 を重ねました。 さらに、 中国・大連でのダミーデータを 「クライアントブレード FLORA bd500」 使っての負荷テストも、数回にわたって入念に実施。 (株) ジェーシービーのシンクライアントシステム概要 「その結果、従来の国内での処理よりも画面レス ポンスが速く感じるまでになりました」 (藤田氏)。 また、顧客情報が保存されたブレードPCは国内のデータセン 2010年6月にスタートした本プロジェクトは、同年10月に現地 ターで厳重に管理されるため、現地のシンクライアント端末から 研修を行い、12月から本番稼働させる必要がありました。 情報漏えいが発生するリスクを回避でき、顧客情報の外部流出 日立は、幅広い分野の専門技術者を結集して、充実したサ を防止します。 ポート体制で、 プロジェクトの推進をサポートしました。 ディスクレスであるシンクライアント端末は故障率も低く、業務 「豊富な構築実績を元に日立は、 どれくらいのデータ量がやり をストップさせる心配が少なくてすみます。 さらに、 ブレードPC用 とりされるかを見極めたうえで、 日中間のネットワークなどについ ソフトウェアのアップデートやバックアップなどのPC運用管理を国 てもアドバイスしてくれました」 (藤田氏)。 内データセンターで一括して行えるため、運用管理の負荷を低 減できます。 「動的割当」 を採用しブレードPCを効率的に活用 カード業務のオフショア化に成功したことで、同社が得た効果 は大きいものがあります。高いセキュリティを確保しながら、高品 本システムで採用されたFLORA bd500は、42Uラック1台に 質な業務処理をローコストで行える体制が整ったことになります。 最大320台と高集積にブレードPCを搭載でき、省スペースな設 「今回のプロジェクトで得た経験により、国内のオフィス環境を 置が可能です。 さらに、 ブレードPCの稼働状況に応じて、電源 整備していくうえでも、 シンクライアントシステムは有効な選択肢と モジュールやファンの動作を最適化することで、 システム全体の なりました。認証方式などを含めて、適用範囲を検討していきた 省電力化にも貢献します。 い」 (須崎氏)。 システムの運用にあたっては、業務スタッフの入れ替わりや増 シンクライアントシステムは、情報漏えい対策だけでなく、 オフィ 員などにも柔軟に対応できるように、各スタッフ専用のブレード スのフリーアドレス化など、 ワークスタイル改革にも力を発揮します。 PCを保持する 「静的割当」 ではなく、管理サーバでブレードPC 柔軟性の高い日立のソリューションによって、高いセキュリティ を一元管理し、全スタッフで共有することで、空きブレードPCを を確保しつつ、 カード業務のオフショア化を実現したJCBは、事 効率的に割当・活用できる 「動的割当」 を採用。 業競争力のさらなる強化を推進していきます。 *導入効果は、 本ユーザーのシステム構成や導入時の製品モデル/仕様によるものです。 ●Citrix、 Citrix XenDesktopは、 米国およびその他の国におけるCitrix Systems, Incの商標または登録商標です。 ●その他記載されている会社名、製品名は、 それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。 ●この記事は日経コンピュータ 2011年3月17日号に掲載されたものです。 お問い合わせ先 (株) 日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 TEL(03)5471-2101 ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/spc/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 14 プラットフォーム & ソリューション・ケーススタディ 2 1 基幹システムを日立の「BladeSymphony」と 「Hitachi Storage Solutions」で仮想化。 大幅な省スペース化と災害時の迅速な復旧を実現 中外製薬株式会社 ▶ http://www.chugai-pharm.co.jp/ 中外製薬株式会社(以下、 中外製薬)は、 ERPパッケージ「SAP®ERP 6.0」への アップグレード&マイグレーションを機に、 基幹システムの仮想化を実施。 同社はITインフラの全体最適化をめざして、 業務システムの標準化・仮想化に取り組んできており、 この取り組みを基幹システムに拡げることで、 さらなるコスト削減や環境変化への即応を図るのが狙いです。 ブレードシンフォニ ー システムの構築にあたって同社は、 日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」 と 「Hitachi Storage Solutions」を活用。フルラック4本分のサーバを1シャーシに集約すると同時に、 万一の大規模災害時にも約4時間でシステム復旧が行える環境を実現しました。 Platform & Solution case study 中外製薬株式会社 情報システム部 ITインフラグループ マネジャー 岡村 真吾 氏 全体最適化をめざして基幹システムの仮想化を決断 中外製薬株式会社 情報システム部 ITインフラグループ 田上 定佳 氏 中外製薬株式会社 情報システム部 ITインフラグループ 松田 浩一郎 氏 決断。 さらなるコスト削減や環境変化への即応を図るのが狙いです。 「VMware®の高信頼性・高可用性機能が強化されたことに ロシュ・グループの一員として、医療用医薬品の製造・販売・ 加えて、SAP ® 社でも仮想環境での動作をサポートするように 輸出入を手がける中外製薬。がん領域や腎領域、骨・関節領 なっていました。 これならば、基幹システムを仮想化しても大丈夫 域など、幅広い分野で事業を展開中です。 ビジネスのグローバ だと考えたのです」 (岡村氏) 。 ® は、欧米 ル化も推進しており、関節リウマチ治療薬「アクテムラ 」 の医療機関でも広く利用されています。 統合サービスプラットフォーム 「BladeSymphony」 と 「Hitachi 「万一、医薬品の供給が滞るようなことがあれば、治療など Storage Solutions」 です。 にも深刻な影響が出ます。それだけに情報システム部門とし ても、 システムの信頼性・可用性の確保に万全を期していま 15 仮想環境を支える重要なインフラとして選ばれたのは、 日立の フルラック4本分のサーバを1シャーシに集約 す」 と情報システム部 ITインフラグループ マネジャーの岡村 移行の手順としては、 まずWindows®へのマイグレーションを 真吾氏は語ります。 BladeSymphony上で行い、次にSAP® ERP 6 .0へのアップグ 同社ではシステムの信頼性・可用性の確保と並んで、ITイン レードを行う方法が採用されました。 フラの全体最適化をめざして、業務システムの標準化・仮想化 旧システムでは、 1業務システムに対して物理サーバ1台が割り に取り組んできました。 当てられていました。 これに対して、 2010年8月に本稼働を開始し を 同社はヴイエムウェア社の仮想化ソフトウェア 「VMware® 」 た新システムでは、 1枚1枚のブレード上で複数のシステムを稼働。 2006年より導入し、 各システムへの適用を段階的に進めてきました。 リソースの効率化を図り、 大幅な省スペース化を実現しました。 さらに2009年には、地震などの大規模災害に備えるための災 「これまでは業務が増える度に物理サーバを追加しており、必 害対策用システムを仮想環境で構築。 このことが、基幹システム 要なスペースも増える一方でした。 その点、BladeSymphonyと の仮想化に向けた大きなステップとなりました。 VMware®の組み合わせなら、大量のシステムをコンパクトに集 ERPパッケージ 「SAP® ERP 6.0」へのアップグレード&マイグレー 約できます」 と情報システム部 ITインフラグループの田上 定佳 ションを控えていた同社は、 これを契機として、 基幹システムの仮想化を 氏は評価します。 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. USER PROFILE 中外製薬株式会社 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 東京都中央区日本橋室町2-1-1 1943年3月8日 729億6,682万円 (2010年12月末現在) 6,709名 (連結、 2010年12月末現在) 医療用医薬品の製造・販売・輸出入を手がける大手医薬品メーカー。 以前は基幹システム用のサーバ設置に、 フル ラック4本分のスペースを要していました。 しかし現 バックアップセンター 統合サービスプラッ トフォーム 「BladeSymphony BS320」 信頼性・可用性の高さも重要なポイントでした。 「すでに別システムでBladeSymphonyを導 システム領域 せん。今回のような重要なシステムにも、安心して 適用できます」 (岡村氏)。 BladeSymphonyとVMware®による仮想環境は、 開発・運用面でも大きなメリットをもたらしています。 VMware® システム領域 常時リモートコピー 入していましたが、大きなトラブルの経験はありま データ領域 Hitachi Universal Replicator 日立ディスクアレイシステム 「Hitachi Universal Storage Platform VM」 データ領域 Hitachi Universal Replicator 日立ディスクアレイシステム 「Hitachi Universal Storage Platform VM」 中外製薬 (株) の新システム概要 「テスト環境や検証環境を簡単に用意できるの で、新たな業務要件が生じた際も迅速に対応できます。 メンテ 仮想サーバ VMware® ビジネスの根幹を支える重要なシステムだけに、 仮想サーバ 少しています。 仮想サーバ 常時リモートコピー 仮想サーバ サーバの台数も21台から7ブレードへと大幅に減 「BladeSymphony BS320」 仮想サーバ 仮想サーバ 在では、 これらを1シャーシに集約。本番用物理 メインセンター 統合サービスプラッ トフォーム のデータをリアルタイムでバックアップセンター側にコピーできます。 ナンスやバックアップ時にも、 システムを止めないで済むので便 災害対策システムの立ち上げも短時間で行えるので、災害時の 利です」 と情報システム部 ITインフラグループの松田 浩一郎氏 システム復旧時間を約4時間に短縮できました」 (田上氏) 。 は話します。 メリットはそれだけではありません。 以前はデータベースの変更 ® 中間サーバを経由してマイグレー Windows への移行では、 ログを15分間隔で取得していたため、数分間分のデータを喪失 ションを行う方法が採用されましたが、 この時も中間サーバに する危険がありました。 しかし現在では、 災害発生直前の状態に CPUやメモリーなどのリソースを集中させることで作業時間を までデータを戻すことができます。 短縮することができました。 「大規模災害時でも、一般的なシステム障害と同レベルでの 大規模災害時のシステム復旧時間を4日間から約4時間に短縮 復旧が可能となり、 データ喪失もほとんどありません。 業務への影 (岡村氏) 。 響も最小限に抑えることができるようになりました」 本プロジェクトでもう一つ注目されるのが、 日立ディスクアレイ Hitachi Universal Storage Platform VMの高い性能も評 システム 「Hitachi Universal Storage Platform VM」 によるリ 価されました。 モートバックアップシステムを構築した点です。 「仮想環境では、 ストレージI/Oがボトルネックになる場合があ 先にも述べた通り、同社ではバックアップセンターに災害対策 りますが、 性能面でも問題はありません」 (松田氏) 。 用の仮想環境を用意していました。 しかし従来の環境では、 シス プロジェクトを遂行する上では、 日立のサポートも大きな役割を テム復旧までに4日ほどの日数を要する点が課題になっていました。 果たしました。 「以前はテープベースの運用だったので、 テープからのリスト 「新システムへの移行にあたっては、 日立の支援も得て、入念 アやアーカイブログの適用などを手作業で行う必要がありまし なリハーサルを繰り返しました。 おかげで無事スケジュール通りに た。 このため、 ある程度の時間がどうしても必要だったのです」 作業を完了できました」 (岡村氏) 。 (田上氏)。 基幹システムの仮想化を実現した中外製薬は、 今後もプライベー こうした課題を解決したのが、 日立独自技術の非同期リモート トクラウド環境の活用など、 さまざまな取り組みを進めていきます。 コピー機能 「Hitachi Universal Replicator」 です。 BladeSymphonyとHitachi Storage Solutionsが活用される 「Hitachi Universal Replicatorを利用すれば、 本番システム 場面も、 一段と増えていきそうです。 *導入効果は、 本ユーザーのシステム構成や導入時の製品モデル/仕様によるものです。 ERP:Enterprise Resource Planning ●SAPは、 SAP AGのドイツおよびその他の国における登録商標です。 ●VMwareは、 VMware,Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。 ●Windowsは、 米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。 ●その他記載されている会社名、 製品名は、 それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。 ●この記事は日経コンピュータ 2011年3月17日号に掲載されたものです。 お問い合わせ先 記事に関しては、 株式会社 日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 TEL(03) 5471-3270 製品に関しては、HCAセンター 0120-2580-12(土、 日、祝日を除く 9:00∼12:00 13:00∼17:00) ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/bds/ http://www.hitachi.co.jp/storage/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 16 横浜研究所 システム障害の根本原因をスピーディに特定できる 障害対策支援システム 企業活動に欠かせないインフラとなったITシステムでは、 日々の安定稼働に加えて、 運用管理コストの削減が重要な課題となっています。 そこで横浜研究所では、 専門知識を必要とせずに障害原因を特定できるRCA※1機能を開発。 中堅・中小企業向けの運用管理ソフトウェア 「Hitachi IT Operations Analyzer」 に実装しました。 見やすい画面と操作性の高いGUIにより、 導入直後からすぐにシステム運用管理をスタートさせることができます。 ※1 Root Cause Analysis:発生した問題や事象を解析して、 その根本原因を突き止める解析手法のこと 障害原因を自動的に特定する RCA機能 原因個所を絞り込み、迅速に対応できる 何が原因かを探り出すための、ベテラン管 ツールを作ろうと考えたのが、 そもそものきっ 理者の知識とノウハウを解析ルールとして かけでした。 形式化しました。 ̶̶ITシステムの障害対策は、運用管理 解析ルールとは、例えば「サーバでディス 者にとって頭の痛い問題です。 その負担や 工藤 管理者は、障害が起きた装置から クエラーが起き、 ストレージとの通信経路上 不満を解消するための新技術を開発され 通知されるイベントを解析して、 どこが悪い にあるFCスイッチでエラーが起きたなら、障 たそうですね。 のか、何が原因なのかを探り出すために奔 害の原因はFCスイッチです」 というように、 走します。サーバの単純な故障もあれば、 集めたイベントを関連づけるときの条件を汎 ネットワークやストレージで起きた障害が原 用的な形で記述したものです。 RCA機能の 因で、 サーバに障害が起きてしまうこともあり 解析エンジンにあらかじめ400パターンほど ます。1つの装置の障害があちこちに伝播 組み込まれており、 Analyzerが監視可能な している状況では、 それぞれの装置から大 機器において生じうる障害パターンをほぼ 量のイベントが通知されるため、原因となっ 網羅しています。Analyzerをお客さま環境 た装置を特定するまでに手間や時間がか にインストールすると、 自動的にすべてのシ かり、 対応も遅れがちになってしまいます。 そ ステム構成情報を調べ上げ、 お客さま専用 でん ぱ 横浜研究所 運用管理 システム研究部 主任研究員 工藤 裕 こで、人手の少ない中小企業に最も必要と の解析用データ構造を最大10分で作り出し されるのは、障害原因を自動的に特定する ます。 また、 エージェントレスでの監視が可能 機能ではないかと考えました。 それが昨年 ですので、既存環境に手を加える必要もあ 販売を開始した 「Hitachi IT Operations りません。導入後、 すぐに監視業務をスター Analyzer(以下、Analyzer)」 の目玉機能 トしていただけるのが大きな特長です。 となっているRCA機能となります。 工藤 従来型のRCA機能では、 この解析 永井 ITシステムは今や、 さまざまな規模 の企業で活用されています。 しかし中小企 業ではサーバやストレージ、 ネットワークなど ベテラン管理者の知識・経験・ノウハウ をシステム化 ̶̶それは、 どのような機能なのでしょうか。 因を検索するため、障害個所の特定にか なりの時間がかかります。 そこで今回私たち ケースが見受けられます。 また、複雑なIT 17 横軸に原因が並ぶ表形式で表していまし た。 この方式では表全体を走査しながら原 の専門知識を持った管理者を置くことが難 しく、一人が複数の機器の監視を兼任する ルールを構造化する際、縦軸に障害内容、 システムの障害を早期に発見し、安定稼働 永井 さまざまな機器から通知されるイベ につなげるには運用管理ツールが必要で ントを、 独自の解析ルールをもとに関連づけ、 しました。 この方式だと、原因をピンポイント は、 リスト形式の解析用データ構造を開発 すが、 これまでの多くのツールは導入時の 障害の根本原因となっている装置を特定 に検索できるので、 わずか数秒で障害個所 システム設計や運用設計に専門的な知識 する機能です。 システム障害は無秩序に起 を特定できます。現状、障害復旧時間の多 が必要だったため、導入そのものをためら きるわけではなく、障害が起きた装置は、 そ くが障害原因個所の特定に費やされてい うこともありました。 そこで、専門知識を持た の原因となっている装置と必ずどこかでつ るといわれています。RCA機能により高速 ない管理者でも、複雑なITシステムの障害 ながっています。 このつながりを手がかりに に障害原因の特定ができることで、障害復 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 旧時間の短縮につながると考 えています。 IT システムの接続マップ ■新開発のリスト形式解析用デー タ構造で数分∼数時間要した原 因候補の導出を数秒に高速化 世界的にも評価された インタフェースとデザイン 障害原因 影響範囲 ■通知される複数のイベントから 障害の原因個所候補を絞り込み、 影響範囲とともにITシステムの 接続マップ上に表示 ̶̶どこに障害の原因がある のか、 すぐに確認できるわけで すね。 Hitachi IT Operations Analyzer ■ユーザビリティを追求した設計 が評価され米国の権威あるデザ イン賞IDEA※を受賞 永井 障害が起きた際には管 理者にメールで通知しますか ら、通常は監視画面を注視し ※ International Design Excellence Awards ている必要はありません。 メー 図 ITシステムの障害対策支援システム 障害原因解析機能「ルールベース推論エンジン」 障害原因個所が 一目でわかるの で、 すぐに対策に 取りかかれる 障害イベント群 運用管理者 サーバ ネットワークスイッチ ストレージ ルを受け取った後にAnalyzer の画面を開けば、ITシステムの接続マップ 績とノウハウがあったからこそ、 サーバやス 永井 Analyzerは国内だけでなく海外市 上に根本原因となった機器が赤く表示され トレージ、 ネットワークなどの専門家と同様に 場でも高い競争力を持つ製品と考えていま ています。 その機器と接続しているサーバ、 判断をスピーディに導き出せる推論エンジン す。 そのため今後は、海外ユーザーの実情 ストレージ、 ネットワークも確認できるので、障 が構築できたのです。 また、 ルールを作る際 に合わせ、 管理対象の規模をさらに増やす 害の影響範囲が一目でわかり、 どのような対 には、体系的かつ漏れがないかどうかの検 など、 より幅広いレンジのお客さまに利用し 処が必要か、 すぐに判断できるのです。 証が不可欠ですが、 ここでも航空工学の専 ていただけるような研究を進めていきたいと 画面構成も、管理者が迷わず業務を遂 門家の知見に基づき、飛行機故障の解析 思います。 行できるよう、 デザイン本部の協力を得なが ※2 に用いられるFTA という手法によって網 ら使いやすさとビジュアルを徹底的に追求し 羅度をチェックしました。 工藤 現在もAnalyzerは、管理者負担を ました。 この直感的でわかりやすいインタ ※2 Fault Tree Analysis 最小化するための数々の機能を提供して いますが、 究極の姿としてめざしているのは フェースとデザインが評価され、 2010年に国 際的に権威あるデザイン賞のInternational 将来的にはすべてを自動化していく 完全無人運用です。つまり、 サーバの障害 を検知したら管理者にメールで知らせて判 Design Excellence Awardsの銀賞と、 日本のグッドデザイン賞を受賞しました。 ̶̶日立内の幅広い専門家の力を結集し ̶̶開発では、 どのような点に苦労されまし この技術とAnalyzerは、 どのような進化を か、 なるべく人の手を介さずに自動運用す たか。 遂げていくのでしょうか。 ることを理想としています。 今はまだ、 すべて 断を仰ぐのではなく、 自動的に別のサーバを て作り上げた技術ということですね。今後、 割り当てるとか、 リスタートして復旧させると の技術がそこまで追いついていませんが、 永井 やはり解析ルール作りの作業です。 最終的には無人運用が当たり前となり、 わ ITシステムを構成するサーバ、 ストレージ、 れわれの研究対象がなくなってしまう時代 ネットワーク、 そして運用管理の専門家が集 まり、起こりうる障害の構成要素を皆で洗い 出しながら地道にルール化していきました。 ここは本当に徹底的にやりました。 が来てもいいのではないかと個人的には 横浜研究所 運用管理 システム研究部 研究員 思っています。 永井 崇之 ̶̶近い将来、 運用管理という言葉自体が “レガシー” となる時代が来るのかもしれませ 工藤 今回開発したRCA機能は、1980年 んね。今後のさらなる技術的な進化を期待 代から日立でも力を入れて研究してきたエ しています。 キスパートシステム (人工知能)がベースと この研究における長年の実 なっています。 お問い合わせ先 (株) 日立製作所 横浜研究所 https://www3.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 18 プラットフォーム & ソリューション・ケーススタディ 2 グローバルビジネスにおける競争力を強化すべく 「AP8800」で基幹システムを刷新。 タイムリーな情報活用と業務効率化を実現 日本精機株式会社 ▶ http://www.nippon-seiki.co.jp/ 車載用計器類や民生製品、 ディスプレイ製品などの開発から製造・販売を手がける 日本精機株式会社(以下、 日本精機)は、 基幹システムを刷新。 世界中の製造・販売拠点との情報連携をさらに強化し、 競争力の向上につなげていくのがねらいです。 重要なシステムを支えるインフラとして採用されたのが、 日立のエンタープライズサーバ「AP8800」です。 大量の業務データを迅速に処理できる環境を構築することで、 ビジネススピードのさらなる向上を実現。 また、 「アクセラレートプロセッサ」や「仮想MTL(磁気テープライブラリ) 」などの活用により、 バックアップの効率化やコスト削減など、 さまざまなメリットを実現しています。 Platform & Solution case study 日本精機株式会社 経営管理本部 企画管理部 シニアマネジャー 野々村 均 氏 グローバル競争に勝ち残るため 「もの造り総合力」 を強化 日本精機株式会社 経営管理本部 企画管理部 管理3 マネジャー 若林 崇 氏 株式会社 NS・コンピュータサービス 株式会社 NS・コンピュータサービス ソリューション本部 IDC事業部 製造ソリューション部 IDCサービス課 チームリーダー 鈴木 雅亮 氏 池上 心也 氏 「たとえば、当社の強みである車載用計器類は、電子化が進 み部品点数が大幅に増加しました。 また、仕向け地によっても細 車載用計器類や民生製品、 ディスプレイ製品などの開発から かく仕様が異なるため、同じ車種に対して、約150種類のバリ 製造・販売を手がける日本精機。特に車載用計器類については エーションを用意することもあります」 (野々村氏) 。 業界トップクラスの技術力を有しており、国内外の大手メーカー こうした多品種・少量生産の流れは、必然的にデータ量の増 に多数採用されています。 加を招くことになります。 拡大する需要に応えるため同社は、早くからグローバル化を 「国内だけで製造していた頃は、従来の環境でも充分に対応 推進してきました。近年はグローバルでの競争に勝ち残るため、 できました。 しかし、既存システムのままで、世界各地の情報を収 「もの造り総合力」 の強化に取り組んでいます。 集し、 タイムリーな事業展開につなげていくのは困難。早急な改 「グローバルでの競争に勝ち残るためには、情報の一元管理 善が必要だと感じていました」 と経営管理本部 企画管理部 管 や迅速な伝達が重要な意味を持ちます。我々ITの企画推進を 理3 マネジャーの若林 崇氏は振り返ります。 一業務として手がける部門としても、海外拠点を含めたグループ 同社は高い性能や信頼性を評価し、基幹システムを支えるイ 全体の情報力強化に力を注いでいます」 と経営管理本部 企画 ンフラとして、 日立のエンタープライズサーバ 「AP8800」 を採用。 管理部 シニアマネジャーの野々村 均氏は説明します。 「当社のシステムは24時間稼働が大前提。 この点で、 AP8800の グローバル化により基幹システムの刷新が急務に リケーション資産を有効活用できる点も考慮しました」 (若林氏) 。 高信頼性・高可用性は大きなアドバンテージでした。 また、 既存アプ 最大の懸案だった処理能力についても、 高い評価が与えられ 19 同社では2008年末頃より、基幹システムの刷新に向けた取り ました。 組みを開始。 その背景にあったのは、先に述べたグローバル化 AP8800は、 レギュラータイプでもメモリー搭載量拡大などプロ への対応です。事業構造の変化に伴って、業務データ量が飛 セッサリソースが強化されており、命令プロセッサの処理を分担 躍的に増大。 このままでは、既存システムのキャパシティを超えて して業務効率の向上を図る 「アクセラレートプロセッサ」 を利用で しまう可能性がありました。 きる点も評価されました。 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. USER PROFILE USER PROFILE 日本精機株式会社 株式会社 NS・コンピュータサービス 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 http://www.nscs.jp/ 新潟県長岡市東蔵王2-2-34 1946年12月24日 144億9,400万円 (2010年4月1日現在) 10,396名 (連結、 2010年3月31日現在) 車載用計器類を開発から製造・販売する部品メーカーとして、国内 外の有力メーカーに数多くの製品を提供。 そのほかにも、OA機器 用操作パネルや空調・住設機器コントローラー、液晶/有機ELモ ジュールなど、 多彩な製品群を提供している。 本 社 設 立 資 本 金 従業員数 新潟県長岡市金房3-3-2 1985年4月1日 3億2,300万円 (2010年4月1日現在) 494名 (2010年4月1日現在) 日本精機グループ各社の情報システム構築・運用を手がけるほか、 製造業、公共、教育など幅広い分野にわたり、 ソリューション事業、 エンベデット事業、 IDC事業を展開している。 大幅に向上したシステム性能 ビジネススピードもさらに向上 AP8800の導入メリットとしては、第一に飛躍的 な性能向上が挙げられます。 既存システムではオンラインのレスポンスが低下 しており、 結果が返ってくるまでに数十秒かかること もありました。 しかし現在では、 こうした問題は解決。 「データセンターでは、 全トランザクションのオンラ イン応答時間を毎日計測していますが、 ほとんど の処理が1∼2秒で終了します」 と株式会社 NS・ コンピュータサービス IDC事業部 IDCサービス課 データセンターに設置さ れている 「AP8800」 (右) と日立製品群。 の鈴木 雅亮氏は評価します。 バッチ処理の速度も大幅に向上しました。 「昼間の処理では、複数のバッチを組み合わせて実行する を使った運用に変更。 その結果、 テープ巻数は年間約10本に減 ケースがありますが、 一つひとつのバッチ処理時間が短縮された 少。物理的なテープのハンドリング作業が不要になり、運用効率 ため、 業務全体を前倒しできるようになりました」 と株式会社 NS・ も大幅に向上しました。 コンピュータサービス ソリューション本部 製造ソリューション部 ビジネスの根幹を支えるシステムだけに、 トラブルへの備えも万 チームリーダーの池上 心也氏は続けます。 全です。万一の障害発生時には、 ディスクに出力したセルフダン 日立側で障害原因を解析する仕組みを構 飛躍的な性能向上は、 当然ビジネスにも好影響をもたらします。 プをLTOに取得し、 「業務処理を短縮できれば、 それだけ協力工場にもスピーディ 築する予定です。 に情報を流すことができます。 生産リードタイムの短縮を図ってい 「これまでも大規模な障害の経験はありませんが、 いざという く上で、 大きな効果が見込めます」 (若林氏) 。 時の備えがきちんとあるということは安心です」 (鈴木氏) 。 夜間バッチ処理などでは、 アクセラレートプロセッサと、MTLの 日立のサポートに対しても、 高い評価が寄せられています。 エミュレーションを行う 「仮想MTL」 が威力を発揮。 「我々ユーザー企業にとって一番気になるのは、 何かあった場 以前は月末や期末などのピーク時になると、夜間バッチ処理 合の支援体制です。 その点で日立は、群を抜いています」 (野々 が翌朝のオンライン開始時間ギリギリまでかかることもありました。 村氏) 。 しかし現在では、 2時間半以上も処理時間を短縮しています。 新潟県中越地震で被災した際にも、 日立のエンジニアがすぐ 「構築前の検討段階では、既存システムの2倍の性能が必要 に駆けつけて復旧にあたりました。 こうした手厚いサポートが、強 だと考えていました。 しかし、 アクセラレートプロセッサや仮想 い信頼感に結びついているのです。 MTLの活用により、1.5倍程度のスペックでも性能的に充分。少 同社では現在、 夜間無人運転を検討しているが、 「VOS3/US」 ない投資で大きな効果を得ることができました」 (池上氏) 。 では、 CPUとメモリーの稼働状況を監視する 「JP1/Cm2/SNMP Agent for VOS3稼働監視」 など、豊富な付加価値機能を バックアップの効率化も実現 保管用テープの巻数は1/100に 「VOS3/US標準パッケージ」 として提供。適切なコストで新しい 環境を構築することができるのです。 新システムでは、 バックアップ業務についても改善が図られまし 「今後は業務プロセスの見直しも実施し、 『もの造り総合力』 の た。以前は磁気テープを利用してバックアップを行っており、 テー 強化をしっかりと支えていきたい」 と野々村氏は抱負を語ります。 プ巻数が年間約1,000本にも上っていました。 日本精機の 「もの造り総合力」 の強化を、AP8800と日立がしっ そこで、今回の刷新を機に、仮想MTLとLTOライブラリ装置 かりと支えていきます。 *導入効果は、 本ユーザーのシステム構成や導入時の製品モデル/仕様によるものです。 LTO:Linear Tape-Open PRMF:Processor Resource Management Feature FIBARC:FIBre connection ARChitecture ●LTO、 Linear Tape-Open、 Ultriumは、 米国Hewlett-Packard Company、 米国Quantum Corporation、 および米国International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。 ●その他記載されている会社名、製品名は、 それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。 ●この記事は日経コンピュータ 2011年3月3日号に掲載されたものです。 お問い合わせ先 記事に関しては、 (株) 日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 TEL(03)5471-2062 製品に関しては、HCAセンター 0120-2580-12(土、 日、祝日を除く 9:00∼12:00 13:00∼17:00) ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/AP/ はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 20 株式会社 日立インフォメーションアカデミー プラットフォーム研修部 技師 後藤 愼一郎 日立研修ソリューション クラウドコンピューティング 関連講座のご紹介 「概説」から「実機演習」まで 多様な研修コースをご用意 ■ クラウドコンピューティング概説 クラウドコンピューティングを利用した先進的 クラウドの概要と要素技術について幅広く 理を学習していきます。プライベートクラウド 基盤を自社内で構築しようと計画されている なシステムを利用する企業が増加しています。 学習します。国内外のサービスプロバイダが 提供する多様なクラウドサービスの全体像や コンピュータ・リソースの物理的な設置場所や クラウドを適用した システム構成を意識する必要がないクラウドは、 仮想化技術の最新動向、 方などにお勧めします。 戦略的なクラウド活用に 欠かせない視点を醸成 従来の 「IT資産を所有する」考え方から 「サー 新ビジネスなどに興味をお持ちの方などにお ITコストの削減や競争優位性を確立する ビスを利用する」方向への大きなパラダイムシ 勧めします。 ためのクラウド導入では、 世の中に氾濫する フトを促すもので、 ITコストの削減や経営の迅 はんらん 情報を整理し、 多くのベンダーが提供してい ■ Microsoft仮想化技術 Hyper-V −インストールと構成− るクラウドサービスの特長や技術特性を知り、 日立では、 多様なニーズにお応えするクラ Microsoft社の仮想化技術であるHyper-V 成していくことが必要です。 ウドサービスメニューを日立クラウドソリュー のインストールと構成について、 実機を使って 日立のクラウド関連講座では、 これからの サーバ仮想化の技術、 現 ション「Harmonious Cloud」 として体系化し、 学習するとともに、 ビジネス展開に不可欠なクラウドの技術概 状、 利点などに関して学習します。 クラウド基 要と最新動向に加え、 クラウド基盤の構築に 速化・効率化など、 幅広いメリットをもたらすシ ステム利用形態として脚光を浴びています。 ハ ー モ ニアスクラウド お客さまのビジネスを進化させる情報基盤を 低コスト、 スピーディ、 高信頼に実現しています。 盤に欠かせない仮想サーバの構築や活用を 担当される方などにお勧めします。 クラウド関連講座として、 日立グループ内 で培ったクラウド関連技術の社員教育ノウ ■ Microsoft仮想化技術 Hyper-V −SCVMM を使った管理と監視− ハウをベースに、 クラウドの全体像を理解す るための「概説」から、仮想化技術を適用し たシステム構築・提案の実践力を養う 「実 機演習」まで、多様な研修コースをご用意し 戦略的な活用を図る上での視点・観点を醸 おける要素技術や具体的なアプローチなど も実践的な演習を交えて体系的に学習して いただけます。 クラウドを基盤としたIT 戦略や付加価 値の高いビジネス提案の実現に、ぜひ「ク 仮想化環境を効率よく管理するMicrosoft ラウドコンピューティング関連講座」をお役 System Center Virtual Machine Manager 立てください。 (SCVMM)を使ったHyper-Vの管 理と監 ています。 視の方法について学習します。複数の物理 クラウドコンピューティング/ 仮想化関連コースのカリキュラム ■ サーバ仮想化概説 サーバを仮想化するための技術概要、 論 サーバ上にHyper-Vを使った仮想サーバを 構築する方などにお勧めします。 レクチャー サーバ仮想化概説 1日間 マシン実習 レクチャー ■ クラウド時代のLinux 仮想サーバ構築 −EucalyptusとHadoop実習− クラウド コンピューティング概説 4時間 マシン実習 習します。パブリッククラウドやプライベートク プライベートクラウドを構築できるソフトウェ ラウド、 一部の業務システムからの仮想化技 アEucalyptus、 オープンソース分散バッチ処 ユ ーカリプタス ハドゥープ 術の導入を検討されているシステム管理者 理ソフトウェアHadoopの構成・設定・実行を の方などにお勧めします。 実機で学びながら、 クラウド上のシステム管 お問い合わせ先 TEL(03)5471-8962 E-mail : [email protected] はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. マシン実習 Microsoft仮想化技術 Hyper-V Microsoft仮想化技術 Hyper-V ̶インストールと構成̶ 1日間 ̶SCVMMを使った管理と監視̶ 1日間 図 クラウドコンピューティング/仮想化関連コースのカリキュラム クラウド関連講座の詳細は、 右記ホームページをごらんください。http://www.hitachi-ia.co.jp/cnt/ckpi.asp 21 ̶Eucalyptusと Hadoop実習̶ 2日間 (2011年下期開催予定) 理区画技術、 今後の動向に関する知識を学 (株)日立インフォメーションアカデミー クラウド時代のLinux 仮想サーバ構築 Topics&Information 東北地方太平洋沖地震への 支援と対応について 東北地方太平洋沖地震により被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げますとともに、 被災地が一日も早く復興することをお祈り申し上げます。 1. 災害時における窓口の新設について このたびの災害対応のため、 お客さま問い合わせ窓口として 「災害対応受付センタ」 を新設いたします。 ●災害対応受付センタ ●災 電話番号:0120-258093 受付時間:平日9:00∼21:00、 土・日・祝日9:00∼17:00 2. 災害復興に向けた特別支援プログラムについて 保守サービス特別対応 保守契約および保証期間中の機器の修理につきましては、技術 料は無償、部品代は特別価格にて対応いたします。 また、保守未契 約の機器の修理につきましても、特別価格にて対応させていただきま す。 なお、災害救助法適用地域を中心とした東北・上信越・関東地 方・静岡県のお客さまで、2011年東北地方太平洋沖地震および長 野県北部地震・静岡県東部地震により被害を受け、修復が可能な 機器(サーバ、 ストレージ、 ネットワーク) 、 ミドルウェアを対象とします。 ●保守契約済のお客さま 保守契約時にお知らせしている専用の電話番号へご連絡ください。 ●保守未契約または上記専用電話番号がご不明のお客さま 災害対応受付センタ (電話番号:0120-258093) へご連絡くだ さい。 クラウドサービス (PaaS) 無償提供 震災の復旧・復興に向けて活動を行う企業・自治体・非営利団体 などに対し、Harmonious CloudのビジネスPaaSを、原則3か月間無 償にてご提供します。 ●お電話でのお問い合わせ ・災害対応受付センタ (電話番号:0120-258093) ・受付時間:平日9:00∼21:00、 土・日・祝日9:00∼17:00 ●Webでのお問い合わせ https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/harmonious_cloud/form.jsp 仮想サーバシステム無償提供 [株式会社日立情報システムズ] コンピュータシステムに被害を受けた地方公共団体や中小規模 企業、 救援を支援する団体などに向け、 日立情報システムズのデータ センタで稼働する仮想サーバシステムを6か月間、 無償で提供します。 詳細につきましては下記URLをご覧ください。 http://www.hitachijoho.com/news/2011/110318.html 3.「計画停電」にともなうお客さまシステムの対応について 3 2011年3月11日 (金) に発生した東北地方太平洋沖地震の影 また、復電時においても、 お客さまで運用されている正常な手順に 響で、3月14日 (月)以降、電力需給逼迫による計画停電が実施さ より、 システムを復旧されることをお勧めします。 お客さまの自家発電 れています。 装置などの環境により、対処方法は異なります。 自家発電装置が作 お客さまシステムを、復電後により確実に復旧できるように、東京 動できる状態にあることや、万一に備えたシステムやデータのバック 電力、東北電力の情報をご確認いただき、 「計画停電」 の停電実施 アップを、 ご確認・ご対応願います。 なお、停電時間中にシステムを稼 前に、 お客さまで運用されている正常な手順により、 システムを停止 働させる場合は、必ず空調設備も稼働させるようにご注意願います。 されることをお勧めします。 停電の対象となるお客さまにつきましては、停電予定時間に備え たご対応を考慮願います。 この情報は2011年3月22日時点のものです。 最新の情報は下記URLにてご確認ください。 http://www.hitachi.co.jp/products/it/portal/notice.html ● 本誌記載の他社登録商標 ※ Citrix、Citrix XenDesktopは、Citrix Systems,Inc.の米国およびその他の国にお ける商標です。 ※ SAPは、SAP AGのドイツおよびその他の国における登録商標です。 ※ VMwareは、VMware,Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標 です。 ※ Windows、Hyper-Vは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国に おける登録商標または商標です。 ※ LTO、Linear Tape-Open、Ultriumは、米国Hewlett-Packard Company、米国Quantum Corporation、 お よび米国International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。 ※ Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における商標あるいは登録商標です。 ※ その他記載の会社名、製品名は、 それぞれの会社の商標または登録商標です。 ● 本誌記載の内容について 社外からの寄稿や発言は、 必ずしも当社の見解を示しているわけではありません。 画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります。 はいたっく2011-4 All Rights Reserved,Copyright ©2011,Hitachi,Ltd. 22