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ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析

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ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
Mark Benvenuti and Jennifer Burgess
Waters Corporation, Milford, MA, USA
アプリケーションのメリット
はじめに
ACQUITY ® Arc™ システム、Waters® 飲料分析移
飲料の市場は、多くの食品・飲料メーカーが注目しています。飲料には、炭酸飲
動相キット、XBridge ® Phenyl カラム、ウォー
料、栄養ドリンク、近年注目されているビタミン飲料やお茶のような健康飲料が
ターズの飲料分析スタンダードキットまたは
含まれます。
Waters Big-4 Calibration Stock Standard を用いた
飲料分析では、以下のメリットがあります。
このような製品は興奮剤としてカフェイン、保存料として安息香酸エステル・ソ
ルビン酸塩、またアセスルファムカリウム・アスパルテーム・サッカリンなどの
■■
エタノールベースの環境にやさしい移動相
非栄養性甘味料を含みます。
■■
飲料に一般的に含まれる低濃度の成分の分
品質管理では、特定の濃度範囲での分析が重要になります。本アプリケーション
析に適した一点検量、栄養ドリンクのよう
に高濃度のカフェインを含みサッカリンや
アスパルテームを含まない試料の分析に適
した多点検量に対応
■■
ノートでは、ウォーターズの ACQUITY Arc™ システム、XBridge Phenyl XP カラム、
飲料分析移動相キットを用い、これらの化合物を 10 分以内に分析できることを
ご紹介します。
同時溶出する既知化合物の影響を避けるた
めの 2 波長取り込み
■■
9500 psi の耐圧があるシステム、充塡剤の
粒子径 2.5 µm のカラムを使用
■■
HPLC と UHPLC の分離を再現するデュアル
フローパス
ウォーターズのソリューション
ACQUITY Arc システム、
2489 紫外可視光(UV / Vis)検出器、
ACQUITY QDa ® 検出器、
XBridge Phenyl X P カラム、
飲料分析移動相キット、
図 1.ACQUITY Arc システム
飲料分析スタンダードキット
キーワード
清涼飲料、LC 、非栄養性甘味料、
アセスルファムカリウム、サッカリン、
カフェイン、アスパルテーム、
安息香酸エステル、ソルビン酸塩、飲料
1
実験条件
LC 条件
Std
Big 4 analytes
(mg/L )
1
500
2
400
LC システム:
ACQUITY Arc
分析時間:
10.0 分
カラム:
XBridge Phenyl X P 2.5 µm、4.6 × 50 mm
3
200
カラム温度:
35℃
4
100
移動相:
Waters 飲料分析移動相キット
5
50
流量:
1.0 mL / 分
6
40
7
20
流路:
パス1(HPLC モード)
8
10
注入量:
5 µL
検出器:
2489 紫外可視(UV/ Vis)検出器
検出波長:
214、247 nm
標準品の調製
表 1.Big-4 の成分:アセスルファムカリウム、安息香酸
エステル、ソルビン酸、カフェインの標準品の濃度
B:標準溶液(多点検量)
Waters Big-4 Calibration Stock Standard 製 品 番 号 186007980
(1000 mg/mL アセスルファムカリウム、安息香酸エステル、ソル
A:飲料分析スタンダード(一点検量)
ビン酸塩、カフェイン)を水にて表1の 8 段階の濃度に希釈しま
ウ ォ ー タ ー ズ 飲 料 分 析 5 成 分 ス タ ン ダ ー ド 溶 液 製 品 番 号
した。
186006008 を、ウォーターズ 飲料分析スタンダード固体(アス
パルテーム)製品番号 186006010 に添加し、アスパルテームが
飲料サンプル調製
溶解するまで撹拌しました。この操作により、150 mg/ L アセスル
炭酸飲料は超音波洗浄機を使用して炭酸を除去しました。全ての
ファムカリウム、100 mg /L サッカリン、200 mg/L 安息香酸エス
飲料は 0.2 µm PVDF フィルターでろ過後に注入溶液としました。
テル、100 mg/L ソルビン酸塩、100 mg/mL カフェイン、500 mg/mL
アスパルテームの混合標準品が調製されます。
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
2
結果および考察
ACQUITY Arc システムに XBridge P henyl XP カラムを接続して飲料の標準品を分析したクロマトグラムを図 2
に掲載しました。分析の目的に応じて、二通りの検量線を作成しました。 図 2A は、Waters 飲料分析スタン
ダードのクロマトグラムで、溶出順にアセスルファムカリウム、サッカリン、安息香酸エステル、ソルビ
ン酸塩、カフェイン、アスパルテームが含まれます。各成分は UV の吸収極大が異なるため、ピーク高さの
比は波長によって異なりますが 2489 検出器では、一度の分析で 2 波長同時取り込みが可能です。図 2A と
図 2B には 214 nm と 247 nm のクロマトグラムを掲載しました。図 2B は Big-4 Standard のクロマトグラムで、
Waters 飲料分析スタンダードに含まれる成分のうち、サッカリンとアスパルテームを除いた成分が含まれ
ます。これらの甘味料を含まない飲料の分析には、この 2 成分は不要です。
A
0.72
2
1
0.54
AU
UV @ 214 nm
1-AcesulfameK- 150 mg/L
2-Saccharin- 100 mg/L 3
3-Benzoate- 200 mg/L
4-Sorbate- 100 mg/L
5-Caffeine- 100 mg/L
6-Aspartame- 500 mg/L
0.36
5
6
4
0.18
0.00
4
0.48
UV @ 247 nm
AU
0.36
1
0.24
3
0.12
2
5
6
0.00
0.00
B
2.00
1.40
Minutes
6.00
8.00
10.00
1
2
1-AcesulfameK- 500 mg/L
2-Benzoate- 500 mg/L
3-Sorbate- 500 mg/L
4-Caffeine- 500 mg/L
1.05
AU
4.00
0.70
4
UV@ 214 nm
3
0.35
0.00
3
2.40
UV@ 247 nm
AU
1.80
1.20
1
0.60
4
2
0.00
0.00
2.00
4.00
Minutes
6.00
8.00
10.00
図 2A.飲料分析スタンダードの
クロマトグラム
図 2B. Waters Big-4 Beverage Standard の
クロマトグラム
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
3
市販の飲料 5 種類を用いて、分析条件を検証しまし
0.36
1
た。結果を図 3 ∼ 7 に掲載します。炭酸飲料の例と
0.27
あります。それぞれに含まれる各成分濃度を、2 波
AU
してダイエットコーラ(図 3)、サイダー(図 4)が
長の検量線を用いて算出しました。いずれも全成分
0.08
近年販売されるようになった清涼飲料には栄養成分
1
UV at 247 nm
0.06
AU
や添加物が含まれています。例えば、必須栄養素や
7 に例を示します。図 5 はダイエットビタミン飲料、
2
1-Benzoate- 151.7 mg/L
2-Caffeine- 125.0 mg/L
3-Aspartame- 485.5 mg/L
0.04
0.02
図 6 はダイエット栄養ドリンクです。どちらのサン
3
0.00
プルも、2 波長における定量結果は、アセスルファ
エットレモンティー(図 7)では二波長における定
3
1-Benzoate- 153.1 mg/L
2-Caffeine- 120.6 mg/L
3-Aspartame- 489.0 mg/L
0.18
0.00
濃度は一点検量で算出しました。
ムカリウムを除いて合致します(2.1% 以内)。ダイ
2
0.09
について 4%以内で合致します。図 3 ∼ 7 に記載の
抗酸化剤、植物の抽出物が挙げられます。図 5、6、
1 点 検 量 による定量
UV at 214 nm
0.00
2.00
4.00
Minutes
6.00
8.00
10.00
8.00
10.00
8.00
10.00
図 3. ダイエットコーラのクロマトグラム
量結果はアセスルファムカリウムも含めて 3.4 %
以内で合致しました。
1
0.64
1 点検量による定量
UV at 214 nm
AU
0.48
2
1-Benzoate- 316.7 mg/L
2-Caffeine- 150.8 mg/L
0.32
0.16
0.00
UV at 247 nm
0.16
1-Benzoate- 316.5 mg/L
2-Caffeine- 156.7 mg/L
0.12
AU
1
0.08
2
0.04
0.00
0.00
2.00
4.00
Minutes
6.00
図 4. サイダーのクロマトグラム
0.40
1
0.30
1 点 検 量 による定量
UV at 214 nm
1-AcesulfameK- 104.6 mg/L
2-Sorbate- 147.0 mg/L
AU
0.20
2
0.10
0.00
0.80
UV at 247 nm
AU
2
1-AcesulfameK- 75.4 mg/L
2-Sorbate- 146.0 mg/L
0.60
0.40
0.20
1
0.00
0.00
2.00
4.00
Minutes
6.00
図 5. ダイエットビタミン飲料のクロマトグラム
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
4
ダイエットビタミン飲料とダイエット栄養ドリンク
0.88
におけるアセスルファムカリウムの定量値の違いに
1
ついて考察したところ、これらには他の清涼飲料に
AU
は含まれないビタミン B を含むことがわかりました。
0.66
4
0.44
化合物の質量測定が可能な ACQUITY QDa 検出器を
0.22
用いた分析により、ビタミン B がアセスルファムカ
0.00
2
QDa で取得した各ビタミン B の m/z でのマスクロマ
AU
リウムの 214 nm でのクロマトグラムと、ACQUITY
トグラムを示しました。ビタミン B6 がアセスルファ
3
1.20
UV at 247 nm
0.90
1-AcesulfameK- 123.7 mg/L
2-Benzoate- 149.1 mg/L
3-Sorbate- 239.2 mg/L
4-Caffeine- 286.8 mg/L
0.60
1
0.30
ムカリウムと同時溶出していることがわかります。
3
1-AcesulfameK- 228.9 mg/L
2-Benzoate- 148.9 mg/L
3-Sorbate- 240.5 mg/L
4-Caffeine- 280.9 mg/L
リウムに近接して溶出していることがわかりました。
図 8 にビタミン飲料中に含まれるアセスルファムカ
1 点検量による定量
UV at 214 nm
4
2
0.00
0.00
2.00
4.00
6.00
Minutes
8.00
10.00
8.00
10.00
図 6. ダイエット栄養ドリンクのクロマトグラム
0.40
1 点 検 量 による定量
UV at 214 nm
1
AU
0.30
1-AcesulfameK- 64.5 mg/L
2-Caffeine- 83.1 mg/L
2
0.20
0.10
0.00
1
0.16
UV at 247 nm
AU
0.12
1-AcesulfameK- 66.2 mg/L
2-Caffeine- 86.0 mg/L
0.08
2
0.04
0.00
0.00
2.00
4.00
6.00
Minutes
AU
図 7. ダイエットレモンティーのクロマトグラム
AceK
UV at 214 nm
0.05
0.00
Intensity
6x106
m/z 123 B3
4x106
2x106
0
Intensity
5.0x10
UV吸収を有しない化合物
m/z 242 B5
1.0x10 6
5
0.0
Intensity
2x106
ビタミンB6
(アセスルファムカリウムと同時溶出)
m/z 170 B6
1x106
0
0.00
0.10
0.20
0.30
0.40
0.50
0.60
0.70
0.80
0.90
1.00
1.10
1.20
1.30
1.40
1.50
1.60
1.70
1.80
1.90
2.00
Minutes
図 8. アセスルファムカリウムの UV クロマトグラムと各ビタミン B の SIR クロマトグラムの重ね書き
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
5
ビタミン B6 とアセスルファムカリウムの UV スペクトルを、図 9A 及び図 9B に掲載しました。214 nm は
特異性がなく、アセスルファムカリウムに加えてビタミン B6 による吸収が多くなっています。その結果、
214 nm で検出するとアセスルファムカリウムの定量値が実際より大きくなります。ビタミン B6 は 247 nm
での吸収をほとんど持たないので、アセスルファムカリウムとビタミン B6 を含む飲料の分析には 247 nm
を使用します。
A
0.20
0.15
AU
291.3
0.10
247 nm
324.6
0.05
0.00
240.00
280.00
320.00
360.00
400.00
320.00
360.00
400.00
nm
B
226.1
0.072
AU
0.054
0.036
0.018
247 nm
0.000
240.00
280.00
nm
図 9 A. ビタミン B6 の UV スペクトル
図 9B. アセスルファムカリウムの UV スペクトル
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
6
図 10 に、ウォーターズ Big-4 Standard を用いた多点検量線を掲載しました。全成分において決定係数
R2>0.999 が得られています。表 2 はウォーターズ飲料分析スタンダードの、6 回繰り返し注入における保
持時間の再現性の結果です。全成分、相対標準偏差(%RSD)<0.2 となりました。表 3 はサイダー中の安息
香酸エステルとカフェインの 7 回繰り返し注入における保持時間と定量値の再現性の結果です。 1 点検量
で定量を行いました。表 4 は、1 点検量と多点検量での栄養ドリンク中の各成分の定量結果です。ビタミン
B6 の影響を排除するために、247 nm で検出しました。
6.0x10 6
AcesulfameK-R2-0.999915
4.5x10 6
3.0x10 6
A
1.5x10 6
0.0
8x106
6x106
Benzoate-R2-0.999951
4x106
2x106
B
0.0
6.0x10 6
4.5x10 6
Sorbate-R2-0.999962
3.0x10 6
1.5x10 6
C
0.0
1.2x10 7
9.0x10 6
Caffeine-R2-0.999856
6.0x10 6
D
3.0x10 6
0.0
0.00
120.00
240.00
Amount
360.00
480.00
図 10.A-D Big-4 に含まれる成分の検量線
Analyte
RT
(min)
%RSD
Acesulfame K
1.08
0.16
Saccharin
1.64
0.10
Benzoate
4.25
0.04
Sorbate
6.30
0.03
Caffeine
6.79
0.03
Aspartame
8.70
0.02
表 2.ウォーターズ飲料分析スタンダードの 6 回繰り返し注
入における保持時間の再現性
Analyte
RT
%RSD
Amount
%RSD
Benzoate
4.27
0.05
316.64
0.17
Caffeine
6.78
0.04
150.80
0.21
表 3.サイダーの 7 回繰り返し注入における保持時間と定量値の再
現性
Single Point
at 247nm
Multi Point
at 247 nm
%RSD
AcesulfameK
123.7
123.9
0.24
Benzoate
149.1
148.9
0.13
Sorbate
239.2
245.1
1.24
Caffeine
286.8
288.6
0.33
Analyte
表 4.栄養ドリンクの 247 nm における 1 点検量と多点検量での定量値
(mg/L )比較
ACQUITY Arc システムを用いた飲料分析
7
まとめ
ACQUITY Arc システムおよびウォーターズの試薬キット(移動相 / 標準品)を用
いることで、清涼飲料に含まれる各成分を迅速に測定、定量することが可能で
す。本システムを導入すると以下のようなメリットがあります。
■■
成分、含有濃度に応じて 1 点検量・多点検量を使い分けることが可能
■■
エタノールベースの移動相のため、シンプルで廃棄コストを低減させること
が可能
■■
超音波洗浄機にかけ、フィルターろ過をするのみの簡単なサンプル調製
■■
アセスルファムカリウムの定量においてビタミン B6 の影響がない UV 検出波
長を選択
日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com
東京本社 〒140 -0001 東京都品川区北品川 1-3-12 第 5 小池ビル T E L 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118
大阪支社 〒532-0011 大阪市淀川区西中島 5-14-10 新大阪トヨタビル 11F T E L 06 -6304-8888 FAX 06-6300-1734
ショールーム
東京 大阪
サービス拠点
東京 大阪 札幌 福島 静岡 富山 名古屋 徳島 福岡 Waters、ACQUITY、QDa、XBridge および The Science of What ’s Possible は Waters Corporation の登録商標です。
ACQUITY Arc および Arc は Waters Corporation の商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
©2015 Waters Corporation. Produced in Japan. 2015 年10月 720005474JA PDF
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