...

No1-69

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Description

Transcript

No1-69
口腔保健におけるヘルスプロモーションと
新たな健康教育
(1)
ヘルスプロモーション,健康教育の変遷と口腔保健一
福岡歯科大学助教授
予防歯科学教室
福岡予防歯科研究会理事
筒井昭仁
干 8 14 - 0 1 福岡県福岡市早良区田村 2 - 1 5ー l
T
e
.
l 092-801-0411
多く,その数が医師の数を超えていたことが
. はじめに
印 象的でトあった.
毎日午前中に行われた基調講演やその他の
1995 年 8 月,千葉幕張メツセで 5 日間にわ
発表における内容や質疑応答からは,アメリ
たり「第 15 回健康教育世界会議J が開催され
カ,カナ夕、 ,ヨ ーロッ パ各国 ,オー ス ト ラ リ
た.
この会議は
Union f
o
r
Int er nat i ona l
アなどの国々でヘルスプロモ ーショ ンをベー
HealthPromotionandEducati
on (このた
スとする健康施策が実動している様子が示さ
びの会議から,従来の学会名
れ,健康を語る場面で、へノレスプロモーション
In ternatio n a l
Uni
on f
o
r Health Education
に
Health
Promotion という語が新たに追加された)が
主催 したもので,海外からは WHO 関係 者を
が大きなうねりとなっているととがうかがわ
れた.
わが国においてもアクティブ 80 ヘルスプ
はじめとして 60 数カ国の約 260 名が参加し,
ランりが「栄養 J.
総勢 1.800 人の会議となった.
健康づくり,健康増進といった語を伴って展
筆者 は,用意された 29 のスペシャルセッ
ションのうちの 1 つ IQua lity
o
fL
i
f
e and
開されているが .
I運動 J.
I 休養」を 主軸に,
WHO の示す概念と比較す
ると狭義であり 2L
本来のヘルスプロモー
8020J で発表の機会を得て,全期間参加した
ションは,いまだ胎動期,あるいは一部始動
外国からの参加者は 「健康 J
期といった状況である.歯科界においてはそ
を冠した社会学
者,心理学者,教育学者,行動科学者などが
の概念さえ見当たらない.
歯界展望 Vo l. 87 NO.51996-5
I1219
Argument
表
WHO の 健康の概念
健康と健康教育の歴史的な発展過程
年代
健康教育の歴史的発展
健康教育の目的の変遷
学 習媛助の 時代
日
1990 年
(健康学習=
QOL
Empowerme
nt
)
技能・資源と環境重視の時代
ライフスタイ j レ
(
ThePRECEDE-PROCEEDmodel
)
1 986 年 Ottawa 憲章
•
教育診断 ・ 教育介入の時代
1980 年
He
al
t
h
lP
r
o
lm
o
t
l
o
n
行 動 ( behavior)
(
Th
ePRECEDEf
r
a
m
e
w
o
r
k)
1978 年 Alma -Ata 宣言
P
r
i
m
a
ryH
e
a
l
t
hC
a
r
e
/¥
1 946 年 健康 大 憲章
個人心理 重視の 時代
1970 年
行為 (action )
(
T
h
eHe
a
1
t
hB
e
l
i
e
fM
o
d
e
l
)
19 印年
習慣 ( practice)
知識・態度・行動の時代
19 50 年
(
K
A
PM
o
d
e
l)
1 940 年
知識普及の時代
知 識 ( Knowledge)
( 吉田
本稿では,健康教 育 世界会議で中心的な
亨,
1994 を改 )
w
e
l
l
「 身体的にも精神的にも社会的にも
テ ー マとなった健康教育と切り離すことので
b e ing な状態 J
きないヘルスプロモーションを紹介するとと
まで疾病への対処と してと らえられてきたネ
もに,わが国の歯科界における保健教育,健
ガティブな健康観をポジティブな健康観に変
康教育についても分析を試みたい
換させた
という定義を打ち 出し,
この後も,社会の変化や,
それ
疾病構
従来なかった解析方法による評価 ・ 分析で
造の変化,さらに南北格差に代表される国家
あり,多少の違和感があるかと思うが,読ん
間,地域聞の疾病や社会 ・ 経済環境の格差な
でいただ、いて議論の材料にしていただければ
どを考慮、 して ,健康概念にも変遷がみられる
1978 年にはすべての人 々が基 本的な権利
幸いである.
である健康を享受することができるようにす
. r健康j および f健康教育j の歴史
べきである
( H ea lth
反映させた Primary
健康,健康教育は 表 に示すように歴史的に
f
o
r AII)
ことを色濃 く
Heal
t
h Care (Almaュ
Ata 宣言)叫が発表された
そ して ,
1986 年
わが国の
にはカナダのオタワにおいて,こ れと オ ー
歯 科界は これらの変遷とどう関わってきたの
ノてーラップしながらも新たな健康戦略と して
であろうか.
Heal
t
hPromotion (Ottawacharter)5)
みると大きく変遷してきている 3)
まず,
どのような変遷をたどっ
てきたか,変遷そのものの確認か ら始めた い.
とめられている .
カまま
ここでは,健康は目的では
なく,生、活のための手段であると 述べ,人 々
「健康」に関わる概念の変遷
がもっ主観的な健康観を重視する方 向 へと変
WHO は 1946 年に,
化している.そもそも Primary
I健康J の概念として,
1220 IDENTALOUTLOOK
HealthCare
口腔保健 におけ るヘルスプ ロモーションと新たな健康教育( 1)
は発展途上国に向けて,また Health
Promo
tion は先進国に向けた戦略として開 発され
④
個人技術の開発
⑤
ヘルスサービスの方向転換
た経緯があるが,現在ではすべての人びとの
の 5 つをあげている.
ここでみられるように,
ヘルス・ニ ー ズに応えるという点で,
この 2
従来いわれた健康のためのライフスタイルづ
つを車の両輪のように位 置づ 付て進められて
くりのみではなく,加えて個人を取り巻く環
境や政策をも整備すべきであるとしている点
いる.
が注目される.さらに,“病気を治す"から“健
ヘルスプロモーション
康をつくる "へ ,
WHO は ,
民 )中心"へ,“病院中心"から“地域中心"
I ヘル スプロモ ー ションとは,
“専門家中 心"か ら“素人(住
人々がみずからの健康をコントローノレし,改
への保健サ ービスの転換が求められている
善することができるようにするプロセスであ
このようにヘルスプロモ ー ションが従来のい
る」と定義している.そして,活動の原則を
わゆる「健康増進」
とは異なり,たいへん幅
広い大きな概念であることが理解されよう.
①
唱導
(adovocate)
②
能力の付与 (enab l e)
③
調停 (mediate)
ヘルスプロモーションをわが国にいち早く
紹介した島内は 図 1 を示し,1ヘルスプロモ ー
ションは,
の 3 つにまとめている
唱導は,社会・経済環境などの諸条件を健
康にとって望ましいものへとっくりかえてい
一 方ではライフスタイルに直結し
た健康に対しての生活戦略であり,他方では
政策に直結した政治戦略でもある j
と述べて
また,人びとが本来も
いる.すなわち ,個人の健康玉を上へ押し上
つべき最大限の健康に届くように能力の付与
げるには,個人のライフスタイルをよりよい
が行われるべきである.
方向に転換させたり,個人のもつ知識や技能
くために 必要である.
これには各種情報に
接する平等な機会や資源を確保することが前
のレベルアップが必要である
提となる.さらに,健康は保健部門のみでな
のみでは社会的弱者層や健康への無関心層に
く社会経済部門や民間組織,メディアなどが
対しては十分な成果をあげることができない .
複合して影響 し合っていることから,保健関
社会のあらゆる層の人びとにとって健康玉の
係者,専門家はこれらの関係を明らかにし,
押し上げが楽になる方法としては,坂道その
調停することが重要な仕事 となるのである
ものを緩やかにすれば効果的である
また,へノレスプロモ ー ションの活動の方法
しかし,これ
社会制
度や環境を健康に向けて整備することなどが
これに当たる.さらに,健康を政策のなかに
として
①健康的な公共政策づくり
位置 づけることによって,
②健康を支援する環境づくり
に結びつき,一層の効果を発揮することとな
③
る.
地域活動の強化
この両者は有機的
歯界展望 VoI. 87No.51996-5 11221
Argument
Heal
t
hP
r
o
m
o
t
i
o
n
ライフスタイ J レ
づくり
坂道を緩やかにする
環境づくり
図 1
現在,
図解ヘルスプロモーション(島内 ,
このヘルスプロモーションの概念を
取り入れた新たな健康へ向けての展開が,欧
州、|では Healthy
は Hea lth y
C
i
t
i
e
sProject町,
People200 0
7
アメ リカで
) ,日本においては健
1
987)
tude) を変え,続いて好ましい行動 (Beh av­
i
o
r
),習慣
(Practice)
をとるようになるであ
ろうとする考えのもとに頭文字をとった
KAB (KAP) model
が展開された.
70 年代
康文化都市 8) などとそれぞれの条件に合わせ
に入ると,知識の普及のみでは十分な成果を
る形で展開されているところである.健康づ
あげえないとの反省から,当時盛んであった
くりにおいて口腔保健は例外ではない.歯科
社会心理学の要素を取り込み,感受性がある
界でもヘルスプロモーションの展開が待たれ
との認識や,病気に躍ったときの深刻さの認
るところである.
識といったネガティプな心理状態と,行動し
た場合に,感受性や病気の深刻さが軽減され
健康教育の変遷
るであろうと信じるポジティプな心理状態の
人々の健康を目指して,時代,疾病構造,
両方が行動の変容に影響していることを 利 用
した
ざまな試みが展開されてきた(表) •
ル)引が展開され,主として予防接種や健康診
知識不足そのものが疾病を生んでいた時代
(1940 年代)には, 専門家による知識の普及そ
のものが健康教育であった
なると,知識
( Know l e dge)
1222 I
DENTALOUTLOOK
1950~60 年代に
が態度
(Atti-
Hea lth
Bel
ie
f Model (保健信念モデ
社会の変化のなかで古くから健康教育のさま
断の受診行動の喚起に効果をあげた.
しかし,先進国といわれる国 々で,急性疾
患(感染性疾患)がある程度解決し,結果と
して残った慢性疾患(成人病)が顕在化 して
口腔保健 に おけるヘルスプ ロモー ションと新 たな健康教育( 1)
きた現在,
このモデルにも限界がみえてきた.
そして 80 年代には,
PROCEDE
群,強化因子群,実現因子群の 3 つに分けた
点,および個人を取り巻き,行動を規制し,
framework 'O ) が Green らによって開発され
健康に影響するであろう環境をも含めて体系
た.
化したことが特徴的である.健康への行動変
90 年代に入ると,健康 教育の展開に W HO
が提唱したヘルスプロモ ー ションを取り入れ
容が話題になっている現在の歯科界において
も,このモデルは有用性を発揮するであろうー
Green らみずからが先の framework を
このモデルでは 図 2 中の矢印で示すように,
発展させ,プリシード/プロシードモデル
プログラムの実施に先立つて対象の現状を把
(ThePRECEDE-PROCEEDmodel)11)
握するためにフェイズ 1 から 5 の社会診断,
て,
を完
疫学診断,行動・環境診断,教育・組織診断,
成させている.
健康教育はさらに発展し,現在では「傾聴」
運営・政策診断の各診断を行うプリシード部
「対話 J -i行動J アプローチを基本とし,保健
分 (PRECEDE* 1))と,その診断結果に基づ
従事者と住民,あるいは患者が対等の立場で
いて,ヘノレスプロモーションを原動力として
参画する健康学習 Empowerme nt '2 ) の時代
各種健康教育を開始し,最終目標の QOL を
に入ったといわれている .
目指すプロシード部分
ほかにも目的に合
(PROCEED 叫))に
わせて多彩な健康教育モデルが開発されてい
よって構成されている.プロシード部分には,
るが,
フェイズ 6 から 9 の経過,影響,結果評価が
ここでは,現在アメリカその他におい
て職域などの健康管理の実践の場面で広く用
いられ成果をあげているプリシ ー ド/プロ
含まれている
ここでは,フェイズ 4 の教育・組織診断に
ついて少し紹介しておきたい.
シ ー ドモデルを紹介したい
先に述べたように,健康行動を起こさせる
. プリシード/プロシードモデル
要因を準備因子群,強化因子群,
実現因子群
の 3 つに分けている .
(図 2) 11 , 13)
(1) 準備因子群
このモデルは健康教育のスタ ート ラインに
ヘルスプロモ ー ションを置き,最終目標に健
康のさらに先に Qua lity
o
fLife
を 置いてい
る点,健康行動を起こさせる要因を準備因子
率 1)
従来の健康教育そのものであった知識や態
度,信念,
価値観などは,
3 つの因子群の一
つである準備因子として位置づけられている
(2)
強化因子群
PRECEDE:Predisposing , Reinfo rcing , a
n
c
l Enabli
ng Con
s
t
r
l
l
c
ts i
n Eclllcational/env ir o口 mental Diagnosi
sand
Eval
l
l
a
ti
on(教育環境診断と評価における準備,強化,実現因子)の頭文字を取ったもので,笑際,実施に先立 っ て行
われるという意味もある
叫
PROCEED
:Po li cy, Regll latory , andOrganizati
on
a
lCons
tr
l
lc
t
si
nEdllcationalandEnv
i
r
onmen
t
a
lDev巴 lopment
(教育発展と環境発展における政策,法規 , 組織因 子 )の頭文字で,続いて行われるとの意味もある
歯界展望 Vol. 87No.51996-5
I1223
4
omz→〉「 oc→「OO ヌ
教育・組織診断
フェイズ 3
フェイズ 2
フェイズ l
行動・環境診断
疫学診断
社会診断
PRECEDE 圃圃圃圃園田園
準備因子群
Health
Promotion
知識・信念・価値観・態度 ・\
ノ
+
職員の訓練,監督 ,
相談,フィードパッ
クを通じての間接的
¥
保健職種や地域のリーダ ー ,
健康教育
成要素としての
¥
強化因子群
コミュニケーション
ヘルスプロモー
ション計画の構
¥
自信(確信)・認識
、
意志決定者の態度と行動
公衆 , 愚者,学生 ,
従業員への直接的
家族,仲間 ,
ーヶーシヨン
教師 ,
雇用主
などの態度と行動
個人 ,
一一----
行動後に受ける報酬(気持
健康教育
集団の
行動
ライフスタイ J レ
』
\、、、』
ちよさ,効果の実感など
トレーニングl'
1
1
コ ミュ ニテ ィー
オーガナイゼイ
ンヨ./
政策
3去
費見
幸ill.
帝哉
健康
実現因子群
ムノ
健康資~の利用しやすさ
'"
¥
健康資源の近接性
、色地域/行政の法律,優先順位,
、健康へのコミ ッ トメン卜
健康に関連した技能
QOL
一-ーー
一一一一ー
環
境
規則・法律
フェイズ 6
フェイズ 7
フェイズ 8
フェイズ 9
実施
経過評価
影響評価
結果評価
PROCEED
, .w., etal
(G reen L
図 2
プリシード / プ ロ シ ードモデル (新 ・ 健康教青 モデル)
1
9
9
1)
』
F『
aEgoz
HMMKH
フェイズ:
フェイズ 5
運営・政策診断
口腔保健 に おけるヘルスプ ロモー シ ョ ンと新たな健康教育(
行動変容に関して,
1)
ド ラスティックな変容
の試みの多くが失敗していることから,無理
ヘルスプロモーション, 健康教育と歯科
のない 小さ な行動変容の積み重ねが期待され
ている.これには,健康に向かつて 一歩踏み
わが国の歯科界に目を転じ,ヘルスプロ
出した人を好意 的に支える周囲の人 々の存在
モーションや健康教育との関係をみてみると,
や自己認識が有益である.それによって,人
過去の歯科医療需給のアンバランスに基づい
はまた次の行動へと一歩進んでいくのである.
た専門家の優位性を今の時代においても引き
行動変容やその持続をサポートする保健関係
ずっており,一段上から一方 的に患者や住民
者,家族,仲間,同僚,雇用主などの態度や
を教育するといった状況が続いている.いま
行動,またいったん行動を起こした後に得ら
だに 1940 年代 の知識普及や,
れる報酬(褒美) ,すな わち気持ちのよさや,
の KA B
効果の認識などが強化 因子として整理されて
がうかがわれる .
いる.
歯槽膿漏は恐ろしい病気である」を強調する
(3)
実現因子群
(KAP) mode l
会がそ れを 受け入 れる用 意をし ていない 場合,
行動そのものが困難となる
これら受け入れ
で停滞している様子
あるいは,一部「むし歯や
ことによる H ea l t h
健康に向かつて行動を起こそうとしても社
1 950~60 年代
Bel
ie
fMode l
的な教育も
行 jつ れてきた .
しか し ,健康や QO L 問題を体系的に診断・
評価し,問題解 決のために総合的に健康教育
る社会の要素を実現因子群として位置づけて
を進めていく PRECEDE framewo rk や プリ
いる ー
シー ド/プロ シードモデル , 健康学習などが取
それは,健康づくりや保健のための受
け入れ施設の近接性,利用しやすさであり,
り入れられた痕跡はない
また,求めるものが提供されるという保証,
動変容を目的とした指導的教育に終始し,公
さらに, 地域/行政が対象事項をどれだけの優
共政策づくり,環境整備,地域活動の強化,
先性をもって位置づけているのか,また関連
ヘルスサ ー ビスの方向転換などのヘルスプロ
する政策や法律の整備状況なども含んで、いる .
モーションの活動方法の主要な部分が欠落し
以上の 3 つの因子群が連動することによ っ
て人びとの健康行動への変容が起こるとする
理論である ー
よ っ て,現状 をプ リ シードの段
階で診断 ・ 評価し,
プロシードの段階で不足
また,対象者の行
ていることも大きな問題であろう.
次号では,わが国の歯科保健の歴史 ,
について,
現状
Green の プ リ シード/プロシード
モ デノレを使って 診 断 ・ 評価を試みる.
また,
する要素を充実させることによって良好な健
今後の歯科保健 の展開,なかでも 8 020 運動に
康行動が生まれることとなり ,
ついてもヘ ル スプロモ ー ションをベースに検
その結果健康
が得られ,最終目標の QOL へとつながって
いくのである.
討したい
(参考文献は,次号に一括掲載する)
歯界展望 Vo l. 87No.
51996-5
I1225
.
.
口腔保健におけるヘルスプロモーションと
新たな健康教育(
2)
わが国の口腔保健の評価1 ,診断と今後の進め方
ー プリ シ ードプロ シ ードモデルをもとに 一
福岡歯科大学助教授
予 防歯科学教室
福岡予防歯科研究会理事
筒井昭仁
干 8 1 '卜 01 稲 !日i 県福岡市早良区田村 2 - 1 5 ー l
'
lL 0
9
28
0
10
4
11
わが国の口腔保健を振り返ると,専門家が,
いまでも同じ口腔保健教育が続けられてい
一般住民に知識を与えることに よ って保健行
る.口腔保健に ついて先進諸国から大きな遅
動を変えようと努力し てきた歴史がある
れをとっている現在,
な
これら口腔保健そのも
かでも歯磨き指導は特に熱 心に行 われてきた .
のを,あるいは口腔保健教育を見直す時期で
また ,
はないだろうか
I むし歯は病気である」を強調すること
によって行動の変容を図ろうとする指導の例
も見かけられた
これらの健康教育は,いず
なぜ ,わが 国は師蝕が多いのであろうか.
また,
口腔保健といえばなぜ歯磨き 一 辺倒で
れも専門家が素人を教育すると いった 一方 的
あったのか .
な関係のみで成立 し た健康教育であり,個人
プ リ シー ド/ プロシ ードモ デ ノレ 11 , 1 引を基に,日
の行動の変容をサポー ト する環境や政策の整
本の口腔保健の歴史と現状 ,さらにいま進め
備や,行動変容に大きな力を発揮する保健関
ら れている 8020 運動についても診 断 ・ 評価 を
係者 ,家族,友 人などの態度や行動に ついて
行い,問題点を明 ら かにし,またヘルス プ ロ
は何ら 考慮さ れてこ なかった
モーションを中 心とした 今後の進め方につい
これらの 口腔保健教育の結 果,わが国の歯
ここで, 図 2 で示した G reen の
ても検討 し たい .
磨き人口は増え続け,いまや,ほとんどの国
民が毎日 l 回以上歯を磨くようにな った
1) 川 ー
(図
. フェイズ 1
社会診断
し かしときを 同じ くし て,踊蝕 が増え
てしまったことも一方の 事実 である.
プ リ シード/プロシ ードモ デ ルにおけ るプ
歯界展望 VoL 87No , 6 1996-6
I1425
Argument
磨かないときどき磨く
1
969
1
975
1
981
1987
1
993
年
図 1
。
歯ブラシ使用状況の年次推移(厚生省歯
科疾患実態調査より)
リ シー ド部分の診断 ・ 評価は,
図 2 に矢印,
番号で示 したように 最終目標である
(Quai
lt
yo
flife)
QOL
や成績などの生活の場面における 「困り ごと」
よりも上に位置していた 15)
一般の人 々 にとって,歯痛に代表される口
か ら始められる
断蝕所有者率は早くも中 学生で 90 % を 超
腔 疾患は 健 康 問題としてではなく,
む し ろ
え( 図 3 ) 14) ,成人の半数以上が歯周に問題を
QOL を 阻 害 する問題の ーっ として認識 さ れ
抱 えている
ているのではないだろうか.
日本人の 多くが踊蝕,
歯周疾患
によってさまざまな 形で QOL を 阻害 されて
い る 状況がある( 図 4)
. フェイズ 2
.
疫学診断
また,熊本県のあ る 地 区で行 われた 中 学 ・
ここでは,
高校生を 対象とした調 査からは , 1 むし歯は病
気だと 思 う か ?J の問に対し,
と答えていたが,
お り,
44 % が「は しづ
27% は「しユいえ」と 答えて
1 / 4 以上のものが師蝕を病 気と考えて
いないという結果が得られている.
出生率,死亡率 ,
平均寿命 ,擢
患率など対象のもつ種々の生命指標について,
分布や発生,強度などの次元を考慮して評価
が行われる
師蝕に ついて考えてみよう .
これは歯
図 6 は W I-I O
科保健指 導を 提供す る 側と 受ける 側と で ,共
が同 一 の基準で調査 し た 世界各地の 12 ~ 13
通であるべき基本原則が大きくずれているこ
歳児の師蝕の 状況 を示 し ている .
とを示して いる
の盆は,
図 5 は,沖縄県の 3 地区で 6 年生の保護者
日本の糊蝕
f
l
u
o
r
i
d
a
t
i
o
n(水道水のフッ素濃度最
適 コン トロール)
実施中の米国ボル ティモア
を対象に 一調べた「歯痛」の相対的位置を表 し
の 3 倍,フランスの 2 倍以上と多く 16) ,先進国
たものである .
のなかで,
1 歯痛」は腹痛,
頭痛などのい
わゆる 「疾病」より下に位置 し,逆に , 肥満
1426
IDENTALOUTLOOK
る
師蝕所有 率の高 い固と 評されてい
フェイ スー 5
フェイス 4
フ ェ イス 3
フ ェ イ ス 2
フェイ ズ |
運営 ・ 政策診断
教 育 ・組織診断
行 動 ・ 環境診 断
疫学診断
社会診 断
PRECEDE -・圃圃圃園田
準備因子群
Health
Promotion
知識・信念 ・ 価値観 ・ 態度・
ノ
¥
f
職 員 の訓練,監督?
相談,フィ ー ドパッ
クを通じての間接的
¥
¥
強化因子群
コ ミュニケ ー ション
保健職種や地域の リー ダ
健康教育
へ J レ ス フ ロモー
\
自信(確信 ) ・ 認識
、
,
意志決定者の態度と行動
竺笠)患者L 芝生
個人 ,
家族, 仲間, 教師,雇用主
ション計画の構
,~=貝
成要素と して の
斗 ミユヶ ー ンヨ/
V" I.1=!. .j~"'J 、
などの態度と行 動
行動後 に 受ける報酬 (気持
健康教育
l1
ンヨ/'
/
実現因子群
健康資源の利用しやすさ
"
¥
/
.
I
I
I
官
健康資源の近接性
、
地域/行政の法律 , 優先順位 ,
一一一一ーベーー
健康に関連した技能
環
、、---- ‘
、健康
ー
一一→ーー
QOL
ムノ
境
J
ま見貝IJ ・ 法律
実
施
フェイ ズ 7
フェイズ 8
フェイ ズ 9
経過 評価
影響 評価
結果評価
PROCEED
(Gree n, L. W., e
tal
.1
9
9
1)
HAH
刈M
図 2
プ リ シ ード /プ ロ シ ードモデル (新 ・ 健康教育 モデル )
竹\凶 ℃ 代 当
… 汁 p,協同期鍵珊
フェイス 6
」TU戸川刊 口市|
鴎羽 田刷脳 〈 O一∞吋 Z0・∞邑 ω∞10
健康への コ ミ ッ ト メン 卜
、
1
口国防荊
腐 打鈴ヰが
I rI
~
t
オ ー ガナイゼィ
』
、、\
ライフ スタ イル" -------
ちよさ ,効果 の実 感 など
卜 ぞ一三三
集団の
ぅー 需品
イ7 里耳
l
割
Argument
(%)
100
90
80
歯再
70
塑
60
者
40
事
50
率
30
20
1
0
0
2 0歳
図 3
わが国の歯白書虫の状況( 1993 年 歯
科疾患実態調査より)
‘・
生活のなかでの「歯痛」の相対的重大度
ー生活に迷惑
w
・・・
..
0 ・ LL
・
.
"
歯痛は我慢で きな い
」
。 LL .'.・
。
>
おいしく 食べら れない
歯の治療は 高 い
0 ・ ト
」
ー 〈
治療に時間がかかりすき'
コ ..
。
縄.
笑顔もだいなし
1
994)
2
。
3i音
-
・ー-
図 4
Q
u
a
l
i
t
yo
f li fe と歯科疾 患
図 5
生活のなかでの「歯痛」の 重大度を ぼか
の困りこ' とと 比 較
6
28
王見
2
1
在 14
歯
数
1
l 子4
年齢 10
図 6
1 2~ 1 3 歳児の l 人平均 DMFT (W HO , 1
994)
図 7
30
40
50
60
70
80 歳
日本人の年齢と現在歯数(歯科疾患実態
調査 .
1428 IDENTALOUTLOOK
20
1993)
口 腔保健 に お け るヘル スプ ロモー ションと新たな健康教育
、
η6
リ
ア
ト・
ス
オ
リ
ス
ギ
一・
ナイジエリア
Qd
n
u
ll
o
3
r
図 9
ライ
pb
』
日 本 に お け る抜歯の原因
VJ
刊ふ?
図 8
a
e
凋
Uι
1
989
00009
兵庫 ,
,
rr
Rd
一人当た り年間砂糖消費量
そ σ)f也
九刊
1
987
岡山,
00
1
987
FO
北,毎道,
1970
1
980
日 本の砂糖 消 費量の変化
1
990
( 19 5 0 ~ 1
990)
と国際 比 較( 1
982)
次の 図 7 は 1 993 年の歯科疾患 実 態調査の
結果で,年齢ごとの残存歯数を表している.
に整理しなければならないことを示唆してい
る.
現在 8020 が大きな声で PR されているが,現
状は 8004 (正確には 3.5 本)なのである川 -
. フェイズ 3
行動・環境診断
8 0 20 運動は,この現実との聞に大きな隔たり
をもっていることを認識しなければならない
図 8 は,日本における歯の抜歯原因の調査
結果である 17-20)
いずれにしても歯科の 二 大
まずは,行動,
ライフスタイノレに つ いて考
察してみてみよう.
ライフ ス タイノレは,
Br eslow ら 25 ) カ汚す っ た
疾患である踊蝕と歯周疾患が一位と 二位を占
カリフォー ルニア州、| アラメダ郡における地域住
めている.この 2 つの疾患の聞にはライフス
民の追跡研究から,死亡率に深くかかわって
テージ上で,踊蝕が先行し,遅れて歯周疾患
いた因子のほとんどが喫煙,過度の飲酒,運
が始まるという時間的な関係がある.踊蝕の
動不足などのライフスタイノレそのものであっ
修復は,少し長い目で、みた場合,ほとんどの
たことから大きく注目された.口腔保健にお
ものが暫間的な処置 21 , 22) でしかなく,再 三 に
けるライフスタイノレには,歯磨き,おやつに
わたる修復の繰り返しで,やがてその修復物
代表される砂糖の摂取,フッ 素利用の状況な
の辺縁は歯肉に触れる.そのとき,修復物は
どが考えられる.
歯周疾患の原因の一つになるのである.また,
歯磨き行動については,いまや日本国民の
修復を繰り返した歯の生存期間は短命であ
90% 以上が毎日 1 回以上歯を磨くまでに定着
る 23 , 2 吋ことも明らかにされているー
してきた( 図 1 ) .
これらの情報は,わが国の口腔保健や 802 0
運動の実現を考えるとき,踊蝕問題を優先的
歯磨きは,
1::1 本を代表する
国民的保健行動のーっといえよう.
次に砂糖摂取をみてみよう.日本の 1 人当
歯界展望 Vol. 87No.61996-6
I1429
Argument
たりの年間砂糖消費量は 図 9 に示すように ,
1950 年の 5 kg から順次増加し,
2
7
.
5kg
れている
1970 年には
砂糖摂取については,代用甘味料 31 , 32) が開
とピ ー クを迎え , その後は減少傾向を
発 中 であったり,すでに 一部で使われてもい
たどっている 26)
また,ほかの固との上凶君主にお
るが,いまだ十分とはいえない状況にある.
いては , 19 82 年の段階で日本の砂糖消費量 は
また,砂糖輸入を 制 限するなどの社会的対応
イギリスやアメリカの約半分ほどであり,国
の案も考えられるが,これは現実的でF はない
際的にみるとむしろ少ないほうであることが
日本の日常生活におけ
るフッ素利用 の低さは,
わかる 27)
さて,残りのフッ素利 用に関してはどうで
この環境整備の遅れ
に起因しているといっても過言 ではない .
わが国の場
地域単位の口腔保健と 言 えば,第 一 に
まだフッ素利用 は一般住民の生活のなか
fluoridation があげられるが,わが国で、は過
あろうか.結論を先に述べると ,
合,
次はフッ素である.
に定着しているとはいいがたい状況にある
去に経験があるものの現在は実施されていな
日常生活におけるフッ 素利用 としてフッ素配
いまた,全国で 16 万人の 子 供たちが小中学
合歯磨剤の 利 用があげられるが ,
校,幼稚園で、行われるフッ素洗口プログラム
店頭に並ん
だ商品にはフッ素未配合のものが多く見られ,
に参加している聞が,
結果としてフッ 素 配合歯磨剤のシェアは
童の 約 1% である
46%2 8 ) と低く,諸外国の 90% 以上 29) には遠く
で行われるフッ素塗布についても ,
及ばない
がいつでも ,
さらに,わが国固有の問題として,
歯科医,歯科衛生士などの口腔保健関係者が
これは日本の全対象児
一 部の歯科医院や保健所
一般住民
どこでも気軽に受けられる 状況
にはなっていない.
「歯を磨くときには,歯磨剤を使わないで」と
いまだに指導している 30) ことも定着しない原
. フェイズ 4
教育・組織診断
因の 一 つであろう.なお,フッ素錠剤につい
ては現在,
ここでは,
日本で入手することはできない
次は環境である
フスタイル ,
環境は,行動や健康, QOL に影響を及ぼす
化,
外的な因 子群を指している.
これらの因子は,
図 2 に示したように行動 ・ ライ
および環境にかかわる準備,強
実現の 3 つの因子群に ついて診 断 ・ 評価
を行二う
個人が左右するには大 きすぎるが,わ れわれ
まずは,準備因子群から始めよう
の日常生活に良い,悪いのいず、れの方向にも
日本における歯の健康教育は, í 自分の健康
は自分で守ろう j
枠をはめている
歯磨きについては,歯ブラシ,歯磨剤 ,
そ
との趣旨のもとに歯磨きを
中心とするセル フケアに 終始してきた歴史が
の 他補助的 な清掃器具も入手可能であり,歯
ある .
磨き場所の確保などの環境整備も順次進めら
た歯磨きをベースにした歯に関する知識や態
1430 IDENTALOUTLOOK
この結果,
í 踊蝕予防 = 歯磨き」と い っ
口 腔保健 に お け るヘ ル スプ ロモー シ ョ ンと 新たな健康教育
度,価値観が形成されてきた ー
しかし,ほと
へと踏み出したある 個人の行動をサポートし,
んどの人々が毎日歯を磨いたにもかかわらず
さらに次の行動へと導くといわれている ー
踊蝕になってしまったという経験をもってい
の点についてわが国の口腔保健はどうなって
ることから,麟蝕は予防できないといったネ
し当る 0)1.ごろうカミ.
ガティブな知識や信念が定着してしまったよ
うだ .
こ
ほとんどの人が断蝕をもっているという日
また,踊蝕が死に直接つながらない病
本の状況を考えると,多くが麟蝕の予防や口
気であると いう理解か ら,一般の人びとに
腔保健に関して虚無感をもっており,積極的
とって健全な歯に対しての価値観は低く,認
にサポートするような姿勢は形成されていな
識も痛くなれば治療に行けばよいといった程
いのではないだろうか.
度のようである.
もう一つの強化因 子として,行動を起こし
砂糖摂取については,摂取をコントロール
た結果として得られる報酬(褒美)があげら
することによって歯の健康が得られるとの結
れる.行動後の気持ちのよさや,行動の結果
果期待はもっているようだが,実際に実行す
として起こる有識性の認識などがそれである
ることについての自己効力感が低 く ,
歯磨きの場合,爽快感は得られるものの前述
コント
ロールはなかなか難しい.
では ,
のごとく,蹴蝕予防効果が得られるとの認識
フッ素利 用を通じての知識や態度,
f面{直f現などはどうであ ろうか.
をもつことについては,ほとんど期待できな
い.
まず ,フッ素利用とい う保健行動が成立す
このことは,特に若い女性を中心にエチ
ケッ ト,口 臭予 防などを 主目的に した歯磨き
るための最小必要条件で、ある正しい知識が,
が行われている状況からも理解されよう ー
わが国の場合全くと言っていいほど 一般住民
女らの歯磨き行動は,
に伝達されていない 34.35)
íQOLJ に 直接通じているのである ー
知識がないのだか
ら 価値観や態度などが形成 されるはずがなく,
í 健康 j
彼
を飛び超えて
砂糖摂取については,踊蝕予防のために子
この実現因子のなかのフッ素に関する部分は
供からおやつを取り上げたときに,爽快感が
低いレベルにある.
しかし ながら,
このフッ
残ったと答えるものはいないであろう.おや
素利用に ついては ,
ときとして何らかのルー
つを食べるときの楽 しみのほ うが より大 きい
トでわずかな情報を入 手した一部の母親が,
のである
この点から,砂糖摂取はマイナス
師蝕は予防できるとの期待感をも って積極 的
の強化因子となる.効果の認識については,
に子供にフッ素利用をさせる行動もみられて
砂糖摂取コントロールが必要とされる幼児に
いる.
おいては無理であり ,認識している母親も現
2 番目は,強化因子若手である
保健関係者
や家族,仲間,教師,職場の同僚などの健康
や健康行動に対する態度,行動が,
一歩健康
実的には子供 の要求を 拒否することに困難を
感じているー
治療は,痔痛から解放されるという点で気
歯界展望 Vol . 87 NO.61
996-6
I1431
Argument
持ちよさもあるが,同時に治療時の痔痛,あ
でも治療と予防 ・ 健康管理に分けて考えてみ
るいは注射への恐怖感や治療費支払いなどの
よう
デメリッ ト感が強く ,相対的には打ち消され
治療についてみると,数値上,わが国にお
てしまっている.事後の結果期待についても,
ける歯科医療の供給はすでに需要を超え,過
多くが二次踊蝕を経験している現状 2 1 , 22) では
剰時代に突入しつつある 3りその結果,近接性
無理のようである.
(access i bi li ty) は満たされている.また,日
フッ素利用に関しては,利用 直後の爽快感
本の歯科医院は治療中心であることから,必
といったものはないものの,一部の母親は結
要とする治療は十分に供給され
果としての効果については期待も含めて認識
d
a
b
i
l
i
t
y
),すぐに利用できる
をもっている
条件が整っている
(
a
f
f
o
r
ュ
(avai l ab ility)
一方 ,予防 ・ 健康管理はどうであろうか.
最後は,実現因子群である .
ここでは,行動への動機づけがすみ,まさ
図 10 は福岡市民を対象とした街頭調査の結
に行動を起こそうとするときに,受け入れ先
果である. 1"歯科医院で,お口の定期的な健康
が用意されているか,そのような環境整備の
管理を希望されますか ?J
ための法的条件が整っているか,社会が高い
て,市民の 50% 以上が 「希望する」と答えて
優先順位でそれを見守っているかなど,さら
いた 39)
には技能も問題となる.まずは,社会の優先
け入れる場は用意されているのであろうか.
とい う聞いに対し
さて,この予防 ・ 健康管理の希望を受
都市部における小児歯科専門医はすでにリ
性から検討してみよう.
わが国の場合,治療に関する優先性は定期
コールシステムを確立しているが,その中身
的な予防,健康管理よりはるかに高い.保険
をみると,いまだ早期発見 ・ 早期治療を基本
も治療をカバ ー する 「 出来高払い」制度であ
とする治療管理が主流のようである.
り,学校では,毎年の歯科健診の事後処置と
して糊蝕治療が積極的に勧められてきた.
し
かし,本年度より学校歯科健診に CO , GO( 決
成人を対象とした定期的な予防管理態勢は
現在のところ大学病院や特殊な歯科医院以外
にみあたらない .
して早期治療の対象ではなく,積極的な予防
保健所でも一部でフッ素塗布などの予防
管理の対象である )の 要観察の項目ができた
サービスが提供されているが,近接性は劣っ
ことは,定期健康管理態勢づくりへの第一歩
ている
日本で予防や定期健康管理のための affor­
と考えられ Q 36,37).
次に技能をみると,歯科における技能の大
dabi li ty , avai l ab ility の条件は満たされてい
半は,いまもって予防より治療に向けられて
るとはいいがたい 状況にあり,師蝕予防 ,健
いる ー
康管理のための実現因子群は未整備状況に近
では,受け入れ先はどうであろうか.
1432
IDENTALOUTLOOK
、r
~
にー
にー
いといえる
口健保健 における ヘ ルスプロモー ションと新 た な健康教育
定期的な口腔の健康管理を
希 望 しますか?
回 答なし
図 10
1995)
(福岡市民 孟 30 歳 ,
定期的な 口 腔の健康管理希望調査
ションの推進に向けての知識,技能は十分と
. フェイズ 5
運営・政策診断
はいいがたい.一部行会政への勤務もみ ら れる
が,
ここは,プリシ ー ド /プ ロシードの折り返し
1994 年 3 月の時点で 47 都 道府県のうち ,
半数の 23 県については行政勤務の歯科医が
点であり,健康教育の実行を念頭において ,
おらず , 全国 848 の保健所には 79 人の歯科 医
健康教育を進める際に必要な予算,人員など
が勤務しているのみである州 . また,その立場
の資源,障害となる事項,健康教育の推進を
も,健康政策を左右するといった観点からみ
支える政策,あるいは進展の状況に合わせて
ると明らかに弱い
政策の変更が可能か否かなどの各種診断 ・ 評
次は政策および予算を考えたい ー
{町 を 1T う.
8020運動は一般への浸透度が高く,歯科界
まず,
人的資源について観察 してみよう.
が 打 ち 出した久々のヒット作である.
これに
数のうえでは,歯科医および、歯科衛生士は現
は , 国も 1993 年から支援事業として予算処置
状,将来においても不足はない.その配置は
を講じているところである川.
わが国の場合,ほとんどが開業医院として 市
中に分布している .
目的達成への能力につい
さて,
が,
802 0 を“目標 " と表現する人もいる
これを目 標としてと らえた場合,ある種
てみると前述 したよ うに,疾病の存在を前提
問題がありそうである .
とした技能を身につけた集団であり,治療に
政策, WHO の西暦 2000 年までの口腔保健目
関しては十分だが,予防やヘルスプロモー
標 42) と比較する形で考えてみたい .
歯科界のもう 一つの
歯界展望 Vol. 87NO.61996-6
I1433
Argument
8020
(%)
を知ってる人の割合
トLEOE
3
同 ωE
0
0
1
9
9
0
1
9
8
5
1
9
8
0
図 11
6
0
年齢 1 0 - 1920 - 2930 - 3940-4950 -59
世界の 12 歳児の DMFT の変化 (WHO)
図 12
“ 8 02 日"
民,
WHO は 1979 年の段階で,
年限を明らかにし,
2000 年とい う
ライフステージに対応さ
せて 6 つの目標値を掲げている
それを達成
それぞれの国の
するための手段についても,
に振り分けることによってモデノレ事業が行わ
~"1,
どうか? )の 12 歳児の DMFT が 3 以下と な
いま まさ に研究されている最中なのであ
る<1 1 , '1 6)
日本歯科 医 師 会,
都道府県歯科医師会,
域歯科 医 師 会の すべてが,
る企業が,
ま Tこ ,
ETJ
2000 年までに先進国(日本は
を知っている人の割合(福岡市
1
9
9
5)
也
行われており,
また , 途 中経過の評価も折 々に
歳
ても国が 2 , 600 万円の予 算を 各地 ( 10 カ所)
実 状に合わせた形で選択で、きるよ う種々 提示
さ れている 4 3)
60 ー
一 部関連す
この数年間に種々のイベン ト やマ
スコミを通じて 8020 を話題にし , PR に励ん
一方
で きたその結果であろ う,福 岡市でも 20 歳
8 020 運動というと , 歯科界ではめずらしく数
以上の半数が 8020 を知 って い る と答えるま
( 図 11 ) 州.
ることは確実な状況である
値で示されたものであり,
説明しや すさ,
手見
しみやすさをも っている
しカ〉しなカまら,
v 、
つまでに実現さ せ るの か( 実現できるのか )
の目標年限が明 示さ れていない.
そして計主が
でになった 39)
( 図 12 ).
しカ〉し,
言 葉の 普 及,
知識 や 心 がけのみで 8 020 が達成されるとは
考えられない.
人的資源や予算,
政策が必要
なのであるが,
上述 し たように,
それらはい
何を行うかの戦略や戦術が提示さ れてお らず,
まだ 変うべき 状況にある
両者の目標としての趣の違いは明 ら かである ー
わが国の口腔保健は決 し て明るいとはいえな
これら 8 020 運 動の混沌とした内 容からする
と目標のレベノレにはなく ,
“かけ 声 "的 なとら
え方を したほ うが違和感が少ない.
実際に ,
8020 運動も含めて
し当
以上 ,
フェ イズ 1 ~ 5 で ,
わが国の 口腔保
健について,特に麟蝕予防に関して診断 ・ 評
その結果,
日本の口腔保健,
いまだ 8 020 の根拠そのものを研究調査して
価 を試みてきた .
いる段階であったり 45 にその戦 111各,戦術に つい
口腔保健教育で 満たされたもの,
1434
DENTALOUTLOOK
不足するも
口 腔保健 におけるヘルスプ ロモー シ ョ ン と新た な健康教育
のの全体像が見えてきた
まとめると,以下
ば,小 さいものもある.さらに,それらは充
のようになる .
①
知識,技術を与えるのみの古い健康教
育理論に終始し,健康教育の概念や技術の進
歩を歯科界に取り入れてこなかった
②
歯磨きは,ライフスタイルとして定着
した成功例 である.
しかし,踊蝕予防に関す
る科学的な 研究成果が歯磨きの限界を明らか
にしているにもかかわらず,歯磨きに執着し
すぎた.
加 えて,フッ素利 用の有用性などに
無関心を装ってきた .
③
足が容易なものから困難なものまでパラつい
ている.
資源も,時間も有限である
まずは,影響
力が大きく,充足がそれほど困難で‘ないもの
から順次始めていくことになる
もちろん進
めていくうえでの経過評価 は 必 須である.
歯科界において普遍 的 に効果をあげている
ものにフッ素利 用がある.
WHO , FDI
はわが
国の口腔保健に唯一足りな い ものとしてフッ
成果の上がらない口腔保健教育の長す
ぎた歴史のなかで,一般住民の聞に口腔保健
に関してあきらめの心が芽生えてきている
④
最終目標に対して影響力の大きいものもあれ
歯科医の職業としての意識や技能が治
素利用をあげている 27)
どこからみてもフッ
素利用の少なさは明らかである.
第一に,保健関係者がフッ素の正しい知識,
認識をもち(強化 因子群) ,一般住民に対し,
療に集 中し すぎている.それらの総体が反 映
歯磨きやおやつに関する 知識に 加 えて普及し,
して ,
準備因子群を充実してし功、なければならない .
保険制度も永く
維持されており,
「出 来高払しコ」が継続,
これを含む健康へ向けての
法律や環境の整備が遅れている ー
それと同時に,受け入れ先として環境整備,
実現因子群の整備も進めなければならない
すなわち , 地域であれば flu o rid a ti o l1 ,幼稚
. フェイズ 6~ 9
実施, 経過・ 影響 ・
園,学校などの集団の場であればフッ素洗口,
結果評価 (わが国の今後の口腔保健の
家庭ではフッ素配合歯磨剤,歯科医院では
向上 ,
フッ素塗布などができるような環境を整備す
また ,
8020 運動実現に向けて)
る必要がある .
プリシー ド 部分の診断 ・ 評価が終了し,こ
こから健康, QOL へ向けてのフェイズ 6~9
のプロシー ド 部分がスタ ー 卜する.
プリシ ー ド部分で口腔保健にかかわるそれ
これによってフェイズ 2 の疫
学診断で飛び抜けて高いと診断 ・ 評価 された
嗣蝕所有状況の改善が期待される
踊蝕の改善が軌道に乗れば,次は歯を支え
る歯周状況の改善である
読者の多くが理解
ぞれのブロックについて,充足しているもの,
されているように,
不足するものを 明 らかにしてきた
タイルの変容のみでは 解決 し 難い.
ここからは不足するものに対処していかな
ければならないー不足するものそれぞれは,
これは個人的なライフス
これに定
期的な専門家による ca r e を 加 えることが必
要となる .17. '18)
歯界展望 Vo l. 87 No.61
996-6
I1435
Argument
8 020 は PR も必要であろう.
し かし,私は
像を眺めることができるたいへん有用なモデ
ここで聞いたい.1あなたの所属する歯科医師
ルである ー
会が 8 0 2 0 の P R を始めた前後で , あなたは診
のいずれにも応用可能で、ある
J
. PR
このモデノレは,個人,集団,地域
歯科医院への
と同時に歯科
来院者で健康教育がうまく進まない人がいた
医院の診療 内 容が c ure から ca re 重視へと
り,地域歯科保健推進の場面で問題があると
シフトすることが 8 0 2 0 運動にとって必要条
きなどに,このモデルを使っていただきたい.
件 なのである .
その有用性を 実感されることと思う ー
療 内容を変えましたか?
これ ら定期的な専門家による
care が市民,歯科医の両者にとって現実的な
筆者 は,
今を,
個 々の歯科医の工夫ではな
ものとなるためには,政策,法律の整備の一
く,歯科界を一体 ととらえて,あるべき姿を
環である保険制度の変革は避けでは通れない.
想定し,多くの議論を行う時期であると考え
現行の制度上での点数アップも大事でF あろ
ている .
賛否 ,多 くの反応を 期待したい.
うが, 802 0 を視野に入れて制度そのものの改
善を図ることも 必要ではなかろうか.
面において歯科医 師 会 は,
この場
参考文献
専 門家 集団と して
1 ) 厚生統計協会 : 匡l 民衛生の動向
イニシアチブを取るべきである .
90 ~ 93 ,
~)
jt,I: IJ幸孝司,制波
附
3) 吉 133
と栄主主教 11 ,
5)
腔保健の改善,さらには Q OL の改善に向け
て,いままさに,専門家集団としての歯科医
の能力,技術を社会にアピーノレするよい時期
であると考える.このために 何 よりも先に,
歯科医の意識,態度,考え方,行動の変容が
迫られているのではないだろうか.
本稿では,プリシード/プロシードモデルに
当てはめ て,わが国の歯科保{症の歴史,現状
の分析を試み,将来についても若干の検討を
行ニった .
85:3 17~323 , 1
9
9
4
I臨床栄袋,
以内慾夫 : みんなのための PHC 入門.
垣内出版,東京 ,
1
993
品内 Jl'( 夫ほか訳,
へノレス プロモーション
オタワ怨主主.屋内出版,東京,
衆衛生をめざして
垣内出版,東京, 1
995
fI
I
e
a
l
t
h and Human S
e
r
ュ
7
) u S Department o
vi
ces:l
leal
t
hy peop l 巴 2000 Nati
onalhe
a
l
t
hp
r
o
ュ
moti
on and d
i
sease preven
t
ion objec ti ves U S
Gover
nmen
tP
r
int
i
ng Office, v高(ashin g t on , 1
9
9
1
,
,
,
8) 日出子他人,古 川 文 |髭.健康都市政策の展開
m 京,
,
,
でもあり,細部の過不足を考慮、しながら全体
1436
IDENTALOUTLOOK
,
ぎょう
1
9
93
9
) Becker , M , [-[, e
tal
.:A newapp
roacht
oexpl
ai
n
ュ
i
ng s
i
ck-r
ol
e behavi
or i
n I 口、J ー income popu
la
ュ
tions A 1'/'l e円印抑 I 01PlIb
l
i
cf--f.即 lth, 64:205 ~ 2 16 ,
1
9
7
4
.\,へ1 , e
tal
. Heal
t
hed
u
c
a
t
ionplanningA
1
0
) G reen , L
i
el
d Pu
b
l
is
h
i
ng Com
d
iagnos
t
i
c appr oach Mayf
pa ny, Ca lifo rni a , 1980
1
1) Green , L W , andKre ute r , M , VV , :Heal
t
hp r omo ・
t
i
onplanningAneducati
on
a
landenvi
ronmental
approach second e dition , Mayfield Publi
s
h
i
n
g
Compa ny , Ca li fo rni a , 199L
せい,
,
たって 眺 めることができると同時に,僻|激的
WI
IO:
1990
6
) ,i~) 内窓夫ほか訳 : へノレシー ・ シティ ーズ 一新しい公
,
プリシ ード /プ ロ シー ド モデノレは,細部にわ
1
9
9
4
亨 .健康教育と栄徒数育(1)健康教育の歴史
4) 絞田正己 ,
以上述べてきたように,健康に影響する口
35 ・
健康教育 ・ へノレスプロモーショ
ンの 評価篠原出版,東京,
. おわりに
厚生の指標,
1
9
8
8
口腔保健 におけるヘルスプ ロモー ションと新たな健康教育
1 2)
吉田亨:健康学習と
j-f,四 lI h Scie紅白,
1 3) 吉凹
E lll pow e rm e n t .
Edlt catio 河
1
0:8 ~ 1l , 1
9
9
4
亨 ・ プリシード /プロシー ド モデノレ ー健康教
育をめぐる最近の話題保健の科学,
34:870~875 ,
1
9
92
1 4) 厚生省健康政策局歯科f羽生科編:平成 5 年歯科疾患
笑態調査報告一厚生省健康政策局調査 一
1 5 ) 篠井東次 郎 ・ 沖縄 県久米島における地域歯科 保健
データベース の構築
出~~!幸田千;主主;.,
16)
1迎科保健活動 について
平成 6 年度 科学研究補助金 実
l必界展
東京,
医歯車草 出版,
:36)
37:57 0 ~5 7 ), 1
987
615 ・ 1 65 ~ 1 75 ,
最I'l みについて
40)
厚生省健康政策局歯科衛生謀編 ・ 平成 6 年度歯科衛
生 |英| 係資料
EI 本口 l佐保健 協 会,
78 , 1
9
9
5
41) J厚生省健康政策局歯科衛生課編: 平成 5 年度歯 科衛
43:3 1 3~3 1 8 .
生 |北| 係資料日本 口 i佐保健 協 会,
1
993
東 京,
1993 ,
1 38~ 1 '1 7
2 '1) 安藤総ーほか :ク ラウンを施した歯牙の喪失 リ スク
について ー健全歯との比較
1 95 ~2 05 ,
日本歯科評論,
618:
1
9
9
4
25) 森本是正設殴訳,星
昼二 kl;ji 訳生活習仰と俄康
イ フスタ イノレの科学,
1-I BJ 出版 ,東京 ,
ラ
4
2
) Fec
ler
a
ti
on Dent
a
ir
e l
nt
er
n:
.t
ional
e:Gl
obal
. De四 1.
goal
sf
o
roralheal
t
hi
nt
heyear20
0
0
. 11'11
}. , 32:74 ~ 77 , 1
98
2
'1 3)
1
989
{
l
)坂
口腔保健協会,東京, 1993 , 1 4 ~ 1
7
2
7
) Re nson , C
.E
.e
t a.
l:Changi
ng pa
t
t
er
nso
f or
al
heal
t
h an
c
l impl
icat
ions f
or or
al heal
t
hl
l
l
a
n
ュ
power:Par
t1
.1
1
/
.1
.Den
l
.]. , 3
5:235 ~ 251 , 1
985
28) 編集者.フッ化物配 合歯踏 剤の シェア Oral
995
He
al
l
hJOlt円wl, 11:2 , 1
2
9
) FDl: Basi
cf
a
ct
s1
9
9
0
. F DI , Lo nclon , 1
9
9
0
.
|岡市内の幼児およびその保設省を対象とした質問紙
口腔衛生会誌 ,
歯界展望 ,
86
1
995
32) 領国邪臣:フィンランドの歯科保{松活動におけるキ
1986 ,
'1 7 ~ 49
45)
石上和男ほか : 喪失歯数と哩l籾能力の |主l :ìiliについて
口 Ir~~ l羽生会誌,
46)
39:'12 4~ 4 25 , 1
989
8020i証明J 推 進へ
ワークショップ 8 0 2 0 笑 行委員 会 :
のいざない「ワークショップ 8 020 愛知 IJ 報告出
l佐保健協 会,
4
7
)
45:2 57 ~2 65 , 1
9
9
5
ンラン ド歯科医師 会の 般的理由 一
口腔 保健協 会 ,
4
4
) WJ
J
O :The work ofW HO 1992 ~ 1993 Bi
en
n
ial
lO
. G 巴 neva , 1
9
9
3
.
r
epor
lo
fcl irecto r - gene r a l , W I
CP I TN
436 ~ 4 37 ,
48)
東京,
口
1
993
rl" 村謙治ほか : 成人の歯周疾患予 1!151雪印l システム に
おける
立 :なぜキ シ リト ー ノレ製品がよいのか ー フ ィ
538 ~ 544 ,
口腔疾 jむの予防方法と 予 防 プログ
W J-I 0 の指針
37 ~'1 4
30) 筒井昭仁ほか : フッ化物配合歯l語 剤 の使用 状況 ー福
法調査 一
石 井俊文ほか訳
ラム
26) 榊原悠紀庄l 郎ほか:歯科統計資料集 ー 1993 ・ 1994
3 1 ) 鈴木
アンケー ト 制 訟の;f:;!i巣を 中
6, 1
995
口肢衛
38:530~53 1, 1
988
印刷;百生会誌 ,
第 2 報
心 にして日 本口 J~;'.衛生学会九州 地方 会だ より, 17
1
9
9
4
阿附民奈美ほか : 抜去 l遍か らみた歯冠干iIì綴物の辺縁
迎合性と根回紙蝕
にl 佐保健協
1
986
東 京.
39) 柏木伸 一 郎ほか : 編問市に於ける 8020 迎動 の 取り
2 次向再創rFJ~J査から示唆される
22) 石村均ほか : 歯科修復物の労命に つ い て
生会誌,
医 ~:iI市?給に|刻する検討委員会最終意見
会,
39:438~ 439 , 1
9
8
9
歯科評論,
デ
15:607 ~ 6 1 6 , 1
9
95
38) 即生省幽科衛生課 :将来の歯科 医師数 一 将来の歯科
口腔
20) 新庄文明永久歯抜歯の適応の判断に |刻する袈紫
:脱落,
デンタ ノレハ
15:598 ~ 606 , 1
9
9
5
.
ンタノレ ハイジーン,
38:532 ~533 , 1
988
21) :h~,~品 義博ほか
とは何か ー 初JJ抑制蝕への
制度 一 回浦論 文を 問題提起 として受けとめる ー
抜歯 の JJJt 因調査 一郵使剰資 r去を用い
19) 大藤芳樹ほか・神奈川県における抜歯の原因
口腔衛生会誌,
削訂Iì勝彦 : 要観祭 I街 (CO )
3
7
) EEJ 洲勝彦ほか : 健全歯育成に活かしたい CO 1勤認定
37:568~569 , 1
9
8
7
口腔衛生会誌,
口腔術生会
37:4 1 2 ~ 4 1 3 , 1987
イ ジーン ,
口腔衛生会誌,
衛生会誌,
フッ 化物応用 によ
考え方と合理 的 な 対処 法をもとめて ー
17) 鈴木恵三,石 井拓男:北海道 における抜 l過 の辺住l に
こと
誌,
200~204
ての検討,
第 2 報
るう 蝕予防に 対する県民怠識に ついて
望別引 11/口腔保健の最新IfVJ 向
18) 木村年秀ほか
横浜市及びメノレボノレ ンi'1'îにおける小
口 l依術生会誌, 44 ・ '1 82~ 4 83 , 1
9
9
4
3
5
) ~:j\'~ ;:r. I~!fJ文ほか:神奈川県下における永久的初出期の
1
995
基 づ いた今後の世界における口腔'保健政策
ついて
鶴本明久ほか
学生の 保護者の フッ 化物応用に対するな識の比較
デ ビッド ・ エドワード ・ パームス:各国比較研究に
1994 ,
23)
3 4)
口腔保健
1
9
9
5
協 会 ,東京,
シ リト ーノレの利 m 状況 歯界展望, 8
6:5 '1 5 ~ 553 ,
1995
3
3
) Ko b ayash i , S
.e
t al
.:The s
t
at
ls o
ff
l
l
lor
ic
l
e
mOl
l
t
h
r
inse pro
g
r
a
l
l
l
l
l
l
e
si
n ]apan a na
ti
onal
Sl
Ir
vey.Inl
. D仰 1 . ]. , 44:64 1 ~ 647 , 1
9
9
4
の 応用口 Ij"!;~ 待j ~ 会誌 ,
40:
1
990
小林秀 人ほか: 1臨床 予 防歯科にお ける成人の歯科管
I
J
l
! ~手\" 2 報
490 ~ 49 1,
喪失歯の抑制効果一口 I@術生会誌 , 40
1
990
歯界展望 Vol. 87NO.61
996-6
I1437
:
Fly UP