Comments
Description
Transcript
安全に使い回す! 車載ソフトウェアの世界
研究! クルマのテクノロジ ご購入はこちら 安全に使い回す ! 車載ソフトウェアの世界 これから 10 年使える技術! 標準 AUTOSAR 開発プラットホーム入門 安全に使い回す! 車載ソフトウェアの世界 第 2 回 AUTOSAR 準拠ソフトウェアの基本開発ステップ アプリケー ション 機能の単位を SWC,SWC の各処理の単 位をランナブ ルという ・ランナブル 実行処理の単位.通常 1 関数にマッピングされる. 機能単位 SWC1 機能単位 SWC2 処理単位 ランナブル 1-1 処理単位 処理単位 ランナブル ランナブル 2-2 2-1 要はデバドラ ランナブルを実行するトリガを定義する.複数の イベントが用意されており,周期起動の場合,タイ ミング・イベントを使って起動周期などを定義する. ランナブル間で排他処理を行いたい場合に定義す る.排他処理に,割り込み禁止を使用するかどうか はシステム設計の時点では確定せず,最終的に ECU 上で動作する SWC 全体を考慮した上で,必要最低 限の排他処理を選択することができる. サービス・レイヤ ECU抽象化レイヤ マイコン抽象化レイヤ ・ポート ハードウェア 図 1 AUTOSAR ソフトウェアの階層構造 第 1 回(2016 年 1 月号)では,AUTOSAR ソフトウェ アの構造を紹介しました(図 1).今回は,大きく分け て三つ の ス テ ッ プ で AUTOSAR に よ る ECU ソ フ ト ウェア開発の手法を紹介します(図 2). AUTOSAR 準拠車載ソフトウェアの開発環境の全 体像を図 3 に示します. ステップ 1:クルマ全体の システム設計情報を用意する まず,クルマ・メーカが,車両全体をシステムとと らえ,システム全体の設計を行います. システム設計の手順は,使用するツールや,企業の 開発体制によって異なりますが,必ず出力される情報 は,大きく分けて以下の二つです. (1)SWC ディスクリプション (2)システム・ディスクリプション ▶(1)SWC ディスクリプション システム内に存在するすべてのアプリケーション (SWC)の定義を行います.主に以下のような定義が 含まれます. 2016 年 2 月号 ・イベント ・排他エリア API提供レイヤRTE 定義済みの 基本 ソフトウェア・ モジュール BSW 鴫原 一人 他の SWC とデータを送受信するための出入り口 の定義.さらに,SWC 間のデータ送受信を行うた めのインターフェースを別途定義しておき,SWC のポートと接続することで,送受信するデータの関 係を定義する. ▶(2)システム・ディスクリプション システム全体の定義を行います. 具体的には,配置する ECU の定義,各 ECU で動作 させる SWC の定義,ECU 間のデータ送受信に使用す るネットワークの定義など,内容は多岐にわたります. これらの定義情報は,AUTOSAR 仕様で規定され た XML フォーマットで記述され,ファイルの拡張子 は一般に .arxml が使用されます. 本稿では以降,簡単のために,AUTOSAR 仕様で 規定された XML フォーマットで記述された定義情報 のファイルを単に arxml と呼びます. arxml を手作業で作成するのは困難ですので,通常 は GUI の AUTOSAR に対応したシステム設計ツール などが用いられます. ステップ2:システム設計情報から各ECUのソフト ウェア定義に落とし込む…ECUコンフィギュレーション ステップ 2 以降は,ECUごとに行う作業となります. ステップ 1 で作成された情報は,車載システム全体 第 1 回 車載ソフトウェアの基本構造(2016 年 1 月号) 157