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講演資料① - 東京都環境局

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講演資料① - 東京都環境局
改正労働安全衛生法の動向と化学物質管理
東京労働局労働基準部健康課
第12次労働災害防止計画
(平成25年から平成29年までに、国が取り組む中長期的な計画)
重点ごとの具体的な取組
化学物質による健康障害防止対策
【目標】
GHS分類において危険有害性を有するすべての化学物質について、危険有害性の表示と安
全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質製造者の割合を80%以上とする。
 発がん性に着目した化学物質規制の加速
• 発がん性試験等の有害性評価とリスク評価の加速
 リスクアセスメントの促進と危険有害性情報の適切な伝達・提供
• 化学物質に関するリスクアセスメントの促進
• 危険有害性の表示と安全データシート(SDS)の交付促進
• 省庁横断的な取り組みによる合理的な化学物質管理体制の構築
 作業環境管理の徹底と改善
• 化学物質の性状や取扱量等の情報から、測定を行わずに作業環境中の濃度が
推定できる手法の活用による健康障害防止措置の普及
• 発散抑制措置の性能要件化の普及
• 個人サンプラーによる濃度測定の導入検討
2
労働安全衛生法の改正(平成26年6月25日公布)
化学物質による健康被害が問題となった胆管がん事案の発生や、精神障害を原因とする労災認定件数の増加など、最
近の社会情勢の変化や労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康の確保対策を一層充実するための改正
1.化学物質のリスクアセスメントの実施
○ 一定の危険性・有害性が確認されている化学物質による危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)の実施を事業者の義務とする。
2.ストレスチェック及び面接指導の実施
○ 常時使用する労働者に対して、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付け
(労働者50人未満の事業場については当分の間努力義務)
○ 検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することを事業者の義務とする。
3.受動喫煙防止措置の努力義務
○ 受動喫煙防止のため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講じることを事業者の努力義務とする。
4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応
○ 重大な労働災害を繰り返す企業に対して、厚生労働大臣が「特別安全衛生改善計画」の作成を指示することができるとする。
(計画作成指示に従わない場合、計画を守っていない場合などに、大臣が勧告し、勧告に従わない場合はその旨を公表することができる。)
5.第88条第1項に基づく届出の廃止
○ 規模の大きい工場等で建設物、機械等の設置、移転等を行う場合の事前届出(法第88条第1項)を廃止。
6.電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定
○ 特に粉じん濃度が高くなる作業に従事する際に使用が義務付けられている電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定・譲渡制限の対象に追加。
7.外国に立地する検査機関の登録
○ 国際的な動向を踏まえ、ボイラーなど、特に危険な機械等の検査・検定を行う機関について、日本国内に事務所のない機関も登録できるとする。
3
施行期日:5・6は平成26年12月1日、3・4・7は平成27年6月1日、2は平成27年12月1日、1は平成28年6月1日
化学物質(危険物、有害物等)に起因する
労働災害(休業4日以上)
699
653
653
640
639
平成23年
483
474
平成25年
515
平成24年
500
平成22年
563
480
平成26年
平成21年
平成20年
平成19年
平成18年
平成17年
平成16年
419
平成15年
労
働
災
害
発
生
件
数
〔
件
〕
〔年〕
4
資料出所:労働者死傷病報告
災害事例
・有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則の対象物質による災害、一酸化炭
素中毒による災害(厨房、コンクリート養生など)が引き続き発生
・以下は、特別則(有機則、特化則等)の対象となっていない物質や作業に伴う災害の
事例
業種
中
毒
・
薬
傷
爆
発
・
火
災
原因物質
発生状況
化学製品製造工場において、被災者ら4名は、貯蔵物を排出し、苛性水により中和処理後
ジメチルチオホス
化学工業
送風機で5日間乾燥させた貯槽内で、引き渡し前点検および残留物(水垢)の除去作業を
ホリルクロライド
行った。その後、眼に充血、痛み等を自覚し、両目角膜びらん、両目角膜炎と診断された。
ジシクロヘキシル 医薬中間体の製造工程において、反応促進のために使用するジシクロヘキシルカルボジイ
化学工業 カルボジイミド
ミド(DCC)の入ったポリタンクが横転して漏えいし、揮発した際に被災者の目に入り、角膜損
(DCC)
傷となった。
1,1,1,4,4,5,5-ヘプ 工場の洗浄室内の洗浄機から洗浄液が漏洩していたことに気付いた被災者が、洗浄室内で
電気機械器
タフルオロ-3-オキ 換気等の対処を行っていたところ、気分が悪くなり、意識を失った。救急搬送され、ハイドロフ
具製造業
サペンタン
ルオロエーテル中毒と診断された。
被災者は、粉砕機を使用して結晶状のパラクロロアニリンを粉砕する作業を行っていた。作
パラ-クロロアニ
化学工業
業終了後、控室にて休憩を取っていたが、その後、気分が悪くなり倒れた。アニリン中毒と診
リン
断された。
被災者4名が地下貯水槽の解体工事において、貯水槽内で水に浮いた吹き付け材の回収
建設業
アルカリ性の水 作業を行っていたが、ゴム長靴内に浸水し、足に炎症を起こした。貯水槽の天井をはつる際
に生じた細かなコンクリートがらが、貯水槽内に落下し、水がアルカリ性になっていた。
水冷熱交換機内部の残渣物(クロロシランポリマー等)を水洗浄するため、熱交換器のカ
クロロシランポリ
バーを取り外す作業を行っていたところ、数秒後に熱交換器内で爆発が発生し、当該カバー
化学工業
マー等
(300kg)が吹き飛び、衝撃で周辺で作業中の労働者が被災した。
製造所内のアクリル酸を製造するプラントの不純物を含む濃縮アクリル酸を一時的に貯蔵す
るタンクで、重合反応が起こり内圧が上がって爆発し、それにより飛散した高温のアクリル酸
化学工業 アクリル酸
(重合物を含む)を浴び多くの労働者が被災した。
5
労働者の健康障害予防のために
化学物質の危険性・有害性の評価の適切な実施
評価に基づいた情報の事業者への伝達(SDS)
事業者によるリスクアセスメントの実施
結果を踏まえたリスク低減措置の実施
(使用中止・代替化、局所排気装置等の設置、保護具の使用等)
6
化学物質管理のあり方の見直し(安衛法改正)
○ 一定の危険性・有害性が確認されている化学物質(安全データシート(SDS)の交付が
義務づけられている640物質)について、リスクアセスメント(RA)の実施を義務付け等
【改正後】
【改正前】
製造
禁止
8物質
石綿等
製造
許可
特別規則
一
般
的
健
康
障
害
防
止
措
置
R
A
努
力
義
務
表
示
義
務
表
示
努
力
義
務
(安
S全
Dデ
Sー
)タ
交シ
付ー
義ト
務
116
物質
640
物質
PCB等
7物質
約6万
物質
製造
許可
特にリスクの
高い業務あり
胆管がん
発生
使用量・使用方法
によりリスクあり
S
D
S
交
付
努
力
義
務
製造
禁止
重度の健康障害あり
十分な防止対策なし
強
化
部
分
(
S安
D全
Sデ
)ー
交タ
付シ
義ー
務ト
S
D
S
交
付
努
力
義
務
表
示
義
務
特別規則
R
A
義
務
表
示
努
力
義
務
R
A
努
力
義
務
一
般
的
健
康
障
害
防
止
措
置
リスクアセスメントの義務化
8
化学物質のリスクアセスメントの改正条文(その1)
第57条の3
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定め
る物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。
実施すべき事業者 対象の化学物質を製造し、又は取り扱う全ての事業者(業
種、規模を問わない)が行わなければならない。
対象物質
実施時期
1.
2.
3.
安全データシート(SDS)の交付義務の対象である640物
質。
【安衛則第34条の2の7第1項】
調査対象物を原材料等として新規に採用し、又は変更するとき。
調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に係る作業の方法又は手順を新規に
採用し、又は変更するとき。
前二号に掲げるもののほか、調査対象物による危険性又は有害性等について
変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
【以下は指針において、努力規定とする(予定)】
1.
2.
3.
労働災害発生時(過去のRAに問題があるとき)
過去のRA実施以降、設備劣化、労働者の知識、リスクの状況等に変化
過去にRAを未実施(対象物質を改正法の施行前から使用している場合)
9
化学物質のリスクアセスメントの改正条文(その1)
実施方法
【安衛則第34条の2の7第2項】
調査は、調査対象物を製造し、又は取り扱う業務ごとに、以下のい
ずれかの方法又はこれらの方法の併用により行う。
1. 調査対象物が労働者に危険を及ぼし、又は健康障害を生ずるお
それの程度(発生可能性)及び当該危険又は健康障害の程度
(重篤度)を考慮する方法
2. 労働者が調査対象物にさらされる程度(ばく露濃度等)及び当
該調査対象物の有害性の程度(許容濃度等)を考慮する方法
3. その他、イ又はロに準じる方法
10
化学物質のリスクアセスメントの改正条文(その2)
第57条の3
2 事業者は、前項の調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の
規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要
な措置を講ずるように努めなければならない。
リスクアセスメント結果に基づく措置
 労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則や特定化学物質
障害予防規則等の特別規則に規定がある場合は、当該規定
に基づく措置を講じることが必要。
 法令に規定がない場合は、結果を踏まえた事業者の判断に
より、必要な措置を講じることが努力義務。
11
化学物質のリスクアセスメントの改正条文(その2)
リスクアセスメント結果の労働者への周知
【安衛則第34条の2の8】
1.関係労働者(派遣を含む)に下記事項を周知
一 当該調査対象物の名称
二 当該業務の内容
三 リスクアセスメントの結果
四 リスクアセスメントの結果に基づく必要な措置の内容
2.周知の方法は以下による
一 作業場に常時掲示、又は備え付け
二 書面を労働者に交付
三 電子媒体で記録し、作業場に常時確認可能な機器を設置
12
リスクアセスメント指針の概要
○ リスクアセスメントとは、化学物質等による危険性又は有害性によるリスクを見積もるもの。
○ リスクアセスメント指針には、リスクアセスメントの具体的手順等を規定している。
実施時期
化学物質を新規に採用するとき、
作業方法又は作業手順を新規に採用・変更するとき等
(※)リスクとは・・・
特定された危険性又は有害性によって生ずるおそ
れのある労働者の危険又は健康障害の発生する可
能性の度合とその重篤度を組み合わせたもの
リスクアセスメントの流れ
以下の情報を入手し、危険性又は有害性を特定する。
化学物質等による危険性又は有害性の特定
特定された危険性又は有害性による
リスクの見積り
リスクを低減するための優先度の設定
リスクを低減するための措置内容の検討
優先度に対応したリスク低減措置の実施
・安全データシート(SDS)、仕様書、機械・設
備の情報
・作業標準書、作業手順書
・作業環境測定結果
・災害事例、災害統計
等
・発生するおそれのある危険又は健康障害の発生の度
合いと重篤度から見積る。
・化学物質等による疾病では、有害性の程度とばく露
の程度を用いる。
リスク低減措置の優先順位
①危険有害性の高い化学物質等の代替や化学反
応プロセス等の運転条件の変更等
②工学的対策(局所排気装置の設置等)
③管理対策(マニュアル整備等)
④個人用保護具の使用
13
化学物質のリスクアセスメント指針(概要)
ステップ1 危険性又は有害性の特定
事業者は、化学物質等について、リスクアセスメント等の対象となる業務を洗
い出した上で、原則としてア及びイに即して危険性又は有害性を特定するこ
と。また、必要に応じ、ウに掲げるものについても特定することが望ましいこ
と。
ア 国際連合から勧告として公表された「化学品の分類及び表示に関する世界
調和システム(GHS)」(以下「GHS」という。)又は日本工業規格Z7252に
基づき分類された化学物質等の危険性又は有害性(SDSを入手した場合に
は、当該SDSに記載されているGHS分類結果)
イ 日本産業衛生学会の許容濃度又は米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の
TLV-TWA等の化学物質等のばく露限界(以下「ばく露限界」という。)
(SDSを入手した場合には、当該SDSに記載されているばく露限界)
ウ ア又はイによって特定される危険性又は有害性以外の、負傷又は疾病の原
因となるおそれのある化学物質等の危険性又は有害性
14
化学物質のリスクアセスメント指針(概要)
ステップ2(ア) リスクの見積り
次のア~ウのいずれかの方法(危険性についてはア又はウに限る。)又は併用により化
学物質等によるリスクを見積もるものとする。
ア 化学物質等が労働者に危険又は健康障害を生ずるおそれの程度(可能性の度合)及
び当該危険又は健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法。具体的には、以下があ
る。
(ア) 可能性の度合及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と
マトリクス法
横軸とし、あらかじめ可能性の度合及び重篤度に応じてリスクが
割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法
数値化法
(イ) 可能性の度合及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、
それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法
枝分かれ図を
(ウ) 可能性の度合及び重篤度を段階的に分岐していくことによりリス
用いた方法
クを見積もる方法
(エ) ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)等
を用いてリスクを見積もる方法
コントロール・
バンディング
(オ) 化学プラント等の化学反応のプロセス等による災害のシナリオを
仮定して、その事象の可能性の度合いと重篤度を考慮する方法
プロセス災害を
見積もる方法 15
化学物質のリスクアセスメント指針(概要)
ステップ2(イ) リスクの見積り
イ
労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該化学物質等の有
害性の程度を考慮する方法。具体的には、以下がある。(ア)の方法を採ることが望ま
しい。
(ア) 対象の業務について作業環境測定等により測定した対象の
実測値による方法
作業場所における気中濃度等を、当該化学物質等のばく露
限界と比較する方法
(イ) 数理モデルを用いて対象の業務に係る作業を行う労働者の
使用量などから推
周辺の化学物質等の気中濃度を推定し、当該化学物質の
定する方法
ばく露限界と比較する方法
ECETOC-TRAなど
(ウ) 対象の化学物質等による有害性及び当該化学物質等への
あらかじめ尺度
労働者のばく露の程度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と
化した表を使用
横軸とし、あらかじめ有害性の程度及びばく露の程度に応じて
する方法
リスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法
ウ
上記の方法に準ずる方法。具体的には、リスクアセスメントの対象の化学物質等
に係る危険又は健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関係法令
の各条項に規定されている場合に、当該規定を確認する方法等があること。
16
化学物質のリスクアセスメント指針(概要)
ステップ3 リスク低減措置の検討及び実施
ア
事業者は、
①法令に定められた措置がある場合はそれを必ず実施する
②次に掲げる優先順位でリスク低減措置内容を検討の上、実施するよう努める。
(ア) 危険性又は有害性のより低い物質への代替、化学反応のプロセス等の運転条件の変
更、取り扱う化学物質等の形状の変更等又はこれらの併用によるリスクの低減
※物質の代替は必ずしも安全ではないことに留意すること
(イ)化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等の工学的対策又は
化学物質等に係る機械設備等の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策
(ウ) 作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策
(エ) 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
イ
死亡、後遺障害又は重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクに対して、適切な
リスク低減措置の実施に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに講ずるものと
する。
ウ リスク低減措置を講じた場合には、当該措置を実施した後に見込まれるリスクを
見積もることが望ましいこと。
17
化学物質のリスクアセスメント指針(概要)
ステップ5 リスクアセスメント結果等の労働者への周知等
ア
事業者は、以下の事項を労働者に周知する。
①調査対象物の名称、②業務の内容、③リスクアセスメントの結果、
④リスクアセスメントの結果に基づき必要な措置の内容
イ アの周知は、安衛則第34条の同条第2項に定める方法によること。
ウ 法第59条第1項に基づく雇入れ時教育及び同条第2項に基づく作業変更時教育にお
いては、安衛則第35条第1項第1号、第2号及び第5号に掲げる事項として、アに掲
げる事項を含めること。
エ リスクアセスメントの対象の業務が継続しアの労働者への周知等を行っている間
は、アに掲げる事項を記録し、保存しておくことが望ましい。
その他
法第57条の3の対象とならない化学物質等であっても、化学物質、化学物質を含有す
る製剤その他の物で労働者に危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものについては、
法第28条の2に基づき、この指針に準じて取り組むよう努めること。
18
リスクアセスメント実施に対する相談窓口、専門家による支援
譲渡提供者
(製造者・輸入者等)
SDS・ラベル
を作成
譲渡提供先
(使用者等)
リスクアセスメント
を実施
SDS
1. 相談窓口(コールセンター)を設置し、電話やメール等で相談を受付
SDSやラベルの作成、リスクアセスメント(「化学物質リスク簡易評価法」の使い方等)について
※「化学物質リスク簡易評価法」の支援サービス
入力を支援
センターが入力を支援し、評価結果をメール等で通知
使用物質、作業内容等
事業者
評価結果を通知
(メール、FAX)
コールセンター
2. 専門家によるリスクアセスメントの訪問支援
相談窓口における相談の結果、事業場の要望に応じて専門家を派遣、
リスクアセスメントの実施を支援
3. 好事例集の作成・公表
訪問指導を通じて改善された事案を好事例としてとりまとめて、事業者が
リスクアセスメントを実施するための参考資料として公表
19
容器包装への表示(ラベル)
20
化学物質の表示(ラベル)の改正条文
法第57条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ず
るおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者
に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を
容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定め
るところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、
又は提供するときにあっては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければ
ならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用
に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 成分 ⇒ 法改正により削除
ハ 人体に及ぼす作用
ニ 貯蔵又は取扱い上の注意
ホ イからニまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定
めるもの
21
化学物質の表示(ラベル)の改正条文
法第57条に基づき表示対象物を定める政令
法第57条第1項の政令で定める物は、次のとおり
1 別表第9に掲げる物が対象
純
物
質
混
合
物
・イットリウム、インジウム、カドミウム、銀、クロム、コバルト、すず、タリウ
ム、タングステン、タンタル、銅、鉛、ニッケル、白金、ハフニウム、フェロバ
ナジウム、マンガン、モリブデン又はロジウムについては粉状の場合に限り対象
2 別表第9に掲げる物を含有する製剤その他の物で省令で定めるもの
3 別表第3第1号1~7に掲げる物(製造許可物質)を含有する製剤その他の物
で省令で定めるもの
令第18条第2号の厚生労働省令で定める物は、別表第2の上欄に掲げる物を含有する製
剤その他の物(同欄に掲げる物の含有量が同表の中欄に定める値である物(中略)を除
く。)とする。
安衛則別表2の中欄で裾切り値を規定
ただし、運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物
(次の各号のいずれかに該当するものを除く。)を除く。 固形物の適用除外(次頁)
22
化学物質の表示(ラベル)の改正条文
固形物の適用除外
運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物につい
ては適用除外
適用除外とならない危険物又は皮膚腐食性のある物
ただし、以下のものは適用除外とならない。
1 危険物(令別表第一に掲げるもの)
2 危険物以外の可燃性の物等爆発又は火災の原因となるおそれのある物
3 酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等を含有する製剤その他の物であって皮膚に
対して腐食の危険を生ずるもの
令第18条第3号の省令で定める物は、次に掲げる物とする。(製造許可物質の裾切り値)
・ジクロルベンジジン及びその塩を含有する製剤その他の物で、ジクロルベンジジン及び
その塩の含有量が重量の〇・一パーセント以上一パーセント以下であるものあるもの
・他も同様
固形物の適用除外と適用除外にならない物について上記に同じ
23
表示(ラベル)対象物質の拡大と適用除外(概念図)
【SDS(安全データシート)交付】 640物質
【ラベル表示】 104物質
対象物質の拡大
【固形物以外の物】
【固形物】
譲渡・提供時の形状が固体であって、粉状にならない物
・金属、合金等
(例)鋼材(マンガンやニッケル含有)
【固形物でも危険等のおそれのある物】
・令別表第1の「危険物」
・GHS分類で危険性又は皮膚腐食性あり
は新たに適用除外される範囲
注1) 一般消費者向け製品は対象外
注2) 裾切り値は、SDSとラベル表示に相違あり
注
固形物については、ラベルのみ適用除外と
なります。SDSはこれまでどおり必要です。
24
国によるリスク評価
25
ナフタレンのリスク評価及び措置検討結果
○ 発がん性等の有害性を有するナフタレンを含む製剤等の製造・取り扱い業務については、労働者の健
康障害のリスクは高いとの評価。
⇒ ばく露リスク低減のための健康障害防止措置が必要。
対象物質の性質等
事業場数、作業数*1
物質名
ナフタレン
152事業場
505作業
用途の例
染料中間物、合成樹脂、爆薬、防虫剤、有
機顔料、テトラリン、デカリン、ナフチルアミン、
無水フタル酸、滅菌剤等、燃料、色素(塗料・
顔料)
性状と有害性
・ 特徴的な臭気のある白色固体
・ 融点 80 ℃、蒸気圧 :11 Pa (20℃)
・ IARC*2による発がん性分類
2B(ヒトに対する発がんの可能性がある)
リスク評価結果
評価値*3を10 ppm(52 mg/m3)に設定し、リスク評価を実施
⇒ 17.3 ppmと評価値を超えるばく露 (※ ばく露濃度測定の結果、ナフタレンを含有する製剤の包装・充填作業におい
て比較的高いばく露が確認された。原料投入、清掃等他の作業も含む全データにより得られた区間推定値*4を高いリスクと判定。)
※ 「化学物質のリスク評価検討会」
必要な措置の検討結果
ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他の物を製造し、又は取り扱う作業については、リスク評価の結果を踏まえ、健康障害を
防止するため、特定化学物質障害予防規則の特定第2類物質と同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必
要である。また、ヒトに対する発がんのおそれがあることから、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特別管理物質と同様の
措置を講じることが必要である。
*1 有害物ばく露作業報告のあった数(対象物質の取扱量が500kg以上)
※ 「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」
*2 IARC:国際がん研究機関の略称。2B以外の分類は、以下のとおり。
1(発がん性がある)、2A(恐らく発がん性がある)、 3(発がん性について分類できない)、4(恐らく発がん性はない)
*3 評価値:労働者が勤労生涯を通じて毎日、当該物質にばく露した場合にも、当該ばく露に起因して労働者が健康に悪影響を受けることはないであろうと
推測される濃度であり、日本産業衛生学会が勧告している許容濃度又は米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が勧告しているばく露限界値等から決定さ
れる。(ppm:微少濃度を表す単位で100万分の1)
*4 区間推定値: ばく露濃度実測値のばらつきを考慮して統計学的推計方法により算出した値で、信頼率90%の上側5%の値
リフラクトリーセラミックファイバーのリスク評価及び措置検討結果
○ 発がん性等の有害性を有するリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)を含む製剤等の製造・取り扱
い業務については、労働者の健康障害のリスクは高いとの評価。
⇒ ばく露リスク低減のための健康障害防止措置が必要。
対象物質の性質等
事業場数、作業数*1
物質名
リフラクトリーセラ
ミックファイバー
398事業場
850作業
用途の例
炉のライニング材、防火壁保護材、
高温用ガスケット・シール材、タービ
ン、絶縁保護材、炉の絶縁材、熱遮
蔽板、耐熱材 等
性状と有害性
・無臭の繊維状の固体 ・平均繊維径:2~4μm
・不燃性
・溶解性:水、有機溶剤に不溶
*2
・IARC による発がん性分類
2B(ヒトに対する発がんの可能性がある)
リスク評価結果
評価値*3を0.2 f/cm3に設定し、リスク評価を実施
⇒ 1.84 f/cm3と評価値を超えるばく露 (※ ばく露濃度測定の結果、ばく露作業報告のあった主な作業のほぼ全ての
作業において、高いばく露が確認された。)
※ 「化学物質のリスク評価検討会」
必要な措置の検討結果
RCF及びRCFを含む製剤その他の物を製造し、又は取り扱う作業については、リスク評価の結果を踏まえ、健康障害を防止するため、特定
化学物質障害予防規則の管理第2類物質と同様の措置を講じることが必要である。また、ヒトに対する発がんのおそれがあることから、作業の
記録の保存(30年間)等が必要となる特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。
さらに、RCFを断熱材等として用いた設備等の施工・補修・解体等の作業については、短期間の作業である場合が多い反面、作業の性質
上、発じんのおそれが高いため、発散抑制措置等による作業場の管理を基本としつつ、呼吸用保護具の着用を義務付けるなどのばく露防止
措置、また、湿潤化等による作業場外への飛散防止措置の規制化が必要である。
※ 「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」
*1 有害物ばく露作業報告のあった数(対象物質の取扱量が500kg以上)
*2 IARC:国際がん研究機関の略称。2B以外の分類は、以下のとおり。
1(発がん性がある)、2A(恐らく発がん性がある)、 3(発がん性について分類できない)、4(恐らく発がん性はない)
*3 評価値:労働者が勤労生涯を通じて毎日、当該物質にばく露した場合にも、当該ばく露に起因して労働者が健康に悪影響を受けることはないであろうと
推測される濃度であり、日本産業衛生学会が勧告している許容濃度又は米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が勧告しているばく露限界値等から決定さ
れる。(f/㎤:空気1㎤当たりの繊維数)
労働安全衛生法施行令及び特定化学物質障害予防規則等
の改正概要 ①
改正の趣旨
ナフタレンについて、国が行う「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価」を行ったところ、リスクが高く規
制が必要であるとの結論となったことから、必要な改正を行うもの。
改正の内容
次の物質を措置対象物質に追加。主要な措置は下記のとおり。
物質名
ナフタレン
政令
 特定化学物質(第2類物質)に追加
 ①作業主任者の選任、②作業環境測定の実施及び③特殊健康診断の実施の義務付け
 名称等を表示すべき有害物として追加
 配置転換後の特殊健康診断を行うべき有害な業務に追加
特化則
等
 物質の類型として、「特定化学物質(第2類物質)」のうち、「特定第2類物質」に追加
特化則の適用となる業務から、「①液体状のナフタレン等を製造し、又は取り扱う設備(密閉式の構造のものに限る。②に
おいて同じ。)から試料を採取する業務」、「②液体状のナフタレン等を製造し、又は取り扱う設備から液体状のナフタレン等を
タンク自動車等に注入する業務(直結できる構造のホースを用いて相互に接続する場合に限る。)」、「③ 液体状のナフタレ
ン等を常温で取り扱う業務(①及び②に掲げる業務を除く。)」を適用除外

局所排気装置の設置、容器の使用、作業・貯蔵場所への関係者以外の立ち入り禁止、漏洩の防止、
洗浄設備の設置、緊急時の医師による診察・処置、保護具の備付け等の義務付け
◆ 作業主任者は、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者から選任
◆ 特殊健康診断(配置転換後のものを含む。)の項目を設定
◆ 作業環境測定結果、健康診断結果、作業記録等の30年保存等の義務付け(=「特別管理物質」に追加)
施行期日等
・ 平成27年11月1日施行
※ ただし、一部の規定については必要な経過措置を定める。
等
労働安全衛生法施行令及び特定化学物質障害予防規則等
の改正の概要 ②
改正の趣旨
リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)について、国が行う「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価」
を行ったところ、リスクが高く規制が必要であるとの結論となったことから、必要な改正を行うもの。
改正の内容
次の物質を措置対象物質に追加。主要な措置は下記のとおり。
物質名
リフラクトリーセラミックファイバー
政令
 特定化学物質(第2類物質)に追加
 ①作業主任者の選任、②作業環境測定の実施及び③特殊健康診断の実施の義務付け
 名称等を表示すべき有害物として追加
 配置転換後の特殊健康診断を行うべき有害な業務に追加
等
特化則
 物質の類型として、「特定化学物質(第2類物質)」のうち、「管理第2類物質」に追加
特化則の適用となる業務から、「RCF等の粉じんの発散を防止する処理が講じられた物を取り扱う業務(当該物の切断、穿
孔、研磨等のRCF等の粉じんが発散するおそれのある業務を除く。)」を適用除外

局所排気装置の設置、容器の使用、作業・貯蔵場所への関係者以外の立ち入り禁止、洗浄設備の設置、緊急時の医
師による診察・処置、保護具の備付け等の義務付け
◆ 作業主任者は、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者から選任
◆ 特殊健康診断(配置転換後のものを含む。)の項目を設定
◆ 作業環境測定結果、健康診断結果、作業記録等の30年保存等の義務付け(=「特別管理物質」に追加)
◆ 特にRCF等を窯、炉等に張り付けること等の断熱又は耐火の措置を講ずる作業又はRCF等を用いて断熱又は耐火の措
置を講じた窯、炉等の補修、解体、破砕等の作業は発じんのおそれが高いため、有効な呼吸用保護具の使用、作業場所か
らの飛散防止等を義務付け 等
施行期日等
・ 平成27年11月1日施行
※ ただし、一部の規定については必要な経過措置を定める。
ご清聴有り難うございました。
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