...

オイラーの多面体定理

by user

on
Category: Documents
77

views

Report

Comments

Transcript

オイラーの多面体定理
オイラーの多面体定理
2012.06.28(Thu.) 数学教育実践論
文責 D1 上ヶ谷 友佑
教材研究をする上で大事なこと
その定理の特殊なバージョンは何か?
 その定理の一般的バージョンは何か?

y

例: f ( x)  sin x
◦ 特殊
 直角三角形で定義
◦ 一般
 無限級数で定義

sin z  
n 0
 1n
2n  1 !
z 2 n 1
O
x
オイラーの多面体定理の
特殊&一般バージョンって?

多面体定理の対象: 3 次元図形
特殊: 1 次元図形,2 次元図形
 一般: 4 次元図形,5 次元図形,
→ n 次元図形!

オイラーの多面体定理の特殊化

3次元図形は,
3次元空間を点,線,面で囲った図形.

2次元図形は?
◦ 2次元空間を点と線で囲った図形.

1次元図形は?
◦ 1次元空間を点で囲った図形.
n 次元図形とは?
点:0次元図形
 線:1次元図形
 多角形:2次元図形

1次元図形は,0次元図形からなる.
 2次元図形は,0~1次元図形からなる.
 3次元図形は,0~2次元図形からなる.
 4次元図形は,0~3次元図形からなる.

物理的なイメージは
無理だけど
1次元図形の多面体定理
1次元図形 (線) とは,
0次元図形 (点) に囲まれた図形.
 どんな1次元図形も,
必ず2個の点を持つ.

V 2
2次元図形の多面体定理
2次元図形とは,
0次元図形 (点) と
1次元図形 (線) に囲まれた図形.
 どんな2次元図形も,
交叉や穴がなければ
必ずn個の点とn個の頂点を持つ.

V E 0
交叉
穴
3次元図形の多面体定理

3次元図形とは,
0~2の各次元の図形に囲まれた図形.
◦ 特に多角形で囲まれた図形.

どんな3次元図形でも,
凸多角形なら次の関係が成り立つ.
V EF 2
4次元以上の多面体定理

4次元図形とは,
0~3の各次元の図形に囲まれた図形.
◦ 特に多面体で囲まれた図形.

一般に,n次元凸多胞体について,
fkをk次元多面体の数とすると,
2 n : 奇数
 1 f k  

k 0
0 n : 偶数
n 1
k
シュレーフリの定理
イメージに基づく「証明」

イメージする上でのポイント
◦ 証明したい関係式は,
点,線,面の数のみに関係がある.
◦ それ以外の情報 (形や大きさ) は
どうでもいいので,
必要であれば V, E, F の値を
変化させない範囲で適当な形に
変形して考えれば良い.
V EF 2
イメージに基づく「証明」

凸多面体型の惑星なら地図が作れる.
3
3
2
1
1
4
4
2
地図作成時のポイント
多面体の各面を国土だと考える.
 メルカトル図法と同じように
国境の接続情報を保存するよう写す.

紙
A
B
D
A
D
B
C
C
複雑な地図を簡単化する
解体方法を考える
V-E+F =2
V-E+F =2
V-E+F =2
V-E+F =2
V-E+F =2
V-E+F =2
どうやって解体したのか?

連結性を損ねないように
次のいずれかの方法で解体できる.
◦ 点と辺(稜)を1つずつ取り除く.
◦ 辺(稜)と面を1つずつ取り除く.
◦ 点1つ,辺(稜)2つ,面1つを取り除く.
V EF 2
V-E+Fを変化させないような
変形をオイラー操作と呼ぶ.
なぜ解体するのか?
どんな複雑な地図が与えられても,
オイラー操作で解体すれば
1点,0辺(稜),1面にまで解体可能.
 V-E+Fの値は常に2であることがわかる.


立方体でやってみよう!
凹多面体でもやってみよう
実は途中でオイラー操作が
できなくなる.
 トポロジー的には単連結じゃない
面が含まれるから.


凹多面体:
180°以上の二面角アリ
横方向への一般化
縦方向に次元の一般化を見た.
 横方向に,凸多面体以外にも
当てはまるように
多面体定理を
拡張できないか?

3次元
凸じゃない
多面体?
1次元
線分
2次元
凸多角形
3次元
凸多面体
4次元
凸多胞体
例:ハンドルの数で分類

ハンドルの数をgとすると,
V  E  F  2  2g
あとは穴の数や
切れ目の数などで
拡張することも
数学的背景の網羅は難しいけど
なかなか証明まで含めて
数学の定理を理解するのは難しい.
 しかし,教材研究をする際は,
子どもの不意な質問への対応や
より魅力的な授業計画のためにも,
特殊化・一般化という視点で
中高の範囲を超えて
教材を調べておくと良い.

参考文献




ラカトシュ, I. (1980).「数学的発見の
論理―証明と論駁」(佐々木力訳), 共立
出版.
フレッグ, H. G. (1978).「幾何学から
トポロジーへ」(足立正久他訳), 紀伊國
屋書店.
ウィルソン, R. (2002). 「四色問題」
(茂木健一郎訳), 新潮社.
佐藤郁郎
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro
/index.htm
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro
/koramu/618_ag2.htm
[最終確認:2012.06.28]
Fly UP