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2016 年度経営学第 11 回「企業文化論から見える企業経営」

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2016 年度経営学第 11 回「企業文化論から見える企業経営」
7月1日
2016 年度経営学第 11 回「企業文化論から見える企業経営」
前回の復習
株主価値創造経営論
当座の株価という近視眼性,企業の独自性を意識させる個別性
生産システム論
付加価値を生み出す生産活動
トヨタ生産方式から伺われる同社に流れる独特のコンテクスト
→その企業の独自性を生み出させる企業文化の存在(テキスト 150 頁)
本日の目標
当該企業の経営行動に対して大きな影響を与えるという企業文化とはどのようなものか,企業経営と
企業文化はどのような関係にあるのか,を検討する。
本日の内容
1 著者の想いと今回のキーワード/2 企業文化論とは何か/3 企業文化をみる別の視点/4 連絡事項
1 著者の想いと今回のキーワード
著者の想い
企業文化論も,実は日本企業の経営のあり方に注目するなかで登場したもの。そして企業文化は,経
営諸要因に深く影響を与え,企業経営の基盤。日本企業の再生において経営諸理論を活用する際には,
日本企業の持つ企業文化に留意する必要があろう。
今回のキーワード
企業文化/企業 DNA/組織/企業倫理/適用と適応
2 企業文化論とは何か
なぜ,どこから,生まれたのか
(1)日本企業の躍進
当時の欧米企業の依拠した分析的アプローチに従うマネジメントへの懐疑
分析的アプローチ…プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
(資料 1)
定量化したデータに依拠し,新規事業に対する消極性…保守的
「負け犬」
,即刻撤退の事業の有する貴重な資源の喪失(テキスト 152 頁)
…人間味のない抽象論
資料 1
出所)齋藤(2012)
,132 頁。
躍進する日本企業,成功した米国企業の有する(2)「共有された価値観」≒企業文化の発見
「組織内の人びとを動機づけて,組織への貢献や成果に結びつける」際の重要な要素(テキスト
152 頁)
≒「背後に潜む基本的仮定」
(資料 2)
資料 2
出所)Schein (1999),邦訳 18 頁。
:(3)「内部統合」
,内向き
日本企業でみられた参加型企業文化(テキスト 159 頁,DVD)
→前回のトヨタ生産方式
(4)「強い文化」として認識
(テキスト 156 頁)
以下の本に共通する企業文化に関する主張…「強い企業文化」⇒好業績(資料 3)
ウイリアム・オオウチ(1981)
『セオリーZ-日本に学び,日本を超える』
トム・ピーターズ&ロバート・ウォータマン(1982)『エクセレント・カンパニー』
テレンス・ディール&アラン・ケネディ(1982)
『シンボリック・マネジャー』
資料 3
超優良企業は,同一の価値観や信念を共有した一枚岩的な組織,つまりある意味では,熱狂的な
信者を数多く擁する宗教集団にも似た組織として描かれます。そして,その強固な文化こそが,
それらの企業のすぐれた経営業績の原動力になっているのだとされます。この本の著者たちは,
アメリカの超優良企業の調査をおこなっていく中で,それらの企業が,日本企業が持っているも
のにも勝るとも劣らないほどの「強い文化」を持っているという事実を発見させられた,としま
す。また,著者たちは,その様な企業では,全従業員がその文化にすっかり同化するようにして
おり,同化できない者は退社してしまうのだとさえ主張しています。」
(佐藤&山田,2004,26-7
頁)
⇒企業文化論のイメージ…資料 4
資料 4
出所)佐藤・山田(2004)
,45 頁。
「強い文化」のデメリット
(5)逆機能
「強い文化」による成功→傲慢さ,官僚主義→硬直性→外部環境への適応力の低下(テキスト 163
頁)
内向き志向による不祥事等企業倫理の問題
日本的経営システムの機能する範囲:
「適用と適応」
日系企業の海外進出時における現地との関係→チーム作業,制服,体操
⇒(6)外部適応能力の整備の必要
テキストとしては,独自の創造的戦略の構築,そのための継続的な組織の革新の必要を主張(テ
キスト 165 頁)
(7)人間が文化に支配されるという人間観の無理(資料5,DVD)
資料 5
アメリカの文化社会学者アン・スウィドラーが 1986(昭和 61)年に「行為における文化―シ
ンボルと戦略」という題名の論文を提唱し,米国における文化研究の流れを変える重要なきっか
けの 1 つとなった「道具箱としての文化」という考え方は…それまで多くの社会学理論が前提に
していた,個人を文化のプログラムの指令に忠実にしたがう自動人形のようにとらえる見方に対
するアンチテーゼとして提出されました。それまでの社会学理論では,文化は,望ましい価値を
人々が追求すべき目標として設定することによって人間の行動に対して影響を与えるのだ,とす
るような考え方が主流でした。つまりその考え方では,個人は自分が属する社会に特徴的な文化
に「染まる」
(社会化される)ことによって,その社会で望ましいものと見なされている価値を内
面化し自分自身が追求すべき目標としてとらえるようになる,と仮定するのです。これまでこの
本で見てきたように,組織文化論,とくに初期の企業文化論は,まさにこのような形で企業の目
指す価値や目標と企業のメンバーである個人の価値観や目標とが一致していく「統一文化仮説」
的なプロセスに重点を置いていました。/このような見方に対して,スウィドラーは,分化が人間
の行為に対して与える影響について考える時には,文化の枠組みを,個人が追求すべき価値や行
為の目標を厳格に規定し,人間の行動を型にはめてしまう型枠のようなものとして考えるべきで
はない,と主張します。彼女によれば,文化には,むしろ。様々な生活習慣や生活上の技術とス
タイルが入っている一種の道具箱としての側面があるのだ,というのです。またスウィドラーは,
個人は,その時々の状況に応じて文化の道具箱から特定の道具を選んだり,複数の道具を組み合
わせて使ったりして生活上の必要に対処するのだとします。要するに,それまでの理論では,
「文
化中毒者」である人間の行動を文化が支配するというイメージが濃厚であり,まるで「文化が人
間を従順なロボットのようにして使っている」ようなとらえ方をしていたのに対して,スウィド
ラーは,むしろ人間の方が文化の中の特定要素を生活上の道具として能動的かつ主体的に選んで
「使う」こともあるのだ,と主張するのです。(佐藤・山田,2004,205-6 頁)
3
企業文化をみる別の視点
そもそも組織とは何か
(8)共通目標,貢献意欲,コミュニケーションが揃った協働体系(資料 6)
資料 6
個人のもつ能力の限界を超えるために,人は力を合わせることを考える(協働)
。たとえば,ひと
りでは持ち上がらない荷物も,3 人でなら動かすことができるであろう。荷物を運ぶためには,
まず,3 人のあいだで「この荷物をここから,あそこに運ぶ」という目標が共有されていなけれ
ばならない。さらに 3 人が,それぞれの力を精一杯発揮することが必要である。また,3 人がば
らばらに力を出してもうまくはいかない。だれがどの部分を,どのタイミングで持ち上げるのか
相談して,息を合わせる必要がある。/このように,共通目標,貢献意欲,コミュニケーション,
の 3 要素が揃ったとき,協働の体系としての組織は成立する。大昔から人は組織をつくり,活動
してきたにもかかわらず,このようなことが明らかに定義されたのは,わずか 70 年ほど前,近
代組織論の祖とよばれるバーナードによってである。(齋藤,2012,144 頁)
…個の集まりである組織
個々の社員への企業 DNA としての浸透
改めて企業文化,企業 DNA とは
その「企業らしさ」に関係
⇒(9)企業外部(顧客,取引先,地域社会等)への配慮あり
※老舗企業の長期継続の要因…取引先との関係(資料 7)
資料 7
出所)浅田(2013)
,33 頁。
まとめ
◎企業とその個性豊かな構成員との関係性
⇒企業誕生,途中の再興における「人間ドラマ」…ベンチャービジネス論
次回のキーワード
イノベーション/ベンチャービジネス/アントレプレナー・シップ/キャピタルゲイン/ベンチャー・キ
ャピタル/リスク
4 連絡事項

企画レポートは,7 月 11 日月曜日午後 4 時 30 分までに,サポートセンター商学部係の箱へ

本日は現時点での企画書を発表していただこうと思います。

来週は学外講師の方の講演会です。
企画書に関する注意事項

今回のテーマは,社会的に意義のある企画展の提案です。ここを外すと,企画書の内容がおもし
ろくても点数は高くありません。
昨年度の優秀プレゼンテーションをご覧ください。

コピーアンドペーストされたレポートは評価対象とはしません。
他人のレポート,他人の記事の丸写しはカンニングになります。
出典を明記しないレポートも同様です。
記入の方法は,毎回のレジュメやテキストを参考にしてください。

考える最初にウィキペディアを使うのはいいですが,誰が書いたかわかりませんので,出典先と
して使うのは認められません。
レポートについて
課題
授業内で,株式会社象印マホービンのまほうびん記念館元館長の粟津先生より提示された「社会的意
義のある企画展の提案」
分量
A4用紙 1 枚で,両面まで使用可能。それ以外に資料添付も可能(資料添付は必須ではありません)
(授業時にも配布したレポート様式,中瀬のホームページからもダウンロード可能,を使ってもいた
だいて構いません)
提出場所と期限
7 月 11 日月曜日 16 時 30 分まで,学生サポートセンター商学部_レポートボックス_
参考文献
Edgar H. Schein (1999) The Corporate Culture
文化
Survival Guide; Jassey-Bass Inc. (金井壽宏監訳『企業
生き残りの指針』白桃書房,2004 年)/佐藤郁哉・山田真茂留(2004)『制度と文化』日本経済新聞社/齋藤
穀憲(2012)『経営学を楽しく学ぶ
Ver.3』中央経済社/浅田厚志(2013)
『成功長寿企業への道』出版文化社
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