Comments
Description
Transcript
1 学生 高木里佳 6 学生 山崎莉歩 2 学生 奥村あかり 7
異文化研修(タイ)2016 実施報告 現代社会学部 教授 才田 春夫 実施期間 平成 28 年 8 月 27 日~9 月 17 日(22 日間) 参加者:10 名 1 学生 高木里佳 6 学生 山崎莉歩 2 学生 奥村あかり 7 学生 青山和憲 3 学生 大西愛理 8 教授 才田春夫 4 学生 荒木進吾 9 教授 川村聖一 5 学生 金井聡志 10 客員准教授 伊藤雄馬 スケジュール 日付 曜日 実施内容 宿泊先 27-Aug 土 富山→上海→バンコク 28-Aug 日 29-Aug 月 ナーン→ムラブリ 活動準備(打ち合わせ) ムラブリ 30-Aug 火 ムラブリ 環境整備 & 水質検査(微生物培養@RUTN) 〃 31-Aug 水 ムラブリ→ナーン 買い出し、山崎出迎え ナーン 1-Sep 木 ナーン→ムラブリ カバン編み練習(ダオ母指導) ムラブリ 2-Sep 金 キハダを使った染色準備&練習 〃 3-Sep 土 キハダを使った染色練習&子どもたちとの交流 〃 4-Sep 日 ムラブリ→ナーン 買い出し、ナイトバザー ナーン 5-Sep 月 ナーン→ムラブリ 食料買出し ムラブリ 6-Sep 火 水源調査 〃 7-Sep 水 森に入り紐材料、染色素材調査と調達 〃 8-Sep 木 バンコク→ナーン、Rajamagala University of Technology Lanna Nan 訪問(副学長&微生物研究室訪問打ち合わせ) Nan キハダを使ったTシャツ染色(子どもたちがTシャツにデザ イン) ナーン Rajamagala University of Technology Lanna Nan で才田講 9-Sep 金 義(古細菌の環境利用の現状と将来)、日本人学生7名と現 地大学微生物学受講者28名受講 〃 10-Sep 土 プーファーへ(観光地化されたムラブリ族の村調査) 〃 11-Sep 日 ナーン市内観光 〃 12-Sep 月 ナーン→バンコク バンコク 13-Sep 火 バンコク市内観光(お寺巡り) 〃 14-Sep 水 バンコク(水上マーケット+象) 〃 15-Sep 木 バンコク→上海 上海 16-Sep 金 上海市内観光 〃 17-Sep 土 上海→富山 ムラブリでの活動(8 月 28 日~9 月 8 日) ムラブリ族の村(Ban Huai Yuak)に 10 日間滞在し、編み物や布染色、子供たちとの遊 びなどを通してムラブリ文化と人を理解する活動を行った。編み物は、女性たちが作って いるショルダーバッグの編み方や素材づくり等を学生たちが現地女性から学びながら、新 商品につながるアイデアを考えることを主な活動とした。この編み物教室は、現地女性が 畑仕事から帰ってから行ったため、4 日間のほとんどが夕食後になった。編み方は日本の 漁網編みと同じで、難しくはないが、ほとんどの学生が初めての経験だったため、現地女 性に手取り足取り教えてもらうこととなった。 編み物に関しては教えてもら うことが多かったが、染色に関 しては学生たちが一歩先を行っ ていた。ムラブリの人々は、編 み物を独自の方法で染色を行っ ているが、これはバッグを編む 際に紐を一本いっぽん染める、 部分染めしか行っていなかっ た。この方法は、必要な個所を 的確に、しかも簡単に染めるこ とが出来。更に少量の染色材で染められ、大掛かりな道具も不要などのメリットがある。 しかし、服や布などを染めることが出来ないという欠点もある。そのため、染色を売りに した商品開発にはつながりにくい。この点を学生たちは改善すべく「布染め」の提案を行 った。村の子供たちに T シャツ 10 枚に思い思いのデザインを書いてもらい、それを現地 の染色素材であるキハダで染色するという企画を行った。子どもたちは、最初は遠慮がち に葉っぱ、家、などを書いていたが、一人が手形を押すと、こぞって手形をおしはじめ た。せっかくの絵が手形で上書きされるなど、デザイン性の無いものになってしまった が、この作業をすることで子どもたちとの距離がまた一歩近づいたように思える。染色し た T シャツは持ち帰り、大学祭のユニフォールにすることになった。 (1)村の環境整備ボランティア:水源整備、村の清掃活動、トイレ清掃などは恒例行 事となった。今年は雨が多く、これまで気づかなかった問題点が明らかになった。その一 つが危険な道路である。ほとんどの家は急斜面に建てられており、それぞれの家を結ぶ道 路(小道)は舗装されておらず、粘土質なためいつもぬかるんでおり良く滑る。子どもた ちは滑る道を楽しんでいるが、お年寄り、妊婦や子どもを背負った女性たちには非常に危 険である。私たちも水を汲みに行く際に何度も転んだ。幸いに怪我はしなかったが、せっ かく組んだ水が無駄になるということがあった。こ のような危険な道を整備しようと村の人たちと話し 合ったが、今回は資材調達が間に合わず、実施は次 回への持ち越しとなった。もう一つの問題点は村民 共有のトラック故障である。トラックは数年前にあ る研究者が提供したもので、農作業や村民の足とし て使われている。しかし、そのトラックが故障して いまい、作業に支障をきたしたため、学生たちが夢 かけ資金を使って至急修理することを提案。近くの 村から修理工を呼び、無事農作業を継続することが 出来た。秋の収穫時期にしかし現金収入が限られる ため、学生たちの存在が大きくものを言った。 (2)子どもたちとの交流:土日は特に、子ども たちと一緒に過ごす時間があり、日本から持参した風船、縄跳び、シャボン玉などで一緒 に遊びながら楽しく交流した。子どもたちが普段行っている遊びは輪ゴムを連鎖にした縄 跳び、タイや転がし、プラスチックボードなどに乗って斜面を滑り降りる、サッカーなど である。今回は風船バレーボール、シャボン玉などが学生たちによって加えられた。シャ ボン玉は日本から持ち込んだものだけでなく、洗剤に砂糖を加えた手製シャボンの作り方 も教えたため、彼らの遊びの一つに定着しそうである。彼らの吸収力、理解力に驚かされ る。 ムラブリは外部の人間とは距離を置く習性があり、外国人が挨拶しても無視されるのが 普通である。そのため初めてムラブリに入った 2 年前は、大人だけでなく子どもたちでさ えこちらが挨拶しても知らん顔をしていた。しかし、半年ごとに繰り返している子どもた ちとの遊び、大人との民芸品づくりや村の環境整備などの協働作業によって、村人との距 離が少しずつ狭まっていることが感じられる。これまで目を合わせることさえ避けていた 人々が、通りすがりに声をかけてくれたり、こちらから話しかけると笑みを浮かべて答え てくれたりするようになった。日本人だけで森に入ろうとすると、自分の仕事を後回しに して先導さえしてくれるようになった。これはムラブリ研究者も驚くほどの大きな変化で ある。大人でさえこうなのだから、警戒心の少ない子どもたちには更に大きな変化が見ら れた。私たちが外にいると、わざわざ私たちの近くに来て遊んで気を引こうとしたり、時 にはちょっかいを出したりするなど が見られた。以前はお菓子やおもち ゃで釣らないと寄ってこなかった彼 らが、物欲しさではなく、親しみを 込めて近づいてきたことは驚くべき 変化であった。この子たちが成長し 村を率いるようになると、部外者に 対する接し方をはじめとするムラブ リ文化が大きく変わるかもしれな い。その変化がムラブリにとって良 い変化であれば喜ばしいことであ る。 (3)ムラブリの飲料水調査:村人が生活に使っている水は、3 つの異なる水源からパ イプを引き、自然流を利用して蛇口へ直接、又は共同タンクに貯水されている。今回はこ れらのうち、飲用にも使われている 2 系統について簡易的な細菌検査を行った。1 系統 (A)は前回も清掃を行った、村のすぐ上の山の 傾斜面からの湧水。この湧水を2つの沈殿槽を 経てパイプで村内へ引いている。飲用、生活水 として使われている。 A もう 1 系統(B)は村の下の斜面から常に 湧き出ている水で、最もきれいな水と言われ ている。近隣の村人もバイクや車で汲みにく る。主に飲用として利用されている。我々も 過去 2 年間の活動中、この水をそのまま飲ん でいたが、体調異常は特になかった。 B 検査方法は、普通寒天培 地と X-gal 寒天培地にそれ ぞれ 1m のサンプル水を混 釈法で、37℃24 時間培養を 行った。その結果、一般細 菌数は A が 56 個/ml で B が 48 個/ml と殆ど変わらなか った。しかし、A からは大 腸菌が検出され、B からは 検出されなかった。今回の簡易検査では、A は飲用に適さないが、B はそのまま飲めるレ ベルだという結果がでた。しかし、今後、上水道法に基づいた詳細な検査を行う必要があ る。 (4)Rajamangala University of Technology Lanna Nan での合同授業:飲料水の微 生物培養をラジャマンガラ工科大学微生物 研究室の実験室を借りて行ったことから、 同研究室の Phannaphon Kullama 先生から 合同授業の申し出があった。今回は私が 「古細菌」についての授業を行った。 RUTN の学生 24 名、教員 2 名、本学学生 7 名と教員 2 名が聴講した。この訪問では時 間が無く、学生交流の時間が取れなかった ため次回の訪問時回すことになった。 (5)ナーン、プ―ファー、バンコクでの文化理解:プーファーは、別のムラブリ族が 住む観光地化された村である。そのため私たちの活動する Huai Yuak 村との比較調査をお こなった。観光専攻学生は、観光地化することの是非や観光地の在り方などの視点から考 察を行っている。また、バンコクはタイ観光の中心地でもあり、東南アジア有数の都市で もある。観光、文化、貧富格差など様々な視点からこれらの地域を見ることによって、多 くのことを学ぶことができる。 研修を終えて ムラブリでの研修は 4 回目となったが、毎回、 驚かされることがある。今回の驚きは食事!これ まではキャンプで作るような料理が当たり前で、 とりあえず腹を満たす程度の食事だった。参加学 生たちは、料理は「得意じゃない」と言っていた ので、今回もどうせキャンプめしだろうと期待し ていなかった。ところが 1 年女子 3 名のシェフグ ループが作ってくれた料理は、期待をはるかに超 えた「想像以上のお食事」だった。チーズフォンデュ、鮭のフォイル焼き、親子丼にハヤ シライス、朝食にはフレンチトーストなど、もの珍しく美味しい食事を楽しませてくれ た。こんな参加者は大歓迎だ。ムラブリの子ども達と楽しそうに遊び、すっかり仲良くな ったことに嬉しく思っている。子ども達との遊びや大人からのムラブリの知恵を学ぶこと によって、学生たちにもムラブリ社会にも少しずつ変化が芽生えているように思う。共に 学び共に成長することに貢献できるよう、今後も継続していきたい。