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THE SADTLER NEWSLETTER - Bio-Rad

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THE SADTLER NEWSLETTER - Bio-Rad
THE SADTLER NEWSLETTER
Vol. 25 Jan., 2009 (Japanese)
混合物サンプルの解析に!
KnowItAll のツールを駆使した斬新なスペクトル解析方法を紹介
前回のニュースレターでは、Know t All バージョン 8 に新たに追加された「Mixture Analysis」を使っ
た混合物サンプルを解析する方法をご案内しましたが、今回はより複雑な混合物スペクトルの解析
方法を紹介します。これはユーザー(Arkema Inc.) のご協力をいただき、 2008 年秋の ACS(American
Chemical Society) のブレックファーストミーティングでプレゼンテーションされたものです。市販の
コート剤の組成を調べるため、赤外スペクトルを同定にケモメトリクス、視覚化ツールを駆使した
斬新な解析方法について述べたものです。市販されている化合物を測定すると、赤外スペクトルは
多くのピークが重なりあい、参照データベースの本来の化合物にはないスペクトルになります。大
量のデータの視覚化、マイニング、解析が可能になるケミインフォマティクス、ケモメトリクス
( PCA) 、 OD ヒートマップなどのツールを組み合わせると、この問題を解決することができます。デー
タが大量である場合、個別のスペクトルを検証するには時間を要し、現実的な方法ではありません。
ここで紹介する方法ではコンセンサススペクトルを作成し、データベースに対し再度検索を行いま
す。これによりデータの複雑さを軽減し、混合物サンプルの同定とクラス分類の正確さを向上させ
ることができます。この方法は赤外スペクトルだけでなく、他の測定方法においても応用すること
ができます。
by
Dana Garcia, Principal Scientist in Analytical & Systems Research, Arkema, Inc.
Marie Scandone, Product Manager, Bio-Rad Laboratories, Informatics Division
はじめに
- ケモメトリクス (PCA)
ここで利用するケミインフォマティクス、ケ
モメトリクス( PCA) 、ODヒートマップにつ
いて簡単に説明をします。
- ケミインフォマティクス
スペクトルとプロパティーの IR データベース
を意味します。複数のスペクトルを同時に表示
するのに、従来の方法では、データが大量に
なると、その特徴がかき消されてしまうのが
スペクトル解析の問題でした。
スペクトルを分解し、その主成分を使って、
複雑なデータの特徴のみを表現することがで
きる解析方法です。主成分はスペクトルに変
化をもたらす濃度、物性といった現象を表現
することができ、データの検証、記述などに
応用されます。これはクラス分類と同定に有
効な手段です。下記はある化合物スペクトル
のヒットリストを PCA 解析した結果です。
PCA 解析の結果は図のようなスコアプロット
で視覚化されます。混合物の要素が IR スペク
トルの特徴になり、二つのクラスターに分け
られることが理解できます。
1
Sadtler Newsletter Vol.25
- ODヒートマップ
検証
複数のスペクトルのデータマイニングと解析
を視覚化するツールです。大量のデータでも
その類似性と相違性を把握することができま
す。
OD ヒートマップは通常のサーチ結果から得ら
れたデータベーススペクトルを選択して作成
します。
サンプル: 市販のコート剤
分光器 :
ThermoFisher Avatar 、ダイアモンド ATR
サーチ条件:Euclidean Distanceアルゴリズム
データベース:サドラーポリマーデータベース
ATR スペクトルのサーチに際しては、差スペ
クトルが難しく正確な結果が出にくい、 ATR
補正が必ずしもよい結果をもたらすとは限ら
ないことを念頭に入れなければなりません。
サーチ結果下記の通り。
共通部分もしくはユニークな部分の重なり度
をスライドバーを使って簡単に設定すること
ができます。コンセンサススペクトルは、 OD
ヒートマップの Y 軸の値を結んで作成され、通
常のスペクトルファイルのように検索するこ
とができます。
サーチ結果からは物質同定を決定することは
できないと思われます。
ヒットリストを AnalyzeIt MVP に転送し、主成
分解析を行います。 前置処理 : 2nd Derivative, Smooth, MSC
これらを相互に活用することにより、複雑な
データもシンプルにすることができます。
成分を分離するような特定のクラスターはな
いようにみえます。この場合、スコアプロッ
トの外側の領域から検証を始めるのが一般的
です。
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Sadtler Newsletter Vol.25
結果 - 成分 1
結果 - 成分 2
プロット上で他とは離れているポイントを選
択します。
主成分解析のプロットに戻り、別のデータ
セットを選択します。
OD ヒートマップで最も共通する領域設定し
成分 1 と同様 OD ヒートマップから共通領域の
コンセンサススペクトルを作成し、スペクト
ルサーチを実行します。
て、コンセンサススペクトルを作成します。
AnalyzeIt MVP の画面で、選択されたポイント
に共通の官能基グループは -CF2-CH2 - である
ことがわかります。コンセンサススペクトル
のスペクトルサーチした結果は下記の通りで
す。
成分 2 は Acrylic であることがわかります。
元のスペクトルと比較すると、 Acrylic はごくわ
ずかな成分にすぎないようですが、主成分解
析ではきちんと検出されました。
結果 - 成分 3
再度主成分解析のプロットに戻り、別のデー
タセットを選択します。
成分 1 は PVDF であることが確認できました。
同様に OD ヒートマップからコンセンサススペ
クトルを作成、スペクトルサーチを実行しま
す。成分 3 は CaCO 3 であることがわかります。
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結果 - 成分 4
結論 上記の3成分のどれにも含まれないバンドに
着目します。
スペクトルとピークの複合サーチを行います。
複数の成分を含むサンプルの IR スペクトルの
同定にはスペクトルサーチ、 PCA 、 OD ヒート
マップ、コンセンサススペクトルと組あわせ
が役に立ちます。
単独のツールによる検索は部分的な回答しか
もたらさず、これらのツールを組み合わせる
ことにより高度な解析が可能となり、総合的
で有効な結果を得ることができます。
この方法は未知化合物の同定にさまざまな形
で応用できます。
成分 4 は Nitrile elastomer であることが判明しま
した。
本文は 2008ACS ブレックファーストミーティングでプレゼンテーションした時の資料を和訳
したもので、掲載されている画像はすべてオリジナルのデータを流用しています。
お知らせ
Bio-Rad インフォマティクス事業部の 2009 年の
製品の特徴をご案内いたします。詳細は 4 月リ
リースの価格表をごらん下さい。
○ 価格据え置きのまま、OD ヒートマップと、混合物ス
ペクトルの解析に最適な Mixture Analysis が Chem
Window エディションを除くすべてのエディション
に標準仕様となり、スペクトル解析を強力にサポー
トします。
○ AnalyzeIt MVP はすべてのエディションに追加可能
です。
○ 従来の ChemWindow エディションは ChemWindow
Basic エディションと名称を変更し、構造式サーチ機
能付きの ChemWindow エディションが新たにリリー
スされます。
○ ATR データベースが新たにリリースされます。
お問合せ、ユーザー登録は
[email protected]
へ
本紙に記載された会社名または製品などの固有名詞は各社の商標または登録商標です。
記載内容や製品に関するお問合せ、ご要望は下記までお願いいたします。
バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社
インフォマティクス事業部
〒 114-0002
東京都品川区東品川2-2-24 天王洲セントラルタワー 20F
TEL 03-6361-7080 Fax 03-5463-8483
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