Comments
Description
Transcript
SGK001003
国際金融取引と相殺 一世界各国の相殺一 徳野側(yu uy a@ h o ' 凶 a i l . ∞m) 天理大学人間学部総合教育研究センター(非常勤) 要旨相殺の歴史は古くローマ法まで遡る。しかし、その態様は各国によって異な 相殺理論の大きな謎J ということばが示すように、注釈判似 る。普通法学者の f 来、近代にいたるまで厳しい論争の対象をなしてきたものである。見解の対立の根 法律上当然の相殺J ( i p s oj u r ec o m p e n s a t i o )の 拠には、ユスチニアヌス帝法の f 枇念の解釈問題が横たわっている九 それが、普通法以後の誤解の結果として相殺適状の成立によって自動的に債権を 消滅させるものと取り扱われることになったo プロイセンの一般法、オーストリア 1 2 9 0条)がそれである。ドイツ現行法は猷盈法の下に発達し 民法、フランス民法 ( た新しい慣習の影響として日本民法と同様に、債務者の一方的な相殺の意思表示を 必要とするものとして、相殺は原則として裁判外になされる債務者の意思表示の効 力として債権消滅を惹起するものとみている九 キーワード相殺の概念世界の相殺異総量貨聞の相殺違法域間の相殺 序雷 相殺は、二人の当事者が互いに同種の目的を持つ債権を有している場合に、一方的意思表示 によって双方の債権を対等額だけ消滅させる制度である。もしも、両債権を別々に行使すれば 取引が煩雑となって不便である。相殺は、その成立、効果等の点に関して、世界における具体 的な態様は必ずしも一様ではな"¥ S e t-o f f ) は、委任者の委任事務の終了時の清算、組合の解散時の清算など 英米法の相殺 ( の場合には、例外的に裁判外でもなされるのであるが、一般には、裁判上の攻撃防御方法とし て主張されるのが原則である。したがって、英米法では、相殺は訴訟上の制度として構成され る九これに対して、ドイツ、フランス等のように相殺を実体法上の制度としているものもあ る 。 相殺は一国だけのものではなく、ニ園、多国間でも行うことができる。これが、国際取引と 相殺の問題となる。 関係二国は相殺可能な相反する債権・債務関係、にあることとなって、さらに各国通餅目互の c o v e r t i b i l i t yi nt e r m so fe a c ho t h e rc u r r e n c y ) が一般化すすほ、一固と諸外国全 交換性 ( 体との聞にこのような相反する債務支払いの方向が成立することになる(国際収支枇念の成 -51ー 立)。このように、本来連鎖関係をもたない国際的債権・債務をこのように国民的な規摸で集中 して相殺することになる。 b i l a t e r a la g r e e m e n t ) 各国通餅目互の交換性がなかった戦後では、関係二国間で双務協定 ( が結ぼれたが、相殺の拡大のため多角的相殺 ( m u l t i l a t e r a lc o m p e n s a t i o n ) が工夫されたへ I 世界の相殺 [比較法的考察] 1.ローマ古法の相殺 (1)総説相殺は古典期でもまた十分な制度は形成していなかったo 東ローマの理論とユスチ ニアヌス帝法が漸く統一化に成功した。純粋に訴訟上のものとして把握されている。誠意訴訟 では、同ーの原因から生じた対抗債権を審判人は相殺をすることが可能であるーこの相殺は自 由裁量の範囲内である。鮒T 業者(町g e n t a r i u s )は、得意先の反対債権を控除することはでき るが、多額の請求は過多請求となる。破産財団の買主 ( b o n o r u me m p t o r ) が財団に含まれる債 権を取立てるときは、控除が行なわれる。この外、古典期においては、無方式の免除方式を用 い、合意によって相殺する場合と、厳正訴訟において反対債権を有する被告に最悪の抗弁を認 めたマールクス・アウレーリウスの指令によるぱあいがある。後者は以前よりの事実抗弁に代 った。ユスチニアヌス帝法は相殺を拡大し、判決の終了前ならいつでも対抗できうるとした。 また、過多請求のおそれはなくなったへ ( 2 )意議及び方法相殺とは、債務者が債権者に対し、自らまた債権を有する場合に、その債 権と債務とを対等額で消滅させようとする意思表示である。ニ個の免除知句でも行われたが、 法源上問題となっているのは訴訟上の問題に止まる。 相殺とは、債務者カ瀬権者に対し、自らまた債権を有する場合に、その債権と債務とを対等額 で消滅させようとする意思表示である。二個の免除契約でも行われたが、法源上問題となって いるのは訴訟上の問題に止まる。 ( 3 )相殺の歴史 (イ)蜘r c u sA u r eI i u s以前誠前予為では、審判人はその原告の請求中からその発生原因の e xe a d e mC8'凶a ) 生じた被告の原告に対する債権ーたとえ 基礎である行為と同一の行為から ( ば代金債務と売買の目的物の保管の不注意によって生じた損害賠償債務ーを控除した残額を判 -52ー 決する権原を有した。この相殺は審判人の自由裁量に属し、被告は確立した相殺権を有するも のではない6)。 厳正行為では、街予業者 ( a r g e n t a r i u s )は、同種の(したがって通常は同様に金銭に向けら れた)反対債権を掴除した後に、彼等に帰属する残余についてだけ、その顧客を訴えることが できる。ここでは、反対債権が牽連的 ( k o n n e x )ある必要はない。また、破産財団の買主 ( b o n o r u m e m p t o r ) は、その財産に属する債権を、控除をともなって訴えることによってだけ主張するこ とが許される。すなわち、彼は、破産債務者を相手方として被告に帰属している反対債権を控 除しなければならないのである。そして、この時代には、最悪の抗弁による相殺も承認された九 ( ロ) M a r c u sA u r e l i u s以後既に以前より厳正行為では、法務官(praetor) は、場合に よって適当と認めたときは、反対債権を有する被告に事実抗弁を認めたが、Mar c u sA u r e l i u s は、一般的に厳正行為で、反対債権を有する被告に悪意の抗弁を許したへその趣旨は当然に 誠新鴻にも考慮された。審判人の手続きで被告の反対債権が請求されるときは、原告は過多 の請求により敗訴して全部を失うおそれがあるから、確定訴権では、勢い原告は控除した額の 方式書の付与を伴う必要がある。 (ハ)ピザンチン期すでに後古典期において方式訴訟手続は特別訴訟手続に取って代わったo 方式書および抗弁はその意義を失う。 この新たな訴訟手続を基礎として、ユスチニアヌス帝は相殺を一般的に認めた。その際『法律 上当然に相殺される ( i p s oi u r ec o m p e n s a t i o ) という原則を唱えたが9)、これは判決の終了前 ならば何時でも対抗ができる意味であって、両債権の対立の事実だけで当然になされる法掛目 殺を認めたものではない。 ユスチニアヌスの相殺の要件 ( a )当事者の同→生、もっとも、保証人は主たる債務者の有 する債権を、連帯債務者は他の連帯債務者の有する債権を対抗することができる。 ( b )被告の相 殺を対抗させる自働債権の弁済期到来、抗弁権の不存在、即時相殺に適すること。ここで、訴 え得べきことは要件ではない。 ( c )受働債権に対して相殺の禁止がないこと。 (d)両債権が同種 の代替物の給付を内容とすること等である。 相殺の効果として、債権が対等額で消滅する。その消滅には遡及効がある。 後世への影響前述のように、ローマ法に於いては幾多の困難を経て、漸くユ帝法で一種の 形を備えたが10)、ドイツ固有法でも相殺は殆ど認められず、したがって、中世以後、不完全な がらローマ法の規定を出発点として次第に相殺の理論が発達した11)。 Ed qd . ドイツ法 2 )概説 1 ( 6 9 7条ないし第 3 8 0ヵ条あって(第 3 )規定は、 1 g n u n h c e r f u ドイツ民法の相殺(A 条)、第 2編、債務関係、第 3章、債務関係、の消滅の第 3節となっている。ドイツ民法上の相殺 の効果は、法律上当然には生ずるものではなく、当事者の意思表示によって生ずるものとされ n e r e d n ma e rd e b nO e g e gg n u r a l k r hE c r u td g l o f r ge n u n h c e r f u eA i 8条)12)0 D 8 、 3 7条 8 る(第 3 によって双方の債権は . 2人が互いに同種の給付を目的とする債権を有するときは、相殺 il e T 9街、そして、故意の不法行為の 8 対当額で、相殺に適したときにさかのぼって消滅する(第 3 3条)。相殺をなしうるには 2人の債権が互いに対立 9 場合に対して、相殺を禁止している(第 3 することは必要であるが、学説は、例外として弁済権のある第三者の相殺を認めている。たと えば、抵当権の目的である土地の所有者 Cとは、抵当債権者 Aが債務者 Bに対して有する抵当 h s 債権を、 Cの Aに対して有する債権をもって相殺ができる l )相殺の意義と性質相殺とは、相対立する 2個の債権を差し引きによって相互に償却する 2 ( ことをいう。その性質について弁済の簡易化という機能をもっと考えることもできるが、相殺 ) g n u l o I I rE e td a g o r r u S は自己の債務の弁済でも、相手方の債務の免除でもなく、履行の代用 ( したことにはならない である。それは、債権者がそれによって目的物を受領しないので、尉T が、その直接の効果として債権者にその債務を免れさせ、尉予によるのと同じ経済的効果をも たらすことになり債権者の債権を消滅させるからであるロすなわち、相殺の可能性は、債権者 ) し、自ら満足を得 n o i t k n u f s g n u g i と債務者間に彼等自身の義務の償却を容易に(償却機能 T ることができる(事前機脚。また、債権者が自己の債権の新?を一定の障害(相手方の無資力、 消滅時効の授用、債権譲渡、差押え等)により妨げられる場合にも、相殺によって満足を得られ るので、相殺は債権の期予を保全する(保全機能)14)0 )相殺契約契約自由の原則にしたがって各当事者がその相殺に供する債権につき処分権 3 ( を有することや債権が相互に消滅すべき旨の双方的合致あること以外の要件は必要ではない。 つまり、この場合には、債権が弁済期に達する必要がないのみならず、その対立する必要もな い。予めなす相殺契約もまた可能であり、当事者が一定の将来の債権が相互に発生するとすぐ 相互に消滅する旨を合意する場合である。自然債務も契約によって相殺することができる。相 互償却に関する合意は 2個の独立した免除知りを包含するものではなく、当事者の意思による ときは、債務は相互に消滅、つまりー債務の消滅が他の債務の消滅に依存するのである。した がって、相殺契約は双方的免除契約である。相殺契約の効果は、当事者の意思によって定まるo しかし、疑わしいときは、単独の相殺をなし得る者は契約によってその法律的地位を害する意 思はないものと解すべきである 15)。 相殺予約 将来の債権についての相殺契約(相殺予約)をすることも可能である。これは、当 -54- 事者間で将来確実に発生する債権を、予め締結した契約に基づいて(後に更に相殺の意思表示 は必要ではない)互いに相殺することを内容とする契約である。これには、手形交換 )、コンツェルン決済約款、交互計算取引などがある。 n o i t a r t n o k S ( )外国通貨との相殺外国の通貨で支払う債権に対して、債務者が外国為替債権 4 ( )もドイツの通貨で支払う権原をもっている場合、ドイツの通貨と相殺がで g n u r e d r o f a t u l a V ( きる。これとは逆に、ドイツの通貨の債務者は外国の通貨での債権をもって相殺はできない。 その理由は、彼は外国為替債権の債権者として、外国の為樹目場に対する請求権しか持たない からである。 . フランス法 3 (1)意義および概念相殺とは、債務者が債権者に対して自己の債務と同種の債権を有する場 合に、二個の弁済を省略する目的をもって双方の債務を対等額で消滅させることをいう。 フランス法における相殺には、制定法上のものの他に判例上認められている裁判上の相殺 ) から生 e l l e n o i t n e v n o c e er d n a m e d ) がある。これは、反訴請求 ( e r i a i c i d u nj o i t a s n e p m o c ( じたものであって、法律上の相殺の要件、特に確定性の要件と請求可能性の要件が欠けるため 法律上の相殺が生じないような場合、自働債権につき訴えを提起し、少なくとも受働債権と同 時に判決を得ることによって欠けている要件を満たして相殺を実行することである。その実質 的な理由は、額が確定していない自働債権を有する被告の相殺の抗弁を認めずに支払いを命じ れば、あとで自分の債権の支払いが受けれるかどうか分からないまま支払いを義務づけられる のが酷になるようである ω。 )要件相殺の要件については、フランスの相殺制度とわが国の相殺制度のと関には類似性 2 ( が見られる。フランス民法では、相殺の成立には、(イ)債務の相互性(債務の対立性) (ロ)債 i u q li ) (ハ)数額の確定性(金銭鞘面可能性) ( e it l i b i g n o f 務の目的の代替可制空 ( ) の 4つの要件が要求されている。我 e it l i b i g i x e ) (ニ)請求可能性(弁済期の到来) ( e t di 国の相殺制度では、債務の相互性(債務の対立性)、債務の目的の代替可能性(同種の目的を有す ること)、請求可能性(弁済期の到来)の 3つが必要とされるが、相殺の効果は「対当額Jにおい て生じることより、要件としては明示されていないが、数額の額定性(金銭評価可能性)が実 1 9 2 1 際には必要とされている 17)。そして、更に、両債が確定していることが定められている ( 条 1項)。すなわち、両債権の存在が明白でありその額が確定していることが必要である。この 確定性の要件は、フランス民法が相殺を簡易化された二重弁済としてだけ捉えているものと解 される。すなわち、弁済の簡易化という観点から相殺の要件を考えれば債権の額が確定してい ることが不可欠となるが、弁済の担保という観点から考えてみると債権者はその債権の額が確 定する以前より保護されるべきであって、確定性の要件を排除すべきであると解される 18)。 -55- 尚、相殺は一方または他方の債務の原因がなんであっても行なえるとし、そのうえで、次の場 合を除いて、例外的に相殺できない場合を一括的に挙げている。 1.所有者が不正に侵害された物の回復を請求するについてとする。すなわち、物の不正侵 奪の場合の原状回復請求について、相殺を禁止している。 2 .寄託および使用貸借の回復請求権について。 3 .差押禁止を宣言された扶養料(たとえば、年金など)を原因とする債務 ( 1 2 9 3条参照)。 。)効果相殺は当時者間の関係、を簡易に決済する作用がある外、当事者聞に公平を保つ作用 を持つ。なぜなら、相殺は、弁済受領者が自ら弁済をせずに受領したものを徒費することを防 止するからである。したがって、この点に於いて相殺は担保の役割をも果している。つまり、 債権者であり債務者である各当事者は自己の債務者の自己に対する債権上に糊リの担保を有す るのと同じ結果を来すからである(相殺の担保的機飴ぺ そこで、学説は、相殺について簡易の弁済という機能以外に担保的機能を重視する傾向にあ る。フランス民法の解説として、相殺が当事者にとって『担保J ( g a r a n t i e )を構成する旨を強 調しながら、両債権が牽連関係にある場合には一方が未確定でもよいとみなす判例がある制。 さらに、それを超えて、裁判所は、被告が牽連関係、にない未確定の反対債権を反訴によって主 張した場合は、その反対債権の額を確定することによって相殺を可能ならしめるに至っている o 4. 英 米 法 (1)英米法に於ける相殺アメリカ法の一般的な説明によれば、相殺とは、被告の原告に対 する反対債権で独立した請求原因から生じ、原告の潜剖句な救務権を消滅させるものというこ とである。反対債権は、原則として、数額の確定した金銭債権であって、原告側の訴訟原因と は別に独立した原因に基づく債権であることが必要である。この点に於いて、原告の請求と同 一の法樹鵡または事実に由来した数額未確定の減額請求である控除 ( r e c o u p m e n t )(たとえば、 契約違反で訴求された被告が原告側にも違反があるとして損害賠償を請求するようなもの)で はな川相殺は被告のための制度であるので強制されることはなく、被告は反対債権を別訴と して主張することができる Z1)0 1 7 2 8年の制定法によって相殺は認められた。 原則として相殺は訴訟手続きの中でしか行使することができず、当事者の一方から裁判外で 他方当事者に対して通知をすれば相殺できるというものではない。この点は大陸法とは異なる。 ( 2 )裁 判 外 の 意 思 表 示 に よ る 相 殺 相 殺 ( s e t -o f f )は、裁判手続き内で抗弁または反対請求 として行われなくてはならない。しかし、英米法の下でも例外的に裁判外で意思表示によって 相殺ができる場合がある。一つには、餅予による場合であり、他の一つは破産の場合である。 餅予は担保権の一種として、債務者の自行預金を受働債権として相殺することができる。これ をb a n k e r ' so fs e t o f fという。また、例えばニューヨーク州の債務者・債権者法 ( D e b t o ra n d -56- )に於いては、債権者に破産の申立てが行われた場合に、債務者に自己の債務と当 w a rL o it d e Cr 該債権者に対して宥する債権で相殺を認める 22)。さらに、英米法上の相殺は、委任者の委任事 務の終了時の清算、組合の解散時の清算などの場合には、例外的に裁判外でもなされるが、一 般的には、裁判上の攻撃防禦方法として主張されるのが原則である 23)。 m)とは、被告が原告に対立して定立する請求であって、プ i a l c r e t n u o c )相 殺 と 反 毎 反 訴 ( 3 ( リーティングの一部として主張されるものである。アメリカ法における反訴は、本来、相殺か ら発展してきたものである。反訴が採用されるまで、被告の原告に対する請求を同ーの訴訟に おいて行使するためには、相殺以外による方法はなく、原告に対して積極的な救済を請求する ことができる反訴を提起することは認められなかった。ところが、相殺だけによる方法に限れ ば、被告側に不利な点と、紛争の一回的解決という訴訟経済から考えて、防禦的な方法にすぎ ない相殺より一歩前進した反訴が認められるようになったω。現代的な反訴は、相殺と控除 )というこつのコモン・ローから由来する。 t n e m p u o c e r ( 相殺は、原告の請求と同一の取引から生じたか否かにかかわらず、原告に対して被告がもっ 9世紀における相殺と控除に代わるものであった。 ている清算額の請求である。反訴は、 1 X礼 3は次の如くである却。「訴 I rX e d 5Or 7 8 t1 c eA r u t a c i d u fJ to r u eCo m e r p u イギリス、 S 訟において被告は、いかなる権利であれ、相殺ができる。また、原告の請求に対する反対請求 の方法によって主張することができ、その際、このような相殺または反対請求が損害賠償を請 求するかどうかは閑わない。そして、相殺または反対請求は、反訴における請求と同一の効力 を有しているので、裁判所は、当初および反訴の請求について同一の訴訟において一つの終局 判決を言い渡すことができる。しかし、裁判所または裁判官は、原告の申立てに基づいて、相 殺または反対請求を当該係属中の訴訟において処理するのが便宜ではない、あるいは許さない と判断するときは、被告がこのような事由を用いることの許可を拒絶することができるん )相殺の手続相殺には、担保的機能があり、また自力救済の機能もあるので、その行使の 4 ( 手続に於いても、一考を要する。ニューヨーク州判例法による裁判外の相殺については、内部 で相殺の意思決定がなされた事実の保存、帳簿への記入、相殺の意思表示の通知が必要である。 また、エューヨーク州樹子法は、遅くても相殺実行日にその通知を発することが要求される(ニ ューヨーク州銀行法9G条)。これら手続上の要件は、いずれもこれを守ることに問題はなし判。 . 中国法 5 )序説 中国の民法では、日本国民法の債権債務関係に相当する関係を『債J と呼んでおり 1 ( この分野について論ずるときには、「債j というタイトルをつけている。 債J とは、特例の当事者(債権人・債務人)聞に権利義務を生じさせる民事法律関係の一種 『 4条)、主体・内容・客体の三つの要素からなっている。そして、債権関係発 I8 であり(民法通良J -57- 生後に生じた一定の法律事実によって債権関係は即時に消滅する。中国民法では、債の消滅原 因の一つに相殺(抵鎖)なるものを認めているZ九 )相 殺 の 概 念 2 ( 国民経済の均衡のとれた計画的発展を遂行する社会主義佐会において、債権 関係がもっ意義はきわめて重要でありユニークである。社会主義企業は、経済採算制を新予す る経済単位として、業務上それぞれ独立性があり、自己の経済活動については自らその損益を 計算する則。同権でかつ尉予期が到来したこもしくは二以上の債は、相殺により互いに消按す る。これは、一般には公民間の債権関係、について適用され、国営企業・事業、社会主義組織聞 の債務は銀行で清算され、当事者間で直接の相殺はできないものとされている。 、供託、免除、混同、更改によっ 。)債権回収の機能としての相殺債権は、弁済、「相殺J て消滅するほか、計画あるいは法律の規定により消滅することがある。 従来の中国法に於いては、相殺は、破産法(試行)に規定があるのみであった。契約法は相殺 、 99街。要件として、相互に期限が到来し 1条 による債務の消滅を明確化した縫済契約法 9 た債務があること、債務の目的物の種類、品質が同一であることである。 要件の 1に関して、自己の債務侵働債櫛は期限の利益を放棄できるが、自己の債権侵働債 権)で相手方の期限を到来させるために、期限の利益喪失事由を契約で規定しておくことが実務 上重要である。 要件の 2に関して、金銭債務(例えば、ローン債権と預金債格訪であれば同一の種類を目的と するので相殺は可能であると解釈されるが、狭く考えられる立場もあり得るようで、実務上の 運用が注目されている紛。 E 国際金融取引における相殺 1.序説 国際取引に関連しても、債務者がその債務と債権者に対して有する他の債権者との相殺を主張 することがある。ところが、基本的に国境を越えた取引たる国際金融取引に於いては、たとえ ば、いわゆる相殺の担保的機能などによる我国の国内法上認められている手厚い保護が、果た して、どの程度まで認められるかが問題となる。国ごとに法律が異なり、もとより相殺の制度 に対する見方が異なり得ること、つまり、この場面でも各国法の抵触の存在とその解決のため の国家聞の相殺の機能を抜きにして安易に圏内法(民商法)的感覚にもたれかかるのは、危険 なことになる則。 -58- . インパクトローン債権による相殺 2 (1)インパクトローン債権の意義居住者(外国為替およて紗ト国貿易管理法(外為法) 6条 に定義)による外国為替公認銀行(銀行)からの外貨の借入で、使途制限のないものが通常イ ンパクト・ローン)と呼ばれる。 インパクト・ローンは、現在、企業の多様な資金調達手段のーっとして、活発に利用されて いる。貸手の餅予にとっても、かつてのようなユニークな手法はなくなり、円貨貸出しと同じ 基準で論じられるようになった。他方、相殺は銀行にとって最も有効な債権保全手段のーっと 考えられるが、インパクト・ローンと相殺の関係について、異総量貨問相殺や異法域間相殺の 問題を論じていく 31)。 7条に定める金銭消費貸借であって、円による貸 8 インパクト・ローンの法的性質は、民法 5 付と同じであり、貸付の形態は手形貸付または証書貸付である。 )インパクト・ローン債権と円預金との相殺に於ける相殺要件の充足インパクト・ 2 ( ローンは銀行の貸出先に対する外貨建与信であって、外貨建金銭債権であるが、街子は、この インパクト・ローン債権を自働債権として貸出先の円預金を受働債権として相殺をしなければ 5条で規定する相殺要 0 ならない場合がある。このような外貨付金と円預金との相殺は、民法 5 件を充すものかどうか検討されなければならない。 (イ)外貨貸付金と円預金とは、『同種の目的』を有する債務といえるだろうか。 インパクト・ローン債権は外貨表示債権であるというのが定説になっている。そこで、最三 2頁)によれば、『外国の通貨をもって債権額が指定された金銭 5号 3 6 5 (全法 7 .1 .7 0 小判昭 5 債権は、いわゆる任意債権であり、債権者は、債務者に対し、外国の通貨文は日本の通貨のい ずれによって請求することもできるのであり、民法 403条は、債権者が外国の通貨で請求した 場合に債務者が日本の通貨によって弁済することができることを定めるにすぎないJと判示し、 債権者に弁済通貨の選択権を認めているので、鮒予は貸出先に対してインパクト・ローン債権 を外貨あるいは同価値の円貨のいずれででも弁済請求ができる。 (ロ)自働債権と受働債権の通貨が異なる場合の相殺実行時の為替相場 民法 403条は、外貨を「履行地に於ける為樹目場に依り J円貨に換算すると規定し、そして 5は、『外国の通貨をもって、債権額が指定された金銭債権を日本の通貨に 1 . .7 0 前記最三小昭 5 -59- よって弁済するにあたっては、現実に弁済する時の外国為樹目場によってその換算をすべきで ある Jと判示する。 よって、鎖市、相殺実行時の外国為樹目場で円換算し、『円健債権j として請求し相殺する ことになる。 (ハ)インパクト・ローン債権で相殺する注意点 ) インパクト・ローン債権は外貨表示債権とされ、円預金との相殺は出来る。しかし、相対立 a する債権、債務の通貨が異なり為樹目場の変動はこれを無視出来ず、相殺は、為掛目場の動向 等に基づき的確な判断力をもって期予すべきである。 ) 外貨債権を自働債権とする相殺すべてに関する共通の注意点は、相殺通知書に相殺期予時の b 換算レートを明示する必要がある紛。 . 異種通貨問相殺 3 (1)序説 外貨債権における回収上の諸問題の中で実務に於いて重要な課題だと考えられる異総盈 間相殺について述べる。 この問題は、異種通貨問で相殺が認められるかどうかに関しては、制定法も判例も正面から 採り上げたものはなく、議論としては容認するものと否定するものとの両方があり得るという ことになる。異種直貨聞の相殺を認めない考えによれば、円とドルはその通貨としての個性に 着目すれば明らかに違うもので、よって両者間の相殺は認められないと説く。これに対し、異 総通貨聞の相殺を認める考えは、外国為替市場で交換が自由に行なわれている通貨について、 両者は異なるものだというのはあまりにも実態を無視した考えであると反論している。 尚、この異種通貨聞の可否の問題は、前述インパクト・ローンの外貨性とは次元が異なる 問題である 33)。 )目的物の同種性 2 ( it e n e g o m o h 5条 1項の基礎になる対立債権の同種性ないし同種目的性 ( 0 これは、我民法 5 )の問題である。たとえば、ドイツに於いては、異種通貨による支払のなされるべき対立債権 y 債務に関しては、原則として債権の同種性がないものとされ、ただ、たとえばアメリカドノレ建 債権とドイツマルク(鵬建で支払うこと(いわゆる代用給用給付金の問題である。我民法 403 条との関係を含めてその問題を扱う)ができる場合だけ、双方共に捌建となるため相殺ができ るとされる34)。 -60- 『同種の目的Jを有するものではないことを理由として相殺を否定した判例を次に挙げてお く390 (イ) 消費貸借を成立させるべき債務と金銭その他の代替物給付債影6)。 (ロ) 保証金返還請求権の譲渡をなすべき債務と損害賠償債務3九 (ハ) 他人に支払うよう委託を受けた全員と自己がその他人に対して有する債権則。 (ニ) 受任者の代弁済請求権と委任者が受任者に対して有する債権3 9 h (ホ) 修理代金債権と仮処分目的物の換価金引渡請求権40)。 (へ) 金銭債務と第三者に金銭給付をなすべき債務f1)。 ここで注意すべきは、(ホ)の例で、受任者が委任事務処理のため必要な債務を負担したとき にその弁済を委任者にさせる権利(代弁済請求権・民法 650条 2項)と委任者が受任者に対し て有する債権の相殺が問題となったものである。これは目的の同種性という問題点であるが、 実際問題になるのは受任者と委任者の聞における事務処理費用負担のありかたであって、ここ でいう問題とは若干異なる。 ( 3 )相殺の可能性 『小麦の給付請求権と米の給付請求権とがともに穀物の給付請求権があるからといって債権の 同種性があるものとみることはできないのと同様j に、異艦盈貨建ての対立債権の聞には債権 の同種性はなげ2 )、とする見解もある。しかし、『いかなる貨幣でも、貨幣は貨幣である J( M o n e y i sm o n e y ,whateverthecurrency)ので、異種盈貨建てであるために相殺を認めないのは妥当 ではないという見解ωなどから推論して、結論としては異種通貨聞の相殺を肯定すべきであろ フ 。 学説は、実務家の見解が大半ではあるが、民法 4 0 3条を劇トとして異総量貨問相殺を認めて いる。すなわち、民法 403条の準用説を支持しているといえる。そして、最高裁昭和 50年判決 で、債務者だけではなく債権者にも相殺権を有することになる。したがって、外貨債権が受働 債権の場合だけでなく自働債権の場合でも相殺が認められてよい。この点、ドイツ民法郎8244 条準用説より相殺の範囲が広く認められているω。 相殺を単なる履行代用制度と捉えるのではなく、担保的機能があり一種の自力救済制度と考 えるならば、相殺制度を公的新瑚度とパラレルに理解する方向に行き、その結果として両債. 権の給付内容をある程度抽象的に捉えることができょう。我国では、議論はあまりされていな いものの、異厳重貨問相殺の問題を解決するには、相殺の本質まで遡及して考察しなければな らない。 4. 異法域聞の相殺 我民法は、防予地の異なる債務の相殺を認めている。すなわち、『相殺は双方の債務の履行地 が異なるときと錐も之を為すことを得。但相殺を為す当事者は相手方に対し之に因りて生じた る損害を賠償することを要すJ ( 5 0 7条)と規定する。これは、自働債権と受働債権の履行地が -61- 同一であることは相殺の要件ではないことを明らかにしている。債務の尉予地が異なるときは、 厳密にいえば同種の目的を有するものとは言い難いが、相殺の機会を拡大するためにこれを認 地が異なるために当事者の利益を害す めたものである。その利益が特に強い。ただ、その尉T ることとなる場合もある。それで、相殺を対抗する当事者は相手方に対して、その損害を賠償 すべきものとしている制。 ここで、香港での融資とニューヨーク州の預金とを相殺してよいかという事例には、日本の相 殺のもとでは比較的問題はなさそうであるが、アメリカに於いては疑問が提示されたことがあ る。異地聞の相殺の問題を含んだ異なる法域での弁済(すなわち、マエラ支庖に預け入れた預金 をニューヨーク州の本唐へ請求することが認められるのか)の問題について、本支庖別人格の法 ythωη が唱えられ、それに依拠した判例もかつては隆盛であ it t n ee t a r a p e 理ともいうべき s .)も、その補強 4 0 6 .S .C .S U 2 1 って、また、連邦銀行法の海外支庖勘定の独立性を認める規定 ( 理由として採用されることもあった。しかし、この法理は、現在では裁明朗が採用する限りで はない46)。 異法域間相殺を考える場合重点な点は、当該相殺の可否などの法律に基づいて判断されるべき かということである。この点、日本法は、自働債権・受働債権のそれぞれを重畳的に適用し、 その重なり合う範囲内でだけ相殺を認める説と、受働債権の方だけで判断する説が対立してい るが、この件を正面から取り上げた判例は存在せず、明確な結論もない。 いす苛Llこしても、預金の相殺については当該預金が所在する地の法律が適用される可能性が 高くなる制。 tofState 尚、異法域間相殺否定論の根拠として外国為替管理などのような国家行為理論仏c }を挙げるのは妥当ではないと考える。 e n i r t c o D E 結語 相殺の比較的考察を述べたが、相殺は各国によってそれぞれ異なる。そして相殺には大きな 謎が存する。 ドイツ民法、フランス民法、日本民法では、相殺には担保的機能があり、英米法 の相殺は、当初担保的機能ということはあまり言われていなかったo この点、我園、ドイツ、 fと f -o t e フランスでは、相殺を実体法上の制度と捉えているが、英米においては、相殺は、 s いわれ、訴訟上の制度であるとしている倒。しかし、今日では、大陸法上の相殺と英米流のよ うなコモン・ロー上の相殺は法的構成においては対立するが実体において担保的機能という点 では異ならなげ9)。 つぎに、国際金融取引における相殺を論じており、これには、インパクト・ローン債権による 債権と異権通貨聞の相殺そして異法域間の相殺等がある。相殺は確かに履行代用制度であると いう面は否定はできないが、自力救済の機能が近時重要になってきている。また、貨幣は国が 7条参照)などから推測し、相殺 0 違っても貨幣であり、尉予地の異なる債務の相殺(日本民法 5 べきである。 法の解釈としては、これらの場合の相殺の可能性を広く認める -62- 註 1 ) 2 ) 3 ) 4 ) 5 ) 6 ) 7 ) 8頁 有 斐 閣 1 9 7 1年 田島順『債権制 2 9 6頁 弘 文 堂 書 房 1 9 4 2年 山 田 鎌 一 早 田 芳 郎 編 演 習 『 国 際A 削新版 1 6 4頁 有 斐 閣 1 鈎2 年 杉野孝編改訂『国際金融輪講義~ 2 0頁背林書院新社 1 9 7 8年 柴田光蔵『ローマ法観測 2 8 9頁 玄 文 社 1 9 9 0年 原田慶吉『ローマ法~ 2 4 7頁 有 斐 閣 1 9 8 9年 マックス・カーザー箸柴田光蔵訳『ロ}マ私法概制 4 2 1頁 創 文 社 1 9 7 9年 磯村哲編集『注解民法 (12)~ 8 ) 原田前掲註 6)248頁 9 ) ゲオルク・クリンゲンベルク著瀧沢栄治訳 G e o r gK l i n g e n b e r gR o m i s c h e sO b l i g a t i o n e n r e c h tI r ロ ∞ ーマ債権法講義n1 1 6頁大学教育出版 2 1年 1 0 ) 原田前掲註 6 ) 2 5 1頁 11) 船田享二『ローマ法入門~ 1 邸頁有斐閣 1 9 6 7年 1 2 ) 柳海秀吉『債務不府予における相殺の禁止n .242頁名城大学創立四十周年記念論文集法学鏑法律 文化社 1 9 9 0年 1 3 ) 山田晶『ドイツ法概捻n272頁 有 斐 閣 1 9 5 6年 14) 椿寿夫右近健男編『ドイツ債権法総論.~ 3 1 5頁 日本評論社 1 9 飽年 15) 柚木馨陥逸民法 (II) 債務法.~ 2 6 1頁 有 斐 閣 1 9 4 0年 1 6 ) 元永和彦『法学教会雑制第 1 1 3巻 第 5号 1 1 3頁東京大学法学部法律協会 1 9 鉛年 1 7 ) 深川裕佳『フランスにおける相殺について』ー先取特権の観点から見た相殺の担保台機官ト3頁 来 川民事法研究会 2 0 0 7年 1 8 ) 多喜寛『国際私法の基材句課題』日本比較法研究叢書(錦)242頁 中央大学出版部 1 9 9 9年 19) 田中周友川上太郎小野木常谷口知平木村健助『悌蘭西民法~ ( m)財産取得法 ( 2 ) お 0頁 有 斐閣 1 9 弱年 2 0 )1 9 6 7年 1月 1 8日破劉蕗判。.C .P .1 9 6 7 .I I .1 5 0 0 5 ) 多喜前掲註 8) 2 7 2頁 21) 鴻常夫北沢正哲編修険米商事法辞典.~ Anglo-American 白血~ercial L a wD i c t i o n a r y7 1 8頁 商 事法務研究会 1 9 8 6年 22) 長谷川俊明『ビジネス法律英語入門~ 1 0 6頁 日本経済新聞社 1 9 9 4年 23) 山田鎌一早田芳郎編『演習国際私法新版~ 1 6 4頁 有 斐 閣 1 9 9 2年 2 4 ) 金祥株『日米比較・民事訴訟法』ー当事者行為輸をめぐって一1 5 5頁 商事法務研究会 1 9 9 0年 2 5 ) 金山直樹『民商法雑制 9 8巻 4号 5 2 3頁 有 斐 閣 1 9 飽年 羽田La wR e p o r t s .V o l .X .P .7 9 5 岡松参太郎『民法理由下巻~ 3 2 1頁 信 山 出 版 社 1 9 9 1年 2 6 ) 園生一彦『国際金融法務競柑 I n t e r n a t i o n a lF i n a n c eL a w1 2 8頁 東 京 布 井 出 版 1 鈎2 年 27) 野村好弘浅野直人編著『中国民法の研究~ 1 2 2 、1 3 2頁 学 陽 書 房 1 9 8 7年 28) 浅井教問代中国法の理論.~ 1 5 7頁東京大学出版会 1 9 7 3年 29) 射手矢好雄石本茂彦編著『中国ビジネス~携.~ 2 0 0 5 / 2 0 0 61 3 2頁 ジェトロ(日本貿易撮興機 -63- 5年 0 0 2 構) 6年 8 9 1頁 有 斐 閣 1 ) 揮木敏郎石黒一憲三井銀行脚ト管理部『国際金融取引2.n法務編 7 0 3 鈎 3年 2号 邸 頁 金 融 財 攻 事 情 研 究 会 1 4 3 31)菅原雅晴『金融法務事情:~ 1 鈎 2年 2頁金融財攻事情研究会 1 9 ) 永井紀昭石井虞司林部寛編『回収J]1 2 3 6頁 ) 菅原前掲註 31) 8 3 3 )漂木石黒三井餅予前掲註湖 4 3 6年 9 9 6頁 有 斐 閣 1 7 1 3号第 8号 1 1 お)元永和彦『法学協会雑制第 1 36) 大判明治 45 年 3 月 16 自民録 18 輯 2田頁大判昭和 5 年 5 月 24 日裁判伊~4 巻民 50 頁 8頁 5号 1 4 4 ) 大判昭和 7年 6月 1日新聞 3 7 3 6頁 2号 2 2 7 4日新聞 4 6年 7月 1 ) 大判昭和 1 8 3 0 6巻 1 2日民集 2 2月 2 7年 1 説婦践的 栽判昭和 4 0号 必8頁 仮 対i 4年 9月 8日民集 4巻 1 ) 大判大正 1 9 3 1頁 9 9 号1 1頁 7号 4 0 7日判例時報 5 2年 6月 2 ) 大阪高判昭和 4 0 4 6頁 5 9日判例タイムズお3号 1 1月 2 3年 1 ) 東京高判昭和 4 1 4 1年 8 9 4頁 1 0号 1 2 ) 飯田泰弘『手形研究J]3 2 4 ) 0 8 9 1 ( 4 7 e1 c n a n i lF a n o i t a n r e t n fI eo c i t c a r dP n wa a L , d o o W . )P 3 4 4条は次のように規定する。 4 2 B G ) ドイツ民法 B 4 4 ① 外国の通貨をもって表示した債務を圏内において支払うべきときは、内国の通貨をもって支払 いをすることができる。但し、外国の通貨をもって支払うべきときは、内国の通貨をもって支 払いをすることができる。但し、外国の通貨をもって支払うべきことを明示したときは、この 限りではない。 ② 換算は、支払地における支払い時の為替相場によって行う。 椿 右 近 前 掲 註 ω 3 9頁 0頁 三 省 堂 4 45) 篠塚昭次前回遠明編『新判例コンメンタール民法~債権総則(2)鰍包(1) 1 年 8頁 2 ) 園生前掲註紛 1 6 4 6頁 ) 菅原前掲註 31) 8 7 4 ω頁 有 斐 閣 48) 溜池良夫『国際私法講義~ 3 3年 9 9 1 ) 4 5 5頁注 ( 7 ) 多喜前掲註路) 2 9 4 -64- 2 9 9 1