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Oracle Exalogicとは
Oracleビジネス・ホワイト・ペーパー
2013年9月
Oracle Coherence + Oracle Exalogic Elastic
Cloud
次世代エンタープライズ・アプリケーション向けのエンジニアド・パフォーマンスとスケーラビリティ
Oracle Coherence + Oracle Exalogic
免責事項
以下の事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯一の目
的とするものであり、いかなる契約にも組み込むことはできません。以下の事項は、マテリアルやコード、
機能を提供することをコミットメント(確約)するものではないため、購買決定を行う際の判断材料になさ
らないで下さい。オラクルの製品に関して記載されている機能の開発、リリース、および時期については、
弊社の裁量により決定されます。
Oracle Coherence + Oracle Exalogic
目次
概要 ..............................................................................................................................................................2
Oracle Coherenceとは ...................................................................................................................... 3
Oracle Exalogicとは ............................................................................................................................ 4
Exalogic Elastic Cloud Software(EECS)....................................................................... 5
Exalogic Elastic Cloudのハードウェア:コンバージド・ファブリック....... 5
ExalogicのExabus:パフォーマンスとスケーラビリティ .................................... 5
Coherence、InfiniBand、およびExabus:最強の組合せ ............................................. 6
Coherenceのメッセージ・バス:アプリケーションの移植性、
最適化されたネットワーク・パフォーマンス ............................................................ 7
Exalogic:信頼性、可用性、保守性 ......................................................................................... 9
Exalogic上のCoherence:迅速なクラスタのリバランシングによる
可用性 ..................................................................................................................................................9
Exalogic Elastic Cloudハードウェアのコンピュート・ノード: ................................ 10
Exalogic上のCoherence:大型でより効率的なデータ・グリッド .............. 11
なぜExalogic上でCoherenceを実行するのか................................................................... 12
代表例:大手のケーブル・プロバイダ ............................................................................... 12
オプションA:汎用ハードウェア .................................................................................... 13
オプションB:Oracle Exalogic ........................................................................................... 14
Exalogic上のCoherence:パフォーマンスの向上、コストの削減 ..................... 14
Oracle Coherence + Oracle Exalogic
概要
Oracle Coherenceは、頻繁に使用されるデータへの高速かつ信頼性の高いアクセスを提供することで、組織
がミッション・クリティカルなアプリケーションを計画どおりに拡張できるようにする分散インメモリ・
デ ー タ ・ グ リ ッ ド で す 。 Coherence は 、 Oracle Fusion Middleware お よ び Oracle Cloud Application
Foundationのコンポーネントとして、データ・キャッシュ、データ・レプリケーション、リアルタイムの
データ処理、分散コンピューティング・サービスをあらゆる種類のビジネス・アプリケーションに提供しま
す。また、CoherenceはOracle Fusion Middleware 12cのコンポーネントとして、オラクルのミドルウェア・
スタックおよびOracle Exalogic Elastic Cloudと緊密に統合されています。ExalogicのExabus I/Oファブリック
およびExalogicのソリッド・ステート・ディスク(SSD)を活用するため、Coherenceにはいくつかの最適化
が組み込まれています。このような最適化によって、Exalogic上のCoherenceで卓越したパフォーマンス、
高い可用性、および厳しいビジネス要件に対する高度なスケーラビリティが実現します。
カスタム開発によるアプリケーションで、またはOracle WebLogic Server、Oracle Event Processing、Oracle
Service Bus、Oracle ATG CommerceなどのほかのOracle製品と連携してCoherenceを使用すると、アプリ
ケーション・コードを変更することなく、このホワイト・ペーパーに記載された利点を享受できます。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Oracle Coherenceとは
Oracle Coherenceは極めてスケーラブルでフォルト・トレラントな、分散キャッシュ・エンジンです。安価
なコンピュータを多く使用してシームレスに拡張できるクラスタを作成し、ビジネス・アプリケーションに
メモリおよび処理能力を追加します。Coherenceは複数のサーバーのメモリにあるデータを自動的かつ動的
にパーティション化することで、サーバーの障害発生時にも、継続的なデータ可用性とトランザクション整
合性を確保します。また、共有インフラストラクチャとして、データの局所性と事実上無制限の処理能力を
組み合わせることで、リアルタイムのデータ分析、インメモリのグリッド計算、およびトランザクションと
イベントのパラレル処理を実行します。
Coherenceは信頼性の高い、極めてスケーラブルなピア・ツー・ピアのクラスタリング・プロトコル上で、
レプリケートおよび配布した(パーティション化された)データの管理およびキャッシュ・サービスを提供
します。また、シングル・ポイント障害がなく、サーバーが稼働しなくなったときやネットワークから切断
されたときは、クラスタ化されたデータ管理サービスを自動的かつ透過的にフェイルオーバーして再配信し
ます。新しいサーバーが追加されたときや、障害のあったサーバーを再起動するときは、Coherenceが自動
的にクラスタに接続し、サービスを“フェイルバック”して、そのクラスタの負荷を透過的に再配分します。
Coherenceには、サーバーが自身で停止から回復できるように、ネットワーク・レベルのフォルト・トレラ
ンス機能、およびソフト再起動機能が含まれています。
図1:Oracle Coherenceのインメモリ・データ・グリッド
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Oracle Exalogicとは
Oracle Exalogic Elastic Cloudは企業がOracleビジネス・アプリケーション、Oracle Fusion Middleware、また
はOracleパートナによって提供されたソフトウェア製品をデプロイできるソフトウェア、ファームウェアお
よびハードウェアで構成されるエンジニアド・システムです。Oracle Exalogicは広範な時間厳守のミッショ
ン・クリティカルなワークロードの信頼性、可用性、スケーラビリティ、およびパフォーマンスの高い基準
を満たすために設計されています。コードを変更することなくアプリケーションが大幅に改善し、複数のベ
ンダーによるさまざまなコンポーネントの集合体である従来のITプラットフォームに比べると、初期セット
アップから継続的な保守にいたるまで、アプリケーションのライフ・サイクル全体のコストが削減されます。
Oracle Exalogicは、標準ベースの製品およびテクノロジーによるOracleのベスト・オブ・ブリードのポート
フォリオで構成されるオープン・システムです。
オラクルでは、Oracle Fusion MiddlewareおよびOracleアプリケーションを実行する比類ないプラット
フォームを構築するために、Oracle Exalogicのコンポーネントに独自の最適化および拡張を行いました。
Exalogicの顧客は、ハードウェア、電力、熱、データセンター領域、およびソフトウェアを削減することで、
アプリケーションのワークロードに対応できます。各Exalogicシステムは事前に統合されているため、それ
に伴うIT環境のプロビジョニング、管理、および保守が容易で、価値実現までの期間が短縮され、新しいプ
ロジェクトの総所有コスト(TCO)が削減されます。Exalogicは可用性を高め、保守による停止時間をなく
すように設計されています。サービスを中断させずに、単一ラック構成から8ラック構成に直線的に拡張で
きます。
Oracle Exalogicの顧客は、論理的または物理的なサーバーの仮想化をサポートするためにこれらの環境を構
成して、管理性を高め、デプロイメントを容易にし、Infrastructure-as-a-Service(IaaS)クラウドに最適なプ
ラットフォームを実現できます。Oracle Exalogicシステムはそれぞれ、2つの主要要素で構成されます。
• Exalogicのハードウェア:オラクルのQuad Data Rate(QDR)InfiniBandネットワーク・ファブリックに
構築された、Exabusと呼ばれる高パフォーマンスのI/Oサブシステムを使用するストレージおよびサー
バーのリソースが、オラクルによって構築されたExalogicのハードウェア・プラットフォームに統合され
ています。
• Exalogic Elastic Cloud Software(EECS):このExalogic固有ソフトウェアの基本パッケージには、
Oracle LinuxやOracle Solarisオペレーティング・システムに事前に統合されているデバイス・ドライバお
よびファームウェアが含まれています。このソフトウェアにより、サーバーおよびネットワークの仮想化、
拡張可能ストレージおよびクラウド管理ユーティリティなどのIaaS機能がサポートされるとともに、高度
なパフォーマンスが可能になります。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Exalogic Elastic Cloud Software(EECS)
図2:Exalogic Elastic Cloud Softwareの主要コンポーネント
Exalogic Elastic Cloudのハードウェア:コンバージド・ファブリック
Oracle Exalogicは、オラクルのQuad Data Rate(QDR)InfiniBandのハードウェアおよびソフトウェアを使用
して特別に開発された、非常にパフォーマンスが高いコンバージドI/Oバックプレーンをベースにしていま
す。Exalogicのハードウェア構成にはそれぞれ、データセンターのイーサネット・ネットワークのゲート
ウェイとして機能し、Exalogicシステム内のすべてのコンポーネントにも接続する複数のQDR InfiniBandス
イッチが含まれています。このコンバージド・ファブリックは、共有ストレージ環境に直接アクセスします。
クラウド・アプリケーションがイーサネット・ネットワーク上でアクセス可能なほかのすべてのアプリケー
ションに接続できるようにする、仮想イーサネット・ネットワークを作成するための物理プラットフォーム
としても機能します。このExalogicファブリックは非常に短い待機時間(通常、イーサネットに比べて10倍
の速さ)、40Gb/秒のスループット、完全な冗長性、統合エンドポイント・セキュリティ、および多数の仮
想および物理サーバーに対する高度なスケーラビリティを提供します。
ExalogicのExabus:パフォーマンスとスケーラビリティ
今日の高度な分散システムの多くは、システム・コンポーネントを接続する通信チャネルによる制約を受け
ています。ExalogicはExabusと呼ばれるネットワーキングのハードウェアおよびソフトウェアのサブシステ
ムを使用して、I/Oボトルネックを解消します。Exabusはビジネス・アプリケーションの動作を速くするだ
けでなく、効率も高めます。これは、大量のプロセッサ・コアと数テラバイトのメモリを含む大規模なデプ
ロイメントでも同様です。この通信ファブリックはすべてのシステム・コンポーネントを連携し、Exalogic
の非常に優れた信頼性、可用性、スケーラビリティ、およびパフォーマンスの基礎を提供します。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
図3:Exalogic Elastic Cloudのハードウェアおよびソフトウェア・スタックの主要コンポーネント
Exabusの基礎には、以下の理由でQDR InfiniBandが選択されました。
• Oracle InfiniBandは物理ポートごとに、今日の標準的なインターコネクト・テクノロジーでは最高の帯域
幅(40Gb/秒)と最短の待機時間(~1.07µsec)を提供します。 1この独自のアーキテクチャにより、低速
の通信リンクで待機することで浪費される計算能力をアプリケーションが再利用できます。
• InfiniBandは、ネットワーク・スタックの物理レイヤーで信頼性の高い配信、セキュリティ、およびサー
ビス品質を提供し、ネイティブでカーネル・バイパス操作をサポートするため、システムのCPUおよびメ
イン・メモリの使用による非効率の多くが解消されます。
• Oracle InfiniBandはIP(IPoIB)およびイーサネット(EoIB)などの上位スタックのプロトコルをサポート
するため、既存のアプリケーションを変更することなく実行でき、拡張されたパフォーマンスの利点も得
ることができます。
Coherence、InfiniBand、およびExabus:最強の組合せ
インメモリ・データ・グリッドのみから状態またはデータにアクセスするアプリケーションは、ネットワー
ク帯域幅を活用して待機時間を短縮するデータ・グリッドの機能の副産物である、補助的なネットワーク通
信レイヤーと同様に動作します。
1
10Gbイーサネットの3.7倍のスループット、1/5の待機時間(http://www.hpcadvisorycouncil.com/pdf/IB_and_10GigE_
in_HPC.pdf)
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Oracle CoherenceはOracle Exalogic Elastic Cloud専用のExabusテクノロジーを活用して大幅にスケーラビリ
ティを高め、データ・グリッド処理の待機時間を短縮します。ExabusにはExalogic向けに最適化されたネッ
トワーク通信レイヤーの下位レベルJava APIが含まれています。InfiniBand Message Bus(IMB)は、ネイ
ティブのInfiniBand Exabus実装で、Remote Direct Memory Access(RDMA)、ゼロコピー・データ転送、お
よび待機時間の短い通信用のその他のテクノロジーを使用します。Oracle CoherenceはExabusテクノロジー
と統合することで、ミドルウェア・アプリケーション向けの極めてスケーラブルで、待機時間の短いデータ
および状態の管理機能を提供します。
図4:ExabusのInfiniBand Message Bus最適化を使用してCoherenceを実行すると、バッファ・コピー、転送処理、およびコンテキスト切
替えが削減される
Coherenceのメッセージ・バス:アプリケーションの移植性、最適化されたネッ
トワーク・パフォーマンス
オラクルは、さまざまなネットワーク・アーキテクチャで高パフォーマンスの実装を提供するため、アプリ
ケーションでTCPやInfiniBandなどの本番環境に適した転送を指定できる転送プロバイダ・ベースのインタ
フェースであるCoherence MessageBusを開発しました。
図5:Coherenceのサービスはメッセージ・バスAPIを活用するため、デプロイメント・プラットフォームに最適な転送を設定できる
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
プログラマーがアプリケーションを移植してInfiniBandファブリックで実行する際にはいくつかのオプショ
ンがありますが、これらの多くで移植性とパフォーマンスとのトレードオフが伴います。もっとも簡単な選
択肢は標準のJavaソケットAPIを使用してTCP/IP over InfiniBandを実行する方法です。これは簡単なソリュー
ションですが、InfiniBandの下位レベルの機能が活用されないため、待機時間が長くなり、帯域幅の利用率
も最適ではなくなります。代わりの選択肢は、ソケット・インタフェースを通じて下位レベルのInfiniBand
機能を活用する、Socket Direct Protocol(SDP)を使用する方法です。SolarisやLinuxのJDK7でサポートされ
るSDPを使用することで、プログラマーは引き続き標準ソケット・ベースのインタフェースを使用でき、
InfiniBandの多くの利点を享受できます。SDPによる移植性とパフォーマンスの組合せは、多くのアプリケー
ションおよびミドルウェア製品にとって適切なトレードオフです。
3番目の選択肢は、ソケット・インタフェースの制約を受けない、最適化されたInfiniBandインタフェースを
活用する方法です。この方法はネットワークのスケーラビリティおよびパフォーマンスに関してデータ・グ
リッドが直接依存しているため、Coherenceにもっとも適しています。このため、CoherenceはIMBを導入
しました。ソケット・インタフェースではなくIMBを活用してInfiniBandドライバと直接対話することで、
Coherenceの操作の待機時間をさらに短縮できます。Coherenceのアプリケーションは、単純な構成設定に
よるIMB転送を使用できます。
IMBおよびほかのExabus最適化によって、Exalogic/Coherence構成の状態およびアプリケーション・データ
に非常に高速にアクセスできるようになります。アプリケーション・コードからの内部メッセージング操作
を保護することで、パフォーマンスはカスタム開発のCoherenceソリューションでも、Oracle WebLogic
Server、Oracle ATG Commerce、Oracle Service Bus、およびOracle Event ProcessingなどのOracle製品を含
む統合ソリューションでも、大幅に改善します。
図6:Exabus最適化によって、待機時間は汎用システムに比べて6分の1まで短縮される
Exalogic上でCoherenceを実行する顧客は、最高のパフォーマンスおよび密度を得るためにデータ・グリッ
ドを物理ハードウェアで直接実行することも、管理性を高めるために仮想的に実行することもできます。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Exalogic:信頼性、可用性、保守性
Exalogicはミッション・クリティカルで、可用性の高いアプリケーションのために設計されています。
99.999%の可用性を達成するには、フォルト・トレラントで保守と管理に停止時間が発生しないシステムが
必要です。Exalogicは、ハードウェアの冗長化および電源、I/O、および冷却(ファン)などの主要コンポー
ネントの自動フェイルオーバーによって、シングル・ポイント障害を防ぎます。スケールアウト・アプリ
ケーションを実行していると、アプリケーションまたはユーザーに対する中断なしにシステム内のすべての
コンポーネントを停止し、修復または保守を行い、復帰させることができます。Exalogicはブロック・レベ
ルのストレージ・レプリケーション、ディスクへのバックアップ、および自動サービス・リクエスト(ASR)
をサポートしています。ASRによって、実際の、または差し迫ったコンポーネント障害に対する対策のため、
Exalogic X3-2システムを事前予防的に監視し、交換部品およびサービス担当者を前もって手配して、サービ
スの中断を最小限に抑えることができます。
Exalogic上のCoherence:迅速なクラスタのリバランシングによる可用性
Coherenceでは、さまざまな機能を通じて継続的な可用性が確保されます。同期バックアップによって、
ノード、サーバー、ラック、さらにデータセンター全体が失われても、Coherenceがデータを損失すること
はありません。GoldenGate HotCacheが基になるデータベースにCoherenceのキャッシュを同期して保存し
ます。基になるデータベース・テーブルで変更されたデータはCoherenceにプッシュされます。
クラスタからノードが追加または削除されると、Coherenceが自動的に負荷を再配分するため、クラス
タ・メンバーがそれ以上失われなくなります。すべてのクラスタ・メンバーがプライマリおよびバック
アップのパーティションの一部を担当するように、パーティションが再度シャッフルされます。このリバ
ランシング・プロセスでデータをリクエストしているクライアントは、パーティションが移動するまで待
機しないとならない場合があります(すべての操作は正しく完了しますが、一時的に待機時間が長くなる
場合があります)。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Gb
イーサネット
図7:クラスタからノードが追加または削除されると、迅速なクラスタのリバランシングが行われて可用性が向上する
Exalogic ExabusおよびInfiniBand Message Busのおかげで、パーティションの移動およびクラスタのリバラ
ンシングが汎用ハードウェアに比べて最大16倍速くなります。
Exalogic Elastic Cloudハードウェアのコンピュート・ノード:
Exalogicコンピュート・ノードは、Intel Xeon CPU、高速DIMMメモリ、冗長InfiniBandホスト・チャネル・
アダプタ(HCA)、および冗長ソリッド・ステート・ディスク(SSD)を搭載した小型で自己完結型のサー
バーです。各コンピュート・ノードは、Oracle Linux、Oracle Solaris、またはOracle VM Serverのハイパーバ
イザ・ソフトウェアの単一インスタンスを実行できます。コンピュート・ノードは、ダウンタイムを発生さ
せずにExalogic構成から追加または削除できます。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
図8:標準のExalogic Cloud X3-2のハードウェア構成
Exalogic上のCoherence:大型でより効率的なデータ・グリッド
CoherenceをExalogicとともに使用することで、開発者は大型でより効率的なデータ・グリッドを構築し、
操作を簡素化できます。InfiniBand Message Busで得られるスループットおよび待機時間により、待機時間
およびスループットの目標を満たしながら、同等サイズの汎用サーバーより多くのデータを単一のコン
ピュート・ノードに格納することができます。オフヒープ・バイト・バッファやスケーラブルなメッセー
ジ・バスなどの最適化によって、過剰なガベージ・コレクション(GC)による継続的な待機時間が発生する
ことなく、開発者が小型で多数のJVMではなく、大型で少数のCoherence JVMをデプロイできるようになり
ます。Exalogicシステムで1テラバイトのデータを管理する方が、同量のデータを汎用ハードウェアで管理す
るよりもITのオーバーヘッドが大幅に軽減するため、はるかに効率的です。
図9:Elastic DataによってCoherenceはより多くのデータをコスト効率良く管理できるようになる
Oracle CoherenceのElastic Data機能によって、アプリケーションがメモリとブロック・ストレージ・デバイ
スの両方を活用できるようになります。Elastic Dataは、ExalogicのSSDストレージまたはSSDを背後に持つ
SANを使用して大量のデータセットをサポートします。各Coherenceのキャッシュ・サーバーはRAMの数倍
のデータ量を管理できます。システム管理者はCoherenceクラスタの容量を拡張し、必要なキャッシュ・
サーバーの数を削減することで全体のIT構成を簡素化できます。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
Elastic Dataでは、RAMがいっぱいになるとRAMからSSDに移動または“ジャーナリング”が行われます。
ジャーナリングは応答時間を短縮するために、非同期でアプリケーションに対して透過的に発生します。
ヒープに格納された圧縮キーは、ヒープ要件を最小限に保ちますが、値はジャーナル形式でヒープ外に格納
されます。Elastic Dataを使用するためのコーディングの変更は必要ありません。
つまり、Oracle Coherence Elastic Dataの最適化によってより効率的なメモリおよびディスク・ベースのスト
レージが提供され、データ・アクセスのパフォーマンスが改善し、顧客に柔軟性がもたらされ、容量が拡張
し、管理フットプリントが削減されます。
なぜExalogic上でCoherenceを実行するのか
スループットの増加および応答時間の短縮:Exalogic上のCoherenceでは、10Gbイーサネット・ネットワー
クの汎用ハードウェアと比べて、スループットが4倍まで増加し、応答時間は6分の1まで短縮します。
• Elasticのスケーラビリティ:Exalogic上のCoherenceは、厳しいパフォーマンスSLAを満たしながら、容
量を1/8ラックからフル・ラックまで拡張して、柔軟なスケーラビリティを提供します。Elastic Dataおよ
びコンピュート・ノードごとの大容量RAMを使用することで、大量のデータ・グリッドの管理が容易でコ
スト効率が高くなります。
• 可用性および耐障害性の向上:Exalogicシステムを使用することで、Coherenceクラスタに対して容量の
追加または削除を行ったときの可用性が高まるExabus最適化が行われるため、Coherenceクラスタのリバ
ランシングは16倍速くなります。
• スケーラビリティおよび操作の簡素化:Exalogic上のCoherenceによって、ネットワークの再構成が不要
になり、新しいサーバーおよびストレージ・デバイスをプロビジョニングする必要もなくなるため、ビジ
ネス・アプリケーションの拡張が容易になります。事前構成され、完全に最適化されたネットワークおよ
びコンピュート・ノードを含むエンジニアド・システムを使用することで、デプロイメントが簡素化され、
予測可能なパフォーマンスおよび柔軟なスケーラビリティも得られます。
代表例:大手のケーブル・プロバイダ
以下のようなユーザー・データにすばやくアクセスできるように、業務を拡張する必要があるケーブル・プ
ロバイダについて考えてみましょう。
• 新しいサービスの認証および認可
• アカウントおよび残高情報
• 的確なオファーをし、パーソナライズされたコンテンツを顧客に提供するための履歴データ
このケーブル・プロバイダにはいくつかの要件があります。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
適応性:システムは最初に1TBのデータをサポートする必要がありますが、新しいサービスの追加、新しい
顧客サブスクリプションの推進、このシステムへの買収の組込みに応じて拡大できる必要があります。
リアルタイムの応答:新しいサービスおよびコンテンツの推奨事項は、新しい収益獲得のため、できるだけ
早く提供できるようにする必要があります。Webサイトのパフォーマンスに不具合や遅延があると、顧客の
フラストレーションが増大します。
可用性:上記の要件の当然の結果として、容量の追加時、またはシステムのいずれかのコンポーネントで計
画済みの停止または計画外の停止が発生しても、データを常に利用できる必要があります。
トランザクション・レート:新しいサービスが追加されると、システムを使用する顧客が増えることが予想
されます。したがって、システムには顧客ごとの収益増加に対応する(つまり、顧客ごとのトランザクショ
ンが増える)ための余裕が必要です。
このケーブル・プロバイダは2つのデプロイメント・プラットフォームを検討しています。Exalogicと、標準
の10Gbイーサネット・ネットワークで接続する汎用ハードウェアです。Exalogicのコンピュート・ノードと
汎用サーバーは256GB RAMで同じように構成されています。Exalogicのコンピュート・ノードはSSDを使用
して構成されています。汎用サーバーにはSSDを追加するオプションがあります。それぞれのデプロイメン
トのオプションについてメリットとデメリットを見てみましょう。
オプションA:汎用ハードウェア
こ の デ ー タ ・ グ リ ッ ド に は 合 計 3TB が 必 要 で す 。 プ ラ イ マ リ ・ デ ー タ に 1TB 、 バ ッ ク ア ッ プ に 1TB
(Coherenceノードまたは物理サーバーの障害時に高い可用性を提供するため)、そして過剰なガベージ・コ
レクションによるサービスの可用性の中断を回避するために、JVMの作業領域に1TBが必要です。サーバー
ごとに256GBということは、少なくとも12台のサーバーがあることになります。
12台のサーバーで上記の要件を満たすことはできるでしょうか。
適応性:このシステムは柔軟かもしれませんが、継続的な管理が必要になります。容量を追加するには、新し
いシステムおよびスイッチをプロビジョニングする必要があり、場合によっては配線のやり直しも必要です。
リアルタイムの応答:このケーブル・プロバイダは10Gbのネットワークで顧客の要件を満たすことを期待
していますが、ネットワークの混雑によって夕方の応答時間が影響を受ける場合があります。このケーブ
ル・プロバイダはピーク負荷に対応するため、サーバーの追加が必要となる場合があります。
可用性:各システムの256GBがすべて使用されると、システムをすべて使用できなくなるか、システムを追
加しなければならなくなるため、データが使用されたその数分間のSLAが低下します。深刻な影響はありま
せんが、サービスが低下した期間は会社の業績に反映されます。
トランザクション・レート:このシステムでは顧客のトランザクション・レートが増加しても、拡張する余
地がありません。トランザクションの増加に対応するには追加のサーバーが必要ですが、先に述べたとおり、
すべてのプロビジョニングと配線のやり直しによるコストが発生します。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
これらの要素を考慮し、ケーブル会社はピーク時のトランザクション量に対応するため、12台ではなく16台
のサーバーをデプロイすることを決定しました。これにより拡張の余地が生まれ、サーバー停止による影響
を抑えることができます。
オプションB:Oracle Exalogic
Oracle Exalogicのデプロイメントは、想定される同じ基本セットで開始します。ケーブル・プロバイダはこ
のデプロイメントに12のコンピュート・ノードが必要と判断し、要件の基本セットを検討します。
適応性:コンピュート・ノードのRAMがすべて使用されている状態でこのシステムに容量を追加しても、単
にコンピュート・ノードが追加されるのみです。Exalogicのネットワーク・ファブリックには拡張の余地が
十分にあり、配線のやり直しも再構成も必要ありません。
リアルタイムの応答:InfiniBandの容量は10Gbイーサネットの容量の数倍あるため、ピーク時のトランザク
ション・レートに対応する十分な余裕があります。Exabusの最適化のおかげで、応答時間は汎用ハードウェ
アの6倍速くなります。InfiniBandによって帯域幅が増加し、Elastic Dataがよリ多くの顧客データをローカル
のSSDに移すようになるため、密度が高くなります。プロバイダは各コンピュート・ノードのSSDに格納す
るためのデータを64GBずつ、コンピュート・ノードごとに合計320GB追加することを検討しました。
可用性:Exalogic上のCoherenceはサーバーごとに320GBを管理しますが、このシステムでは汎用のデプロ
イメントよりも高い可用性を提供しています。クラスタに対してノードの追加または削除が行われると、
CoherenceがクラスタのリバランシングをInfiniBandファブリック全体ですばやく行うことができます。リバ
ランシングが迅速になると、現在コンピュート・ノードごとに管理されているデータにも対応できるように
なります。
トランザクション・レート:Exalogic上ではCoherence操作の待機時間が短く、帯域幅も増えるため、
Coherenceの各ノードはトランザクション・レートの増加に対応しながらも汎用の代替製品よりも優れた応
答時間を実現できます。
Oracle Exalogicに搭載されているこれらの機能により、コンピュート・ノードごとに320GBの3TBのデプロイ
メントでも、少なくとも16台のサーバーを必要とする汎用ソリューションより10台少ないサーバーで対応で
きます。管理が必要なCoherenceサーバーの数が少ないと、障害が起きて可用性のクレームの原因となるコ
ンポーネントも少なくなるため、運用が容易になります。
Exalogic上のCoherence:パフォーマンスの向上、コストの
削減
Oracle CoherenceをOracle Exalogic上で実行すると、アプリケーションがExabusの最適化を活用できるため、
スループットは増加し、応答時間は短縮されます。Elastic DataとExalogicの豊富なメモリ容量を組み合わせ
ることで、ビジネス・アプリケーションは厳しい品質保証契約を守りながら、汎用システムよりも少ない
ハードウェアでより多くのデータを管理できます。
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Oracle Coherence + Oracle Exalogic
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2013年9月
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著者:Craig Blitz
とを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商品性もしくは適合性についての黙示
共著者:David Baum、Jens Eckels
的な保証を含み、いかなる他の保証や条件も提供するものではありません。オラクル社は本文書に関するいかなる法的責任も明確に否認し、本文
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