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添付資料 - TOKYO TECH OCW

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添付資料 - TOKYO TECH OCW
6.配合設計12/9
セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材
料の割合または使用量(コンクリート1
m3でのことが多い)のことを配合(mix
proportion:建築では調合)という。また、
これを計画し定めることを配合設計
配合設計という用語
„
「コンクリートに要求される品質(性能)の設定、示方
配合を定めるための条件の設定、材料の選定と配
合計算、試し練りおよび配合の修正、示方配合の決
定と現場配合への補正」を含めた広義の意味で用
いられることが多い。なお、狭義には、コンクリート
に要求される品質(性能)の設定と配合を定めるた
めの条件が設定された後に「材料の選定と所要の
品質および性能を有するコンクリートを造るための
各材料の混合の割合を決定する。」という意味にも
用いられる。ここでは、広義の意味で述べる
続
„
„
„
本章では、配合設計で考慮すべき性能を整理し、配
合条件、材料、配合の決定について述べる。特に設
計基準強度から配合強度を求め、配合強度からの
水セメント比の定め方、配合の表し方を述べる。ま
た、配合設計例を示してある。さらに、各種配合の
考え方も紹介している
<ノート>
土木と建築では、同じことをいうのに用語が異なる
ものがある。配合と調合の他にも、スランプとスラン
プ値、細骨材率と砂率、スターラップとあばら筋など
である
6.1配合設計時に考慮する性能
„
良いコンクリートとは、フレッシュな状態では、4.1に
示す性能を有し、(適切な施工性:作業に適する流
動性を有し、均質で材料分離を生じにくく、)硬化後
は、5.1で示す性能(所要の強度、所要の耐久性(あ
るいは耐久性能)等)を有し、かつ経済的なものとさ
れている。上記の要求性能は互いにトレードオフの
関係にあるものもある。このトレードオフの影響を受
けるものとして単位水量がある。単位水量は、作業
の流動性からは多い方がよいが多すぎると硬化後
の諸性能が悪くなるので、一般には作業に適する
ワーカビリティーの範囲で、これを出来るだけ少なく
するのがよいとされる。良いコンクリートを造るため
の基本を図6.1に示す。
図6.1
良いコンクリートをつくるための基本
6.2標準的な配合設計の方法
„
原則的には、どのような方法で配合を決めて
も良い。読者が考えた方法でも結果的に前述
の要求性能を満たせばよいのである。しかし
ながら、独自の方法ではなかなかうまくいか
ないと想像する。ここでは、我が国での経験を
基に、標準的な要求性能を容易に満足できる
配合設計の方法を述べる。
6.2.1 一般的な考え方
„
„
„
„
材料の選定を含む配合設計の一般的な考え方は次
のようである。
(1)条件の整理
コンクリートの性能を含む配合設計の条件や施工
条件を整理する。例えば、コンクリートの用途、設計
基準強度、対象とする部材の形状・寸法・位置、打
込みの時期、施工方法(機材)、予想される運搬時
間や施工条件を整理する。
条件によっては、工事時間の制限(鉄道の工事な
どでは深夜のみ)、騒音の制限、さらには材料の制
限などがある。さらには、工事費の制限が最も厳し
いことが多い。
(2)配合条件の設定
„
„
(1)から、コンクリートの基本的な配合条件を決める。
これには、配合強度、スランプ、水セメント比、単位
水量、単位セメント量、空気量、単位容積質量(特に、
軽量コンクリートの場合)などが含まれる。配合強度
は設計基準強度にコンクリートの強度のバラツキを
考慮して割り増したものである。
設計基準強度は、設計者が(1)で定めればよいの
ではあるが、通常、無筋コンクリートでは18Mpa程度、
鉄筋コンクリートでは24-30Mpa程度、プレストレスト
コンクリートでは33-40Mpa程度とすることが多い。
(3)材料の選定
„
„
(1),(2)の条件を満足するようなセメント、骨材
および混和材料の種類や品質を決める。
近年では、特定の材料(例えば:エコセメン
ト、当地産の粒形の悪い骨材、当地産のフラ
イアッシュなど)を使用することが前提条件と
なる場合もある。この場合には、材料の選定
からスタートして(1),(2)を考えることとなる。
„
„
„
„
(4)選定した材料の確認
選定した材料の調査や試験を行って、その
材料の品質(性能)を確認する。セメントの品
質、骨材の比重、吸水率、粒度分布、単位容
積質量、混和材料の品質などは欠かせない
項目である。
(5)配合強度から定まる水セメント比の決定
(2)で定めた配合強度を満たす水セメント比
を定める。これは一般に試的な方法による。
„
„
„
„
(6)水セメント比の決定
(5)の水セメント比と、(1)、(2)などで施工性、耐久性
(耐久性能)や水密性を考慮して求めた水セメント
比のうち、最も小さい値とする。
(7)配合の仮決定
定められたスランプをもつコンクリートのうち、作業
性がよく、また、出来るだけ単位水量が少ないと考
えられる配合(複数でもよい)を(4)による材料の資
料さらには標準配合表などを用いて仮に定める。
(8)試し練りおよび示方配合の
決定
„
„
仮配合について試し練りを行い、コンクリートが施工方
法に適したワーカビリティーを持ち、かつ、スランプ、強
度、空気量、および単位容積質量などに関し、また、必
要に応じてヤング係数、乾燥収縮率、水和熱などが(2)
で定めた配合条件を満足しているか否かを確かめ、必
要ならば、配合の修正と試し練りを繰り返して、最終的
に示方配合を決定する。
示方配合(建築では計画配合)とは、「所定の品質のコ
ンクリートが得られるような配合(調合)で、仕様書または
責任技術者によって指示されたもの。コンクリート練上
がり1m3の材料使用量で表す。」ものである。この場合、
骨材は表面乾燥飽水状態であって、細骨材と粗骨材は
5mmで完全に分けられている
(9)現場配合の決定
„
現場における骨材の粒度(5mmでキチンと分
かれていない)や表面水の状態(湿潤や気乾
状態のことが多い)、混和剤の使用方法なら
びに計量方法を考慮して、示方配合から現場
配合を求める。現場配合(調合)とは、「示方配
合のコンクリートが得られるように、現場にお
ける材料の状態および計量方法に応じて定
めた配合」である。
6.2.2 具体的な手順
手順の概略を図6.2に示す
(1)配合強度の設定
„
„
設計基準強度(f’ck)に、現場におけるコンク
リートの強度のバラツキを考慮する割増係数
(α)を乗じて配合強度(f’ ck)を設定する。すな
わち、f’ ck =αf’ ckとする。一般の現場打ちの
場合、αは次のように考えて求める。
強度の試験値(3本1組の供試体の試験の
平均値)がf’ ckを下回る確率が5%以下となる
ように定める。この条件を強度の変動係数
V(%)によって表すと次式となる。
1
α=
1 . 645 V
1−
100
この関係を図6.3 6-3)に示す。
(2)粗骨材の最大寸法
„
„
„
構造物の種類、部材の最小寸法、鉄筋のあ
き、かぶりなどを考慮して決める。コンクリート
標準示方書の施工編では、
粗骨材の最大寸法は、部材最小寸法の1/5、
鉄筋の最小あきの3/4およびかぶりの3/4以
下とする。
粗骨材の最大寸法は表6.1の値を標準とする。
表6.1 粗骨材の最大寸法
構造物の種類
一般の場合
粗骨材の最大寸法(mm)
20または25
断面の大きい場合
40
無筋コンクリート
40
部材の最小寸法の1/4を超えてはならない
(3)スランプ
„
スランプは、運搬、打込み、締固め等作業に
適する範囲内でできるだけ小さく定める。これ
は、スランプの大きなコンクリートは、材料分
離が生じやすく、打込み後のコンクリートが不
均一になりやすく、また、単位水量が多いた
め乾燥収縮なども大きくなるためである。打
込み時のスランプは表6.2の値を標準とする。
なお、この値より大きなスランプが必要な場
合には、高性能AE減水剤などを用いる必要
がある。
表6.2 スランプの標準値
スランプ(cm)
種類
通常のコンクリート
高性能 AE 減水剤を用いたコンクリート
鉄筋コンクリート
一般の場合
断面の大きい場合
5∼12
3∼10
12∼18
8∼15
無筋コンクリート
一般の場合
断面の大きい場合
5∼12
3∼8
―
―
(4)空気量
„
„
„
„
AE剤やAE減水剤を用いて空気量を多くすると、図
6.4に示すように凍結融解作用に対する抵抗性や
ワーカビリティーの改善には役立つが、強度の低下
を生じる。コンクリート標準示方書の施工編では、
① コンクリートは原則としてAEコンクリートとし、そ
の空気量は粗骨材の最大寸法、その他に応じてコ
ンクリート容積の4-7%を標準とする。
② 海洋コンクリートの空気量は、表6.3の値を標準
とする。
とされる。
表6.3 海洋コンクリートの空気量の標
準値(%)
スランプ(cm)
種類
25
40
(a) 海上大気中
(b) 飛沫帯
5.0
6.0
4.5
5.5
凍結融解作用を受けるおそれのない場合
4.0
4.0
凍結融解作用を受け
るおそれのある場合
„
„
<ノート>
AEコンクリートとする主目的は、凍害に対
する抵抗性を増すためである。このため、凍
害の恐れのない国や地域では、この必然性
はない。ではあるが、東南アジア諸国などで
は、建前上は米国や英国の基準を使用して
いるので必須ということになっているが、実際
には使用していないことが多い。真面目な技
術者ほど判断に迷うところである。
(5)水セメント比
„
„
„
„
具体的には施工編では、
① 水セメント比は、原則として65%以下とする。
② 水セメント比は、コンクリートに求められる力学
的性能、耐久性、水密性およびその他の性能を考
慮し、これらから定まる水セメント比で最小の値を設
定する。
③ コンクリートの圧縮強度をもととして水セメント比
を定める場合には、セメントの値は次のように定め
る。「結合材としての効果も期待できる混和材を用
いる場合には、セメント量をセメントの質量と混和
材の質量の和として考えてもよい(注:この部分は
セメント量について以下同じ)。
続
„
„
„
(a) 圧縮強度と水セメント比との関係は、試験によっ
てこれを定めるのを原則とする。一般的には、試験
の材齢は28日を標準とする。
(b) 配合に用いる水セメント比は、基準とした材齢
におけるセメント水比(C/W)と圧縮強度f’cとの関係
式において、配合強度f’ cに対応するセメント水比の
逆数とする。
④ コンクリートの凍結融解抵抗性をもととして水セ
メント比を定める場合には、その値は表6.4の値以
下とする。良質な混和材を適切に用いる場合には、
セメント量をセメントの質量と混和材の質量の和とし
てよい。
表6.4 コンクリートの凍結融解抵抗性をもととして
水セメント比を定める場合におけるAEコンクリート
の最大の水セメント比
気象条件
断面
気象作用が激しい場合または凍結融解
がしばしば繰返される場合
気象作用が激しくない場合、氷点
下の気温となることがまれな場合
薄い場合 2)
一般の場合
薄い場合 2)
一般の場合
(1)連続してあるいはしばしば水で
飽和される場合 1)
55
60
55
65
(2)普通の露出状態にあり、(1)に属さ
ない場合
60
65
60
65
構造物の露出状態
続
„
„
„
⑤ 化学的コンクリート腐食作用に対する抵
抗性をもととして水セメント比を定める場合に
は、その値は表6.5を参考に次のように定め
る。
(a) SO42-として0.2%以上の硫酸塩を含む土
や水に接するコンクリートに対しては表6.5の
うち(c)に示す値以下とする。
(b) 融氷剤を用いることが予想されるコンク
リートに対しては表6.5のうち(b)に示す値以
下とする。
表6.5 耐久性から定まるAEコンク
リートの最大水セメント比(%)
施工条件
環境区分
(a) 海上大気中
(b) 飛沫帯
(c) 海 中
一般の現場施工の場合
工場製品、または材料の選定および施工において、
工場製品と同等以上の品質が保証される場合
45
45
50
50
45
50
続
„
⑥ 海洋コンクリートでは、耐久性から定まる
水セメント比の最大値は表6.5の値を標準と
する。なお、AEコンクリートとした無筋コンク
リートの場合は、耐久性から定まる水セメント
比は表6.5の値に10程度加えた値にしてよい。
„
⑦ 水密性を要求されるコンクリートでは、水
密性から定まる水セメント比の最大値は55%
とする。
(6) 単位水量
„
„
„
„
単位水量は、所要のスランプ(コンシステンシー)
を得ることができる範囲でできるだけ少なくする。
AE剤、減水剤等の混和剤を使用する場合には、
混和剤の種類および使用量によって所要のスラン
プを得る単位水量が変化する。
コンクリート標準示方書の施工編では以下のよう
である。
① 単位水量は、作業ができる範囲内でできるだ
け少なくなるよう、試験によって定める。
② 高性能AE減水剤を用いたコンクリートの単位
水量は原則として175kg/m3以下とする。
続
„
„
„
③ 単位水量は、一般に表6.6の値以下とするのが
望ましい。
④ 寒中コンクリートおよび暑中コンクリートの単位
水量は、所要のワーカビリティーが得られる範囲内
で、できるだけ少なく定める。
なお、舗装コンクリートの単位水量は通常140kg/m3
以下であり、ダムコンクリートでは125kg/m3以下を
標準としている。ダムコンクリートなどの寸法の大き
な構造物においては、熱応力によるひび割れを防ぐ
意味からも、単位水量をできるだけ少なくして、単位
セメント量を減じる必要がある
表6.6 コンクリートの単位水量の限度
の推奨値
粗骨材の最大寸法(mm)
単位水量の上限(kg/m3)
20∼25
175
40
165
„
„
<ノート>
同一ワーカビリティーとしたい場合、単位水
量は使用する粗骨材の形状や表面性状に大
きく影響を受ける。これには地域差が非常に
大きい。関東と関西を比較すると、同一条件
では関西の単位水量は大きくなる傾向にある。
(7)細骨材率
„
水セメント比と単位水量が定まると単位セメン
ト量(これについての事項は後述する)も定ま
る。さらに、空気量も設定されているので、1
m3のコンクリートを造るために用いる材料の
残りが骨材量となる。この骨材量を、細骨材
率(s/a)によって配分する。細骨材率は、コン
クリートの適切なワーカビリティーを得るのに
極めて重要な要素であり、一般的には、細骨
材率が不適切であれば、硬化したコンクリー
トによくない結果をもたらす。
施工編では以下のようである。
„
„
„
① 細骨材率は、所要のワーカビリティーが得られ
る範囲内で単位水量が最小になるよう、試験により
定める。
② 細骨材率の設定の代わりに単位粗骨材容積を
設定してもよい。この場合でも、単位粗骨材容積は、
所要のワーカビリティーが得られる範囲内で単位水
量が最小になるよう、試験により定めるものとする。
③ 細骨材率または単位粗骨材容積の設定には表
6.7を参考にするとよい
表6.7 コンクリートの単位粗骨材容積、
細骨材および単位水量の概略値
AE コンクリート
粗骨材の
最大寸法
(mm)
単位粗骨材容積
(%)
空気量
(%)
15
20
25
40
58
62
67
72
7.0
6.0
5.0
4.5
AE 剤を用いる場合
AE 減水剤を用いる場合
細骨材率
s/a (%)
単位水量
W (kg)
細骨材率
s/a (%)
単位水量
W (kg)
47
44
42
39
180
175
170
165
48
45
43
40
170
165
160
155
(8) 混和材量の単位量
„
施工編には、「混和材料の単位量は、所要の
効果が得られるように定める。」とされる。例
えば、単位AE剤量は、所要の空気量が得ら
れるように、試し練りによって定めるとよい。
(9) 単位セメント量
„
„
„
前述のように、単位セメント量は単位水量と水セメン
ト比より定まる。しかしながら、単位セメント量は、微
粒子としてフレッシュ時のコンクリートの流動性や材
料分離抵抗性に寄与すること、また、硬化過程にお
いては発熱体となること等から、構造物に応じて標
準値あるいは最小や最大値が示されている。施工
編では以下のようである。
① 単位セメント量は、原則として単位水量と水セメ
ント比とから定める。
② 単位セメント量に下限あるいは上限が定められ
ている場合には、これらの規定を満足させなければ
ならない
続
„
„
„
③ 暑中コンクリートの単位セメント量は、所
要の強度およびワーカビリティーが得られる
範囲内で、できるだけ少なく定める。
④ マスコンクリートの単位セメント量は、所
要の性能が得られる範囲内で、できるだけ少
なく定める。
⑤ 海洋コンクリートの単位セメント量は、所
要の耐久性が得られるように、表6.8を参考
に定める
表6.8 耐久性から定まるコンクリート
の最小の単位セメント量
25
(mm)
40
(mm)
飛沫帯および海上大気中
330
300
海中
300
280
粗骨材の最大寸法
環境区分
(10) 配合試験
„
„
以上で求めた配合のコンクリートが、所要のワー
カビリティー、スランプ、空気量、圧縮強度、さらに必
要に応じてヤング係数、乾燥収縮率、水和熱を有す
るものであるかどうかを確かめるため、現場配合に
換算して各材料を計量し、所定のミキサーを用いて
実際の施工条件に近い状態で試し練りを行う。
この結果、コンクリートの品質(性能)が所要のも
のと異なる場合には、各材料の単位量を修正して
再計算し、試し練りを繰り返して、示方配合を定める。
(11) 示方配合から現場配合へ
„
„
示方配合を現場配合に直す場合には、5mmふるい
に留まる現場での細骨材の割合、5mmふるいを通
過する現場での粗骨材の割合、細骨材の含水率、
粗骨材の含水率、混和剤溶液中の水の割合などを
試験し、練り上がったコンクリートの材料組成の割
合が示方配合と同じになるよう注意しなければなら
ない。
現場配合を求める場合には、まず、骨材が表面乾
燥飽水状態にあると仮定して、5mmふるい通過分と
残留分に対する補正を行う。この補正のみを行った
場合に、現場で計量すべき細骨材の質量(S’)および
粗骨材の質量(G’)は、次の式で計算される (式をた
てても容易)
S’
100S−k(S+G)
S'=
100−(j+k)
G’
100G− j(S+G)
G'=
100−( j +k)
注:SおよびGは、示方配合における細骨材および粗骨材の単位
量あるいはそれら単位量を現場でのバッチの大きさに換算した質
量である。ここでは、簡単のため単位量で考える。また、j は現場
の細骨材中において5mmふるいに留まる部分の割合(%)、k は
現場の粗骨材中において5mmふるいを通過する部分の割合(%)
を表す。
„
„
次に、現場の骨材の表面水率に応じた補正を行う。
現場での細骨材の中で5mmふるいを通過するも
のの表面水率をh11%,5mmふるいに留まるものの
表面水率をh12%,さらに、現場での粗骨材の中で
5mmふるいに留まるものの表面水率をh21%、5mm
ふるいを通過するものの表面水率をh22とすると、実
際計量すべき現場細骨材量をS’’,粗骨材量をG’’は、
おのおの次式で求められる。
S”
G”
j
k
S = (1 )S'+
G'
100
100
k
j
S'+(1 −
)G '
G=
100
100
これより127ページの式
h 21
h 22 

G ' ' = 1 + k
+ (1 − k )
G '
100
100 

式6.2.4
h11 h12 

S' ' = 1 + (1 − j)
+j
S'
100 100 

式6.2.5
j →
k
→
j
100
k
100
混和剤を、r%水溶液として、Hkg使用する場
合には、次式で計算されるQkgが練り混ぜ水
の一部になる。
r
Q = (1 −
)H
100
式6.2.7
また、混和剤原液の容積は通常無視している。
以上の3つを求めることで示方配合を現場配合
に修正することができる
WからQを引く
6.2.3 配合の表し方
„
„
„
„
配合の表し方にもいろいろあるが、施工編では以下
のようである。
① 示方配合の表し方は、一般に表6.9によるもの
とする。
② 示方配合は、細骨材は5mmふるいを全部通る
もの、粗骨材は5mmふるいに全部留まるものであっ
て、ともに表面乾燥飽水状態であるとしてこれを示
す。
③ 示方配合を現場配合に直すときには、骨材の含
水状態、5mmふるいに留まる細骨材の量、5mmふ
るいを通る粗骨材の量および混和剤の希釈水量等
を考慮するものとする。
表6.2.9 示方配合の表し方
骨材の
スランプ
空気量
W/C
大寸法
mm)
水セメント比
1)
(cm)
(%)
(%)
単位量 (kg/m3)
細骨材率
s/a
水
セメント
混和材
細骨材
(%)
W
C
F
S
粗骨材 G
mm
mm
∼mm
∼mm
混和剤
A
6.2.4 配合設計例
„
„
„
„
„
コンクリートの具体的な配合設計例を示す。
(1)示方配合の設計条件
示方配合を設計するに当り、コンクリートの品質およ
び使用材料等から与えられる条件は、表6.10とす
る。
(2)空気量、細骨材率および単位水量の概略値の決
定
表6.7より、細骨材率および単位水量の概略値を決
定する。粗骨材の最大寸法は20mmより、空気量の
概略値は6.0%となる。さらに、AE減水剤を用いるこ
とから、細骨材率の概略値は45%となり、単位水量
の概略値は165kg/m3となる。
表6.10 示方配合を設計する際に与え
られる条件
項目
条件
水セメント比
50%
スランプ
8.0cm
空気量
4.0%
セメント
密度=3.16g/cm3
細骨材
粗粒率=2.59、密度=2.6 g/cm3
粗骨材
最大寸法=20mm、密度=2.65 g/cm3、砕石
混和剤
AE 剤、セメント質量に対して 0.4%を混和
(3)細骨材の粗粒率による補正
„
„
„
„
„
表6.2.7に示す概略値は、普通の粒度の細骨材(粗
粒率は2.80程度)を用いる場合を対象としている。一
方、ここで用いる砂の粗粒率は2.59である。したがっ
て、表6.2.7に基づき補正する。
s/a=45−(2.80−2.59)÷0.1×0.5=43.95
(砂が小粒になるとs/aを小さくする)
W=165 (∵ 補正しない。)
よって、細骨材率は43.95%となり、単位水量は165
kg/m3となる。
(4)スランプによる補正
„
表6.2.7に示す概略値は、スランプが約8cmの
コンクリートを対象としている。同様に、ここで
対象とするコンクリートのスランプも8cmであ
る。したがって、補正しないので、細骨材率は
43.95%となり、単位水量は165 kg/m3となる。
(5)空気量による補正
„
„
„
„
表6.2.7に示す概略値によれば、空気量は
6.0%のコンクリートが対象となる。一方、ここ
で対象とするコンクリートの空気量は4.0%で
ある。したがって、表6.2.7に基づき補正する。
s/a=43.95+(6−4)÷1×0.75=45.45
W=165×{1+(6−4)÷1×0.03}=174.9
よって、細骨材率は45.45%となり、単位水量
は174.9 kg/m3となる。
(6)水セメント比による補正
„
„
„
„
表6.2.7に示す概略値によれば、水セメント比が55%
のコンクリートを対象としている。一方、ここで対象と
するコンクリートの水セメント比は50%である。した
がって、表6.2.7に基づき補正する。
s/a=45.45−(0.55−0.5)÷0.05×1=44.45
W=174.9 (∵ 補正しない。)
よって、細骨材率は44.45%となり、単位水量は174.9
kg/m3となる。
(7)細骨材率による補正
„
„
„
„
表6.2.7に示す概略値によれば、細骨材率が45%の
コンクリートを対象としている。一方、ここまでの補正
により、対象とするコンクリートの細骨材率は
44.45%となった。したがって、表6.2.7に基づき補正
する。
s/a=44.45 (∵ 補正しない。)
W=174.9−(45−44.45)÷1×1.5=174.1
よって、細骨材率は44.45%となり、単位水量は174.1
kg/m3となる。
続
„
„
„
„
(8)粗骨材の種類による補正
表6.2.7に示す概略値は、砕石を用いたコンクリート
を対象としている。同様に、ここで対象とするコンク
リートの粗骨材種類も砕石である。したがって、補
正しないので、細骨材率は44.45%となり、単位水
量は174.1 kg/m3となる。
(9)単位水量の決定
以上により、表6.2.7に示す全ての補正が終了した。
これにより、単位水量は174 kg/m3と決定される。
(10)単位セメント量の決定
„
„
„
水セメント比は、50%である。したがって、単
位水量が174 kg/m3であることから、単位セメ
ント量を求める。
C=174÷0.5=348
よって、単位セメント量は348 kg/m3となる。
(11)単位細骨材量の決定
„
„
„
„
„
„
„
水の密度は1g/cm3と仮定し、コンクリートの単位体
積中に含まれる水の体積を求める。
174÷1÷1000=0.174
よって、水の体積は0.174m3となる。
次に、コンクリートの単位体積中に含まれるセメント
の体積を求める。
348÷3.16÷1000=0.110
よって、セメントの体積は0.110m3となる。
また、空気量は4%である。よって、コンクリートの単
位体積中に含まれる空気の体積は0.04m3となる。
したがって、コンクリートの単位体積中に含まれる水、
セメントおよび空気の体積は、図6.2.4に示すとおりで
ある。
空気(0.04m3)
水(0.174m3)
セメント(0.110m3)
骨材
図6.2.4 コンクリート1m3中に含まれる各
材料の体積
したがって、全骨材の体積は、次式で求まる。
1−(0.174+0.110+0.04)=0.676
よって、コンクリートの単位体積中に含まれる全
骨材の体積は、0.676m3となる。
(8)までの補正により、細骨材率は44.45%と
なった。したがって、細骨材の体積は、次式で求
まる。
0.676×0.4445=0.300
よって、コンクリートの単位体積中に含まれる細
骨材の体積は、0.300m3となる。したがって、
細骨材の単位量は、次式で求まる。
S=0.300×2.6×1000=780
よって、単位細骨材量は780 kg/m3となる。
(12)単位粗骨材量の決定
„
„
„
„
„
全骨材の体積から細骨材の体積を減ずるこ
とにより、粗骨材の体積を求める。
0.676−0.300=0.376m3
よって、コンクリートの単位体積中に含まれる
粗骨材の体積は、0.376m3となる。したがって、
粗骨材の単位量は、次式で求まる。
G=0.376×2.65×1000=996
よって、単位粗骨材量は996 kg/m3となる。
„
„
„
„
„
„
(13)単位混和剤量の決定
セメント質量に対して0.4%のAE減水剤を混
和する。
Ad=348×0.004=1.392
よって、AE減水剤は1.392 kg/m3となる。
(14)示方配合表の作成
以上の計算結果を基に、示方配合表を作成
する(表6.2.11)。
表6.2.11 示方配合表
粗骨材の
スランプ
水セメント比
空気量
W/C
最大寸法
単位量 (kg/m3)
細骨材率
s/a
水
セメント
細骨材
粗骨材
混和剤
(mm)
(cm)
(%)
(%)
(%)
W
C
S
G
Ad
20
8.0
50
4.0
44.45
174
348
780
996
1.392
(15)現場配合の設計条件
(14)の示方配合を基に、現場配合を設計する。ここで、現
場において使用する材料から与えられる条件は、表
6.2.12とする。
表6.2.12 現場配合を設計する際に与えられる条件
項目
条件
細骨材
5mm ふるいに留まる現場での細骨材の割合=5%
表面水率=0.5%
粗骨材
5mm ふるいを通過する現場での粗骨材の割合=1%
表面水率=−1%
混和剤
希釈水溶液中の混和剤濃度=10%
(16)骨材量による補正
„
„
骨材が表面乾燥湿潤状態にあ
ると仮定して、5mmふるい通過
分と残留分に対する補正を行う。
現場で計量すべき細骨材量およ S ' = 100S − k (S + G)
100 − ( j + k )
び粗骨材量は、次式で求まる。
よって、単位細骨材量は811
kg/m3となり、単位粗骨材量は
965 kg/m3となる。
100G − j(S +G)
G' =
100 −( j + k)
(17)表面水率による補正
現場の骨材の表面水率に応じた補正を行う。現場で計量
すべき細骨材量および粗骨材量は、次式で求まる。
0.5
0.5 

S = 1+ (1− 0.05)
+ 0.05 811= 815
100
100

''
−1
−1 

G = 1+ 0.01 + (1−0.01) 965= 955
100
100

''
よって、単位細骨材量は815 kg/m3となり、単位粗骨材量
は955 kg/m3となる。
„
„
„
„
„
„
„
„
(18)混和剤量の補正
現場で使用する混和剤の希薄水溶液の濃度に
応じた補正を行う。現場で計量すべき混和剤量
は、次式で求まる。
Ad’=1.392÷0.1=13.92
よって、混和剤量は13.92 kg/m3となる。
(19)単位水量の補正
細骨材および粗骨材の表面水率および混和剤
の希薄水溶液中に含まれる水量に応じた補正を
行う。現場で計量すべき水量は、次式で求まる。
W’=174+(811−815)+(965−955)−(1−0.1)13.92
=167
よって、単位水量は167 kg/m3となる。
(20)現場配合表の作成
以上の計算結果を基に、現場配合表を作成する(表
6.2.13)。
(21) 試し練りおよび配合調整
表6.2.13の現場配合表を基に、試し練りを行い、スランプ
および空気量を確かめる。
粗骨材の
スランプ
水セメント比
空気量
W/C
最大寸法
単位量 (kg/m3)
細骨材率
s/a
水
セメント
細骨材
粗骨材
混和剤
(mm)
(cm)
(%)
(%)
(%)
W
C
S
G
Ad
20
8.0
50
4.0
44.45
167
348
815
955
13.92
(22)試し練りの例
„
„
„
„
„
„
„
„
„
大学(東京工業大学)での試し練りの例を示す。
ここで、練混ぜに用いるコンクリートの量は例えば
30lとする
【第1バッチ】
1バッチの量を30lとすれば、表6.13より各材料の使
用量は以下のとおりとなる。
W=167×30/1000=5.01kg
C=348×167×30/1000=10.44 kg
S=815×30/1000=24.45 kg
G=167×30/1000=28.65 kg
Ad’=0.418 kg
水平二軸ミキサを用いた場合の各材
料の投入順序
„
まず、ミキサ、スコップ等のコンクリートの作
製に必要な機材の表面が湿っていることを確
認する。次に、計量した砂の半分をミキサ内
に投入し、底面が見えなくなるように砂をなら
す。そして、セメントの全量を砂の上に投入す
る。その後、残りの砂をセメントの上に投入す
る。このように砂によりセメントを挟むことによ
り、セメントがミキサの側面に付着することを
防ぐ。
続
„
上記のように砂とセメントをミキサ内に投入した状態
で30秒間練混ぜを行う。この際、練混ぜ開始時の振
動により、セメントの微粒分が飛散しないよう、初め
の15秒程度はミキサにふたをする。30秒間の練混
ぜが終了したら、ミキサを停止せず次の30秒間で
ゆっくりと水を投入する。この際、水がミキサのはね
や側面に付着することを防ぐ。30秒間で水を投入後、
ミキサを停止する。そして、ミキサ内の材料をスコッ
プやへらを用いて攪拌する。この際、ミキサの底部
に練混ぜ不十分なセメントや砂がたまっている場合
があるので、それらを十分練混ぜる。十分練混ざっ
たことを確認して、粗骨材を投入する。その後、2分
間練混ぜを行い、コンクリートをミキサから排出する。
続
„
排出したコンクリートをスコップ等で手練りを
行い十分練混ざっていることを確認する。そし
て、速やかにスランプ試験、空気量試験を行
い、スランプ、空気量を測定する。
【第2バッチの配合調整】
„
„
„
„
„
„
„
試し練りの結果、スランプ3.0cm、空気量2.0%となっ
たとする。これらの値は何れも目標値となっていな
いため、補正を行う必要がある。以下に補正の方法
を示す。
出来上がったコンクリートの量および単位水量は以
下のように計算される。
コンクリートの量=30×(1-0.040)/(1-0.020)=29.39l
空気量が少ないので体積も少ないための補正
単位水量=5.22/29.39×1000=178kg/m3
第2バッチの単位水量は、スランプに対する補正と
して、表6.7によって
W=178×{1+0.012×(8-3)}=188.68 kg/m3
続
„
„
„
„
„
„
„
„
空気量に対する補正として、表6.7
W=188.68×{1+0.03×(2.0-4.0)}=177 kg/m3
となる。
細骨材率は、空気量に対する補正として、表6.7
s/a=44.45+{(2.0-4.0)×0.75}=42.95%
となる。
AE減水剤を用いないときの空気量を1.2%とすれば、4.0%
の空気量を得るためには外挿法により、AE減水剤の量は以
下のように計算される。 1.2%のところを原点と考える
Ad’=(1.392-0)×(4.0-1.2)/(2.0-1.2)=4.87 kg/m3
したがって、試し練り後の示方配合表は上記の値と(10)∼
(12)に示した手順を行うことにより、表6.14のようになる
表6.14 試練り後の示方配合表
粗骨材の
スランプ
水セメント比
空気量
W/C
最大寸法
単位量 (kg/m3)
細骨材率
s/a
水
セメント
細骨材
粗骨材
混和剤
(mm)
(cm)
(%)
(%)
(%)
W
C
S
G
Ad
20
8.0
50
4.0
42.95
177
354
749
1015
4.87
続
„
表6.14の示方配合表を用い、(15)∼(20)に示し
た手順により再び現場配合表を作成し、試し
練りによりスランプ、空気量を再確認する。目
標値となれば、これを示方配合とする。しかし
ながら、目標値とならないようであれば、再度
配合調整を行う。
6.3 コンクリートの性能照査
„
„
一般的には、6.2での強度の照査を主体とし
た配合設計でよいが、近年では強度以外に
主として耐久性能に関係する性能照査も行
われる。
ここでは、これに関する施工編の本文(6章
コンクリートの配合設計 6.4コンクリートの性
能照査)、目次を紹介し,若干のコメントを述
べる。詳細は施工編6.4の本文を是非参照し
てほしい。
「6.4 コンクリートの性能照査
6.4.1 総則
„
„
„
選定した材料と配合によるコンクリートが、要求され
ている性能を満足することを確認しなければならな
い。」
(コメント)この記述は、性能規定型の示方書であるこ
とから当然である。性能を確認する方法としては、
現段階では、試験によって照査する方法や、従来の
実績から類推する方法が多い。
一般に、製造時のコンクリートに要求される性能を
満足させるのは容易であるが、現場施工中の要求
性能、さらには長期の耐久性能に関連する性能を
過不足なく十分に満足させるのは極めて難しい。
「6.4.2 強度の照査」
„
„
„
(コメント)この内容は、当然ではあるが6.2.2(1)
と全く同じ内容である。
これも現場での強度を保証するためには、
現場の条件をどの程度正確に把握できるか
が大きな問題である。
温度、養生、締固め、など
「6.4.3 中性化速度係数の照査」
„
„
(コメント) 中性化速度係数も、コンクリートの
施工条件、環境条件によって大きく影響を受
ける。当面、土木学会の式を準用するのがよ
いが、現場での測定を地道に積み重ねる必
要がある。
コンクリートのpHが表面から低下してくる。鉄
筋が腐食し易くなる。
「6.4.4 塩化物イオンに対する拡散係
数の照査」
„
(コメント)この拡散係数も、現場の条件によ
る影響を大きく受ける。地道な調査・測定を積
み重ねる必要がある。
„
塩化物イオンが鉄筋表面にあると鉄筋が腐
食し易くなる。
6.4.5 相対弾性係数の照査」
„
„
(コメント) 凍結融解抵抗性を相対動弾性係数
で代用するものである。
この照査だけでは、定量的な耐久年数の予
想はできない。中性化や塩害の定量的なレ
ベルに達するには、さらなる調査・研究が必
要である
「6.4.6 耐化学的侵食性の照査」
„
(コメント)化学的浸食作用には種々のものが
あり、一概に論ずるには非常に難しい面もあ
る。 凍害よりもさらに難しい。
「6.4.7 耐アルカリ骨材反応性の照
査」
„
(コメント)これも凍害以上に難しい。環境条件
の影響が大きく、有害な反応が起こるか否か
についての判断も難しい。
「6.4.8 透水係数の照査」
„
(コメント)水密性に関するものである。この水
密性を確保する前に、ひび割れの発生を抑
制しないことには意味のない照査となる。
「6.4.9 耐火性」
„
(コメント)一般の土木構造物ではあまり問題
とならなかったが、一部のトンネルなどで航空
燃料を積載したローリーが考えられる場合に
は検討が必要である。
「6.4.10 断熱温度上昇特性の照
査」
„
(コメント)大型の構造物が増加し、かつ、単
位セメント量の多いコンクリートとなる場合が
多いので、従来にもまして断熱温度上昇特性
の把握は、温度ひび割れ抑制の観点から必
要となってきている。
「6.4.11 乾燥収縮特性の照査」
„
(コメント) ひび割れの中で最も発生しやすい
のが、乾燥収縮によるものである。特に、養
生が重要である。
「6.4.12 凝結特性の照査」
„
(コメント)我が国の通常の条件で施工する場
合には、ほとんど問題がない。
6.4 種々の配合の考え方
„
6.2の土木学会の方法(考え方)のほかにも
種々の方法(考え方)がある。
6.4.1日本建築学会の考え方
„
„
„
基本的には、土木と同じであるが、2つの特徴があ
る。
① 出きるだけ居住空間を広く取るという要望から、
建築部材は大きさや断面は可能な限り小さくするこ
ととなる。したがって、構造フレームが複雑に入り組
んだものから、配筋が過密なものが多い。このため、
コンクリートのコンシステンシーとして特に軟らかい
ものが要求される。
② 構造物コンクリートの強度を満たすよう設計基
準強度を定める。これには、気温補正なども含まれ
る。
6.4.2 各種の考え方
„
他にも、配(調)合設計については、古くから
多くの理論や方法が提案されている。代表的
なものを簡単に紹介する。
6.4.2.1 粒度曲線による方法
„
„
1907年に、Fuller とThompsonは、最も密実な
コンクリートを造るための骨材の粒度分布を
提案した。この曲線は、細粒の骨材が少し少
ない粒度分布を示す。
1932年にLyseは、骨材の粒度が一定の場合、
同一のコンシステンシーのコンクリートはほぼ
一定の単位水量になるという単位水量一定
の法則を明らかにした。
1936年にFeretは、これらの考えを統一して、骨材とセメン
トを混合したものの粒度分布としては、次式に合うような配
合を定める方法を提案した
d
P = A + (100− A)
D
式6.4.1
ここで、
P:ふるいを通過する%
A:骨材とセメントを合計したものにおけるセメントの
絶対容積%
d:ふるい目の大きさ(mm)
D:骨材の最大寸法(mm)
このように、セメントから細骨材、粗骨材までを含
めた基準の粒度曲線を考え、これに合うように定め
る方法は、ヨーロッパでかなり普及している。
6.4.2.2 骨材の粗粒率による方法
„
1918年にAbramsが発表した配合方法は、骨
材の粗粒率に基づくものである。すなわち、
彼の次に示す水セメント比と強度との関係式
から、まず水セメント比を定め、次にコンク
リートの施工条件に応じた細骨材と粗骨材の
混合骨材についての許容し得る最大の粗粒
率を求め、この粗粒率に合うように、細骨材と
粗骨材の割合を決めることを骨子としている。
単位水量も混合骨材の粗粒率などから求め
られる。
A
F =
x
B
式6.4.2
ここに、
F:コンクリートの圧縮強度
x:水セメント比
A,B:定数(セメントの品質や試験方法などによって
変わる)
この粗粒率を用いる方法は若干形を変えて、現在
の我が国の方法などかなり広く用いられている。
6.4.2.3 骨材のかさ容積による方
法
„
1921年にTalbotおよびRichartは、コンクリート単位容
積中の粗骨材のかさ容積に相当する値を指標とし
た配合設計法を発表した。これは、粗骨材の空隙率
を配合設計の基本とした方法である。1942年に
GoldbeckおよびGrayはこの考え方を実用に適した
形にまとめ、これがACI(American Concrete
Institute)の配合方法の標準として採用された。この
方法は、細骨材の粒度に対応して、スランプや水セ
メント比に関係なく、コンクリート中の粗骨材のかさ
容積を一定の標準値にとることができるのが特徴で
ある。
続
„
この方法においては、実績率の小さい粒形の
不良な粗骨材を用いる場合は、実績率の大
きな骨材と同一のかさ容積とするので当然空
隙が相対的に多くなり、その結果モルタル量
が増えることとなる。これにより、コンクリート
のワーカビリティーは、粗骨材の粒形にかか
わらずほぼ一定になるという利点がある。
6.4.2.4 その他の方法
„
この他、骨材の表面積に基づく配合方法、フ
ランスで発達している骨材の不連続粒度理論
による方法などがある。
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