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地熱貯留層評価・管理および地熱貯留層探査

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地熱貯留層評価・管理および地熱貯留層探査
平成25年度 地熱部事業成果報告会
技術開発事業
地熱貯留層評価・管理技術
地熱貯留層探査技術
島田忠明・藤本顕治・福田真人・當舎利行
2014年 6月 13日
地熱資源開発専門部会・地熱技術評価部会
技術開発の目標
地熱貯留層
探査技術
現状
蒸気・熱水は割れ目に通常
貯まっており、その貯まって
いると見られる領域を推定
し、それを目がけて掘削し
ている。しかし割れ目がどこ
にあるかは明確ではない。
⇒ 坑井掘削が失敗する
例が散見される。
掘削成功率の
向上
地
下
低リ
減ス
ク
1
蒸気・熱水
生産量の最適化
現状
限られたデータに基づいて地下の状
態を評価し、将来の予測を行ってい
るが、これまでの技術では予測精度
が必ずしも高くない。
⇒ 蒸気・熱水生産量が変動する
ケースや生産量の維持に多大なコス
トがかかったケースが見られる。
目標
目標
掘削の成功率を向上さ
せるため、割れ目の位
置を高精度で推定する
技術を開発する。
地熱貯留層
評価・管理技術
日本地熱開発協議会HP(http://www.chikaikyo.com/chinetsu/)より
【地熱資源の三要素】
 マグマだまりから放出される熱
 地中の水を温め、循環することで熱を運搬
 高温の熱水ないし蒸気が器(割れ目)に貯留
熱
器 水
地下における水の循環を正確に把
握し、蒸気・熱水生産量を最適化を
図るため、地下の状態を精度良く評
価する技術および水の循環を管理
する技術を開発する。
2
地熱貯留層評価・管理技術
地熱貯留層評価・管理技術
事業概要
3
※
地熱
発電所
還
元
井
涵
養
井
※
生
産
井
涵養(かんよう)
地表の水が、地下の
地層(帯水層または
貯留層)に浸透する
現象
地熱貯留層
熱源
 わが国の地熱発電所では、必要な量の蒸気・熱水を安定的に採取できず、発電出力が変動
しているケースが見られる。
 この問題に対応するため、地下における蒸気・熱水の流れの評価精度をさらに向上させ、地
下の熱源部への水の補給をより 適切に行うことにより、蒸気・熱水の採取量の最適化・安定
化を実現する技術を開発する。
地熱貯留層評価・管理技術
目的および目標
4
【平成27年度末(3年経過時点-フェーズ1)の目標】
 浅部の温泉帯水層と深部の地熱貯留層を含めた詳細な地熱構造モデルを構築しているこ
と。
 地質モデルと数値シミュレーション等により涵養箇所が決定されていること。
 数値シミュレーションにより、プロジェクト終了時点、涵養開始10年後、30年後におけ
る貯留層挙動の予測を示すこと。
 涵養井、モニタリング井および涵養設備が使用可能であること。
 涵養開始前のモニタリングデータを取得していること。
 涵養試験を開始し、涵養による変化の有無を確認できていること。
【平成29年度末(5年経過時点-フェーズ2)の目標】
 涵養試験結果およびモニタリング結果と、数値シミュレーションによる予測結果が一致
すること。
 近傍の過熱化した生産井において、涵養による蒸気過熱度の緩和効果を確認すること。
 涵養試験結果に基づき実施する生産予測シミュレーションにおいて、米国ガイザースの
生産井の減衰に対する改善例と同等またはそれ以上の涵養効果を示すこと。
 涵養による周辺環境(温泉・地下水・誘発地震等)への影響評価法を確立すること。
 涵養技術の体系化を行い、技術マニュアルを整備すること。
地熱貯留層評価・管理技術
実証フィールドの概要
5
項目
概要
備考
発電所名
柳津西山地熱発電所
所在地:福島県河沼郡柳津町
蒸気供給部門
奥会津地熱㈱
親会社:三井金属鉱業㈱
発電部門
東北電力㈱
事業者
発電設備容量
65,000kW
わが国最大の単機容量
運転開始
H7年5月25日
18年経過(H25年10月現在)
発電方式
シングルフラッシュ
柳津西山
地熱発電所
柳津西山地熱発電所の発電量の推移
(火原協・地熱発電の現状と動向2012年版より)
地熱貯留層評価・管理技術
実施体制
地熱貯留層評価・管理技術推進委員会
委員長
海江田秀志
委員
石崎 潤一
委員
石戸 恒雄
委員
田口 幸洋
委員
手塚 和彦
委員
鴇田 洋行
委員
藤井 光
委員
藤光 康宏
委員
益子 保
助言
6
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
地熱技術開発株式会社
・全体計画・設計
・地質調査(MT法、モデル)
・試験設備設計[一部]
・坑井試験
・貯留層挙動予測
・モニタリング
(坑内圧力温度、 マルチトレーサ、 流動電位)
・マニュアル作成
外注先
委託
協力
東北電力株式会社
(柳津西山地熱発電所)
地熱技術開発株式会社
(幹事会社)
奥会津地熱株式会社
・試験設備設計・工事
・涵養試験
・モニタリング(温泉影響調査)
・マニュアル作成
・その他(地元説明等)
外注先
独立行政法人産業技術総合研究所
・全体計画・設計
・地質調査(AMT法・重力・モデル)
・モニタリング(弾性波、 浅部比抵抗)
・マニュアル作成
外注先
地熱貯留層評価・管理技術
実施内容およびスケジュール
実施項目
7
実施内容
①全体計画・管理
・プロジェクト運営、データ管理
②地質調査
・MT法電磁探査、AMT法電磁探査、重力探査を実施
・既往データも含めた総合解析のうえ、地質構造モデル・地熱構造モデルを構築
(必要に応じ、人工涵養開始後に地表調査を補足実施し、モデルを更新)
③試験設備設計・工事
・涵養井(1本)、涵養設備(取水・送水設備)の仕様検討・設計・工事
④坑井試験
・人工涵養開始前:
・人工涵養開始後:
⑤人工涵養
・河川水の人工涵養(段階的に増量し、適正レベルに調整)
⑥数値シミュレーション
・人工涵養開始前:
・人工涵養開始後:
⑦モニタリング
・モニタリング井※1坑内温度・圧力モニタリング
・気相・二相マルチトレーサー試験
・弾性波モニタリング(坑内※2AE観測、微小地震観測)
・流動電位観測(有効性を検討のうえ実施)
・AMT法電磁探査
・温泉変動調査
⑧マニュアル作成
・人工涵養技術の体系化、技術マニュアルの整備
※1,2
フェーズ1
H25
H26
フェーズ2
H27
H28
モニタリング井および涵養井の坑井試験・坑内検層
生産井のPTSサンプラ検層
複数のシナリオに基づく予測計算、適切な涵養条件の検討
新規取得データに基づくアップデート、将来予測
モニタリング井、坑内AE観測井は、既存坑井を改修のうえ使用
△
中間評価
H29
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地熱貯留層探査技術
地熱貯留層探査技術
技術開発の目的
9
地熱貯留層探査技術
高精度な地熱貯留層構造の把握を目的とする。
物理探査データ解析の高精度化:
 弾性波探査データ解析: 断裂のイメージング向上の検討
 電磁探査データ解析: 複雑な地質構造に対応した解析手法の検討および実証
 計測機器開発:解析の高精度化に必要なデータを経済的に取得するための計測機器の開発
種々の物理探査データの統合解析:
 電磁探査および弾性波探査を含めた各種物理探査データの統合解析手法の検討および実証
技術動向調査・情報収集:
 海外の地熱資源開発における物理探査手法の最新技術の動向調査
 他の資源探査分野における物理探査手法で応用可能な手法等の動向調査
(2013年4月時点)
掘削成功率の向上
地下のリスク低減
地質モデル(地熱システム)の高精度化
地熱貯留層探査技術
地熱技術評価部会委員コメント(2013年4月)
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 貯留層の空間的分布の把握、生産井の掘削成功率向上につながり、実施する意
義は十分にある。貯留層に遭遇する確度の高い探査手法の開発は必要である。
 探査技術は、日本各地の地熱地帯で共通して実施される技術であることから国
の資金によるプロジェクトとして妥当。地熱探査に、金属探査と石油探査の長
所を取り入れることで相乗効果が期待できる。
 断裂の高精度イメージングに集中したらどうか。目標を絞れば十分に技術的有
望性は認められる。計測機器の開発も何を測定する機器なのか、どのような機
器なのか、特定する必要がある。
 焦点を絞ってスケジュールを検討するべき。まだ具体的な研究計画が練りこま
れていないため、動向調査などを先行し、目標と主題を定めることも検討する
べき。
地熱貯留層探査技術
現況調査の実施
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平成25年度 「地熱貯留層探査技術における弾性波探査の現況調査」
当現況調査は、地熱資源探査における弾性波探査の現況を把握し、今後の技
術開発で解決していくべき課題を整理することを目的としている。
地熱貯留層の高精度な探査が期待される弾性波探査の
地熱資源における適用の課題は何か
文献調査
(国内、海外)
専門家への聞き取り
事業者へのアンケート
(国内、海外)
総合評価
解決すべき課題の整理
最新の処理技術を用いた
既存データの再処理・再解析
地熱貯留層探査技術
現況調査の実施体制
地熱貯留層探査技術推進委員会
委員長
松岡 俊文
委員
浅沼 宏
委員
石井 義朗
委員
松島 潤
委員
水谷 滋樹
委員
光畑 裕司
委員
茂木 透
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独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
助言
委託
地熱技術開発株式会社
・文献調査
・地熱および物理探査の
専門家への聞取り調査
・地熱事業者への聞取り調査
・総合評価
外注先
GeothermEx
外注先
GNS Science
株式会社地球科学総合研究所
・地熱および物理探査の
専門家への聞取り調査
・地熱地帯で取得された
反射法地震探査データの再処理
地熱貯留層探査技術
現況調査の結果
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[既存データの再処理]
 一部の地域では再処理による改善が見られ、断裂が明瞭に捉えられる測線が見られた。
[文献調査]
 事前のサーベイデザインによる調査計画の最適化、適切な静補正やノイズ処理の必要性
が指摘された。
[専門家への聞き取り調査]
 シミュレーションを含む事前のサーベイデザイン、静補正の検討、3次元地震探査の重要
性とともに、地熱地域で取得されたデータの解釈の経験不足も指摘された。
[地熱事業者への聞き取り調査]
 掘削位置の選定精度の向上や透水性の議論まで可能な結果が得られるならば、億単位の
高額な探査コストを投入する価値があるとする事業者がいる。
 反射法地震探査の費用対効果を問題視する事業者が多い。
 費用対効果を判断するためにも、適用事例の蓄積と低コスト化につながる技術開発が望
まれている。
14
ありがとうございました。
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