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平成21年度受託調査 「レーザー発振器に関する技術動向調査」 報告書
資料6-6 平成21年度受託調査 「レーザー発振器に関する技術動向調査」 報告書 平成21年10月30日 有限会社 パラダイムレーザーリサーチ -1- 1.適用 本報告書は、財団法人安全保障貿易情報センターと弊社(有限会社パラダイムレーザ ーリサーチ)との間で業務委託契約を締結した平成21年度受託調査「レーザー発振器 に関する技術動向調査」に関する報告書である。 2.調査目的 レーザー発振器は、このところ目覚ましい技術的な進展を遂げつつあり、加工用 など、産業用途への導入が拡大している。しかしながら、高出力レーザー発振器は、 核開発や軍事用途にも転用可能であるため、ワッセナー協定においては規制の対象 になっている。本調査事業においては、主に 2006 年以降の比較的近年の技術的進展 に的を絞り、ワッセナーの規制値以上のパラメーターを有するものについて、主な 性能・用途、並びに貿易管理に及ぼす影響・課題などの調査を行う。 3.本報告における調査内容の概要 最近のレーザー発振器に関する技術動向を、2006 年以降の文献等により調査した。 これまでに、延べ 140 件程度の文献が収集できた。 これらの文献をワッセナーの現行規制リストに沿って分類し、添付資料のごとく,参 考文献のリストを作成した。ワッセナー協定の非加盟国である中国から、規制値を超 えるレーザーに関する報告が、多数件なされていることが判明した。 参考文献における文字の色は、次のような分類により区別した。 黒色:ワッセナー協定の加盟国の製品ないし技術であって、規制値を超えるもの。 赤色:ワッセナー協定の非加盟国の製品ないし技術であって、規制値を超えるもの。 青色:ワッセナー協定の加盟国の製品ないし技術であって、規制値を超えてはいない ので、非該当ではあるが、参考のために掲載したもの。 茶色:ワッセナー協定の加盟国の製品ないし技術であって、規制値を超えてはいない ので、非該当ではあるが、参考のために掲載したもの。 紫色:規制値を超えるかどうか判断が難しいもの。 4.本調査結果による特記事項 この調査において、以下のような問題点及び課題が抽出された。 (1)最近の技術革新等により、従来は想定していなかったような新型のレーザーや新 しいレーザー発振の動作形態が出現しているが、それらに対する規制をどのように考 えたらよいのかが不明確なものがいくつかある。 例 1:光励起半導体レーザー(OPSL:Optically-pumped Semiconductor Laser) -2- 例 2:波長多重、時分割多重などにより、高輝度化・高出力化したレーザー、 とくに、コヒーレントビーム結合により高出力化したレーザー(6.A.5.d.1.a.1. に関しての米国の SCOWL プロジェクトについての記述などを参照) 。 例 3:量子カスケードレーザー(半導体レーザーに含まれるとしてよいか?)。 例 4:ファイバピグテール付半導体レーザーモジュールで、複数の半導体レーザ ーを組み込み、それらの半導体レーザーから出力されるビームを合成してファ イバ出力として取り出すようにしたものが急増している。この場、内蔵されて いる半導体レーザーがいくつ使用されているのかなどの技術仕様が製品のデー タシートなどには記載されていないことが一般であり、このような製品につい て該当か非該当かを判断することが現実的に困難である。ファイバ出力の輝度 及び出力などのパラメーターによって規制するほうがより適切ではなかろう か? 例 5: 放電励起酸素ヨウ素レーザー(EOIL ないし DOIL)は、化学酸素ヨウ素 レーザー(COIL)とは動作原理が異なっているので、現状のリストでは非該当 と考えてよいのではないかと考えられるが、念のため、EOIL に関する規制につ いての考え方をワッセナー会合にて確認しておくことが望まれる。 (2)リストにおけるパラメーターによる区分が適切でないため、複数の項目で重複し て該当になるレーザーが多々存在する。リストのパラメメーターの部分的な修正 などにより、いくつかのリストについては、重複を回避することが可能である。 例 1:一般にファイバレーザーはかなり高効率であり、出力 150 W を越えるも ので、効率(Wall-plug efficiency)が 12 %を越えるものは多々あるので、そのよ うなものにとっては、5.A.6.a.1.と 5.A.6.a.2.とはリストが重複してしまう。こ のような重複を避けるためには、5.A.6.a.1.は、100 W を越えてはいるが 150 W 未満のものであって、かつ効率 12 %を越えるもの、というように、効率も判 定要素とするレーザーについては、レーザー出力の上限を新たに規定するよう、 リストの表現を改訂すべきである。 例 2: 6.A.5.b.6.b.2.a.と 6.A.5.b.6.b.2.d.とのいずれにも該当するレーザーが 多々ある。このような重複は避けることが望ましいので、パルス幅 1 ns 以上 10 ns 未満のものについては 6.A.5.b.6.b.2.a.で規制するようにし、パルス幅 10 ns 以上 1μs 未満のものについては 6.A.5.b.6.b.2.d.により規制するようにリス トを改訂すべきである。 (3)用語の定義が大まかであるため、実際の判定において、どのリストに区分す べきかの判断が難しい場合がある。 例 1:マルチモードレーザーとシングルモードレーザーの境界とすべきビーム -3- 品質の値が不明確(M2=1.5 あたりが適切かもしれない) 。 例 2:バーストパルスで動作するレーザーにおけるパルス幅及びパルスエネル ギーに対する考え方が不明確。 (4)産業用として重要であるにも拘わらず、多数の製品が規制対象として該当と なってしまうので、規制の緩和がとくに望まれるものがある。 例 1:加工用のパルス高速繰り返し・高平均出力(ピコ秒・フェムト秒)超短 パルスレーザー(添付資料における 6.A.5.b.6.a.2.についての記述を参照) (5)ワッセナー非加盟国(とくに中国)からの、規制値を越える性能を有するものが 海外で販売されるようなものについては、Foreign Availability の観点から、規制 を緩和することが望まれる。 例1: 中国・Beamtech社は、波長1,053 nmにて、パルスエネルギーが最大で300 Jまで得られる高出力なNd:ガラスレーザーを市販しており、米国の商社等を通 じて、海外向けにも営業活動を行っている(6A5b6b2d-N4)。パルス幅は約15 ns である。用途はショットピーニングなど、金属の表面処理や、波長変換したグ リーン光によるTi:サファイアレーザー用の励起光源などである。パルス繰り返 し速度はデータシートに記載されていないので詳細は不明であるが、産業用途 などを考えると、パルスの繰り返しは、恐らく1分間に1ショットという速度よ りは高速なのではないかと推察される。もしパルスの繰り返し速度が1ショッ ト/分よりも低速であるならば、その場合、この種のレーザーは、6.A.5.d.6.a. で規制されるものに該当する。 5.添付資料(添付省略) (1)ワッセナーの分類に沿った参考文献のリスト並びにコメント 以 -4- 上