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フジッコの「北海道工場進出 の経緯と今後の展望」

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フジッコの「北海道工場進出 の経緯と今後の展望」
33/2014年 新体裁/No.230/本文 下版後PDFを斉藤さんへ/09∼16 経済施策説明
2014.04.11 15.09.15
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経済施策説明
フジッコの「北海道工場進出
の経緯と今後の展望」
フジッコ株式会社
専務取締役 経営管理本部長
奥
平
武
則
様
フジッコの経営管理本部長をしております
奥平です。開発部門にいた時代が一番長く、
営業本部にも3年ほど籍を置き、今は経営管
同時期に開発した「おかず畑」は今でも包装
理本部におります。
惣菜として活躍しております。2
0
0
3年ごろに
フジッコは一年前に北海道千歳市に工場を
はカスピ海ヨーグルトを手がけ、このカスピ
進出させていますので、本日は「北海道工場
海ヨーグルトは北海道に工場を進出させた理
の進出の経緯と今後の展望」ということで、
由の一つになっております。
少しでも皆さまにお役に立てるようなお話が
できたらなと思って、用意してきました。
○中長期の企業戦略
こういう歴史の中から、我々は中期の企業
フジッコについて
○フジッコ・ヒストリー
フジッコという会社をあまり詳しくはご存
戦略を組んでおります。
2年前の事業領域というのは、煮豆事業、
昆布事業、惣菜事業、デザート事業それから
カスピ海ヨーグルトという5つの事業でした。
じない方もいらっしゃると思いますので、フ
現在は主には惣菜事業をおかず事業として伸
ジッコの創業の時からの話を少しさせていた
ばしていこうとしています。惣菜事業・おか
だきます。
ず事業では、1∼2日しか日持ちしないデリ
フジッコは1
9
6
0年に創業しまして、ちょう
カのことを言う日配惣菜と、3
0日、6
0日と日
ど今年で5
4期目になります。北海道の原料を
持ちするパック詰めの惣菜である包装惣菜を
使用した「とろろ昆布」でスタートしました。
展開しています。昆布事業、煮豆事業ととも
創業期にあたる1
0年間はこういった昆布製品
に、包装惣菜、カスピ海ヨーグルトを中期戦
主体にやってきました。
略の中で特に伸ばしていこうと位置づけてい
1
9
7
0年ごろから成長期に入り、今現在の
ます。
我々の主力商品である「ふじっ子煮」の佃煮
新規分野としては、まず高齢者用ソフト食
昆布を開発しました。続いて「おまめさん」
をいくらか手掛けております。それから昆布
もこの時期に開発しました。この2つは、現
調味料関係、世界の豆料理といった分野で次
在もコア商品となっています。様々な商品を
の成長の芽を模索しているところでございま
開発しましたが、中には1
9
9
0年代のナタデコ
す。
コのようにブームになったものもありますし、
また、通信販売も行っておりますが、業務
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経済施策説明
用、百貨店、海外事業といったところにチャ
ネルとしての進出を目指しております。
北海道に工場を新設した理由
○創業時の理念と使用主原料(昆布と豆)へ
○経営理念の実現
の想い
フジッコは、社是に「創造一路」、企業
フジッコとはこのような会社ですが、ちょ
メッセージとして「食よく、バランスよ
うど1年前に北海道工場の操業を開始しまし
く。」を掲げて、健康長寿社会の実現を目指
た。昆布の原料は9
5%以上北海道から得てい
す、という我々のミッションがあります。そ
ます。我々は創業のときから昆布で身を立て
ういったことを実現するために、昆布事業、
ておりますから、北海道に関する創業者の非
豆事業、おかず畑というコア事業を発展させ、
常に熱い想いというものがあります。
開発力を強化していこうとしています。美味
フジッコは1
9
6
0年に現山岸名誉会長が神戸
しさと健康を追求した「OKAZU company」
で創業し、当時の社名は富士昆布でした。日
を目指しています。
本のシンボルであり、世界中の人が知ってい
OKAZUと横文字にしてあるのには仕掛け
て、非常に美しい富士山から名をとり、味覚
があります。和風だけではなく、和風に工夫
の頂上を目指すとして創業しました。創業当
を入れて、世界の料理も取り入れて「新和
時から「健康と美容に富士の昆布」という
風」を目指そうという考えで中期戦略を組ん
キャッチフレーズで製品を販売しておりまし
でおります。
た。すでに健康と美容というところに着目し
ていたのです。
○企業メッセージ:食よく、バランスよく。
代表的な昆布製品である「ふじっ子煮」に
「食よく、バランスよく。」がフジッコの
関しては、1
9
8
0年に合成保存料無添加を実現
企業メッセージです。「SAVE−5」というこ
しています。化学調味料や保存料といったも
とで、飽和脂肪酸、コレステロール、塩分、
のを使わずに生産していく、という理念の下、
糖分、エネルギーの摂りすぎを抑え、「ADD
この製品を開発し、現在もその理念は受け継
+3」ということで不足しがちな「ミネラ
がれているのです。
ル」
「ビタミン」
「食物せんい」の不足を補うこ
とを提案しています。
伝統食をアレンジした「おまめさん」です
が、開発当時は、糖度が5
5ぐらいあったと思
います。ところが、現在はもう2
0や3
0程度で、
半分以下にまで低くしています。即ち、低糖
化技術によって非常に甘さを控えた製品とし
ています。また、「おまめさん」は無漂白・
無着色・合成保存料無添加で開発に成功した
商品であり、スタンドパックをいち早く採用
しています。このように伝統食をアレンジし
て製品化してきています。
創業当時の理念、主要主原料への思いとい
うところで、昆布、豆類は非常に北海道に多
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くありますので、そういったところが北海道
進出理由のひとつでもあるということです。
○カスピ海ヨーグルト事業と北海道の関連
2
0
0
2年に、カスピ海ヨーグルトをご家庭で
作るときの種菌を開発し、販売を開始しまし
た。その当時、北海道が人口1万人あたりに
して一番多くこの種菌を買ってくれました。
この製品は通算で4
0
0万セット販売し、今は
マーケティングの費用投下によって首都圏、
近畿圏中心の売り上げに変わっていますけれ
昆布・豆商品は非常に北海道産原料が多いの
ど、当時は北海道で非常によく売れました。
です。また、煮豆の調味料には砂糖を使用し
これはやはり北海道の牛乳が良いからではな
ますが、北海道産のものを使用しています。
いか、と当時言われていました。北海道の牛
カスピ海ヨーグルトも北海道産の生乳です。
乳が良いのではないかという考えがカスピ海
その他、ポテトサラダ、ポタージュスープ、
ヨーグルト開発当初からありました。
サラダスープ、いわゆる惣菜関係も非常に北
海道産原料が多いのです。
○北海道産原料の活用
北海道ブランドの訴求効果というものも大
我々は加工用の昆布としては道東産、道南
きいです。商品のパッケージに、「北海道
産の昆布をたくさん使っています。当社の材
産」と書くと非常に消費者に与えるイメージ
料調達のうち、北海道からの調達が大半を占
が良くなります。ファンレターがたくさん届
めています。北海道は豊富な農水産物の原料
いたりします。
産地であり、当社惣菜製品の原料調達に大き
く寄与しています。昆布、豆以外にもニンジ
○新商品の開発
ン、コーンといったものを含め、原料産地と
北海道に工場を進出させ、良質な北海道産
しての期待は非常に大きく、これが進出理由
原料を容易に使用できるようになったため、
のひとつということであります。それにカス
今後の新商品の開発に対する期待が非常に大
ピ海ヨーグルトの生乳です。北海道に進出す
きくなっています。
る前は加工乳を使っていたのですが、やはり
実は、この1年間は最初の1年だったので、
生乳の方が風味が良いということで、美味し
北海道工場操業にあたって前半戦苦労も多く
い生乳がある北海道へ進出しました。
ありました。不慣れな作業員や作業環境に
実は、北海道で取れる昆布のうち、一定の
よって不良品を多く作ったりしましたが、程
量を当社が使用しています。煮豆に関しては、
なく立ち直ってきました。現在は安定操業と
北海道産の大豆、金時豆を使用しています。
なっています。最初は作って運営するだけで
黒豆については、当社は丹波黒が非常に多い
必死でした。これからは、本体の開発部隊を
のですが、光黒といった北海道産の黒豆も使
北海道に派遣して、原料産地の近隣というメ
用しています。このように、主力製品である
リットを活かした開発を手がけていきたいと
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考えています。特に狙いはやはり、中食産業
れから、「ポテトサラダ」や「ごぼうと豆の
のおかず事業、野菜関係を中心に開発を手が
サラダ」などサラダ関係、包装惣菜です。さ
けていきたいというところでございます。
らに大豆水煮、いわゆる素材型の製品を作っ
ています。こういうものが主力商品です。
○優遇制度の利用
北海道工場には、生乳受け入れプラントが
北海道に工場を進出させるにあたっては、
あります。生乳はUHT(超高温加熱処理)
企業立地促進法に基づく支援措置を活用させ
滅菌機で滅菌処理しています。ソフトX線で
てもらいました。それから、投資額の1
0%が
異物が混入していないか検査したり、印字が
助成されるという北海道産業振興条例に基づ
間違ってないかを装置で検査したりという工
く助成措置も活用しました。厚生労働省の地
程があります。カスピ海ヨーグルトは容器に
域雇用開発助成制度、千歳市工業等振興条例
充填してから発酵室で発酵させる後発酵で
に基づく助成措置、これらも活用させていた
作っています。発酵室の温度コントロールは
だきました。
重要です。
北海道工場を稼動させてから1年を経過し
○生産コストに関して
てからの「カスピ海ヨーグルトプレーン
フジッコの生産工場はもともと8つあり、
4
0
0グラム」の販売推移ですが、やはりこの
関東工場、東京工場、横浜工場、鳴尾工場な
工場を成功させるのだということで、営業が
ど、やや関東圏、近畿圏に集中して立地し、
一体となって頑張ってくれまして、生産も順
商品を供給していました。千歳へ進出する前、
調に前年対比1
2
0%以上伸びてきている状況
カスピ海ヨーグルトは、横浜と愛媛県の松山
です。当社の「カスピ海ヨーグルト」は1
の2箇所で生産していました。消費者に近い
パック2
7
0円ぐらいで販売されており、プレ
ということでは利点がありましたが、生産合
ミアムヨーグルトというカテゴリーに入って
理化で一箇所集中ということと、それから生
います。このプレミアムヨーグルトの中でナ
乳によって品質の価値を上げるということに
ンバーワンになろうと頑張っているところで
着目しまして、北海道に一本化しました。
す。
物流に関しましては、日本海回りと太平洋
フジッコの包装惣菜のアイテム構成は、和
回りの両方のフェリー便で市場に対応するよ
惣菜、豆惣菜、少量パック、ブリスター容器
うにしています。物流費は若干上がりますが、
に入ったカップ売りタイプ、それからお魚惣
生産合理化と相殺するとやっぱりコストダウ
菜の5つに大別できます。この中のサラダ関
ンに繋がっています。
係を北海道工場で作っています。最近発売し
た商品に「朝のたべるスープ」というものが
北海道工場は、外壁に「カスピ海ヨーグル
ト」と大書しています。フジッコのこの工場
の主力商品はカスピ海ヨーグルトですよ、と
いう意味を込めています。敷地内には太陽光
発電設備も設置しています。作っている製品
は、半分以上がカスピ海ヨーグルト製品、そ
1
2
ありますが、ここに北海道産の原料がたくさ
ん使われています。
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