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Kinect センサーを用いた当たり判定をふくむ アプリケーションの開発
Kinect センサーを用いた当たり判定をふくむ アプリケーションの開発 11HI0153 氏名 竹島琢朗 (指導教員:鈴木 隆宏) 1.まえがき 3. もぐら叩きゲームの開発 Kinect センサーは、米国のマイクロソフト社から発売さ れたジェスチャーや音声認識によって操作できるデバイス 本研究で作成したもぐら叩きゲームの流れを以下に示す。 ① である。Kinect センサーは xbox360 というテレビゲーム の付属品として発売されたが、後に Windows PC 用のソ ら叩きゲームが始まる。 ② フトウェア開発キッド(SDK : Software Development Kit) も公開されており、これを用いて様々なアプリケーション スタート画面で「スタートボタン」に触れると、もぐ ゲーム画面では、1 番から 16 番までのもぐらが一つず つ決められた位置に表示される。 ③ 最後のもぐらを叩くと経過時間が表示される。 を開発できる。しかし、Kinect センサーの性能限界や PC なお、もぐらの当たり判定については、もぐらの座標と での処理負荷の問題により、画面に表示されたボタンがユ 右手または左手の Kinect センサーに近い方の座標との距 ーザの意図通りに反応しないことがある。 離で行っている。この距離がある値以下の場合に「当たり」 本研究では Kinect for Windows センサーを用いてもぐ と判定している。 ら叩きゲームを作り、ストレス無く遊べるもぐらの位置や 図 1 にもぐら叩きゲームの画面の例を示す。この図は、2 当たり判定の範囲を評価している。さらに、もぐら叩きゲ 番目のもぐらが表示された所を示している。 ームの評価結果をもとに、スムーズに操作できる Yes/No クイズを作成している。 2.Kinect センサー 以下に Kinect センサーの主な仕様を示す。 ・距離センサー 深度センサーとも呼ばれている。赤外線プロジェクターか ら照射した無数の点を赤外線カメラで撮影する事により、 赤外線カメラに映る30 万以上の点の距離を測る事が出来 図 1 もぐら叩きゲームの画面 る。 (物体までの奥行き情報を得られ、 人の位置や全身の関 節の動きがわかる。 ) 4.もぐら叩きゲームの評価 ・映像センサー RGB カメラとも呼ばれ、異なった 3 本のワイヤで 3 色(赤、 本研究ではストレス無く遊べるもぐらの出現座標や当た 緑、青)の信号を取得し、鮮明なカラー画像を作成する。 り判定の範囲を調べるため、20 代男女 4 名を対象にゲーム ・加速度センサー の評価を行った。Kinect センサーを PC ディスプレイの前 物体の加速度(速度の変化率)を計測するための装置である。 に置き、 Kinect センサーと評価者との距離を 145cm とした。 一定時間に速度がどれだけ変化したかを計測する。 評価の最初に、画面中央のスタートボタンが叩き易いよう ・傾斜モーター にセンサーの向きと傾斜を調整した。評価で用いたもぐら 上下の角度調整(±27°範囲で稼働)が可能である。 の座標を表1に示す。また、もぐらの当たり判定の範囲(も ・指向性マイク ぐらの中心座標と手の座標との距離)については、10 ドッ 四つのマイクからなるマルチアレイになっており、音の大 ト、25 ドット、40 ドットの 3 通りで行った。もぐらの大き きさと方向を取得できる。 さは、半径 25 ドットである。 表1 もぐらの座標値 番号 1 番 2 番 3 番 4 番 5 番 6 番 7 番 8 番 座標 (400, 300) (700, 300) (600, 600) (200, 600) (200, 200) (700, 200) (700, 700) (200, 700) 番号 9 番 10 番 11 番 12 番 13 番 14 番 15 番 16 番 評価 座標 (200, 200) (600, 100) (900, 600) (300, 600) (200, 300) (700, 500) (500, 200) (100, 450) もぐらの座標のみを変えて改良前と同じ条件で、改良後 のゲームについて再評価を行った。その結果4人の所要時 間は、それぞれ 16.8 秒、19.3 秒、21.3 秒、16.7 秒であっ た。さらに、すべての評価者から前回の 40 ドットよりもぐ らを叩き易かったという感想をもらった。出現ポイントを ある程度狭めることで手の稼動範囲が狭まり無理なくもぐ らを叩けることがわかった。 5.Yes/No クイズの開発 表2 ゲームの所要時間 評価者 A 評価者 B 評価者 C 評価者 D 10 ドット 74.1 秒 78.9 秒 51.4 秒 51.9 秒 25 ドット 28.0 秒 33.5 秒 31.3 秒 28.9 秒 40 ドット 17.1 秒 19.8 秒 19.1 秒 18.4 秒 評価結果 表2に評価者4名のもぐら叩きゲームの所要時間を示す。 さらに、以下のようなコメントをもらった。 l 10 ドットはとてもやりにくい。もぐらに当たってい るのに当たり判定が出にくくイライラする。前半の もぐらも大変に感じたが、特に後半のもぐらを叩い ている手(右手)と逆側(左手側)の上下端の位置 本研究では、もぐら叩きゲームの評価結果をいかして、 Yes/No クイズを作成した。このクイズでは、Yes または No で解答できる問題が 10 題出題される。 正解すれば正解数が +1 されていく。 Yes/No クイズの流れを以下に示す。 ① スタートボタンに触れるとゲームが開始される。 ② ゲーム画面では問題が出題され、Yes または No で解答 する。 ③ 正解ならば正解、不正解ならば答えを表示する。 ④ 全部で 10 問出題され、最後に合計正解数が表示され る。 (12、16)が叩きにくい。 l 25 ドットは10 ドットよりマシではあるがやりにくさ は残る。 l 40 ドットはスムーズにもぐらが叩ける。 評価の結果、もぐらの当たり判定の範囲が広いほど所要 時間が短くなり、当たり判定範囲が 40 ドットあれば、プレ イヤーがスムーズにゲームできることがわかった。 5. もぐら叩きゲームの改良 もぐらの出現ポイントがかなり離れていたことがプレイ ヤーにやりにくさを与えていたので、一つのもぐらと次の もぐらまでの中心距離を 400 ドット以下とした。さらに、 当たり判定の範囲を半径 40 ドットとした。 表 3 に改良後の もぐらの座標を示す。 座標 (400, 300) (600, 300) (600, 500) (400, 500) (400, 200) (700, 200) (700, 600) (300, 600) 番号 9 番 10 番 11 番 12 番 13 番 14 番 15 番 16 番 6. むすび 本研究では KinectforWindows センサーを用いて、ま 表 3 改良後のもぐらの座標 番号 1 番 2 番 3 番 4 番 5 番 6 番 7 番 8 番 図 2 Yes/No クイズの問題画面 座標 (300, 300) (600, 100) (800, 500) (500, 600) (200, 300) (600, 500) (500, 200) (200, 450) ず、もぐら叩きゲームを開発し、プレイし易いもぐらの位 置や当たり判定の範囲について調べた。そして、その結果 をもとにもぐら叩きゲームを改良した。さらに、Yes/No ク イズも開発した。今後の課題は、もぐら叩きにおけるもぐ らの出現ポイントのランダム化や、Yes/No クイズにおける 出題内容のランダム化を行うことである。