...

オーストラリアの石油・エネルギー産業

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

オーストラリアの石油・エネルギー産業
JPEC レポート
JJP
PE
EC
C レ
レポ
ポー
ートト
第 23 回
2014 年度
平成 26 年 12 月 25 日
オーストラリアの石油・エネルギー産業
米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)
のレポートを主なベースとして、オース
トラリアの石油・エネルギー産業につい
て紹介する。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
オーストラリアの位置と地勢 ················1
オーストラリアの主な一般情報 ·············2
オーストラリアの主なエネルギー情報····3
石油···················································4
天然ガス ·········································· 10
石炭················································· 16
オーストラリアの位置と地勢
オーストラリアの概略地図と気候区分
を図 1、2 にそれぞれ示す。オーストラリアの周囲は全て海で、東にコーラル海(珊瑚海)
、
西にインド洋、南に南極海、北にアラフラ海とティモール海に面している。同国は北に 3
ヶ国(インドネシア、東ティモール、パプアニューギニア)
、南にニュージーランドと海を
隔てて隣り合っている。
1.
オーストラリア本土の地方行政区画は 6 州(西オーストラリア、南オーストラリア、ク
イーンズランド、ニューサウスウェールズ、ヴィクトリア、タスマニア)と 3 つの特別地
域(北部準州、オーストラリア首都特別地域、ジャービス湾特別地域)で構成されている。
なお、ジャービス湾特別地域は連邦直轄区域で自治権はない。
図 1 オーストラリアの概略地図
図 2 オーストラリアの気候区分図
1
JPEC レポート
オーストラリア東部にはグレートディヴァイディン山脈が南北に走り、その東側は気候
が温暖で大都市が多く人口が集中している。一方、西側は乾燥したステップ気候の盆地と
なり、さらに西へ行くと砂漠が広がっている。
図 3 のとおり、オーストラリアには 7 つの海外領土と領有権が凍結中の「Australian
Antarctic Territory(オーストラリア南極領土)
」がある。
図 3 オーストラリアの海外領土
2.
オーストラリアの主な一般情報(表 1 参照)
表 1 オーストラリアの主な一般情報
通称国名
オーストラリア
正式国名及び国旗
独立年
政体
首都
人口
公用語
通貨
名目 GDP
オーストラリア連邦
(外務省ホームページ準拠)
1901 年、英国より独立
立憲君主制
キャンベラ
2,300 万人(2013 年)
英語
オーストラリア・ドル(AUD)
1.5 兆ドル(2013 年)
2
JPEC レポート
3. オーストラリアの主なエネルギー情報
3.1. 石油・天然ガス・石炭についての主な情報(表 2 参照)
表 2 オーストラリアの石油・天然ガス・石炭の主な情報
石油確認埋蔵量
14 億バレル
石油の輸出入
純輸入国
原油精製能力
67.4 万 BPD
6
製油所数
天然ガス確認埋蔵量
1.22 兆 m3
天然ガスの輸出入
純輸出国
ガス輸出国フォーラム
非加盟
石炭の可採埋蔵量は 840 億トンで世界第 4 位、
特記事項
輸出量は世界第 2 位である。
3.2. 各種エネルギー資源に関する概要
オーストラリアは化石燃料やウラン資源などのエネルギー商品を豊富に産し、生産した
総エネルギー資源の約 70%を輸出している。2012 年、同国の全輸出収入額の 24%をエネル
ギー商品が占めた。オーストラリアは原油と石油製品の純輸入国である一方、天然ガスに
ついては純輸出国で 2013 年には世界第 3 位の LNG 輸出国になっている。また、石炭につ
いては2012 年以降世界第2 位の輸出国になっている。
ウランの可採埋蔵量は世界第1 位
(全
世界の約 32%)で、2012 年のウランの生産量と輸出量は世界第 3 位であった。
オーストラリアの安定した政治環境、比較的透明な規制の仕組み、相当な炭化水素埋蔵
量およびアジア市場に近接した立地は、外国の投資家にとって魅力となる。2012 年のエネ
ルギー白書内にて、安価な国内エネルギー資源の生産、アジアの高まる燃料需要を満たす
ための輸出量増加がエネルギー政策目標に挙げられている。
近年、オーストラリアの拡大しつつあるエネルギー産業はプロジェクトコストの高騰と
労働力不足に遭遇している。これらの事項に加え、いくつかの州でのクリーンエネルギー
の促進と厳しい環境規制は、国内および外国企業が直面しているオーストラリアのエネル
ギー資源開発面の課題となっている。
3.3. 一次エネルギーの消費量
オーストラリアの一次エネルギー消費量は化石燃料に大きく依存している。
過去数年間、
鉱業や石油化学産業および輸送分野の伸びに支えられ石油消費量のシェアが上昇した。図
4 に示す 2012 年実績では、一次エネルギー消費量合計の 36%を石油と他の液体燃料が占め
た。一方、石炭と天然ガスのシェアは夫々36%と 21%で、再生可能エネルギー(水力、風
力、太陽光、バイオマス)のシェアは 7%であった。オーストラリアにはウランが豊富に
埋蔵されているが、原発を持たない同国は生産したウランを全て輸出している。
3
JPEC レポート
2012 年 7 月、当時の労働党政権は
CO2 排出量を 2020 年までに 2000 年
レベルから 5%削減する目標の一環
として、排出量の多い企業が払う炭
素税を導入し、このことは国際エネ
ルギー機関(IEA)から先進国にお
ける模範的な法令として高く評価さ
れていた。しかし、電気料金と生活
費の上昇に対する有権者の反発は強
く、2013 年に炭素税廃止を公約に掲
げた自由党のアボット氏が首相に就
任した。2014 年 7 月 16 日、オース
トラリア連邦議会上院は炭素税の廃
止法案を可決し、同国は世界の先進
国中で炭素税の廃止を決めた最初の
国となったのである。この政策転換
図 4 オーストラリアの費目別
はエネルギーミックスにおける石炭
一次エネルギー消費比率(2012 年)
の大きなシェア(特に発電分野にお
ける)を維持すると同時に、石炭開発より費用のかかる再生可能エネルギー開発のペース
を抑えている。
4. 石油
4.1. 製油所
表 3 および図 5 参照のとおり
オーストラリアは 6 製油所を保
有し、原油精製能力合計は内需
の 56%を満たす 67.4 万 BPD で
ある。操業者は BP、エクソンモ
ービル、シェル、Caltex Australia
である。
●製油所
◆主な都市
Brisbane
Lytton ●
◆
Bulwer Island ●
Gold Coast ◆
◆ Perth
● Kwinana
Sydney ◆
Kurnell ●
オーストラリアの精製マージ
ンは厳しく、アジア圏の製油所
Altona ●
◆ Melboune
Geelong ●
との競合が増すなか、労務費と
運転費の高騰や燃料に対するよ
り厳しい環境規制および輸入原
図 5 オーストラリアの製油所立地
油価格の上昇などにより、同国
の主力製油所は財政上の損失を
被っている。また、オーストラリアの製油所は小規模で、かつアジア圏内に新設された大
型で複合的な製油所に比べ時代遅れである。これらの事情により、製油所閉鎖や石油製品
4
JPEC レポート
の輸入基地に転換させた案件もある。エクソンモービルは 2003 年に Adelaide 製油所(8 万
BPD)を閉鎖した。また、シェルは 2012 年後半にシドニー近郊の Clyde 製油所(8.5 万 BPD)
を閉鎖した。これにより、オーストラリアはアジア最大の軽油の輸入国になった。加えて、
シェルは 2014 年内に Geelong 製油所(11.8 万 BPD)を貿易会社 Vitol に売却すると発表し
た。今のところ、当該製油所の売却後の先行きは不確かである。即ち、これらの製油所の
閉鎖や停止は国全体としての原油精製能力が 10 年前のほぼ半分になることを意味してい
る。そして、オーストラリアの石油製品(特に軽油とガソリンおよびジェット燃料)の輸
入量の増加を招くことになる。
製油所名
1
2
Bulwer Island
Lytton
3
Kurnell
4
5
6
Geelong
Altona
Kwinana
6 製油所合計
表 3 オーストラリアの製油所概要
原油精製能力
立地
(万 BPD)
9.7
クイーンズランド州
10.8
クイーンズランド州
ニューサウス
13.5
ウェールズ州
11.8
ヴィクトリア州
7.7
ヴィクトリア州
13.9
西オーストラリア州
67.4
操業会社
BP
Caltex Australia
Caltex Australia
Shell Refining
ExxonMobil Refining
BP
4.2. 石油パイプライン
オーストラリアは民間資本の国内の石油パイプライン網を有している。Epic Energy はヴ
ィクトリア州のメルボルンからニューサウスウェールズ州のStony Point へ原油と天然ガス
液を輸送する全長 645km のパイプラインを運営している。また、Santos は原油と石油製品
を運ぶ主要な国内石油パイプラインを 2 本運営している。即ち、クイーンズランド州の
Jacksonからブリスベーンへの800km、
西オーストラリア州のMereenieから北部準州のAlice
Springs への 270km の石油パイプラインである。
Esso Australia はヴィクトリア州の Longford
からニューサウスウェールズ州の Long Island Point に至る 190km の石油パイプラインを運
営している。
4.3. 石油の埋蔵量
2014 年 1 月時点のオーストラリアの石油確認埋蔵量は 14 億バレル超である。一方、オ
ーストラリア国立地学研究所は 2012 年 12 月に、商業的に成り立つ石油の推定埋蔵量は約
37 億バレル(原油 9 億、コンデンセート 19 億、LPG 9 億)であると報告している。オー
ストラリア原油のほとんどは軽質でスウィート、かつ硫黄分とワックス分が少なく重質原
油より価値が高い。大多数の油田は西オーストリア州とヴィクトリア州および北部準州の
沿岸沖の海洋油田で、内陸油田の石油埋蔵量は全体の 5%に過ぎない。ボナパルト
(Bonaparte)海盆を含む西オーストラリア州がオーストラリア全体の原油の 72%、コンデ
ンセートの 92%、LPG の 79%を埋蔵している。
5
JPEC レポート
4.4. 石油の生産と開発
オーストラリアの石油と他の液体燃料の生産量合計は図 6 に示すとおり、2000 年に 82.8
万 BPD のピークを記録して以降減り続けている。2013 年の生産量は 44.7 万 BPD であり、
その約 44%が原油、31%がコンデンセート、14%が LPG、製油所ゲイン+バイオ燃料が 11%
であった。原油のシェアは過去 10 年間に亘り落ち続け、徐々にコンデンセートと天然ガス
液に置き換わっている。今後もさらなる油田が発見されない限り、長期的な減少傾向が続
くと見られる。過去数年間に海洋の小規模油田の新発見があったが、成熟油田の生産量減
衰を穴埋めできていない。しかし、数年間はコンデンセートの増産と小規模な原油開発プ
ロジェクトからの追加生産が生産量全体の減少を食い止めると期待されている。
図 6 オーストラリアの原油生産量と消費量(1992~2015 年)
西オーストラリア州沖のカナーボン(Carnarvon)海盆とボナパルト(Bonaparte)海盆を
含む海域からは 2012 年の同国の石油(原油+コンデンセート+NGL)生産量合計の 69%
を産出された。コンデンセート田を中心とする過去 10 年間における掘削活動の急増後、こ
れらの海盆内でいくつかの重要な発見があり石油生産を開始している。ヴィクトリア州南
部のギップスランド(Gippsland)盆地も依然として石油生産の重要なエリアとして残って
いる。1980 年代以降は当該エリアの石油生産量が減少しているが、2012 年は石油生産量合
計の 18%を占めた。近年、オーストラリアの石油探査の主たる最前線はティモール海の深
海域へと移動しつつある。
ここ数年のコンデンセートの生産量は平均およそ 14 万 BPD である。今後、コンデンセ
ートの増産はオーストラリアの石油生産量全体を押し上げると期待されている。ブラウズ
(Browse)海盆の東部に位置するクルックス(Crux)ガス田は、コンデンセート生産を約
6
JPEC レポート
3.6 万 BPD 増強する。2018 年までに、ゴルゴン(Gorgon)やホイートストン(Wheatstone)
およびイクシス(Ichthys)のようなガス田がコンセンセート生産量を増やすと期待されて
いる。
因みに、
イクシスガス田のコンデンセート生産量は 2020 年までにピーク
(10 万 BPD)
に達すると見られ、これらの新しい複数の LNG プロジェクトは 2020 年までにコンデンセ
ート生産量を合わせて 20 万 BPD 増やすと見積もられている。一方、世界最大の天然ガス
液化プロジェクトの 1 つであるオーストラリアの北西部大陸棚(North West Shelf、図 7、
図 8 参照)における North West Shelf(NWS)プロジェクトはオーストラリアの軽質油と
LPG およびコンデンセート生産の重要な源となっている。
オーストラリアの石油と天然ガスの探査開発は国際石油企業数社が独占している。シェ
ブロンが最大の石油生産者で、2013 年に 9.6 万 BPD の石油を生産した。同国の炭化水素分
野の上流側で活発に投資している他の国際石油企業にはシェル、エクソンモービル、コノ
コフィリップス、国際石油開発帝石、トタール、BHP Billiton、Apache Energy があり、国
内企業の大手としては Woodside Petroleum と Santos、小規模企業としては Origin Energy と
Beach Energy が挙げられる。
図 7 オーストラリアの北西部大陸棚(North West Shelf)のエリア(赤い格子模様部分)
7
JPEC レポート
図 8 西オーストラリア州沖の海盆の位置
4.5. 石油の消費
ここ数十年間、オーストラリアの石
油製品消費量は国内生産量を上回って
いる。2002 年以降、同国の石油消費量
は年率およそ 2%で緩やかに上昇し、
2013 年には 110 万BPD を超えている。
輸送分野が最大の消費比率を占め、
2013 年は約 70%であった。他の主な消
費目的は製造業、鉱業、家庭用、農業
である。ここ数年は一次エネルギー資
源の生産に要する石油消費量が急増し
ている。
図 9 のとおり製品別消費量では軽油
が最大のシェア(41%)を占めている。
図 9 オーストラリアの石油製品需要比率(2013 年)
その大部分が輸送分野と産業分野に使
われている。過去数年間、商売や観光目的の航空旅客が増えた結果として、ジェット燃料
の消費量も 14%に増えている。
8
JPEC レポート
4.6. 石油の輸出入
オーストラリアは原油と石油製品ともに純輸入国である。2013 年の原油の純輸入量は
25.3 万 BPD、石油製品は 32.5 万 BPD であった。同国の北部と北西部は原油精製能力が不
足しているため、石油製品を輸入に依存している一方、東部は製油所用に原油を輸入して
いる。シンガポールがオーストラリアの石油製品輸入量の約 47%を供給し、残りの大部分
は日本と韓国の製油所から供給されている。輸入原油の大部分はマレーシアとアラブ首長
国連邦およびインドネシアから送られている。これら 3 ヶ国からの原油輸入量を合わせる
と 2013 年実績で原油輸入量合計の 48%に当たる。近年、ナイジェリアやコンゴ共和国お
よびガボンのような西アフリカ諸国からの原油輸入量が増えだしており、2013 年実績では
原油輸入量合計の 20%を占めた。
オーストラリアの石油生産地域の大半は東部の製油所群から離れた北西部の沿岸沖に位
置している。同国は自国産の原油とコンデンセートの大部分を他のアジア諸国の製油所へ
輸出している。日本などでは発電所の生焚き原油として使っている。2013 年、オーストラ
リアは主にシンガポール・韓国・中国・日本・タイ・マレーシア向けに合計 22 万 BPD の
原油とコンデンセートを輸出した。なお、少量の石油製品(主に LPG)も輸出している。
4.7. オイルシェール
オーストラリアは非在来型石油であるオイルシェールを商業生産していないが、約 140
億バレルの潜在的な埋蔵量を保有している。そのほとんどはクイーンズランド州に埋蔵さ
れている。現在、これらのオイルシェール堆積層のほとんどは商業生産するための技術的
な課題や環境問題に直面している。2008 年、クイーンズランド州当局はマクファーレン
(McFarlane)鉱床でのオイルシェール採掘の 20 年間禁止を発令し、他のオイルシェール
プロジェクトについても環境に安全な方法を見直しするまで中断している。反面、同州は
当該鉱床を除く全てのオイルシェールプロジェクトの禁止は解除したが、厳しい環境基準
を適用しながら各プロジェクトをレビューしている。
4.8. 石油分野の管理機構
オーストラリアの石油探査と生産の管理は連邦政府と州の間で分けられている。州また
は準州が内陸の石油探査と生産プロジェクトに対する申請を管理する一方で、連邦は海洋
の石油プロジェクトに対する管理を隣接する州または準州と共有している。
資源・エネルギー・観光商(RET)と政府のエネルギー評議会(MCE)が石油分野の規
制機関として機能している。2009 年にティモール海のモンタラ(Montara)油田で起こっ
たオーストラリア最悪の漏油事故を受け、同国は海洋での事業活動の監視を強くするため
2011 年に新しい海洋の規制機関を創設した。当該機関は「National Offshore Petroleum Safety
and Environmental Management Authority: NOPSEMA」と称し、全ての海洋石油施設の安全と
環境性能を監視している。
9
JPEC レポート
5. 天然ガス
5.1. 天然ガスの埋蔵量
2014 年 1 月時点のオーストラリアの天然ガス確認埋蔵量は 1.2 兆 m3(43 兆 cf)超であ
る。一方、オーストラリア国立地学研究所は 2012 年時点における商業生産が成り立つ天然
ガスの推定埋蔵量は 3.7 兆 m3(132 兆 cf)超(在来型天然ガス 2.8 兆 m3(99 兆 cf)超、炭
層メタン 9,300 億 m3(33 兆 cf)
)であると報告している。在来型天然ガスのほとんど(約
92%)は西オーストラリア州沖 NWS エリア内の 3 つの海盆[ボナパルト(Bonaparte)
、ブ
ラウズ(Browse)
、カナーボン(Carnarvon)
]に埋蔵されている。
オーストラリアで操業している国内および外国企業大手には Santos、Woodside、シェブ
ロン、
コノコフィリップス、
エクソンモービル、
Origin Energy、
BG Group、
Apache Corporation、
Inpex、トタール、シェル、スタットオイルなどがある。シェブロンはオーストラリアでの
天然ガス資源を最も多く保有している。同社は 2009 年中頃以降にカナーボン海盆で 21 の
天然ガス田を発見し、オーストラリアの天然ガス確認埋蔵量を 2,800 億 m3(10 兆 cf)追加
した。
5.2. 天然ガスの生産と消費
5.2.1. 天然ガスの生産
図 10 にオーストラリアの天然ガス生産量と消費量を示す。現在、オーストラリアは自国
天然ガス生産によって内需を満たすと同時に、主要な天然ガス輸出国となっている。さら
に、いくつかの最近の天然ガス田の発見と内需の伸びがオーストラリアの天然ガス開発へ
の投資に拍車をかけている。
オーストラリアの天然ガス生産量は開発が進んだ結果、2000 年の 340 億 m3(1.2 兆 cf)
から上昇し 2013 年に約 627 億 m3(2.2 兆 cf)に達した。在来型天然ガスの大部分はオース
トラリア北西部沖のカナーボン海盆、オーストラリア中部のクーパー(Cooper)盆地とエ
ロマンバ(Eromanba)盆地、ヴィクトリア州南東部のギップスランド(Gippsland)盆地、
ティモール海のオーストラリアと東ティモールの共同生産エリアで生産されている。2012
年におけるオーストラリア西部沖の天然ガス生産量の国内シェアは 58%で最大である。カ
ナーボン海盆は国内天然ガス市場の約 1/3 および輸出市場の大部分を供給している。ヴィ
クトリア州は国内天然ガス生産量の約 18%を、炭層メタンの主要な供給地であるクイーン
ズランド州とニューサウスウェールズ州は約 15%を生産している。
5.2.2. 天然ガスの消費
過去 10 年間に亘り、オーストラリアの天然ガス国内消費量は着実に伸び、2013 年には
10 年前に比べ約 37%増えて 368 億 m3(1.3 兆 cf)消費した。産業分野の 2012 年における
消費割合は32%であった。
次いで発電分野が31%を占めている。
鉱業分野と住宅分野は夫々
19%と 11%であった。
2009 年以降は LNG の販売量が増え天然ガスの国内需要と供給間のギャップの拡大が始
10
JPEC レポート
まった。オーストラリアの国内市場の天然ガス価格は国際市場価格より安い。しかし、LNG
の輸出量が伸びるにつれ、供給側のコスト圧力を生んでいる。つまり、天然ガス売買契約
の有効期限が切れると、供給者は世界の LNG 市場価格を反映して天然ガス価格を上げよ
うとしている。上昇しつつある天然ガス価格は消費量の増加している分野、特に発電分野
と製造業に対し使用料抑制の圧力となり、代替燃料使用や省エネを模索する企業もある。
2012 年 7 月、オーストラリア政府は石炭燃焼火力発電からクリーンなガス燃焼発電への
シフトを期待して炭素税を導入した。しかし、2013 年 9 月に発足した新政府は 2014 年 7
月に排出量の多い企業の財政負担の軽減と国内の消費者(特に産業界)への電力料金とガ
ス価格を下げる試みとして、炭素税と排出権取引スキームを廃止した。この政策変更は天
然ガスの内需の伸びを抑えるであろう。特に発電分野においては低価格の石炭燃焼発電の
方が有利だとして天然ガス需要の伸びが弱まるとみられる。
図 10 オーストラリアの乾性天然ガス生産量と消費量(1992~2013 年)
5.3. 天然ガスパイプライン
総延長 24,000km に及ぶ十分に発達したオーストラリアの国内天然ガス移送パイプライ
ン網が主要な天然ガス生産拠点から東部の経済拠点へ天然ガスを送っている。2000 年以降、
オーストラリアは天然ガスパイプライン網の拡大に多額の投資をし、遠隔地である西オー
ストラリア州と北部準州を除く全ての州を相互接続した。いくつかのパイプラインは内陸
のガス田からの天然ガスをダーウィンとシドニーおよび南東部沿岸へ移送している。西オ
ーストラリア州には北西部のガス田からの天然ガスを南西地域へ送るパイプラインが 3 本
敷設されている。オーストラリアの天然ガスの約半分を配送している同国最大のパイプラ
イン運営会社APA Group は同国東部の需要を満たすためメインパイプラインの1 本を北部
11
JPEC レポート
準州に連結することを提案している。
5.4. LNG の輸出
ここ 10 年間、
天然ガス資源を豊富に有
するオーストラリアはアジア太平洋地域
の消費市場に地理的に近いことから、当
該地域への LNG 供給のリーダーになっ
ている。10 年前に比べオーストラリアの
LNG 輸出量はほぼ 3 倍に増えた。期待さ
れている大規模な天然ガス田開発と新し
い LNG 生産設備の竣工により、今後数
年間にさらに LNG 輸出量が増えると見
込まれている。現在、オーストラリアは
カタールとマレーシアに次ぎ世界第 3 位
の LNG 輸出国である。2012 年にガス換
算で 280 億 m3、2013 年には 303 億 m3
(9,900 億 cf)の LNG を輸出した。ほと
んどはアジア市場向けの長期売買契約で
図 11 オーストラリアの LNG 輸出先(2013 年)
ある。図 11 のとおり、2013 年の LNG 輸
出量の約80%が長期売買契約に基づく日
本向けであった。他の主な輸出先として中国、韓国、台湾がある。2011 年の福島の原発事
故でガス燃焼火力発電がその代替となり、日本向けの LNG 輸出量が急増した。2012 年以
降、オーストラリアが日本への最大の LNG 供給国となっている。
5.5. LNG プロジェクト
5.5.1. 稼動中の LNG 施設
オーストラリアには現在、稼動中の 3 つの LNG 施設(表 4 参照)があり LNG 生産能力
合計は年間およそ 340 億 m3 である。最大の施設は 6 社(Woodside、シェル、BP、シェブ
ロン、Japan Australia LNG、BHP Billiton)の共同企業体である North West Shelf LNG で、海
上に 5 つの LNG トレインをもち LNG 生産能力合計は年間 221 億 m3 である。原料となる
天然ガスは NWS エリア内のいくつかのガス田から供給されている。当該 JV により生産さ
れた LNG の大部分は長期契約に基づき日本へ輸出されている。
もう 1 つの 6 社(コノコフィリップス、Santos、Eni、Inpex、東京ガス、東京電力)の JV
であるダーウィン(Darwin)LNG はオーストラリアで 2 番目に操業開始した LNG 施設で
ある。LNG 生産能力が年間 48 億 m3 の LNG トレインを 1 基保有し、生産した LNG を東
京ガスと東京電力に供給している。原料となる天然ガスはティモール海のバユウンダン
(Bayu-Undan)ガス田から供給されている。
12
JPEC レポート
西オーストラリア州の町カラサ(Karratha)沖のプルート(Pluto)LNG プロジェクトの
第 1 トレインは 2012 年 3 月に稼動開始した。LNG 生産量は年間 58 億 m3 である。Woodside
が主導している当 JV は関西電力および東京ガスと 15 年間の売買契約を交わしている。当
該プロジェクトは 5 本の海底ガス井と連結している海洋プラットフォーム 1 基およびバラ
ップ(Burrup)半島の陸上の LNG 施設までの 180km のパイプライン含んでいる。ただし、
Woodside は増強(第 2 トレイン)を検討中であるが、近隣からの追加のガス調達が困難な
こととプロジェクトコストの上昇が課題となって第 2 トレイン建設は保留中である。
表 4 オーストラリアの稼動中の LNG 施設
施設名
LNG 年間生産能力
3
ノースウェストシェルフ
(Northwest Shelf)
780Bcf(221 億 m )
(5 トレイン合計)
ダーウィン
(Darwin)
170Bcf(48 億 m3)
(1 トレイン)
プルート
(Pluto)
206Bcf(58 億 m3)
(1 トレイン)
株主
Woodside、シェル、 BHP Billiton、BP、
シェブロン、三菱商事&三井物産(各々16.7%)
コノコフィリップス(57.2%)
、Santos(11.4%)
、
Inpex(11.3%)
、Eni(11%)
、 東京電力(6%),
東京ガス(3%)
Woodside(90%)
、関西電力(5%)
、
東京ガス(5%)
5.5.2. 工事中の LNG プロジェクト
イクシス(Ichthys) LNG プロジェクトなど、いくつかのプロジェクトは随伴コンデン
セートと LPG を生産するように設計されている。現在、表 5 に示す 7 つの LNG プロジェ
クトが工事中で、LNG 生産能力合計は年間 840 億 m3 である。3 つはクイーンズランド州、
4 つはオーストラリア北西部の沿岸部または沖合に位置している。これらの LNG プロジェ
クトは 2017 年までに稼動開始する予定である。
西オーストラリア州北西近海のバロー(Barrow)島近くの北カナーボン(North Carnarvon)
海盆に位置するグレーターゴルゴン(Greater Gorgon)ガス田はオーストラリア最大のガス
田として知られ、ゴルゴン LNG プロジェクトは 1.1 兆 m3 の天然ガスを保有していると見
られている。現在工事中の当該プロジェクトは 2015 年内に完成の見込みで、生産量は天然
ガスが年間 270 億 m3、コンデンセート 2 万 BPD と予想されている。ゴルゴンガス田と
Jansz-lo ガス田は LNG 処理施設のあるバロー島と海中パイプラインで結ばれる。さらに、
当該プロジェクトの主要機能の1つは温室効果ガスの排出量を減らすためバロー島の地下
深くに炭酸ガスを注入することである。
13
JPEC レポート
表 5 オーストラリアの工事中の LNG プロジェクト
LNG プロジェクト名
稼動予定時期
LNG 年間生産能力
株主
第 1 トレイン:
BG(50%)
、CNPC(50%)
第 2 トレイン:
BG(97.5%)
、東京ガス(2.5%)
オーストラリア パシフィック
Origin
Energy
(37.5%)
、
2015 年
430Bcf(122 億 m3)
(Australia Pacific)
コノコフィリップス(37.5%)
、
第 3 四半期
(2 トレイン合計)
[CBM 由来 LNG]
Sinopec(25%)
シェブロン(47.33%)
エクソンモービル(25%)
ゴルゴン
2015 年
750Bcf(212 億 m3)
シェル(25%)
、
(Gorgon)
第 3 四半期
(3 トレイン合計)
大阪ガス&東京ガス&中部電力
(2.667%)
グラッドストン(Gladstone)
2015 年
375Bcf(105 億 m3) Santos(30%)
、Petronas(27.5%)
、
[CBM 由来 LNG]
第 4 四半期
(2 トレイン合計) トタール(27.5%)
、Kogas(15%)
シェブロン(64.14%)
、
3
2016 年
430Bcf(122 億 m )
Apache(13%)
、KUFPEC(13.4%)
、
ホイートストン(Wheatstone)
(2 トレイン合計)
第 1 四半期
東京電力&九州電力(9.455%)
Inpex(63.45%)
、トタール(30%)
、
イクシス
2016 年 第 4 四
400Bcf(113 億 m3
CPC(2.63%)
、
(Ichthys)
半期
(2 トレイン合計)
大阪ガス&東邦ガス(3.94%)
3
2017 年 第 1 四
175Bcf(50 億 m )
シェル(67.5%)
、Inpex (17.5%)
、
プレリュード(Prelude)
半期
(浮体式 1 トレイン) Kogas(10%)
、CPC(5%)
クイーンズランド カーティス
(Queensland Curtis)
[CBM 由来 LNG]
2014 年
第 4 四半期
400Bcf(113 億 m3)
(2 トレイン合計)
5.5.3. 炭層メタン由来 LNG(CBM-to-LNG)プロジェクト
炭層メタン(CBM)は主にクイーンズランド州北東部のボーエン(Bowen)盆地とスラ
ト(Surat)盆地に埋蔵されている。その量は過去 3 年間に倍増し、2012 年には 9,300 億
m3 に達した。CBM の商業生産は 1996 から始まり、2012 年には天然ガス生産量合計のほ
ぼ 13%に相当する 70 億 m3 を生産した。かなりな量の CBM が生産され、CBM-to-LNG プ
ロジェクトが実現可能になっている。クイーンズランド カーティス LNG プロジェクトが
世界初の CBM-to-LNG プロジェクトになるであろう。現在、隣り合う 2 つのプロジェクト
(オーストラリア パシフィック LNG、グラッドストン LNG)が進行中で、さらに別の 2
つのプロジェクト(フィシャマンズ ランディング LNG、アローLNG)が最終的な投資決
定を待っている。CBM-to-LNG プロジェクトは特に中国石油化工集団公司(Sinopec)
、中
国海洋石油総公司(CNOOC)
、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)
、東京ガスなどのアジ
アの企業を引き付けている。当該企業はこれらのプロジェクトに供給する上流側資産だけ
でなく、中国と日本市場で LNG を販売することに関心を持っている。
その一方で、いくつかの CBM 開発プロジェクトは、環境影響を懸念する住民の抵抗に
よる遅延問題に直面している。オーストラリア当局は非在来型資源への投資拡大と環境に
安全な方法による開発の両立を試みている。ニューサウスウェールズ州とクイーンズラン
ド州および連邦政府は、特に水の使用と排水および土地の権利についての環境規制を強化
してきた。クイーンズランド州は炭層メタン生産者に対するより厳格な水の安全管理政策
を制定している。一方、住宅地や小規模産業地域の近くでの CBM 生産を厳しく制限する
14
JPEC レポート
法令である「Strategic Regional Land Use Policy」に基づき課していた水圧破砕(Hydraulic
fracturing)の一時禁止を、ニューサウスウェールズ州は 2012 年に撤回した。クーパー
(Cooper)盆地の一部を有する南オーストラリア州は、環境に安全な CBM 回収方法等、
CBM 開発に関するガイドラインを公布した最初の州であり、同州は CBM 開発プロジェク
トへの投資を奨励している。
5.5.4. LNG プロジェクトの課題
現在、オーストラリアの急成長している LNG 産業は深刻な資本コストの上昇に直面し
ている。更地に建設する新しいプロジェクトにはより多くの投資を必要とし、いくつかの
計画されたプロジェクトが遅延またはキャンセルされている。コスト増は労働力不足とそ
の結果起こる高賃金や高い材料費さらに設計条件の変更などが原因である。また、より厳
しい環境規制や土地の権利問題や遠隔地問題などのハードルもある。いくつかのプロジェ
クト(イクシス、ゴルゴン、ホイートストン、グラッドストン、クイーンズランド カーテ
ィス)は著しいコストインフレを経験してきた。2012 年に認可されたイクシス LNG プロ
ジェクトは現在、LNG 生産単位当たり世界一高価な液化プロジェクトとなっている。プル
ート LNG プロジェクトもまた、2007 年における当初の投資決定時から 30%も予算オーバ
ーした。ゴルゴン LNG プロジェクトは最終投資決定以来、米ドルベースで 370 億ドルか
ら 540 億ドルへ 46%のコスト増となっている。2014 年、シェルはホイートストン LNG プ
ロジェクトの同社所有の株式(6.4%)をパートナーのクウェートの会社(KUFPEC)に売
却した後、さらにアローLNG プロジェクトの延期を決定している。
ロシア、米国、アフリカ諸国からの安価な天然ガスにより、オーストラリアの未着工 LNG
プロジェクトは世界の LNG 供給競争に晒されている。プロジェクトコストの削減と海岸
から遠く離れたガス田からのガスを液化するため、企業は陸上の設備より安価な浮体式天
然ガス液化基地(FLNG)に切り替えている。オーストラリア北西部沿岸沖のブラウズ海
盆に位置するシェルが新技術を用いて開発したプレリュード LNG は 2017 年までに稼動開
始し世界初の FLNG となる予定である。Woodside は 2013 年に莫大なプロジェクトコスト
を減らすため、ブラウズ LNG を陸上基地から海上の浮体式基地に変えることを決定して
いる。
5.6. シェールガス
オーストラリアには 12.4 兆 m3 の技術的に回収可能なシェールガス資源をもつと推定さ
れている。この量はロシア、米国、中国、アルゼンチン、リビアに次いで世界第 6 位に相
当する。
オーストラリアのシェールガスは内陸のクーパー盆地とメリーバラ
(Maryborough)
盆地の東部および海洋のパース(Perth)海盆の南西部とキャニング(Canning)海盆の北西
部に分布している。現在、探査活動のほとんどはクーパー盆地に集中し、シェールガス開
発の資金と技術力を有する多くの国際石油企業を引き付けている。2012 年末、Santos はク
ーパー盆地のMoomba ガス田でオーストラリア初のシェールガス商業井の掘削に成功した。
15
JPEC レポート
6. 石炭
9.1 石炭の埋蔵量
2013 年発行の世界エネルギー会議(WEC)の資料によれば、2011 年末時点のオースト
ラリアの可採石炭埋蔵量は 840 億トンで、米国・ロシア・中国に次いで世界第 4 位である。
一方、2012 年にオーストラリア政府は石炭の確認および推定埋蔵量は 1,160 億トンである
と推定した。その約 58%が黒炭(black coal)で 42%が褐炭(brown coal)である。
6.1. 石炭の生産と消費
6.1.1. 石炭の生産
図 12 参照のとおり、2012 年、オーストラリアは 2010 年(4.68 億トン)より僅かに少な
い 4.64 億トンの石炭を生産した。2011 年の大幅減少は同年初めに起こったクイーンズラン
ド州の大洪水が主な原因である。過去 20 年間、毎年続いた新しいプロジェクトと共にオー
ストラリアの石炭生産量は 84%伸びた。同国の資源エネルギー経済局(BREE)は石炭生
産量の伸びは 2013 年も続くだろうと推測している。
この伸びは強い内需および新しい炭鉱
と石炭輸出設備への継続した投資によって支えられてきた。2014 年 4 月現在、オーストラ
リアは最新鋭の採炭設備とインフラプロジェクトに 112 億ドル投資して、2017 年までに石
炭生産能力を約 0.8 億トン追加する計画である。
図 12 オーストラリアの石炭生産量と消費量 (1992〜2012 年)
16
JPEC レポート
6.1.2. 石炭の消費
石炭は国内のエネルギー需要を満たす主要な役割を演じている。オーストラリアの発電
源の約 64%を石炭が占めている。けれども近年、オーストラリアはいくつかの石炭燃焼発
電を天然ガスと再生可能エネルギーによる発電に切り替えると同時に、アジア全体のエネ
ルギー需要の伸びを満たすため輸出を増やすことに注力している。
6.2. 石炭の輸出
図 13 参照のとおり、オーストラリアは世界第 2 位の石炭輸出国である。同国最大の輸出
商品(歳入ベース)は鉄鉱石で、石炭は 2 番目である。25 年間に亘り、オーストラリアは
世界最大の石炭輸出国であったが、2011 年にインドネシアに抜かれ世界第 2 位となってい
る。オーストラリアは生産した石炭の約 72%を輸出している。2012 年に 3.32 億トン輸出
した。2013 年には日本向けが約 35%、中国 25%、韓国 14%、インド 11%、台湾 9%、その
他 6%であった。ほとんどはクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州から輸出さ
れているが、2007 年から西オーストラリア州からの輸出が始まった。石炭はクイーンズラ
ンド州とニューサウスウェールズ州に位置する 9 つの港湾の輸出基地から輸出されている。
2012 年における当該基地の取り扱い能力合計は 5.1 億トンであった。現在、いくつかの新
しい港湾インフラプロジェクトが進行中で、
2016 年までに 0.56 億トンの取り扱い能力が上
積みされる見込みである。
図 13 世界の石炭輸出国トップ 5 (2011 年)
17
JPEC レポート
<参考資料>
(1) 米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、Australia Country Analysis Brief 、h
ttp://www.eia.gov/countries/cab.cfm?fips=AS
(2) World atlas 、http://www.worldatlas.com/webimage/countrys/au.htm
(3) The Wall Street Journal 、http://jp.wsj.com/articles/SB1000142405270230376870458003446
2399476590
(4) TOTAL Home Page 、Ichthys LNG 、http://www.total.com/en/energies-expertise/oil-gas/ex
ploration-production/projects-achievements/lng/ichthys
(5) Ichthys LNG Project 、http://www.epcengineer.com/projects/details/140/ichthys-liquefied-nat
ural-gas-lng-project
(6) Chevron Australia Home Page 、Wheatstone LNG Project 、http://www.chevronaustralia.
com/our-businesses/wheatstone
(7) Chevron Australia Home Page 、Gorgon LNG Project 、http://www.chevronaustralia.com/
our-businesses/gorgon
(8) AUSGEO news 、http://www.ga.gov.au/ausgeonews/ausgeonews200806/acreage.jsp
(9) nwsda.com 、http://www.nwsda.com/overview.shtml
(10) 外務省ホームページ、各国情勢 、http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html
以上
本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析
したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected]
までお願いします。
Copyright 2014 Japan Petroleum Energy Center all rights reserved
次回の JPEC レポート(2014 年度 第 24 回)は
「マレーシアで最新鋭の大型石油精製・石油化学プロジェクト計画」
を予定しています。
18
Fly UP