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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 個体からの細胞を含むサンプル中の

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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 個体からの細胞を含むサンプル中の
JP 3774196 B2 2006.5.10
(57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】
【請求項1】
個体からの細胞を含むサンプル中の異常に増殖する細胞又は細胞の増殖異常性の存在又
は不在を決定する方法であって、当該方法が、当該サンプル中で標的ポリペプチドを検出
す る こ と を 含 み 、 こ こ で 、 当 該 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が 、 CDC6、 MCM2、 MCM3、 MCM4、 MCM5、 MC
M6、 MCM7、 Cdc7プ ロ テ イ ン ・ キ ナ ー ゼ 、 Dbf4、 Cdc14プ ロ テ イ ン ・ ホ ス フ ァ タ ー ゼ 、 Cdc
45、 及 び MCM10か ら 成 る 群 か ら 選 ば れ る DNA複 製 の プ レ イ ニ シ ェ ー シ ョ ン 複 合 体 の メ ン バ
ーであり、ここで、当該サンプルは、唾液、気管支−肺胞洗浄試料、尿、乳管液、消化管
からのふきとり物、及び頸管スミア、便スミア又は尿細胞学スミアから成る群から選ばれ
る試料を含む、前記方法。
10
【請求項2】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が 、 CDC6、 MCM2、 MCM3、 MCM4、 MCM5、 MCM6、 及 び MCM7か ら 成 る 群
から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が CDC6で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項4】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM2で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項5】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM3で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項6】
20
(2)
JP 3774196 B2 2006.5.10
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM4で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項7】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM5で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項8】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM6で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項9】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM7で あ る 、 請 求 項 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項10】
前記方法が、標的ポリペプチドに対する1又は複数の特異的結合メンバーに前記サンプ
ルを接触させ、そして当該1又は複数の特異的結合メンバーの前記サンプルへの結合を決
10
定することを含む、請求項1∼9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記1又は複数の特異的結合メンバーが、複数の前記標的ポリペプチドに対するもので
あ る 、 請 求 項 10に 記 載 の 方 法 。
【請求項12】
前 記 サ ン プ ル が 、 前 記 個 体 か ら 採 取 さ れ た 液 体 か ら 提 供 さ れ る 、 請 求 項 1 ∼ 11の い ず れ
か1項に記載の方法。
【請求項13】
細 胞 の サ ン プ ル が 、 前 記 液 体 か ら 提 供 さ れ る 、 請 求 項 12に 記 載 の 方 法 。
【請求項14】
20
前 記 液 体 が 尿 で あ る 、 請 求 項 12又 は 13に 記 載 の 方 法 。
【請求項15】
個 体 の 集 団 が ス ク リ ー ニ ン グ さ れ る 、 請 求 項 1 ∼ 14の い ず れ か 1 項 に 記 載 の 方 法 。
【請求項16】
個 体 が 、 ( i ) 正 常 な 組 織 、 又 は ( ii) 潜 在 的 に 又 は 実 際 に 前 癌 性 も し く は 癌 性 、 形 成
異 常 又 は 新 生 物 形 成 細 胞 を 含 む 異 常 な 組 織 を 有 す る と し て 分 類 さ れ る 、 請 求 項 15に 記 載 の
方法。
【請求項17】
異常な組織を有するとして分類された個体の組織又は細胞を、さらなる検査又は分析に
か け る 、 請 求 項 16に 記 載 の 方 法 。
30
【請求項18】
個体からの頸管スミア中の、異常に増殖する細胞又は細胞の増殖異常性の存在又は不在
を決定する方法であって、当該方法が、標的ポリペプチドに対する1又は複数の特異的結
合メンバーに前記サンプルを接触させ、そして当該1又は複数の特異的結合メンバーの前
記 サ ン プ ル へ の 結 合 を 決 定 す る こ と を 含 み 、 こ こ で 、 当 該 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が 、 DNA複 製
のプレイニシェーション複合体のメンバーである、前記方法。
【請求項19】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が 、 CDC6、 MCM2、 MCM3、 MCM4、 MCM5、 MCM6、 MCM7、 Cdc7プ ロ テ イ
ン ・ キ ナ ー ゼ 、 Dbf4、 Cdc14プ ロ テ イ ン ・ ホ ス フ ァ タ ー ゼ 、 Cdc45、 及 び MCM10か ら 成 る
群 か ら 選 ば れ る 、 請 求 項 18に 記 載 の 方 法 。
40
【請求項20】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が 、 CDC6、 MCM2、 MCM3、 MCM4、 MCM5、 MCM6、 及 び MCM7か ら 成 る 群
か ら 選 ば れ る 、 請 求 項 19に 記 載 の 方 法 。
【請求項21】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が CDC6で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項22】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM2で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項23】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM3で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項24】
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(3)
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前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM4で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項25】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM5で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項26】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM6で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項27】
前 記 標 的 ポ リ ペ プ チ ド が MCM7で あ る 、 請 求 項 20に 記 載 の 方 法 。
【請求項28】
前記1又は複数の特異的結合メンバーが、複数の前記標的ポリペプチドに対するもので
あ る 、 請 求 項 18∼ 27の い ず れ か 1 項 に 記 載 の 方 法 。
10
【請求項29】
個 体 の 集 団 が ス ク リ ー ニ ン グ さ れ る 、 請 求 項 18∼ 28の い ず れ か 1 項 に 記 載 の 方 法 。
【請求項30】
個 体 が 、 ( i ) 正 常 な 組 織 、 又 は ( ii) 潜 在 的 に 又 は 実 際 に 前 癌 性 も し く は 癌 性 、 形 成
異 常 又 は 新 生 物 形 成 細 胞 を 含 む 異 常 な 組 織 を 有 す る と し て 分 類 さ れ る 、 請 求 項 29に 記 載 の
方法。
【請求項31】
異常な組織を有するとして分類された個体の組織又は細胞を、さらなる検査又は分析に
か け る 、 請 求 項 30に 記 載 の 方 法 。
【請求項32】
20
異常に増殖する細胞又は細胞の増殖異常の個体内での存在又は不在を決定する方法であ
って、当該方法が、当該個体からの細胞を含むサンプル中の、標的ポリペプチドをコード
す る mRNAを 検 出 す る こ と を 含 み 、 こ こ で 当 該 標 的 ポ リ ペ プ チ ド は DNA複 製 の プ レ イ ニ シ ェ
ーション複合体のメンバーであり、ここで、当該サンプルは、唾液、気管支−肺胞洗浄試
料、尿、乳管液、消化管からのふきとり物、及び頸管スミア、便スミア又は尿細胞学スミ
アから成る群から選ばれる試料を含む、前記方法。
【請求項33】
前 記 サ ン プ ル が 、 前 記 個 体 か ら 採 取 さ れ た 液 体 か ら 提 供 さ れ る 、 請 求 項 32に 記 載 の 方 法
。
【請求項34】
30
個 体 の 集 団 が ス ク リ ー ニ ン グ さ れ る 、 請 求 項 32又 は 33に 記 載 の 方 法 。
【請求項35】
個 体 が 、 ( i ) 正 常 な 組 織 、 又 は ( ii) 潜 在 的 に 又 は 実 際 に 前 癌 性 も し く は 癌 性 、 形 成
異 常 又 は 新 生 物 形 成 細 胞 を 含 む 異 常 な 組 織 を 有 す る と し て 分 類 さ れ る 、 請 求 項 34に 記 載 の
方法。
【請求項36】
異常な組織を有するとして分類された個体の組織又は細胞を、さらなる検査又は分析に
か け る 、 請 求 項 35に 記 載 の 方 法 。
【発明の詳細な説明】
【0001】
40
本発明は、細胞の増殖異常、特に潜在的に(又は実際に)癌性の細胞を検出する点で、組
織、細胞又は流体のサンプル中の細胞の評価に関する。本発明の態様は、頸部細胞が異常
である女性を検出するためのそれら女性からの頸管スミアのようなサンプルをスクリーニ
ングするのに特に役立つ。本発明は、本明細書で実験的に示されるような、胸を含む他の
組織サンプル中の細胞の評価にも適用できる。異常であることが見い出されたサンプルは
、より詳細に検査することができ、その組織中の細胞の条件を更に研究することができる
。より広範な診断手順の後に、悪性又は前悪性条件の同定の後に、適切な処置を行うこと
ができる。
【0002】
本 発 明 は 、 DNA複 製 の プ レ イ ニ シ ェ ー シ ョ ン 複 合 体 の 特 定 の タ ン パ ク 質 に 対 す る 特 定 の 結
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合分子が異常な細胞を検出するのに用いることができるという驚くべき発見に基づく。本
発 明 に お い て 特 に 有 用 な の は 、 Cdc6に 対 す る 結 合 分 子 で あ る 。 ま た 、 MCMタ ン パ ク 質 、 特
に MCM5に 対 す る 結 合 分 子 も 特 に 役 立 つ 。 本 明 細 書 に 含 ま れ る 実 験 的 証 拠 は 、 Cdc6に 対 す る
特 定 の 結 合 分 子 、 及 び MCM2, MCM3, MCM4, MCM5, MCM6又 は MCM7に 対 す る も の は 、 PCNA及 び
Ki67に 対 す る 抗 体 よ り 、 組 織 サ ン プ ル 中 の 細 胞 の 増 殖 異 常 を 選 定 す る こ と に お い て 極 め て
有 効 で あ る 。 従 来 は 、 Cdc6及 び MCMの も の は Ki67及 び PCNAと 同 様 の 結 合 と な る で あ ろ う と
予想したであろう。なぜならこれら全てのタンパク質は、“増殖マーカー”と考えること
ができるからである。抗原回復(加圧クッキング又はオートクレーブ)にかけた頸部サン
プルに基づいて、以下の実験結果は実際に得られた結果はこれら全てについて同様である
が、頸管スミア及び凍結サンプルにおいて明らかな差があることを示す。スクリーニング
10
目的のために一次的な関心があるこのようなサンプルは加圧クッキングにかけるのに十分
に強固でない。スクリーニングの点で特に関心があるのは、異常細胞の高レベルの染色、
及 び LSILサ ン プ ル に お け る 十 分 に 濃 厚 な 染 色 を 示 す 、 抗 Cdc6又 は 抗 MCM結 合 分 子 を 用 い る
頸部サンプルの評価で得られた明らかな結果である。これは、頸部の上皮表面からとった
スミアサンプルの評価における有用性を示しそして実際、これは本明細書において実験で
確 認 さ れ る 。 十 分 に 濃 厚 な 染 色 も HSILサ ン プ ル に つ い て 見 ら れ る 。
【0003】
胸組織、尿、血液及び血清の実験的評価は、本発明の態様の一般性を確認する。更なる証
拠は、自動化することができる生化学的方法により、体液中の形成異常又は新生物細胞の
存在の検出における同じ抗体の使用により供される、本明細書に示される例は、尿の分析
20
による膀胱癌の検出並びに血液の分析による白血病及びリンパ腫の検出を含む。このよう
な 分 析 の た め の 適 切 な 方 法 は 、 Dissociation Enhanced Lanthanide Fluorescence Immuno
assay, "DELFIA" で あ る 。 血 液 で DELFIAに よ る 肉 腫 及 び 癌 腫 の 場 合 の 検 出 の 証 明 も 含 ま れ
る。
【0004】
頸部の上皮は、2つの明確な細胞型:各々が解剖学的に組織のはっきりと識別される領域
に 位 置 し た 扁 平 上 皮 及 び 円 柱 上 皮 か ら 本 質 的 に 構 成 さ れ る 。 扁 平 上 皮 は 頸 部 開 口 部 ( OS)
の 外 部 面 ( 子 宮 頸 外 部 ( ectocervix) に 位 置 す る が 、 円 柱 上 皮 は 子 宮 頸 外 管 ( 子 宮 頸 内 部
( endocervix) に 広 が る 。 こ れ ら 2 つ の 明 確 な 上 皮 細 胞 型 は 、 扁 平 − 円 柱 連 結 部 に お い て
頸 部 の OSの 近 隣 で 接 触 す る 。 扁 平 − 円 柱 連 結 部 は 、 そ れ が 悪 性 腫 瘍 の 大 部 分 が 生 じ る 領 域
30
であるので、臨床的に重要である。診断の妥当性のために、頸管スミアサンプルは、この
領域からの細胞を含むべきである。これが達成されることを確実にするために、スミアは
、扁平及び円柱上皮細胞を含むべきである。
【0005】
ほとんどの頸部腫瘍は、一定の再生下の多層化動力学的幹細胞システムである扁平上皮か
ら扁平−円柱連結部において生ずる。その幹細胞の区画自体は、基底細胞層内の基底膜に
隣接して位置する。幹細胞分割は、旁基底、中間、及び表面の細胞誘導を生じさせる。こ
れらは、扁平上皮内の特徴的な形態及び位置の点で、慣用的に定義される。扁平上皮の最
も深い層に位置した基底細胞からの、その表面の表面細胞への移行は、頸部表面における
表面扁平上皮細胞が最終的に分化するまで、進行的な分化及び増殖の喪失と関連する。
40
形成異常においては、細胞が扁平上皮に進行するので、細胞の分化の減少に伴い、細胞の
増殖の増加がある。典型的には慣用的な最初の例としては、頸部のスクリーニングは、上
皮の表面からとったスミアの評価に関し、ここで細胞病理学者は、形成異常の結果として
、分化の減少の代表である表面にある異常性を捜す。
【0006】
後期胎児期において、思春期において、及び妊娠中において、円柱上皮は、化生の過程に
より、連結部で扁平上皮に置き換わる。円柱上皮におきかわる化生扁平上皮は特に発癌性
物質に弱い。正常な化生は、扁平上皮内で異常な異形成と混同すべきでなく、化生及び形
成異常細胞の間を区別することができることはスクリーニングの情況において重要であり
得る。
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【0007】
徹 底 的 か つ 高 価 な 国 家 的 ス ク リ ー ニ ン グ プ ロ グ ラ ム に も か か わ ら ず 、 頸 部 の 癌 は 、 UKに お
い て 女 性 の 8 番 目 に 最 も 一 般 的 な 悪 性 腫 瘍 で あ り 、 35歳 未 満 の 女 性 で は 最 も 一 般 的 な 悪 性
腫 瘍 で あ る ( Cancer Research Campaign, Cancer of the Cervix Uteri , 1994, CRC: Lon
don)。 発 展 中 の 世 界 に お い て 、 そ れ は 、 35∼ 45歳 の 年 齢 の 女 性 に お け る 最 も 一 般 的 な 悪 性
腫 瘍 及 び 死 を 引 き お こ す 原 因 で あ り 、 毎 年 、 437,000の 新 し い ケ ー ス が あ る と 見 積 も ら れ
て い る ( Cancer Research Campaign, Cancer-world perspectives, 1995, CRC: London)
。
【0008】
大 部 分 の 場 合 は 扁 平 細 胞 癌 (SCC) で あ り 、 16, 18及 び 31の よ う な ヒ ト パ ピ ロ ー マ ウ イ ル ス
10
の ‘ 危 険 性 の 高 い ’ 型 で の 感 染 と 強 く 関 連 し て い る ( Parkら 、 Cancer, 1995, 76 (10 Sup
pl.): p.1902∼ 13) 。 頸 部 癌 は 、 そ れ が 十 分 に 規 定 さ れ た 非 侵 入 的 ‘ 上 皮 内 ’ 段 階 を 通 し
て 発 達 す る の で 、 集 団 ス ク リ ー ニ ン グ に よ る 予 防 に 敏 感 で あ る ( Wrightら 、 Precancerous
lesions of the cervix, in Blaustein's phathology of the female genital tract .
R.J.Kurman, Editor. 1994, Springer-Verlag: New York. p.229∼ 78) 。 扁 平 上 皮 内 異 常
は 、 3 層 (CIN) 又 は 2 層 ( Bethesda) シ ス テ ム を 用 い て 分 類 す る こ と が で き る 。 異 な る 組
織 学 的 異 常 性 は 、 感 染 性 HPVの 型 と 、 及 び そ の 障 害 の DNA倍 数 性 、 ク ロ ー ン 数 及 び 自 然 の
変 遷 と 広 範 囲 で 相 関 す る 。 Bethesdaシ ス テ ム に よ り 分 類 さ れ る よ う に 、 CIN1及 び 頸 部 HPV
感 染 ( HPVI) に 対 応 す る 低 グ レ ー ド 扁 平 上 皮 内 障 害 ( LSIL) は 、 侵 入 性 の 病 気 へ の 進 行 の
比 較 的 低 い 危 険 性 の 生 産 性 の HPV感 染 を 一 般 に 示 す ( Wright及 び Kurman. A critical rev
20
iew of the morphological classification systems of preinvasive lesions of the ce
rvix: the scientific basis for shifting the paradigm, in Papillomavirus reviews:
current research on papillomaviruses, C.Lacey, Editor. 1996, Leeds University P
ress: Leeds)。 CIN2及 び CIN3に 対 応 す る 高 グ レ ー ド 扁 平 上 皮 内 障 害 ( HSIL) は 、 CIN1( LS
IL) よ り 進 行 の 危 険 が 高 い こ と を 示 し 、 両 方 と も 悪 性 腫 瘍 の 潜 在 的 な 前 験 体 で あ る と み ら
れている。上皮内障害の各々のカテゴリーについて悪性腫瘍の適当な危険性を評価するこ
とが可能であるが、個々のケースについての進行の適切な可能性を決定することは現在、
可能でない。
【0009】
1943年 に 、 Papanicolau及 び Troutは 、 女 性 に お い て 頸 部 癌 の 前 駆 体 を 検 出 す る た め に P
30
apス ミ ア − テ ス ト を 導 入 し た 。 こ れ は 、 細 胞 学 的 ス ク リ ー ニ ン グ テ ス ト で あ り 、 お そ ら く
、癌の予防のために導入された最も成功した公衆の健康の測定であると判明した。女性が
3∼5年毎に少くとも1回、頸部スミア−テストを行う大規模スクリーニングプログラム
は、頸部癌死亡率及び罹患率を減少させることにおいていくつかの国において極めて有効
であると判明している。例えば、ブリティッシュコロンビア及びフィンランドにおいて、
組 織 化 し た ス ク リ ー ニ ン グ は 、 頸 部 癌 に よ る 死 亡 率 を 70% だ け 減 少 さ せ た 。 早 期 に 検 出 さ
れれば、頸部癌は容易に治療される。
【0010】
これらの功績にかかわらず、全世界の状況の現実は低調である。例年、頸部癌を発達させ
た 何 千 人 の 女 性 の う ち の 何 百 人 の う ち 、 50% 超 が そ の 病 気 で 死 ぬ で あ ろ う 。 こ の よ う な 女
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性 の 全 て の 75% は 、 開 発 途 上 国 の 人 で あ ろ う 。 こ こ で は 、 財 政 的 制 約 の た め 、 利 用 で き る
方法を用いる大規模スクリーニングプログラムが実行できない。多くの先進国においてで
さ え 、 過 去 10年 、 そ の 病 気 の 減 少 は 微 細 な も の で あ り 、 細 胞 学 的 ス ク リ ー ニ ン グ の イ ン パ
クトは予想よりかなり少なかった。更に、専門家は、定期的にスクリーニングされる患者
、特に若い女性における侵入的頸部癌のケースの実質的な割合を観察している。
【0011】
細胞学的スクリーニングが頸部癌を検出するのに時々失敗する主な理由は、テスト間の間
隔 の 大 き さ 及 び 多 数 の 誤 っ た ネ ガ テ ィ ブ な 結 果 ( 10∼ 30% ) で あ る ( Pap Cytology scree
ning: Most of the benefits reaped ? WHO 及 び EUROGINが 頸 部 癌 抑 制 に つ い て の 報 告 を
公 開 す る 。 Press Release WHO/ 25, 1997年 3 月 ) 。
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【0012】
多 数 の 誤 っ た ネ ガ テ ィ ブ な 結 果 は 、 Papス ミ ア の 解 釈 は 、 形 態 学 的 運 動 の 最 も 困 難 な も の
の 1 つ で あ る 。 Papス ミ ア の 結 果 は 、 ス ミ ア 上 の 混 合 し た 細 胞 集 団 の 複 雑 さ 及 び 多 様 性 並
びに頸部でおこる広範囲の炎症及び修復過程のため、細針吸引、体液細胞学テスト又はバ
イオプシーより解釈するのが難しい。細胞集団内での周期的変化、妊娠誘導性変化及び閉
経後期間におこる変化もある。婦人科学的細胞学は極めて難しいので、細胞技術者のため
のトレーニング期間は長く;それらは訓練された研究生及び高程度の訓練並びにパターン
認識技術を要求する。適切なトレーニングプログラムを完了した後でさえ、細胞技術者は
、 Papス ミ ア の 結 果 が 正 常 で あ る か 異 常 で あ る か の よ う な 矛 盾 の な い 正 確 な 判 断 を す る こ
とができる前に数年間の実際の経験を必要とする。同様に、病理学者は組織学的断片と解
10
釈するために訓練され得るが、彼らは、細胞学研究室を組織化し、管理するため及び異常
なスミアに関する適切な診断を行うために適切な技術を有するために細胞病理学的におけ
る特別の更なるトレーニングを必要とする。
【0013】
Papス ク リ ー ニ ン グ プ ロ グ ラ ム に 関 連 す る 2 つ の 主 な 問 題 は 、 見 掛 け 上 避 け る こ と が で き
な い 誤 っ た ネ ガ テ ィ ブ な 比 率 ( 10∼ 30% ) 及 び 比 較 的 高 い コ ス ト の ス ク リ ー ニ ン グ で あ る
。それゆえ、頸部スクリーニングに対してかわりのアプローチが現在考えられている。2
つ の 最 も 一 般 的 に 議 論 さ れ る 提 案 は 、 一 次 ス ク リ ー ニ ン グ モ ダ リ テ ィ ー と し て 又 は Papス
ミ ア へ の 補 給 と し て HPV DNAテ ス ト 及 び 検 査 を 用 い る こ と 、 並 び に 慣 用 的 に 採 取 し た Pap
スミアを自動的にスクリーニングすることができる装置を用い、これにより比較的高給の
20
細 胞 技 術 者 及 び 細 胞 病 理 学 者 の 必 要 性 を 減 少 さ せ る こ と で あ る ( Richart, Cancer Supple
ment, 1995, 76(10): 1919∼ 1927; Birdsong, Human Pathology, 1996, 27 (5): 468∼ 48
1)。
【0014】
前 者 の 方 法 に は 問 題 が あ る 。 HPVの た め の イ ン ・ シ ト ウ 法 を 用 い る 感 度 及 び ポ ジ テ ィ ブ な
予 想 値 の 問 題 で あ る 。 HPV DNA検 出 の た め の PCRの 使 用 は 一 般 的 集 団 に お い て HPV感 染 の
高 い 割 合 を 示 し 、 HPV DNAテ ス ト は 臨 床 的 ス ク リ ー ニ ン グ の た め に 問 題 と な り 得 る 使 用 の
ものと思われる。
【0015】
第2のアプローチは自動化に関する。いくつかの会社が現在、スクリーニング装置を開発
30
し、市販している。一般に、このような装置は、像を捕獲するために高分解能ビデオスキ
ャナーを用い、次にそれはデジタル化され、一連のアルゴリズムで分析され、次にそのデ
ータはその機械が正常及び異常細胞構成物の間を区別するよう仕込まれているインターフ
ェアレンスネットワークにかけられる。更なるソフトウェア及びハードウェアの開発、自
動化されたスクリーニングが一次的スクリーニングのために考えられることが希望されて
お り 、 現 在 、 US FDAに よ り Papス ミ ア の プ レ ス ク リ ー ニ ン グ 又 は 独 立 し た ス ク リ ー ニ ン グ
の た め に 認 可 さ れ て い る 装 置 は な い 。 こ れ ら の 会 社 は 、 慣 用 的 な PAPス ミ ア テ ス ト が こ れ
らの問題の難しさ及び解決のための心からの必要性を示す問題を克服するための試みにお
いてこのような高価かつ複雑なアプローチにおいて極めてきびしく投資する覚悟をする。
【0016】
40
細胞増殖マーカーの評価は、以前はこのような解決法のいずれかを供し、当該分野の専門
家 は 、 増 殖 マ ー カ ー が 有 用 な 臨 床 的 情 報 を 供 す る で あ ろ う こ と に 懐 疑 的 で あ る ( Hall及 び
Coates, Histopathology, 1995, 26: 105∼ 112)。 細 胞 増 殖 の 測 定 パ ラ メ ー タ は 腫 瘍 に つ
い て の 客 観 的 情 報 を 供 す る で あ ろ う と 信 じ ら れ る が 、 多 数 の 研 究 に か か わ ら ず 、 PCNA, Ki
67等 の よ う な 細 胞 増 殖 マ ー カ ー の 使 用 は 実 際 に 、 最 適 に 用 い ら れ る 組 織 学 的 評 価 に 対 す る
改良があることの直接的証拠はほとんどない、標準化された組織病理学的等級付け及び段
階化と比較した増殖マーカーの相対値の重要な問題に着目した研究はほとんどない。
【0017】
自動化スクリーニングと共に免疫細胞化学的又は免疫蛍光染色を用いる試みは、正常な細
胞 の 非 特 異 的 染 色 に よ り 限 定 さ れ て い る 。 例 え ば 、 上 皮 膜 抗 原 (EMA) は 、 CINで 頸 部 か ら
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の新生物細胞を染色することが示されているが、正常な頸部からのいくつかの化生細胞の
染色も報告された。それゆえ、免疫組織学的染色を測定するための技術は利用できるが、
現在、免疫組織化学を用いる市販の又は進歩のある自動化スクリーニングの装置はない。
【0018】
最 も 広 く 研 究 さ れ て い る 増 殖 の マ ー カ ー は 、 未 知 の 機 能 の タ ン パ ク 質 で あ る Ki67及 び PCNA
( 増 殖 性 細 胞 核 抗 原 ) で あ る ( Yu及 び Filipe, Histochemical Journal, 1993, 25: 843∼
853)。 PCNAは 、 DNA複 製 の 延 長 及 び DNA修 復 の メ カ ニ ズ ム に 関 連 す る 。 そ れ ゆ え 、 そ れ は
複 製 又 は 修 復 に よ る 実 際 の DNA合 成 の 間 に 存 在 す る 。
本 発 明 者 ら は 、 DNA複 製 の 初 期 の 開 始 段 階 に 関 連 す る タ ン パ ク 質 を 研 究 し た 。 こ れ ら は 、
Cdc6及 び MCM2∼ 7 の フ ァ ミ リ ー の タ ン パ ク 質 ( MCM2, MCM3, MCM4, MCM5, MCM6及 び MCM7)
10
で あ る 。 Williamsら (1997)(Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 1997, 94: 142∼ 147)は 、 培 養 中
の ヒ ト HeLa細 胞 が 、 増 殖 中 の 細 胞 サ イ ク ル を 通 し て Cdc6を 発 現 す る が 、 WI38ヒ ト 二 倍 体 繊
維 芽 細 胞 は 血 清 飢 餓 に よ り 静 止 さ せ た 時 に Cdc6の 発 現 を 停 止 す る こ と を 報 告 し た 。 こ れ ら
の 観 察 結 果 は 他 の 細 胞 系 及 び 他 の 種 に 広 げ ら れ る こ と が こ こ で 示 さ れ る 。 MCMは G 1 期 の
核 (DNA合 成 の 前 ) に 存 在 し 、 進 行 的 に 、 DNA合 成 の 間 、 ク ロ マ チ ン か ら 可 溶 性 核 質 に お き
か え ら れ る 。 そ れ ら も 静 止 の 間 、 ク ロ マ チ ン か ら 欠 如 し て い る こ と が こ こ で 示 さ れ る 。 MC
M5が 、 子 宮 頸 及 び 胸 の 分 化 し た 細 胞 か ら 欠 如 し て い る こ と も こ こ で 示 さ れ て い る 。
【0019】
こ れ ら の 背 景 技 術 か ら 、 MCM又 は Cdc6抗 血 清 は 、 PCNA又 は Ki67の 分 布 に 似 て い る と 予 想 さ
れよう。この予想についての更なる証拠は、いくつかのヒト組織及び3つの型のヒト腫瘍
20
に お い て PCNA及 び MCM7( hCDC47) に つ い て の 類 似 し た 免 疫 染 色 パ タ ー ン を 見 い 出 し た Hir
aiwaら ( Int. J.Cancer, 1997, 74: 180∼ 184)か ら も あ る 。
し か し な が ら 、 驚 く こ と に 、 本 発 明 者 ら は 、 PCNA及 び Ki67と 比 較 し て MCM及 び CDc6の 潜 在
的な診断値において劇的な差があることを見い出した。
【0020】
本 発 明 者 は 、 頸 部 細 胞 学 に つ い て ヒ ト MCMタ ン パ ク 質 及 び ヒ ト Cdc6に 対 し て 生 じ た 抗 血 清
をテストした。彼らは、正常な及び病気のヒト子宮頸及び頸管スミアの断片を研究した。
彼 ら は 、 PCNA及 び Ki67を 用 い て 得 ら れ た も の で の 結 果 を 比 較 し た 。 Cdc6抗 体 又 は MCM(例 え
ば MCM5) 抗 体 は 、 PCNA又 は Ki67に 対 す る 抗 体 よ り 有 効 に 頸 部 に お い て LSIL( HPVI/ CIN1)
障 害 を 検 出 す る 。 更 に 、 本 質 的 に 全 て の LSIL( HPVI/ CIN1) 又 は HSIL (CIN213) 障 害 の 細
30
胞 が 染 色 さ れ る 。 こ れ は 、 PCNAの よ う な 他 の 増 殖 マ ー カ ー に よ る 染 色 と 対 照 的 で あ る 。 そ
れ は 、 DNA複 製 の プ レ イ ニ シ ェ ー シ ョ ン 複 合 体 の タ ン パ ク 質 、 特 に Cdc6又 は MCMタ ン パ ク
質 ( 例 え ば 、 MCM5、 し か し 、 本 明 細 書 に お い て 、 MCM2, MCM3, MCM4, MCM6及 び MCM7に つ い
ても例示される)に対する特異的結合分子は異型性又は新生物の細胞の早期検出のための
例外的な診断価値を有することを示す。抗原回復(加圧クッキング又はオートクレーブ)
にかけた頸部サンプルに基づいて、これらのサンプルはホルマリンで固定され、パラフィ
ン に 浸 さ れ 、 抗 Cdc6及 び 抗 MCM抗 体 は PCNAで 得 ら れ た も の と 同 様 の 染 色 の パ タ ー ン を 供 す
るが、スミア、新しい及び凍結したサンプルでの優れた結果は明らかである。
【0021】
これにより、本発明は、広くは、個体の組織、流体又は細胞中の、通常は体から除去した
40
サ ン プ ル 中 の 、 特 定 の 標 的 ポ リ ペ プ チ ド 、 又 は 標 的 ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る mRNAを 検 出
するための方法及び手段の種々の態様に関する。
【0022】
本 発 明 の 標 的 ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば Cdc6及 び MCMタ ン パ ク 質 、 例 え ば MCM5は 、 DNA複 製 の
プレイニシェーション複合体内に含まれることにより本発明に有用でない他の細胞増幅マ
ーカーから区別され得る。それらは、静止及び分化の間にクロマチンにより置換されるこ
と に よ り 区 別 さ れ 得 る 。 例 え ば 、 本 発 明 に 用 い る た め の 標 的 で な い ORC2(Gavinら 、 1995,
Science 270, 1667∼ 1671) は 、 静 止 細 胞 中 の ク ロ マ チ ン に 結 合 し 続 け る こ と に よ り 、 Cd
c6及 び MCM5の よ う な タ ン パ ク 質 か ら 区 別 さ れ 得 る 。 ORC複 合 体 の 他 の 成 分 、 例 え ば Orc1は
異 な る 挙 動 を す る が 、 Orc2は 静 止 細 胞 中 で 下 降 制 御 さ れ な い 。 Cdc6は 静 止 及 び 分 化 の 間 、
50
(8)
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迅 速 に 下 降 制 御 さ れ る 。 48時 間 程 度 G 0 に 止 ま っ た 培 養 細 胞 は い ず れ の 検 出 可 能 な Cdc6タ
ン パ ク 質 も 含 ま な い 。 Cdc6は 、 よ り 長 期 間 、 試 験 管 内 で 束 縛 さ れ た 細 胞 中 で 、 又 は 生 体 外
で分化した細胞中で検出できない。
【0023】
血 清 飢 餓 又 は 接 触 阻 害 に よ り 試 験 管 内 に 束 縛 さ れ た 細 胞 は 、 細 胞 中 の MCMの 全 レ ベ ル は 少
く と も 14日 間 、 は っ き り と 減 少 し な い が 、 ( 数 日 後 に ) ク ロ マ チ ン に 結 合 し た MCMを 失 っ
た 。 試 験 管 内 で 分 化 を 行 う 細 胞 ( 例 え ば DMSO又 は TPAで 分 化 す る よ う 誘 導 さ れ た HL-60細
胞 ) は 、 MCM3を 下 降 制 御 す る が 、 Orc2は し な い ( Musahl, Aussois Meeting on DNA Repli
cation, Aussois, France, June 1997) 。 生 体 外 組 織 か ら の 分 化 し た 細 胞 は 、 MCM2及 び MC
M5の よ う な MCMタ ン パ ク 質 を 発 現 し な い 。 多 重 タ ン パ ク 質 か ら の 6 つ の MCMタ ン パ ク 質 MC
10
M2∼ MCM7は 、 2 つ の サ ブ グ ル ー プ : MCM3及 び MCM5ダ イ マ ー ; MCM2-4-6-7テ ト ラ マ ー に 分 け
ら れ る 。 MCM3及 び MCM5は 、 MCM2-4-6-7よ り S 期 に お い て ゆ っ く り と ク ロ マ チ ン か ら は な れ
得 る ( Kubotaら 、 1997, EMBO J. 16, 3320∼ 3331)。 MCMは G 1 期 に ク ロ マ チ ン に 結 合 し
て お り 、 S 期 及 び 核 の 間 に 置 換 さ れ る が 、 G 2 期 に お い て ク ロ マ チ ン に 結 合 し な い 。 Cdc6
は、クロマチンからの置換に加えて、分解もされてタンパク質レベルがG1/S遷移にお
い て 劇 的 に 下 降 す る が 、 イ ー ス ト に お い て 同 様 な 挙 動 を す る 。 DNA複 製 の プ レ イ ニ シ ェ ー
ション複合体の更なる構成物が本発明により含まれ得る。例えば、イースト構成物のヒト
相 同 体 、 例 え ば Cdc7プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ (Chapman及 び Johnston, Exp.Cell Res., 1989, 1
80 419-428(yeast), Saoら ., 1997, EMBO J., 16, 4340-4351(human-down-regulated in
quiescence)), Dbf4, Cdc7プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ の 調 節 サ ブ ユ ニ ッ ト (Jacksonら ., 1993, M
20
ol.Cell Biol. 13 2899-2908(yeast), Masaiら ., Cold Spring Harbor Meeting on Eukar
yotic DNA Replication, 3-7 September 1997 (human))、 Cdc14プ ロ テ イ ン ホ ス フ ァ タ ー
ゼ (Hogan及 び Koshland PNAS USA, 1992, 89, 3098-3102 (yeast)) 、 MCMに 似 た 表 現 型 と
関 連 し 、 そ れ を 有 す る Cdc45 (Zouら ., Mol.Cell.Biol., 1997, 17, 553-563 (yeast), Ta
kisawaら ., Cold Spring Harbor Meeting On Eukaryotic DNA Replication, 3-7 Septemb
er 1997(Xenopus)) 、 MCMと 似 た 表 現 型 と 関 連 し 、 そ れ を 有 す る MCM10(Merchantら ., 199
7, Mol.Cell Biol. 17 3261-3271) で あ る 。 本 発 明 の 標 的 ポ リ ペ プ チ ド は 、 DNAプ レ 複 製
複 合 体 の 構 成 物 、 細 胞 サ イ ク ル 当 り に 1 回 、 DNA複 製 を 制 限 す る こ と に 関 連 す る 複 製 コ ン
ピ テ ン ト ク ロ マ チ ン の 構 成 物 、 ク ロ マ チ ン の 1 回 の DNA複 製 を 許 可 す る こ と に 関 連 し 、 D
NA複 製 の 開 始 前 に 、 複 製 源 に お い て ア セ ン ブ ル す る 複 製 ラ イ セ ン ス の 構 成 物 と 多 方 向 に 呼
30
ばれる。
【0024】
ヒ ト Cdc6ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 Williamsら ., (1997, PNAS USA 94: 142-147, GenBank Acc. N
o.U77949) に 開 示 さ れ る 。
ヒ ト MCM2配 列 は 、 Todorovら ., (1994, J.Cell Sci., 107, 253-265, GenBank Acc. No.X
67334)に 開 示 さ れ る 。
ヒ ト MCM3配 列 は 、 Thommesら (1992, Nucl.Acid Res., 20, 1069-1074, GenBank Acc. No.
P25205) に 開 示 さ れ る 。
ヒ ト MCM4配 列 は 、 Ishimiら ., (1996, J.Biol.Chem., 271, 24115-24122, GenBank Acc. N
o.X74794) に 開 示 さ れ る 。
40
ヒ ト MCM5配 列 は 、 Huら (1993, Nucleic Acids Res., 21, 5289-5293, GenBank Acc. No.X7
4795) に 開 示 さ れ る 。
ヒ ト MCM6配 列 は 、 Holthoffら (1996, Genomics, 37, 131-134, GenBank Acc. No.U46838)
に開示される。
ヒ ト MCM7配 列 は 、 Huら (1993, Nucleic Acids Res., 21, 5289-5293) に 開 示 さ れ る 。
【0025】
本発明の一態様によれば、個体からのサンプル中の異常に増殖する細胞又は細胞増殖異常
性の存在又は欠如を決定する方法であって、議論されるように、サンプルを、標的ポリペ
プチドに対する特異的結合メンバーに接触させ、そして該サンプルに対する前記特異的結
合メンバーの結合を決定することを含む方法を供する。
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【0026】
本 発 明 の 他 の 態 様 は 、 ( i ) 正 常 で あ る か 又 は ( ii) 潜 在 的 に も し く は 実 際 に 前 癌 性 も し
くは癌性の、異形成もしくは新形成であるとして組織を類別する方法であって、議論され
るように、標的ポリペプチドに対する特異的結合メンバーの組織のサンプルへの結合を決
定することを含む方法を供する。結合のパターン又は程度は、周知の正常のサンプル及び
/又は周知の異常なサンプルについてのものと比較することができる。
【0027】
ヒ ト Cdc6は 、 本 明 細 書 に 記 載 さ れ る よ う に 、 本 発 明 者 ら に よ り 独 立 し て ク ロ ー ン 化 さ れ た
が 、 そ の ク ロ ー ニ ン グ の 最 初 の 発 表 は 、 Williamら に よ る も の で あ っ た 。 そ の 論 文 ( PNAS
USA 94: 142∼ 147, 1997)は 全 体 の ア ミ ノ 酸 配 列 を 供 す る 。 本 明 細 書 に 実 験 的 に 証 明 さ れ
10
る よ う に 、 抗 Cdc6結 合 分 子 は 種 々 の 組 織 、 特 に 頸 部 サ ン プ ル 、 好 ま し く は ス ミ ア に お い て
異常性をマークすることにおいて極めて有効である。
【0028】
ヒ ト MCM5に つ い て の ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 Huら (1993, Nucleic Acids Res., 21, 5289∼ 5293
, GenBank Acc. No.X74795) に 開 示 さ れ る 。 こ こ に 含 ま れ る 実 験 的 証 拠 は 、 Cdc6の よ う な
それに対する結合分子が、種々の組織、特に頸部サンプル、好ましくはスミアにおいて異
常 性 を マ ー ク す る こ と に お い て 極 め て 有 効 で あ る こ と を 示 す 。 MCM5に 対 す る 高 ア フ ィ ニ テ
ィ ー 抗 体 を 得 る こ と は 、 よ り 高 い 抗 原 性 を 反 映 し 得 る Cdc6に つ い て よ り 容 易 で あ る よ う で
ある。
【0029】
20
こ こ に 含 ま れ る 更 な る 実 験 的 証 拠 は 、 MCM2に 対 す る 、 MCM3に 対 す る 、 MCM4に 対 す る 、 MCM6
に 対 す る 又 は MCM7に 対 す る 結 合 分 子 も 、 頸 管 ス ミ ア の よ う な 組 織 サ ン プ ル に お い て 異 常 性
を マ ー ク す る の に 有 効 で あ る こ と を 示 す 。 抗 MCM5抗 体 は 、 全 体 及 び 細 胞 の 数 の 両 方 に お い
て 抗 MCM2及 び 抗 MCM7よ り 強 力 な 染 色 パ タ ー ン を 供 す る こ と が 見 い 出 さ れ て い る 。 抗 CDC6抗
体 は 、 抗 MCM5と 似 た 染 色 パ タ ー ン を 供 す る こ と が 見 い 出 さ れ て い る 。
【0030】
こ れ に よ り 、 ( 例 え ば ) 抗 Cdc6又 は 抗 MCM特 異 的 結 合 メ ン バ ー の 、 サ ン プ ル へ の 結 合 は 、
異常な、潜在的にもしくは実際に前癌性もしくは癌性の、異形成もしくは新形成であると
し て そ れ か ら サ ン プ ル が 得 ら れ る 組 織 を 類 別 す る こ と を 供 す る 。 Papテ ス ト を 用 い て 陽 性
の結果を得ることに基づく本実施に従って、陽性でテストされた個体は、例えばバイオプ
30
シーテスト及び/又はくり返しのスクリーニングにより更に研究することができる。前癌
潜在性は実際に癌性の状態を生じないことは極めて一般的である。必要に応じて適切な及
び時を得た治療による介入を許容するために、形成異常の進行又は退縮を追跡するために
6ケ月に1回のスクリーニングが典型的に用いられる。
【0031】
組織が、本発明により、組織中の検出された異常性に基づいて、潜在的に又は実際に前癌
性又は癌性であるとして類別されるなら、適切な診断及び/又は臨床的追跡調査が要求さ
れよう。
本発明は、必要な前癌又は癌である細胞増殖異常の検出に限られないことに注目すること
ができる。他の細胞の増殖の疾患は、以下の実験例により示されるように、検出すること
40
が で き る 。 こ れ ら に は 、 乾 癬 ( 例 え ば 以 下 の 実 施 例 24を 参 照 の こ と ) 及 び 炎 症 性 腸 疾 患 、
例 え ば 潰 瘍 性 大 腸 炎 及 び ク ロ ー ン 病 ( 実 施 例 33及 び 34) で あ る 。 独 立 し て 細 胞 増 殖 異 常 で
あることに加えて、炎症性腸疾患は、全の患者ではないが、癌状態への前駆体であり得、
従って、本発明によるそれらの検出は、より密接なフォローアップのための価値ある結果
を供するのに用いることができる。炎症性腸疾患において、便のサンプル及びこのような
サンプルからの細胞の調製物で分析が行われるのを許容する結腸及び腸の細胞の脱落があ
る 。 以 下 の 実 施 例 32は 、 便 か ら 細 胞 を 回 収 す る こ と に よ り 調 製 さ れ た 便 ス ミ ア の 染 色 を 記
述する。
【0032】
本発明は、更なる分析の前にサンプルをプレスクリーニングするのに用いることができる
50
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。 本 発 明 は 、 Papス ミ ア テ ス ト 又 は Thin Prep 2000テ ス ト の よ う な 利 用 で き る 技 術 を 用 い
て以前にテストされたサンプルのスクリーニング又は分析のために本発明を用いることが
で き る 。 以 下 の 実 験 は 、 Pap染 色 分 析 及 び 適 切 な 抗 体 を 用 い る 本 発 明 に よ る 分 析 を 同 じ 調
製 物 で 行 う こ と が で き る こ と も 示 す 。 こ れ に よ り 、 頸 管 ス ミ ア は 、 例 え ば 、 慣 用 的 な Pap
スミアテスト及び本発明によるテストの両方を用いてテストすることができる。
【0033】
本発明の更なる態様は、組織サンプル内の異常細胞をマークする方法であって、サンプル
を 、 議 論 さ れ る よ う な 、 Cdc6, MCM5又 は 他 の MCMの よ う な 標 的 ポ リ ペ プ チ ド に 対 す る 特 異
的結合メンバーに、該特異的結合メンバーが異常に増殖する細胞に結合し、正常な細胞に
結合しない条件下で接触させることを含む方法を供する。特異的結合メンバーがサンプル
10
に結合するか否かは、サンプル内で異常に増殖する細胞の存在を確認するために決定する
ことができる。
更なる態様において、本発明は、組織又はそのサンプル中の、異常細胞増殖、細胞増殖異
常、形成異常、新形成、又は潜在的にもしくは実際に前癌性もしくは癌性の状態の存在又
は異常を決定、評価又は診断するための、議論されるような、標的ポリペプチドに対する
特異的結合メンバーの使用を供する。
【0034】
特異的結合分子は、本発明による使用のための説明書を含み得るキットにおいて供され得
る。このようなキットは、本発明の更なる態様として供される。1又は複数の他の試薬、
例えば標識化分子等(以下参照)を含めることができる。試薬は、外部環境からそれらを
20
保護する容器、例えば密閉バイアル内に供され得る。キットは、関心の組織によりテスト
サンプル自体を供するための1又は複数の部品、例えば口腔から細胞を除去するための綿
棒、血液サンプルを除去するためのシリンジ、頸管スミアをとるためのスパチュラ、バイ
オプシーガン等(これらの部品は一般に滅菌される)を含み得る。キットは、非特異的染
色を減少させるためのブロッキング剤、貯蔵の間、結合する分子の活性を保護するための
保存緩衝液、抗体染色の間に用いるべき染色液及び/又は洗浄液、陽性対照、陰性対照等
のいずれかの組合せ又は全てを含み得る。陽性及び陰性対照は、本発明により用いられ、
キットにおいて供され得る試薬の活性及び正確な利用性を確認するのに用いることができ
る 。 対 照 に は 、 標 的 、 例 え ば Cdc6又 は MCM5の 存 在 に つ い て 陽 性 で あ る か 陰 性 で あ る か 知 ら
れている、組織断片、カバースリップ上に固定された細胞のようなサンプルを含み得る。
30
対照のデザイン及び使用は標準的であり、当業者の慣用的な能力内で十分である。
【0035】
サンプルは、いずれかの慣用的な手段及び技術を用いて体から除去することができる。頸
部 ス ク リ ー ニ ン グ の た め に 、 標 準 ス ミ ア サ ン プ ル を 用 い る こ と が で き る 。 あ る い は 、 Thin
Prep 2000技 術 ( Cytec Corp, Boxborough, Mass., USA) を 用 い る こ と が で き る 。 こ れ は
、 Papス ミ ア 調 製 物 の 慣 用 的 な 方 法 の 代 わ り と し て US FPAに よ り 明 ら か に さ れ て い る 。 サ
ンプルは、細胞をガラススライドに塗るかわりに液体媒体中に収集される。自動化プロセ
ッ サ ー ( Thin Prep 2000装 置 ) が 、 後 に 、 そ の 液 体 か ら 細 胞 を 収 集 す る の に 用 い ら れ 、 そ
してそれらを、分析のためにガラススライド上の薄層内におく。スパチュラ又は綿棒を、
内皮細胞、例えば頸部又は口腔からのものを除去するのに用いることができる。血液及び
40
他の流体サンプルは、シリンジ及び針を用いて除去することができる。他の組織サンプル
は、バイオプシー又は組織断片により除去することができる。
【0036】
好ましい実施形態において、サンプルは、抗原回復又は加圧クッキング/オートクレーブ
に か け ら れ な い 。 抗 原 回 復 は 当 該 技 術 に お い て 標 準 的 で あ り 、 当 業 者 に 公 知 で あ る 。 Hir
aiwaら は 、 典 型 的 な ア プ ロ ー チ を 供 す る Shinら (1991)(Lab.Invest. 64, 693∼ 702)に 言 及
する。サンプルは新鮮であっても凍結したものでもよいが、一般には、ホルマリンで固定
され又はパラフィンに浸されない。議論されるように、特に好ましい実施形態において、
サンプルは頸管スミアである。頸管スミアは加圧クッキングにかけるのに十分に強くない
。更に、抗原回復処理は、一般に、高スループットが要求されるスクリーニングの助けと
50
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ならない。
【0037】
本明細書に含まれる本発明の態様の実験例は、頸管スミアを含む頸部、胸、尿路悪性腫瘍
(バイオプシー組織サンプル及び尿細胞学スミアの両方でテストしたもの)、結腸、肺、
膀胱、皮膚、喉頭、食道、気管支、リンパ節、及び血液学的悪性腫瘍、また、転移性肉腫
及び癌腫の証拠のための血液及び血清への適用可能性を証明する。本発明は、頸部腺性上
皮 細 胞 の 前 悪 性 異 常 ( 腺 性 上 皮 内 新 形 成 、 GIN)又 は 他 の 組 織 に お け る 前 悪 性 異 常 の 評 価 に
更に用いることができる。それは、新生物細胞の検出又は反応性の変化を示す細胞からの
それらの区別が極めて難しい他の臨床試料の細胞学的又は生化学的評価に用いるために特
に適切であり得る。このような試料は、唾液、気管支−歯槽洗浄試料、尿及び消化管(食
10
道、胃及び膵臓、胆管及び膵臓管を含む)からのふきとり物を含む。本発明は、増殖の評
価がより正確な臨床結果の予測、及び/又はより合理的な治療の選択を可能にし得る組織
の組織学的又は生物学的評価に適用することができる。試料は、腺細胞(例えば、肺、胸
、結腸、前立腺、胃)、扁平上皮細胞(例えば肺、皮膚、食道)又は他の上皮細胞型(例
えば膀胱、尿管、腎臓、卵巣)の悪性腫瘍を含み得る。
【0038】
所 定 範 囲 の 乳 癌 で テ ス ト し た 、 抗 Cdc6抗 体 並 び に 種 々 の 抗 MCM2、 抗 MCM3、 抗 MCM4、 抗 MCM5
、 抗 MCM6及 び 抗 MCM7抗 体 を 含 む 抗 MCM抗 体 で 、 以 下 に 記 載 さ れ る 実 験 に お い て 観 察 さ れ た
高い程度の特異性は、乳癌の診断のための免疫細胞学的及び生化学的アプローチを供する
。 こ れ ら は 、 胸 バ イ オ プ シ ー も し く は 細 い 針 で の 吸 引 (FNA) 試 料 又 は 乳 管 か ら の 流 体 の サ
20
ンプリングに適用することができ、これらは、スクリーニングプログラムにおける使用を
許容する。
【0039】
本発明の種々の態様に従って結合メンバーに接触させられるサンプルは、本発明の異なる
実 施 形 態 に 従 っ て 、 特 異 的 結 合 分 子 の 標 的 ポ リ ペ プ チ ド 、 例 え ば 議 論 さ れ る よ う な Cdc5,
MCM5又 は 他 の MCMへ の 結 合 、 核 酸 レ ベ ル の 決 定 、 酵 素 活 性 等 を 許 容 す る い ず れ か の 利 用 で
き る 技 術 を 用 い て 調 製 す る こ と が で き る 。 種 々 の 技 術 、 例 え ば Papテ ス ト の た め に 細 胞 を
固定するのに用いられるような(標的ポリペプチドに結合する抗体のような分子のための
もの)は当該技術分野において標準的である。
【0040】
30
抗体のような結合メンバーの、正常な及びテストサンプルの反応性は、いずれかの適切な
手段により決定することができる。個々のリポーター分子での標識化は1つの可能性であ
る。そのリポーター分子は、直接的に又は間接的に、検出可能な、好ましくは測定可能な
シグナルを作り出すことができる。リポーター分子の連結は、直接又は間接的に、共有結
合、例えばペプチド結合又は非共有結合であり得る。ペプチド結合による連結は、結合分
子(例えば抗体)及びリポーター分子をコードする遺伝子様式の組換え発現の結果として
であり得る。
【0041】
1つの好ましい態様は、分光的に単離された吸光又は発光特性を有する個々の発蛍光団、
リン光体又はレーザー染料との、各々の結合メンバーの共有結合による。適切な発蛍光団
40
は、フルオレセイン、ロダミン、フィコエリトリン及びテキサスレッドを含む。適切な色
原染料は、ジアミノベンジジンを含む。
【0042】
他のリポーターは、高分子コロイド状粒子又は粒子状材料、例えば色のついた、磁性もし
くは常磁性のラテックスビーズ、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に視覚的に観察
できる、電気的に検出でき、その他記録できる生物学的もしくは化学的に活性な剤を含む
。これらの分子は、例えば、色を展開しもしくは変化させ又は電気特性を変化させる反応
を触媒する酵素であり得る。それらは、エネルギー状態間の電気転移が特徴的なスペクト
ル吸光又は発光を生ずるように、分子的に励起可能であり得る。それらは、バイオセンサ
ーと共に用いられる化学的なものを含み得る。ビオチン/アビジン又はビオチン/ストレ
50
(12)
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プトアビジン及びアルカリホスファターゼ検出システムを用いることができる。更なる例
は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及び化学ルミネセンスである。
【0043】
結合を決定する態様は本発明の特徴ではなく、当業者は、彼らの好み及び一般的な知識に
従って、適切な態様を選択することができる。
【0044】
以下の実験において、セイヨウワサビペルオキシダーゼを用いた。アルカリホスファター
ゼを用いて更なる実験を行い、同様の結果を得た(例えば頸管スミア)。アルカリホスフ
ァターゼは、セイヨウワサビペルオキシダーゼより感度の高い検出システムであるが、そ
の 展 開 さ れ た 色 は PAP染 色 と の 適 合 性 が 低 い 。
10
【0045】
本発明の実施形態に用いた頸管スミアの抗体染色のためのプロトコルは以下の通りである
。
【0046】
1 . 6 つ の 新 鮮 な ス ミ ア を 、 50: 50ア セ ト ン ・ メ タ ノ ー ル 中 に 5 分 、 浸 す 。 ( ス ミ ア を 以
前 に "Cytofix" で 固 定 す る 代 わ り の 出 発 点 − ス ク リ ー ニ ン グ 中 心 へ の 安 全 な 輸 送 を 許 容 す
る よ う 取 っ た 時 に ス ミ ア サ ン プ ル を 処 理 す る た め に UKに お い て 標 準 的 に 用 い ら れ る ア ル コ
ー ル 及 び ワ ッ ク ス 処 理 は 、 10分 間 、 メ チ ル 化 有 機 溶 剤 に 浸 漬 す る こ と に よ り Cytofixを 除
去することである。スミアをいずれかの他の保護層で覆うなら、サンプルを抗体染色にさ
らすためにいずれかの適切な処理を用いることができる。)
20
【0047】
2 . 5 分 間 、 ト リ ス 緩 衝 塩 類 溶 液 (TBS) で 洗 う 。
3 . 15分 間 、 TBS中 4 mMデ オ キ シ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム 中 に 浸 透 さ せ る よ う に 洗 う 。
4 . 5 分 間 、 TBS+ 0.3% Triton X100で 洗 う 。
5.ステップ4をくり返す。
6 . 5 分 間 、 TBS+ 0.025% Triton X100で 洗 う 。
【0048】
7.組織を乾燥させることなく、過剰な液体を排出する。
8.加湿チャンバー内にスライドを移し、各々のスライド上に、最少で2時間(又は一晩
) 、 TBS中 10% ヤ ギ 血 清 試 薬 200マ イ ク ロ リ ッ タ ー を お く 。
30
9.組織を乾燥させることなく、過剰な液体を排出する。
【0049】
10. 0.1% Triton 及 び 1 % BSAを 含 む TBS中 に 希 釈 し た 一 次 抗 体 200ミ リ リ ッ タ ー を 各
々のスライド上におき、オービタルシェーカー上で4℃で一晩、放置する。
11. ス ラ イ ド を ラ ッ ク に 移 し 、 5 分 、 TBS+ 0.3% Triton X100中 で 洗 う 。
12. TBS+ 0.025% Triton X100中 で 5 分 、 洗 う 。
13. ス テ ッ プ 12を く り 返 す 。
14. 組 織 を 乾 燥 さ せ る こ と な く 、 過 剰 な 液 体 を 排 出 す る 。
【0050】
15. ス ラ イ ド を 、 加 湿 チ ャ ン バ ー に 移 し 、 各 々 の ス ラ イ ド 上 に 、 1 % BSAを 含 む TBS中 1
40
: 500 で ビ オ チ ン 化 ヤ ギ 抗 ウ サ ギ 二 次 抗 体 ( Dako)200マ イ ク ロ リ ッ タ ー を 2 時 間 、 お く 。
16. ス ラ イ ド を 二 次 抗 体 内 に 入 れ 、 SABC溶 液 を 作 る 。
17. ス ラ イ ド を ラ ッ ク に 移 し 、 TBS中 で 5 分 、 洗 う 。
18. ス ラ イ ド を 、 0.6% 過 酸 化 水 素 と 共 に 、 内 因 性 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ ブ ロ ッ キ ン グ 剤 に 10
分、入れる。
19. TBSで 5 分 、 洗 う 。
【0051】
20. ス テ ッ プ 19を 2 回 、 く り 返 す 。
21. ス ラ イ ド を 加 湿 チ ャ ン バ ー に 移 し 、 各 々 の ス ラ イ ド 上 に 、 200マ イ ク ロ リ ッ タ ー の SA
BC溶 液 を 、 30分 、 お く 。
50
(13)
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22. ス ラ イ ド を ラ ッ ク に 移 し 、 TBS中 で 5 分 、 洗 う 。
23. ス テ ッ プ 22を く り 返 す 。
24. 10分 、 DAB溶 液 中 に 展 開 す る 。
【0052】
25. 5 分 、 水 道 水 で 洗 う 。
26. 6 秒 、 Harrisヘ マ ト キ シ リ ン 溶 液 に ス ラ イ ド を 入 れ る 。
27. 1 分 、 水 道 水 で 洗 う 。
28. 1 ∼ 2 秒 、 0.5% 塩 酸 中 で 区 別 化 す る 。
29. 5 分 、 水 道 水 で 洗 う 。
【0053】
10
30. 2 分 、 50% メ タ ノ ー ル を そ そ ぐ 。
31. 2 分 、 70% メ タ ノ ー ル を そ そ ぐ 。
32. 2 分 、 90% メ タ ノ ー ル を そ そ ぐ 。
33. 2 分 、 100% メ タ ノ ー ル を そ そ ぐ 。
34. 2 分 、 Orange G作 業 液 に 入 れ る 。
【0054】
35. 7 秒 、 100% メ タ ノ ー ル を そ そ ぎ 、 静 か に 撹 拌 す る 。
36. ス テ ッ プ 35を く り 返 す 。
37. 2 分 、 EA50溶 液 に 入 れ る 。
38. 7 秒 、 100% メ タ ノ ー ル を そ そ ぎ 、 静 か に 撹 拌 す る 。
20
39. ス テ ッ プ 38を く り 返 す 。
【0055】
40. 5 分 、 キ シ レ ン に ス ラ イ ド を 入 れ て 透 明 に す る 。
41. ス テ ッ プ 40を 2 回 、 く り 返 す 。
42. DEPEXマ ウ ン タ ン ト を 用 い て カ バ ー ガ ラ ス を 適 用 す る 。
【0056】
免疫蛍光のためのスミアは、同様に調製することができる(そしてできている)。二次抗
体 の 後 、 そ れ ら を 、 1 時 間 、 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン FITC接 合 抗 体 中 で イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 ヨ
ウ 化 プ ロ ピ ジ ウ ム / RNAseA( 両 方 と も Sigma、 50ng/ ml) で 、 DNAに つ い て 対 比 染 色 し 、
次 に グ リ セ ロ ー ル / PBS / フ ェ ニ レ ン ジ ア ミ ン 中 に マ ウ ン ト し た 。
30
【0057】
本発明の態様に用いるための好ましい結合分子には、抗体、標的のための天然のリガンド
、標的上の1又は複数のエピトープを標的にする小分子及びT細胞レセプター結合ドメイ
ンがある。
【0058】
関 心 の 標 的 に 特 異 的 で あ る 抗 体 、 例 え ば Cdc6, MCM5又 は 他 の MCMは 、 当 該 技 術 で 標 準 的 で
ある技術を用いて得ることができる。抗体を生産する方法は、哺乳動物(例えばマウス、
ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、サル又はトリ、例えばニワトリ)を、タンパク質
もしくはそのフラグメント又はタンパク質もしくはフラグメントを発現する細胞もしくは
ウ イ ル ス で 免 疫 化 す る こ と を 含 む 標 的 ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る DNAで の 免 疫 化 も 可 能 で
40
ある。抗体は、当該技術で周知の種々の技術のいずれかを用いて、免疫化された動物から
得ることができ、そして、好ましくは関心の抗原への抗体の結合を用いて、スクリーニン
グすることができる。例えば、ウエスタン・ブロッティング技術は免疫沈降法を用いるこ
と が で き る ( Armitageら 、 1992, Nature 357: 80∼ 82) 。
【0059】
モノクローナル抗体の生産は当該技術で十分に確立されている。モノクローナル抗体は、
組 換 え DNA技 術 に か け て 、 も と の 抗 体 の 特 異 性 を 保 持 す る 他 の 抗 体 又 は キ メ ラ 分 子 を 作 る
ことができる。このような技術は、抗体のイムノグロブリン可変領域又は相補性決定領域
(CDR) を コ ー ド す る DNAを 、 異 な る イ ム ノ グ ロ ブ リ ン の 定 常 領 域 又 は 定 常 領 域 + 骨 格 領 域
に 導 入 す る こ と に 関 連 し 得 る 。 例 え ば 、 EP 184187A, GB 2188638A又 は EP-A-0239400を 参
50
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照のこと。モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、生産される抗体の結合特異
性を変えても変えなくてもよい遺伝子変異又は他の変化にかけることができる。
【0060】
ペプチドで哺乳動物を免疫化するためのかわりとして又はその補助として、標的に特異的
な抗体を、例えばそれらの表面上に機能的イムノグロブリン結合ドメインを提示するラム
ダバクテリオファージ又は繊維状バクテリオファージを用いて、発現されたイムノグロブ
リ ン 可 変 ド メ イ ン の 組 み 換 え 生 産 さ れ た ラ イ ブ ラ リ ー か ら 得 る こ と が で き る ; 例 え ば WO
92/ 01047 を 参 照 の こ と 。 そ の ラ イ ブ ラ リ ー は 、 標 的 で 免 疫 化 さ れ て い な い 生 物 か ら 得 ら
れた配列から作製されたネイティブであっても、又は関心の抗原(又はそのフラグメント
)に露出された生物から得られた配列を用いて作製されたものであってもよい。
10
【0061】
抗体は、いくつかの方法で修飾することができる。実際、他に文脈で排除しなければ、用
語“抗体”は、抗体−抗原結合ドメインを有するいずれの特異的な結合物質も包含するも
のとして解釈されるはずである。これにより、これは、天然であっても合成であってもイ
ムノグロブリン結合ドメインを含むいずれかのポリペプチドを含む、抗体フラグメント、
誘導体、及び機能的等価物を包含する。それゆえ、他のポリペプチドに融合された、イム
ノグロブリン結合ドメイン又は等価物を含むキメラ分子が含まれる。キメラ抗体のクロー
ニ ン グ 及 び 発 現 は EP-A-0120694及 び EP-A-0125023に 開 示 さ れ る 。
【0062】
結合抗原の機能は、全体の抗体のフラグメントによって行うことができることが示されて
20
い る 。 典 型 的 な 結 合 フ ラ グ メ ン ト は 、 ( i ) VL, VH, CL及 び CH1 ド メ イ ン か ら な る Fabフ
ラ グ メ ン ト ; ( ii) VH及 び CH1 ド メ イ ン か ら な る Fdフ ラ グ メ ン ト ; ( iii ) 単 一 抗 体 の VL
及 び VHド メ イ ン か ら な る Fvフ ラ グ メ ン ト ; ( iv) VHド メ イ ン か ら な る dAbフ ラ グ メ ン ト (
Ward, E.S.ら 、 Nature 341, 544-546 (1989)) ; ( v ) 単 離 さ れ た CDR領 域 ; ( vi) 2 つ
の 連 結 し た Fabフ ラ グ メ ン ト を 含 む 二 価 フ ラ グ メ ン ト で あ る F(ab′ )2フ ラ グ メ ン ト ; ( vi
i ) 一 本 鎖 Fv分 子 ( scFV)(こ こ で 、 VHド メ イ ン 及 び VLド メ イ ン が 、 こ れ ら 2 つ の ド メ イ ン
が 抗 原 結 合 部 位 を 形 成 す る よ う に 会 合 す る の を 許 容 す る ペ プ チ ド に よ り 連 結 さ れ て い る )(
Birdら 、 Science, 242, 423∼ 426, 1985; Huston ら 、 PNAS USA, 85, 5879∼ 5883, 1988
); ( viii) 二 種 特 異 的 一 本 鎖 Fvダ イ マ ー (PCT/ US92/ 09965)及 び ( ix) 遺 伝 子 融 合 に よ
り 作 製 さ れ た 多 価 又 は 多 種 特 異 的 フ ラ グ メ ン ト で あ る “ ジ ア ボ デ ィ ー (diabodies)"(WO 94
30
/ 13804; P.Holliger ら 、 Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90, 6444∼ 6448, 1993) で あ る 。
【0063】
抗体及び抗体フラグメントを含むポリペプチドの組換え発現は当該技術で公知である。
【0064】
種々の異なる宿主細胞内でのポリペプチドのクローニング及び発現のためのシステムは公
知である。適切な宿主細胞には、バクテリア、哺乳動物細胞、イースト及びバキュロウイ
ルスシステムがある。異種ポリペプチドの発現のために当該技術で利用できる哺乳動物細
胞 系 に は 、 チ ャ イ ニ ー ズ ハ ム ス タ ー 卵 母 細 胞 、 HeLa細 胞 、 ベ イ ビ ー ハ ム ス タ ー 腎 細 胞 及 び
多くの他のものがある。一般的な好ましいバクテリア宿主は大腸菌である。バキュロウイ
ル ス 発 現 の た め の 好 ま し い 宿 主 は SF9 細 胞 系 の よ う な 昆 虫 細 胞 で あ る 。
40
【0065】
適切なベクターは、適切なら、プロモーター配列、ターミネーターフラグメント、ポリア
デニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び他の配列を含む適切な調節配列を
含 む よ う に 選 択 さ れ 、 作 製 さ れ 得 る 。 更 な る 詳 細 に つ い て は 、 例 え ば 、 Molecular Clonin
g: a Laboratory Manual : 2nd edition(Sambrookら 、 1989, Cold Spring Harbor Laborat
ory Press)を 参 照 の こ と 。 形 質 転 換 手 順 は 用 い る 宿 主 に 依 存 す る が 、 公 知 で あ る 。
【0066】
コ ー デ ィ ン グ 核 酸 か ら の 発 現 に よ る 生 産 の 後 、 Cdc6の よ う な 本 発 明 に 役 立 つ 標 的 に 対 す る
抗体又は他の特異的結合分子は、回収し、そして単離することができ、必要に応じて適切
な標識又はリポーターにコンジュゲートされ、そして開示される本発明に従って、組織サ
50
(15)
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ンプル、例えば頸管スミア中の細胞の増殖異常の存在又は欠如の決定に用いるために供さ
れる。
【0067】
腫 瘍 中 の Cdc6及 び MCM発 現 の レ ベ ル は 正 常 な 組 織 中 よ り か な り 高 く 、 こ れ ら の 抗 原 は ( 例
えば腫瘍細胞の壊死により)血流又は他の体液、例えば尿、又は便に遊離され得る。特異
的 結 合 分 子 は 、 当 業 者 に 利 用 で き る い ず れ か の 技 術 、 例 え ば DELFIA, ELISA, RIA、 Weste
rnブ ロ ッ テ ィ ン グ を 用 い て 、 体 液 、 例 え ば 血 清 中 で 標 的 を 検 出 す る の に 用 い る こ と が で き
る。腫瘍の進行及び退縮は、例えば処理に対する応答において又は再発においてモニター
することができる。これにより、血液又は他の体液サンプル、例えば尿、前立腺液、乳頭
液、漿液及び腹水流出物、脳脊髄液、及び便も、本発明に従って評価することができる。
10
例 え ば 、 血 液 サ ン プ ル は 、 例 え ば Williamsら ( Clin.Chem.Acta , 1986, 155, 329∼ 344)に
記 載 さ れ る よ う に 、 DELFIA, ELISA, RIAを 用 い て 、 MCM5及 び CDC6の よ う な 標 的 ポ リ ペ プ チ
ドの存在についてアッセイすることができる。
【0068】
生体内標的への結合の測定は、体内の異常細胞の局在化を同定するのに用いることができ
る。本発明に従う標的に対する標識された結合分子は、個体に投与することができ、その
体 内 で の 結 合 が 測 定 さ れ る 。 ラ ジ オ ヌ ク レ オ チ ド 、 例 え ば ヨ ウ 素 − 125 、 イ ン ジ ウ ム − 11
1 、 タ リ ウ ム − 201 又 は テ ク ネ チ ウ ム − 99m を 抗 体 に 結 合 さ せ た 場 合 、 そ の 抗 体 が 正 常 組
織より腫瘍において優先的に局在化するなら、腫瘍組織中の放射性標識の存在を、ガンマ
カメラ又はシンチグラフィーを用いて定量することができる。得られた腫瘍の像の質はシ
20
グ ナ ル : ノ イ ズ 比 に 直 接 、 相 関 す る 。 テ ク ネ チ ウ ム − 99m で 放 射 能 標 識 す る こ と は Pakら
(1992)(Nucl.Med.Biol. 19; 699∼ 677)に 記 載 さ れ る 。 抗 CEA抗 体 で の 癌 像 形 成 の 報 告 は
、 Goldenberg D.M.(Int.J. of Biol.Markers 1992, 7; 183∼ 188)に よ り 供 さ れ る 。 ヒ ト
又は動物の体で行われるいずれかの方法が病気の実際の診断の方法であるなら、本発明は
、もちろん、いずれかのこのような方法に用いるための、開示されるような標的ポリペプ
チドに対する特異的結合メンバーに広げられる。
【0069】
ATPase酵 素 活 性 が Cdc6及 び MCMタ ン パ ク 質 に つ い て 報 告 さ れ て い る (Zwerschkeら 、 1994,
J.Biol.Chem. 269, 23351∼ 23356; Ishimi ら 、 Cold Spring Harbor Meeting on Eukar
yotic DNA Replication, 3-7, 1997年 9 月 ) 。 こ れ ら の タ ン パ ク 質 は 、 他 の 酵 素 活 性 、 例
30
え ば Ishimiら ( 前 掲 ) に よ り 報 告 さ れ る ヘ リ カ ー ゼ 活 性 を 有 し 得 る 。 本 発 明 に よ る 標 的 タ
ンパク質のレベルは、そのサンプル中の酵素活性の測定により評価することができる。例
えば、特定の色原物質は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(ジアミノベンジジン)及び
β − ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ (X-GAL) の よ う な 酵 素 の 酵 素 活 性 の た め に 開 発 さ れ て い る 。
【0070】
Cdc6, MCM5又 は 他 の 標 的 タ ン パ ク 質 発 現 は 、 例 え ば mRNAレ ベ ル を 決 定 す る こ と に よ り 、 核
酸 レ ベ ル に お い て 評 価 す る こ と が で き る 。 Williamら (Cold Spring Harbor Meeting On E
ukaryotic DNA Replication, 3-7, 1997年 9 月 ) は 、 マ ウ ス の 腸 の 腸 陰 窩 の 基 部 に お け る
Cdc6 mRNAの 発 現 を 報 告 し て い る 。 RNA検 出 の た め の 方 法 は そ の 分 野 で 公 知 で あ り 、 ノ ー
ザンブロッティング、ドットブロッティング、イン・シトウハイブリダイゼーション、定
40
量 的 RT-PCRが あ る 。 1 又 は 複 数 の 細 胞 又 は 細 胞 か ら 単 離 及 び / 又 は 精 製 さ れ た 核 酸 由 来 の
核 酸 ラ イ ブ ラ リ ー ( 例 え ば 細 胞 か ら 単 離 さ れ た mRNA由 来 の cDNAラ イ ブ ラ リ ー ) か ら 単 離 及
び/又は精製された核酸は、選択的ハイブリダイゼーションのための条件下でプロービン
グ さ れ 、 及 び / 又 は 特 異 的 核 酸 増 幅 反 応 、 例 え ば ポ リ メ ラ ー ゼ 鎖 反 応 (PCR) に か け る こ と
ができる。プローブの標的核酸への結合は、当業者の自由に種々の技術のいずれかを用い
て測定することができる。例えば、プローブは、放射能で、蛍光で、又は酵素により標識
することができる。プローブの標識化を用いない他の方法には、制限フラグメント長多形
性 の 検 査 、 PCRを 用 い る 増 幅 、 RNase開 裂 及 び 対 立 遺 伝 子 特 異 的 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド プ ロ
ービングがある。
【0071】
50
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実施する目的のため、又はコストと時間を考慮した少くとも商業目的のために、タンパク
質レベルにおける標的タンパク質発現の評価が、核酸レベルにおける評価より一般に好ま
しい。
【0072】
本発明の態様は、実験例を引用して詳述されよう。本発明の更なる態様及び実施形態は当
業者に明らかであろう。
【0073】
実施例1−抗体の調製
Cdc6の た め の 抗 体 を 以 下 の プ ロ ト コ ル を 用 い て 調 製 し た 。
ヒ ト Cdc6様 タ ン パ ク 質 の フ ラ グ メ ン ト を コ ー ド す る 発 現 さ れ た 配 列 タ グ (GenBankア ク セ ス
10
番 号 : T90351, H59204, N69246, AA045217, AA099980) を 、 ヒ ト Orc1及 び イ ー ス ト Cdc6/
Cdc18 に 対 す る そ れ ら の 弱 い 配 列 相 同 性 に 基 づ い て 同 定 し た 。 対 応 す る ラ イ ブ ラ リ ー ク ロ
ー ン を 、 IMAGE Consortium (Research Genetics Inc., USA)か ら 得 て 、 ABI PRISM 377シ
ー ケ ン サ ー ( Applied Biosystems) を 用 い て 両 方 の 鎖 に 基 づ い て 配 列 決 定 し た 。 全 て の 5
つ の ク ロ ー ン の 共 通 配 列 が 536ア ミ ノ 酸 の オ ー プ ン 読 み 枠 を 含 ん で い た 。 後 に 公 開 さ れ た
ヒ ト Cdc6の 配 列 と の ア ラ イ メ ン ト ( Williamsら 、 1997) は 、 タ ン パ ク 質 レ ベ ル で の 99.7%
の 相 同 性 を 示 し た 。 ア ミ ノ 酸 145∼ 360 及 び 364∼ 547 に 相 当 す る ヒ ト Cdc6の 2 つ の 別 個
の フ ラ グ メ ン ト を 、 XbaI − BamHI フ ラ グ メ ン ト と し て pET23a発 現 ベ ク タ ー (Novagen)に
ク ロ ー ン 化 し 、 大 腸 菌 CL41株 中 で 発 現 さ せ た 。 組 換 え タ ン パ ク 質 フ ラ グ メ ン ト を 、 Ni+2ア
ガ ロ ー ス ア フ ィ ニ テ ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( Qiagen) に よ り 精 製 し 、 免 疫 化 の た め に 用
20
い た 。 抗 体 を 生 じ さ せ 、 以 前 に 記 載 さ れ る よ う に ( Romanowskiら 、 Proc.Natl.Acad.Sci.
USA, 1996, 93: 10189∼ 10194)ア フ ィ ニ テ ィ ー 精 製 し た 。 3 つ の 抗 体 は 、 HeLa全 細 胞 抽 出
物 及 び 核 抽 出 物 中 で 62kDの 主 要 な バ ン ド を 認 識 し た 。
【0074】
MCM5に 対 す る 抗 体 を 次 の 通 り に 調 製 し た :
【0075】
PCRプ ラ イ マ ー を 、 ヒ ト MCM5の 公 開 さ れ た 配 列 に 基 づ い て デ ザ イ ン し た ( Huら 、 1993、 Nu
cl.Acid Res. 21 5289∼ 5293) 。 ア ミ ノ 酸 367∼ 582 に 対 応 す る MCM5コ ー デ ィ ン グ 配 列 の
フ ラ グ メ ン ト を 、 逆 転 写 し た HeLa cDNAか ら 増 幅 し 、 SphI − BglIIフ ラ グ メ ン ト と し て
pQE70発 現 ベ ク タ ー ( Qiagen) に ク ロ ー ン 化 し た 。 そ の タ ン パ ク 質 を BL21大 腸 菌 細 胞 中 で
発 現 さ せ 、 Ni
2+
30
ア ガ ロ ー ス ア フ ィ ニ テ ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( Qiagen) を 用 い て 精 製 し
た 。 抗 体 は 、 Romanowskiら ( Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 1996, 93: 10189∼ 10194)に 記 載
されるように生じさせた。
【0076】
実 施 例 2 − Cdc6 及 び MCM5 の 細 胞 増 殖 と の 関 係
不 死 の ヒ ト 細 胞 系 HeLaが 細 胞 サ イ ク ル 全 体 を 通 し て Cdc6及 び MCM5を 発 現 す る こ と が 以 前 に
ウ エ タ ス タ ン ブ ロ ッ ト に よ り 示 さ れ て い る ( Williamsら 、 Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 199
7, 94: 142-147; Schulte ら 、 Eur.J.Biochem. , 1996, 235, 144-151) 。 現 在 、 静 止 Wi38
ヒ ト 繊 維 芽 細 胞 中 で の Cdc6の 下 降 制 御 が Williamsら 、 1997に よ り 報 告 さ れ て い る 。
【0077】
40
本 発 明 者 ら は 、 マ ウ ス 3T3繊 維 芽 細 胞 を 接 触 阻 害 に よ り 静 止 さ せ た 時 に 、 Cdc6発 現 が 下 降
制御されることもウエスタン・ブロットにより示した(図1A)。
【0078】
NIH 3T3細 胞 系 を 、 群 集 に な る ま で 増 殖 さ せ る こ と に よ り 拘 束 し た 。 培 養 物 を 7 日 間 、 静
止状態に維持した。細胞を、トリプシン分離及びリプレーティングによりG0拘束から解
放した。可溶性(上清)及び核タンパク質(ペレット)抽出物を、3時間の間隔で調製し
、 両 抽 出 物 を ヒ ト MCM5, Orc2及 び Cdc6に 対 す る 抗 体 で 免 疫 化 し た 。
【0079】
Orc2( ク ロ ー ニ ン グ に つ い て 、 Gavinら CScience(1995) 270, 1667∼ 1671) は 、 静 止 細 胞
内で結合したクロマチンを保持しており(G0)、細胞が細胞サイクルに入る時にはっき
50
(17)
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り と 増 加 し な い 。 対 照 的 に 、 MCM5は 、 可 溶 性 画 分 が 大 量 の MCM5を 含 ん で い た に も か か わ ら
ず 、 静 止 細 胞 の ク ロ マ チ ン 結 合 画 分 ( ペ レ ッ ト ) 内 で 検 出 す る こ と が で き な か っ た 。 MCM5
と 対 照 的 に 、 Cdc6は 静 止 細 胞 か ら 完 全 に 欠 如 し て い た が 、 こ の タ ン パ ク 質 の 発 現 は 、 細 胞
が 細 胞 サ イ ク ル に 再 び 入 る 時 に 迅 速 に 誘 導 さ れ た 。 ヒ ト EJ13細 胞 系 ( 膀 胱 癌 由 来 ) で も 同
様の結果を得た。
【0080】
こ れ ら の 結 果 は 、 静 止 細 胞 中 の Cdc6の 欠 如 が 一 般 的 な 現 象 で あ る こ と を 示 す 。
【0081】
こ れ ら の 研 究 を 、 免 疫 蛍 光 並 び に 抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 の 完 全 な 細 胞 へ の 適 用 に よ り 拡 張
した。
10
Cdc6及 び MCM5の 発 現 は 、 新 生 の ヒ ト 繊 維 芽 細 胞 (NHF) が 接 触 阻 害 に よ り 静 止 状 態 に な る 時
にも下降制御されることが見い出された。
【0082】
NHFを 群 集 に な る ま で 増 殖 さ せ 、 3 日 間 、 静 止 状 態 に 維 持 し た 。 細 胞 を 、 ト リ プ シ ン 分 離
及びリプレーティングによりG0拘束から解放した。次に完全な細胞を、S期に入るまで
、 解 放 後 の 複 数 の 時 点 で 収 集 し た 。 ヨ ウ 化 プ ロ ピ ジ ウ ム で の 染 色 を DNAを 示 す た め に 用 い
、 結 果 を 、 抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 で の サ ン プ ル の 染 色 と 比 較 し た 。
静 止 ( G 0 ) 細 胞 は 、 Cdc6免 疫 反 応 性 を 示 さ ず 、 抗 MCM5抗 体 で 極 め て 弱 い シ グ ナ ル を 示 し
た 。 し か し な が ら 、 細 胞 サ イ ク ル に 入 る 時 及 び S 期 の 間 に 、 Cdc6及 び MCM5に つ い て の 強 力
な核免疫反応性が観察された。
20
【0083】
こ れ ら の 研 究 は 、 抗 Cdc6抗 体 が 、 PCNA又 は Ki67と 同 様 の 細 胞 を 増 殖 す る た め の マ ー カ ー を
供 し 得 る で あ ろ う こ と を 示 唆 し 得 る 。 PCNAも Ki67も 頸 部 細 胞 学 の た め に 満 足 す る も の で な
いことが判明した。
【0084】
実 施 例 3 − 抗 Cdc6及 び 抗 MCM5結 合 分 子 は PCNA又 は Ki67抗 体 よ り か な り 有 効 に 異 常 な ( 例 え
ば腫瘍)細胞を検出する。
実 施 例 2 に 概 説 さ れ る 結 果 は 、 Cdc6発 現 が 、 頸 部 細 胞 学 の た め に い ず れ も 満 足 い く も の で
な い PCNA又 は Ki67の そ れ に 類 似 し 得 る こ と を 示 唆 す る 。 本 発 明 者 ら は 、 正 常 な 又 は 病 気 の
子宮頸の断片に基づいてこれらのタンパク質に対する抗体を比較した。
30
【0085】
慣 用 的 な 増 殖 マ ー カ ー PCNA及 び Ki67に つ い て の 頸 部 SILの 免 疫 染 色 は 、 Cdc6又 は MCM5に つ
いての染色と比較した時に異なるパターンの免疫反応性を示す。正常な頸部において、全
ての4つの抗原に対する抗体は、基底及び旁基底層に制限された上皮細胞の陽性の免疫染
色を示した。化生の、ストローマの、又は炎症性の細胞の免疫染色は観察されなかった。
低 及 び 高 グ レ ー ド SIL(LSIL及 び HSIL) の 両 方 に お い て 、 Cdc6及 び Mcm5に 対 す る 抗 体 は 、 異
常 細 胞 の 大 部 分 ( 95% 超 ) の 陽 性 の 免 疫 染 色 を 示 し た 。 対 照 的 に 、 PCNA及 び Ki67に つ い て
の 免 疫 染 色 は 、 両 グ レ ー ド の SILに お い て 異 常 細 胞 の 少 数 集 団 ( 30% 未 満 ) の み で あ る 。
LSILの 特 徴 で あ り 、 HPVの 細 胞 病 理 学 的 効 果 を 反 映 す る コ イ ロ サ イ ト (koilocyte) は 、 全
て 、 Cdc6及 び MCM5で 陽 性 の 免 疫 染 色 を 示 し た が 、 少 数 集 団 ( 20% ) の み が PCNA又 は Ki67に
40
ついて陽性染色を示した。
【0086】
異常細胞の染色のかなり大きなレベルは、組織サンプルが上皮の表面からスミアによりほ
と ん ど 直 ち に と ら れ る 頸 部 ス ク リ ー ニ ン グ に お い て 、 抗 PCNA及 び 抗 Ki67分 子 に 優 る 、 抗 Cd
c6又 は 抗 MCM5結 合 分 子 を 用 い る こ と に つ い て の 明 白 な 利 点 を 供 す る 。
【0087】
5μmセクションをガラススライド上に切り取り、キシレン中でワックスを除いた。内因
性 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性 を 、 室 温 中 で 、 3 ∼ 5 分 、 100% メ タ ノ ー ル 中 0.6% 過 酸 化 水 素
中でのインキュベーションにより止めた。そのスライドを2×5分、リン酸緩衝塩類溶液
中 で 洗 い 、 次 に リ ン 酸 緩 衝 塩 類 溶 液 (PBS) 中 10% の 胎 児 ウ シ 血 清 (FCS) の セ ク シ ョ ン 当 り
50
(18)
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約 100μ l で ブ ロ ッ ク し た 。 そ の ス ラ イ ド を と り 、 過 剰 な 血 清 を ふ き 取 っ た 。 一 次 抗 体 を
2.5% FCSを 含 む PBS中 20に 対 し て 1 に 希 釈 し 、 25∼ 50μ l を 各 々 の セ ク シ ョ ン に 加 え た
。 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン を 、 加 湿 チ ャ ン バ ー 内 で 室 温 で 45分 、 行 っ た 。 次 に そ の ス ラ イ ド を
PBS中 で 3 × 5 分 、 洗 い 、 次 に 15分 、 PBS中 で 、 抗 Ki67又 は 抗 PCNAの た め に 20% ウ サ ギ 血
清 で 、 及 び 抗 Cdc6又 は 抗 MCM5の た め に 20% ロ バ 血 清 で 、 ブ ロ ッ キ ン グ し た 。 ブ ロ ッ キ ン グ
抗 体 を 排 出 し て ス ラ イ ド を ふ き 取 っ た 後 、 10% の 正 常 な ヒ ト 血 清 を 含 む PBS中 200に 対 し
て 1 の ( 抗 Ki67又 は 抗 PCNAの た め の ) ビ オ チ ニ ル 化 ウ サ ギ 抗 マ ウ ス 二 次 抗 体 又 は ( 抗 Cdc6
又 は 抗 MCM5の た め の ) ロ バ 抗 ウ サ ギ 抗 体 を 室 温 で 30分 、 加 え た 。 PBS中 で 3 × 5 分 、 洗 っ
た後、ストレプトアビジン−ビオチン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体を、室温
で 30分 、 PBS中 で 500に 対 し て 1 で 加 え た 。 3 × 5 分 の PBS洗 浄 の 後 、 基 質 ジ ア ミ ノ ベ ン
10
ジ ジ ン を 、 0.005% 過 酸 化 水 素 を 含 む 100mM Tris-Cl (pH 7.6)中 1 % で 加 え 、 室 温 で 5 分
、 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 そ の 反 応 を 、 水 道 水 を そ そ ぐ こ と に よ り 停 止 さ せ 、 ス ラ イ ド を Gi
ll'sヘ モ ト キ シ リ ン で 軽 く 染 色 し 、 特 級 エ タ ノ ー ル に よ り 脱 水 し 、 キ シ レ ン 中 で 2 × 6 分
、 洗 っ た 。 カ バ ー ス リ ッ プ を DPXマ ウ ン ト 媒 体 で 適 用 し た 。
【0088】
正 常 な 頸 部 の 連 続 断 片 を 、 各 々 の 抗 体 を 用 い て 、 PCNA, Ki67, MCM5及 び Cdc6に つ い て 染 色
した。これら全ての抗体は、基底及び旁基底層のみに制限された陽性細胞と同様の免疫反
応性のパターンを示した。
【0089】
低 グ レ ー ド SIL(CINI) 頸 部 の 連 続 セ ク シ ョ ン を 、 各 々 抗 体 を 用 い て PCNA, Ki67, MCM5及 び
20
Cdc6に つ い て 染 色 し た 。 形 成 異 常 は 扁 平 上 皮 の 下 3 分 の 1 に お い て 支 配 的 で あ り 、 HPV関
連のウイルスの変化(コイロサイト−シス)に関連しており、ここで後者は表面まで広が
っ て い た 。 PCNA及 び Ki67は 、 上 皮 の 下 3 分 の 1 に 制 限 さ れ た 。 パ ッ チ 様 の 焦 点 に あ る 免 疫
反応性であって、不定型の細胞の小さな集団のみが陽性染色されているものを示した。対
照 的 に 、 Cdc6及 び MCM5は 、 上 皮 の よ り 表 面 の 層 に お い て コ イ ロ サ イ ト を 含 む 全 て の 不 定 型
の細胞の陽性染色と共に、十分に濃厚な免疫反応性を示す。
【0090】
高 グ レ ー ド SILの 連 続 断 片 を 、 各 々 PCNA, Ki67, MCM5及 び Cdc6抗 体 を 用 い て 染 色 し た 。 上
皮 の 全 て の 層 全 体 に 形 成 異 常 が 存 在 す る 。 PCNA及 び Ki67は 、 十 分 に 濃 厚 な 染 色 で の 同 様 の
パ タ ー ン の 免 疫 反 応 性 を 示 し た が 、 不 定 型 細 胞 の 小 数 集 団 の み が 陽 性 で あ る ( 約 30% ま で
30
) こ と を 示 し た 。 Cdc6及 び MCM5も 、 上 皮 の 十 分 に 濃 厚 な 染 色 を 示 す 。 し か し な が ら 、 PCNA
及 び Ki67と 著 し く 対 照 的 に 、 Cdc6及 び MCM5は 全 て 不 定 型 の 細 胞 の 陽 性 染 色 を 示 す 。
【0091】
これらの結果は、スミアサンプルへの結合を決定することにより頸部の状態を評価するこ
と に お い て 抗 Cdc6又 は 抗 MCM5特 異 的 結 合 分 子 を 用 い る こ と の 特 定 の 有 用 性 の 指 標 で あ る 。
スミアサンプルのただ頸部からの頂上の表面層のみが、高レベルの染色を有することが重
要 で あ る 。 抗 PCNAで も 抗 Ki67で も 示 さ れ な い 早 期 段 階 異 常 性 ( 低 グ レ ー ド SIL, CINI)で の
抗 Cdc6で 及 び 抗 MCM5で 得 ら れ た 高 レ ベ ル 染 色 は 極 め て 重 要 で あ る 。 更 に 、 LSILサ ン プ ル で
抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 を 用 い て 得 ら れ る が 抗 PCNAで も 抗 Ki67抗 体 で も 得 ら れ な い 十 分 に 濃
厚な染色は、早期の段階の潜在的な前悪性腫瘍についてスミアサンプルを評価するために
40
前者の特定の有用性を強調する。
【0092】
実 施 例 4 − Cdc6及 び MCM5抗 体 は 頸 管 ス ミ ア に お い て 異 常 細 胞 を 検 出 す る 。
実 施 例 3 は 、 子 宮 頸 の セ ク シ ョ ン に お い て 潜 在 的 に 前 癌 性 の 障 害 を 検 出 す る た め の 抗 Cdc6
及 び 抗 MCM5結 合 分 子 の 価 値 を 証 明 す る 。 更 な る 実 験 結 果 は 、 そ れ ら が 頸 管 ス ミ ア 調 製 物 中
で異常細胞を検出するのに同じく有効であることを示す。
【0093】
頸管スミアは、(リン酸緩衝塩類溶液中のパラホルムアルデヒドから新しく調製した4%
の ) ホ ル ム ア ル デ ヒ ド 中 で 10分 、 固 定 化 し た 。 次 に そ の 固 定 化 し た 材 料 を 、 抗 Cdc6抗 体 (
1 : 200)又 は 抗 MCM5抗 体 ( 1 : 200)で 、 次 に フ ル オ レ セ イ ン イ ソ チ オ シ ア ネ ー ト に 接 合 さ
50
(19)
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せ た ロ バ 抗 ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Amersham; 1 : 100)で 染 色 し た 。 全 DNAを ヨ ウ 化
プ ロ ピ ジ ウ ム に よ り 標 識 し た 。 走 査 性 レ ー ザ ー 共 焦 顕 微 鏡 ( Bio-Rad MRC 1024) を 用 い て
像 を 得 た 。 こ れ ら の 像 に お い て 、 全 て の DNAは 赤 色 で あ り 、 Cdc5又 は MCM5免 疫 染 色 は 緑 色
であり、免疫反応性の核は黄色に見えた。
【0094】
正常な頸管スミアの例は、平行に配列された頸部内部細胞の特徴的なストリップ並びに表
面上及び化生扁平上皮細胞の混ぜ合わさった集団を示した。テストした抗体のいずれとの
特 定 の 抗 Cdc6又 は 抗 MCM5免 疫 反 応 性 の 証 拠 も な か っ た 。
【0095】
異 常 核 の 細 胞 ( 不 定 型 の 扁 平 上 皮 細 胞 ) を 含 む 異 常 ス ミ ア は 、 3 つ の 異 な る 抗 Cdc6抗 体 で
10
、 及 び 抗 MCM5抗 体 で 陽 性 染 色 さ れ る こ と を 示 し た 。 コ イ ロ サ イ ト ( Koilocytes) も 、 抗 Cd
c6及 び 抗 MCM5抗 体 と の 強 力 な 免 疫 反 応 性 を 示 し た 。 隣 接 し た 正 常 な 表 面 の 扁 平 上 皮 / 化 生
細 胞 で Cdc6又 は MCM5免 疫 反 応 性 を 示 し た も の は な い 。
【0096】
正常な頸部のスミアにおける極めて低いバックグラウンドに対して、又は異常な頸部から
の ス ミ ア 中 の 正 常 な 細 胞 に お い て 、 異 な る 抗 Cdc6抗 体 を 用 い て 、 好 ま し く は 、 コ イ ロ サ イ
ト を 含 む 、 LSIL細 胞 を 染 色 し て 、 結 果 を 得 た 。 こ れ ら の 結 果 を 、 抗 MCM5抗 体 を 用 い て も 得
た。
MCM5に 対 す る 抗 体 で 同 様 の 結 果 が 見 ら れ た 。
【0097】
20
実 施 例 5 − Cdc5及 び MCM5抗 体 は 胸 に お い て 有 利 に 癌 細 胞 を 染 色 す る 。
抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 を 、 一 般 的 な 癌 の 他 の 部 位 、 胸 で テ ス ト し た 。 胸 組 織 固 定 化 及 び 染
色は頸管スミアについて実施例3及び4に記載されるように行った。
【0098】
抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 を 、 所 定 範 囲 の 乳 癌 で テ ス ト し た 。
正常な胸は、免疫染色の証拠を示さなかったが、低及び高グレードの侵入性導管癌を含む
乳 癌 の 種 々 の 組 織 学 的 な 型 に お い て 抗 Cdc6及 び 抗 MCM5の 両 方 で 観 察 さ れ た 。 低 グ レ ー ド 粘
膜癌も両方の抗体で強力に陽性染色することを示した。重要なのは、癌に隣接した正常な
ストローマ細胞が陰性であったことであった。
【0099】
30
実施例6−血液サンプルの分析
散 在 性 の 化 生 の 疾 患 を 患 う 患 者 か ら の 保 管 し た 血 液 サ ン プ ル を 、 Williamsら ( Clin.Chem.
Acta, 1986, 155, 329∼ 344)に 記 載 さ れ る よ う に 、 酵 素 連 結 イ ム ノ ソ ル ベ ン ト ア ッ セ イ を
用 い て MCM5及 び CDC6の 存 在 に つ い て ア ッ セ イ す る 。 血 清 中 の 可 溶 性 MCM5及 び CDC6の 量 は 腫
瘍負荷と相関する。
【0100】
実施例7−抗原回復と共にパラフィンろうに浸した組織断片とのスミア及び凍結断片の比
較
正 常 な 頸 部 ( 7 つ の サ ン プ ル ) 、 LSIL( 5 つ の サ ン プ ル ) 、 HSIL( 6 つ の サ ン プ ル ) 及 び
扁平上皮細胞癌(6つのサンプル)のホルマリン固定したパラフィンろうに浸した組織断
40
片 の 5 μ m 断 片 の イ ム ノ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 染 色 を 、 Ki67, PCNA, MCM5及 び Cdc6に 対 す る 抗
体で行った。
【0101】
5μm断片をガラススライド上に切断し、キシレン中でろうを除いた。内因性のペルオキ
シ ダ ー ゼ 活 性 を 、 室 温 で 30分 、 100% メ タ ノ ー ル 中 0.6% 過 酸 化 水 素 中 で の イ ン キ ュ ベ ー
ションにより止めた。そのスライドを超高純度の水で2分、洗い、次にクエン酸ナトリウ
ム 緩 衝 液 中 で 2 分 、 加 圧 ク ッ キ ン グ し た 。 そ の ス ラ イ ド を 、 2 × 5 分 、 Tris緩 衝 塩 類 溶 液
(TBS) で 洗 い 、 次 に TBS中 10% ヤ ギ 血 清 の 、 断 片 当 り 約 100μ l で ブ ロ ッ ク し た 。 そ の ス
ラ イ ド を と り 、 過 剰 な 血 清 を ふ き と っ た 。 一 次 抗 体 を 、 1 % BSAを 含 む TBS中 200に 対 し
て 1 に 希 釈 し 、 100μ l を 各 々 の 断 片 に 加 え た 。 加 湿 チ ャ ン バ ー 内 で 、 4 ℃ で 一 晩 、 イ ン
50
(20)
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キ ュ ベ ー シ ョ ン を 行 っ た 。 次 に そ の ス ラ イ ド を TBS中 で 3 × 5 分 、 洗 い 、 次 に 室 温 で 30分
、 1 % BSAを 含 む TBS中 で 500に 対 し て 1 で ビ オ チ ニ ル 化 ヤ ギ 抗 ウ サ ギ 二 次 抗 体 で 洗 っ た
。 TBSで の 3 × 5 分 の 洗 浄 の 後 、 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン − ビ オ チ ン − セ イ ヨ ウ ワ サ ビ ペ ル オ
キ シ ダ ー ゼ 複 合 体 を 室 温 で 30分 、 TBS中 で 500に 対 し て 1 で 加 え た 。 3 × 5 分 の TBS洗 浄
の 後 、 基 質 ジ ア ミ ノ ベ ン ジ ジ ン を 、 0.005% 過 酸 化 水 素 を 含 む TBS中 で 1 % で 加 え 、 室 温
で 10分 、 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 そ の 反 応 を 、 水 道 水 を そ そ ぐ こ と に よ り 停 止 さ せ 、 ス ラ イ
ドをヘマトキシリンで軽く染色し、特級エタノールにより脱水し、キシレン中で透明にし
た 。 カ バ ー ス リ ッ プ を 、 DPXマ ウ ン テ ィ ン グ 媒 体 と 共 に 適 用 し た 。
【0102】
正 常 な 頸 部 ( 8 つ の サ ン プ ル ) 、 HSIL( 9 つ の サ ン プ ル ) 及 び LSIL( 8 つ の サ ン プ ル ) の
10
凍 結 組 織 断 片 の イ ム ノ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 染 色 を 、 PCNA, Ki67, MCM5及 び Cdc6に 対 す る 抗 体
で行った。
【0103】
凍 結 断 片 を ア セ ト ン 中 で 10分 、 固 定 化 し た 。 内 因 性 の ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性 を 、 30分 、 1
00% メ タ ノ ー ル 中 0.6% 過 酸 化 水 素 中 で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン に よ り 止 め た 。 次 に 断 片 を
TBSで 洗 い 、 TBS中 10% ヤ キ 血 清 で 一 晩 、 ブ ロ ッ ク し た 。 一 次 抗 体 を 1 % BSAを 含 む TBS
で 1 / 200 に 希 釈 し 、 4 ℃ で 一 晩 、 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 次 に 固 定 化 組 織 断 片 に つ い て 上
述されるように二次抗体手順を行った。
【0104】
抗 MCM5及 び 抗 Cdc6抗 体 で の 染 色 の 感 度 は 、 凍 結 断 片 に 適 用 し た 時 に 抗 PCNA及 び 抗 Ki67抗 体
20
でのものよりかなり高かった。
ホ ル マ リ ン で 固 定 し 、 パ ラ フ ィ ン に 浸 し 、 そ し て 加 圧 ク ッ キ ン グ に か け た 正 常 な 、 LSIL及
び 扁 平 上 皮 細 胞 癌 腫 組 織 に 基 づ い て 、 抗 PCNA、 抗 MCM7、 抗 MCM5及 び 抗 Cdc6は 同 様 の 染 色 の
パ タ ー ン を 供 し た 。 比 較 に お い て Ki67は 、 LSIL及 び 扁 平 上 皮 細 胞 癌 腫 の 唯 一 の 焦 点 に あ る
弱い染色で、かなり弱い感度であった。
【0105】
実 施 例 8 − 凍 結 断 片 へ 及 び 抗 原 回 復 に か け た 組 織 へ の 抗 MCM7抗 体 で の 染 色
HSILと し て 分 類 さ れ た 頸 部 の 4 つ の 凍 結 断 片 を 抗 MCM7抗 体 で 染 色 し た 。
抗 Cdc6及 び 抗 MCM5抗 体 で の 染 色 と 同 じ パ タ ー ン の 染 色 が 観 察 さ れ た 。
【0106】
30
この結果は、抗原回復プロトコルにかけたいくつかのヒト組織及び3つの型のヒト腫瘍に
お い て PCNA及 び MCM7( hCDC47) に つ い て 同 様 の 免 疫 染 色 パ タ ー ン を 見 い 出 し た Hiraiwaら
( Int.J.Cancer, 1997, 74: 180 ∼ 184 ) の も の と 異 な る 。
【0107】
し か し な が ら 、 正 常 な 頸 部 、 LSIL及 び 抗 原 回 復 に か け た 扁 平 上 皮 細 胞 癌 腫 の パ ラ フ ィ ン ろ
う に 浸 し た 組 織 断 片 に つ い て 得 ら れ た 染 色 パ タ ー ン が 抗 PCNA抗 体 に つ い て 得 ら れ た も の と
同 様 で あ る こ と が 見 い 出 さ れ た 点 で Hiraiwaら と 一 致 し た 。 実 施 例 7 に 示 す 通 り 、 こ の よ
う に 調 製 し た 断 片 で の 抗 MCM5及 び 抗 Cdc6抗 体 に つ い て の 染 色 パ タ ー ン は 、 抗 PCNA抗 体 に つ
いてのものとも似ていた。
【0108】
40
実 施 例 9 − 抗 MCM2抗 体 で の 染 色
ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM2を 、 正 常 な 頸 部 の 2 つ の 凍 結 断 片 及 び HSILの 4 つ の 凍 結
断片(各々が正常な頸部上皮を含む)を染色するのに用いた。
正常な頸部外部は、表面の分化した細胞において発現はなく、基底層においてのみ核の染
色 を 示 し た 。 対 照 的 に 、 異 常 な 上 皮 の 厚 み の 全 て に お い て HSIL細 胞 の 核 染 色 が あ っ た 。 頸
部内部の細胞は陰性であった。
【0109】
実 施 例 10− 抗 MCM3抗 体 で の 染 色
ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM3を 正 常 な 頸 部 の 凍 結 断 片 及 び HSILの 2 つ の 凍 結 断 片 ( 各
々が正常な頸部上皮を含む)を染色するのに用いた。
50
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【0110】
正常な頸部外部は、表面の分化した細胞において核の発現がなく、基底層のみで核のむし
ろ粒状の染色を示した。角化細胞の細胞質の特定のバックグラウンド染色が見られた。対
照 的 に 、 異 常 な 上 皮 の 厚 み の 全 て に HSIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ っ た 。 頸 部 内 部 細 胞 の 核 は 陰
性であったが、頸部粘液のいくらかの染色があった。
【0111】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM3を 、 HSILの 4 つ の ス ミ ア 及 び LSILの 2 つ の ス ミ ア ( こ れ ら 各 々
は 正 常 な 頸 部 細 胞 を 含 む ) を 染 色 す る の に も 用 い た 。 各 々 の 場 合 、 SIL細 胞 の 核 の 染 色 が
あった。更に、用いた一次抗体の希釈において、角化細胞のバックグラウンドの細胞質染
色及び頸部細胞核のいくらかの染色があった。
10
【0112】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル MCM3を HSILの 凍 結 断 片 を 染 色 す る の に 用 い た 。 抗 ア
フ リ カ ツ メ ガ エ ル MCM3抗 体 の ヒ ト MCM3と の 交 差 反 応 性 を ウ エ ス タ ン ・ ブ ロ ッ テ ィ ン グ 及 び
組 織 断 片 上 で の 局 在 化 に よ り 確 認 し た 。 異 常 な 上 皮 の 厚 み 全 体 に HSIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ
った。
【0113】
実 施 例 11− 抗 MCM4抗 体 で の 染 色
ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM4を 、 正 常 な 頸 部 の 凍 結 断 片 及 び HSILの 2 つ の 凍 結 断 片 (
各々が正常な頸部上皮を含む)を染色するのに用いた。
【0114】
20
正常な頸部外部は、表面の分化した細胞において核の発現はなく、基底層においてのみ核
のむしろ粒状の染色を示した。角化細胞細胞質のいくらかのバックグラウンド染色が見ら
れ た 。 対 照 的 に 、 表 面 の 核 の 強 力 な 染 色 と 共 に 、 異 常 な 上 皮 の 厚 み 全 体 に HSIL細 胞 の 核 の
染色があった。用いた一次抗体の希釈において頸部内部細胞の弱い染色があった。
【0115】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM4を 、 HSILの 2 つ の ス ミ ア ( 各 々 が 正 常 な 頸 部 細 胞 を 含 む ) を 染
色 す る の に も 用 い た 。 各 々 の 場 合 に HSIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ っ た 。 更 に 、 用 い た 一 次 抗 体
の希釈において、角質細胞のバックグラウンド細胞質染色及び頸部内部の細胞核のいくら
かの染色があった。
【0116】
30
実 施 例 12− 抗 MCM6抗 体 で の 染 色
ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM6を 、 正 常 な 頸 部 の 凍 結 断 片 及 び HSILの 2 つ の 凍 結 断 片 (
各々が正常な頸部上皮を含む)を染色するのに用いた。
【0117】
正常な頸部外部は、表面の分化した細胞において核の発現はなく、基底層においてのみ核
の む し ろ 粒 状 の 染 色 を 示 し た 。 対 照 的 に 、 異 常 な 上 皮 の 厚 み 全 体 に HSIL細 胞 の 強 力 な 核 の
染色があった。頸部内部の粘液がいくらか染色されたが、頸部内部細胞核の染色は最小で
あった。
【0118】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM6を 、 HSILの 4 つ の ス ミ ア 及 び LSILの 4 つ の ス ミ ア ( 各 々 が 正 常
40
な 頸 部 細 胞 を 含 む ) を 染 色 す る の に も 用 い た 。 各 々 の 場 合 に SIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ っ た
。更に、用いた一次抗体の希釈において、角質細胞のバックグラウンド細胞質染色及び頸
部内部の細胞核のいくらかの染色があった。
【0119】
実 施 例 13− 抗 MCM7抗 体 で の 更 な る 染 色 実 験
ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM7を 、 正 常 な 頸 部 の 3 つ の 凍 結 断 片 、 HSILの 6 つ の 凍 結 断
片 及 び 頸 部 SCCの 凍 結 断 片 ( 各 々 が 正 常 な 頸 部 上 皮 を 含 む ) を 染 色 す る の に 用 い た 。
正常な頸部外部は、表面の分化した細胞において核の発現はなく、基底層において核の染
色を示した。角化細胞外質のいくらかのバックグラウンド染色が見られた。対照的に、異
常 な 上 皮 の 厚 み 全 体 に HSIL細 胞 の 大 部 分 の 核 の 染 色 が あ っ た 。 用 い た 一 次 抗 体 の 希 釈 に お
50
(22)
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いて頸部内部粘膜のいくらかの染色、及び頸部内部細胞の弱い染色があった。
【0120】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ヒ ト MCM7を 、 HSILの 2 つ の ス ミ ア 及 び LSILの 2 つ の ス ミ ア ( 各 々 が 正 常
な 頸 部 細 胞 を 含 む ) を 染 色 す る の に も 用 い た 。 各 々 の 場 合 に SIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ っ た
。更に、用いた一次抗体の希釈において、角質細胞のバックグラウンド細胞質染色及び頸
部内部の細胞核のいくらかの染色があった。
【0121】
ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル MCM7( ウ エ ス タ ン ・ ブ ロ ッ テ ィ ン グ 及 び 組 織 断 片 で
の 局 在 化 に よ り ヒ ト MCM7と 交 差 反 応 す る こ と を 確 認 し た も の ) を 、 HSILの 凍 結 断 片 を 染 色
す る の に 用 い た 。 異 常 上 皮 の 厚 み 全 体 に HSIL細 胞 の 核 の 染 色 が あ っ た 。
10
【0122】
方 法
頸管スミアの調製
新 し い ス ミ ア を 固 定 化 し ( 50: 50 ア セ ト ン : メ タ ノ ー ル 中 5 分 ) 、 空 気 乾 燥 さ せ た 。 (
上 述 の よ う に ) 内 因 性 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性 を 止 め た 後 、 細 胞 を 浸 透 性 に し ( 4 mMデ オ キ
シ コ ー ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 10分 ) 、 洗 浄 し ( 0.25% Triton X-100 を 含 む TBS)、 そ し て TBS
中 10% ヤ ギ 血 清 で 一 晩 ブ ロ ッ ク し た 。 一 次 抗 体 を 、 1 % BSAを 含 む TBSで 1 / 200 に 希 釈
し 、 4 ℃ で 一 晩 、 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 次 に そ の ス ラ イ ド を TBSで 3 × 5 分 、 次 に 室 温 で
30分 、 1 % BSAを 含 む TBS中 500に 対 し て 1 の ビ オ チ ニ ル 化 ウ サ ギ 二 次 抗 体 ( Dako) で 洗
浄 し た 。 TBSで の 3 × 5 分 の 洗 浄 の 後 、 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン セ イ ヨ ウ ワ サ ビ ペ ル オ キ シ ダ
20
ー ゼ 複 合 体 ( Dako) を 、 室 温 で 30分 、 TBS中 500に 対 し て 1 で 加 え た 。 3 × 5 分 の TBS洗
浄 の 後 、 基 質 ジ ア ミ ノ ベ ン ジ ジ ン を 、 0.005% 過 酸 化 水 素 を 含 む TBS中 に 1 % で 加 え 、 室
温 で 10分 、 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 そ の 反 応 を 、 水 道 水 を そ そ ぐ こ と に よ り 停 止 さ せ 、 ス ラ
イドをヘマトキシリンで対比染色し、特級エタノールで脱水し、キシレンで透明にした。
カ バ ー ス リ ッ プ に DPXマ ウ ン テ ィ ン グ 媒 体 と 供 に 適 用 し た 。
【0123】
免疫蛍光
新 し く 集 め た 頸 管 ス ミ ア 材 料 を 0.5ml PBSに 懸 濁 し 、 0.5mlの 8 % ホ ル ム ア ル デ ヒ ド を 加
え て 固 定 化 し 、 ポ リ ス チ レ ン カ バ ー ス リ ッ プ 上 に 広 げ た 。 カ バ ー ス リ ッ プ を 、 Romanowski
ら ( Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 1996, 93: 10189∼ 10194)に 記 載 さ れ る よ う に 処 理 し た 。
30
5 % BSA/ PBS / Triton X-100及 び SDSで の ブ ロ ッ キ ン グ の 後 、 そ れ ら を 一 次 抗 体 と 共 に
イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 洗 浄 し 、 二 次 抗 体 ( FITC接 合 抗 ウ サ ギ 抗 体 Amersham 1 : 100)と 共 に
イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 DNAに つ い て ヨ ウ 化 プ ロ ピ ジ ウ ム / RNAseA( 両 方 Sigma、 50mg/ ml)
で 対 比 染 色 し 、 洗 浄 し 、 グ リ セ ロ ー ル / PBS / フ ェ ニ レ ン ジ ア ミ ン 中 に マ ウ ン ト し た 。
【0124】
2 チ ャ ン ネ ル ( FITC & Texas Red) 法 を 用 い て 、 BioRad MRC 1024走 査 性 レ ー ザ ー 共 焦 顕
微鏡で、蛍光像を収集した。いくつかの像について、1∼2μmステップでの共焦の組を
収集し、次に単一フレームとして投影した(図4a及びc)。正常な及び腫瘍の胸組織を
乳 房 切 除 試 料 か ら 新 し く 収 集 し た 。 薄 片 ( 1 mm未 満 ) を 30分 、 4 % パ ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド
に固定化し、次に両方の抗体インキュベーション及び洗浄をより長時間行った他は上述の
40
通り処理した。
【0125】
実 施 例 14− 本 発 明 の 実 施 形 態 の 、 標 準 Pap染 色 と の ブ ラ イ ン ド 比 較
検出効率を比較するために、地方の病院において膣鏡診外来患者クリニックにかかってい
る 女 性 か ら 得 た ス ミ ア で 行 っ た 標 準 Pap染 色 と 共 に 、 MCM5に 対 す る 抗 体 を 用 い て ブ ラ イ ン
ド試験を行った。
表 1 は 、 慣 用 的 な Pap染 色 に よ り 陽 性 と し て 評 価 さ れ た 26の ケ ー ス の う ち 、 26全 て が 本 発
明 に よ る 抗 体 テ ス ト に よ っ て も 陽 性 で あ る と 評 価 さ れ た 。 慣 用 的 な Pap染 色 に よ り 陰 性 で
あ る と 評 価 さ れ た 16の ケ ー ス の う ち 、 13が 抗 体 テ ス ト に よ っ て も 陰 性 で あ る と 評 価 さ れ た
。
50
(23)
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【0126】
残りの3つのうち、1つが、炎症性バックグラウンドにおいて反応性の変化を示す染色さ
れ た 未 成 熟 の 化 生 扁 平 上 皮 細 胞 を 含 ん だ 。 他 の 2 つ は Pap染 色 の 再 検 査 に 基 づ き 異 常 な (
LSIL) 細 胞 を 含 む と し て 確 認 さ れ 、 即 ち こ れ ら は 、 本 発 明 を 用 い て 排 除 し 得 る 種 類 の 誤 っ
た陰性であった。
【0127】
こ れ ら の 結 果 は 、 Pap染 色 か ら の 情 報 を 失 う こ と な く 、 本 発 明 に よ る 抗 体 テ ス ト を 用 い て
情報が得られることのみを証明する。これは、抗体テストのいずれかの失敗の可能性が、
慣 用 的 な Pap染 色 を 用 い て 保 証 さ れ る こ と を 許 容 す る 。
【0128】
10
実 施 例 15− 尿 路 悪 性 癌 瘍 を 有 す る 患 者 の 尿 サ ン プ ル の 分 析
解 離 増 強 ラ ン タ ニ ド 蛍 光 イ ム ノ ア ッ セ イ ( "DELFIA") を 、 2 つ の 異 な る ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー
ナ ル 抗 体 hMCM5抗 血 清 を 用 い て ヒ ト MCM5の 検 出 の た め に 確 立 し た 。
【0129】
サンドイッチアッセイの基本は、表面(ここでは、ポリスチレンマイクロタイターウエル
)への過剰な特定の抗体の固定化−即ち“捕獲”抗体の固定化である。一次抗体結合反応
の後、異なるエピトープ特異性を有する第2の(ここではユーロピウム)標識化抗体を過
剰 に 加 え る 。 免 疫 反 応 を 完 了 し た 後 、 過 剰 な 材 料 を 洗 い 落 と し 、 増 強 溶 液 を 加 え た 後 、 (W
allac Oy) 時 間 分 割 蛍 光 を 時 間 分 割 蛍 光 計 で 測 定 す る 。 そ の シ グ ナ ル は 被 検 体 の 濃 度 に 比
例する。
20
【0130】
以下のアッセイを用いた:
1 . ポ リ ク ロ ー ナ ル ウ サ ギ 抗 MCM5Ab (1600ng/ ウ エ ル ) で 一 晩 ( 4 ℃ ) で の コ ー テ ィ ン グ
;
2 . DELFIA洗 浄 液 (Wallac Oy) で の 3 回 の 洗 浄 ;
3 . 5 % BSA/ PBS 中 で 1 時 間 の ブ ロ ッ キ ン グ ;
4 . DELFIA洗 浄 液 (Wallac Oy) で の 3 回 の 洗 浄 ;
【0131】
5 . 一 晩 ( 4 ℃ ) の 一 次 抗 体 結 合 反 応 ( 0.02% TWEENを 含 む Wallacマ ル チ 緩 衝 液 中 被 検 体
の1:3希釈);
30
6 . DELFIA洗 浄 液 (Wallac Oy) で の 4 回 の 洗 浄 ;
7 . ユ ー ロ ピ ウ ム 標 識 化 ポ リ ク ロ ー ナ ル ウ サ ギ 抗 MCM5Ab( 4
20
Eu/ IgG)と の 3 時 間 の 二 次
抗体結合反応;
8 . DELFIA洗 浄 液 (Wallac Oy) で の 6 回 の 洗 浄 ;
9 . 増 強 溶 液 の 添 加 及 び 振 と う し な が ら 10分 の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン 。 時 間 分 割 蛍 光 計 (Wal
lac Oy) で の 時 間 分 割 蛍 光 の 測 定 。
【0132】
被 検 体 と し て 2 つ の 異 な る ウ サ ギ か ら の ポ リ ク ロ ー ナ ル ウ サ ギ 抗 MCM5血 清 及 び 5 % BSA/
PBS 中 の 組 換 え ヒ ト MCM5を 用 い て 、 13pM及 び 41250pMの 間 の 標 準 曲 線 を 作 っ た 。 試 料 中 の
hMCM5の 濃 度 を 、 サ ン プ ル の DELFIAア ッ セ イ 計 数 の 、 組 換 え hMCM5 5 % BSA/ PBS か ら 作
40
った標準曲線との比較により決定した。モノクローナル抗体を用いる時にかなり高い感度
が予想されるはずである。
【0133】
Addenbrookes Hospital, Cambridge, UKに お け る 尿 路 悪 性 腫 瘍 を 有 す る 患 者 か ら の 尿 試 料
を 3000rpm(SIGMA 4K10、 7 分 、 4 ℃ ) で 遠 心 し ( 50∼ 150ml)、 そ の 細 胞 ペ レ ッ ト か ら の 可
溶 性 画 分 を 、 低 張 膨 潤 さ せ 、 洗 浄 し 、 そ し て DNA結 合 タ ン パ ク 質 を 塩 抽 出 す る こ と に よ り
作 っ た 。 可 溶 性 画 分 を 、 病 院 で の 泌 尿 器 病 理 科 に つ い て の 診 断 報 告 と 比 較 し た MCM5 DELF
IA及 び 生 化 学 的 デ ー タ を 用 い て ア ッ セ イ し た 。
【0134】
悪性腫瘍について陽性であると臨床的に判断された5つのサンプルのうち、本発明による
50
(24)
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DELFIAを 用 い て 陽 性 と 判 断 さ れ た 4 つ ( 80% ) は MCM5の 測 定 可 能 な 量 を 示 し た ( 29∼ 85pM
) 。 悪 性 腫 瘍 に つ い て 陰 性 で あ る と 臨 床 的 に 判 断 さ れ た 6 つ の サ ン プ ル の う ち 、 全 て が DE
LFIAで 0 標 準 と 同 様 の 応 答 を 供 し た 。
【0135】
実 施 例 16− 急 性 及 び 慢 性 白 血 病 / リ ン パ 腫 の 患 者 の 血 液 サ ン プ ル の 分 析
実 施 例 15に 記 載 さ れ る DELFIAを 、 Addenbrookes Hospital, Cambridgeに お け る 急 性 及 び 慢
性 白 血 病 / リ ン パ 腫 の 患 者 か ら 得 た 血 液 サ ン プ ル を テ ス ト す る の に 用 い た 。 血 液 を 3000rp
m(SIGMA 4K10、 7 分 、 4 ℃ ) で 遠 心 し 、 そ の 細 胞 ペ レ ッ ト か ら の 可 溶 性 画 分 を 、 低 張 膨 潤
、 洗 浄 及 び DNA結 合 タ ン パ ク 質 の 塩 抽 出 に よ り 作 っ た 。 次 に 可 溶 性 画 分 を DELFIAを 用 い て
アッセイした。
10
【0136】
6 つ の 悪 性 腫 瘍 の ケ ー ス の う ち 、 本 発 明 に よ る DELFIAを 用 い て 陽 性 と テ ス ト さ れ た 5 つ (
83% ) が 、 測 定 可 能 な 量 の MCM5( 24∼ 1945pM) を 示 し た 。 6 つ の 対 照 サ ン プ ル ( 糖 尿 病 の
外来患者)のうち、全てが0標準と同様の応答を供した。
【0137】
実 施 例 17− 転 移 性 悪 性 腫 瘍 の 血 清 学 的 検 出
Addenbrookes Hospital, Cambridge, UKに お け る 転 移 性 乳 癌 及 び 卵 巣 癌 の 患 者 か ら の 血 清
で 、 実 施 例 15に 記 載 さ れ る DELFIAを 用 い て ア ッ セ イ を 行 っ た 。
2 つ の 肉 腫 の ケ ー ス 及 び 3 つ の 癌 腫 の ケ ー ス ( 乳 及 び 卵 巣 腺 癌 ) は 、 測 定 可 能 な 量 の MCM5
を示した。
20
【0138】
実 施 例 18− 本 発 明 に 用 い る た め の "pan-MCM" ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 調 製
MCM2, MCM3, MCM4, MCM5, MCM6及 び MCM7に 結 合 す る こ と が で き る ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 次
の通り得た。
MCMフ ァ ミ リ ー の タ ン パ ク 質 に 共 通 す る 共 通 配 列 に 対 応 す る ペ プ チ ド VVCIDEFDKMSDMRTAC
を t-BOC化 学 を 用 い て 合 成 し た 。 そ の ペ プ チ ド を PPD(精 製 し た タ ン パ ク 質 誘 導 体 − ツ ベ ル
クリン)に連結した。
ウ サ ギ を 、 21日 間 隔 で の 注 入 に よ り 免 疫 化 し た 。 3 回 目 の 免 疫 化 の 後 10日 に 、 血 清 を 収 集
し 、 後 の 実 験 に 用 い た ( 以 下 の 実 験 例 に お い て "pan-MCM" 抗 体 と 呼 ぶ ) 。
【0139】
30
実 施 例 19− 抗 CDC6、 抗 MCM2、 抗 MCM5、 抗 MCM7及 び pan-MCM抗 体 で の 正 常 な 乳 及 び 乳 癌 の 染
色
正常な胸(前胸部切除手術を受けた人)及びバイオプシーで証明された導管及び小葉性癌
腫 の 組 織 学 的 試 料 を 、 CDC6, MCM2, MCM5及 び MCM7に 対 す る 抗 体 並 び に pan-MCM抗 体 で 染 色
し た 。 抗 MCM2抗 体 は 、 Transduction Laboratoriesか ら 市 販 さ れ る BM28マ ウ ス モ ノ ク ロ ー
ナ ル 抗 体 (1998 Antibody Catalogを 参 照 の こ と ) で あ っ た 。 記 載 さ れ る よ う に 、 各 々 の 抗
体について個々に染色を行った。
【0140】
加圧クッキングにかけたホルマリン固定しパラフィンに浸漬した試料、及び凍結した試料
の両方を検査した。
40
診 断 バ イ オ プ シ ー の た め に 又 は Addenbrooke's Hospitalで の 切 除 後 に 得 ら れ た ホ ル マ リ ン
固定し、パラフィン浸漬したヒト組織を病院により認可された倫理学的ガイドラインに従
っ て 利 用 し た 。 こ れ ら の 組 織 か ら 5 ミ ク ロ ン 断 片 を 、 APES( ア ミ ノ プ ロ ピ ル ト リ エ ト キ シ
シラン)がコートされたスライドに切り取り、キシレン中でろうを除き、アルコールを通
して水にとった。その組織を、エピトープ回復を容易にするためにクエン酸緩衝液中で加
圧 ク ッ キ ン グ し 、 次 に Tris緩 衝 塩 類 溶 液 (TBS) 中 で 洗 っ た 。 内 因 性 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 活 性
を 、 30分 、 TBS中 0.6% 過 酸 化 水 素 中 で の イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン に よ り 止 め た 。
【0141】
断 片 を TBSで 洗 い 、 2 時 間 ま で 、 TBS中 10% ヤ ギ 血 清 で ブ ロ ッ ク し た 。 一 次 抗 体 を 、 0.1
% Triton 及 び 1 % ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン (BSA) を 含 む TBSで 希 釈 し た 。 各 々 の 断 片 に 100
50
(25)
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マイクロリッターを加え、そのスライドを加湿チャンバー内で4℃でインキュベートした
。
【0142】
次 に そ の ス ラ イ ド を 0.025% Triton を 含 む TBSで 洗 い 、 室 温 で 1 時 間 、 1 % BSAを 含 む
TBS中 1 : 500 で 、 ビ オ チ ニ ル 化 ヤ ギ 抗 ウ サ ギ 二 次 抗 体 ( DAKO) 中 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た
。 TBS中 で 洗 っ た 後 、 基 質 ジ ア ミ ノ ベ ン ジ ジ ン を 用 い る ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン セ イ ヨ ウ ワ サ
ビペルオキシドシステムをスライドを染色するのに用いた。その反応を、水をそそぐこと
に よ り 停 止 し 、 Harris'ヘ マ ト キ シ リ ン で 軽 く 対 比 染 色 し 、 特 級 エ タ ノ ー ル で 脱 水 し 、 キ
シ レ ン で 透 明 に し た 。 カ バ ー ス リ ッ プ を 、 DEPEXマ ウ ン テ ィ ン グ 媒 体 と 共 に 適 用 し た 。
凍 結 断 片 を 、 10% ヤ ギ 血 清 で の ブ ロ ッ キ ン グ を 一 晩 で な く 30分 、 行 っ た 以 外 は 実 施 例 7 に
10
上述される通り調製した。
【0143】
正常な乳組織においては、導管及び小葉性細胞の1∼3%のみが陽性に染色された。スト
ローマ細胞は陰性であった。
低及び高グレードの障害並びに小葉性及び導管性の型を含む種々の乳癌における異常細胞
の 50∼ 80% が 、 陽 性 に 染 色 さ れ 、 周 囲 の ス ト ロ ー マ 細 胞 及 び 炎 症 細 胞 は 未 染 色 の ま ま で あ
った。
【0144】
これらの結果は、各々の抗体で個々に得た。
抗 PCNA及 び 抗 Ki67抗 体 で 比 較 を 行 っ た 。 パ ラ フ ィ ン 断 片 に お い て 、 抗 PCNA染 色 は 抗 MCM5及
20
び 抗 CDC6と 同 様 の 結 果 を 供 し た が 、 抗 Ki67抗 体 は 弱 く 焦 点 の 染 色 し か 供 さ な か っ た 。 凍 結
断 片 に お い て 、 抗 MCM及 び 抗 CDC6で の 染 色 は 、 抗 PCNA又 は 抗 Ki67抗 体 よ り か な り 優 れ た 結
果を供した。
【0145】
実 施 例 20− MCM5, MCM7及 び pan-MCMに 対 す る 抗 体 を 用 い る 正 常 な 前 立 腺 及 び 前 立 腺 の 腺 癌
の染色
実 施 例 19に お い て 胸 組 織 に つ い て 記 載 さ れ る よ う に 調 製 し た 正 常 な 組 織 及 び 前 立 腺 の 腺 癌
の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 組 織 学 的 試 料 を 、 別 個 の 実 験 に お い て 抗 MCM5、 抗 MCM7及 び pan-MCM抗 体
で染色した。
【0146】
30
正 常 な ケ ー ス は 、 各 々 の 抗 体 で 細 胞 の 10% 未 満 の 陽 性 染 色 を 示 し た が 、 腺 癌 は 、 腫 瘍 細 胞
の 30∼ 50% の 染 色 を 示 し 、 周 囲 の ス ト ロ ー マ 細 胞 及 び 炎 症 細 胞 は 未 染 色 の ま ま で あ っ た 。
【0147】
実 施 例 21− MCM2, MCM5, MCM7, pan-MCM及 び CDC6に 対 す る 抗 体 を 用 い る 正 常 な 結 腸 及 び 結
腸への癌腫の染色
結 腸 癌 腫 及 び 管 状 絨 毛 腺 腫 の 組 織 学 的 切 除 試 料 を 、 MCM2, MCM5, MCM7, pan-MCM及 び CDC6
に対する抗体で別個に染色した。正常な試料もこれらの抗体で染色した。
正常な組織において、各々の抗体についての染色が、結腸の陰窩の下3分の1においての
み見られ、その陰窩内のより表面の分化した細胞は未染色のままであった。
【0148】
40
管 状 絨 毛 腺 腫 及 び 腺 腫 組 織 の 両 方 に お い て 、 腫 瘍 細 胞 の 50% 超 が 各 々 の 抗 体 で の 染 色 に つ
いて陽性であり、周囲の結合組織の要素の染色はなかった。
【0149】
凍 結 乾 燥 し た 及 び パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た サ ン プ ル の 両 方 を 、 胸 組 織 に つ い て 実 施 例 19に 記 載
さ れ る よ う に 検 査 し た 。 結 果 は 、 一 方 で 抗 MCM及 び 抗 CDC6抗 体 並 び に 他 方 で 抗 PCNA及 び 抗
Ki67抗 体 の 間 と 同 様 で あ っ た 。 即 ち 、 凍 結 サ ン プ ル に お い て 、 抗 MCM及 び 抗 CDC6抗 体 で の
染 色 は 、 抗 PCNA及 び 抗 Ki67抗 体 で 得 ら れ た も の に 優 っ て い た 。
【0150】
実 施 例 22− MCM2, MCM5, MCM7及 び pan-MCMに 対 す る 抗 体 で の 正 常 な 組 織 及 び 肺 の 癌 の 染 色
肺の扁平上皮細胞癌腫又は腺腫の患者からのバイオプシー又は切除物のパラフィン浸漬し
50
(26)
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た 組 織 学 的 試 料 を 抗 MCM2、 抗 MCM5、 抗 MCM7及 び pan-MCM抗 体 で 別 個 に 染 色 し た 。 そ の 試 料
は 、 実 施 例 19に 胸 組 織 に つ い て 記 載 さ れ る 通 り 調 製 し た 。 染 色 を 、 正 常 な 実 質 肺 組 織 で の
染色と比較した。
正常な組織において、染色された増殖性画分は極めて低かった。
全 て の 癌 腫 に お い て 、 腫 瘍 細 胞 の 30% 超 が 陽 性 で あ り 、 周 囲 の 炎 症 又 は 結 合 組 織 細 胞 は 染
色されなかった。
【0151】
実 施 例 23− 抗 MCM2、 抗 MCM5、 抗 MCM7、 pan-MCM及 び 抗 CDC6抗 体 で の 正 常 及 び 癌 腫 の 両 方 の
膀胱の染色
膀 胱 鏡 で と っ た 移 行 細 胞 癌 腫 の バ イ オ プ シ ー か ら の 組 織 学 的 試 料 を 抗 MCM2、 抗 MCM5、 抗 MC
10
M7、 pan MCM及 び 抗 CDC6抗 体 で 染 色 し た 。
正常な膀胱組織において、移行上皮の基底層の強力な染色があり、より表面の分化した細
胞は未染色のままであった。
その場に癌腫を含むフラグメントにおいて、形成異常細胞の厚み全体が陽性に染色された
。
【0152】
侵 入 性 の 移 行 細 胞 癌 腫 の ケ ー ス は 、 腫 瘍 細 胞 の 50∼ 100 % 核 染 色 を 示 し 、 ス ト ロ ー マ 及 び
炎症性成分は陰性であった。
凍 結 し た 及 び パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た サ ン プ ル の 両 方 を 、 実 施 例 19に 胸 組 織 に つ い て 記 載 さ れ
る よ う に 検 査 し た 。 結 果 は 、 一 方 で 抗 MCM及 び 抗 CDC6抗 体 並 び に 他 方 で 抗 PCNA及 び 抗 Ki67
20
抗 体 の 間 と 同 様 で あ っ た 。 即 ち 、 凍 結 サ ン プ ル に お い て 、 抗 MCM及 び 抗 CDC6抗 体 で の 染 色
は 抗 PCNA及 び 抗 Ki67抗 体 を 用 い て 得 ら れ た も の に 優 っ た 。
【0153】
実 施 例 24− 抗 MCM5抗 体 で の 種 々 の 皮 膚 サ ン プ ル の 染 色
正常な皮膚、過形成状態(乾癬を含む)、日光性角化症、ボーエン病及び侵入性扁平上皮
細 胞 癌 腫 か ら の 組 織 学 的 サ ン プ ル を 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 。
正常な皮膚は、主に上皮の基底層の染色を示し、表皮の下3分の1の細胞も時たま染色さ
れたが、より表面の分化した細胞は未染色のままであった。
乾癬の場合、表皮上の下から3∼4層においてより支配的に染色され、これは皮膚のター
ンオーバー比の増加を反映した。
30
日光性角化症及びボーエン病(内癌腫)は、全厚みまでの表皮内の全ての異常形成細胞の
染色を示した。
侵 入 性 扁 平 上 皮 細 胞 癌 は 、 細 胞 の 70% 超 の 染 色 を 示 し 、 十 分 に 分 化 し た 腫 瘍 は 、 ケ ラ チ ン
真珠の近くの陰性の分化した細胞の小さな中心を示した。
【0154】
実 施 例 25− 抗 MCM5抗 体 で の 喉 頭 の 染 色
実 施 例 19に 胸 組 織 の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 試 料 に つ い て 記 載 さ れ る よ う に 調 製 し た 正 常 な 及 び 癌
の 喉 頭 の 組 織 学 的 サ ン プ ル を 、 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 。
正 常 な ケ ー ス は 、 基 底 の 増 殖 性 上 皮 細 胞 の み の 染 色 を 示 し た ( 10% 未 満 ) 。
癌 腫 は 、 核 染 色 で 50% 超 の 細 胞 を 示 し た 。 ス ト ロ ー マ 及 び 炎 症 細 胞 は 全 体 を 通 し て 陰 性 で
40
あった。
【0155】
実 施 例 26− 抗 MCM5抗 体 で の 食 道 の 染 色
実 施 例 19に 記 載 さ れ る 胸 組 織 の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 試 料 に つ い て と 同 様 に 調 製 し た 正 常 な 及 び
癌 腫 の 食 道 の 組 織 学 的 サ ン プ ル を 、 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 。
正 常 な ケ ー ス は 、 基 底 の 増 殖 性 上 皮 細 胞 の み の 染 色 を 示 し た ( 10% 未 満 ) 。
癌 腫 は 、 核 染 色 で 50% 超 の 細 胞 を 示 し た 。 ス ト ロ ー マ 及 び 炎 症 性 細 胞 は 全 体 を 通 し て 陰 性
であった。
【0156】
実 施 例 27− 抗 MCM5抗 体 で の 気 管 支 の 染 色
50
(27)
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実 施 例 19に 記 載 さ れ る 胸 組 織 の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 試 料 と 同 様 に 調 製 し た 正 常 な 及 び 癌 腫 の 気
管 支 の 組 織 学 的 サ ン プ ル を 、 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 。
正 常 な ケ ー ス は 、 基 底 の 増 殖 性 上 皮 細 胞 の み の 染 色 を 示 し た ( 10% 未 満 ) 。
癌 腫 は 、 核 染 色 で 50% 超 の 細 胞 を 示 し た 。 ス ト ロ ー マ 及 び 炎 症 細 胞 は 全 体 を 通 し て 陰 性 で
あった。
【0157】
実 施 例 28− 抗 MCM5抗 体 を 用 い る 正 常 な も の 及 び 所 定 範 囲 の リ ン パ 腫 の 両 方 の リ ン パ 節 の 染
色
凍 結 し た 及 び パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た 組 織 学 的 サ ン プ ル の 両 方 を 、 実 施 例 19に お い て 胸 組 織 に
ついて記載されるように、反応性リンパ節、並びに所定範囲のホジキン及び非ホジキンリ
10
ンパ腫から調製した。
反応性リンパ節は、リンパ小節の胚中心における細胞の強力な染色及び旁ろ胞領域におけ
る時折の分散した陽性細胞を示した。
リ ン パ 腫 は 、 悪 性 リ ン パ 腫 細 胞 の 50% 超 の 核 染 色 を 示 し た 。
【0158】
実 施 例 29− 抗 MCM5抗 体 で の 尿 細 胞 学 ス ミ ア の 分 析
尿サンプルを、周知の移行細胞癌腫の患者から及び泌尿器科クリニックにかかっている正
常 な 患 者 か ら 収 集 し た 。 尿 20ミ リ リ ッ タ ー を 10分 、 3,000g で 遠 心 し て 、 そ の 上 清 を 除 き
、 ペ レ ッ ト を 50マ イ ク ロ リ ッ タ ー の 上 清 に 再 度 懸 濁 し た 。 こ れ を 、 APESス ラ イ ド に ぬ り 、
アルコール中で固定化した。
20
【0159】
そ の ス ラ イ ド を Tris緩 衝 塩 類 溶 液 (TBS) で 洗 い 、 次 に 10分 、 4 mMデ オ キ シ コ ー ル 酸 ナ ト リ
ウ ム 中 で 浸 透 性 に し た 。 そ れ ら を TBS+ 0.025% Triton で 洗 い 、 TBS中 の 10% ヤ ギ 血 清
で 2 時 間 、 ブ ロ ッ ク し た 。 予 め 吸 着 さ せ た 抗 MCM5抗 体 を 、 0.1% Triton 及 び 1 % BSAを
含 む TBSで 希 釈 し 、 200ミ リ リ ッ タ ー を 各 々 の ス ラ イ ド に 加 え た 。 オ ー ビ タ ル シ ェ ー カ ー
上で加湿チャンバー内で4℃で一晩、インキュベーションを行った。
【0160】
そ の ス ラ イ ド を 0.025% Triton を 含 む TBSで 洗 い 、 次 に 室 温 で 1 時 間 、 1 % BSAを 含 む
TBS中 で 1 : 500 で 、 ビ オ チ ニ ル 化 ヤ ギ 抗 ウ サ ギ 二 次 抗 体 ( DAKO) 中 で イ ン キ ュ ベ ー ト し
た 。 内 因 性 ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ を 10分 、 TBS中 0.6% 過 酸 化 水 素 で ブ ロ ッ ク し 、 次 に TBSで
30
洗った。基質ジアミノベンジジンを用いるストレプトアビジンセイヨウワサビペルオキシ
ダーゼシステムをスライドを染色するのに用いた。その反応を、水をそそぐことによりそ
の 反 応 を 停 止 さ せ 、 そ の ス ラ イ ド を Harris'ヘ マ ト キ シ リ ン で 軽 く 染 色 し 、 次 に Orange G
及 び EA50(PAP染 色 ) で 染 色 し た 。
【0161】
移 行 細 胞 癌 腫 の 6 つ の ケ ー ス に お い て 、 こ の 方 法 で 調 製 し 、 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 尿 細 胞
学スミアは、全ての悪性移行細胞の強力な染色を示し、バックグラウンドにおいて炎症性
及び扁平上皮細胞は染色しなかった。泌尿器科学クリニックにかよう正常な人々の尿から
作った同様のスミアは、扁平上皮又は正常な移行細胞の染色を示さなかった。
【0162】
40
実 施 例 30− 正 常 な 頸 部 サ ン プ ル 及 び 扁 平 上 皮 内 障 害 の 患 者 か ら の 頸 部 サ ン プ ル の DELFIA
解 離 増 強 ラ ン タ ニ ド 蛍 光 イ ム ノ ア ッ セ イ ( DELFIA) を 、 上 述 の 実 施 例 15に 記 載 さ れ る よ う
に 、 2 つ の 異 な る ウ サ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 MCM5抗 血 清 を 用 い て ヒ ト MCM5の 検 出 の た め に 確
立した。
正 常 な 頸 部 の 2 つ の サ ン プ ル 及 び HSIL頸 部 の 2 つ の サ ン プ ル を 分 析 し た 。 そ れ ら 組 織 サ ン
プ ル を 、 低 張 膨 潤 し て 洗 浄 す る こ と に よ り 可 溶 化 し 、 次 に DNA結 合 粒 子 を 塩 抽 出 し た 。
【0163】
2つの正常なサンプルは、0標準と同様の応答を供した。
2 つ の HSILサ ン プ ル は 陽 性 で あ る と 評 価 さ れ 、 こ の こ と は 頸 部 サ ン プ ル 中 の 異 常 性 が 、 イ
ムノアッセイを用いて検出できることを示す。
50
(28)
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【0164】
実 施 例 31− 抗 MCM5抗 体 で の 種 々 の 癌 腫 の 染 色
種 々 の 癌 腫 及 び 白 血 病 の 骨 髄 の 組 織 学 的 試 料 を 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し た 。 結 果 は 次 の 通 り で
あった:
胃 癌 は 、 50% 超 の 腫 瘍 細 胞 の 染 色 を 示 し た 。
腎 臓 癌 は 、 30∼ 50% の 腫 瘍 細 胞 の 染 色 を 示 し た 。
卵 巣 癌 は 、 30∼ 50% の 腫 瘍 細 胞 の 染 色 を 示 し た 。
精 巣 癌 は 、 30∼ 50% の 腫 瘍 細 胞 の 染 色 を 示 し た 。
急 性 白 血 病 の 骨 髄 は 、 90% 超 の 腫 瘍 細 胞 の 染 色 を 示 し た 。
【0165】
10
実 施 例 32− 結 腸 ス ミ ア の 染 色
便 の 材 料 を 健 康 な 患 者 か ら 収 集 し 、 表 面 剥 離 し た 結 腸 細 胞 を 、 WO 97/ 09600 に 記 載 さ れ
る 方 法 を 用 い て 、 Dynal AS (Oslo, Norway) に よ り 供 さ れ る 上 皮 特 異 的 抗 体 が コ ー ト さ れ
た磁気ビーズにより、便のサンプルから抽出した。
【0166】
そ の 抽 出 さ れ た 磁 気 ビ ー ズ 及 び 上 皮 細 胞 の 混 合 物 を 、 0.025% Triton を 含 む TBS(Tris緩
衝 塩 類 溶 液 ) 中 で 洗 っ た 。 4 % の 緩 衝 パ ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド で の 固 定 化 の 後 、 細 胞 を TBS
中で洗い、生じた細胞ペレットからスミアを作った。次にこれらを尿サンプルからのスミ
アについてと同様に処理した。
【0167】
20
PAP染 色 し た ス ミ ア は 、 磁 気 ビ ー ズ 、 い く ら か の セ ル ロ ー ス 及 び 細 胞 デ ブ リ ス の 混 合 物 を
示し;結腸からの多くの円柱上皮細胞及び肛門管からのいくらかの扁平細胞が存在した。
抗 MCM5抗 体 で の 染 色 に 基 づ き 、 膀 胱 又 は 頸 部 に つ い て と 同 様 の 結 果 が 正 常 及 び 異 常 細 胞 に
ついて得られる。
【0168】
実 施 例 33− 潰 瘍 性 大 腸 炎 の 患 者 の 腸 断 片 の 染 色
活 性 な 潰 瘍 性 大 腸 炎 の ケ ー ス か ら の 腸 の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た 断 片 を MCM5に 対 す る 抗 体 で 染
色した。
テ ス ト し た 断 片 全 て に お い て 、 表 面 上 皮 細 胞 の 約 50% が は れ 上 が っ た 領 域 内 に MCM5の 核 発
現 を 示 し た 。 活 性 な 潰 瘍 性 大 腸 炎 中 に 多 数 の リ ン パ 球 が 存 在 し 、 こ れ ら の 細 胞 も MCM5の 頻
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繁な核発現を示した。
鎮静した潰瘍性大腸炎の断片(即ち活性な炎症のないもの)も分析した。これらの全てに
お い て 、 表 面 上 皮 細 胞 は MCM5に つ い て 染 色 を 示 さ な か っ た 。 鎮 静 し た 潰 瘍 性 大 腸 炎 中 に 存
在 す る 少 数 の リ ン パ 球 の う ち 、 ご く ま れ な 細 胞 が MCM5に つ い て 核 染 色 を 示 し た 。
パ ラ フ ィ ン に 浸 し た 断 片 に お い て 、 活 性 な 及 び 鎮 静 し た 潰 瘍 性 大 腸 炎 の 染 色 は 、 MCM5及 び
PCNAに つ い て と 同 様 で あ る こ と が 見 い 出 さ れ た 。
【0169】
実 施 例 34− ク ロ ー ン 病 の 患 者 の 腸 断 片 の 染 色
パラフィンに浸漬した活性クローン病の腸の断片の染色は、潰瘍及び炎症の領域に隣接し
た 表 面 上 皮 細 胞 に お け る MCM5の 核 発 現 を 示 し た 。 は れ 上 が っ た 組 織 中 の リ ン パ 球 も 、 MCM5
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の頻繁な核発現を示した。
【0170】
鎮静したクローン病の腸組織もテストし、表面上皮細胞及び存在する少数のリンパ球の両
方 が MCM5に つ い て 陰 性 で あ っ た 。
活 性 及 び 鎮 静 し た ク ロ ー ン 病 気 の パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た ケ ー ス に 基 づ い て 抗 MCM5抗 体 に つ い
て 、 抗 PCNA抗 体 と 同 様 な 発 見 が 得 ら れ た 。
凍 結 断 片 及 び パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た 断 片 に 基 づ い て 行 っ た 抗 MCM5及 び 抗 PCNA染 色 の 間 の 比 較
は 、 凍 結 断 片 に お い て 、 抗 MCM5抗 体 で の 染 色 が 抗 PCNA抗 体 で の 染 色 よ り 優 れ て お り 、 よ り
核が染色されることを示す。
【0171】
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実 施 例 35− 抗 MCM5抗 体 で の 、 正 常 な 及 び 癌 性 の 子 宮 内 膜 の 染 色
正 常 な 及 び 癌 性 の 子 宮 内 膜 の 凍 結 し た 及 び パ ラ フ ィ ン 浸 漬 し た 断 片 を 抗 MCM5抗 体 で 染 色 し
た。
正常な組織と比べて癌性子宮内膜において良好な染色が示され、パラフィン浸漬したもの
より凍結したものにおいて優れていた。
【0172】
実 施 例 36− 頸 管 ス ミ ア 細 胞 単 層 の 染 色 (Thin Prep)
APESス ラ イ ド 上 に ス ミ ア を 作 っ た 後 、 頸 管 ス ミ ア を と る た め に 用 い た ブ ラ シ / ス パ チ ュ ラ
を 75% メ タ ノ ー ル に 入 れ 、 残 っ た 細 胞 を ボ ル テ キ シ ン グ に よ り 除 去 し た 。 細 胞 の 懸 濁 液 を
20% ス ク ロ ー ス 上 に 重 層 し 、 MSE Harrier セ ン ト リ フ ュ ー ジ 内 で 2 分 、 1,000rpmで 遠 心 し
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、 一 番 上 の 層 を 除 去 し て 捨 て た 。 残 り の 層 を 3,000rpmで 5 分 、 遠 心 し 、 そ の 細 胞 ペ レ ッ ト
を 200マ イ ク ロ リ ッ タ ー の 水 に 再 度 懸 濁 し た 。 50マ イ ク ロ リ ッ タ ー を 各 々 の ス ラ イ ド 上 に
お き 、 細 胞 を 沈 降 さ せ 、 水 を 除 去 し た 。 次 に そ の ス ラ イ ド を 実 施 例 29( 尿 細 胞 学 ス ミ ア )
と 同 様 に 処 理 し 、 PAP染 色 し た 。
【0173】
種々の実験において、単層スミアで得られた結果は、慣用的なスミアで得られたものと同
じであった。単層調製物の使用は、粘液及び炎症細胞の大部分が除去される点で有利であ
り得る。
【0174】
議 論
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本 明 細 書 に 記 載 さ れ る 結 果 は 、 Cdc6及 び MCM5は 、 両 方 と も 、 生 体 内 の 正 常 な 分 化 し た 組 織
において下降制御され、培養において静止した哺乳動物細胞の範囲においてクロマチンか
ら欠如することを示す。これは、これらのタンパク質が細胞増殖マーカーとして潜在的な
価 値 を 有 し 得 る こ と を 示 唆 す る 。 Hiraiwaら は 、 MCM7は 、 種 々 の 腫 瘍 型 、 例 え ば 良 性 皮 膚
腫 瘍 並 び に 胃 、 膵 臓 及 び 結 腸 の 悪 性 腫 瘍 に お い て 、 PCNAと 同 様 の 分 布 で 免 疫 局 在 化 し 得 る
こ と を 示 し た 。 彼 ら は 、 MCM7免 疫 局 在 化 は 、 組 織 断 片 に お け る 細 胞 増 殖 の 指 標 と し て 適 用
し 得 る と 結 論 づ け た 。 し か し な が ら 、 既 に 上 述 し た よ う に 、 病 理 学 の 分 野 の 専 門 家 は 、 PC
NA及 び Ki67の よ う な マ ー カ ー に よ る 腫 瘍 に お け る 細 胞 増 殖 率 の 測 定 は 、 い ず れ か の 臨 床 的
に用いられるであろうか疑いを持っている。なぜなら、このようなマーカーが、最適に適
用された時に段級づけ及び段階づけのような慣用的な組織学的評価に基づく実際の改良で
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あるという直接的な証拠がほとんどないからである。
【0175】
本 明 細 書 に 報 告 さ れ る 観 察 結 果 は 、 Cdc6, MCM5及 び MCM7に 対 す る 特 異 的 結 合 分 子 は 、 PCNA
及 び Ki67の よ う な 慣 用 的 な 増 殖 マ ー カ ー よ り 、 新 し い 及 び 凍 結 し た 頸 部 SILに お け る 潜 在
的 な 前 悪 性 細 胞 に つ い て 極 め て 高 い 特 異 性 を 示 す こ と を 示 す 。 抗 Cdc6及 び 抗 MCM5は 、 LSIL
及 び HSILに お け る 異 常 細 胞 を 、 頸 部 内 部 の 、 頸 部 外 部 の 、 化 生 の 、 及 び ス ト ロ ー マ の 細 胞
を含む隣接する正常な細胞から明らかに識別することができる。
【0176】
こ の 点 に お い て 、 記 載 さ れ る よ う に 、 抗 Cdc6及 び 抗 MCM抗 体 を 、 SILの 患 者 及 び 病 気 の な
い患者からとった頸管スミアに適用した。結果は、これらのタンパク質について観察され
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た著しい程度の特異性及びセンシティビティーにおいて驚くべきものであった。新生物細
胞 及 び HPV感 染 し た コ イ ロ サ イ ト の 両 方 に お い て 強 力 な 核 及 び 細 胞 質 染 色 が 観 察 さ れ た 。
境界線上の異常性を示す化生扁平細胞(重要性の不確かな不定型扁平細胞)においても陽
性染色が同定された。しかしながら、頸部外部細胞、頸部内部細胞、扁平化生細胞及び炎
症 性 細 胞 ( リ ン パ 球 及 び 好 中 球 の 両 方 ) を 含 む ス ミ ア 内 の 残 り の 混 合 し た 集 団 は 、 Cdc6及
び MCM免 疫 染 色 に つ い て 陰 性 で あ っ た 。
【0177】
抗 MCM5、 抗 Cdc6及 び 抗 MCM7の 感 度 は 、 頸 管 ス ミ ア 及 び 凍 結 断 片 に 適 用 し た 時 に 抗 PCNAよ り
かなり高いが、ホルマリン内で固定化され、パラフィン浸漬され、及び加圧クッキングに
より抗原回復にかけられた組織に適用した時に、このような抗体により同様の染色のパタ
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ーンが供される。頸管スミア及び他の細胞学的サンプル並びに凍結断片はホルマリン固定
され、パラフィン浸漬された組織断片より弱いので、加圧クッキングにかけることができ
ない。
【0178】
頸 管 ス ミ ア に 適 用 し た 時 の Cdc6及 び MCM抗 体 の 驚 く べ き 特 異 性 及 び 感 染 は 、 生 化 学 的 / 免
疫細胞学的アプローチの、大量の自動化頸部スクリーニングへの導入を供する。更に、こ
れらの抗体は、現在、頸部細胞学の分野における専門家の間でさえ段級づけにおいて観察
者 内 及 び 観 察 者 間 に バ リ エ ー シ ョ ン が あ る LSILの 検 出 及 び 分 類 を 改 善 す る 助 け と な り 得 る
。 こ れ ら の 抗 体 の 使 用 は 、 よ り 優 れ た 精 度 及 び 客 観 性 で HSILを 同 定 す る 助 け と も な り 、 こ
れにより包括的な頸部スクリーニングプログラムに関連する主な問題である多数の誤った
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陰性の結果を減らす助けともなるであろう。
【0179】
注目すべきは、胸組織、胃、腎臓、卵巣、精巣及び直腸、尿サンプル及び血液サンプル(
白血病/リンパ腫の患者並びに転移性肉腫及び癌腫の患者の両方)、炎症性の腸疾患、例
えば潰瘍性大腸炎及びクローン病、並びに便のスミアの評価の更なる実験例は、頸部サン
プル、特に頸管スミアの評価による頸部スクリーニングを超える本発明の態様の一般性を
示し、それは種々の実施形態において好ましい。細胞学に加えて、生化学的技術の適用も
証明される。
【0180】
先 の 実 施 例 14に 記 載 さ れ る 、 標 準 PAPス ミ ア を 用 い る 頸 管 ス ミ ア の 評 価 と 、 本 発 明 の 実 施
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形態を比較するブラインド試験の結果は、本発明の興奮させる利用性を確認する。
本明細書に言及される全ての文献は引用により組み込まれる。
【0181】
【表1】
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(31)
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フロントページの続き
(31)優先権主張番号 9810560.4
(32)優先日 平成10年5月15日(1998.5.15)
(33)優先権主張国 英国(GB)
(31)優先権主張番号 9817075.6
(32)優先日 平成10年8月5日(1998.8.5)
(33)優先権主張国 英国(GB)
(74)代理人 100081330
弁理士 樋口 外治
(72)発明者 ラスキー,ロナルド アルフレッド
イギリス国,ケンブリッジ シービー1 4エスエックス,ホルブルック ロード 81
(72)発明者 ウィリアムズ,ガレス ヘイドン
イギリス国,ケンブリッジ シービー2 2エルダブリュ,トランピントン,ウィンチモア ロー
ド 10
(72)発明者 コールマン,ニコラス
イギリス国,ケンブリッジ シービー2 1ディーキュー,リージェンツ ストリート,ダウニン
グ カレッジ
審査官 山村 祥子
(56)参考文献 Int.J.Cancer Vol.74,No.2 (April 1997) p.180-184
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.94(January 1997) p.142-147
血液・腫瘍科 第34巻、第4号(1997年4月) p.278-286
臨床検査 第39巻第11号 1995年増刊号 第122−126頁
細胞 第25巻第13号 1993年 第22−25頁
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-98
C12Q 1/68
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