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3.リテールサポート研修の体系

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3.リテールサポート研修の体系
営業担当者のための
リテールサポート研修
中級テキスト
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目 次
はじめに
7
1.なぜリテールサポートを学ぶのか
8
2.リテールサポートとは何か
9
3.リテールサポート研修の体系
10
(1)初級研修のプログラム
10
(2)中級研修のプログラム
11
(3)上級研修のプログラム
11
4.中級講座の目的と考え方・内容構成
12
(1)目的と考え方
12
(2)内容構成
12
第 1 章 経営課題の分析力向上
13
1-1 経営課題分析の目的とポイント
15
1-2 経営環境のSWOT分析
17
1-3 ケーススタディ
20
★ Point! 経営課題の分析力向上
21
2
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CONTENTS
第 2 章 財務課題の分析力向上
23
2-1 財務課題分析の目的とポイント
25
2-2 損益計算書と貸借対照表の構造
27
(1)損益計算書
28
損益計算書 事例
30
(2)貸借対照表
32
貸借対照表 事例
34
2-3 経営指標による財務課題の分析
36
(1)安全性の評価
36
(2)収益性の評価
38
2-4 事例紹介:決算短信を読む
40
2-5 ケーススタディ
41
★ Point! 財務課題の分析力向上
42
3
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目 次
第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-1 商品構成・品揃えの改善
43
45
(1)商品分類の考え方
45
(2)商品構成の分析評価方法
48
(3)品揃えの分析評価方法
50
3-2 売場づくりの改善
52
(1)計画・非計画購買特性への対応
52
(2)消費者視認特性への対応
58
(3)分析評価の方法
60
3-3 販売促進の改善
62
(1)需要増加タイミングの把握と活用
62
(2)価格弾力性の把握と活用
64
3-4 ビジュアル・マーチャンダイジング
66
(1)VMD の概要
66
(2)VP と PP
67
(3)色彩
68
(4)IP
69
★ Point! マーチャンダイジング施策立案力の強化
70
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CONTENTS
第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-1 ストア・コンパリゾンの手法
73
75
(1)ストコンとは何か
75
(2)ストコンの意義
76
(3)比較する項目は何か
77
(4)来店客の特徴の見つけ方
78
(5)価格調査に必要な知識
79
(6)平面(俯瞰)レイアウトの確認
80
(7)品揃えを比較する
81
(8)接客はどうやって比較するか
82
(9)客動線と客単価の調査
83
4-2 商談の進め方
84
(1)商談の目的
84
(2)営業で押さえておきたい情報の種類
85
(3)メッセージの種類と順序
86
(4)商談前に再確認すること
87
★ Point! 商談・提案実行力の強化
88
5
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目 次
第 5 章 ストア・コンパリゾン演習
89
5-1 業種別実施店舗の考え方
91
5-2 調査項目
92
5-3 調査フォーマット例
93
5-4 実施時の注意点
95
★ Point! ストア・コンパリゾン演習
96
6
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はじめに
この章の
構成
1. なぜリテールサポートを学ぶのか
2. リテールサポートとは何か
3. リテールサポート研修の体 系
(1) 初 級 研 修のプログラム
( 2 ) 中 級 研 修のプログラム
( 3 ) 上 級 研 修のプログラム
4. 中級講座の目的と考え方・内容構成
(1) 目的と考え方
(2)内容構成
7
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はじめに
はじめに
1. なぜリテールサポートを学ぶのか
現在、卸売業をとりまく環境は大きく変化しています。小売段階の構造変化が
進むとともに、大手小売業の中でも好調・不調が分かれてきています。また、生
産段階もメーカー同士の経営統合が進んでいますし、原材料・製品の調達ルート
も国内から中国等へシフトしています。
このため、卸売業は生産と小売を連結する自らの流通機能をいっそう強化する
ことが求められています。
卸売業が機能強化を進める上で、特に重要なのはリテールサポートの機能です。
リテールサポートとは、小売店(リテール)に対する支援活動(サポート)のこ
とで、小売店の売場や販売方法、情報収集活動、経営管理等に関して、卸売業や
メーカーが行う支援活動です。
優れたリテールサポート機能を持つ卸売業は、小売業に支持され、継続的に取
引を拡大することが可能です。また、得意先小売業の活性化を通じて自らの卸売
事業を発展させることができます。卸売業が存続し、成長する上で、リテールサ
ポート機能は重要な意味を持っています。特に地域商業に対するリテールサポー
トには、卸売業の事業機会の拡大と地域経済の活性化の観点から、大きな期待が
寄せられています。
地域商業は、近年厳しい経営環境におかれています。しかし、地域顧客の高齢
化が進んだことで、近隣で買物するニーズは強くなっていますし、市街地での住
卸売業の機能強化の必要性
卸売業をとりまく
環境変化
リテールサポート機能への注目
地域商業に対する
リテールサポートの期待
地域商業活性化の
必要性
リテールサポート研修の実施
8
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宅開発も進んでいます。このため、地域商業に対する潜在的な需要が大きくなっ
ていると考えられます。
また、地域商業や商店街は、地域経済・コミュニティにおいて大切な役割を果
たしています。しかし、多くの商店街や中心市街地で空き店舗が増加しているの
が実状です。地域小売店の多くは地元の卸売業を通じて商品を仕入れ、商品や市
場の情報を卸売業から入手しています。地域経済活性化の観点からも、卸売業の
リテールサポートが重要になっているのです。
2.リテールサポートとは何か
リテールサポートの範囲は非常に広く、その内容は多岐にわたります。また、
卸売業者によってそのとらえ方もさまざまです。たとえば売場づくりの支援をリ
テールサポートとしてとらえる見方もあれば、自社が行う活動すべてがリテール
サポートだとする見方もあります。
卸売業がチェーン小売業や地域小売店に対して行うリテールサポートに関して
共通する内容を取り出すと、大きく分けて、マーチャンダイジング支援、情報収
集支援、経営管理活動の支援の 3 つに区分できます。
マーチャンダイジング支援
情報収集支援
経営管理活動の支援
●
店舗・売場診断
●
市場調査
●
経営相談
●
レイアウト提案
●
消費者調査
●
人材育成支援
●
什器開発・提供
●
競合店調査
●
情報システム支援
●
品揃え提案
●
商圏調査
●
棚割提案
●
新商品情報の提供
●
販促企画提案
●
ブランド開発
最も重要なのはマーチャンダイジング支援
これらの活動は、すべてを行わなければならないということではありません。
ひとことでリテールサポートといっても、その活動の内容はどの小売業に対して
も同じであるとは限らないからです。たとえば、チェーン小売業と地域小売店で
は、規模やオペレーション、それぞれが対象とする顧客のニーズの違いなどから、
それぞれが抱える課題には違いがあります。また、地域小売店の中でも、取扱商
品や店舗のおかれた環境等の条件が変われば、抱えている課題も異なるものとな
るでしょう。そのため、卸売業が提供すべきリテールサポート活動も異なったも
9
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はじめに
のとなります。
卸売業は、顧客である小売業が抱える課題に対応した、適切なリテールサポー
トを提供することが必要です。
3.リテールサポート研修の体系
リテールサポート研修は、初級、中級、上級の3つのプログラムで構成されて
います。
リテールサポート研修の目的
営業担当者の
リテールサポート能力開発
小売業の問題/課題が「みえる」
初級
小売業の問題/課題が「わかる」
中級
小売業の問題/課題を「相談できる」
上級
初級はリテールサポートの基本的な知識、中級はリテールサポートの専門的知
識、上級は現場での問題解決力を習得することを目的としています。
各級の目的
リテール
サポート研修
初級
みえる
リテールサポートの基本的知識の習得
中級
わかる
リテールサポートの専門的知識の習得
上級
相談できる
現場での問題解決力の習得
(1)初級研修のプログラム
初級研修のプログラムの概要は、次の通りです。
●目的:小売業の組織・オペレーションに関するリテールサポートの基本的知
識を学ぶ。小売業の問題/課題が「みえる」営業担当者を目指す。
10
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●対象:受講対象者の職種は営業職および営業に関係する内勤スタッフ。
●期間:1日4時間×2日間を標準とする。
●形式:講義形式を基本とする。
●修了認定の方法:研修の最後に修了認定試験を実施する。正答率6割以上を
研修修了者と認定する。
(2)中級研修のプログラム
中級研修のプログラムの概要は、次の通りです。
●目的:リテールサポートの専門的な知識を学ぶ。小売業の問題/課題の原因
が「わかる」営業担当者を目指す。
●対象:受講対象者の職種は営業職および営業に関係する内勤スタッフ。なお、
初級研修の修了者と同等程度の知識・経験を有する実務経験者であること
を受講要件とする。
●期間:1日4時間×3日間を標準とする。
●形式:講義形式に加え、ディスカッション、グループ演習の形式をとる。
●修了認定の方法:研修3日目に修了認定試験を実施する。また、研修終了後
に得意先小売業に対するリテールサポート計画に関するレポートを提出す
る。修了試験、レポートの評点が6割以上である者を研修修了者と認定する。
(3)上級研修のプログラム
上級研修のプログラムの概要は、次の通りです。
●目的:リテールサポートの実践的な問題解決スキルを習得する。小売業の問
題/課題を「相談できる」営業担当者となることを目指す。
●対象:受講対象者の職種は営業職および営業に関係する内勤スタッフ。なお、
中級研修の修了者であることを受講要件とする。
●期間:3 日間を標準とする。
●形式:商店街・地域商業団体の協力を得て、実際の地域小売店に対するリテー
ルサポート改善提案を行う実地研修方式をとる。
●修了認定の方法:提案書を作成し、研修 3 日目に面接試験を実施する。そ
れをもって評価、認定する。
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はじめに
4. 中級講座の目的と考え方・内容構成
(1)目的と考え方
中級講座は、得意先小売業の課題を把握し、マーチャンダイジング施策を提案・
実行するための専門的知識を習得することを目的としています。
リテールサポート専門的知識の習得
得意先小売業の課題を
十分に把握できる
経営課題
分析力
財務課題
分析力
効果的な
マーチャンダイジング施策を
立案し、提案できる
施策
立案力
商談・提案
実行力
(2)内容構成
中級講座の内容は、次のような構成となっています。
1. 経営課題の分析力向上
2. 財務課題の分析力向上
3. マーチャンダイジング施策立案力の強化
4. 商談・提案実行力の強化
5.ストア・コンパリゾン演習(食料品、日用品・化粧品、繊維・衣料品別)
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第1章
経営課題の分 析力向 上
この 章 の
構成
1-1. 経 営 課 題 分 析の目的とポイント
1-2. 経 営 環 境のSWOT分 析
1-3. ケーススタディ
13
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第 1 章 経営課題の分析力向上
第1章 経 営 課 題の分 析力向 上
得意先小売業の経営戦略面の課題を把握するための手法について学びます。
特に、得意先小売業を取りまく環境変化をとらえるためのSWOT分析の手法につ
いて理解します。
1-1. 経営課題分析の目的とポイント
1-2. 経営環境のSWOT分析
1-3. ケーススタディ
14
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1-1 経営課題分析の目的とポイント①
経営課題分析の目的は、得意先小売業の経営戦略課題を体系的に把握して、
効果的なリテールサポートを進めることにあります。
得意先ニーズに合致した
マーチャンダイジング提案
得意先小売業の
経営戦略課題の
体系的な把握
得意先ニーズに合致した
情報提供
15
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第 1 章 経営課題の分析力向上
1-1 経営課題分析の目的とポイント②
経営課題を体系的に把握するには、経営戦略策定の枠組みを利用するのが有効です。
経営理念
強み:S
内部環境分析
弱み:W
機会:O
経営目標
事業ドメイン の策定(再定義)
外部環境分析
全体戦略策定
脅威:T
個別事業戦略策定
(事業部別戦略策定)
機能別戦略
(実 行)
}
営業担当者の
領域
16
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1-2 経営環境のSWOT分析①
SWOT分析では、経営環境(内部・外部)を4つの視点で評価します。自社の
経営環境を把握することが重要であることと同様に、営業担当者は自分の担当し
ている得意先小売業の経営環境を把握することが重要です。小売業の強みと弱
み、脅威と機会を分析し、その結果に基づいた適切な提案を行いましょう。
内部環境
強み(Strengths)
プ
ラ
ス
環
境
企業の魅力・有利な点
今後活かせる部分
弱み(Weaknesses)
機会(Opportunities)
企業にとって有利に
働く外部の条件
企業の短所・不利な点
今後直したい部分
脅威(Threats)
企業にとって不利に
働く外部の条件
マ
イ
ナ
ス
環
境
外部環境
SWOT分析
=
強みと機会
の分析
+
弱みと脅威
の分析
17
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第 1 章 経営課題の分析力向上
1-2 経営環境のSWOT分析②
SWOT 分析の留意点①
内部環境と外部環境について、次のような特に重要な情報が足りない場合には、
分析より先に情報収集に力を注ぐことが大切です。
特に重要な
内部環境
特に重要な
外部環境
経営者の情報
顧客情報
地域の基本情報
見込客情報
従業員の情報
店舗情報
ライバル企業情報
労働環境の情報
18
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1-2 経営環境のSWOT分析③
SWOT 分析の留意点②
SWOT分析において環境要因を機会ととらえるか、脅威ととらえるかは人によっ
て判断が異なることがあります。
弱みや脅威となりうる要因は、前向きな発想で、強みや機会に転じていくように
とらえ直していきましょう。
【例】
従業員の年齢構成を見たら、
60代後半が多いことが分かった。
この経営環境は
強みか弱みか。
【例】
自店のすぐ近くに巨大な
スーパーマーケットができた。
この経営環境は
機会か脅威か。
弱みと見ることもできるが、
すぐれた技術を業界の若手従業員に
伝えていくインストラクターと考えると
強みととらえることもできる。
脅威と見ることもできるが、
それによって来店者が増え、
自店の客数が増え、売上増加に
つながる可能性もあり
機会ととらえることもできる。
19
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第 1 章 経営課題の分析力向上
1-3 ケーススタディ
具体的事例を通じて、経営環境のSWOT分析を行い、小売業への改善提案を
考えてみましょう。
20
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Point!
経営課題の分析力向上
□ 経営課題の分析の目的は何だろうか
□ 経営課題を体系的に把握するには、何を利用するのが
有効か
□ SWOT 分析で評価する4つの視点とは何か
□ SWOT 分析で留意することを挙げてみよう
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第2章
財 務 課 題の分析力向上
この 章の
構成
2 -1. 財務課題分析の目的とポイント
2 -2 . 損 益計算書と貸 借 対 照 表の構 造
(1) 損 益 計 算 書
(2) 貸 借 対 照 表
2 -3 . 経営指標による財 務 課 題の分 析
(1) 安全性の評価
(2) 収益性の評価
2 -4 . 事例紹介:決算 短 信を読む
2 -5 . ケーススタディ
23
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第 2 章 財務課題の分析力向上
第2章 財 務 課 題の分析力向 上
得意先小売業の財務・経営数値面の課題を把握するための手法を学びます。
特に営業担当者として意識すべき財務諸表の見方、財務分析の手法を習得します。
2-1. 財務課題分析の目的とポイント
2-2. 損益計算書と貸借対照表の構造
2-3. 経営指標による財務課題の分析
2-4. 事例紹介:決算短信を読む
2-5. ケーススタディ
24
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2-1 財務課題分析の目的とポイント①
財務課題分析の目的は、得意先小売業の財務・経営数値面の課題を客観的に
把握するとともに、得意先の数値目標を意識した効果的なリテールサポート策
を提案・実施することにあります。
得意先の数値目標を意識した
マーチャンダイジング提案
得意先小売業の
財務課題(経営数値)の
客観的な把握
得意先の数値目標を意識した
情報提供
経営管理面の支援ニーズ
への対応
得意先に対する
信用付与・安全性のチェック
25
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-1 財務課題分析の目的とポイント②
財務課題分析のポイントは、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)
の基本構造を理解することと、特に重要な安全性・収益性の経営指標の見方・
使い方を知ることです。
損益計算書(P/L)の構造と意味
財務諸表の理解
貸借対照表(B/S)の構造と意味
安全性指標の見方
経営管理指標の理解
収益性指標の見方
26
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2-2 損益計算書と貸借対照表の構造
損益計算書(Profit & Loss Statement)はある期間の損益フロー、貸借対
照表(Balance Sheet)はある時点の資産ストックを意味します。
平成22年
4月1日
平成23年
3月31日
1年間の儲けは?
今、いくら持っているか?
損益計算書(P/L)
貸借対照表(B/S)
27
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-2 損益計算書と貸借対照表の構造 (1)損益計算書
損益計算書では、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益に注目します。
損益計算書の概要
簡略損益計算書
売上高
売上原価
売上総利益
販売費・一般管理費
営業利益
営業損益計算
営業外収益
営業外費用
経常利益
経常損益計算
特別利益
特別損失
税引前当期純利益
法人税等
当期純利益
純損益計算
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29
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第 2 章 財務課題の分析力向上
損益計算書 事例
(単位:百万円)
前連結会計年度 (自 平成19年4月1日 至 平成20年3月31日) 売上高
売上原価
※1
※1
※1
売上総利益
営業収入
営業総利益
販売費及び一般管理費
配送費
広告宣伝費
給料及び手当
賞与引当金繰入額
退職給付費用
役員退職慰労引当金繰入額
水道光熱費
地代家賃
リース料
減価償却費
その他
営業利益
営業外収益
受取利息
受取配当金
その他
営業外費用合計
経常利益
※1
※1
55,931
199,732
142,175
57,556
7,969
8,554
63,901
66,110
3,531
2,055
24,035
1,706
1,327
19
3,084
6,928
1,539
2,393
9,464
3,807
1,980
24,889
1,795
1,128
18
3,442
7,063
㸢
56,086
57,941
2,557
11,259
7,814
8,168
184
4
76
営業外収益合計
営業外費用
支払利息
50周年式典費用
その他
※1
194,283
138,352
販売費及び一般管理費合計
当連結会計年度 (自 平成20年4月1日 至 平成21年3月31日) 183
4
65
266
254
201
38
37
247
㸢
33
277
281
7,803
8,142
30
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(単位:百万円)
特別利益
賃貸借契約違約金収入
関係会社株式売却益
その他
前連結会計年度 (自 平成19年4月1日 至 平成20年3月31日) 当連結会計年度 (自 平成20年4月1日 至 平成21年3月31日) ※2
特別利益合計
特別損失
固定資産除却損
投資有価証券評価損
減損損失
債権償却損
商品券回収損引当金繰入額
店舗閉鎖損失
その他
特別損失合計
㸢
83
㸢
22
※2
106
552
80
632
※3
※5
※4
94
42
109
39
16
㸢
110
※3
※5
※4
88
㸢
366
㸢
㸢
314
187
413
957
税金等調整前当期純利益
7,496
7,817
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
3,188
42
3,247
△179
法人税等合計
3,231
3,068
少数株主利益
37
43
4,227
4,706
当期純利益
31
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-2 損益計算書と貸借対照表の構造 (2)貸借対照表①
貸借対照表では、資産・負債・自己資本のバランスに注目します。
貸借対照表の概要
簡略貸借対照表
負債の部=他人資本
資産の部=総資本
そのお金は
今どうして
いるか
流動資産
流動負債
固定負債
=
純資産の部
純資産
自己資本
固定資産
どこから
お金を
調達
してきたか
32
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2-2 損益計算書と貸借対照表の構造 (2)貸借対照表②
現金・預金
負 債
在庫
土地・建物
資 産
借りてきた
出資してもらった
純資産
誰かに貸した
自分で稼いだ
33
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第 2 章 財務課題の分析力向上
貸借対照表 事例
(単位:百万円)
資産の部
流動資産
現金及び預金
売掛金
たな卸資産
商品及び製品
原材料及び貯蔵品
繰延税金資産
その他
貸倒引当金
前連結会計年度 (平成20年3月31日) 当連結会計年度 (平成21年3月31日) 6,025
1,636
5,139
㸢
㸢
17,150
※2
建物及び構築物(純額)
17,028
0
△0
0
△0
0
0
4,355
△3,052
4,470
△3,180
1,302
※2, ※3
10,104
㸢
㸢
有形固定資産合計
資産合計
16,606
2,597
△180
2,417
699
3,164
28,882
40,507
738
553
無形固定資産合計
投資その他の資産合計
1,290
※2, ※3
㸢
リース資産(純額)
建設仮勘定
固定資産合計
36,481
△19,452
16,775
工具、器具及び備品(純額)
投資その他の資産
投資有価証券
長期貸付金
繰延税金資産
差入保証金
その他
※2
35,675
△18,900
車両運搬具(純額)
工具、器具及び備品
減価償却累計額
無形固定資産
借地権
その他
15,552
車両運搬具
減価償却累計額
土地
リース資産
減価償却累計額
3,942
139
1,077
3,081
㸢
1,015
3,334
△0
流動資産合計
固定資産
有形固定資産
建物及び構築物
減価償却累計額
5,587
1,723
㸢
602
511
1,292
1,113
※2
※2
481
18
960
※2 14,454
※1 2,064
497
12
975
※2 13,155
※1 1,986
17,977
16,627
48,152
58,248
65,302
73,800
34
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(単位:百万円)
負債の部
流動負債
買掛金
短期借入金
1年内返済予定の長期借入金
リース債務
未払費用
未払法人税等
未払消費税等
賞与引当金
商品券回収損引当金
その他
前連結会計年度 (平成20年3月31日) 当連結会計年度 (平成21年3月31日) ※4
※2
※2
評価・換算差額等合計
純資産合計
負債純資産合計
1,725
18
※2 875
25,302
※2
4,588
㸢
※3 87
1,245
269
5,054
549
11,794
6,258
2,328
※3 68
1,259
255
5,456
569
16,197
36,790
41,500
株主資本合計
少数株主持分
11,729
2,100
2,629
307
4,206
1,710
㸢
固定負債合計
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
土地再評価差額金
※2
24,996
負債合計
純資産の部
株主資本
資本金
資本剰余金
利益剰余金
自己株式
※4
4,061
1,911
219
1,709
18
※2 754
流動負債合計
固定負債
長期借入金
リース債務
再評価に係る繰延税金負債
退職給付引当金
役員退職慰労引当金
預り保証金
その他
12,230
2,050
2,041
㸢
4,199
3,606
27,138
△1,377
4,199
3,606
30,700
△1,381
33,567
37,125
※3
26
△5,320
△5,293
※3
△7
△4,991
△4,998
237
173
28,511
32,300
65,302
73,800
35
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-3 経営指標による財務課題の分析 (1)安全性の評価①
安全性について、次の経営指標で評価します。
1. 自己資本比率=自己資本÷総資本
総資本のうち、返さなくてもよい自己資本がどのくらいあるか
2. 流動比率=流動資産÷流動負債
1年以内に支払わなければならない借金に対して、すぐに現金化できるものはど
れぐらいあるのか
3. 固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)
土地や建物などの固定資産が固定負債と自己資本で、どの程度まかなわれている
か、すなわち投資に無理がないか
36
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2-3 経営指標による財務課題の分析 (1)安全性の評価②
流動比率と固定長期適合率
お金の使い道
1年以内に現金化
できる資産
流動資産
お金の調達
対比 流動負債 1年以内に返す借金
固定負債 1年以上かかる借金
長期保有することに 固定資産 対比
純資産 返さなくてもいいお金
なっている資産
(株主資本) ≒(自己資本)
流動比率
固定長期
適合率
左右はセット
①
流動資産
流動負債
② 流動資産
流動負債
流動資産
流動負債
③
100%以上
固定負債
100%以下
資金余力あり
固定資産
100%
資金余力ゼロ
固定資産
固定負債
純資産
固定資産
固定負債 100%以上
純資産
100%以下
資金繰りに
毎月追われる
純資産
100%
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-3 経営指標による財務課題の分析 (2)収益性の評価①
総合的な収益性は、総資本経常利益率で評価します。
総資本
(%)
経常利益率
経常利益
=
総資本
×100
分解
売上高
(%)
経常利益率
×
総資本
(%)
回転率
経常利益
売上高
売上高
総資本
×100
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2-3 経営指標による財務課題の分析 (2)収益性の評価②
総資本経常利益率は、売上高経常利益率と総資本回転率の2指標に分解し、時
系列で分析すると、傾向が評価しやすくなります。
(A社)収益性向上パターン
2003
2001
2006
2004
総資本回転率
総資本回転率
2005
(B社)収益性悪化パターン
2000
2002
2001
2003
2002
2004
2005
2000
2006
売上高経常利益率
売上高経常利益率
39
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第 2 章 財務課題の分析力向上
2-4 事例紹介:決算短信を読む
40
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2-5 ケーススタディ
別途配布の資料を参照してください。
41
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第 2 章 財務課題の分析力向上
Point!
財務課題の分析力向上
□ 財務課題分析の目的は何だろうか
□ 損益計算書と貸借対照表が意味するものは?
□ 損益計算書で注目すべき項目について挙げてみよう
□ 貸借対照表では、何に注目するとよいだろうか
□ 安全性について評価する際の経営指標を3つ挙げてみよう
□ 流動比率と固定長期適合率から、何が分析できるだ
ろうか。また、そのパターンについて理解したか
□ 総合的な収益性を評価する指標を挙げてみよう
□ 収益性の評価をしやすくするためには、どうすれば
よいだろうか
42
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第3章
マーチャンダイジング施策立案力の強化
この章 の
構成
3-1. 商品 構 成・品 揃えの改善
(1) 商品分類の考え方
( 2 ) 商品構成の分析評価方法
( 3 ) 品 揃えの分析評価方 法
3-2. 売場づくりの改善
(1) 計 画・非計画購買特性への対 応
( 2 ) 消費者視認特性への対応
( 3 ) 分析評価の方 法
3- 3 . 販売 促 進の改 善
(1) 需 要 増 加タイミングの把 握と活用
( 2 ) 価格弾力性の把 握と活用
3- 4 . ビジュアル・マーチャンダイジング
(1) VMDの概要
( 2 ) V PとP P
(3)色彩
(4)IP
43
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
第3章 マーチャンダイジング施策 立 案力の強 化
マーチャンダイジング改善提案に関して、顧客視点での施策立案の考え方と、客観
的に事実を評価するための手法を学びます。
3-1. 商品構成・品揃えの改善
3-2. 売場づくりの改善
3-3. 販売促進の改善
3-4. ビジュアル・マーチャンダイジング
44
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3-1 商品構成・品揃えの改善 (1)商品分類の考え方①
売場の商品分類(グルーピング)が、顧客の基準と一致することが重要です。
《顧客の基準とグルーピングが不一致》
顧客の視野に
入る商品群
選択の
対象
となる
商品群
視認集合
顧客が
同一グループ
と見なしている
商品群
想起集合
選択集合
《顧客の基準とグルーピングが一致》
選択集合
購買チャンスup
視認集合
想起集合
45
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-1 商品構成・品揃えの改善 (1)商品分類の考え方②
商品分類(グルーピング)は、「顧客(消費者)にとっての買いやすさ」を
決める最も重要なテーマです。
顧客の想起集合と売場の視認集合とを一致させることが必要
想起集合:顧客が同一グループと見なしている商品群
視認集合:顧客の視野に入る商品群
選択集合:選択の対象となる商品群 (想起集合と視認集合が一致している商品群)
商品分類のカテゴリー定義
顧客のニーズに照らして、補完性あるいは代替性があり、判別可能で、管理可能な製品ある
いはサービスの集まり
46
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3-1 商品構成・品揃えの改善 (1)商品分類の考え方③
顧客の商品選択基準をもとに、商品分類の樹形図(CDT:コンシューマー・
ディシジョン・ツリー)を作成します。これは顧客がカテゴリー内の商品群を
区分する基準で、同じ基準の商品を並べるといった品揃えに活用できます。
CDTは、消費者調査やデータ分析に基づいて作成します。
・消費者調査:実際の商品・写真を消費者にみせて、分類してもらう
・データ分析:POS購買履歴データを分析して、分類を形成する
炭酸飲料
レギュラー
コーラ
NB
PB
ダイエット
コーラ以外
NB
PB
コーラ
NB
PB
コーラ以外
NB
PB
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-1 商品構成・品揃えの改善 (2)商品構成の分析評価方法①
商品分類別に売上金額・数量の構成比と増減率をそれぞれ集計し、どの商品
分類に改善機会があるかを把握します。
得意先の状況
市場・競合の状況
商品分類別の
売上構成比、売上増減率
ギャップ分析
改善機会の把握
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3-1 商品構成・品揃えの改善 (2)商品構成の分析評価方法②
カテゴリー全体の得意先小売業の実績と市場実績とのギャップを把握します。
・サブカテゴリー別の売上構成比、売上増減率
構成比と増減率を比較して、改善機会を把握します。
次の表から、得意先小売業の改善機会について考察してみましょう。
09年3月−8月インスタントカレー サブカテゴリー別金額・点数集計表
項目
カテゴリー
全体
カテゴリー内 実数構成比
得意先小売業
市場
増減率(前年同時期対比)
得意先小売業-市場
(ポイント)
得意先小売業
市場
得意先小売業-市場
(ポイント)
売上金額
100%
100%
−
−6.3%
−1.6%
−4.7%
辛口
15.7%
21.1%
−5.4%
−24.1%
−6.8%
−17.3%
中辛
54.8%
45.8%
9.0%
2.9%
−3.8%
6.6%
甘口
20.6%
22.2%
−1.6%
−9.7%
4.3%
−14.0%
8.8%
10.9%
−2.1%
−10.4%
7.8%
−18.2%
100%
100%
−
−12.2%
−1.6%
−10.6%
辛口
15.1%
20.9%
−5.7%
−31.7%
−6.4%
−25.3%
中辛
55.2%
45.8%
9.4%
−3.4%
−4.3%
0.9%
甘口
21.9%
23.5%
−1.6%
−16.3%
3.7%
−20.0%
7.7%
9.8%
−2.1%
−7.6%
11.4%
−18.9%
ハヤシ
全体
売上点数
ハヤシ
49
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-1 商品構成・品揃えの改善 (3)品揃えの分析評価方法①
品揃えアイテム別の売上金額を集計し、売上ABC分析を行います。それに
よってどの商品分類に改善機会があるかを把握します。
得意先の状況
市場・競合の状況
品揃えアイテム別の
売上ABCランク
ギャップ分析
改善機会の把握
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3-1 商品構成・品揃えの改善 (3)品揃えの分析評価方法②
得意先小売業の売上ABC分析結果を市場(競合)の売上ABC分析結果と
合わせることにより、単品を客観的な基準で評価できます。
得意先の状況
Aランク
市場
(競合)
ランク
Aランク
Bランク
売れ筋
売り方検討
スペース確保
Cランク
取扱無し
売り方検討
導入候補
Bランク
PB
Cランク
(データ無し) 地元商品等
カット候補
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応①
顧客の購買行動の特性を反映した売場づくりが重要です。
買物出向動機・ニーズ
店外意思決定
商品カテゴリー選択
商品ブランド選択
小売店舗選択
店内意思決定
商品カテゴリー(売場)選択
商品ブランド選択
非計画購買
カテゴリー計画購買
ブランド計画購買
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3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応②
顧客の「計画購買」と「非計画購買」を促進するような工夫を行いましょう。
「計画購買」
来店前に
購入商品を
決めて買う
「非計画購買」
来店前に
購入商品を
決めずに、
店内で決めて
買う
カテゴリー計画購買
ブランド計画購買
目的商品へ
スムーズに
誘導する売場づくり
想起購買
関連購買
条件購買
店内の客動線、
立寄・視認を
高める
売場づくり
衝動購買
53
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応③
スーパーマーケット等のセルフサービス店では、非計画購買を促進すること
が特に大切です。
スーパーマーケットにおける購入商品の内訳(生鮮品除く)
ブランド計画
12.5%
6.7%
カテゴリー計画
代替購入
0.6%
非計画
80.2%
出所:財団法人流通経済研究所(2006)
54
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3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応④
動線長(店内移動距離)が長くなると非計画の買上個数が増えます。
・非計画購買:売場で購買を決定
・店内での情報接触が鍵となる(棚割、プロモーションとの連携)
《スーパーマーケットでの店舗内購買行動に関する調査結果》
非計画購買個数
総購買個数
計画購買個数
動線長
動線が長くなるほど、
「非計画購買」商品が
増える
出所:財団法人流通経済研究所
55
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応⑤
「目的の売場に誘導する」、「客動線長を伸ばす」双方の目的を達成するた
めに、「パワーカテゴリー」を軸にしたフロア配置を考えます。
・パワーカテゴリー:カテゴリーの計画率が高く、購買率も高い商品群
露出や訴求が
重要な
カテゴリー
カテゴリー購買率
目立つところに
おけば売れる
カテゴリー
Bタイプ
Aタイプ
もう1品型
パワー
カテゴリー型
Dタイプ
Cタイプ
店内露出重視型
店外露出重視型
マグネットに
なるカテゴリー
来店促進が
重要な
カテゴリー
カテゴリー計画率
出所:財団法人流通経済研究所
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3-2 売場づくりの改善 (1)計画・非計画購買特性への対応⑥
マグネット(パワーカテゴリー)を分散配置して動線をコントロールします。
・スーパーマーケットの場合、売場外周の生鮮コンコースから、店舗奥まで顧客を誘導する役目を担う。
レジ
マグネット
(パワーカテゴリー)
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-2 売場づくりの改善 (2)消費者視認特性への対応①
消費者の自然視野の範囲は、視認されやすいため、ゴールデンゾーンでは売
上が高まります。棚段別の視認性・販売力を考慮して、棚割を作成することが
重要です。
自然視野
棚の高さ
10度
ゴールデンゾーン
30度
販売力
出所:財団法人流通経済研究所
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3-2 売場づくりの改善 (2)消費者視認特性への対応②
陳列棚において、フェイス数が多いと視認性が高まります。そのため、フェ
イス数の増加は売上増をもたらします(フェイス効果)。フェイス効果を考慮
し、商品別のフェイス数を決定することが重要です。ただし、フェイス数を2
倍に増やしても、売上が2倍になるわけではありません。
売 上 高
1
2
3
4
5
フェイス数
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-2 売場づくりの改善 (3)分析評価の方法①
店内の客動線を調査して、売場(部門・カテゴリー)別の通過・立寄・買上
の状況を分析評価します。
商品買上
商品視認
売場立寄
売場通過
入店
調査例
入店する
売場前を
通る
売場に
立ち寄る
商品を
手に取る
カゴに
入れる
80人
40人
16人
8人
4人
100%
50%
20%
10%
5%
60
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3-2 売場づくりの改善 (3)分析評価の方法②
売場(部門・カテゴリー)別の買上状況は、PI値を比較することで評価す
ることができます。
PI値(Purchase Incidence)とは、来店客1000人あたりの販売点数・金
額を意味しています。
点数PI = 販売点数÷来店客数×1000
金額PI = 販売金額÷来店客数×1000
<対象店>
<比較店>
AカテゴリーのPI値
AカテゴリーのPI値
店舗間比較
カテゴリー間比較
BカテゴリーのPI値
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-3 販売促進の改善 (1)需要増加タイミングの把握と活用①
小売業の商品売上変化を説明する要因は、以下のようにまとめられます。
マーチャンダイジング要因
商品力要因
ブランド力が売上に与える影響
価格要因
売上と利益をバランスさせる適正売価
品揃え要因
レイアウトと売場配置
品揃えの幅の広さと深さ、ブランド数のバランス
投入時期要因
新規商品の売場投入の
スピード、タイミング
マーケティング要因
売上変化要因
店内要因
レイアウトと商品のくくりのコンセプト
陳列要因
陳列方法とスペース
陳列位置とフェイス数と棚割
販促要因
販促方法と内容
チラシ、エンド、デモ販、
クロスMDの効果
コントロール可能
購買促進・阻害要因の抽出
店外要因
コントロール不可
気候要因
季節、天候、温度、湿度の
変化と売上の相関
社会的地域要因
売場管理要因
マネジメント要因
品切れ、クリンリネス、売価管理、
POP等の徹底度
商品管理要因
商品鮮度のレベル
接客管理要因
販売員の商品知識、接客能力
ロジスティック要因
未納・遅滞なく納品されているか
競合要因
競合業態の数・立地、競合店の販促
消費者の購買時の心理と行動
社会行事と店別・地域ニーズ
行事と地域ニーズ特性と
店舗の位置づけ
曜日・月間等の売上傾向
時系列の売上向上
メーカーのマーケティング要因
メーカーの広告、宣伝の有無、状況
顧客要因
顧客属性、購買行動・慣習、
商品別商圏の広狭
販売促進計画立案の
前提条件となる要因
出典:田島義博『インストア・マーチャンダイジング』
62
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3-3 販売促進の改善 (1)需要増加タイミングの把握と活用②
以下のグラフは、社会的行事、季節要因による需要変化の例です。AとBは
それぞれ、プレミアムアイス、ファミリーアイスのどちらをあらわしているで
しょうか。
300
250
金額PI指数︵基準値
200
150
︶
100 100
50
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
月・52週週番号
A
B
出所:財団法人流通経済研究所
63
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-3 販売促進の改善 (2)価格弾力性の把握と活用①
値引きを行う際には、価格弾力性を考慮して、「効果的な商品」と「利益の
確保」を考えることが大切です。
・価格弾力性とは、売価を一定割合変化させたときに販売数量が変化する割合を指す。カテゴリー
やアイテムの商品力により異なる
・価格弾力性の低い商品は、値引きに向かない
売上数量
価格
=
弾力性
ファミリー
カレー
ハヤシ
ライス
プレミアム
カレー
価格
弾力性
−4
価格
弾力性
−3
価格
弾力性
−2
1.00
1.000
1.000
1.000
0.99
1.041
1.031
1.020
0.95
1.228
1.166
1.108
0.90
1.524
1.372
1.235
1.0
0.85
1.916
1.628
1.384
0.5
0.80
2.441
1.953
1.563
0.0
価格
掛け率
価格弾力性−4
販売数量の変化率(%)
価格の変化率(%)
価格弾力性−3
価格弾力性−2
3.0
2.5
売上指数
値引き
2.0
1.5
0.80
0.85
0.90 0.95
価格掛け率
0.99
1.00
価格弾力性−4
=1%の値引きで4%売上が上昇
64
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3-3 販売促進の改善 (2)価格弾力性の把握と活用②
価格訴求を頻繁に行っていると商品の価格弾力性が高まり、通常の売価では
売れにくくなります。そのため、商品を売るためにさらに価格訴求へ向かうと
いう悪循環に陥る可能性があります。
弾力性の高い商品
弾力性の低い商品
・差別化されている
機能・性能
ブランド
・差別化の程度が低い
コモディティ
etc…
etc…
価格訴求を高頻度で実施
価格弾力性の上昇
65
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-4 ビジュアル・マーチャンダイジング (1)VMDの概要
ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)とは、「商品販売政策と売場
での視覚的な提案を統一して店づくりを行うこと」といえます。VMDによる
売場づくりの手法はVP、PP、IPに区分されています。
VP : ビジュアル・プレゼンテーション
ウィンドウやお店の入口部分などに「ストアメッセージ、シーズンテーマ、
ファッショントレンド」などを表現することをいいます。
PP : ポイント・オブ・セールスプレゼンテーション
IPの近くに、VPに基づいてポイント的に表現することをいいます。
IP : アイテム・プレゼンテーション
売場の什器や器具に商品を見やすく、わかりやすく、選びやすく表現する
ことをいいます。
フェイスアウト PP
ルーム
棚
IP
トルソー
PP
レジカウンター
棚
IP
フィッティング
ラック陳列 IP
トルソー
PP
棚演出 PP
VP
入口
マネキン
マネキン
ショーウィンドウ
66
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3-4 ビジュアル・マーチャンダイジング (2)VPとPP
VPとPPには、より演出効果が求められ、「ディスプレイ」と表現される
こともあります。ディスプレイにはいくつかの構成方法があり、最も基本的な
商品構成には「三角構成」と「反復構成」があります。
三角構成
・安定感と変化を演出するのに
効果的な方法
反復構成
・リズム感とまとまり感を演出
するのに効果的な方法
67
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
3-4 ビジュアル・マーチャンダイジング (3)色彩
VMDでは、商品、売場が来店客にとって美しく、魅力的に感じられるよう
にすることが必要です。その際、色の組み合わせが重要な意味を持ちます。色
の規定はさまざまですが、明度、彩度、色相によって表現する「マンセル・カ
ラー・システム」があります。
詳細は巻末のカラー資料を参照してください。
▶色相と色相環
→カラー資料1
▶明度と彩度
→カラー資料2
68
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3-4 ビジュアル・マーチャンダイジング (4)IP
IPは、棚什器やハンガーラックなどに陳列される部分を指し、店舗の面積
の多くを占める品揃え部分の陳列方法に該当します。「シーンやテーマ別」、
「アイテム別」に陳列する場合もありますが、重要となる「色彩別」に陳列す
る基本テクニックを確認します。
詳細は巻末のカラー資料を参照してください。
▶ラック
→カラー資料3
▶棚
→カラー資料4
69
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第 3 章 マーチャンダイジング施策立案力の強化
Point!
マーチャンダイジング施策立案力の強化
□ 商品分類と顧客の関係について説明してみよう
□ CDT(コンシューマー・ディシジョン・ツリー)の
作成、活用方法を説明してみよう
□ 商品構成の分析評価で用いられる指標は何か?
またそこから何がわかるだろうか
□ 品揃えの分析評価で用いられる指標は何か?
またそこから何がわかるだろうか
□ 売場づくりで、「非計画購買」を促進するための方法を
「客動線長」と「マグネット」を用いて説明してみよう
□ 顧客の視認性を高めるためには、どうすればよいだろうか?
□ 買上状況の分析評価指標を挙げてみよう
□ 商品の売上変化の要因を大きく分けて 3 つ挙げてみよう
□ 価格弾力性と値引きの関係について説明してみよう
□ ビジュアル・マーチャンダイジングによる売場づくりの
方法を挙げてみよう
70
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71
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第4章
商談・提案 実 行力の強 化
この 章 の
構成
4-1. ストア・コンパリゾンの手法
(1) ストコンとは何か
(2) ストコンの意義
(3) 比較する項目は何か
(4) 来店客の特徴の見 つけ方
(5) 価格調査に必要な知 識
(6) 平面(俯瞰)レイアウトの確 認
(7) 品揃えを比較する
(8) 接客はどうやって比 較 するか
(9) 客動線と客単価の調 査
4-2. 商 談の進め方
(1) 商談の目的
(2) 営業で押さえておきたい情報の種 類
(3) メッセージの種 類と順序
(4) 商談前に再確認 すること
73
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
第4章 商 談・提 案 実 行力の強 化
得意先小売業に対して提案実行する際に重要となる、実際の店舗・売場の状況を他
店と対比して事前に把握する方法と、効果的な商談を行う方法について学びます。
4-1. ストア・コンパリゾンの手法
4-2. 商談の進め方
74
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4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (1)ストコンとは何か
ストア・コンパリゾンとは、店舗比較(見学)のことですが、小売店にとっ
ては自店と他店を実地に見て調査し、自店の販売方針を改善するために行うも
のです。
一方、顧客の側に立ってみると、ストア・コンパリゾン(ストコン)とは、
顧客が店舗をどのように見ているか知り、比較することです。
<頻度と価格の軸で分類した店舗タイプ例>
高価格
宝石やスーツなど
値の張るものは
気に入った店で
比較しなければ
いい店も悪い店もない
低頻度
週末に家族で来てまとめ
買いをするための店
食料品だけでなくいろんな
モノがあって便利
ちょっと高いけどお肉は
このお店に決めている
あまりたくさん買わない
けれど、ほとんど毎日
買物に来るいわば
「わが家の台所」
高頻度
どこよりも安いこと
がこのお店の価値
とにかく値段
低価格
75
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (2)ストコンの意義
営業活動においては、店舗のクセ・特徴をすばやく見抜く能力を養うことが
重要です。
<ストコン不足、店舗知らずの営業の反応>
<店舗のメカニズムに通じた営業の洞察>
数字(POSデータ)の表現していること
が理解できない
コーザルデータとPOSデータの因果
関係がわからない、類推できない
MD提案(品揃え、棚割、販促)が
リアリティの不足したものになる
76
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4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (3)比較する項目は何か
感覚だけで定性的な比較をするのではなく、見えること、数えられることだけ
で比較します。
Invisible(見えない)
Impression(印象)
Visible(見える)
商 品
美味い/不味い、商品良い/悪い
新鮮/新鮮ではない
接 客
接客態度が良い/悪い
レイアウト・陳列
バックヤード在庫
客 層
主婦/非主婦、年収高/低
ライフスタイル
店舗自体
感じ良い/悪い、都会的/ダサい
77
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (4)来店客の特徴の見つけ方
店内で注意してみるべきポイントは以下の4つです。
時間帯別入店客数
平日の昼間・・お客はいない
平日なら昼前、16:00前後から
24時間営業なら21:00以降も大事
単独か家族連れか
休日の家族連れを観察
家族人数と購入品目をチェック
客 単 価
カート(かご)の中身を見るだけでなく
レシートを数枚集めてみる
若い / 中年 /年配
見た目だけでは年代は特定できない
が3分類程度はわかる
78
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4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (5)価格調査に必要な知識
プライスラインとプライスポイントを確認します。
7
陳列量︵フェイス数︶
5
プライスポイント
売価の種類
プライスライン
値ごろ
最も良く売れる売価
4
3
陳列量︵フェイス数︶
6
(例) A
(例) B
プライスポイント
2
価格
1
0
70
プライスポイントに対して・・・
80
90
100 110 120 130 140 150 160 170
プライスゾーン
価格
価格上限と下限の範囲
高い価格帯の商品のフェイス数が多い
低い価格帯の商品のフェイス数が多い
プライスポイント同じ場合
全体的に価格が高い印象
全体的に価格が安い印象
カテゴリー内での最低価格∼最高価格
SKU数 (プライスライン数)
最も多く陳列されている商品をチェックする(比較する)
※通常の特売は比較対象にして良いが、見切り処分は対象から外す
79
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (6)平面(俯瞰)レイアウトの確認
◆俯瞰的に見る
・客動線に接している
場所が
優位置
◆立面で見る
①ゴンドラの高さ
・ゴールデンゾーンの違い
・お年寄り、子供への配慮
②エンドのテーマ
・季節、歳時演出
・プロモーション(チラシ)
商品の見せ方
目的買い
衝動買い
衝動買い
目的買い
③POPの有無
・見やすいか
・一番強調している
メッセージは何か
(新発売、激安・・・)
80
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4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (7)品揃えを比較する
品揃えは店舗の性格を決定します。
<SKU数>
〔例〕
スープ
中華・エスニック
パスタ
だしの素
マヨ・ドレ
計
A店
中華・エスニック
パスタ
だしの素
マヨ・ドレ
計
C店
68 80 68
90 90 65
70 85 50
40 35 40
80 70 65
348 360 288
<SKU構成比>
〔例〕
A店
スープ
B店
B店
C店
D店
E店
5店平均
120 100 87.2
140 65 90.0
100 85 78.0
80 60 51.0
120 65 80.0
560 375 386.2
D店
E店
19.5% 22.2% 23.6% 21.4% 26.7%
25.9% 25.0% 22.6% 25.0% 17.3%
20.1% 23.6% 17.4% 17.9% 22.7%
11.5% 9.7% 13.9% 14.3% 16.0%
23.0% 19.4% 22.6% 21.4% 17.3%
100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
5店平均
22.7%
23.2%
20.3%
13.1%
20.8%
◇当該5カテゴリーに関して
D店は品揃え数で他店を圧倒
D店=デスティネーション
コンセプト店
◇5カテゴリー中の
重点カテゴリー
A店=中華、マヨドレに重点
B店=パスタに重点
E店=スープ、だしの素に重点
C店・D店=平均的構成
※架空のデータ 尺数、段数は除外
デスティネーション、プリファード(優先)、ルーチン(日常)、コンビニエンス(ついで買物)
81
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (8)接客はどうやって比較するか
接客(サービス)の好悪はコスト管理レベルを表しているともいえます。
<チェック箇所>
<ポイント>
<影響する要因>
1.レジ台数
何台中何台稼動中か
レジの適性台数
2.レジ待ち時間
何時に何人並んでいるか
キャッシャーの人数・時間管理
3.欠品の有無
昼前、16:00前に
品切れしていないか
パートの人数・時間・労働生産性管理
4.クリンリネス
トイレの清掃チェック表
建物管理会社への委託料
「お待たせしない」
「品切れしてない」
「清潔な店舗」
販管費(≒人件費)コントロール
82
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4-1 ストア・コンパリゾンの手法 (9)客動線と客単価の調査
◆客動線
顧客の歩いた線
立ち寄った売場
をトレースする
マグネットの発見
◆客単価
①チェックアウト
を視認する
②レシート収集
おおよそ単価把握
◆バスケット調査
FSPデータで代替
(インタビューは有効)
83
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-2 商談の進め方 (1)商談の目的
相手先の行動が変わることが商談の成功を意味しています。
相手方の態度変化
行動する
変化する
理解する
聞く
84
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4-2 商談の進め方 (2)営業で押さえておきたい情報の種類
店舗が知っている(はずの)情報は押さえておきましょう。
1.顧客情報
自店に来ている顧客の特徴(性別、年齢、来店頻度など)
2.競合情報
競合店の規模、商品構成、価格、販促、出店と閉店の情報
3.地域情報
地域の行事、交通事情、住宅事情、都市計画など
4.店舗情報
自店の売上と利益、顧客からの評判、相対的価格感
5.商品情報
商品の特徴、新製品のCM有り無し
6.その他情報
景気動向、経済情勢、社会的事件、流通事情
オーナー、店長、売場担当者はこれぐらいは押さえていると考えて良い
85
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
4-2 商談の進め方 (3)メッセージの種類と順序
メッセージは4種類あり、通常は事実→評価→提言→希望の順で進めます。
商談の段階
事実
メッセージ
評価
メッセージ
提言
メッセージ
希望
メッセージ
◆ 事実を述べる
(例)当社は来週新製品を発売する
◆ ある事柄に対する評価を述べる
(例)新製品はCMを大量に投入するので
話題になるだろう
◆ 施策を提言する、アドバイスする
(例)貴店は当社の新製品を扱うと
○○なメリットがある
◆ 依頼する、希望を述べる
(例)この新製品を扱って欲しい
よろしくお願いします
事実・結果
(数字を伴う場合多い)
まとめ
の部分
提案の部分
こればかりやると
お願い商談
メッセージを混在させると相手先が混乱する=商談が迷走する
86
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4-2 商談の進め方 (4)商談前に再確認すること
商談前に商談の目的、商談相手、商談内容を確認しましょう。特に「商談相
手は誰か」を再確認しておくことが重要です。
商談の目的
どんなアクションを求めるか
何を伝えたいか
立場は何?
− 地位、役職
商談相手は誰
相手は誰か
何を求めているか
どんな性格?
興味や関心事(趣味ではなく)
− 話題構成、説得ポイント
認識、理解度は?
商談内容
全体の構成・展開・時間配分
ポイントの絞り込みをする
リハーサルをしてみる
質疑応答対策があるか
− 本件をよく知っている人か
人間的力学
− キーパーソンか
− 組織の中での利害関係はどうか
資料の有無、ある場合はどのような形式のものか
87
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第 4 章 商談・提案実行力の強化
Point!
商談・提案実行力の強化
□ ストア・コンパリゾンとは何か
□ ストア・コンパリゾンで比較する項目を挙げてみよう
□ 来店客の特徴を見つけるために、店内でどんなこと
を注意したらよいか
□ 価格調査に必要な視点について説明してみよう
□ 店舗のレイアウトの確認ポイントを挙げてみよう
□ 品揃えの比較からわかることは何か
□ 接客はどうやって比較するのだろうか
□ 客動線と客単価の調査からわかることは何か
□ 商談を進める前に押さえておきたい情報の種類を
挙げてみよう
□ 商談前に再確認する項目を説明してみよう
88
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第5章
ストア・コンパリゾン演習
この 章 の
構成
5-1. 業 種 別 実 施 店舗の考え方
5-2. 調 査 項目
5-3. 調 査フォーマット例
5-4. 実 施 時の注 意点
89
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第 5 章 ストア・コンパリゾン演習
第5章 ストア・コンパリゾン演習
ストア・コンパリゾンの演習を行います。第4章で学習した内容をもとに、
実際にレポートにまとめてみましょう。
5-1. 業種別実施店舗の考え方
5-2. 調査項目
5-3. 調査フォーマット例
5-4. 実施時の注意点
90
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5-1 業種別実施店舗の考え方
ストア・コンパリゾンは業種別に実施します。
食料品
食品スーパー、飲食料品小売業など
日用品・化粧品
ドラッグストア、薬局・薬店など
繊維・衣料品
衣料品スーパー、衣料品専門店など
91
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第 5 章 ストア・コンパリゾン演習
5-2 調査項目
調査項目事例(調査フォーマット参照)
品揃え調査
各売場の尺数、段数、SKU数を店舗間で比較する。
プライスポイント調査
各売場のSKU数、プライスゾーン、プライスポイントを比較する。
客単価推定
・ レシートの収集
・ 販促テーマ(全店、エンドごと)の把握
接客状態
・ レジ台数
・ レジ待ち人数
上記のほか、販促のテーマ、顧客の動向(入り具合)なども観察する
92
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5-3 調査フォーマット例①
◆ 品揃え調査
店 名
醤油・たれ
総尺数
SKU数
SKU/総尺数
◆ エンド販促テーマと展開の特徴(記入例)
A店 B店 C店
尺
尺
尺
個
個
個
個/尺
個/尺
個/尺
総尺数
尺
尺
尺
SKU数
個
個
個
SKU/総尺数
個/尺
個/尺
個/尺
総尺数
マヨネーズ
SKU数
ドレッシング
SKU/総尺数
尺
尺
尺
個
個
個
個/尺
個/尺
個/尺
缶詰・瓶詰
豆腐
漬物
サラダ油
弁当
全 般
A店 B店 C店
SKU数
本
本
本
最低価格
円
円
円
最高価格
円
円
円
プライスポイント
円
円
円
SKU数
本
本
本
最低価格
円
円
円
最高価格
円
円
円
プライスポイント
円
円
円
SKU数
本
本
本
最低価格
円
円
円
最高価格
円
円
円
プライスポイント
円
円
円
SKU数
本
本
本
最低価格
円
円
円
最高価格
円
円
円
プライスポイント
円
円
円
◆ 推定客単価
◆ レジ
台数
A店 B店 C店
飲料中心の構成
食品以外も陳列
メーカー販促品を
使った演出
◆ 顧客の動向
◆ プライス調査
店 名
全 般
時節を反映して行楽向け商品のエンド
が多い
日曜日のため家族連れが多い
A店 B店 C店
カートの上下にかご
いっぱいに買い物
高齢者が目立つ
時間帯のせいか
惣菜売場が繁盛中
◆ その他気づいたこと
全 般
A店 B店 C店
チラシ初日のため
値引のPOP多い
カード会員様優待
日
品 出しが 間 に 合
わ ず 定 番 に 空き
スペースが多い
円
台
行列の状態
93
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第 5 章 ストア・コンパリゾン演習
5-3 調査フォーマット例②
◆ 品揃え調査
ジャケット
パンツ
スカート
シャツ/ブラウス
ニット
カットソー
◆ VPおよびPPの特徴
A店 B店 C店
店 名
SKU数
サイズ展開
SKU数
サイズ展開
SKU数
サイズ展開
SKU数
サイズ展開
SKU数
サイズ展開
SKU数
サイズ展開
本
本
本
本
本
本
本
本
本
本
本
本
本
ジャケット
最低価格
VPは、ホールター
ネックのカラーブ
ロックドレス、ジオ
メトリックな切り替
えのスリップドレ
スでフェミニンな
ライン。
トレンドの
アースカラーに赤
のポイントカラー
を打ち出し。
9号
本
7・9・11号
本
7・9・11・13号
本
PPは、
ドレスのう
ち出しが多く、無
地のシルククレー
プやシフォンが中
心。モノトーン系が
多い。
9・11号
本
9号
本
9・11号
◆ 販促の動向
◆ 品揃え・価格調査
店 名
A店 B店 C店
全 般
A店 B店 C店
A店 B店 C店
全 般
現在、オータムワ
ンピースフェアー
を開催中(8/28∼
9 / 1 2 )。ハ ウ ス
カードのポイント2
倍とオリジナルノ
ベ ル テ ィ( ミ ニ
ポーチ)で訴求。
最高価格
中心価格
(プライスポイント)
最低価格
パンツ
最高価格
中心価格
(プライスポイント)
最低価格
スカート
◆ 接客の動向
最高価格
(プライスポイント)
3名体制(9/4:16
時)
スタッフは皆若く
(20歳代)明るい
声で挨拶。接客は
フレンドリーで、比
較的あっさりした
応対。
最低価格
シャツ/ブラウス
A店 B店 C店
全 般
中心価格
最高価格
中心価格
(プライスポイント)
最低価格
ニット
最高価格
中心価格
(プライスポイント)
◆ 顧客の動向
最低価格
カットソー
最高価格
全 般
中心価格
(プライスポイント)
◆ 推定客単価
A店 B店 C店
訪 問 時( 3 0 分 程
度 )の 来 店 客 は
10名で、そこそこ
活気あり。20歳代
のエレガンス系の
女 性が多 い 。
ドレ
スへの喰い付きが
良く、訪問時間中
に2人購入。
円
◆ その他気づいたこと
全 般
A店 B店 C店
バックやストール
の雑貨を強化して
いる。共にファー
使いが目立つ。
プライスはバックで
19,000∼29,000
円、ストールで9,900
∼19,000円。
94
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5-4 実施時の注意点
店舗の営業を妨げないことがなにより重要です。次の点には特に注意しましよう。
・買物客の妨げにならないように行動する
・写真撮影は不可
・店内での打ち合わせ、私語は慎む
・買物カゴを持ち、最低1品は購入する
・売場ではメモを記入せず、店外で記入する
95
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第 5 章 ストア・コンパリゾン演習
Point!
ストア・コンパリゾン演習
□ 事前に調査項目を把握しているか
□ 実施時の注意点をすべて挙げてみよう
96
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97
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営業担当者のための
リテールサポート研修
中級テキスト
2010年3月31日 初版 第1刷発行
発 行
株式会社 全国商店街支援センター
〒104-0043 東京都中央区湊1-6-11
八丁堀エスワンビル
電話 03-6228-3061
http://www.syoutengai-shien.com/
監 修
一般社団法人 日本卸売協会
〒141-0031 東京都品川区西五反田7-23-1 第3TOCビル
電話:03-3779-1805
http://www.jwa-net.or.jp/
Printed in Japan
本書の一部あるいは全部を、著作権者の承認を得ずに無断で複写、複製することは禁じられております。
落丁・乱丁本はお取り替えいたします。
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第二に、複数の大手ドラッグストアチェーン店が2年前からX市商店街近郊
のロードサイドに出店してきた。大手ドラッグストアは圧倒的な品揃えを誇
り、C店でも取り扱っている化粧品、日用雑貨などを従来では考えられないよ
うな低価格で販売している。また、ローコストオペレーションを採用している
ため、販売員を置かず全ての商品をセルフ販売方式で行っている。ただし、商
店街近郊のロードサイドという立地のため、商店街から徒歩で行ける距離では
ない。そのため、車や自転車が主な来店手段となっており、特に高齢者にとっ
リテールサポート研修(中級)
ては行きづらい立地となっている。
第三に、近年の不況により大企業の下請を行っているX市の中小製造業で
は、親企業の業績悪化により受注量が激減し、倒産または廃業が急増してい
る。倒産・廃業した中小製造業の事業所跡地には住宅が建設される予定もあ
る。
*4:再販売価格維持契約とは,商品の供給者がその商品の取引先である事業者に対して転売する価格を
指示し,これを遵守させることを内容とする契約である。公正取引委員会が指定している特定商品
で例外的に独占禁止法の適用を除外されている。
このような経営環境の変化は、C店の売上・収益に大きな影響を与えること
になった。そのため、C店では資金繰りに苦労している状態でもある。C店の
経営者は、売上低下の原因はC店によく来店してくれた地域住民、特に中小製
造業の顧客が減少しているからだと感じている。しかし、創業から30年間、
販売計画を作成したことはなく、経営者の経験と感覚によって、売上、商品、
顧客などを管理している状態であるため、根本的な原因はわかっていない。
経営者は、今後どのように経営を立て直すべきか悩んでいる。
設問1.C店を取り巻く環境(脅威、機会)について考察しなさい。
設問2.C店の強みと弱みについて考察しなさい。
設問3.C店を取り巻く環境と、C店の強み、弱みを把握した上で、
卸売業の営業担当者として有効な改善提案を立案しなさい。
ケーススタディ
C店は、X市の駅前商店街に立地する化粧品や日用雑貨を取り扱う小売店で
従業員は社員1名、パート2名である。創業者は「地域住民の生活をサポー
ある。中小製造業が集中するX市は、古くからこの地に住む人々が中心となっ
ト」というモットーを掲げ創業した。経営者と社員、パートが有する豊富な専
ている地域だが、近年一戸建て住宅やマンションが増加し、新しい住民が増え
門知識とノウハウを活かした丁寧な商品説明、顧客からの相談を真摯に受ける
ている。その一方で高齢化も進んでいる。
対応は、顧客から大変高い評価を得ており、着実に売上を伸ばしてきた。経営
C店が立地する商店街には、新鮮な食材を売りにする生鮮食品店、歴史ある
者、社員、パートとも年齢は高く、気さくな性格であり、買い物がなくても気
有名な老舗菓子店、地元では評判の高い接骨院などがある。また駅前商店街の
軽に店に入り、世間話をしてくる顧客も多い。
後背地には住宅街があり、中小製造業が密集しているため、人通りが多い商店
C店の仕入れは、制度化粧品メーカー各社及び卸売業者1社から行ってい
街である。商店街組合は青年部を中心に活動が活発であり、特に週替わりで
る。卸売業者からの新製品情報は、月に2回程訪問する卸売営業担当者から入
行っている空き店舗を利用したイベントは地域住民に好評を博している。
手している。仕入れは経営者が行い、品出し、陳列は社員やパートが行ってい
C店は30年前に創業し、現在の経営者は2代目である。創業者は2年前に他
る。経営者は卸売営業担当者から紹介される新製品はすべて仕入れており、仕
界しているが、それまでは介護が必要な状態であった。経営者は創業者の介護
入単価が下がる増付企画(*3)などのキャンペーンの際には大量に仕入れる傾向
を行いながら店舗を運営し大変苦労していた。取扱商品は化粧品、健康加工食
がある。そのため、倉庫が狭いC店では仕入れた商品を倉庫内だけではストッ
品・健康器具などの健康関連用品、介護用品、日用雑貨を取り扱っている。
クできず、店内の通路にダンボールのまま置いたり、陳列棚上部の空いている
スペースにストックすることで対処している。社員、パートは大量に仕入れた
「過去5年間の年間売上高・期末在庫金額・カテゴリー別年間売上高の推移」
商品を消化させるため、自主的に店頭にてプロモーションを行っている。社員
(単位:千円)
やパートが作成するPOPやキャッチコピーのセンスが良いため、売れ行きは
カテゴリー別年間売上高
年間
期末
売上高 在庫金額
化粧品
制度品
一般品
(*1)
(*2)
良好である。しかし消化しきれない商品もあり、値引きによって在庫を消化す
る場合もある。レジはPOSレジを導入しており売上高の管理だけに使用して
健康関連
介護用品 日用雑貨
商品
いる。
*3:例えば同一商品を24個仕入れると1個現品がサービスとして付いてくる企画のこと。
2005年 83,000 16,100 26,000 19,000
6,000
14,100 17,900
2006年 83,100 16,000 25,800 18,900
6,200
14,400 17,800
まず、制度化粧品の環境変化である。制度化粧品は再販売価格維持契約(*4)
2007年 80,000 16,000 25,000 18,200
6,400
14,400 16,000
により、メーカー指導のもと定価での販売が主流の高利益商品であった。しか
2008年 72,000 15,500 20,500 15,600
7,900
15,100 12,900
し、平成9年4月、再販指定商品から除外となったことから、大手GMSやド
2009年 63,000 15,700 15,900 12,800
8,800
15,400 10,100
C店を取り巻く経営環境は13年ほど前から大きく変化している。
ラッグストアを筆頭に値引きが行われるようになった。現在、大手GMSやド
ラッグストアでは、20∼30%の値引きが当たり前となっている。制度化粧品
*1:制度化粧品とは流通形態がメーカーから店舗に直接納品される、主に中・高価格帯の化粧品である。
カウンセリング化粧品ともいわれている。
*2:一般化粧品とは流通形態がメーカーから卸売業を経由して店舗に納品される、主に低価格帯の化粧品
である。
の位置付けが、従来の利益商品から値引きによる集客商品へと変化していった
のである。
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