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C-3.「メロンの赤ちゃんができたよ」
C-3.「メロンの赤ちゃんができたよ」 小垣江東幼稚園(愛知県刈谷市) <4・5歳児 5月∼7月> 5月31日 大きくなることに期待して親子で毎日、 チェック! 雄花と雌花があり受粉をして実ができることを知っ たり、収穫に期待して世話を続けていったりすること その後も、雌花がつくと母親に知らせて受粉をしてもら ができるスイカとプリンスメロンを選んで、一人一鉢 い 2 個の実をつけることができた。毎朝、母親と鉢を覗き、 親子栽培をしていくことにした。 「ちょっと、大きくなったみたい。」と少しずつ大きくなって いくことを喜んでいた。教師はより収穫を期待できるよう に、 「K くん、プリンスメロンはね、もう食べてもいいよって 5月9日 苗植え ちゃんと教えてくれるんだよ。」と話すと、 「えー、どうやっ K 男はプリンスメロンを選び、 「おいしいメロンができる て?」と不思議に思って聞いてきた。 「メロンはね、食べご といいな。 」と期待して、母親と一緒に苗を植えた。 ろになると色が少し変わってきて、お尻のほうが甘いにお いがするんだよ。それから、ポロッと茎から取れるんだよ。 」 5月19日∼5月29日 つるが伸び雄花が咲く と知らせると「ふーん。 」とわからないような顔をしていた。 つるが伸びていく2 週間くらいはあまり変化も見られな しかし、近くにいた母親は、 「へー、そうなんですか。」と納 かったが、葉の枚数を数えて増えていくことを喜んだり、つ 得していた。40 日ほど経って、教師が言ったように、実が るがいろいろなところから出てくることを不思議に思った 白っぽくなり店で売っているものに似てきた。同時に、お りしながら世話を続けた。並行して、クラス全体の場で、雄 尻のほうの匂いを嗅いでみるとプリンスメロンの熟した甘 花と雌花があることを知らせ、結婚式(受粉)をしないと赤 い匂いがした。K 男の母親が匂いを発見して K 男に伝える ちゃん(実)ができないことを知らせた。 と、K 男も匂いを嗅いで「本当だ。すっごくいいにおいがす 少しずつ花が咲き始めた。K 男は「先生、花が咲いたよ。」 る!」とうれしそうに答えた。K 男はうれしくて近くにいる と教師に一番に知らせに来た。 「すごいね。 よく見つけたね。 」 友達に、 「ほら、いいにおいがするよ。」と次から次に友達に と発見したことを認め、 「お父さんの花かお母さんかどっ 声を掛けていた。 ち?」と尋ねると、広げてあった絵本と比べて、 「こっちの花 だった。 」と雄花を指差した。 「そっか。お父さんの花が先に 7月7日 1個目を収穫・親子で喜ぶ 咲いたんだね。お母さんの花は赤ちゃんがついているから 翌日、メロンが茎から外れてネットの上に落ちていた。K ね。よく見て探してね。」と話すと、友達と一緒に絵本の雄 男はプリンスメロンを手に取ると、すぐに、匂いを嗅いだ。 花と雌花を比べて見ていた。 昨日と同じ甘い匂いがするのを確認すると母親や教師の鼻 に近づけ、 「いいにおいでしょ。」とにこにこしていた。クラ 5月30日 プリンスメロンの結婚式(受粉) スで一番目の収穫であったので、全体の場で紹介し、みん 1 週間ほどすると雌花がつき、母親と登園して雌花を見 なで匂いを嗅いだ。 「本当だ。メロンの匂いがする。」 「いい つけると「先生、お母さんの花が咲いた!」と大きな声で伝 においだね。」 「K 君いいな。」とみんなから言われ喜んでい えに来た。 「よかったね。すぐに結婚式しないとね。 」と教師 た。その日、プリンスメロンを持 も鉢のところへ行き、母親が受粉してくれるのを一緒に見 ち帰り家庭で食べた。 た。そして、 「これでメ 翌日、登園してきた K 男と母親 ロンの赤ちゃん大きく に味わった感想を聞くと、K 男「す なっていくよ。お水忘 っごく、おいしかった。」と笑顔で れないで毎日、お世話 答えた。母親も、 「本当に甘くてお してあげてね。」と声を いしかったです。植木鉢でもちゃ かけると「うん。」と張 んとできるんですね。 」と喜んで話 り切って答えた。 してくださった。 スイカの受粉の様子、プリンスメロンも同じ ように受粉した。 実が落ちないようにハンモックのように ネットで支えられてどんどん大きくなる。 ポイント 親子栽培の事例です。毎日の登園時に親子で一緒に観察する中で、保護者自身も自然のすばらしさに感動している様子 を保育者が捉えています。その保護者の感動が子どもに伝わり、子どもの興味や喜びを大きくすることにつながっているの ではないでしょうか。 28