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2008年10月号 - ITIL - itSMF Japanオフィシャルサイト

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2008年10月号 - ITIL - itSMF Japanオフィシャルサイト
2008.10
ITサービスマネジメントフォーラムジャパン
第五回 it SMF Japan コンファレンス& EXPO 2008 開催レポート
連載 ITIL® V3 ST ・ SO ・ CSI について
ISO/IEC 20000 認定制度特集
第五回 it SMF Japan コンファレンス& EXPO 2008 開催レポート itSMF Japan コンファレンス担当
3
連載 ITIL® V3
サービストランジション(ST)について
サービスオペレーション(SO)について
継続的サービス改善(CSI)について
三宅 正史
川瀬 訓範
岩村 郁雄
10
ISO/IEC 20000 認定制度特集
it SMF Japan
21
it SMF Japan
30
コンファレンス 講演者インタビュー
アイバー・マクファーレン氏
シャロン・テイラー氏
ITIL® V3 最新情報並びに ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格
14
17
35
EXIN JAPAN
42
it SMF International 役員会・支部合同会議報告
副理事長 西野 弘
46
関西支部活動報告
it SMF Japan 関西支部
47
it SMF US Fusion 08 参加報告
it SMF Japan
48
第2回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award 募集
it SMF Japan
52
2008 年 Award 結果発表・編集委員紹介
it SMF Japan
53
ISO/IEC 20000 セミナー
日時:12 月 18 日 13:00 ~
場所:東京・新宿
講演:
・高取 敏夫氏 / JIPDEC
・青木 渉氏 /NTT コムウェア(株)
・新矢 理恵氏 / 日本クイント(株)
他
お申し込み詳細は、11 月中旬
メールで一斉配信。
登録のご希望の方は次まで;
[email protected]
第五回 it SMF Japan コンファレンス& EXPO
2008 開催レポート
開催レポ ト
2008/7/30 ・ 31
1000
はじめに
731
7 月 30・31 日に六本木の東京ミッドタウンで「第五回
it SMF Japan コンファレンス& EXPO 2008」を開催し、盛
600
況のうちに 2 日間の幕を閉じることができました。
400
会期中は折からの暑さにも関わらず、非常に多くの
200
IT サービスマネジメントに関わる方々にお越しいただ
0
き、誠にありがとうございました。「 変化するビジネス
を支える IT サービスマネジメント 」 をテーマに掲げま
したが、昨今の米国金融不安を端緒としためまぐるしい
795
800
873
997
964
546
511
第一回 第二回 第三回 第四回 第五回
コンファレンス
エキスポ
参加者推移(第一回~第五回)
定人数に達するものがかなりあり、特にユーザー講演に
環境変化を見ると、まさに時機を得たものになりました。 ついては希望が多かったため、急遽会場を追加して同時
また、昨年5月に ITIL® V3 が発刊され、日本語化も
中継させていただきました。 また、座席につきまして
本年8月末に完了いたしましたが、それに対する期待も
もなるべく多数の方にお座り頂くため、一部シアター形
強く感じる今年のコンファレンス& EXPO でした。
式にいたしました。ご参加の方には、窮屈な思いやご不便
をおかけいたしましたことをここにお詫び申し上げます。
概況
本コンファレンス& EXPO は、スポンサー 28 社および
it SMF に関連の深い後援 10 団体にご参加いただき、コ
ンファレンス講演数は 45、オープンセミナ数は 11 と
なり、いずれも過去最多となりました。また、二日間の
コンファレンスの来場者数は 997 人と過去最多となり、
EXPO(展示会)の来場者数 511 人と合わせて 1508 人に
なりました。
コンファレンスの講演の事前申込では早い段階から予
3
2007年/2008年
100%
90%
その他 31%
80%
70%
一般13%
60%
50%
40%
30%
会員56%
20%
10%
0%
2007年
その他26%
一般20%
会員54%
2008年
*その他については招待等も含む
コンファレンス参加者の内訳(会員別)
その他
一般
会員
さて、今回のコンファレンス& EXPO の参加者の内訳
ファレンスでは昨年から実施されており、あたりまえ
を見てみますと、昨年より一般の方の割合が増加して
の活動となってきています。
います(13%⇒ 20%)。IT サービスマネジメントへの
参加して頂いた方々のアンケートでは、配布資料が
関心が、会員の方に限らず広がってきているものと思
ないことによる戸惑いはあったものの、エコ活動の取
われます。更に、役職別に見ると係長・主任といった
り組みについてのご理解は全体的に高く、まずまずの
リーダクラスが一番多く、以下課長、担当の順に割合
結果でした。参加者の皆様には、今後とも継続的にエ
が多い結果となっています。現場で運用をされている
コの取り組みに対するご理解とご協力よろしくお願い
方々にとっての IT サービスマネジメントの実践が重要
いたします。
な課題となっていると言えるのではないでしょうか。
新しい取り組み
新しい取り組みもいくつか行いました。その一つと
して、初日 30 日の夕方にスタンプラリーによるドリ
ンクサービスや、抽選で当たる豪華景品を用意してイ
ブニング GALA と称したイベントを実施いたしました。
技術者同士がつながりを持つ場として、海外のコンフ
ァレンスではよく見られる光景ですが、日本ではあま
りないこのようなドリンクを飲みながらの抽選会で、
EXPO 会場は非常に和やかな雰囲気につつまれ、参加さ
れた方々に楽しんで頂けたのではないかと思います。
書籍販売
次の新しい取り組みは、コンファレンスで初めて試
験を実施したことです。今年の 5 月より ITIL® V3 の
日本語試験パイロットが開始されたため、今回のコン
ファレンスでいち早く研修試験トラックを設け、V3
Foundation のブリッジ日本語研修と試験を実施する
ことにしました。今年の2月に大阪の it SMF セミナで
EXIN の方と雑談しているときにこの話が偶然沸きあが
りました。
初日の受講者数は 61 人、二日目は 48 人と想定以上
に多くの方にお越しいただきました。当日は研修がお
よそ 8 時間、試験がおよそ1時間と受講者の方には長
イブニング GALA
時間におよび、夜遅くまで頑張っていただきました。
また、試験実施機関および研修実施企業の方々にもボ
ランティアでご対応いただき誠にありがとうございま
した。この研修試験トラックの取り組みについても参
加者の方々にご好評をいただきました。
新しい取り組みの最後は、昨今の重要なテーマであ
る環境問題に it SMF Japan としても貢献できないか、と
考えてエコイベントとしたことです。これに先立ち、
it SMF Japan としても環境省が中心となったチームマイ
ナス6%に加盟しました。
V3 Foundation のブリッジ日本語研修
本コンファレンス& EXPO では、クールビスの推進
や会場の室温調整、講演資料のペーパレス化、などに
取り組みました。このような取り組みは今回の日本の
it SMF コンファレンスだけでなく、米国の it SMF コン
4
アンケート結果について
ご来場の方々にご記入頂いたアンケートの結果を一
部ご紹介いたします。
IT サービスマネジメントの導入については、7割近
6%
8%
くの企業が導入している、あるいは導入予定といった
14%
回答であり、IT サービスマネジメントの普及が確実に
54%
進んでいることが分かります。
18%
ITIL® V3 の認知度については、8 割~ 9 割の方は V3
の存在は知っている一方で、過半数の方は中身を知ら
ないといった結果になりました。8 月末に日本語版書籍
■ IT サービスマネジメントを導入している
■ IT サービスマネジメント導入の予定がある
■ IT サービスマネジメント導入の予定がない
■その他
■無回答
が全て発刊されたばかりですので、当然のことかもし
れませんが、これからは更に中身の認知度も上がって
IT サービスマネジメントの導入について
いくでしょう。
ITIL® 関連資格の保有状況については、コンファレン
スに参加された方は ITIL® について理解されている方が
多く、半数以上が「Foundation V2 を持っている」と結
果になりました。また、V3 の認知度がまだこれからとい
うこともあり V3 関連の資格については、保有者は2%
ITIL® FoundationV2 資格を持っている
ITIL® FoundationV3 資格を持っている
ITIL® Manager 資格を持っている
更に、
「今後、コンファレンスやセミナで取り上げて欲
持っていない
しいテーマは?」という質問では、やはり「ITIL® V3」が
無回答
全 体
トップで昨年と同様に 4 人に 1 人の方が期待されています。
ITIL® 関連資格の保有状況
程度とまだまだ少ないといった結果になっています。
①
②
③
④
⑤
コンファレンス
EXPO
件数
%
件数
%
171 55.3%
37 40.7%
5
1.6%
2 2.2%
14
4.5%
0 0.0%
113 36.6%
51 56.0%
6
1.9%
1 1.1%
309 100.0%
91 100.0%
また、ISO/IEC20000 や IT ガバナンスについても継続した
関心を持たれているようです。そして、導入事例、動向な
どの情報への期待は昨年より更に高くなっています。
このような今回のアンケートの結果を受けまして、
来年度コンファレンスやセミナなどでは、皆様のご期
待に添えるよう鋭意検討し、ご意見の反映をして参り
ます。
(なお、本コンファレンス& EXPO のアンケート実施報
告書は it SMF Japan ホームページの会員専用ページにて
掲載していますので詳細はそれをご覧ください)
① よく知っている
② バージョンアップは知っているが内容は知らない
③ 知らない
④ 無回答
全 体
®
ITIL V3 の認知度
コンファレンス
EXPO
件数
%
件数
%
134 44.2%
19 20.85%
149
11
9
303
49.2%
3.6%
3.0%
100.0%
52 57.1%
18 19.8%
2 2.2%
91 100.0%
コンファレンス
EXPO
件数
%
件数
%
49 24.9%
① ITIL® V.3
162 23.8%
② ISO/IEC20000
87 12.8%
21 10.7%
③ IT ガバナンス
73 10.7%
18 9.1%
④ セキュリティ
39
5.7%
20 10.2%
⑤ ビジネスレジリエンス
21
3.1%
4 2.0%
⑥ サービスサイエンス
34
5.0%
7 3.8%
⑦ IT サービスマネジメント導入事例
130 19.1%
37 18.8%
⑧ IT サービスマネジメント市場動向
100 14.7%
32 16.2%
⑨ その他
10
1.5%
0 0.0%
⑩ 無回答
26
3.8%
9 4.8%
全 体
682 100.0% 197 100.0%
コンファレンス・セミナなどで取り上げて欲しいテーマ
5
2、特別講演
コンファレンス講演について
明治大学大学院教授
近藤 隆雄氏
■「サービス・マネジメントの発想 」
ITサービスよりも広い観点でのサー
ビス、つまり、医療、教育、金融、
レジャー、公共交通機関など利用者
にとってなんらかの価値を生む活
今年も、国際的に活動されている海外講演者や、国内
動、という観点でお話をいただきま
の IT サービスマネジメントに直接的あるいは間接的に
した。このサービスにはモノ、製品にはない特徴を有し
関わる種々の分野で活躍されている学術関係者の方々あ
ているために、そうした特徴を踏まえたマネジメントの
るいは IT 専門誌の方、そして企業の IT 部門で活躍され
必要性を説かれました。この観点はITサービスに関わる
ている方々、など幅広い観点や立場でのご講演があり、 人たちにも非常に有益な内容だったと思います。
いずれも参加者から好評をいただきました。
基調講演、特別講演、it SMF 講演の概要は以下のとお
日本ITガバナンス協会会長 青山学院大学大学院教授
松尾 明氏
りでした。
■「ITガバナンスの最近の動向 ITGIとIT経営を中心として」
ITガバナンス協会(ITGI)の会長職
1、基調講演
モルガン・スタンレー証券株式会社
におられる氏は、ITGIの最近の取り組
豊田 智洋氏
みの内容とITIL®の関係をグローバル
■「モルガン・スタンレーにおいての ITIL®」
な視点より紹介していただきました。
国内的視点では、IT経営の取り組みや
グローバル企業でのIT部門の責任
J-SOXなどの取り組み状況などが紹介され、グローバル化
者である氏が、「ユーザーに対する
への対応において、いかなる文化、考え方を理解しておく
サービスレベルの向上を考えた場合
必要があるかの具体的な解説をいただきました。
はフレームワークが必要になる」と
の考えのなかで、フレームワークと
3、it SMF 講演
してのITIL®への取り組みについて、具体的な説明をい
東京海上日動システムズ株式会社
ただきました。グローバル企業での導入事例としてとて
小林 賢也氏
も参考になったという声が多くありました。
■「エンタープライズシステムを支える IT サービスマネージメント」
it SMF International 議長
東京海上日動保険㈱殿と東京海上
シャロン・テイラー氏
日動システムズ㈱殿では、今年5月基
■「世界の舞台での IT サービスマネジメント」
幹システムを刷新し、4年に渡る大規
模開発プロジェクトと並行して、こ
it SMFの国際的なスキームの責任
れら新システムを安定的に稼動させ
者であると同時に、ITIL® V3のチー
るための運用管理プロセスの整備も行ってこられまし
フアーキテクトとして尽力して来ら
た。2001年から段階的に構築してきた運用プロセスを
れた氏が、世界におけるITIL ® の成
体系的に整備し、新システムのサービスインに先立っ
熟について、とくにITIL® V3の経験
て、2006年にISO/IEC20000、ISO/IEC27001の認証を取
に焦点をあてて説明されました。更にITIL®の資格スキ
得。
ームの最新情報、V3の今後の計画についても有益な情報
新システムの設計・開発にまで踏み込んだ攻めの運用
提供をしていただきました。
の実践事例としてご紹介いただきました。
6
日経BP社 日経コンピュータ 副編集長
東芝インフォメーションシステムズ株式会社
小原 忍氏
工藤 勝基氏
■「BCP 策定が急がれる3つの理由」
■「ITIL®適用からISO/IEC20000認証そして現在」
BS25999による認証制度も始まる
社内IT部門へのITIL®適用からISO/
など、昨今注目されている事業継
IEC20000認証(2006年10月)の取得まで
続計画(BCP)の策定が、企業にと
に関わってきた氏が、課題として、
って喫緊の課題となっています。
ITSMの成熟度向上を実現するために
本講演では、高まる圧力、増える
どの様な観点から活動を継続してい
原因、強まる影響、といった3つの背景のもと、具体
くか、社内IT部門としての貴重な経験をご紹介いただき
的にどんな状況になっているのか、先行企業はどのよ
ました。
うに対応しているのか、など豊富な事例をもとにご紹
itSMF 韓国
介いただきました。聴講者から「非常に参考になった」
カン・タエ・フォーン氏
という評価を多くいただきました。
■「ITSMを越えて-韓国企業でのケーススタディ-」
昭和シェルビジネス&ITソリューションズ株式会社
ITSMあるいはITガバナンス、とい
荻原 佳一氏
った観点で国際的に活躍されている
■「当社における問題管理/変更管理の実際」
氏は、韓国ではITSMが成熟するにつ
れて、多くの企業がその取り組みを
昭和シェルビジネス& IT ソリュ
ITSMを越えてITガバナンスへと広げ
ーションズ㈱殿におかれましては、 ようとしていると語っています。本講演では、システマ
第2回コンファレンスで ITIL® 導入
ティックで包括的なITマネジメントに向けた、韓国企業
事例を発表いただきました(当時は
での事例に言及されました。韓国でのこのような取り組
シェルサービスインターナショナル
みは同じアジアでのいい事例になったものと思います。
㈱)
。今回はそんな先進的な立場から、さらに次の展開
としての問題管理や変更管理の導入から現在までの改善
青山学院大学大学院教授
点や課題等についてご説明いただきました。
八田 進二氏
■「わが国内部統制報告制度の現状と課題」
FUJITSUファミリ会 LS研究委員会
鈴木 常弘氏
日本での本年4月からの内部統制
■「ITIL®による変更管理とリリース管理の導入
報告制度の立役者である氏が、実際
~リペアキットとしてのプロセス導入テンプレート~」
の現場での課題(重装備ないしは、
画一的対応に翻弄、など)や現状な
FUJITSUファミリ会 LS研究委員会
どを確認した上で、正しい制度対応
の分科会での研究成果として、「自
について言及されました。タイムリーなトピックでも
社の変更管理とリリース管理に簡
あり、聴講者の評価は極めて高く、非常に参考になっ
単に無理なくITIL ®の標準プロセス
たという声がほとんどでした。
を導入するために、自社の管理プ
ロセスと標準プロセスの適合状況を把握し、自社の課
題を検出した上でリペアキットとして必要なところを
補強・改善できるプロセス導入テンプレート」の作成に
ついてご紹介いただきました。
外部の研究会の発表という初めての試みでしたが、
ユーザー企業の集まりによる研究成果は非常に参考に
なったようです。
7
EXPO 2008
8
EXPO について
さいごに
コンファレンスと同じ東京ミッドタウン内のホールA
新しい取り組みを含めて今回のコンファレンスでの取
等に於いて、it SMF Japan EXPO 2008として、昨年と同
り組みを振り返り、参加者の皆様に好評だった点、ご指
様に無料で入場できる展示やオープンセミナを実施しま
摘を受けた点などをもう一度整理し、次回に繋げていき
した。
たいと思います。
EXPOでは、スポンサ企業や後援団体などによりITサー
また、ITサービスマネジメントの普及推進を行う団体と
ビスマネジメントに関する事例や製品・サービスなどの
して、タイムリーに質の高い情報提供に引き続き取り組ん
豊富な情報が提供されました。EXPOは今回で2回目です
で参ります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
が、過去に行われたコンファレンス&EXPOの参加経験の
なお、来年の第六回 it SMF Japanコンファレンス&
ない「初参加者」が7割近くを占めほとんどが非会員の
EXPOの詳細は現在検討中ですが、今回と同じく2009年7
方々となっています。そんな意味でも、この場がITIL®
月30・31日の2日間で開催予定です。場所等詳細につき
の幅広い普及に貢献できればと考えています。
ましては適宜オフィシャルサイト、会報誌等でご連絡さ
各ブースでは、ツールのデモやパネルやディスプレイ
せていただきますので、是非皆様のご参加をお待ちして
によるサービス説明、ITIL® V3対応のアピールなど展示
おります。
に工夫をこらし、様々な観点で実施され、非常に活気の
特定非営利活動法人 it SMF Japan
あるものとなりました。そんな展示社と参加者の熱気も
コンファレンス担当 成瀬 泰生
あって?か、会場内が暑すぎるというお叱りもいただき
ました。
また、前述のように、初日はイブニングGALAでのスタ
ンプラリーがあり、参加者がスタンプチケットを手に持
ちながら、ブースでの説明を受けている姿も多数見か
け、これは昨年にはなかった光景でした。
昨年同様、日本情報システム・ユーザー協会、ソフト
ウェア資産管理コンソーシアム、日本科学技術連盟、日
本情報処理開発協会、ITコーディネーター協会、ITガバ
ナンス協会、情報システムコントロール協会、情報処
理推進機構の各団体に加え、今年は新たに、PMI東京支
部、情報マネジメントシステム認証機関協議会といった
新規の後援を得て、更に幅広くit SMF Japanの活動と関
連の深い団体に情報提供いただきました。これらの団体
には展示に加えて、オープンセミナでのご講演もいただ
き、いずれも多くの聴講者があり、非常にご好評をいた
だきました。
9
サービストランジション(ST)について
三宅 正史
ITIL® Version3( 以下単に V3 と書く ) が今年 9 月に全冊揃い、ITIL® が全体的に
リニューアルされました。これまでの ITIL® Version2( 以下単に V2 と書く ) と比
較検討し、今後の運用業務にどのように取り込もうかと各社各人が検討されてい
ることと思います。本論では Service Transition( 以下 ST と書く ) の概論をご説
明します。
問題の解決実施のプ
■ V2 と V3 の違いについて■
ロセスという印象が
V3 ついて一番聞かれる質問がこれですが、実はこの質
非常に強かったと思
問に的確に回答するのが最も難しいのです。
います。
V3 と V2 を比較するとき、ほとんどの方々は V2 を「サ
と こ ろ が、ST で
ービスサポート」と「サービスデリバリ」の範疇で捉え
は、ライフサイクル
ていらっしゃいます。ところが V2 には、さらに「サービ
視点が入ったことにより視野を広げ、Service Startegy(
スマネジメント導入計画立案」「アプリケーション管理」 以 下 SS) で 企 画 立 案 し た サ ー ビ ス・ 事 業 を Service
「ICT インフラストラクチャ管理」「ビジネスの観点 サー
Design( 以下 SD) で具体化・計画・設計・開発し、そし
ビス提供における IS からの視点」「セキュリテイ」の書
て ST で 稼 働・ 実 現 さ せ、Service Operation( 以 下 SO)
籍が出ており、全体で 7 冊の構成になっています。
で日常運用に到る、という捉え方になっています。
したがって、これらを全体的にライフサイクルの視点
これは即ち、IT でいうところの新規システム導入やシ
で再編したものが V3 のベースであることを最初にご認識
ステムリプレースのような大規模な変更を強く意識した
いただきたいと思います。
⥅⥆ⓗࢧ࣮ࣅࢫᨵၿ
今回、本論では読者がサービ
ኚ᭦⟶⌮
㸦㸧
スサポートとサービスデリバリ
5)&
5)&
5)&
%/
%/
%/
5)&
しか読んでいないという前提で
5)&
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ࢧ࣮ࣅࢫ㈨⏘⟶⌮࠾ࡼࡧᵓᡂ⟶⌮
㸦㸧
話を進めます ( 以下本論では V2
%/
%/
%/
%/
の呼称を使うときは、「サービス
⛣⾜ࡢィ⏬❧᱌࠾ࡼࡧࢧ࣏࣮ࢺ
㸦㸧
サポート」と「サービスデリバリ」
⤌⧊࡜฼ᐖ㛵ಀ⪅ࡢኚ᭦ࡢ⟶⌮࡟࠾ࡅࡿ┘╩
㸦㸧
を指すことにします )。
ኚ᭦ࡲࡓࡣࢧ࣮ࣅࢫࡢホ౯
㸦㸧
(
■ V3 における ST の意味■
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(
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ST に相当する V2 のプロセス
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㸦㸧
は何か ? といいますと、「変更
当します。「変更管理」と「リ
ト業務におけるインシデントや
ึᮇࢧ࣏࣮ࢺ
ࢼࣞࢵࢪ⟶⌮
㸦㸧
リース管理」は、V2 のサービス
もあり、文脈上、日常のサポー
ࢧ࣮ࣅࢫ
࣮࢜࣌ࣞࢩࣙࣥ
ࢧ࣮ࣅࢫࡢጇᙜᛶ☜ㄆ࠾ࡼࡧࢸࢫࢺ
㸦㸧
管理」と「リリース管理」に相
サポートで述べられていたこと
⛣⾜ࡢ
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ࢡ࣮ࣟࢬ
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ᮏ᭩ෆࡢ,7,/ࣉࣟࢭࢫ
(
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図1 サービストランジションの適用範囲
出典 ITIL
® サービストラジション (図 2-3) , OGC, UK
10
5)&
ࢧ࣮ࣅࢫࢹࢨ࢖ࣥࢆホ౯ࡍࡿ࣏࢖ࣥࢺ
࣮࣋ࢫࣛ࢖ࣥࢆྲྀᚓࡍࡿ࣏࢖ࣥࢺ
ኚ᭦せồ
話が少し逸れますが、ここでひとつ皆様と確認してお
ものになっているということです。
きたいことがあります。
り、ST は SD から「サービスパッケージ」を受け取り、 「ITIL® の適用目的は何ですか ?」との問いかけに対し、
ラ イ フ サ イ ク ル の 視 点 で み た ST は、 図 1 に 示 す 通
実行し、SO に渡すプロセスを担っており、インプット
皆様はどのように答えますか ?
は SD からのサービスパッケージと Continual Service
一般的には「IT 品質の向上」という答えが返ってくる
Improvement( 以下 CSI) からの改善が主となります。
ことが多いのですが、さらに「なぜ IT 品質の向上が必要
そしてアウトプットは SO への移行と SS, SD に対するフ
なのですか ?」と問いかけますと、怪訝な表情をされる
ィードバックが主軸です。
ことがあります。
マネジメント (ITIL® での意味は単なる業務の管理者で
■ ST の特徴■
はなく、経営者の意 ) の考えは、IT の品質管理や向上が
真の目的ではなく ( 勿論これは日々のオペレーションや
ST プロセスに示された主な特徴をこれからご説明します。
運用・保守の現場に従事されていらっしゃる方々には大
ST が持つ主要な役割は、図1の下半分に示したプロセ
切なことですが )、業務の継続的な遂行を通して商品やサ
スになります。
具体的には「リソースの計画と準備」
「構築とテスト」
「サ
ービスを提供し、その結果として投資に見合った利益を
上げることにあります。ITIL® は V2,V3 を問わず、ここに
ービスのテストとパイロット」
「展開の計画と準備」
「移転・
軸足を置いていますが、V3 ではサービスの視点が強くな
展開・廃止」「以降のレビュートとクローズ」「初期サポ
ったことにより、マネジメントをはじめとする、あらゆ
ート」「サービスの妥当性確認とテスト」です。
る視点からの妥当性を意識してものになっています。
特徴的な点は、「経営目標を実現するための道具である
話を元に戻し、ST に示された新たな考え方をご説明し
IT をいかにうまくコントロールするか ?」という問いに、 ます ( 図 2)。
理想的な回答を提示するために考慮すべきマネジメント
(1) 構成管理の具体化
の視点を加えていることです。
V2 において、構成管理データベース (CMDB) を実現す
そのため、妥当性確認、テスト、評価に関する事項が
るには…? というのが難しいテーマであったと思います
繰り返し詳細に記されています。
が、V3 では、実務者感覚では、ある種の理想論であった
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図2 構成管理システムの例
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出典 ITIL® サービストラジション (図 4-8) , OGC, UK
11
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CMDB をどうのような考え方で構成すべきかについて、デ
(2) 変更管理の拡大 ータ層⇒統合化層⇒ナレッジ化層⇒ポータル層として例
システムの運用管理の側面から考えると、本番稼動を
示しています ( 図 2)。
無事成功させるためには、最新の注意を払って構築し、
CMDB は既存の様々な管理ツールから生成される多様な
あらゆる観点からテストを行い、品質を徹底的に当初計
CMDB の要素 (CI) を集め、統合された「統合 CMDB」とな
画した基準に近づけることが必要です。
り、資産も含めて管理するもの (「サービス資産管理お
そのためには、十二分な事前準備が必要になりますし、
よび構成管理 (SACM)」) として語られています。また、 事前のテストと稼働後の初期サポートとその体制、これ
メディア管理にも言及し、DML( 確定版メデイアライブラ
らの活動記録 (SKMS への記述 ) が SO 移行後の品質を大き
リ ) という考えを盛り込み、全体として構成管理システ
く左右します。
ム (CMS) を構成する、としています。
ST の変更管理においては、展開管理、テスト、初期サ
ST はサービス導入を行う役割ですので、CMS を構築し、 ポートについてスペースが割かれました。
DML を作り、アプリケーション等を格納し、さまざまな
様々なテスト名称が羅列されていますが、中でも「サ
CI を正確に登録し、SACM を完成させ、SO に渡すことも
ービスマネジメントの管理性のテスト」が新しい視点を
重要な役割です。
提供しています。デミングサイクルを適切に回すために
管理すべき CI の概念も増えています。様々な計画を記
はサービスマネジメント機能が正しく機能する必要があ
した「サービス・ライフサイクル CI」、サービス・リソ
ります。例を示し、サービスマネジメントの各プロセス
ースやサービス・パッケージなどの「サービス CI」を初
( 変更管理や構成管理など ) と設計~構築、展開、運用、
めとし、「組織 CI」「内部 CI」「外部 CI」など、広く管理
初期サポートの各段階とのマトリクスで網羅的なチェッ
することを推奨しています。
クをすることを推奨しています。
また、V2 の CMDB では CI 間の関係作りについては、あ
また、前述のとおり、V2 の変更管理はインシデントを
まり詳しく述べられてはいませんでしたが、V3 の SACM
起点とした変更のイメージが強いため、システムに対し
では、単なる情報の塊から組織知に発展、成長させ、サ
て実施した変更が、現場の変更管理ユーザや顧客には体
ービスナレッジ管理システム (SKMS) として再利用、応用
感できないことも少なくありません。
していくべきものであるとし、CMDB 構築の目標を定性化
一方、V3 での変更管理は、サービス視点とマネジメン
しています ( 図 3)。
ト視点を強く意識していますので、ユーザの作業手順、
業務ルールの変更、あるいはこれらを包含した大規模な
業務改革 (ITIL® ではビックバンと呼ぶ ) をも想定してい
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ます。
いずれの場合にしても変更管理プロセスの重要性は業
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務の正常稼働を確実にすることですが、特に経営視点か
ら見た場合、システムの不具合に起因する様々なリスク
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( 例えば業務停止による機会損失、市場での信用低下、
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情報漏洩等のセキュリティ事故、社内の混乱による生産
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性の低下、SOX 対応のミス等 ) をいかに減らすかが重要
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になります。
したがって、変更管理とこれに関係する展開管理、テ
図3 データから知恵までの流れ
出典 ITIL® サービストラジション (図 4-37) , OGC, UK
スト、初期サポート、構成管理の意義・重要性を、IT 管
理の視点だけに留まらず、経営視点を意識して ST で改め
かつて、システム導入の主な理由はコストダウン、業
て確認していただきたいと思います。
務効率化でしたが、現在は企業戦略システムとして投資
すべきもの、という概念に変わっています。その実現には、
単なるデータの集合体ではなく、データを有機的に結び
つけることによりナレッジ化することが重要なのですが、
これと全く同様のことです。
(3) 組織・コミュニケーション
マネジメントにおける最大究極の課題は人である、と
いうのはプロジェクトや組織マネジメントに関わられた
方々なら想像に難くないと思われます。
変更管理の成功には、システム的な作業だけでなく、
12
利害関係が異なるステークホルダー間での合意獲得が重
起こす場合、人々がどのような反応をするかについて、
要なポイントになります。
一般例として感情のサイクルについて述べています ( 図
特に大きな変更が必要な場合にマネジメント層が理
4)。
解すべきこととして「組織を変革する 8 つのステップ」 簡単に説明しますと、変更の事実を知ることによる「動
(J.P コッター ) が取り上げられています。
揺」、そのことを「回避」する行動、回避できないことに
具体的には「危機意識を高める」「推進チームを作り上
よる「外部への非難」、外部非難する自分に対する「自己
げる」「ビジョンと戦略を策定する」「変革のビジョンを
非難」、そして現実の「受容」へという軌跡を辿ることが
伝達する ( そして、何度も繰り返し伝える )」「広範な行
多いということです。
動に権限を与える」
「短期的な成果を出す」
「成果を確立し、 IT の変更は、IT にかかわる人々にも多大な影響を及ぼ
さらに変革を生み出す」「カルチャに新しいアプローチを
すことが多々あるため、People, Process, Product のバ
根づかせる」という 8 つのステップです。
ランスを取ることが必要です。今回、新たに人を意識し
実務の世界においては、経営さらに、マネジメント層
たという点では、一般論ではあるものの、有意義なこと
にとっての目的や妥当性と、システム部門、あるいはユ
だと思います。
ーザ部門にとってのそれらは異なることが多く、しかも
異なっていることに気付いている人があまりにも少ない
■最後に■
というのが実態だと思います。
このような環境下において、ユーザに影響を与えるビ
ST の概説を駆け足で述べてきましたが、ST にはサービ
ックバン改革を行った場合、ユーザにとっては自らの業
スの本番稼動前後に必要なマネジメントの視点が述べら
務の手順、仕組み、考え方が変わる、あるいはその職種
れています。しかも今回ライフサイクル視点とサービス
そのものがなくなり配置転換になる等、多大な影響が発
の視点を取り込んだことにより、システムの変更だけで
生します。ユーザが自社内ではなく、お客様や仕入先、 なく、システムを通じて業務に関わるすべてのステーク
取引先、パートナー等、社外であった場合、その影響は
ホルダーに大きな変化、変革をもたらす広い意味での変
計り知れないものとなります。
更を強く意識したものになっています。
経営マネジメント層は、企業、組織としての成果の視
ST で拡大された変更管理の視野が、読者の皆様に新た
な気付きを提供することと思います。
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本論が、皆様が ITIL® Version3 に触れるきっかけにな
れば幸いです。
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富士通株式会社
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映像ネットワークサービス事業部
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デジタルサイネージビジネス部
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三宅 正史
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図4 変更に伴う感情のサイクル
出典 ITIL® サービストラジション (図 5-4) , OGC, UK
点を重要視しています。また、中間管理者層は経営層と
ユーザ層のギャップを埋めるためにリーダシップを発揮
することになります。
前述した初期サポートのようなシステム運用に対する
ケアは、V2 のサービスデスクの概念が浸透したことによ
り一般化していますが、IT 内部に留まらない業務改革を
含む変更プロセスに関しては、ITIL® の外の領域になっ
ていたため、それぞれの解釈に委ねられていました。
ST では、この領域に踏み込み、特に組織や実務者に対
する新たな仕組みの導入等、何らかの大きな変革を引き
13
サービスオペレーション(SO)について
川瀬 訓範
ITIL® の旧バージョン (ITIL® V2) は、IT サービスの運用のフレームワークと
して、多くの IT 関係者、特にシステム運用に関わる方によく活用されてきました。
ITIL® の新バージョン (ITIL® V3) は、IT サービスの運用だけでなく、ライフサ
イクル全体にわたるフレームワークとして 5 冊のコア書籍にまとめられていま
す。その 5 冊の中で日々の IT サービス運用について説明している書籍が「サー
ビスオペレーション」であり、IT サービスの運用に関わる多くの方が一番注
目している書籍であると思います。ここでは、ITIL® V2 と比較しながら「サー
ビスオペレーション」の概要についてご紹介させていただきます。
■サービスオペレーションの目的■
さて、IT サービスの提供において、サービスデザイン
ITIL® V3 では、インシデント管理プロセスの括りをより
の段階で優れたサービスを計画・設計し、サービストラ
IT サービス運用の実態面に沿った視点で見直していま
ンジションで確実にサービスが移行できても、日々の運
す。ITIL® V3 では、イベントはイベント管理、サービス
用を適切に管理していないと優れたサービスを提供して
要求は要求実現というプロセスで専門的に取り扱います。
いるとはいえません。また、日々の監視およびデータ収
ITIL® V2 のインシデント管理を学んだ皆様も、活動の実
集がしっかり行われないとサービス改善もできません。 態は、イベント ( 注 1) やサービス要求を通常のインシデ
そこで、「サービスオペレーション」が日々の運用活動で
ントと区別して取り扱っていることでしょう。したがっ
優れた IT サービスを提供できるように導いてくれます。
て、ITIL® V3 で ITIL® V2 と視点が異なったからといって、
皆様の現場が混乱することはありません。
「サービスオペレーション」は、顧客と合意したレベル
( 注 1) イベント
構成アイテム (CI) や IT サービスの管理において、重要な状態変更のこと。
イベントからインシデントが記録されることもある。
のサービスを提供するために、プロセスや活動を管理・
調整することを目的とした手引きです。
●インシデント管理
■ 5 つのプロセスと 4 つの機能■
前述のとおり、ITIL® V2 のインシデント管理が ITIL®
ITIL® V3 では、プロセスだけを重要視するのではなく、
V3 ではインシデント管理、イベント管理および要求実現
プロセスを IT サービスマネジメントのライフサイクルの
の 3 つのプロセスに分かれました。また、ITIL® V3 のイ
一要素として扱います。機能もまた、IT サービスマネジ
メントのライフサイクルの一要素です。サー
ビスオペレーションは、5 つのプロセスと 4 つ
の機能を含んでいます。これらのプロセスや
機能について ITIL® V2 との関係を以下の図1
に表します。
ITILV3 サービスオペレーション書籍
ロセスのうち、インシデント管理、イベント
プ
ロ
セ
ス
イベント管理
インシデント管理
要求実現
問題管理
問題管理
アクセス管理
サービスデスク
サービスデスク
セキュリティ管理
機
能
Security
Management書籍
技術管理
アプリケーション管理
管理および要求実現は、ITIL® V2 ではインシ
デント管理プロセスに含まれていました。
サービス
サポート 書籍
インシデント管理
■サービスオペレーションのプロセス■
サービスオペレーションにおける 5 つのプ
ITILV2
IT運用管理
ICTインフラストラクチャ管理 書籍
アプリケーション管理 書籍
図1 ITIL® V2/V3 のプロセスおよび機能の対比
14
ンシデント管理では、インパクトや緊急度が高い「重大
題管理に対する一連の活動の流れを提供していて、重大
なインシデント」の取り扱いについて述べています。重
な問題へのレビュー活動もフローの中に明示されていま
大なインシデントは、より短期間で対応できるように緊
す。
急の手順を個別に必要とします。そして、必要に応じて
●アクセス管理
重大なインシデントに集中して対応するチームを動的に
アクセス管理は、ITIL® V3 で新しく定義されたプロセ
立ち上げます。
スですが、ITIL® V2 ではアクセス管理に関わる活動を全
く考慮していなかったわけではありません。ITIL® V2 書
●イベント管理
籍の「Security Management」でアクセスコントロールに
イベント管理は、IT インフラストラクチャ全体を通し
て発生するすべてのイベントを管理するプロセスです。 ついて述べています。
イベントは通常、モニタリング・ツールによって通知さ
アクセス管理は、権限をもったユーザのみがサービス
れます。イベント管理は、発生したイベントの重要性を
を利用できるようにアクセスを制限するプロセスです。
確認し、「例外」であるならば、インシデント管理、問題 「サービスデザイン」の情報セキュリティ管理や可用性管
理で定義した方針と処置を実行します。
管理や変更管理に処理を振り分けます。
■サービスオペレーションの機能■
イベント発生
サービスオペレーションを構成する要素とし
イベント検出、フィルタリング
情報
インシデント
トリガ
イベントの記録
て、プロセス以外に 4 つの機能があります。
例外
重要性
警告
イベント内容
変更要求
●機能とは
問題
警告として処理
(自動応答や
人の介入など)
インシデント
管理
機能とは、プロセスを実行する人や自動化し
問題
管理
変更管理
た手段を意味します。1 つの機能は 1 つのグル
ープで構成される場合もあれば、複数の部門や
処置のレビュー
効果あり
グループを組み合わせて構成される場合もあり
N
ます。
Y
機能は、高い専門能力でそれぞれの特定業務
イベントのクローズ
を実行します。したがって、局所的な最適化を
終了
進めてしまう傾向があり、それぞれの機能は縦
図2 イベント管理のフロー
( 出展 :ITIL® V3 サービスオペレーション (OGC) を変更 )
割りとなり、機能間の調整が乏しくなります。
●要求実現
そこで、プロセスが機能を横断して調整とコントロール
サービス要求を取り扱うプロセスであり、顧客のニー
の改善を進めるようにしなくてはいけません。
ズを満たすという重要な役割があります。ITIL® V2 では、
インシデント管理の中のサービス要求を処理する部分に
機能2
機能1
該当します。サービス要求は、パスワード変更や PC への
ソフトウェアインストール要求などのように、頻度が高
機能同士の調整は
乏しい
機能3
専門的な能力
で業務を実行
プロセス1
く、低リスク、低コストで処理できる小さな変更か、単
なる情報の要求であることが多いです。これらをインシ
機能を横断的に調
整・コントロールする
プロセス2
デント管理や変更管理に処理・管理させて、これらのプ
部分最適となりやす
く縦割りの活動となる
ロセスの活動パフォーマンスを邪魔するのではなく、要
図3 機能とプロセス
求実現という新たなプロセスで処理させます。
もちろん、プロセスだけで効果的な運用を実行して、
優れたサービスを提供することはできません。機能とプ
●問題管理
問題管理は、ITIL® V2 と同様に、問題 (1 つ以上のイン
ロセスは、両方とも重要です。
シデントからなる未知の原因 ) を取り扱うプロセスです。
ITIL® V2 では、機能としてサービスデスクが定義され
この ITIL® V3 の問題プロセスでは、リアクティブな問
ています。そして ITIL® V3 の「サービスオペレーション」
15
では、サービスデスクに加えて、3 つの機能が追加定義
インフラストラクチャの日常的運用の管理を行います。
されています。
また、イベントの管理や IT コンポーネントのステータス
技術管理
サービスデスク
サーバ
IT運用管理
やパフォーマンスの報告なども行います。そしてこれら
アプリケーション
管理
運用
コントロール
の活動を行うために、オペレータのシフト勤務なども管
理します。
財務AP
これらのオペレーションに関する活動については、
ネットワーク
施設管理
人事AP
ITIL® V2 で は 明 言 し て い な か っ た た め、 個 人 的 に は
在庫管理AP
ITIL® V3 で位置づけを見せてくれたことはありがたいと
データベース
ミドルウェア
思っています。
・施設管理
図4 サービスオペレーションの機能
コンピュータ室やデータセンタに設置する IT 運用のた
( 出展 :ITIL® V3 サービスオペレーション (OGC))
めの物理的な環境を管理します。たとえば、建物管理、
●サービスデスク
電力管理、物理的アクセスコントロールなどがあります。
ITIL® V2 でも定義されている機能です。サービスデス
クはユーザに対するコミュニケーションの単一窓口とな
施設管理は、1 つの機能としてグループや部門が形成さ
れます。
り、サービス要求に対応したり、インシデントを迅速に
処理して通常のサービスに回復したりします。
●アプリケーション管理
アプリケーション管理は、アプリケーションのライフ
●技術管理
サイクルを通した管理に責任を負う機能です。
技術管理とは、技術的な専門能力をもって、IT インフ
以下の図5は、アプリケーション管理のライフサイク
ラストラクチャの総合管理を行う部門、グループまたは
ルの図です。ITIL® V2 の「アプリケーション管理」でも
チームのことです。技術管理は、テクニカル・アーキテ
同様の図がありましたが再度ご覧ください。
クトと設計者の専門グループと、運用・保守・サポート
図のとおり、アプリケーションの開発と運用は同じラ
の専門グループの異なる 2 つのグ
イ フ サ イ ク ル 上 で 回 っ て い ま す。
要件
ループとして組織化されることが
そして、担当する要員によって開
あります。しかし、良い IT サービ
発と運用の関与の度合いは異なっ
スの設計には、その IT サービスを
ていても、どちらもライフサイク
管理する要員からのアプローチが
設計
最適化
ルすべてに関与するべきです。
必要であり、良い IT サービスの運
用には、IT サービスを設計した要
員の関与が必要です。そこで、運
■サービスオペレーションは、IT
運用
構築
運用に関わる方にとって一番身近
用の要員が設計に関わり、設計の
な書籍です。是非、この記事に書
要員が運用の目標設定や課題解決
かれていることをもっと知ってい
に関与するべきです。
ただくために、「サービスオペレー
展開
● IT 運用管理
IT 運用管理とは、組織における
図5 アプリケーション管理ライフサイクル
( 出展 :ITIL® V3 サービスオペレーション (OGC))
日々の運用活動に責任を負う要員の部門、グループまたは、
チームのことです。IT 運用管理の機能は、技術管理やア
プリケーション管理のグループのスタッフにより構成され
たり、この活動を専任で行う部門があったりします。
IT 運用管理は、2 つの役割に分けて見ることができます。
・運用コントロール
コンソール管理、ジョブ・スケジューリング、バック
アップとリストア、印刷およびアウトプット管理など IT
16
ション」をお読みください。
NEC ラーニング株式会社
川瀬 訓範
継続的サービス改善(CSI)について
岩村 郁雄
Ⅰ はじめに
IT サービスの運用中に何か障害が発生し、それを問題
ビスのパフォーマンス
解決する活動はどのサービス・プロバイダでも当たり前
を測定し、サービス改
のように実施されている。このような問題解決も改善活
善計画を立案し、それ
動の一種であるが、残念ながらほとんどのケースでは、 に沿って改善するこ
問題が解決するまでが活動の範囲であり、そこで得た知
とがその後の継続的
見やノウハウを再び活用できるようになっていることは
活動の発端になると
少ない。
考えられる。
(図1)
継続的サービス改善は、そのような問題解決における
ビス改善は、IT サ
実際の継続的サービス改善は、IT
知見やノウハウを含め、すでにほとんどの組織で「慣例」 ービス・ライフサイクルの特定の時点を示すものではな
として実践しているさまざまなサー
ビス改善活動を、正式な活動とする
ことをテーマとしている。継続的サ
ービス改善によって、何かが起きて
から対応する=リアクティブな活動
を見直し、事前の問題予防や改善機
会の発掘=プロアクティブな活動を
正式に推進することで、IT 部門が IT
サービスと IT サービスマネジメント
の改善に真剣に取り組むことができ
るようになる。これにより、ビジネ
スの目的と IT の目的を常に整合させ、
リソースを的確に活用し、IT サービ
スのコスト改善を図ることができる
ようになる。
Ⅱ 継続的サービス改善と
サービス ・ ライフサイクル
一般にサービス改善活動と言うと、
IT サービスが本番稼動して、サービ
スオペレーションのフェーズに入って
から改善活動を始めることが多い。IT
サービス・ライフサイクルの流れを理
解するために、5つのフェーズを時系
列につなげてみると、継続的サービス
改善は、まずは本番稼動した IT サー
図1 サービス・モデルの鳥瞰図 1 出典 : http://www.best-management-practice.com/gempdf/itSMF_An_Introductory_Overview_of_ITIL_V3.pdf
17
く、サービスストラテジと同様に、IT サービス・ライフ
中で実際に測定可能なものを見極める。具体的にはまず、
サイクルのあらゆる側面に焦点を当てた活動である。つ
何もカスタマイズしない状態のツールを使って測定でき
まり、5つのフェーズそれぞれにおいて、「7 ステップの
るものを一覧にまとめる。そして次に、現行のプロセス・
改善」、およびそれを支える「サービス測定」、「サービ
フローや手順、既存ツールのマニュアル、既存のレポー
ス報告」の改善プロセスを実行し、継続的サービス改善
トやデータベースなどを参照して、Step1 の測定項目の一
によるフィードバックと改善機会の識別によって、相乗
覧の中から実際に測定できるものをふるい分ける。その
的な改善効果を狙うものである。
結果、Step1 の項目の中で測定できないもの=ギャップに
ついては、測定できないことによってどのようなリスク
があるかを明確にし、ビジネス、顧客、IT 部門に報告する。
Ⅲ 7 ステップの改善プロセス
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Step3: データの収集
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ここでは実際にモニタリングとデータ収集を行う。ツ
ールと手作業のプロセスを組み合わせ、定義された測定
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7. ᫝ṇฎ⨨䛾ᐇ᪋
項目に必要なデータを適切に収集する。
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モニタリングは、サービス品質に焦点を当てて実施す
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る。したがって IT のリアルタイムのパフォーマンスは
あまり重要ではなく、サービス、プロセス、ツール、組織、
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CSI の有効性といった、現在のサービスレベルや IT のパ
フォーマンスを改善する機会が発掘できる可能性がある
図2 7ステップの改善プロセス
2 出典 : CSI 書籍 図 4.1「7 ステップの改善プロセス」
ものに焦点を当ててモニタリングを行う。
7 ステップの改善プロセス(図2)では、ステップそ
例えば「インシデントによる例外状況から回復する」
れぞれで「実際に何を測定し、情報をどこで見つけるの
ことはインシデント管理の最終目標であるが、継続的サ
か?」という質問の答えを明確にする必要がある。
ービス改善においては「インシデントによる例外状況か
意味のあるデータを収集し、それを分析できるように
ら合意された時間内に回復したか」あるいは「回復の結果、
データの処理を行うことで、データは情報に変換される。 将来のインシデント発生を防止できたか」といった、例
その情報の傾向分析、課題抽出を行うことで情報はナレ
外とその解決策から得られる改善機会の発掘を重視する。
ッジに変換される。そしてナレッジは、マネジメントが
さらに例外が起きないことの中にも改善機会を探すこ
優先度付けと合意のために利用することで知恵へと変換
とができる。一例として長期間サービスレベル・アグリ
される。このように段階的に改善を推進する7つのステ
ーメント(SLA) の違反が起きていない状況を想定する。
ップそれぞれについて説明する。
この状況が、例外を発生させないために適切に活動した
結果ではなく、努力なしにサービスレベルを維持できる
Step1: 何を測定すべきかの定義
のであれば、そのためのコストを下げることができない
どんなものでも測定できるような理想的な状況であれ
か、あるいはコストに見合ったパフォーマンスの改善を
ばいったい何を測定するべきなのだろうか。このステッ
図ることができないか、という観点で改善機会を見つけ
プの段階ではそれが測定できるかできないかに関わら
ることができる。
ず、最終目標を達成するために必要な測定項目を洗い出
す。サービス・カタログを手始めに、各顧客のサービス
Step4: データの処理
レベル要件、サービスレベル目標値、ビジョンとミッシ
収集したデータは、それを必要とする対象者に合わせ
ョン、法規やガバナンス要件、予算サイクルなどから
て変換し、情報として提供する必要がある。サービス全
も「何を測定すべきか」の情報を見つけることができる。 体のパフォーマンスを把握できるよう、サービスやプロ
また、ビジネス、顧客、IT 部門を交え、測定項目につい
セスのパフォーマンスをエンドツーエンドで見ることの
て議論することが不可欠である。
できる形式に変換する。具体的には IT サービスマネジ
メントやモニタリング機能を提供する各種ツールやレポ
Step2: 何が測定できるかの定義
ートツールを利用し、データを処理する。この結果を次
このステップでは Step1 で洗い出された測定項目の
のデータの分析ステップのための情報源とする。
18
Step5: データの分析
スの測定値からエンドツーエンドのサービスの測定値を
データの処理により、データは情報へと変換され、次
導き出すことができるようにすることが目的である。例
のような観点で分析することができるようになる。
えば、ある ATM サービスにおけるエンドツーエンドの可
• 達成目標に見合っているか?
用性について考えてみる。(図3)
• 明確な傾向が表れているか?それは良い傾向か、悪い
傾向か?
• 是正処置が必要か?そのコストは?
分析によって、情報はナレッジに変換される。その一
つの例として、どの顧客がどのリソースをいつどのくらい
利用したかを管理するワークロード管理を考えてみる。
ワークロード管理プロセスにより提供される情報によ
って、リソースの使用状況が与えるサービス全体のパフ
ォーマンスへのインパクトや、特定の期間や時間帯のリ
ソース利用状況に一定の傾向がないか、などを分析する
ことができる。改善プロセスを通じこの分析の結果を、
需要予測や顧客行動への影響力行使といった需要管理の
図3 エンドツーエンドの可用性
ナレッジとして活用することもできるだろう。
この例では、コンポーネントの可用性の中で最も低い
Step6: 情報の提示と利用
値が 95.0%なので、これがこのサービスの可用性の値に
これまでのステップで取得したナレッジを、それぞれ
なると考えられがちである。しかし実際には、コンポー
の対象者/利害関係者に対し、理解しやすい形式で提示
ネントの例外事象がすべて同時に起きたわけではないた
する。対象者はそれをインプットとして利用し、戦略的、 め、顧客が経験している可用性は、各コンポーネントの
戦術的、および運用上の意思決定を行うことができるよ
可用性を掛け合わせたもの、すなわち 80.9% となる。サ
うになる。つまり、このステップは、レポート、モニタ、 ービス全体の測定値を導き出すことで、サービス全体の
処置計画、レビュー、評価、および機会などを活用して、 可用性と信頼性を評価し、その改善を図ることができる
ナレッジを知恵に変換するステップと言うことができる。
ようになる。
Step7: 是正処置の実装
Ⅴ サービス報告プロセス
最後は、ナレッジを利用してサービスを最適化、改善、
および是正するステップである。改善の責任者は、課題
サービス測定プロセスによって収集された膨大なデー
を明確にし、解決策を提示し、その是正処置の結果どの
タのほとんどは、主に IT サービスを管理するために利
ようにサービスが改善されるかを明確にし、利害関係者
用され、ビジネスにおける戦略的、戦術的、および運用
に提示する。そして、サービスやサービスマネジメント・
上の意思決定に利用できるものはごく僅かである。意思
プロセスを改善する決定が下されると、サービス・ライ
決定に利用可能な代表的な項目の一つに、パフォーマン
フサイクルが再び始まる。継続的サービス改善の活動は
スとサービスレベル目標値(SLA) との比較情報がある。
このサービス・ライフサイクルの各段階を通して継続し
ITIL® V2 で「サービス報告」がサービスレベル管理の一
て行われることに留意する。
部であったことからも、その情報を報告する必要性が理
解できる。また、リソース利用率やサービス利用率など
の特徴や傾向を示す情報や、前年度比のパフォーマンス
Ⅳ サービス測定プロセス
といった履歴情報も、ビジネスの意思決定に利用される。
7 ステップの改善プロセスの中で実施されるサービス
さらに、コンプライアンス遵守や IT サービスに対する
測定プロセスの活動では、まずモニタリングと測定のフ
脅威についての情報も重要な関心事項になる。
レームワークを定義する。「技術」、「サービス」、「プロ
サービス報告には、SLA やコンプライアンスの遵守や
セス」を測定基準とした測定のフレームワークによって、 違反、IT サービスに対する脅威の説明、といった事実の
個々のコンポーネントの可用性、信頼性、パフォーマン
19
報告は欠かせない。しかし ITIL® V3 の継続的サービス
改善におけるサービス報告プロセスは、報告事実に対し、 定義できないものは測定できない。
どのように対応してどのような対策を講じようとしてい
測定できないものはコントロールできない。
るのか、あるいは全般的なサービス提供を改善するため
コントロールできないものは管理できない。
にどのように取り組むのか、といった報告に対する実行
CSI の目的の中で紹介されているこの格言は、測定と
可能なアプローチを作り上げることを提唱している。こ
管理の原則を表し、継続的サービス改善の活動は組織的、
のため、あらかじめ報告の方針と規則を定義し、適切な
計画的に実施しなければならないことを示している。し
対象者に対して適切な内容が報告されるようにしておく
かしながらすでに説明した「7 ステップの改善」、および
ことが重要である。
それを支える「サービス測定」、「サービス報告」は、書
継続的サービス改善では、サービス報告に含めるべき
籍『継続的サービス改善』に精通していなくてもすぐに
情報として次が挙げられている。
始めることができる。つまり、改善の取り組みは、まず
• パフォーマンスとサービスレベル目標値との比較
組織の成熟度に応じて「定義できるもの」を洗い出すこ
• コンプライアンス違反、およびサービスレベルやセキ
とから始めることができる、ということである。組織の
ュリティの違反などの課題
成熟度に合ったレベルで始めて、組織的、計画的要素を
• 量やリソースの利用率など、作業負荷の特徴
盛り込むにつれてフィードバック・ループを形成するこ
• 重大なインシデントおよび変更の後のパフォーマンスの報告
とができるようになるのである。
• 傾向に関する情報
• 満足度分析
書籍のフレーズより。
Don’t wait! Start improving now!
Ⅵ まとめ
(待っていてはならない! 今すぐに改善を始めるのだ!)
書籍『継続的サービス改善』では、改善のための活動、
インプット、アウトプット、役割、および報告に関する
日本アイ・ビー・エム・
ベストプラクティスが提供されている。これを利用する
システムズ・エンジニアリング株式会社
ITIL® サービス・マネージャ
ことで、何かが起きてから対応する=リアクティブな活
岩村 郁雄
動による改善から、事前の問題予防や改善機会の発掘=
プロアクティブな活動による改善を目指すことができる
ようになる。
改善の連鎖をすべてのフェーズで実施し、継続的なフ
ィードバック・ループを形成することで、IT サービスマ
ネジメントの改善と IT サービス自体の改善を実現する
ことができる。(図4)
図4 CSI のフィードバック・ループ
20
ISO/IEC 20000
認定制度特集
IT サービスマネジメントシステム 適合性評価制度の紹介
社会基盤での IT サービスに対する依存度が世界各国
20000 の発行に伴い、BS 15000 から ISO/IEC 20000 への
で急速に高まる中、IT サービスマネジメントシステム
移行計画が it SMF UK により 2005 年に公表され、現在は
(ITSMS) の 国 際 規 格 と し て、2005 年 12 月 に ISO/IEC
20000-1、ISO/IEC 20000-2 が策定されました。日本国
ISO/IEC 20000 認証スキームとなっています。
なお、2008 年 10 月現在、世界各国でこの認証スキー
内においても、この両規格の JIS 化がすぐに開始され、 ムにおいて登録された認証機関は 29 機関であり、BS
両規格を翻訳し、内容としてこれらの「対応国際規格と
1
2
」している国内規格 JIS Q 20000-1 、JIS
一致(IDT )
15000 又は ISO/IEC 20000 の認証取得組織は 261 組織と
なっています。
Q 20000-23 が 2007 年 4 月に発行されました。
こ の JIS 発 行 を 受 け て、JIS Q 20000-1(ISO/IEC
・ ITSMS 適合性評価制度の仕組み
20000-1)を認証基準とする、IT サービスマネジメント
ITSMS 制度は、広く国際的に採用されている認定・認証
システム(ITSMS)適合性評価制度の本格運用が開始さ
の仕組みによって構成されており、第三者認証制度の国際
れました。現在、この制度のもとで 58 組織が認証を取
規格に対応した、国際的に整合のとれた制度となっていま
得しており、今後さらに増加していくことが予想されま
す。この仕組みに従い、ITSMS 制度の組織構成は、認証希
す(なお、この制度のもとでの認証について、一般に、 望組織が認証基準に適合しているかを審査し認証登録する
、
審査員の資格を評価登録する「要員認証機関」
、
「ITSMS 認証」
「ISO/IEC 20000 認証」、
、
「JIS Q 20000 認証」 「認証機関」
と呼ばれることがありますが、これは「JIS Q 20000-1
及びこれらの各機関がその業務を行う能力を備えているか
を審査する「認定機関」から成っています。
(ISO/IEC 20000-1)による認証」のことを指します)。
本稿では、ITSMS 適合性評価制度の概要、仕組、認定
ま た、ITSMS 制 度 に お け る 認 証 機 関 の 認 定 基 準 に つ
いては、ISO/IEC Guide 625 及 び EA7/036 を ベ ー ス に
機関の役割について、ご紹介いたします。
it SMF 15/015 を参照し作成されており、it SMF の認証ス
・ ITSMS 適合性評価制度の概要
IT サービスマネジメントシステム適合性評価制度(以
下、ITSMS 制度という)は、IT サービスの運用管理に対
する第三者認証制度として、JIS Q 20000 の制定を受け
て 2007 年 4 月より開始されました。
この制度は、組織における IT サービス運用管理の品質
を継続的に向上させることによって、わが国の IT サービ
ス全体の信頼性の向上に貢献することを目的としていま
す。また、国際的な整合性を確保しながら、信頼できる第
三者認証制度として確立することを目指しています。
1 JIS Q 20000-1 及 び JIS Q 20000-2 は、 対 応 国 際 規 格 で あ る ISO/IEC
20000-1、ISO/IEC 20000-2 との対応の程度が IDT(一致している)ことが各
規格の「1. 適用範囲」において示されている。
2 JIS Q 20000-1:2007 情報技術-サービスマネジメント-第 1 部:仕様
(ISO/IEC 20000-1:2005 Information technology - Service management -
Part 1: Specification)
顧客に受け入れられる品質を満たす IT サービスを提供するため、サービス
提供者に対する ITSMS に関する要求事項を規定したものであり、認証のため
の基準となる。
3 JIS Q 20000-2:2007 情報技術-サービスマネジメント-第 2 部:実践の
ための規範
(ISO/IEC 20000-2:2005 Information technology - Service management -
Part 2: Code of practice)
ISO/IEC 20000-1 に沿った形で IT サービスマネジメントプロセス運営に対す
る推奨事項を示したガイドラインである。
4 it smf 15/015 Scheme for Bodies Operating the Certification /
Registration of IT Service Management Systems
・ ISO/IEC 20000 認証スキームの背景
ITSMS に関する認証スキームとしては、ISO/IEC 20000
の前身である英国規格 BS 15000 認証のスキームが it SMF
5 ISO/IEC Guide 62: 1996, General requirements for bodies operating
assessment and certification/ registration of quality systems(JIS Z
9362:1996 品質システム審査登録機関に対する一般要求事項)
UK によって開始されました。このスキームでは、組織
の認証を行う登録機関にする要求事項(認定基準)とし
て it SMF 15/0154 が適用されました。さらに、ISO/IEC
21
6 EA-7/03 Guidelines for the Accreditation of bodies operating
certification / registration of Information Security Management
Systems.
キームとの整合性も考慮されています。なお、ISO/IEC
ザにおける JIS Q 20000 の理解促進、普及に努めています。
7
Guide 62 は ISO/IEC 17021 として、EA 7/03 は ISO/IEC
270068 として発行されたため、認定基準もこれに合わせ
・ ITSMS 導入 ・ 認証のメリット
JIS Q 20000 に沿って ITSMS を構築・運用するメリッ
て改訂されています。
トとして、以下が挙げられます。
-目標達成のための指標を監視・レビューし、目標達成
・ JIPDEC (認定機関) の役割
(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC)は、ITSMS 制度
に向けた継続的な対応が図れる。
における「認定機関」の役割を担っています(図表 1 参照)。 - IT サービスマネジメント活動への経営陣の参画(マ
ネジメントレビューの実施)により、経営の視点に沿っ
図表1 ITSMS 適合性評価制度の仕組み
た活動及び経営者に認知された活動が行える。
- IT サービスマネジメントの要求事項を満たすことに
より、サービス品質および顧客満足度が向上する。
-内部統制(IT の全般統制)対応の一助に利用できる。
このような活動を継続することによって、サービス品
質の維持・向上などの効果、さらには企業価値の向上に
つながることが期待できます。
また、ITSMS 認証を取得するメリットとしては、以下
すなわち、第三者の機関が行う認証に偏りや不正確
さが生じないようこれらの認証機関を審査し、認証を
が挙げられます。
-信頼される第三者(認証機関)による審査・認証を受
遂行する能力のあることを公式に承認する機関であり、 けることによって、JIS Q 20000-1(ISO/IEC 20000-1)
JIS Q 17021(ISO/IEC 17021) に基づいた基準に従っ て、 の規格に基づいて ITSMS を構築・運用していることを客
ITSMS 制度における認証機関の審査・認定を、及び JIS
9
観的に外部に表明できる。
Q 17024(ISO/IEC 17024 ) に基づいた基準に従って要員
-継続的な認証審査により、サービス品質の向上と維持
認証機関の審査・認定を行っています。また、認定機関
を図ることができ、IT サービスマネジメントシステム
10
に対する要求事項である JIS Q 17011(ISO/IEC 17011 )
が形骸化しない。
も適用しており、
認定機関の国際協力団体である IAF(国
-認証が調達条件である引き合いに入札できる。
際認定機関フォーラム)に加盟し、制度の国際的な整合
ITSMS 制度における認証の取得は、組織の ITSMS の信
頼性を利害関係のない第三者が客観的に証明することで
性を図ることに努めています。
さらに、日本国内における IT サービス全体の信頼性
の向上を目的としていることから、JIS Q 20000(ISO/
あり、IT マネジメントシステムの品質に対して関係組
織から信頼を得ることにつながります。
IEC 20000)普及の一環として、有識者による技術専門
部会を設置し、ユーザーズガイドの作成(図表 2 参照)、 ・ ITSMS 認証取得について
図表2 ITSMS ユーザーズガイド
組 織 の ITSMS の 認 証 登 録 は、 認 証 機 関 が 行 い ま す。
名称
発行日
概 要
ITSMS ユーザーズガイド 2007.4.20 JIS Q 20000-1 の要求事項について一定
-JIS Q 20000(ISO/IEC
の範囲でその意味するところを説明して
20000) 対応 いるガイド。主な読者は、ITSMS 認証取
得を検討もしくは着手している事業者に
おいて、実際に ITSMS の構築に携わって
いる方及び責任者を想定している。
ITSMS ユーザーズガイド 2008.5.19 ITSMS 導入における基礎的な事柄を説明
~導入のための基礎~
しているガイド。ITIL/QMS/ISMS と ITSMS
との相違点についても言及している。
(特
に、ITSMS と ITIL との関連については、
本ガイドの「6. ITIL ユーザのための
ITSMS 入門」に記載されている。
)
※上記ガイドは、 http://www.isms.jipdec.jp/index.html よりダウンロードできます。
説明会の開催等を行っています。今後の予定としては、
FAQ の充実や構築事例集の Web 公開も検討しており、
ユー
22
7 ISO/IEC 17021:2006 Conformity assessment--Requirements for bodies
providing audit and certification of management systems(JIS Q
17021:2007 適合性評価―マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関
に対する要求事項)
8 ISO/IEC 27006:2007 Information technology -- Security techniques
-- Requirements for bodies providing audit and certification of
information security management systems(JIS Q 27006:2008 情報技術―
セキュリティ技術―情報セキュリティマネジメントシステムの審査及び認証
を行う機関に対する要求事項)
9 ISO/IEC 17024:2003 Conformity assessment -- General requirements
for bodies operating certification of persons(JIS Q 17024:2004 適合
性評価-要員の認証を実施する機関に対する一般要求事項)
10 ISO/IEC 17011:2004 Conformity assessment -- General requirements
for accreditation bodies accrediting conformity assessment bodies(JIS
Q 17011:2005 適合性評価―適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般
要求事項)
ITSMS 認証の申請から登録までの一般的な流れは、以下
工数のほか、審査の不適合(認証基準に適合していないか、
のとおりとなります(図表3参照)。
システムが運用されていないこと)の状況によっても異
なります。規模があまり大きくなく、特に問
図表 3 ITSMS 認証取得の流れ
題がない場合には、最短で 3 ~ 4 ヶ月程度が
認証機関
申請
申請受付
第一段階
審査
第二段階
審査
認証登録
JIPDEC
に報告
最短で3~4ヶ月程度
一般的です。
JIPDEC
で公開
認証登録の情報は、認証機関から認定機関
公開は1ヶ月程度
ずれる場合がある
(JIPDEC)に報告されます。認定機関(JIPDEC)
はこれにより認証を受けた組織の情報を Web
公開しますが、報告時期によっては1ヶ月程
(1)認証機関の選択
度ずれる場合があります。
ITSMS 認証取得を希望する組織は、自社の ITSMS を構築・
運用した後、認証機関へ申請を行います。その際、認証 (4)登録の維持
審査が信頼できるものであることを保証するためには、 認証登録は、初回審査の登録から3年間有効となりま
認定を受けた認証機関を選択する必要があります。
す。そのため、認証登録後、ITSMS を有効に維持してい
業種については、受審組織の業種による制限はないの
ることを確認することが必要になります(図表4参照)。
で、認定された認証機関はどの業種の組織でも審査する
図表 4 ITSMS 認証維持の流れ
ことができます。ただし、認証機関は組織との利害抵触
の可能性のある場合等には申請を受け付けられない場合
があるので、事前に十分確認する必要があります。
(2)認証機関への申請
認証機関の選択後、認証審査・登録に関する条件につ
いて事前に確認し、組織内における受審の意思決定をし
た後に申請を行います。特に、認証審査にかかわる審査
工数は、ITSMS の適用範囲や受審組織の規模、プロセス (a)サーベイランス
の複雑さ等によっても異なるので、認証機関から事前に
認証登録後、通常1年を超えないサイクルでサーベイ
見積りをとるなどして確認しておく必要があります。
ランスが実施されます。サーベイランスでは、前回指摘
事項の是正・改善状況、基準への適合状況、維持状況等
(3)審査、認証・登録
によって IT サービスマネジメントの有効性が確認されま
申請が受理され、認証機関との認証契約等の締結後、 す。
審査チームの編成や審査の日程等が調整され、審査が開
始されます。
(b)再認証審査(更新審査)
審査は、原則として第一段階審査(ステージ 1)と第
初回認証審査から 3 年目には、組織が引き続き認証登
二段階審査(ステージ2)の 2 段階で行われます。
録を維持する場合、再認証審査(更新審査)が実施され
第一段階審査の目的は、組織の IT サービスマネジメン
ます。再認証審査では、初回認証審査とほぼ同様の審査
ト基本方針及び目標に照らしてその ITSMS を理解し、特
が行われますが、ITSMS に大きな変更がない場合には、
に、審査に対する組織の準備状況を確認することによっ
審査工数が削減される可能性があります。
て、第二段階審査を計画するうえでの焦点を明確にする
ことにあります。
(c)特別審査
第二段階審査の目的は、組織が自ら定めた基本方針、 既に、認証を受けている組織が、認証登録の範囲を大
目的、及び手順を守っていること、並びに ITSMS が当該
幅に変更する場合には、特別審査が実施されます。認証
組織の基本方針及び目的を達成しつつあることを確認す
登録の範囲を拡大する場合には、通常、サーベイランス、
ることにあります。第二段階審査は、常に組織の事業所
再認証審査において実施されることが多いようです。
で実施されます。
申請から認証登録までの期間は、実際の審査にかかる
23
上記の認証の申請から維持の流れを簡単にまとめると、
図表5のようになります。
図表5 ITSMS 認証取得 ・ 維持
このような仕組みのもとで
認証登録された組織は、信
頼できる第三者である認証
機関から認証を受けること
によって、自らの ITSMS が、
認 証 基 準 ISO/IEC 20000-1
(JIS Q 20000-1)に適合し
ていることを公式に外部に
表明することができます。
さらに、認証取得後も、定
期的なサーベイランス・再
認証審査によって ITSMS を
継続的に改善することがで
イトでは、ITSMS 及び ITSMS 制度についての知識・理解
き、サービス品質の向上を図ることができます。
JIPDEC は、このような ITSMS 認証を行う認証機関に対し
を深めていただくための ITSMS 制度概要、ITSMS ユーザー
て、認証を行う能力についての審査・認定を行い、認定機
ズガイドなども公開しています。さらに、今後、構築事
関として ITSMS 制度全体の運用を行っています。
例集の公開や、FAQ の拡充なども検討しており、充実を
2008 年 10 月現在、ITSMS 制度のもとで ITSMS 認証機関
図っていく予定です。
として認定されている機関は、7 機関であり、さらに現
(財)日本情報処理開発協会
在 3 機関が審査中です。
下 記 の ITSMS 認 証 機 関 一 覧 は、http://www.isms.
情報マネジメント推進センター
jipdec.jp/index.html にて公開しています。この Web サ
副センター長 高取 敏夫
図表6 ITSMS 認証機関一覧
認定番号
機 関 名 称
審査中
財団法人 日本品質保証機構 マネジメントシステム部門(JQA)
ITR002
日本検査キューエイ株式会社(JICQA)
ITR004
BSI マネジメントシステム ジャパン株式会社(BSI-J)
ITR005
財団法人 日本科学技術連盟 ISO 審査登録センター(JUSE-ISO Center)
ITR007
株式会社日本情報セキュリティ認証機構(JACO-IS)
ITR008
デット ノルスケ ベリタス エーエス DNV インダストリージャパン(DNV)
審査中
財団法人電気通信端末機器審査協会 ISMS審査登録センター(JATE)
ITR015
テュフ ラインランド ジャパン 株式会社(TUV)
審査中
ビューローベリタスジャパン株式会社(BV サーティフィケーション)
ITR021
SGSジャパン株式会社 認証サービス事業部(SGS)
24
情報マネジメントシステム認証機関協議会(JISR)からのごあいさつ
情報マネジメントシステム認証機関協議会
代表幹事 西谷 徳治
(日本検査キューエイ㈱ 取締役会長)
(1) 普及、交流活動
(はじめに)
皆さんこんにちは。
① JIPDEC/JAB(認定機関)、JRCA(要員認証機関)、経済
it SMF Japan の会報誌に、ごあいさつできる機会をい
産業省等との定期又は臨時の連絡会の開催
ただきありがとうございます。
② JIPDEC の運営委員会及び技術専門部会への委員派遣
情報マネジメントシステム認証機関協議会(JISR)の
③審査員の交流、勉強会の継続的実施
事業活動のなかで、これまで it SMF Japan の皆様方との
④ JISR セミナー(コンサルタント向け ISMS セミナー)
関わりが多くないので、JISR のことをご存知ない方が多
の継続的実施
いのではないかと思います。
⑤ J-ISMS UG(ユーザーグループ)、it SMF Japan との交
こ の 機 会 を お 借 り し て、JISR の 活 動 の 紹 介 と ITSMS
(ISO/IEC 20000)や ISMS(ISO/IEC 27001)への認証機
流の深化
これらの活動は、現時点では、ISMS に関わるトピック
関の取組みについて述べさせていただきたいと思います。 スが主体となっていますが、今後、ITSMS の普及に相応
一部私の私見にとどまる部分もあることを御容赦願い
たいと思います。
して、ITSMS 関連の活動を広げていきたいと考えており
ます。
(2) 技術委員会活動
(JISR について)
各会員機関から選出された委員で構成され、ISMS/ITSMS
情報マネジメントシステム認証機関協議会(JISR)は、 に関する規格解釈や審査方法に関わる共通課題を深堀し、
審査登録機関協議会(JACB)と並ぶ日本国内のマネジメ
審査技術の向上に努めています。
ントシステムの認証機関の業界団体の一つです。
(3)ISMS/ITSMS 市場における
2004 年 1 月に、日本国内において ISMS(情報セキュリ
第三者認証制度の信頼性確保等の検討
ティマネジメントシステム)を審査登録する認証機関が、 主として、品質マネジメントシステム(ISO 9001)お
相互に協力、交流し、必要な活動等を行うことによって、 よび環境マネジメントシステム(ISO 14001)の国内外の
認証活動の質の向上に努め、認証(審査登録)制度の健
市場において発生している第三者認証制度の信頼性のゆ
全な普及、発展に貢献することを目的に発足しました。 らぎとその信頼性再構築の動きを、新しい ISMS/ITSMS の
その後、ITSMS(情報サービスマネジメントシステム)が
分野においても、同じ問題意識で検討を進めています。
規格化されるに伴い、ITSMS を加えて、活動範囲を広げ
近時、IT 化の全面的普及を背景に、個人情報に限らず、
ました。
情報漏洩の事故は急増しております。また、社内外を問
現 在、 会 員 機 関 は 22 機 関 で、 日 本 に お い て ISMS/
わず、情報サービス部門のマネジメントシステムの確立
ITSMS の認証活動を行っている大半の機関で構成されて
が強く求められています。ISMS や ITSMS が、まさに最大
います。
の経営課題の一つになってまいりました。
協議会の日常的な運営は、全会員機関による総会(年
JISR は、このような情況認識のなかで、会員機関相互
2 回開催)により選出された 6 機関からなる幹事会(毎
の交流、研鑽と対外交流活動を通じて第三者認証制度の
月開催)および技術委員会等の機構で行われ、2008 年度
健全な発展と組織の皆様方への認証サービスの質の向上
は主として次のような活動を進めております。
へ努力を続けてまいりたいと思っております。
25
特に it SMF Japan の関係の皆様との交流は、大きな意
イダーに対し、一貫したアプローチを要求する事業
味をもつものと考えております。コンファレンス活動や
c)自らの IT サービスマネジメントのベンチマーキング
会報誌を拝見するだけでも、it SMF Japan の関係の皆様
を実施するために使用するサービスプロバイダー
が、まじめに、地道に活動成果を積み上げておられるのに、 d)独立したアセスメントのための基準
感銘を受けております。
e)顧客要求事項を満たすサービスを提供する能力をもつ
皆様の御助言、御協力をよろしくお願い申し上げます。
ことを実証する必要のある組織
f)サービス品質の監視および改善のためのプロセスを効
(日本での ISMS/ITSMS の普及状況)
果的に運用することによって、サービスの改善を目指す
日本における ISMS/ITSMS の認証件数と認証機関数の推
組織
移は、別表のとおりです。
これは、一言でいえば、IT サービスに関わる当事者に
ISMS は、ここ数年、認証件数、認証機関数とも着実な
は、すべての側面で有用なものであるといっているとも
伸びを示してきており、認証件数においては、現在日本
とらえることができます。逆にいえば、活用の目的は自
が世界一となっています。
分の判断で決めなさいといっているわけです。
ITSMS は、2007 年 4 月に JIPDEC 認定がパイロット運用
から本格運用に移行し、軌道を進み始めたところで、こ (ISO/IEC 20000 の意義)
IT サービス事業会社や社内の IT サービス部門におい
れからの伸びが期待されます。
て IT サービスを提供する場面で次のような現象がよく見
られると思います。
(ISO/IEC 20000 の生い立ち)
ISO/IEC 20000 は、御承知のように、1989 年に英国政
・サービスを提供したのに約束が違うといわれる
府が IT サービスマネジメントプロセスのベストプラク
・多大なコストを投入したのに効果が不透明
ティスとして公表した ITIL® を参考に、2000 年に英国規
・何かを変更すると必ずトラブルが発生する
格協会が BS15000 として規格化し、それをベースに 2004
・分かっているのに同じ間違いが繰り返される
年に国際規格化したものです。日本で JIS 化されたのは、 ・対応の仕方が場当たり的で一貫性に欠ける
2007 年 4 月です。
・外注したサービスの品質にばらつきがある
ISO/IEC 20000 の構成は、2 部構成となっており、ISO/
このような現実の中から、IT 部門の方々の悲鳴のよう
IEC 20000-1(第 1 部-仕様)は、サービス提供者に対す
な声も聞こえることもあります。
る要求事項を規定しており認証の基準になるものです。
これらの問題は、高度な専門性をもつ重要な機能を担
ISO/IEC 20000 - 2(第 2 部-実践のための規範)は、 いながら、一般の方々からは、“見えにくい、理解しにく
要求事項に沿った形で IT サービス提供に関する実践的な
い”サービスを提供しているために発生している事象で、
推奨事項を示したものです。認証の基準になるものでは
ある意味で IT サービスに宿命的ともいえる“苦労が理解
ありません。
されにくい”悩ましい環境が背景にあるのではないかと
ISO/IEC 20000 の目的は、「事業上の要求事項を満た
思われます。
す管理されたサービスを効果的に促進するための統合さ
このような状況に対応して生まれてきたのが ISO/IEC
れたプロセスアプローチの採択を促進するものである。 20000 であると考えられます。
(ISO/IEC 20000 - 1 序文)」と示されています。
IT サービスを客観的に見えるものとする、および管理
統合プロセスの構築によって次の成果が期待されます。 された状態にするという狙いがあると理解でき、IT 部門
i)
マネジメントシステムとしての重複や抜けがなくなる
の宿命的な悩みを克服しようという意図をもった規格と
ii) 目的を確実に実現することが可能になる
して生まれたものともいえます。
iii) 的確な改善の機会が提供される
従って、IT に関わるすべての部門を支援する極めて有
ISO/IEC 20000 - 1 は、「顧客に受け入れられる品質の
効なツールだといえます。
管理されたサービスを提供するための、サービスプロバ
ITSMS の基軸には、次の二つの考えが貫かれています。
イダーに対する要求事項を規定したもので、これを利用
i) ITSMS は、IT サービスの BPR(ビジネスプロセス・
できる組織及び用途は次のように示されています。
リエンジニアリング:プロセスの革新)
a)サービスを入札しようとしている事業
ii)ITSMS は、「見える化」
b)サプライチェーン内におけるすべてのサービスプロバ
IT サービス内容・プロセス・サービス品質・基準・責
26
任等の見える化が IT 要員の育成に寄与することはいうま
むことは望ましくありません。
でもありません。
自 律 的 に 自 組 織 の 明 確 な 目 的、 ビ ジ ョ ン と 意 欲 を
品質マネジメントシステムのベース規格として ISO
もって明確な構築ステップ(構築計画)を描いて進め
9001 がありますが、ISO/IEC 20000 は、IT サービス機能
ることが肝要です。
に関して、ISO 9001 の中の主として「製品(サービス) そのことにより、“自らの自らによる自らのためのシステ
実現のプロセス」を、深堀した一種のセクター規格とも
ム構築”に取り組んでいただきたいと思います。
とらえることができるでしょう。
私ども認証機関は、認定機関の監視の下、認証登録証
の発行のみを目的とするのではなく、認証組織の IT サー
(ITSMS 導入の効果 )
ビスの質的向上に寄与し、組織の取引先等すべての利害
実際、ITSMS を導入すると次のような効果が期待され
関係者に対する信用の証として認証登録証を発行するこ
ます。
とが認証機関の本来機能であるという理念で、努力を続
i) IT サービスマネジメントシステムの確立
けてまいります。
ii) 内部プロセスの可視化による組織体制の強化
システムを構築し認証取得するにあたって、準備段階
iii)IT サービスコストの明確化及び削減
でのコンサルタントおよび認証審査段階での認証機関に
iv) トラブルへの適切な対応による顧客満足度向上
依頼する際には、十分検討され、自組織の目的に適った
v) コンプライアンス(法遵守)対応
適切な依頼先を選択されることをおすすめ致します。
一方で、導入の目的や範囲の明確化、トップの強いリー
ダーシップや関係部門の十分なコンセンサスの醸成がな (おわりに)
いと、導入の費用や労力が過重なものとなったり、却っ
ISO/IEC 20000 は、専門的な力量をもち、社内外に重
て業務が混乱したりするおそれがあります。導入にあたっ
要なサービスを提供しながら、必ずしも適切に理解され
ての十分な議論が必要です。
にくい IT サービス部門に光をあて表舞台に立たせる規格
であると思います。そのために IT サービス部門にマネジ
メントの力量を求めています。
(ITSMS 認証取得の意義)
ISO/IEC 20000 は、第三者認証の取得を義務付けたも
IT サービス無しにあらゆる業務が遂行されないこの時
のではありませんが、認定機関により公式に認定された
代に、ISO/IEC 20000 は、IT サービスに関わるマネジメ
認証機関からの認証を取得することは、自らの ITSMS が
ントのベースインフラとして、普及発展することが期待
第三者の目で客観的に実施されていることを確認できる
されます。
ことに意味があり、また、そのことにより、顧客、株主
そのためには、組織をはじめ私ども認証機関さらに認
その他利害関係者に対する信用力が増すという意味があ
定機関等すべての当事者にその役割に適した力量ある人
ります。
材を質量ともに充実させていく必要があると感じており
取組みの社内的なモチベーションとしても有効なもの
ます。
になるでしょう。
末筆となりますが、重要な役割を担われる皆様がお集
しかし、一方で先行した MS である ISO 9001 で一部み
まりの it SMF Japan のご発展をお祈り致します。
られるような、認証取得だけを唯一の目的として、取組
[ 別表 ] ISMS/ITSMS の認証件数及び認証機関数の推移 (JIPDEC 統計)
(単位:件、機関)
03 年度末 04 年度末 05 年度末 06 年度末 07 年度末 08 上期末
ISMS
ITSMS
認証件数
343
683
1410
2043
2614
2781
認証機関数
11
17
20
23
23
23
認証件数
-
-
5
17
38
55
認証機関数
-
-
1
1
5
7
27
ISO/IEC20000 認証機関一覧
会社名
URL
主な拠点
ISO/IEC 20000
これまでの認証組織数
その他認証を行っている
ISO 規格について
認証した組織の業種について
(XXX 対象は??)
ISO/IEC20000 認証サービス
を始めた理由
貴社の認証サービスでの特徴
問い合せ先
ITR002
ITR004
ITR005
ITR007
ITR008
ITR015
ITR021
日本検査キューエイ株式会社
BSI マネジメントシステム ジャパン株式会社
財団法人 日本科学技術連盟 株式会社日本情報セキュリティ認証機構
(JACO-IS)
デット ノルスケ ベリタス エーエス
DNV インダストリージャパン(DNV)
テュフ ラインランド ジャパン株式会社
SGS ジャパン株式会社
ISO 審査登録センター
http://www.juse.or.jp/
http://www.jaco-is.co.jp/
http://www.dnv.jp/
http://www.tuv.com/jp/
http://www.jp.sgs.com/ja/
http://www.jicqa.co.jp/
http://www.bsigroup.jp/
国内拠点(東京、仙台、名古屋、大阪、 国内拠点(東京、大阪、福岡)
広島、博多、沖縄)
海外拠点(なし)
海外拠点(英国、米国、中国、シンガ
ポール 他 )
国内拠点(東京、大阪)
国内拠点(東京)
国内拠点(神戸・横浜・北九州)
国内拠点(横浜、大阪、広島、福岡、沖縄 ) 国内拠点(横浜)
海外拠点(なし)
海外拠点(なし)
海外拠点(世界 100 カ国 300 カ所の事
務所)
海外拠点(62 カ国 340 カ所 )
海外拠点(スイスをはじめとする、世
界 145 カ国 1,000 カ所のオフィス)
国内:4 件
海外:0 件
国内:33 件
(2008 年 8 月 31 日現在)
国内:3 件
海外:0 件
国内:6 件
海外:0 件
国内:9 件
海外:36 件
国内:0 件
海外:2 件
国内:1 件
ISO/IEC27001(ISMS)、ISO9001、
ISO14001、ISO22000、OHSAS18001
ISO9001、ISO14001、
ISO/IEC27001(ISMS)、 ISO9001、ISO14001、ISO/IEC27001(ISMS)、 ISO/IEC27001(ISMS)
BS25999、ISO22000、
ISO22000、OHSAS18001、
OHSAS18001、ISO13485、ISO/TS16949、 JUSE-PP( 食品衛生基本管理 )、
PAS99(統合マネジメント)
JUSE-HACCP(HACCP システム)
PCI DSS(カード業界セキュリティ基準)
ISO9001、14001、OHSAS18001、
JISHA-OSHMS、ISO/IEC27001(ISMS)、
20000、13485、ISO/TS16949、ISO22000
ISO9001、ISO14001、ISO/IEC27001(ISMS)、 ISO9001、ISO14001、OHSAS18001、
ISO22000、ISO28000、ISO13485、
ISO/TS16949、
ISO/TS16949
ISO/IEC27001(ISMS)、ISO22000、
ISO13485、ISO15189、BS25999、HACCP、
GMP、SQF、BRC、IFS、GLOBALGAP
ISO/IEC20000 に つ い て は、ASP 事 業、 製造、流通、通信、金融、公共など
BPO 事業及び情報システムのアウトソー
シング。他の ISO 規格については、製造
業、サービス業等のあらゆる業種につい
て認証実績があります。
製造、建設、印刷、金融、通信、情報技術、 33 情報技術
運送、小売、公共行政、医薬、ホテル・
レストラン、サービス、その他
現代社会の基盤が IT サービスで成り立 認証機関としての責務を果たすため。
っており、重要性はますます高まって
きている。その状況で第 3 者による認
証サービスは利害関係者に向けて信頼
性、優位性を高めるツールとして注目
されてきているため。
当センターで ISO9001 や ISO27001 を認
証取得している情報技術系組織からの
要望と共に、世の中の動きとして、シ
ステム運用やデータセンター業務等に
おける IT サービス品質を保証するツー
ルを提供するため。
お客様のマネジメントシステム(MS) BSI は、お客様のビジネスパートナーと
を向上させるため、継続的な改善に貢 して、お客様のビジネスパフォーマン
献します。
スを最大限に生かすための次のような
・ 審査チームリーダーは原則初回審査か 認証サービスを提供することが私たち
ら更新審査まで 3 年間担当いたします。 のミッションと考えています。
・ 審 査 員 は ISO/IEC20000 の 他 に ISO/ • パフォーマンスの改善による優位性向上
IEC27001、ISO9001 等の 2 種類以上の審 • 持続可能なビジネス手法による価値創出
査員資格があり、幅広い見地からの審査 • 効 果 的 な リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト
が 可 能 で す。ISO/IEC27001、ISO9001 等 に よ り 事 業 へ の 支 障 を 最 小 化
との統合審査により、更に経営の品質を 専門知識を必要とする個々の分野から
向上させることができます。
それらの統合まで、BSI では充実したサ
ービスを包括的かつ費用対効果の高い
方法で提供し、お客様のビジネスニー
ズにお応えしています。
日科技連が 60 年以上普及してきた品質 JACO-IS は次の 4 項目に留意した ITSMS 認 特定の業種に偏ることなく幅広い業種 テュフ ラインランド グループのグ 世界中に展開している拠点網を背景に、
管理の根幹となる PDCA の考えをベース 証サ-ビスのご提供を行っております。 のお客様に認証サービスを提供してい ローバルネットワークにより、世界中 国内外を問わず、一貫した認証サービ
に、業務のレベルアップにつながる継 1. 受審組織の ITSMS が、
受審組織の「お ます。
で認証サービスの提供が可能です。特 スをご提供できます(現地言語での対
続的改善を可能とした審査、また形式 客様から信頼される」審査。
リスクアプローチ監査という手法を用 にアジアでは強力なネットワークがあ 応が可能)
。
的な文書にとらわれることなく運用の 2.認証取得に留まることなく、ITSMS いて、リスクに着目して改善に繋がる ります。
また、多数の ISO 規格を取り扱ってい
大事な要素である有効性を重視した審 の継続的改善と IT サ-ビスのベストプ 監査を実施しています。
現地審査員による審査、また ISO 9001、 るため、複数規格の統合審査が可能で
査を実施いたします。
ラクティス(ITIL)の活用を通して受 ISO/IEC 20000 認 証 に つ い て は 世 界 ISO 14001、ISO 27001 等との複合監査 す。
また、IT サービスの専門スキルを持ち、 審組織の「IT サ-ビスの実質が向上す シ ェ ア は 18% で あ り(itSMF 認 定: も可能です。
ISO 推進責任者を経験した審査員による る」審査。
2008 年 現 在 )
、itSMF/JIPDEC の 両 方 の 豊富な知識と経験を活かし、お客様の
対応ですので、受審組織が構築したシ 3.
「現場」でのサ-ビスデリバリ / サ 認 証 が 可 能 で す。ISMS や QMS と の 同 視点に立った審査、認証サービスを提
ステムを尊重した、柔軟な審査を実施 ポ-トの各プロセス具体策の有効性を 時監査も実施しており、お客様のマネ 供します。
しております。
重視する審査。
ジメントシステム統合を支援します。
4.他のマネジメントシステム(ISMS、
QMS、内部統制、等々)の共通原則に整
合した審査。
〒 104-0041
東京都中央区新富 2-15-5
RBM 築地ビル 9F(受付)
日本検査キューエイ株式会社 営業部
Tel:03-5541-2752
Fax:03-5541-2955
http://www.jicqa.co.jp/f5.html
〒 105-0001
東京都港区虎ノ門 1-2-8
虎ノ門琴平タワー 21 階
BSI マネジメントシステム ジャパン株
式会社 マーケティング部
Tel:03-5501-7124
Fax:03-5501-7128
Email: [email protected]
世界:通信、公共、金融、情報技術、製造、 製品、サービス、その他
コンサルティング、その他
日本:金融、情報技術、製造
JACO-IS は UKAS と JIPDEC から認定を受 ビジネス及び社会生活は IT サービスに
けている ISMS 専門の認証機関であり、 大きく依存してきています。影響度が
有力 IT 企業での業務経験者が審査員と 高まる中で、より安全で安心できる社
して ISMS 認証と同等な認証サ-ビスの 会環境構築や運用に向けて、認証サー
ご提供が可能なことによりサ-ビスを ビスを通じて貢献したいと願っており
開始しました。
ます。
製造業、サービス業等、様々な分野の
業種を認証している。
アジア各国(インド、フィリピンなど) SGS として、IT 関連認証サービスの重
から強い要請がありました。また、
今後、 要性・市場性を認識していたため、本
日本企業からの要請にも対応していけ 規格の認証サービスを開始しました。
るよう、認証サービスを開始しました。
〒 151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷 5-10-11
財団法人日本科学技術連盟 ISO 審査登録
センター 普及支援課 〒 107-0052
東京都港区赤坂 2-2-19
株式会社日本情報セキュリティ認証機
構(JACO-IS)業務部 ITSMS 担当
〒 651-0087
兵庫県神戸市中央区御幸通 4-22-20
三ノ宮中央ビルディング 9F
DNV インダストリージャパン
〒 222-0033
横浜市港北区新横浜 3-19-5
新横浜第二センタービル
新横浜本社
Tel: 03-5379-1232
Fax:03-5379-1220
Email: [email protected]
Tel:03-5561-9701
Fax:03-5561-9700
Email:[email protected]
Tel:078-291-1321
FAX: 078-291-1329
Email:[email protected]
Tel: 045-470-1850
Fax: 045-473-5221
Email: [email protected]
〒 220-8138
神奈川県横浜市西区みなとみらい 2 丁目 2
番1号
横浜ランドマークタワー 38 階
SGS ジャパン株式会社
認証サービス事業部 セールス部
Tel:045-330-5010
Fax:045-330-5011
Email:[email protected]
interview
Ivor Macfarlane
第 5 回 it SMF Japan コンファレンスのスポンサ講演のため
に来日された Ivor Macfarlane( アイバー・マクファーレ
ン ) 氏にインタビューをさせていただきました。
アイバーさんは、ITIL® V3「サービストランジション」の
共著者であり、現在、it SMF International の委員会の一
つである IPESC(the International Publications Executive
Sub-Committee) の議長を務めていらっしゃいます。
インタビュアは、
itSMF Japan 編集委員 森田 礼子が務めます。
itSMF Japan 講演を終えて
インタビュア:日本にいらっしゃったのは、今回が初めて
ですか?
Ivor Macfarlane( アイバー・マクファーレン ) 氏:はい、
そうです。
インタビュア:明日は国内を観光されるご予定ですか?
アイバー氏:明日は正午に日本の自社のオフィスに行くこ
とになっています。夜には空港のホテルに向かい、土曜日
には 11 時発のシンガポール行きの便に乗らなければなり
ません。シンガポールに 3 日間滞在した後で、英国に 1 週
説いている、カルチャを正しく理解する重要性を経験する
間ほど戻ります。
ことはいいことですね。日本、欧州、アフリカ、アジアなど、
地域のカルチャがあります。順応しなければならない国の
インタビュア:次回はお時間が取れるといいのですが。
カルチャもあります。ある意味極端な日本のカルチャにつ
今朝のプレゼンテーションはすばらしかったです。私もも
いて聞いていたことが本当だと分かって良かったです。
ちろん会場にいましたが、聴衆の皆さんもとても注意深く
耳を傾けていました。さきほど言われたように、Macfarlane
インタビュア:でも、何に対しても興味がないとは思わな
さんは世界中を飛び回って、セミナとプレゼンテーション
いでください。実際はそうではありません。ジョークを言
を行われています。日本の聴衆をどう思われましたか?
われましたが、会場の皆さんが全く笑わなかったのは、ジ
アイバー氏:非常に日本的ですね。
ョークを通訳するには少し時間がかかるからです。
インタビュア:
(笑)どういうふうにですか?
アイバー氏:私はオーストラリアから直接来日したの
で、対極にある聴衆を見てきたからだと思います。日
本では、ジョークを省いて、現実的かつ興味深いもの
にしようとする傾向があります。話をして、うまくい
っても反応がないのです。オーストラリアでは、いつ
もよりも声を高めて露骨にジョークを言うと、すぐに
手応えがあります。それをみて、その場の状況に合わ
せなければなりません。ところが、日本は他の人に聞
いていたとおりでした。
「反応がない点は心配しなくて
もいいから。大丈夫」と言われました。我々がいつも
30
ITIL ® の成り立ち
アイバー氏:かなり長いです。
彼女と多くの仕事をしました。
インタビュア:さて、
『サービストランジション』をお書き
になったので、それについていろいろと質問が寄せられて
インタビュア:お互いをよく知っていたからこそ、1 冊の
います。コア書籍の中でこの書籍を執筆された理由をお聞
書籍を出すのにも困難な時期はなかったのですね。
かせくださいますか?周知のとおり、この IT サービスマネ
アイバー氏:我々はペアで作業しなければなりませんでし
ジメント業界にかなり長い間携わっていらっしゃるので、5
たが、これはプロジェクト全体での要件でした。私は、態
冊のコア書籍のどの部分でも選択できたと思われますが、
、
、
度の大きい女性とは非常にうまく仕事ができます。これは
アイバー氏:なぜ特にあの書籍を執筆したかったのかとい
Sharon のことですが(笑)
。
うことでしょうか? それはですね、私はもうかかわって
いませんが、実は ITIL® は数年間 EXIN にアウトソーシン
インタビュア:それではさらに突っ込んで、もっと古いこ
グされ、我々がバージョン 2 の改訂を開始し、私が範囲設
とをお伺いします。最初に IT サービスマネジメント業界
定をしました。Shirley Lacy と私が『サービスサポート』 にかかわるようになったきっかけは何ですか?
の代替となるものを範囲設定する作業を行いました。テス
アイバー氏:単純な質問ですが、答えは複雑になります。
トをもっと真剣に取り上げたいことがはっきりしていまし
私が IT にかかわるようになったのは、私が倉庫管理の専
たし、その実用性に焦点が当たるようにしたかったのです。 門家で、英国政府の部署で働いていたからです。内務省の、
当初は「リリースと投入」と呼ばれていたリリース管理を、 地方自治体ではなく中央政府の部署で、刑務所の倉庫エリ
アプリケーションとハードウェアだけではなく、サービス
アのトレーニング責任者でした。倉庫のコンピュータ化
のリリース全般に関するものとし、適切に取り入れてうま
が決定され、私は倉庫管理とその物流管理の方法を把握し
くいくようにしたかったので、その構造に取り組みました。 ていたため、この案件の専門家として起用されました。IT
そ の 後 私 は プ ロ ジ ェ ク ト か ら 外 れ、CCTA の Martin
には顧客として入り、その後コンピュータ・マネージャと
Cairns が再度直接指揮を執ったため、アウトソーシング
なったわけです。
が早く終了しました。リリース管理の書籍のリリース管理
何が複雑かというと、コンピュータにかかわる前に、プ
に関する章の最初の部分は非常に良く、総体的であること
ロセス改善とサービスマネジメントに携わっていたことで
が説明されていましたが、この章の残りの部分はソフトウ
す。その前は、効率性と改善や、プロセス改善の業務の経
ェアに関することだけで占められていました。我々のビジ
験がありました。このようなことに携わっていたのが、倉
ョンはどうなったのかと、非常に憤りを感じ、失望しま
庫管理にかかわるようになったきっかけです。IT に入る
した。書籍の執筆の入札に参加する選択があったときに、 ずっと前から、サービスマネジメントに携わっていたので
Shirley と話をするうちに、
「前回あるべきだった姿に正す
す。ですから、顧客フォーカスの、言ってみれば非常に変
には、今がチャンスだ」ということになったのです。我々
わった方向から入りました。サービスの一部だけでなくサ
は熱意にあふれていました。何が良くなかったか把握して
ービス全体に重点を置いていました。すべてがつながって
いましたし、あるべきだった姿も分かっていました。そも
いるのです。IT はサービスを得る助けとなる実用的なツ
そもあるべき姿で提供したかったので、
「トランジション」 ールにすぎません。一緒に働くほとんどの人は IT から入
に関して慎重に話し合いをしました。我々 2 人は、付きま
っているので、サービスを提供しているんだということを
とっていた化け物を始末しているようなものでした。
理解させる必要があります。私は反対方向から入ったわけ
です。とても変わっているでしょう。
インタビュア:バージョン 2 の再構築の最初には、すでに
インタビュア:あなた
全体の設計に入っておられたと言われました。
アイバー氏:私はバージョン 1 を執筆した部門にいました。 が経験されてきたす
主にトレーニングを担当していました。大変居心地が良か
べてのことが、次第に
ったのですが、しばらくの間アウトソーシングすることが
決定されました。私もその流れに従い、ITIL® プロジェクト
一体となってきたの
を 2 年半担当しました。我々は ITIL® を再構築し、14 冊の
アイバー氏:これは、
書籍を出しました。Shirley はボランティアの立場で大役を
サービス業界にかか
果たしてくれました。
わっていたときに常
インタビュア:Shirley とは長いお付き合いなのですか?
に貫いてきた姿勢で、
31
ですね。
大学時代でもそうでした。40 年前の大学時代には、学生対
です。
「これをするために何が必要か、すべてのプロセスを
象のテレビ・サービスを運営し、TV 番組を作成していまし
考えてみよう」と言っているのです。これは非常に違ったア
た。顧客やユーザのこと、持っている技術を最大限に生か
プローチですが、誰が十分に考えるかが分かり、非常に効率
すためには何ができるかを気にしなければなりませんでし
的かつ経済的な方法で効果的な結果を出すためのナレッジを
た。これは私に合っている分野だと思います。
得ることができます。1 つずつプロセスを行うことではなく、
重要な時期に適切なことを行うということです。その辺りが
サービストランジションについて
バージョン 3 の非常に異なる点です。明日の会社でのセミナ
インタビュア:読者はあなたのそのような経歴に非常に興
は、これについてお話ししようと思っています。
味を持つと思います。それでは、現在のことについて伺い
ます。
『サービストランジション』を執筆、出版後、読者
インタビュア:サービストランジションのみについてお話
からの興味深い反応はありましたか?
しされるのではないのですね。
アイバー氏:最初の反応はユーザからではなく、業界の人、 アイバー氏:明日は、サービス・フォーカスのもっと一般
特に、あまり協力的ではなかったトレーニング組織の人か
的な話になると思います。壇上に上がるまでは分かりませ
らでした。サービスマネジメントを実務としている人の手
んが、今のところそのつもりです。
に本が渡るごとに、好意的に受け止められ、反応も良くな
り、さらに励みとなりました。書籍はユーザや組織の手に
ITIL® のこれから
渡り、手引として利用されていて、非常に良好で建設的な
アイバー氏:私は書籍のうちの 1 冊にかかわらなければな
フィードバックを得ています。全体的に見て私たちの書い
らず、サービストランジションで良かったと思っています。
たことは正しかったと思いますし、サービス・フォーカス
しかし、私がより興味を持っているのは全体像です。まず
は良かったのですが、最初の反応の中には課題も少々あり
移行、設計、または運用のみを行おうとすると、間違って
ました。現時点では、正しいアプローチだったことが示され
いることになります。あるグループでサービス設計を行い、
ていますし、これについてはとても満足しています。私が現
別のグループで移行を、また別のグループで運用を、さら
在所属している会社では世界最大手の銀行の 1 つと連携して
に別のグループで改善を、
ということではないのです。また、
いますが、このやり方で管理を変更して、2000 万ドルを節約
見慣れない人 2、3 人が戦略か何かをしているということで
できたと言っています。いい話ではありませんか。
もありません。これは、人々がより大きな組織でさまざま
な活動をすることなのです。あるプロジェクトで設計を担
インタビュア:いまだにどのプロセスやどの段階から始め
当している人々が、別のプロジェクトでは移行を担当して
るべきかという声があります。
いて、我々が運用の一部を担当する、といった具合です。
アイバー氏:サービスマネジメントに関する書籍を読み、
実行しようとする人の大きな問題の 1 つには、1 つずつ物
インタビュア:考えてみると、非常に危険ですね。今おっ
事を実行すればよいと思うことが挙げられます。我々が今
しゃったようなことをやってしまいがちです。
話しているサービス・フォーカスの実際の利点は正反対の
アイバー氏:ある大手の顧客とのことですが、縦割りがあ
ところにあります。私はバージョン 2 のトレーニング・コ
ることに気づき、バージョン 3 を読んでこの縦割りをなく
ースを行っていましたが、
「コースの終了時に、各プロセ
すことにしました。ところが、その代わりに前述のような
スがどこで終了し、次のプロセスがどこで始まるかはっき
縦割りを作っていたのです。非常に難しいですね。大規模
りと分かると言えたら、完全に状況を見誤っているという
組織で働く人は、自分のグループを持ちたがります。これ
ことだ」とよく言っていました。それらはもっと大きなも
は心理学や社会学の用語だと思いますが、内部チームを形
のの側面にすぎず、さまざまなプロセスが重なり合い、相
成します。これは人間の本能だと思います。私たちは国、
互に関連しているのです。問題管理だけを行い、次にイン
都市、地域と呼ばれるチームを形成します。これは世界中
シデント管理に進めるというものではありません。これら
でよく見られることで、人はグループになるのです。人間
のプロセスは互いに依存しているからです。
が 600 人もいると、互いに憎み合います。我々はこういう
我々は 14 のサブプロセスの、より大きく適切な全体像
状況で育っています。
に焦点を当てさせることができるようになりましたが、こ
れはどれか 1 つ選んでそれをして、また 1 つ選んでそれを
インタビュア:現在、とてもお忙しくされていると伺って
して、さらに 1 つ選んでそれをするというものではないわけ
いますが、ほかの部分に割く時間はお持ちですか?
32
アイバー氏:まだです。やろうとは思っていますが。また、 りますが、母国語でないとうまくいかないでしょう。他の
IBM の他の部署を関与させるつもりです。グリーン IT、グリ
書籍の出版状況も良好です。入門書やポケットブックなど
ーン・サービスマネジメントのようなものにかかわろうとし
の他の書籍についても、翻訳の試みがなされています。面
ている人を参画させることは、私の課題の 1 つでもあります。 白いことにそれは幅広い需要がありますが、デンマーク、
新刊の抄録では、
記事を幾つか執筆しました。VHP から GBP
(グ
スカンジナビア、フィンランド、オランダなどでは、大き
ローバル・ベストプラクティス)の書籍が新しく出版されま
な書籍は英語で書かれているほうがいいのです。これらの
す。その中の記事を執筆しました。Paul Wilkinson 氏の新刊
国々の関心が深い人々は、詳細な書籍を読み、必要な情報
でも少し執筆していますが、もう少しかかわりたいと思って
を得るための十分な英語力を持っています。しかし、より
います。今は一人身なので、喜んで世界中を飛び回っていま
概要レベルの一般入門書は翻訳する必要があります。例え
すが、私のパートナと家庭を持って同じ国に住むようになっ
ば、スウェーデンでは小型のポケットブックのうちの 1 冊、
たら、自宅でいろいろなことができればと思います。そのた
バージョン 3 のポケットブックをスウェーデン語に翻訳し
めに良い方法の 1 つは、もっと書籍を執筆することですね。 たいのですが、ITIL® 書籍を翻訳するつもりはありません。
ぜひ来年はそうなるといいのですが。
ですから、
「翻訳しますか?どうしますか?」という問題
を考えたときに、最初に考えるのはもっと複雑な事情なの
インタビュア:そうするお時間があるといいですね。
です。
「はい、でも・・・」か「いいえ、でも・・・」な
執筆された書籍が日本語でも出版されるといいのですが。 のです。ところが、日本とドイツでは、
「書籍を翻訳する
毎回、最後に参考文献が不足します。何かしなければなら
必要がある」ということになります。他国では、
「いいえ。
ないと思っています。
でも、認知度を高めて人材を獲得できるように、この宣伝
アイバー氏:世界中で行っているプレゼンテーションの中
資料を翻訳する必要があります」と言います。そして「そ
で、最も楽しく行うものがあります。この火曜日にその短
うですね、確かに重要です。英語で書籍を読んで理解する
いものをやったのですが、
プレゼンテーションの題名は「優
ことができる適切な人材を探したいと思ってはいますが、必
れた IT サービスマネジメントは目に見えないものである」 要はありませんね」となります。ですから、これはより複雑な
というものでした。カルチャの違いについて話しましたが、 ことなのです。
プレゼンテーションとして日本で功を奏すには完全に書き
it SMF の観点から、もう 1 つ複雑な点は、どの支部が翻
直さなければならないでしょう。その辺りのホワイトペー
訳をするかということです。ここでも、日本の状況はいた
パーを書きたいと思っていますが。いかにサービスマネジ
ってシンプルです。日本という国があり、日本と呼ばれる
メントが見えるべきでないか、その仕組みが見えるべきで
支部があり、
日本語と呼ばれる言語があります。ですから、
ないかについて説明します。車に乗るとします。触れてみ
きちんと型にはまるわけです。フランス語はそのようには
て心地良いと感じますが、目的地にどのように到達するか、 いきません。フランス語という言語があり、フランスとい
どのようなエンジンを搭載しているかを知る必要はありま
う国と支部があります。しかし、フランス語やドイツ語
せん。サービスマネジメントはそのようにあるべきです。 を話すスイスという別の国があります。ですから、ベル
年末までにお届けできるように、ホワイトペーパーを書き
ギー支部のように、その支部の半分はフランス語翻訳に
たいと思っています。
興味を示します。それから、カナダ支部の一部もそうで
す。このように状況が複雑であるため、it SMF は、私が委
®
ITIL の翻訳」について
員長を務める国際出版委員会を通して取り組んでいます。
インタビュア:国際的に翻訳プロジェクトでどのようなこ
翻訳のほかにもいろいろな問題があります。これが舞台
とが起こっているか現状についてお話しいただけますか?
アイバー氏:ITIL® 書籍については、目的を達成しつつあ
裏です。優れたサー
ります。おそらく、日本は翻訳においてはリードしている
ついて言い続けてい
でしょう。日本とドイツがトップですが、日本はおそらく
るように、これを見
どこの国よりも早く翻訳版を出版しているでしょう。
えなくして、邪魔に
ドイツでは 2、3 冊出版されていると思います。日本は
ならないようにした
どこよりも多くの翻訳版を出しているはずです。でもよく
らいいのでしょうが、
考えてみると、ブラジルもそうですが、日本は他国よりも
やらなければならな
翻訳する必要性があるからでしょうね。英語の理解力もあ
いのです。
33
ビスマネジメントに
インタビュア:大変興味深いお話ですね。日本が単一の国
アイバー氏:良い例を挙げると、書籍ではいたる所に物事
で日本語を使用していて良かったです。
は計画して設計しなければならないと書かれています。重
アイバー氏:そうですね、その点では簡単ですね。it SMF
要なのはサービス・リハーサルやパイロットなどです。私
の観点からすると、堂々とこれはしないと言わなければな
を知っている人なら誰でも、私の仕事のやり方を知って
らないこともあります。いつかはうまくやれると思います
います。壇上に立つ 2 分前に、
「何を話せばいいですか?」
が・・・ほかにも IPESC 内の翻訳オフィスでは複雑なこと
と尋ねるような状態です。私はこれまでに同じプレゼンテ
がありますが、翻訳されるのはそれだけではありません。 ーションを 2 回行ったことはありません。何をするべきか
it SMF International の 委 員 会 で、IQAC(International
説き勧めますが、それを実践することはぜったいにありま
Qualifications and Certifications)委員会と呼ばれる委員
せん。私の子供たちも私にそっくりです。
会があり、試験などの翻訳を監督する翻訳責任者がいて、
2 つの翻訳オフィスが連携して一貫性のある業務を行って
インタビュア:何か付け加えることはありますか?
いく必要があります。
アイバー氏:ITIL® に興味を持つ人々について私が常に言
っているメッセージは、書籍から始めるなということです。
インタビュア:想像していたより、もっと複雑なのですね。 私のプレゼンテーションでスライドがありました。日本で
アイバー氏:人生のすべてがそうですよ。
はすばらしい日本語訳を出しましたが、それらは「ここか
ら始めて、書いてあるとおりにやりなさい」と解釈される
最後に
べきものではありません。それぞれの書籍が何に関するも
インタビュア:ニュースレターの読者は、あなた自身のこ
のであるのか理解する必要があります。というのも、それ
とについてもっと知りたがっていると思います。
らは組み合わさって 1 つのものとなるからです。ですから、
アイバー氏:私についてですか?私は退屈な男ですよ(笑)
。 概要の冊子を読むように言っています。まだ翻訳されてい
ませんが、これを読むことを強くお勧めします。概要を読
インタビュア:退屈な人だったと言わなければなりません
んでから、序論を読み、その後詳細に進むように言ってい
ね(笑)
。休日のご予定は?それともお仕事ですか?
ます。そうすることで、何が書いてあるか、それに対する
アイバー氏:パートナーと一緒に 1 週間フランスで休暇を
サービス・フォーカスについての感触を得ることができま
過ごしました。
す。一部分だけを選んで読まないでください。そうすると、
彼女が担当していた IPESC の会議がパリであったので、 プロセス管理に戻ってしまいますから。幅広く読んでから、
フランスで 1 週間休暇を取りました。とてもゆっくり過ご
より深い所まで読み込んでください。これが私からの皆さ
せました。1 週間インターネットなしの、休暇らしい休暇
んへの助言です。ITIL® について学び、参画してください。
でした。 携帯電話は使えましたが、あまり電話に出ませんでした。 インタビュア:すばらしいメッセージでした。インタビ
インターネットは全くなしです。彼女は週末までに禁断症
ューさせていただき、どうもありがとうございました。
状が出ましたが、私は大丈夫でした(笑)
。アメリカでも
それでは、今日はこの辺で。
9 月に数日間休暇を取りました。クリスマスには南アメリ
アイバー氏:どうもありがとうございました。
カに行き、2 週間の休みを取って真夏のクリスマスを過ご
す予定です。昨年は 5 週間の休暇がありましたが、取った
のは 1 週間だけだと思います。残りは消えてしまいました。
昨年はとても忙しくて、休暇を取り損ねました。
インタビュア:馬鹿げた質問だと思いますが、あなたは何
かをする前に、それは何でもいいのですが、テストや検証
をしたいタイプですか?
アイバー氏:いいえ、私は他の人に指示をするだけです。
どのような点においても私が説くことは実践しません(笑)
。
インタビュア:書籍ではどの程度重要になるのでしょうか?
34
■ Ivor Macfarlane(アイバー・マクファーレン)氏:IBM UK
■インタビュアー 森田 礼子:it1 SMF Japan 会報誌編集委員
interview
Sharon Taylor
第 5 回 itSMF Japan コンファレンスの講演のために来日
された Sharon Taylor 氏(シャロン・テイラー氏)にイ
ンタビューをさせていただきました。
シャロンさんは、ITIL® V3 のチーフアーキテクトであり、
現在、itSMF International の議長を務めていらっしゃ
います。
itSMF 講演について
インタビュア(森田 礼子):本日はどうもありがとうご
ざいます。このような機会を持つことができ、とてもう
れしく思います。
今朝のプレゼンテーションは大変すばらしく、皆さん
聞き入っておられました。聴衆からの反応をどう思われ
ましたか?
Sharon Taylor(シャロン・テイラー)氏:私にとっては
判断が難しいです。アジアの方は大変静かですから。し
かし、多くの方が頷いていたり、何かを書き留めていた
のに気付きました。ITIL® のアジアでの影響や受け入れと
いう点で、自分自身に重ねておられたように感じました。 は標準主導のフレームワークに対する意欲が非常に高いこ
ITIL® バージョン 3 と IT サービスマネジメント全般と、 とが分かりました。ですから、コミュニティへの ISO/IEC
起こりつつあって目の当たりにしている世界的な傾向だ
20000 のリリースや SOX 法の制定、COBIT や ITGI の取り組
けを示そうとしたわけではなく、アジアのビジネス市場
みは、標準の認証を達成する基礎として人々が ITIL® に興
のカルチャが、導入の急激な加速化をどのように促進し
味を持つようになる動機付けとなりました。
ているかを示そうとしたのです。私たちの業界にとって
導入の加速化傾向と市場へのリリースには相関関係が
は非常に意味のあることです。ITIL® のバージョン 2 がア
ありました。標準が成熟するにつれて、アジアが引き続
ジアで出されたとき、アジア太平洋地域における注目度の
きリーダになると確信しています。これはいいことで
点で、どうしてこのように急速に受け入れられたのかとて
す。というのも、リスクに対して高い許容性を持ち、革
も関心がありました。調査を通して、プロセスの最適化を
新に対する意欲が高く、一歩踏み出してビジネス・プロ
取り巻く事業推進要因だけでなく、日本人やアジア全般で
セスを再構築したり、市場に出る新しいフレームワーク
にまつわる IT サービスの理念を再構築したりすること
シャロン氏基調講演
を怖れないことが分かるからです。そう考えれば、西
洋社会はアジアがビジネス市場で何をしているか警戒す
る必要があるように感じることがあります。それによ
って、他の地域での導入が促進されます。世界の業界に
対してアジア市場がどういう位置にあるかを見ること
は、聴衆にとっては興味深い情報だと思いますし、場合
によっては影響と導入をリードしているという点で、達
成感を与えるかもしれません。市場は互いに追随するた
め、アジアはすばらしい革新者で、伝統的に革新的な市
場ですから、アジア太平洋コミュニティが ITIL® の導入
35
を加速し続けるなら、世界のほかのコミュニティは追随
ス測定などの達成のレベルから、サービスを管理する運
し、業界においてより大きな弾みとなるでしょう。私た
用面までのプラクティスとして、業界の多くがサービスマ
ちは非常に喜ばしいことだと思っています。最近、it SMF
ネジメントに関して理解を深めることができたと思いま
International はマレーシアにできた it SMF の 50 番目の
す。ですから、効果は出ています。バージョン 3 がその関
支部を承認しました。アジアでは IT サービスマネジメン
心を刺激するのに役立っていることに満足しています。
トに関する事業関係者が大幅に増加していて、良いこと
インタビュア:本当にそうですね。今朝のコンファレン
だと思います。
スでは、IT ガバナンスの講演者が COBIT と ITIL® の関係
ITIL® V3 の導入状況
は以前よりずっと近くなったと、同じことを言っておら
インタビュア:プレゼンテーションでも、バージョン 3
れました。
の導入においてはアジア太平洋がリードしており、市場
シャロン氏:私の後の講演者ですね。日本では非常に有
を主導しているというお話がありました。おそらく日本
名な方だと伺いました。IT ガバナンス協会の松尾さんで
人は皆「どうして?」と言うでしょう。というのも、日
すね。
本ではバージョン 2 を少しだけやって、どのようにバー
ジョン 3 に変更できるかと待っている状態だからです。
しかし日本以外の国では、ろいろと取り組んでいるとい
ITIL ® への補完
インタビュア:出版される補完的な手引書についてお話
うことを聞いて大変興味深く感じました。全体的には、 しされましたが、私たちは非常に関心があります。おそ
移行しているというお話を聞き非常に満足しています。
らく、ニュースレターの読者は補完的なポートフォリオ
シャロン氏:関心が高まっていることが分かります。現
で何が起こっているのか把握していないと思います。
在の私たちの市場は世界規模であるため、カルチャや事
シャロン氏:補完的なポートフォリオの構想は、実際に
業理念の点で企業の本国はある程度重要性を持ちますが、 は ITIL® バージョン 3 の設計段階で決定されていました。
グローバルな面も持たなければなりません。事業の世界
基本の中核的なプラクティスについては時間がたっても
で、特に IT サービスマネジメントにおいて、私たちがど
変わらないものがあるため、5 つのライフサイクルの段
れほど類似しているかを理解するうえでおそらく役立つ
階を持つサービス・ライフサイクルを作りました。これ
と思います。実際のところ、課題や困難は全く同じです。 は、どの業界にいるかにかかわらず、誰にでも適用され
it SMF International の役員会とアジア太平洋地域の多
る基本的なプラクティスのレベルです。これらの基本的
くの支部との間で、今週会議が開かれました。議論を通
なプロセスと基本的な活動には一貫性があります。しか
して、どこにいようと問題は似通っていることがはっき
し、私が今日お話しした、例えば製造業など特定の業界
りしました。異なる方法で問題にアプローチする場合も
では、欠陥率の視点から品質にかなり縛られていること
ありますが、私たちの結束を示すことは役に立ちます。
が分かっています。金融部門は主として法規によって縛
サービスマネジメントに関して言うと、本当にそうで
られますが、これによって投資企業、銀行、融資会社な
す。バージョン 3 の導入が進むにつれて、事業に近づく
どを通してかどうかにかかわらず、金融業界の顧客は保
という考え方全体はサービスマネジメントの語彙の一部
護されます。例えば製薬業界が ITIL® のプラクティスを
となり、各国と世界市場の間にある相違は小さくなり、 導入し使用する方法は、中核的なレベルと一致しています
一層似通ってくると思います。これは一般的なフレーム
が、実行することの中にはサービスマネジメントに関して
ワークとサービスマネジメントの関係者に行われる統計
独特なものもあることを示すニーズがあります。例えば、
調査ではっきりと分かります。ITIL®、COBIT、CMMI に関
製薬会社は研究と分析に大きくかかわっています。その事
して私たちが長い間抱えている問題の 1 つに、どのよう
業活動を管理するために
にこれらが組み合わされるか、どのように連携するか、 使用される IT システムは、
これらは何が違うか、何が同じなのかについて、多くの
セキュリティと許容性に関
企業が把握していないことがあります。バージョン 3 で
して非常に高い標準に従っ
は、どこに相乗効果があるか、どこに独自性があるかなど、 ています。これは情報など
これらすべての事柄に関して ITIL® の立場を示すために、 を保護する法規が制定され
そのメッセージをはっきりとさせるようにしました。そ
ているためです。製薬業界
れだけで、標準的な卓越性、ガバナンス、パフォーマン
の ITIL® の解釈と使用は、
36
例えば製造部門のものとは少し異なることがあります。補
これはコミュニティがそのコミュニティに適切なプラクテ
完的なポートフォリオというものは、ITIL® の基本的なプ
ィスを育てる方法であり、それは ITIL® のさらに重要な部
ラクティスに取り組み、その上に、自分がいる市場に焦点
分の 1 つだと思います。なぜなら、今後ベストプラクティ
を当てた強化を加え、中核的なプラクティスを加速または
スについて英国政府に責任を負わせることは、皆さんおか
牽引するようにするものです。組織によっては、中核的な
しいと思われるでしょうし、そうするのではなく、コミュ
プラクティスだけが必要な場合もあります。しかし、具体
ニティが業界を引っ張ることが良いと確信しています。で
的な要件や特定の技術がある場合には、自分の組織のやり
すから、私たちにとってそれを起こす機会なのです。多く
方に沿った基本となる中核的なプラクティスを導入するに
の場合、ITIL® は英国の国家著作権で保護され、人々は自
はさまざまな方法があることを理解するということは面白
分の知的財産であるものを提供したがらないものです。で
いでしょう。過去 20 年の間に、私たちはこのような相違
すから、補完的なポートフォリオは知的財産を失うことな
点をたくさん学んだということです。
く、コミュニティのナレッジに貢献できるような方法で設
そのほかの良い例として、公共部門と民間部門との運
計されています。補完的なポートフォリオの一部は、国家
用の相違が挙げられます。両者の事業推進要因は全く異
著作権がないため、著者、企業などによって知的財産とし
なっています。公共部門は利益や商業化によって縛ら
て保持される、業界からの貢献となります。彼らにとって
れていませんが、民間部門は縛られていますから、そ
は、その情報に対する商権を手放すことなく貢献するため
れぞれのニーズはかなり異なります。ですから、コア
の追い風となります。
書籍を中心に据え、その周りに、サービスマネジメント
これは大きな前進です。以前は、OGC が後援する ITIL®
のフレームワークとして ITIL® の使用経験を個別に反映
に関するすべてのものは、国家著作権で保護されました。
できるような強化を加えるというのが狙いでした。設計
私たちが誰でも使用できるようになった一方で、これに
チームとして、関係のありそうな項目のリストを調べま
貢献するのを渋り、思想的なリーダや貢献者としてのア
したが、スライドにあるリストは、私たちが把握してい
イデンティティを捨てる特定の組織が存在します。補完
る、業界が提供するように要請していることのほんの一
的なポートフォリオは、より多くの人々が集まってサー
部にすぎません。補完ライブラリは、今後拡大し変化し
ビスマネジメントと ITIL® というナレッジ体系に貢献する
続ける ITIL® の一部です。その実用性は、私たちの事業
可能性を広げます。コミュニティとともに進む製品として
部門の一部が具体的な項目に関心を持つたびに、その情
ITIL® の成熟度においてこれは一歩前進だと確信していま
報や手引を加えることができ、それが常に ITIL® の基礎
す。コミュニティが進む方向に影響を与えることができま
となる中核的な原則と理念の範囲内である点です。補完
す。業界が公共部門の所有する一連のプラクティスに依存
的資料の幾つかは、例えば拡張可能なプラクティスな
するのではなく、自らの将来を形作るためには、これほど
ど、すでに ITIL® バージョン 2 にある既存の項目を更新
良い機会はないと思います。焦点を当てなければならない
したものです。バージョン 2 ライブラリに『Small-Scale
領域はここなのです。コミュニティではさまざまな方法で
Implementation』という書籍があります。バージョン 3
あらゆる種類の情報が存在します。いつも何かが出版され
にプラクティスの領域を加え、このような書籍は現在で
ますが、結び付きは全くありません。
も非常に人気が高いため、これらを更新し、ポートフォ
例を挙げてみましょう。あなたは著者で、サービスマネ
リオの一部として維持する予定です。
ジメントの専門家か、業界でサービスマネジメントにかか
これが補完的なポートフォリオを持つことの裏にある設
わっているとします。あなたにはこれまでに使用したこ
計理念ですが、最も特筆すべき点は、バージョン 3 の設計
とのないアイデアやプラクティスがありますが、業界の
当初から常に言っていることですが、ITIL® の歴史におい
人たちがこれから恩恵を受けることができると思ってい
て、補完的なポートフォリオは ITIL® の最も重要な部分に
ます。ホワイトペーパーや
なるということです。それは、内容がコミュニティに由来
書籍を出版することもでき
するからです。ですから、ポートフォリオ開発の概念とし
ますが、世界中ですぐに認
ては、私たちの業界で毎日 ITIL® を使用し、ITIL® を扱う
識される ITIL® ブランドで
仕事をし、ナレッジやプラクティスを改善しようとしてい
はないため、全読者に届か
る人々が、補完的な書籍の中にある思想的なリーダシップ
ないかもしれません。それ
を提供する人々です。これは書籍を執筆している大勢の専
は、ITIL® ポートフォリオ
門家ではなく、コミュニティの ITIL® への貢献であって、 の一部であるという目に見
37
えるアイデンティティがないからです。ITIL® のブランド
COBIT4 の内容をよく分かっている人を集めました。場合
は、私たちの市場で並外れた力を持っていますから。しか
によっては、ユーザ・コミュニティや ITIL® を使用して
し、同じ出版物や同じ情報を ITIL® のプラクティスの一部
いる企業から来ている人もいます。時には、コンサルタ
となる書籍にする機会を得られたら、コミュニティ全体が
ントや、トレーナ・プロバイダ、ツール・ソリューション・
すぐにアクセスして共有します。これこそ私たちが働きか
プロバイダを問わず、特定の分野の専門知識を持つ専門
けていることなのです。そうなるといいのですが。実際に、 的なコミュニティから来ています。概して、これらの人々
取り組んでくださっている企業や個人がたくさんおられま
は自発的にやって来ます。例えば TSO とコンタクトを取
す。補完書籍は、業界の部門固有の情報、技術固有の情報、 って、「貢献したいアイデアがある」と言います。プロセ
プラクティス固有の情報を取り扱うので、3 つの要素がか
スとしては、彼らが製品記述書(Product Description)
らんできます。これまでに多くのものを出版してきました
と呼ばれるものを作成します。これは、その項目がどう
が、そのほとんどが資格認定制度、コア書籍を支援するもの
いうものか、ITIL® の中核的なプラクティスにどう関係
であり、例えば、重要な要素に関する手引や、現在更新中で
するかという基本的なアイデア、内容や対象市場に関す
ある既存のバージョン 2 の内容に代わるものがあります。
る基本的なアイデアを説明するためのものです。その後、
そのほかの重要な点は、他のフレームワークとの対応付
その内容をホワイトペーパーとして発行するかどうかが
けです。私たちは ISO 20000 と ITIL® の対応付けを完了し、 決定されますが、それから関心が高いかどうか市場で試
COBIT と ITIL® の対応付けは最終的な Q&A の段階にありま
されてから出版されることになります。あるいは、関心
すし、CMMI と ITIL® についても取り組んでいます。私たち
がすでにあって、それが満たされていないことが分かれ
は ISACA、TOGAF、eTOM、カーネギーメロン大学などの組織
ば、その内容を提供するチームを作って発行することに
に接触し、正式な対応付けへの参画に関心があるかどうか
なります。基本的にプロセスはこのようになっています。
探っています。これらすべてが何を意味するか、これらす
あらゆる業界から人材が集まります。ユーザから専門家
べてがサービスマネジメント、技術、ツールという武器の
まで、誰もが参画しているのです。
どこに当てはまるかについて、市場が常にはっきりと分か
itSMF の役割り
itSMF の役割
っている状態にします。
インタビュア:この質問をさせていただいたのは、日本
インタビュア:すばらしい情報をどうもありがとうござ
人や日本の組織が日本やアジア太平洋地域で何かをアウ
います。この分野で何が出てくるか、皆さん非常に関心
トプットする時期に来ているからです。今、日本人はプ
があります。Taylor さんがバージョン 3 に関するリフレ
ロアクティブではありませんから、もっと世界に発信で
ッシュ・プロジェクトについてお話しされていた 2 年前
きるはずです。
でも、補完的なポートフォリオの概念はありましたが、 シャロン氏:ナレッジ体系の観点からも、it SMF が非常に
実際はまだ存在せず、何が起こっているのか分かりませ
重要になってくるところです。it SMF としては、私たちは
んでしたし、いまだに知らないことがあります。もしか
ITIL® という法人であり、それが私たちで、それを所有し、
すると、忘れている人もいるかもしれません。現在日本
それが私たちの職務だと言います。ITIL® を使用するリー
では、バージョン 3 の書籍が、日本語で出版されている
ダやユーザと接触するための唯一の方法は、it SMF のネッ
ので、お話しいただいたことは新鮮で、私たちにとって
トワークを通してです。これは、コミュニティを利用し
も非常に重要で有益です。さきほど少しおっしゃいまし
て草の根レベルとコミュニケーションを取る最も効果的
たが、どのような人がポートフォリオに貢献し、書籍を
な方法です。it SMF は、この場合は OGC であるナレッジ体
執筆しているのでしょうか?
系と、実際のユーザ・コミュニティをつなぐ役目を果た
しています。私たちは調査
シャロン氏:補完的なポートフォリオに関して言えば、 を開始し、ITIL® の開発に
例えば、生命科学の部門に作業チームがいて、製薬業界
は世界中から 700 人を超え
での法規と ITIL® の使用についてフォーカスした項目に
るレビュアがかかわり、ア
参画しています。例えば、COBIT と ITIL® の対応付けに
ジア太平洋地域も積極的に
かかわっている人々は、ITIL® の専門家のコミュニティ
参加しました。it SMF やメ
と ISACA との間でチームを作っています。それを調べる
ンバと it SMF とのつながり
ために、バージョン 3 の内容をしっかり把握している人、 を通して、業界を代表する
38
チームを組むことができました。
シャロン氏:私は西洋人ですから主張していくタイプな
it SMF は、ナレッジ体系に専門知識を提供するだけで
のです。日本人は控え目な傾向があって、進んで貢献す
なく、ユーザ・コミュニティと接触して人々を集め、意
るようなタイプではないと思います。サービスのレベル
見を得るうえで、重要な役割を果たしていると思います。 が完璧な状態であるため、正しくないことを恐れている
それがバージョン 3 は ITIL® の他のバージョンとは異な
のではないでしょうか。今朝プレゼンテーションでもお
る点です。というのも、その開発モデルは非常にオープ
話ししましたが、サービスマネジメントに関しては、日
ンで、コミュニティと協力的だったからです。これまで
本人は世界中でもピカイチです。本当にすばらしいの一
の ITIL® のバージョンは、調査を実施し、プラクティス
言です。しかし、時にはその完璧な状態のレベルのせいで、
を発行したわずかな専門家との契約を通して行われてき
絶対確実でないとなかなか前に進めないのです。喜んで
ました。今回は、コミュニティから非常に多くのインプ
ニュースレターに記事を書かせていただきます。翻訳し
ットが得られたため、実際にはコミュニティ・プロジェ
ていただかなければなりませんが、読者を勇気づけられ
クトです。ITIL® の認証について見てみると、制度、ク
ると思います。今朝の講演の後で、ある女性がいらっし
ラスのカリキュラム、試験の作成に責任を負う試験官委
ゃって、ITIL® 書籍の 1 冊にサインするように頼まれて
員会は世界中から集められています。これは、カルチャ
サインしました。そのとき彼女は私が誰だか分かってい
の違いに対応でき、市場の成熟度を考慮し、内容の妥当
なかったと思います。私はマクファーレン氏のとなりに
性が世界的な視点から考慮されるように、私たちが意図
いたので、おそらく共著者だと思ったのでしょう。サイ
的に行ったものです。世界中のいたる所から、トレーナ、 ンをすると、はっと息を飲んでいましたから。なんら特
ユーザ、著者、専門家、コンサルタントなどあらゆる人々
別なことではありません。そういう人たちに参画しても
がかかわっています。その中にはタクシーの運転手も含
らって、力を貸してもらいたいのです。私はその女性が
まれているかもしれません。
気絶するかと思いました。
インタビュア:そうかもしれませんね(笑)。市場は成長
インタビュア:私も本を持ってこなくては(笑)。おっし
していますから・・・
ゃるとおりです。日本人は非常に引っ込み思案なので、
シャロン氏:it SMF Japan からは、いつも何人かが出版
なかなか参画できません。
面に携わってくださいます。もっと多くの方が参画して
シャロン氏:しかし、それを変えようとしないのは良く
くださると、業界のよりバランスの取れた視点を取り込
ありません。例えば、人々が自分の考えを無記名で提供
むことができます。
できるようにしたら、「私は構成管理の専門家で、これ
私たちには、ITIL® の内容に改訂を加えるという明確
は私の書いた記事だ」と必ずしも言う必要はありません。
な目的で設立された変更諮問委員会のような仕組みがあ
つまり、定期的に考えを寄稿したり、質問したりできる
ります。何か変更するべきものがあると思っていること
ようにすればいいのではないでしょうか?刊行物の中で、
について連絡くださったり、そのような変更の影響を検
専門家に質問できるような場が設けられていますか?こ
討くださるような方を常に募集しています。私たちには
のようなことができると、おじけずにもっと参画できる
変更要求プロセスがありますが、このようなことは欧州
のですが。
市場や北米市場では十分理解され、知られている一方で、
英語圏外の市場ではあまり伝えられていないように思い
インタビュア:最終的には、世界規模で貢献するには、
ます。ですので、参画できないとか、よく知らないと感
記事は英語であるべきでしょうが、これが 1 つの大きな
じるのではないでしょうか。個人的には、コミュニティ
懸案になっているようです。
を参画させるのは非常に重要だと思っています。より多
シャロン氏:サービスの完璧さに関しては、翻訳にも言
くの人が参画するほど良くなると思います。it SMF は参
えます。コア書籍を翻訳したチームは、正しく翻訳する
画の際に通る最初のドアなのです。
ために意味を明確にしようと、内容のさまざまな個所に
ついて私に質問を送ってきました。その内容は思ったよ
インタビュア:私たちも同じようなことを考えていまし
りも非常に詳細だったので、「書籍はすばらしいものにな
た。ニュースレターに記事を書いていただくようにし始
る」と感じました。適切な翻訳がなされないかもしれな
めたところですが、寄稿してくださったのは 6 か月間で
いあらゆる個所で、このような非常に徹底した注意が払
わずか 3 名です(笑)。
われていました。『サービスストラテジ』についてですが、
39
質問を受けると「うーん、よく考えなくては」と思った
きました。もうすぐ 3 才になるので、短い文ですが話せ
ものです。本のその指摘個所を読み、「さあ、どうやって
るんですよ。「おばあちゃん、大好き。おばあちゃんがい
説明しようかしら」と考えましたが、非常に良いことで
なくて寂しいの。おばあちゃん、東京からいっぱいお土
した。正確さの詳細レベルは、高品質の製品の要になる
産持って帰ってね」ですって(笑)。ですから、今日は午
と思います。
後からお土産を見つけに行かなければなりません。きっ
と、孫娘の母親がうまく言わせたんでしょうけどね。で
インタビュア:「これとこれの違いは何か?」、「この定義
もそのメッセージを聞きながら、これで家族とゆっくり
は?」など、この類の質問は、著者でも分からないかも
家で時間が過ごせると思いました。
しれません。
シャロン氏:それによって英語版の欠陥が指摘されるわ
インタビュア:今は 7 月末ですが、今年はどちらかに行
けです。内容を執筆していると、数多くの Q&A やレビュ
かれましたか?
ーなどを受けても、まだ不備があることがあります。そ
シャロン氏:今年は、年初にスカンジナビアでのコンフ
の作品に一番近いと、つまり毎日見ていると、初めて読
ァレンスに行きました。デンマークのコペンハーゲン、
む人がしない解釈や理解をしてしまいます。質問が来て
スウェーデン、フィンランドでは、年の早い時期にコン
英語版の内容を読んでみると、「あまり明確ではない」と
ファレンスを開催します。それからイギリスに行って、
思いました。しかし執筆した当時は分からないのです。 スコットランドなどで it SMF の地域イベントを行ってき
ですから、欠陥という言葉が適切かどうか分かりません
ました。今年の秋はシンガポールとタイに行って、その
が、今後のバージョンで明確にされる必要があったり、 後またスカンジナビアに飛びます。ドイツにも行きまし
一貫性を持たせるようにしたり、理解しやすくするため
た。ほとんどが EU 諸国です。これは、バージョン 3 の概
に簡潔にする必要がある個所が指摘されることになりま
念を推進し、認証開発について情報提供するためですが、
す。ですから、これは非常に役立つ作業なのです。
大部分は it SMF のイベントが中心でした。米国でのコン
ファレンスの後は、米国内を回ります。ニューヨーク、
最後に
シカゴ、中西部、カリフォルニア、テキサスなどで IT サ
インタビュア:数年前にお会いしたときに、忙しく世界
ービスマネジメントについて講演します。
中を飛び回っておられたのを思い出しました。
今はバージョン 3 のことを多く語るのではなく、サー
シャロン氏:今はそうしていません。今は以前に比べて
ビスマネジメント一般や私の考えと視点から業界での自
こなすイベントも少なくしています。私は会社も経営し
分の立場について話すつもりです。もちろん ITIL® にも
ていますが、ここ 3 年は私が ITIL® に集中していたため、 重点を置いていますが、組織が問題解決に必要な具体的
ほかの人に会社を任せていた次第です。仕事の面では、 な項目について話すことに重点を戻していくつもりです。
ここで前進してほかのことをやって、いろいろとチャレ
今年終えたすべてのコンファレンスの後、コンファレン
ンジする時期だと思いますので、ITIL® も旅行も減らし
スの主催者に「また呼んでいただけたら光栄ですが、主
ていますが、ITIL® イベントは私にとって世界のコミュ
席設計者としてバージョン 3 について話すだけでなく、
ニティとのつながりなので、ある程度は続けるつもりで
他の課題や ITIL® についてお話しします」と言ってあり
す。今では世界で多くの知人も増えましたが、イベント
ます。ほかのことについて話すのを楽しみにしています。
に出かけていき代表者と話すことは、何が起こっている
というのも、この話題とこの業務に一生懸命ですが、4
か動向を確認する方法であって、新しい仕事を導入する
年間同じことを話し続けると、人々が待ち望んでいる話
のに役立ちます。今は思想的なリーダシップについても
題について話すようにする必要があると思えてきたので
っとたくさんのものを執筆しています。今後、サービス
す。私がバージョン 3 について話すのは、皆さんはもう
マネジメントの分野の書籍を執筆し出版する予定です。以
うんざりしていると思います(笑)。専門家グループが招
上が現在行っていることです。今でもあちこち飛んでいま
かれて具体的な項目について話すような多くのパネル・
すが、家で過ごす時間も少し増やし、4 年前にこの仕事が
ディスカッションに招待されましたが、私はこれが大好
始まる前にやっていた仕事に戻ろうと思っています。
きです。これまでに、大変人気がある多くの e シンポジ
ウムを行ってきました。また、ウェブ放送は非常に人気
インタビュア:お孫さんと過ごす時間も増えますね。
が出てきましたが。これは自分の机で聴けますし、出張
シャロン氏:そうですね。孫娘から音声メッセージが届
費もかかりませんから、参加率は非常に高く、とても人
40
気があります。
秋には、バーチャル・パネル・ディスカッションやバ
ーチャル・プレゼンテーションを多くこなす予定です。
ITIL® の主席試験官として、トレーニング・コミュニティ
や資格認定コミュニティに対して多くのバーチャル・シ
ンポジウムを行い、チーム・リーダや試験官とカリキュ
ラム開発の裏にある概念と、どうしてそのようになって
いるかなどについて話す予定です。うまくいってバーチ
ャル・シンポジウムの人気が高まると、自宅にいる時間
が増えると同時に世界中の仲間とも話すことができます。
これが次の取り組みです。現在市場に出ている書籍の人
気が高いことは、とても嬉しく思います。3 年の間には厳
しい批判も受けたので。現在は、批判をした多くの人が、
必要なことを取り入れるとなるとコミュニティは非常に
強力であることを理解し、ITIL® の人気が非常に高まっ
ています。こういうことになり成功したのですから、次
の取り組みは業界の専門能力開発を支援する認証を出し、
稼働させることです。
インタビュア:苦労された時期があったのですね。とて
も強い方だと思います。短い時間でしたが、たくさんの
ことを伺うことができました。ニュースレターの読者に
メッセージをいただけますか?
シャロン氏:ITIL® の発展に力を貸していただきたいと
思います。サービスマネジメントにおける自分のカルチ
ャやプラクティスに関して内向きになる傾向があります
が、読者が業界に対する貢献を信じ、ITIL® や IT サービ
スマネジメントを使用することで、貢献を実感すること
が重要になるでしょう。また、例えば IT サービスマネ
ジメント・フォーラムに所属することも非常に大切です。
日本の読者の皆さんに対しては、業界への貢献を感謝し
ます。そして、皆さんが引き続き連携し、前進し、貢献
していただくのを楽しみにしています。
インタビュア:どうもありがとうございました。
■ Sharon Taylor(シャロン・テーラ氏)
:itSMF International 議長
■インタビュア 森田 礼子:it SMF Japan 会報誌編集委員
41
ITIL® V3 最新情報並びに
ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格
ITIL® V3 Foundation/Foundation Bridge 日本語試験
の存続のリクエストが寄せられているという事実があります。
ITIL® V3 Foundation と Foundation Bridge 日 本 語 試 験
は、2008 年 7 月 25 日より本番運用となり、認定教育事業者
V2 Practitioner
にて教育と共に試験の受験が可能となっています。ITIL® V3
実務家向けの ITIL® V2 Practitioner が再評価されています。
Foundation は試験のみの受験も可能ですが、現時点(9 月 29
受講された方からの評価が高いため、現在日本で日本語コンテ
日現在)で試験のみを提供している組織はありません。プロ
ンツを用意しているところは、IT プレナーズジャパン・アジア
メトリック社などの試験センターでの配信のご案内は、11 月
パシフィック社のみでしたが、今秋、日本クイント社でも日本
頃発表予定です。
語のコースをリリースする模様です。Practitioner コースの特
尚、ITIL® V3 Foundation Bridge は 6 時間以上の認定教育
徴は、現場での実務を想定した、より詳細な情報がコースで得
が受験条件となっていますので、試験センターでの配信は予
られます。どちらかというと現場に近い受講生が多い日本では、
定されていません。しかし、V2 Foundation を既にお持ちの
コースで想定しているターゲットと受講者の期待が合致した評
方は、1 日でエッセンスを習得しつつ V3 Foundation Level
判が高いコース並びに資格といえるようです。
を取得でき、これから V3 の考え方に即して学習を始めるには、
V2 Practitioner コ ー ス の 大 部 分 は V3 Intermediate
時間、コストの観点からも最良の機会といえます。
Capability の各コースに引き継がれます。
ITIL® V2 Foundation 試験終了の検討について
V2 Manager
9 月の Qualification Board で、V2 試験の終了の検討が議題
ITIL® V2 Manager 試験も前年比 20%増ですが、今年前半で
に上がっていると前号でお知らせしましたが、OGC の欠席に
は白紙解答が目立ちました。受験者の知識だけを問うもので
よりその件は検討されませんでした。今後、検討されると思
なく、総合的な力量が試されている試験と言えましょう。V2
いますが、いずれにせよ、終了発表から 6 ヶ月間の猶予、他
Manager 試 験 は、Practitioner、V3 Intermediate、IPA の サ
の言語の試験のリリース状況や上位試験に日本語化のスケジ
ービスマネージャよりも難易度が高い試験です。
ュールを考えますと、まだ先の話と個人的に考えています。
IPA の IT スキルスタンダードで定義しているプロフェッシ
ョナルのレベルでは、レベル 5 が妥当と考えます。通常試験
ITIL® V2 について
で測る事ができるレベルは 4 までと ITSS では定義しています。
ITIL® V2 の試験配信数は、前年、同期間に比べ 20%増で
レベル 5 は試験を超えて企業が評価し推薦した方が対象とな
推移しており、日本では V2 の需要が非常に高いと言えます。
りますが、V2 Manager の問題内容ならびに解答する手法から、
2008 年 8 月で 5 万人を突破しました。V2 はコンパクトである
レベル 5 が妥当と考えます。つまり、ITSS を導入の企業では、
ため、現場に取得させたい企業様からは EXIN 社に対して V2
V2 Manager 保持者には、レベル 5 として評価をし、かつ自動
国内におけるITSM Foundation資格取得者数 推移
的にレベル 5 として推薦対象とするよう認識していただけた
18,000
16,000
らと考えています。
14,000
IT サービス提供のために必要となる、企画から予算の策定、
12,000
計画、調達、開発、運用、評価という一連のプロセスをマネ
10,000
8,000
ジメントすることを推し進めるには、最低でも V2 Manager ク
6,000
ラスの方が必要ではないでしょうか。企業側で推進する役割
4,000
の中でも必要ですが、IT ベンダとしてソリューションを提案
2,000
する側には Practitioner レベルの方のみならず、Manager ク
20
08
20
07
20
06
20
05
20
04
20
03
20
02
20
01
20
00
19
99
-
ラスが必要と考えます。
42
ところで、Manager 試験を挑戦されている方で、やる気は
がどのように実行されるか楽しみですが、採点を引き受けてく
あり勉強しているにもかかわらず、なかなか試験が通らない
ださっている皆様は、現場でご活躍をされている方ばかりです。
という方は、もしかしたら何か思い違いをしているかもしれ
改めて採点を引き受けてくださっている皆様の善意、向学心、
ません。一度、講師に相談をされる事をお勧めします。
志の高さとそのご協力に感謝申し上げる次第です。
一方、
“試験を諦めている”と思われる答案用紙が少なから
ず見受けられます。希望していないにも関わらず、会社から
上位コースは V2 にすべきか V3 にすべきか?
のアサインで Manager クラスに出席しただけという方もいら
現時点において、V2 の上位コースか V3 の上位コースがい
っしゃるかもしれません。しかし、ご自身の幸運を今一度確
いのか、どちらに進むべきか悩んでいるという質問を頂戴し
かめて見る事をお勧めします。IT サービスマネジメントの分
ます。結論から申し上げますと、現在リリースされているも
野に従事する人口は約 13 万人と推定されています。13 万人
のにいち早く取り組む方が価値が高いといえるのではないで
の中で一体何人の人が、一人 100 万円もするコースに投資し
しょうか。
てもらえるでしょうか。2 週間も現場から離れて、ご自身だ
理由は、ビジネスでは時間が何よりも優先するからです。
けのために時間を投資してもらえるのでしょうか。どんなに
将来リリースするであろう半年か1年先のものを待つより
優秀な方でも 2 週間のコースに出席できなければ、Manager
も、現時点で用意されているものに取り組み、3ヶ月後には
試験の受験すらできません。たまたま、その時にコースに行
その知識を利用してビジネスに応用しているか、後輩に対し
く時間があったからという消極的な参加理由だったとして
て教える側に回っていた方が断然価値を創造しているのでは
も、会社から一定の評価をされていて、チャンスを与えられ
ないでしょうか。
た方である事に違いありません。チャンスは逃すものでなく、
IT サービスマネジメントという領域の成熟度を国際レベル
獲得するものです。目の前にぶら下がっている幸運を確かめ
で見ると、日本はまだまだ出遅れているといえます。従って一
て挑戦して欲しいと思います。
日も早く、一人でも多くファンデーションからプロフェッショ
ナルなレベルへの人材の育成が必要と感じている次第です。
V2 Manager 採点結果を出すまでの期間短縮
V2 Manager の採点期間ですが、教育事業者にお届けする結
2008 年 1 月から 7 月までの合格率
果表 LIST(個人別の認定証はその LIST が出てから 2 週間後)
EXIN 社で受験された方の最新の合格率が公表されていま
を出すまでに、日本では、試験日から計算して平均が 2006 年
す。日本では、ITIL® V3 Foundation/Foundation Bridge 試験
6.5 週間、
2007 年 5.6 週間、
2008 年 4.6 週間と向上させています。
の本番運用が 7 月 25 日からであったため、まだ集計対象とさ
2008 年後半は更に平均が 4.0 週間にさせるべく EXIN 社内の採
れていません。しかしながら、it SMF Japan カンファレンスで
点プロセスを変更しました。特に今回からの改善には、EXIN
ITIL® V3 Foundation Bridge を 109 名様に Exin Japan として
社からお願いをさせて頂いている採点者の方にもご協力いただ
実施させていただきました。その時の合格率は 87%でした。
く形となっています。現在までは、採点者の方には、第一回目
一般的に Foundation 試験の現時点での評価は、V3 よりも
の採点期間を約 2 週間、第二回目の採点期間を約 2 週間と計 4
V2 の方が合格率が高いと言えるでしょう。
週間とさせて頂いておりま
したが、今後第一回目の
採点期間を 10 日~ 2 週間、
第二回目の採点期間を約
1 週間と計 3 週間に短縮
すべく調整をかけていま
す。
その変更のためには、
オランダでの作業を極力
減らし、EXIN JAPAN で作
業を負担し採点者の方か
らの結果を速やかに処理
がなされるように手順を
変更しました。この変更
合格率は以下の URL で公表しており、上でまとめた言語以外や、過去の合格率も掲載されています。
http://www.exin-exams.com/news/pass-rates.aspx
43
ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格
のご経験によってかなりの差があるようにお見受けします。
ISO/IEC20000 は 英 国 規 格 BS15000 を ベ ー ス に 2005 年 12
IT サービスマネジメントに関する試験を 10 年以上提供して
月 15 日に発行された IT サービスマネジメントについての
きた EXIN と ISO 審査員を育ててきた TUV との協業により作成
国際規格です。BS15000 並びに ISO/IEC20000 を作る際には、
したプロフェショナル資格スキームからは、他の業界からの
ITIL® で活躍したメンバーも参加し、基本的には ITIL® の遺
審査員には、IT サービスマネジメントに関する知識が不足し
伝子を引き継いでいます。
ている事が認められています。
日本では既に 70 社以上の組織が認証取得し、今後も徐々に
広がっていくと思われます。
ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格
ITIL® 導入での失敗の要素として、大きく 2 つあると言わ
ISO/IEC20000 に関して、プロフェッショナルを対象とした
れています。
資格は以下の 3 団体のスキームが良く知られていますが、現
第一にマネジメントからのコミットメントが得られなかっ
時点においては審査員・内部監査人の資格が先行し、どうし
たために、期待したレベルの導入が出来ないこと、もしくは
ても ISO 関連では審査員・監査人の教育しか企画されてきま
期待した効果が得られないこと。第二に関係者の教育並びに
せんでした。
啓蒙がなされなかったために協力が得られず、ツールは導入
・JIPDEC スキームの IRCA 審査員・内部審査員資格
されても利用はされない等、形骸化してしまうことです。
・it SMF UK の ISO/IEC20000 監査人・コンサルタント資格
そういった中で、「認証取得」という企業の取り組みは、 ・EXIN & TUV の ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格スキーム
マネジメントのコミットメントを得て、尚且つ予算も担保
ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格スキームでは、審査
される良い機会と捕らえる事ができます。また、一旦 ISO/
員のみならず、IT サービスに従事する多様な役割の方の教育
IEC20000 の取り組みによって、マネジメントシステムが回る
とその資格を網羅しています。
ならば、単に狭い意味での運用管理の品質改善に留まらず、
V3 で提唱している広い意味での IT サービスを対象にして、
IT サービス提供のために必要となる、企画から予算の策定、
計画、調達、開発、運用、評価という一連のプロセスをマネ
ジメントすることを推し進めるところまで拡張する事が可能
です。つまり、ISO/IEC20000 が V2 から V3 へのブリッジの役
割を果たすことも可能という事です。
ISO における人材教育の課題
企業のビジネスをサポートする IT サービスを提供するため
に、一連のプロセスをマネジメントするという観点から、一
番重要なのは、企業内で、ISO/IEC20000 認証取得を通過点と
図:ISO/IEC20000 プロフェッショナル資格スキーム
して、自社の IT の成熟度に合わせて何をゴールとし、IT サ
ービスをどう定義し、スコープをどう決めていくのか、どう
以下は、EXIN & TUV の ISO/IEC20000 プロフェッショナル資
予算配分をしていくのかという事を策定し、そしてそれを支
格スキームに、他の資格をお持ちの方がこのスキームに入る
える実務者を育成する事ではないでしょうか。
にはどこから入るのが効率的かを示したものです。
現在、ISO の一連の認証取得の中で課題となっているのは、
例えば、ISO9000 の審査員・監査人の資格をお持ちの方は
「いかに審査に通るか」という視点で終わってしまっているこ
ISO/IEC20000 の Foundation, Professional レベルの知識を
とです。その観点から、またはプロフェッショナルな教育と
習得した上でないと、このスキーム内では審査員・監査人と
資格が整備されていないことから、
「審査員もしくは内部監査
認められません。つまり、実際問題としても、IT サービスに
人」の資格をもって、個人の教育が終わってしまっている事
関する実務的な知識が不足しているという状態です。
が本来の認証の目的を形骸化させている根本と思われます。
また、V2 Manager 資格保持者は、
「Professional の管理と改善」
の資格を得ることで、ISO/IEC20000 コンサルタント / マネージ
審査員の力量
ャとして活躍いただけます。あるいは、既に IRCA での審査員・
ISO/IEC20000 に関する審査員については、多方面から評判
内部監査員の資格をお持ちであれば、V2 Manager 資格保持者で、
を聞いています。現時点において審査員の質は審査員の方々
なおかつも、審査員・監査人として充分に通用する事となります。
44
図:他資格保持者の ISO/IEC20000 プロフェッショナルスキームへのエントリ手引き
次回は、V3 Intermediate の英語試験の情況についてご報
告できると思います。今後も引き続き最新情報をお届けする
所存です。
EXIN JAPAN 中川 悦子
45
it SMF International 役員会と
第 1 回支部合同会議
第五回 it SMF Japan(2008 年 7 月 29 日、30 日 ) にあわせて
2つの重要な会議が開催されました。
ひとつめは、it SMF International の
役員会の開催です。アジアパシフィック
での開催は初めてであり、4 月にこの地
域の最大の支部である日本での開催打
診があり、理事会で協議の結果、ホスト
としての役割を務めることにしました。
役員会は 2 日間に渡り、ANA インター
コンチネンタルホテル東京にて開催され
ました。
討議の内容は、支部は参加が参加して
いませんが、it SMF の本部として新規支
部の運営の件や出版、財務など多方面の運営に関するこ
ップ会議、出版、地域協力などの件が活発に討議されま
とが協議されました。
した。
2 日目の最終日には翌日の支部会議参加者も含めて
日本からは富田理事長と私(西野)が出席をしました。
it SMF International の理事との懇親会が開かれ、交流
次回の開催は 9 月の US コンファレンス開催時に併せて開
懇親がはかられました。
催の予定です。
ふたつめの会議として第 1 回支部合同会議が開催され、 その後、第 5 回 it SMF Japan コンファレンスにて出席
it SMF International の理事に加えニュージーランド、 者の何人かに講演をして頂きそのほかの参加者もコンフ
英国、香港、韓国、オーストラリア、日本から計 13 名が
参加しました。
ェレンスに参加をして頂きました。
支 部 も 50 近 く な り、ITIL® V3 や ISO/IEC20000 な ど IT
こ れ は 11 月 に 開 か れ る 年 次 支 部 総 会 と は 異 な り、 サービスに関わる変化が多い時期でもあります。
it SMF International との協議や支部の活動をお互いに
今回のような議論を積み重ねて、グローバルな視点と地
よくより理解と活動を活性化させるために、今回初めて
域的な視点、ローカル支部としての視点での支部運営活
開かれました。
動を推進していきたいと思います。
新しい個人資格の件や 11 月に開かれる支部リーダーシ
46
副理事長 西野 弘
関西支部活動報告
■ it SMF Japan 関西支部
秋の気配が日増しに強くなる今日この頃です。関西支部
CMDB 分科会は、関西圏で活動していた唯一の分科会で
におきましては、7 月から関西支部長が藤井から荒本に引
したので、関西支部では新たな分科会を募集しておりま
き継がれました。今後とも、よろしくお願いいたします。
す。IT サービスマネジメントについて研究したいテーマ
今年の夏も昨年と同様に猛暑日が多かった一方で豪雨も
が御座いましたら、ご連絡頂けますようよろしくお願い
あり「奇妙な夏」でしたが、北京オリンピックで熱く燃え
いたします。
た夏でした。
関西セミナにつきましては、今年度はお約束どおり 2 回
it SMF Japan におきましては、7 月末に昨年度と同様に
開催します。第1回目は、ホームページでお知らせしたよ
「第五回 it SMFJapan コンファレンス」
「it SMF Japan EXPO
うに、大阪・梅田センタービルで 10 月 29 日に開催しまし
2008」を同時開催いたしました。
た。テーマは、ITIL® V3 に関する「ITIL® V3 の進化とサ
it SMF Japan コンファレンスには、関西支部からも分
ービスライフサイクル」と、会員の皆様からのご要望が多
科会活動の成果発表として、CMDB 研究分科会が「CMDB 実
かったユーザ事例「ベニックソリューション株式会社 デ
践の方法論」をテーマに講演をいたしました。講演は二
ータセンターの ITIL® 実践論(実践編)
」としました。また、
部構成になっており、前半は研究内容の総論、後半は塩
短時間では御座いますが、ITIL 試験に関する情報も発信
野義製薬様の事例を発表いたしました。聴講できなかっ
させて頂きました。
た方は、ぜひ Web で資料をご覧頂ければ幸いです。当日
2008 年度関西セミナの第 2 回目につきましては、来年 2
は 63 名の方に聴講して頂きまして、まことにありがとう
月頃の開催を予定しております。
御座いました 。
関西セミナ 10/29(第 17 回)の報告と、来年 2 月開催
CMDB 研究会は 2 年間活動を続けてまいりましたが、今
予定のセミナ情報につきましては、次号に掲載予定です。
回のコンファレンスでの発表を最後に、分科会活動を終
了することになりました。座長、副座長および分科会メ
今後とも関西支部をよろしくお願いいたします 。
特定非営利活動法人 it SMF Japan 関西支部
ンバの方々は、本当にお疲れ様でした。
CMDB 研究分科会活動報告 の様子
講演者
BMC ソフトウェア株式会社
技術本部
仁田 貴之氏
塩野義製薬株式会社
経営支援センター / 次長
多賀 健二氏
47
SUCCEED
LEAD
CONNECT
TRAIN
it SMF US
Fusion
08
Fusion
08 参加報告
it SMF US による「it SMF US Fusion 08」コンファレン
今年の US のテーマは、
スの概況をご報告させていただきます。
「TRAIN」
「CONNECT」
「LEAD」
「SUCCEED」
1. 開催場所・期間
期間 Sep 07-10, 2008
場所 Moscone Center
San Francisco, CA, USA
であり、教育(IT 全般)の質的向上、人間関係の向上、
米国の今年の開催地は、カリフォルニア州のサンフ
組織の円滑な運用をもとにビジネスの成功をめざすとい
ラ ン シ ス コ で し た。 前 年 は 東 海 岸 の 金 融 都 市 で あ る
う考え方のもとで、各種講演が行われました。また、NFL
Charlotte でしたから、今回は久しぶりの大都市での開
で著名な Archie Manning 氏他の基調講演者がこれらのテ
催となります。現地は、9 月でも日本(東京)と異なり、 ーマに沿い講演を行いました。
爽やかな風が流れる季節で多くの国からの観光客で賑わ
■コンファレンス参加者 総計 1,900 名 っていました。会場の Mscone Center は、ユニオンスク
エアのそばで、サンフランシスコ近代美術館の隣にあり、
■出展社 ダイヤモンドスポンサー 3 社
非常に近代的な設備をもった大規模な施設です。
プラチナスポンサー 11 社
ゴールドスポンサー 12 社
シルバースポンサー 43 社
ブース出展のみ 43 社 ■トラック構成
Conference の構成は、10 トラックのセッションと展示
からなりたっていいました。 各トラックのタイトルは次のとおりです。
トラック1:ITSM の基礎となるサービス・ストラテジ
トラック2:サービス・デザインはどこからはじめるか
トラック3:提供開始後のサービス・ デザイン
トラック4:サービス・トランジションを伴った変更の開始
トラック5:サービス・トランジションで組織の成長を支える
2. 催行結果
トラック6:サービス・オペレーションによる価値の達成
コンファレンスの催行結果は次のとおりとなります。
(主催者発表、一部推定)
トラック7:サービス・オペレーション:イベント管理以上
トラック8:CSI 管理
参加者数は西海岸という地理的条件や US の経済状況の
影響で、前年より若干減りましたが、基調講演などに著名
人を招き大いに盛り上がりました。
48
トラック9:賞賛に値する ITSM 導入
トラック 10:会話の場- 最新のトピック、傾向
「ITSM Process Development Methodology using a
CMMI-based Engineering Process」-Lockheed Martin
4.2.ITIL® V3 書籍の 5 つの分類に基づく講演
トラックタイトルにあるように、今回は書籍のタイト
ルに基づいた講演が積極的に行われていた。
「Balancing ITIL® and Cultural Change in a Small
Organization」
(City of Greenwood Village;Track 2: Where to
Start with Service Design) 3. 講演、展示企業
「Real Life, No Humbug, Successfully Ingrained IcM
昨年と同様に、US を代表するベンダー企業のほぼすべ
てによる講演と展示、ユーザ系企業や政府機関、地方公
共団体、大学による講演が行われました。
in a University Service Desk」
(University of California, Santa Cruz, Track 6:
Achieving Value with Service Operation)
講演したユーザ系企業、政府機関、地方公共団体、大
学は下記のとおりです。
等
4.3.専門的な講演
<ユーザ系企業>
WorkShop では、講演(聴衆とのディスカッション)時
Bank of America
間を 2 時間とし、専門的知識を有する方々同士の意見交
Barclays Global Investors
換が積極的に行われました。
The Bank of New York Mellon Co
「The ITIL® and CMMI® Dance: A Play in Three Acts」
Allstate Insurance Company
等
BMO Financial Group
Spectrum Health
Sony Pictures Entertainment
barclays
Allstate Insurance Company
GE
Hospital Corporation of America
Northwestern Memorial Hospital
Austin Energy
<官公庁>
National Institutes of Health
4.4.その他の規格や標準と ITIL® との関連
it SMF Australia
ISO/IEC20000 対応 , CMMI,PMI,ITIL® 間での規格の連携
it SMF USA
に関する講演が行われました。
<大学>
Univ of CA, Santa Cruz
「ISO 20000: Getting Through the Pre Assessment」
University of Phoenix
「Case Study: A remarkable ITIL® and ISO/IEC 20000
journey」
4.講演の概況および特徴
5.it SMF US と it SMF Japan の活動の意見交換について
4.1.ユーザ企業による具体的な事例紹介の講演
ユーザ企業によるコンファレンステーマと連携したテ
it SMF US Chair の David Cannnon 氏他のボードメン
バと Meeting を持ち、意見交換をいたしました。
ーマの積極的な成果発表が目立ちました。
「Power, Politics, and Peanut-Butter; How to use
■ it SMF へ参加している会員、企業の状況
ITIL® to get out of a sticky situation」-The Bank
■ 学術団体との交流に関して
of New York
■ その他各種担当業務での意見交換
49
6.総括
昨年と同様、コンファレンスは多数の参加者で賑わい
をみせていました。特に講演以外の場での各種の専門的
な意見交換も盛んに行われており、日本のコンファレン
スでもそのような場を積極的に設けていくべきだと感じ
ました。
また、LIG とよばれる地域ごとの組織活動(勉強会、
技術展開)も積極的に行われ、日本での会社組織主体の
活動との差を確認いたしました。他国のコンファレンス
のよい点を日本でのコンファレンスに取り入れ、より日
本での ITSM に対する展開活動の活発化に取り組みたいと
思います。
ITSM の世界をひとつに
itSMF USA「Fusion 08」より
数年前、私は it SMF International 理事会に USA を代
表して出席しました。そのとき、友人が次のように尋ね
てきました。「あなたはアメリカ英語のアクセントで話さ
ないけれど、どうして USA を代表しているのですか?」
(私
David Cannon 氏
のアクセントがアメリカ英語どおりではないのは驚くべ
it SMF USA の本年のコンファレンスは、今回のコンファ
きことではありません。私はテキサスに住んでいるので
レンスのテーマを織り込んだ David Cannon 氏の短いスピ
すから!)
ーチで幕を開けました。このスピーチで同氏は、it SMF
私のアクセントはアメリカ英語と違うかもしれません
USA が ITSM 業界で担ってきた重要な役割を強調すると同
が、今日は it SMF USA の会員であるアメリカ人の言葉と
時に、未来にも目を向け、次年度に it SMF USA とその会
心で語ります。(彼は南アフリカ共和国出身です。)
員が取るであろう重要な方向について語りました。
今回は David Cannon 氏のこのスピーチを読者の皆様へお
ITSM の世界はひとつになりつつあります。そして、私
送りします。
たちはその世界に独自の地位を確立するために熱心に取
り組んできました。
まず、it SMF USA 内の組織をひとつにすることから始
「ITSM の世界はひとつになりつつあります!」
めました。
このコンファレンスには、あらゆる州、あらゆる業界、 ・過去 2 年の間、ばらばらで内向きであった活動とグル
そして世界中のさまざまな国々からの参加者にお集まり
ープを取り上げ、すべての利害関係者にとっての価値を
いただきました。この美しい都市サンフランシスコで開
構築し提供するための明確な戦略、強固なプロセス、お
催する Fusion 08 に皆様をお迎えできたことを誠に光栄
よび一貫した目的によってそれらの活動やグループを統
に思います。
合してきました
50
・会員に提供するサービスの実現と改善に役立つ新しい
コミュニティの統合に真に貢献したリーダーを、時間を
システムに投資してきました
かけて評価していくつもりです。また、私は理事会にお
・競合者たちは互いの相違をいったん脇に置き、会員、 いて、最も優れたリーダーの何人かと協働するというす
LIG、そしてスポンサへのサービスを構築し実現するため
ばらしい機会に恵まれました。私たちが今あるところへ
に協働しています
とたどり着くためにお力を貸してくださったリーダーの
方々に、心から感謝を申し上げたいと思います。
次に、ITSM の世界をひとつにするにはどうすればよい
のかを探り始めました。
ITSM の世界はひとつになりつつあります。しかし、そ
・業界を統合するには、単なる優秀な実務者以上の能力
の統合はまだ完全ではありません。時として、私たちは
が必要であることは分かっています。実証済みのナレッ
自分のことを、成熟した業界の中の新入りだと考えたく
ジ、能力、経験を持つ専門家が必要です。近々、この認
なります。自分より経験やナレッジの豊富な人はいくら
識を実践に導き、構造化された継続的な教育プログラム
でもいるからです。しかし、そうではありません。すべ
に参加するための手段を発表する予定です
てはまだ始まったばかりであり、あなたは開拓者なので
・業界が要求する新たなレベルの専門性をサポートする
す。たとえ ITSM プロジェクトに参加したばかりであった
ために、学部ならびに大学院のプログラムにおいて、し
としても、あなたはこの業界の偉人なのです。将来、ひ
っかりとした ITSM カリキュラムを構築するように学界と
とつになった ITSM 界に生きる人々は、あなたの成し遂
連携しています。
げたことを畏敬の念を持って顧みるでしょう。ですから、
・会員が情報を共有し、ITSM に関するナレッジを公開す
私たちとともに学び、作り上げていきましょう。今、手
るための手段を提供する予定です
を取り合い、ITSM 界をひとつにすることを目指して新た
・ITSM 界の統合という共通の最終目標を追求している他
な年へと邁進していきましょう。
の組織と、戦略的関係を構築しています。
ありがとうございました。
ITSM の世界はひとつになりつつあります。そして私た
ち it SMF USA は、リーダシップと貢献という責務にさら
に力を入れて取り組む所存です。
これを達成するために、イベント、LIG ミーティング、
および Forum で提供されるあらゆる機会を活用して、業
界の進化について学んでください。また、ネットワーキ
ングを通じて他者と関係を築いてください。
もちろん、この世界はひとりでに統合していくわけで
51
SUCCEED
LEAD
CONNECT
TRAIN
はありません。私たちは賞を設けることによって、ITSM
Fusion
08
『第2回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award』
募集のお知らせ
最優秀寄稿者には、 『it SMF USA Fusion 09』 へご招待しますので奮ってご応募ください。
■募集対象期間
2008/10 月号から 2009/7 月号までの全 4 号に応募された寄稿。
■応募資格者
it SMF Japan 会員
■応募要綱
【募集テーマ】
ITIL®/ 内部統制 /IT サービスマネジメント 等に関する事例や研究発表
【原稿枚数】
図表・写真を含め A4 3 ~ 5 枚以内程度(4000 字~ 8000 字程度)
【原稿の構成】
1. 見出し符号は次の順に用いて下さい。又、符号には句読点を打たず 1 字あけてください。
Ⅰ II III・・・、1 2 3・・・、1)2)3)・・・、(1)(2)(3)・・・、・・・
2. 大見出しの符号(I II III・・・)の前行は、必ず 1 行あけてください。
3. 文章は「である」調に統一して下さい。
4. 文献から図・表や本文を引用する場合は、著作権に配慮し出典を明記してください。
【ファイル形式】
MSWord もしくは テキスト形式
【その他】
1. 企業の製品やサービス等の宣伝に繋がる記述はご遠慮ください。
2. 掲載された寄稿文の著作権は著者に帰属しますが、著作権者は、it SMF Japan による当該寄稿
文の再配布
(出版物や Web への掲載、CD-ROM への収録など)を許諾するものとします。
3. 顔写真を添付頂ければ、会報誌掲載の際に写真も掲載させていただきます。
4. レイアウトは it SMF Japan にて実施しますのでご了解ください。
■賞品
【最優秀寄稿者賞】
it SMF USA Fusion 09 ( 開催期間:2009/9/20 ~ 9/23 )
場所:Dallas, TX
※ 往復飛行機代、宿泊費代、コンファレンス代 (最大 50 万円まで)を負担いたします。
【入賞】
各号毎に最大 2 編の寄稿を選定し、it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」に掲載。
掲載された寄稿者に対して it SMF Japan で販売している書籍よりご希望の書籍を 1 冊贈呈(従 来からの特典)
。
【審査の方法・審査結果の発表】
会報誌編集委員会、理事会にて審査を行います。審査結果は、it SMF Japan ホームページ上にて
発表するとともに当選者宛に連絡いたします。
■応募先・お問合せ先
it SMF 事務局([email protected])までメールにて応募・お問い合わせください。
52
第 1 回 it SMF Japan
Newsletter Contribution Award
の表彰式が行われました
2008.7.30
『 第五回 it SMF Japan EXPO 2008 』会場で開催されたイブニング GALA で『第1回 it SMF Japan Newsletter
Contribution Award』の表彰式が行われました。厳正なる審査の結果、今回は残念ながら最優秀寄稿者賞の該
当者なしという結果になりましたが、 応募総数4寄稿の中から2寄稿に対して特別賞が贈られ、受賞者に賞状
と 5 万円相当の賞品の贈呈が行われました。寄稿していただきました皆様には厚く御礼申し上げます。引き続
き第2回の Award を募集いたしますので、皆様のご寄稿をお願いいたします。
特別賞の受賞者は次のとおりです。
■ 2008.7 月号 『ISO/IEC20000 における実施基準(Part2)の有効性』
日本ヒューレット・パッカード株式会社 小澤 一友 様
■ 2008.1 月号『it SMF UK Conference and Exhibition 2007 参加報告』
東京海上日動システムズ株式会社 山下 玲 様
長嶺 眞美 様
会報誌『Newsletter』
編集委員紹介
月野 允裕
■プロフィール
生年月日:1979 年 6 月 16 日
出身地: 大阪府
2002 年富士通株式会社に入社。
強化運動部であるアメリカンフットボール
部富士通フロンティアーズに所属し QB(ク
ォータバック)として活躍。2006 年春に
は東京ドームで行なわれた社会人パール
ボウルで優勝し、大会 MVP に選出される。在籍中の 2002 年度 2007
年度は社会人決勝まで進出するが惜しくも準優勝となる。本年引
退しスタッフとして活動中。
仕事では株式会社富士通エフサスインフラテクノロジーセンター
共通技術本部に出向中で、ITIL® を中心とした運用作業標準化推進
に携わる。また、it SMF Japan の会報誌編集スタッフとして昨年よ
り積極的に広報活動に参加している。今年の 6 月には結婚し公私
ともに充実。
53
■趣味
スポーツ全般。最近は早朝ジョギングで体を動かすこと。
■休日の過ごし方
旅行にいくことが多いです。今年トルコとエジプトに行ったの
ですが、文化や歴史などが日本とまったく違い非常におもしろ
かったです。
■ストレス解消法
旅行。先日は池袋のプラネタリウムにいってかなり癒されました。
■会報誌について
きっかけ
ITIL® に興味があったのと、最新の情報を調査し ITIL® の普及
に貢献したかった。
よかったこと
ユーザ企業様へのインタビューなどお客様の声を生で聞くこ
とができたり、業界の流れをいち早く掴むことができること。
困ったこと
記事の原稿を作成するのに、言葉の表現など人に伝えることの
難しさがあります。そのため作成に時間が非常にかかること。
コンセプト・ポリシー
正確な情報を収集し、正確に文章表現し、会員の皆様へ貢献
できるようになりたい。
■夢
今はもっともっと ITIL® についての知識を吸収し、ITIL® 博士と
言われるくらいまでになり、それを活用して会社およびフィー
ルドに貢献できるようになりたい。
■いちばん大事なもの
奥さん
■最後に一言
自分自身に対してスモールスタートクイックウィンを実施しも
っともっと改善していきたいと思っております。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
広告募集のお知らせ
■ニュースレターでは、IT サービスマネジメントに関するビジネスにとりくむ会員組織様からの
広告を募集しています。価格は以下の通りです。
it SMF japan 会報誌「ニュースレター」( 年 4 回発行 ) への広告掲載について
回数
掲載場所
1回
表紙の次のページ
上記以外 ( 通常のページ )
半年 (2 回 )
通常のページ
通年 (4 回 )
通常のページ
ページ
1 ページ
半ページ 1 ページ
半ページ 1 ページ
半ページ 1 ページ
料金 ( 税込 )
105,000 円
42,000 円
84,000 円
68,250 円
136,500 円
105,000 円
210,000 円
■会員様向け会報誌への掲載となります。
■ it SMF Japan 公式サイト会員ページのお知らせ欄に掲載の内容をご確認のうえ、
事務局 ([email protected]) までメールにてお申し込みください。
各種募集のお知らせ
■投稿の募集
it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では会員の皆様からの投稿を随時募集しております。是非、
会員の皆様の貴重なご意見ご経験をお伝えさせていただきたいと考えております。なお投稿を採用させ
ていただきました会員様には、it SMF Japan ウェブページで販売している書籍からご希望の書籍を 1 冊
贈呈させていただきます。
■インタビューをお受けいただける企業会員様の募集
it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では企業会員様およびコンファレンスでご講演いただきまし
た企業様を対象として 1 時間ほどのインタビューを行わせていただき、IT 組織の概要、運用システムの
概要とともに、自社における IT サービスマネジメントの取り組みをご紹介させていただいております。
こちらも随時募集しております。採用させていただいた会員様・企業様には、投稿と同様ご希望の書籍
を 1 冊贈呈させていただきます。
■会報誌「ニュースレター」編集メンバの募集
現在ニュースレターでは、編集活動にご協力いただける会員様を募集しております。編集会議へ参画
いただくことで、it SMF の活動に関する最新トピックなどワールドワイドな情報をいち早く入手可能な
他、ニュースレター最終ページにお名前を企業名とともに掲載いたします。また、編集メンバを介して
編集メンバ以外の会員様に翻訳記事レビューなどにご協力を仰ぐことがございますが、その場合も会員
様のお名前を企業名とともに最終ページに掲載させていただきますので、会員様企業の it SMF Japan へ
の貢献をアピール可能となります。
< 編集メンバ活動内容 >
1. 月 1 回の編集会議への参加
2. 翻訳記事のレビュー
3. 年 4 回発行のニュースレターの編集活動 ( 起稿、校正等 )
お問合せ先 :it SMF Japan 会報誌担当宛 ([email protected]) までメールにてお問い合わせください。
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第五回 it SMF Japan コンファレンス & EXPO への多数のご来場誠にありがとうございした。今号はコンファレンスの開
催レポート、連載特集 ITIL® V3、会員の皆様から掲載のご要望が多かった ISO/IEC20000 特集などの記事を中心に構成して
おります。記事の作成にご協力頂いた方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。今後も紙面を通じ会員の皆様のお役に
立てればと考えておりますので、ご意見やご要望がありましたらお知らせいただきたいと存じます。
(中井)
■ご意見: 本ニュースレターへのご意見・ご要望は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにてお
送りください。
メールアドレス: [email protected]
■寄稿: ITサービスマネジメント導入、運営における経験を他の会員の皆様とシェアしていただ
ける方を募集しております。ご協力いただける方は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにて
ご連絡ください。
メールアドレス: [email protected]
■広告: 本ニュースレターは皆様の広告料で制作されています。広告掲載に興味をお持ちの方は
it SMF Japan 事務局にご連絡ください。
メールアドレス: [email protected]
■it SMF Japan ニュースレター
2008年10月号 (1月、4月、7月、10月発行)
編集人: 江口昌幸 (特定非営利活動法人it SMF Japan会報誌担当理事) 編集取りまとめ: 中井秀有(日本アイ・ビー・エム) 編集委員(アイウエオ順): 品田京子(日本アイ・ビー・エム)、月野允裕(富士通)、中井秀有(日本アイ・ビー・エム)、中川
悦子(EXIN Japan)、中里広之(日本アイ・ビー・エム)、三谷浩一(NTTコミュニケーションズ)、福
村将史(日本電気)、森田礼子(アビリティ・インタービジネス・ソリューションズ)、八木隆(日
立製作所)
■発行所 : 特定非営利活動法人 it SMF Japan
東京都港区芝 5-16-7 芝ビル 6F-A
電話
(03)5439-5591 Fax
URL:
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(03)5439-5592
■ ITIL® is a Registered Trade Mark of the Office of Government Commerce in the United Kingdom and other countries.
■その他記載の組織名 ( 会社 / 団体 / 機関 )、製品名は、それぞれの会社 / 団体の商標または登録
商標です。
注 . 記事において記載の組織や製品に対し it SMF がなんらの推奨を行うものではありません。
■本誌掲載記事の無断転載を禁じます。
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