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配点: 大問1は 4 ×4 = 16点, 大問2は 4+3+2 = 9点, 大問3は 4+3+3

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配点: 大問1は 4 ×4 = 16点, 大問2は 4+3+2 = 9点, 大問3は 4+3+3
代数学 1( 群論)期末試験 B 解説
(配点: 大問1は 4×4 = 16 点, 大問2は 4+ 3+ 2 = 9 点, 大問3は 4+ 3+ 3 = 10
点, 大問4は 5 点, 計 40 点満点, 大問5は 5 点のオマケ点)
1. 4 次の交代群 A4 は位数 12 の有限群である.
問1. A4 の位数 2, 3, 4 の部分群をすべてあげよ. その際, 理由などを簡潔かつ
丁寧に論じること .
(解説) A4 は S4 の指数 2 の部分群より位数が 4!/2 = 12 であり
A4 = {1, (12)(34), (13)(24), (14)(23),
(123), (123)2 , (234), (234)2 , (341), (341)2 , (412), (412)2 }
よって Lagrange の定理によると部分群の位数として可能性があるのは 12 の約
数である 2, 3, 4, 6 のみである (6 に関しては後の問題で論じる). まず位数 2, 3
の部分群については Cauchy の定理によって必ず存在し , ともに巡回群である.
位数 2 の部分群は (位数 2 の元と一対一対応するので ),
(12)(34), (13)(24), (14)(23)
の3つであり, 位数 3 の部分群は
(123), (234), (341), (412)
の4つである. 一般に位数 4 の群は C2 × C2 または C4 のいずれかに同型であ
る. 上で見たように A4 には位数 4 の元はないので A4 の位数 4 の部分群は (存
在すれば )C2 × C2 と同型である. さて
H = {1, (12)(34), (13)(24), (14)(23)} ⊂ A4
は積で閉じており A4 の位数 4 の部分群となっている. 一方でもしこれ以外の
位数の部分群 H があったとすると H − (H ∩ H ) は位数 2 の元でなければな
らない. ところが A4 に含まれる位数 2 の元は全て H に含まれる. よって位数
4 の部分群は H のみの1つである.
問2. 問1での解答も基にしながら A4 のすべての共役類を論じ , 類等式を記
せ.
(解説) Z(A4 ) = {1} である. 位数 2 の元は全て互いに共役である. 例えば ,
(123)·(12)(34)·(123)−1 = (13)(12)·(12)(34)·(12)(13) = (13)·(34)(12)·(13) = (14)(23)
より, (12)(34) と (14)(23) は互いに共役であるといった具合で
C(12)(34) = {(12)(34), (13)(24), (14)(23)}
がわかる. 残りの 8 個ある位数 3 の元がいくつの共役類に分かれるかを考え
る. さて (123) は 4 のみを動かさない長さ 3 の巡回置換である. 1 と 4 を入れ
替える元 (14)(23) ∈ A4 を考えると共役 (14)(23) · (123) · ((14)(23))−1 は 1 のみ
を動かさない長さ 3 の巡回置換であるから (234) または (234)2 である (実際は
(234)2 に等しい). 同様にして (341) または (341)2 のいずれかが (123) と共役で
あり (412) または (412)2 のいずれかも (123) と共役である. よって C(123) ≥ 4
がわかる. また全く同じ議論で C(123)2 ≥ 4 もわかる. 一方で類等式の議論よ
り C(123) と C(123)2 は A4 = 12 の約数である. よって C(123) ∩ C(123)2 は空
集合でなければならない. 以上より類等式は
A4 = Z(A4 ) + C(12)(34) + C(123) + C(123)2
= 1+3+4+4
となる.
問3. A4 には位数 6 の部分群が存在しないことを論証せよ.
(解説) もし位数 6 の部分群が A4 の中に存在したとすると指数が 2 であること
より正規部分群である. 共役で閉じていないといけないことから前の小問の類
等式より {1, 3, 4, 4} の組み合わせによる足し算で 6 が表せないといけない. ど
のような表し方でもこれは不可能であるから位数 6 の部分群は存在しない.
問4. C× を 0 でない複素数全体がなす乗法群とする. このとき, 群準同型
f : A4 −→ C× をすべて挙げよ.
(解説) 一般に群 G からアーベル群 A への準同型 f は行き先の群がアーベル群
であるから
f (g)f (h) = f (h)f (g) ∀g, h ∈ G
が成り立たねばならない. よって ,
f : G G/[G, G] → A
と経由する. このようなことより群 G からアーベル群 A への準同型の集合は
G のアーベル化 G/[G, G] から A への準同型と一対一対応する. 今の場合, A4
のアーベル化を求めたい. 今 A4 はアーベル群ではないので [A4 , A4 ] = {1} で
ある. また [A4 , A4 ] は A4 の正規部分群であるから可能性として位数 4 の正規部
分群であるか [A4 , A4 ] = A4 であるかのいずれかが成立する. ただ A4 の位数 4
の正規部分群 H = {1, (12)(34), (13)(24), (14)(23)} ⊂ A4 による剰余群 A4 /H
は位数 3 の巡回群である (特にアーベル群である) から H = [A4 , A4 ] がわかる.
よって
{ 群準同型 A4 −→ C× } = { 群準同型 A4 /H ∼
= C3 −→ C× }
より求める準同型は3つあり, 巡回群 A4 /H ∼
(123) の行き先は
1
= C3 の生成元
√
√
2π −1
4π −1
の 3 乗根でなければならない. その行き先を 1, exp( 3 ), exp( 3 ) のいず
れにとるかによって 3 種類が定まる.
2. 問1. 「 有限生成アーベル群の構造定理」を正しく述べよ.
(解説) 「 G が有限生成なアーベル群とする. このとき, G ∼
= (Z × · · · × Z) ×
Cn1 × · · · × Cns なる同型がある. さらに最初の Z の個数 r は G から一意的に定
まり, G のランク( または階数)とよばれる」
問2. 有理数全体のなす加法群 Q は有限生成ではないことを示せ.
n1
nr
,··· , m
} をとる (す
(解説) 仮に有限生成であったとして有限個の生成元 { m
r
1
べて正の整数による既約分数であるとして差し支えない). {m1 , · · · , mr } の最
n1
nr
小公倍数を M とする. このとき, M1+1 ∈ Q は { m
,··· , m
} の整数倍の和では
r
1
表せないことより矛盾. よって Q は有限生成でない.
問3. 加法群 Q に含まれる部分群 H ⊂ Q で H 自身が有限生成アーベル群であ
るものをすべて挙げよ. また, 同時にそれらの部分群の階数 (ランク) も論じよ.
n1
nr
,··· , m
} ⊂ Q をとる (すべて正の整数によ
(解説) 有限生成部分群 H = { m
r
1
る既約分数であるとして差し支えない). {m1 , · · · , mr } の最小公倍数を M とし
ni
li
てm
=M
とおくと次の同型が得られる :
i
H=
L
1
(l1 Z + · · · + lr Z) =
Z
M
M
(但し L は {l1 , · · · , lr } の最大公約数). 以上より, Q の有限生成な部分群は
というものからなる (M, N は自然数). またこれらはすべて階数 1 である.
L
Z
M
3. G
= SL
2 (R) とする. 複素上半平面 H = {z ∈ C | Im(z) > 0} の上に
a b
az + b
g=
∈ G が一次分数変換 gz =
で作用する.
cz + d
c d
√
cos θ − sin θ 問1. x = −1 ∈ H に対して Gx が SO2 (R) =
θ ∈ R と
sin θ cos θ 一致することを示せ.
(解説)
g=
a b
c d
√
∈ SL2 (R) が
√
a −1 + b √
−1 に自明に作用 ⇐⇒ √
= −1
c −1 + d
√
√
√
⇐⇒ a −1 + b = −1(c −1 + d)
⇐⇒ a = d かつ b = −c
g ∈ SL2 (R) であることも合わせると
G√−1 =
g=
a b
∈ SL2 (R) = SO2 (R)
−b a
が得られる.
a b
問2. B =
∈ SL2 (R) を上半三角行列のなす部分群とするとき B
0 d
が一次分数変換によって複素上半平面 H の上に推移的に作用していることを
示せ.
√
√ y x/ y
(解説) z = x + y −1 ∈ H を勝手にとる. g =
∈ B をとると
√
0 1/ y
√
√
z = g · −1 となる. 同様にして勝手な z ∈ H に対して z = g −1 なる g ∈ B
が存在する. z = gg −1 z (gg −1 ∈ B) より B の H への作用は推移的である.
√
問3. SL2 (R) の部分集合 BSO2 (R) = {gh ∈ SL2 (R) | g ∈ B, h ∈ SO2 (R)}
が SL2 (R) 全体と一致することを示せ.
√
(解説) 問1より −1 ∈ H の固定化群は SO2 (R) である. SL2 (R) は H 上に推
移的に作用するから SL2 (R)-作用をもつ集合の同型
H∼
= SL2 (R)/SO2 (R),
√
−1 → 1SO2 (R)
がある. さらに, 問2より BSO2 (R) = ∪ bSO2 (R) ⊃ SL2 (R) が得られる.
b∈B
BSO2 (R) ⊂ SL2 (R) は明らかより BSO2 (R) = SL2 (R) が得られる.
4. 次の群を考える. (1) P SL2 (C), (2) F2 (階数 2 の自由群), (3) A5 , (4) R× ,
(5) SL2 (Z), (6) D4 (4 次 2 面体群) のうちで次のそれぞれの性質をもつものは
どれか該当する番号をすべてあげよ (この問題は答えだけを記述すればよい).
(a) アーベル群, (b) 有限群, (c) 有限生成な群, (d) 単純群, (e) 可解群
⎧
⎪
(a) をみたすもの: (4)
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
⎪
⎨ (b) をみたすもの: (3), (6)
(c) をみたすもの : (2), (3), (5), (6)
⎪
⎪
⎪
⎪
(d) をみたすもの: (1), (3)
⎪
⎪
⎪
⎪
⎩ (e) をみたすもの : (4), (6)
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