Comments
Description
Transcript
物質中のMaxwell方程式と光の屈折の法則について
物質中の Maxwell 方程式と光の屈折の法則について 7.3.3 Maxwell’s Equations 真空中の電磁場 E, B に対する Maxwell 方程式は以下で与えられる. 1 ∇ · E = ρ (Gauss の法則) ϵ0 (1) ∇·B=0 (2) ∂B ∇×E=− (Faraday の法則) ∂t (3) ∂E ∇ × B = µ0 J + µ0 ϵ 0 (Maxwell の補正を受けた Ampère の法則) (4) ∂t 1 7.3.5 Maxwell’s Equations in Matter ∇ · D = ρf (物質中の Gauss の法則) (5) ∇·B=0 (6) ∇×E=− ∂B (Faraday の法則) ∂t ∂D ∇ × H = Jf + ∂t (Maxwell の補正を受けた物質中の Ampère の法則) (7) (8) D = ϵ0 E + P 1 H= B−M µ0 2 • D, H と E, B の関係は物質に依存する.しかし,単純な物質の場合(線形物質の場 合),D = ϵE, H = µ1 B で与えられる.ϵ, µ はそれぞれ物質に固有の量でそれぞれ 誘電率,透磁率と呼ばれる. • このような単純な場合は Maxwell 方程式は真空中の場合と同じ形になる. 1 ∇ · E = ρf (Gauss の法則) ϵ ∇·B=0 ∇×E=− (9) (10) ∂B (Faraday の法則) ∂t (11) ∂E ∇ × B = µJf + µϵ (Maxwell の補正を受けた Ampère の法則) (12) ∂t 3 真空中の電磁波(Griffiths 9.2 Electromagnetic Waves in Vacuum) • ρ = 0, J = 0 のとき,Faraday の法則と Ampère の法則の rotation をとると ( ) ∂B 2 ∇ × (∇ × E) = ∇(∇ · E) − ∇ E = ∇ × − ∂t ∂ ∂ 2E = − (∇ × B) = −µ0ϵ0 2 ∂t ∂t (13) ( ) ∂E ∇ × (∇ × B) = ∇(∇ · B) − ∇2B = ∇ × µ0ϵ0 ∂t ∂ ∂ 2B = µ0ϵ0 (∇ × E) = −µ0ϵ0 2 ∂t ∂t (14) • ∇ · E = 0, ∇ · B = 0 より 1 ∂ 2E ∇ E= 2 2, c ∂t 2 1 ∂ 2B ∇ B= 2 2, c ∂t 2 1 c = µ0 ϵ 0 2 (15) このような方程式は波動方程式とよばれる. 4 平面電磁波 • 電磁場 E, B に対する波動方程式 (15) は,以下の形の解を持つ. E(r, t) = a sin(k · r − ωt − α) (16) B(r, t) = b sin(k · r − ωt − α) (17) k は波動ベクトルとよばれる.(17) 式を (15) 式に代入すると ∇2E = −k 2E, ∇2B = −k 2B ω2 1 ∂ 2B ω2 1 ∂ 2E = − 2 E, 2 2 = − 2 B 2 2 c ∂t c) ( c ∂t 2 ) c ( ω ω2 2 2 − k − 2 E = 0, − k − 2 B = 0 c c (18) (19) (20) よって角振動数 ω と波数 k の間には ω = ck の関係がある. • 時刻 t を固定したとき ϕ(r, t) = 定数 を満足する点 r の集まりを波面とよぶ.(16),(17) は波動ベクトル k に垂直な波面をもつ平面波である. 5 • 平面波の波面は速さ c で k の方向に動く.真空中における c の値を計算すると c = √ 1 = (8.854 × 10−12 × 1.257 × 10−6)−1/2 ϵ 0 µ0 = 2.998 × 108m · s−1= 真空中の光速に一致! ⇒ 光は電磁波の一種である! (21) Figure 1: 平面波の波面と波動ベクトル 6 電磁波の偏り • Maxwell 方程式より ∇ · E = 0, ∇ · B = 0 である.これより k · E = 0, k · B = 0 (22) である.これは,光が横波(transverse wave)つまり,進行方向に垂直な方向に振 動することを示す. (これに対して,音波のように波の進行方向に平行に振動する波 を縦波(longitudinal wave)とよぶ. )電場の振動方向(定ベクトル a の方向)を偏 り(polarization)とよぶ. • Faraday の法則より,(16) 式に対応する磁場は 1 ∂B ⇒ B(r, t) = k × E(r, t) ∇×E=− ∂t ω (23) で与えられる.よって,B は k にも E にも垂直である. 7 Figure 2: 平面電磁波の電場と磁場.進行方向は x 軸方向(k∥x̂).偏極方向は y 軸方向 (E∥ŷ). 波動方程式の線形性 • 簡単のため,電磁場 E, B の成分の一つに注目し,ϕ(r, t) = ϕ(x, y, z, t) と記すことに すると,ϕ は波動方程式 ∇2ϕ = (1/c2)(∂ 2ϕ/∂t2) に従う.この波動方程式は線形であ る.つまり,ϕ1, ϕ2 が解なら a1, a2 を定数として線形結合 a1ϕ1 + a2ϕ2 もやはり解に なる.これは,微分演算子が以下のような線形性を持つからである. ∂ ∂ ∂ (a1ϕ1 + a2ϕ2) = a1 ϕ1 + a2 ϕ2 ∂x ∂x ∂x (24) 8 光の反射・屈折の法則(Griffiths 9.3.3 Reflection and Transimission at Oblique Incidence • xy 平面を境界として x < 0 が空気,x > 0 が水とする.空気中および水中の光速度を それぞれ c1, c2 とする. 1 ∂ 2E 1 ∂ 2B 2 空気中の波動方程式: ∇ E = 2 2 , ∇ B = 2 2 c1 ∂t c1 ∂t (25) 1 ∂ 2E 1 ∂ 2B 2 水中の波動方程式: ∇ E = 2 2 , ∇ B = 2 2 c2 ∂t c2 ∂t (26) 2 2 • 空気中に入射波 EI , BI ,反射波 ER, BR が存在し,水中に屈折波(または透過波) ET , BT が存在すると仮定する.いずれも単色平面波とする. Ei(r, t) = E0i sin(ki · r − ωt − α), (i = I, R, T ) Bi(r, t) = 1 (k̂i × E0i) sin(ki · r − ωt − α), (cI = cR = c1, cT = c2) ci (27) (28) 9 • 空気中の波 E1 = EI + ER は (25) を満足し,水中の波 E2 = ET は (26) を満足する. これより kI c2 = kRc1 = kT c2 = ω, または kI = kR = c2 n1 kT = kT c1 n2 (29) Figure 3: kI :入射波,kR:反射波,kR:屈折波. 10 • 異なる媒質間の境界で電磁場が満たすべき境界条件は,Griffiths 9.3.1 より (i) ϵ1E1⊥ = ϵ2E2⊥, (ii) B1⊥ = B2⊥, ∥ ∥ (iii) E1 = E2 (iv) ∥ 1 B µ1 1 = ∥ 1 B µ2 2 (30) • この境界条件が成立するためには kIx = kRx = kT x, kIy = kRy = kT y (31) である必要がある(詳しくは電磁気学3,または光学の授業で習うはず). • 波動ベクトルの大きさについては (29) 式が成り立っている.これより入射角 θI と反 射角 θR は等しく,屈折角 θT については sin θI c1 n2 = = = n12 sin θT c2 n1 がえられる(スネルの法則).ここで n12 は空気に対する水の屈折率である.実験事 実 θ > θ′′ を説明するためには c1 > c2 と仮定することが必要である. 11 Figure 4: 波動の反射・屈折.kIx = kRx = kT x, c1kI = c1kR = c2kT . 12