...

電子カルテ導入ハンドブック - 一般財団法人 医療情報システム開発

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

電子カルテ導入ハンドブック - 一般財団法人 医療情報システム開発
電子カルテ導入ハンドブック
- パッケージ型電子カルテを例にした標準的導入手法 -
2007 年 10 月版
財団法人 医療情報システム開発センター
はじめに
医療界においても、IT化の有用性が認知され、各メーカのパッケージ型電子カルテシス
テムの開発・販売が促進されるに伴い、
システム導入工程が非常に短期間になって来てい
ます。
しかし、標準的システムツールの整備は整いつつありますが、全体の整合性を図りな
がら、病院として全体を統制し主導すべき事項に関して、標準的know-howが確立されて
おりません。
このため「動かすこと」のみに主眼が置かれ、
「システムの持つ有用性を助長し
安全管理体制の整った形で主体的に動かす」
というところに150∼500床規模の病院が苦
慮している現状があります。
システムは必要とされる現場の要求に応じ設計開発され、検証、普及、成長に至ります。
三十年来の医療情報システム開発の変遷を見たとき、今まさに電子カルテシステムが普及
期に入ったといえます。開発期は技術力が大きく問われますが、普及期においては「使って
みた現場の声」が求められます。実践における厳しい検証の眼が、更なるシステムの成長を
促すこととなります。業界を問わず経営的視点においては、全組織的IT化は避けて通れませ
ん。
まさに厳しい経営手腕を問われる時代に突入した地域医療を担う病院にこそ、一刻も早
い導入が望まれます。
本書においては、不慣れな対応に迫られる病院担当者の実践的サポートを狙いとして、
パッケージ型電子カルテシステムを例に、医療ITの導入に必要な基礎知識から効率的か
つ安全な導入工程、運用管理規程の整備までを解説することとしました。
本書を地域医療を支える多くの病院の医療従事者の一助としていただくことを念じ、初
版の発行とさせていただきます。
2007年10月 財団法人医療情報システム開発センター
理事長 向 井 保 CO N T E N T S
本書の使い方と留意事項
電子カルテが目指すもの
■ オーダリングシステムの限界
1
■ ペーパーレス・フィルムレスを目指す
1
Ⅰ 基礎編 ∼自院を知る(事例からみるポイント)∼
1
1.
事例紹介
■ 導入決断には院内のコンセンサスが重要
1
■ 電子カルテ運用の必須要件
■ 機能と端末台数
■ 安全対策と権限管理
2
■ 導入スケジュール例
■ 電子カルテの導入により実現するもの
4
2.自院の病院標準化整備度を知る
5
Ⅱ 準備編 ∼必要な情報の把握∼
6
1.
現状の把握
6
2.
基本構想
■ 共通認識を持つ
6
■ 予算には保守費用も含める
■ 自院が目標とする病院を見学する
■ システムデモには限界がある
7
3.
仕様決定
8
4.ベンダ選定
9
1
1
2
3
4
6
7
8
Ⅲ 導入編 ∼導入工程ごとのポイント∼
10
1.
準備段階
■ CIOの任命
10
■ 導入チームの構築
■ 情報交換の場(Plaza)の確保
■ ベンダコントロール
10
■ 情報共有
■ コンプライアンス認識
12
2.
適応段階
■ 運用条件の決定
12
■ 運用フローチャートの提供を受ける
■ マスタの整備
■ MEDIS-DC標準マスタの利用
13
■ 病名マスタの作成
■ 薬剤マスタの作成
■ マスタによる医療安全対策
14
■ マスタ作成のキーマン
■ パッケージインストール・端末設置
■ 各種文書の整理
15
10
12
12
12
13
13
14
15
15
16
16
■ 運用手順書作成
■ 運用管理規程の整備
16
3.
教育段階
■ 操作研修はリーダ看護師の活躍の場
19
■ 研修スケジュールの作成
■ 操作マニュアルの工夫
■ 運用の確認
19
■ マスタの検証
■ リハーサル
20
4.
運用段階
■ データ移行
20
■ 事前作業と紙カルテの取扱
■ システム障害時対応
■ 稼動
21
■ 稼動後の検証
■ 継続的運用体制の確立
21
19
19
19
19
20
20
21
21
21
Ⅳ 付録
付録1 ダウンロードファイル一覧
23
付録2 ダウンロードファイル画面例(一部)
24
本書の使い方と留意事項
本書では紙面の都合もあり、
電子カルテの
※ダウンロードファイルのご利用にあたっては、
導 入に必 要な規 程 や 様 式 類 の 例を以 下 の
下記の事項にご留意下さい。
URLのページでダウンロード可能にしており
1)ダウンロードファイルは、
導入事例病院様、
ます(Ⅳ付録 参照)。テンプレートとしてご活
01_高機能病院DBのように表記してい
ベンダ様のご厚意により提供するもので
す。自院の電子カルテ導入のみにご活用
いただき、
配布・転載・商用利用等はご遠慮
下さい。
ます。
2)ダウンロードファイルを適用し、
万が一不
用下さい。ダウンロードファイルは、
本文中で
URL
http://privacy.medis.jp/edinburgh/
都合等が発生した場合において当財団、
及
び関係者は一切責任を負いかねます。
ID
edinburgh
3)ダウンロードファイルに関するご質問等の
Password megumi
対応は行っていません。
4)諸般の事情により、
予告無く、
ダウンロード
ファイルの提供を中止する場合があります。
Ⅰ 基礎編
電
電子
子カ
カル
ルテ
テが
が目
目指
指す
すも
もの
の
■オーダリングシステムの限界
■ペーパーレス・フィルムレスを目指す
組 織 ( 病 院 ) 運 営に不 可 欠な運 営ポリシーは、
電子カルテシステムは、
P → Dはもちろんのこ
業種を問わず、P → D → C → Aの繰り返しに
と、
C → Aの工程も網羅する全体システム(マネ
よるスパイラルアップです。その観点から見たと
ジメントシステム)です。あらゆる検査の結果、診
き、
オーダリングシステムは、P → Dの部分を担
療の経過、
治療効果、
次へのステップ、
医師の思考
い ま す 。オーダリングシステムは 医 師 の 考 え
(know-how)のすべてが、電子的に記録されま
(Plan)を指示する(Do)ツールであり、効果の検
す。電子化されることにより、
共有が容易となりま
証 ( C h e c k ) 、改 善 ( A c t )に役 立つ機 能は、
シス
す。共有された情報は、適切に開示することによ
テムの 中に持ち合 わせていません 。実 施されて
り、
詳細な条件設定での比較・検討が可能になりま
いるC → Aの記録は、紙カルテ・帳票に残ってい
す。ここで一人の医師のknow-howが、
明示的に
るか 、医 師 の 頭 の 中 に 蓄 積されることとなりま
病 院 の k n o w - h o w に な り 、さ ら に 病 院 の
す。このような従来の運用では、k n o w - h o w の
know-howが、
日本のknow-howに寄与し、
やが
共有には多大な労力を要します。
て最善の標準医療の構築に役立てると考えます。
Ⅰ Ⅰ 基
基礎
礎編
編 ∼
∼自
自院
院を
を知
知る
る((事
事例
例か
から
らみ
みる
るポ
ポイ
イント
ント))∼
∼
1.
事例紹介
安全に行えることを目標としました。
電子カルテの導入事例として、
ある地方の公立
事例病院では、
2004年11月よりペーパーレス・
病院における実例をご紹介します。事例病院の基
フィルムレスによる電子カルテシステムの運用が
本要件は以下の通りです。
実現しています。また、
2006年10月にはシステム
病床数
300床
診療科
内科、呼吸器科、代謝内科、心療内科、
循 環 器 科 、小 児 科 、外 科 、整 形 外 科 、
脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、
産婦人科、
耳鼻咽喉科、
歯科・口腔外科、
麻酔科、
放射線科、
リハビリテーション科
基準等
をバージョンアップし、
機能強化を図ることが出来
ました。
■導入決断には院内のコンセンサスが重要
事例病院では、
院長が経営者として院内に電子
カルテ導入の方針を強く明示しました。病院トッ
プの明確な意思表示は大変重要です。目標に向
かって職 員が 一 丸となれる大きな要 因となりま
基準看護、
看護体制(10:
1)、
基準給食、
地域がん診療連携拠点病院、
理学療法Ⅱ、
救急告示病院、
災害拠点病院、
人間ドック
す。特に医師には、電子カルテの導入は、経営に
も多大な影響のある取組であることを理解しても
らう必要があります。また、
あらゆる機会を通じて
事例病院において電子カルテの導入前は、医
チーム医療の意識付けを行う努力が大切であり、
事システムだけが稼動している紙カルテ・諸伝票
コンセンサスの形成には、
継続的に注意を向ける
による運用でした。新築移転を機に、
医療圏10万
ことが必要と言えます。
人の地域完結型医療の要となる急性期中核病院
としてその使命を担うため、電子カルテシステム
は必須と捉え導入を決断しました。より良い医療
を提供するために、
従業者の効率性を上げ医療が
1
Ⅰ 基礎編
■電子カルテ運用の必須要件
年報などの統計が示されています。また、電子
事 例 病 院では、電 子カルテの 運 用において以
カルテ搭載のコミュニケート機能(院内メール)
下の要件を必須要件としました。これらの要件を
は、経営方針の説明、各部署、個人への通達事
明確にしたことは、導入の成功に大きく寄与して
項、
症例検討に利用しています。
います。
■機能と端末台数
電子カルテの機能と端末台数は以下の通りです。
● 多い端末台数…ほぼ1台/職員1名
○機能
●ペーパーレス
・フィルムレス
オーダリング機能、
医事機能、
診察記事入力機能、
● PDA(Personal
Digital Assistant)の導入
周辺システム(PACS/RIS/REPORT他)
● 院内ネットワークによる運用サポート
○端末台数
ノート型10台、
PDA81台
デスクトップ型267台、
● 厳しい権限管理
● 周辺システム
●ペーパーレス・フィルムレス
周辺システムは、
次のシステムを実装しています。
ペーパーレス・フィルムレスであっても、業務に
不可欠な紙運用、法的制約のある帳票類は残
P A C S / R I S / R E P O R T 、内 視 鏡・腹 部エ
ります。たとえば外来の(院外、
院内)処方箋、
外
コーファイリングシステム 、手 術 室・麻 酔
来基本票(裏…患者誘導・案内図)、
院外委託検
記 録システム、ナースコールシステム、外
査箋、
各種書類(文書類)、
手術室伝票(システム
来 表 示 板システム、検 体 検 査システム、採
補助のため必要)などです。また、次のような患
血 管 準 備システム、輸 血システム、生 理 検
者サービスの為の紙も出 力 運 用しています 。
査システム、調 剤 支 援システム、尿 量自動
説 明 … 検 査 結 果 、案 内…各種予約票(検査・診
察)、
同意…検査等承諾書、
問診票。
測 定 装 置 、眼 科システム、看 護 支 援 機 能 、
上記以外は、原則としてペーパーレス・フィルム
看 護 勤 務 管 理システム、健 診・人 間ドック
レス運用です。手術記録やICUの重症シートな
システム、
リハビリシステム、
DWHシステ
どは、
紙運用後スキャニング取り込みするなど、
ム 、栄 養 管 理 システム 、インシデ ントリポ
システムの成熟度と医療従事者への負担を鑑
ートシステム、病 歴 管 理システム、診 療 情
み、現時点での落としどころを見つける必要があ
報 提 供 書システム、経 営 管 理システム
ります。
● 端末台数
● PDAの導入
端末台数は、
1人1台を原則としたため、
記録時
P D A の 導 入 により、依 頼 時 の チェック機 能 、
や参照時に時間待ちはなく、
それぞれの 業 務
本人確認、実施時のチェック機能など、医療安
のペースが効率的に守られる結果となっていま
全に寄与しています。また、情報共有により実
す。病棟では、
医師及び日勤の看護師と同じ数
践されるチーム医療の重要性についての認識
があります。外来診察室では、
2台モニタが配置
が共有されています。
され、
常に患者に情報が開示された診療のスタ
● 院内ネットワークによる運用サポート
イルがとられています。診療科によっては、
高精
院内共有フォルダや院内Web(イントラネット)
細、中精細モニタが配置され、患者はCT・MRI
を使い、
各種提出書類、
院内書類(全ての規約・
の画像や時系列にグラフ化された検査結果を
マニュアル・議事録など)が共有されています。
見ながら詳しく説明を受け、
自らの診療参加を
リアルタイムのデータ表示としては、
日報、
月報
促すこととなっています。
2
Ⅰ 基礎編
■安全対策と権限管理
情報の安全対策には、指紋認証、ID・パスワー
ド、
暗号化などの技術的対策を実施。メディアから
の情報入力については、診療情報管理室で医療
情報システム担当のみ可能とし、各端末のポート
は全て閉鎖しています。自己責任の喚起、教育研
修の徹底、参照ログの監査(目的外閲覧の防止)
など運用を正しく継続することは、
システムの有
用性を高めます。権限管理・利用権の設定例の一
部を表1に示します。
表1 権限管理・利用権の設定例
○:利用権あり 空白:利用権なし
修正
未実施
削除
未実施
3
システ ム
新規作成
診情管理士
処方(院内) 参照
夜間当直者
実施済
病棟事務員
未実施
一般 事 務 員
中止
医事委託員
実施済
医事課員
未実施
健診事務員
削除
社会福祉士
実施済
工学技士
未実施
臨床心理士
修正
連携予約係
新規作成
眼機訓練士
処置(外来) 参照
言語聴覚士
機 能
理学療法士
栄養士
薬剤師
放射線技師
検査技師
訪問看護師
看護助手
看護師
地域連携医
研修医
医師
行為名称
Ⅰ 基礎編
図1 導入スケジュール
4ヶ月∼6ヶ月
6ヶ月∼8ヶ月
病
全体構想
選定段階
準備段階
院
A
B
ベン ダ
・基本構想
・電子カルテ
・オーダリング
・部門システム
・現行把握
・予算
・見学
・システムデモ
・仕様決定
・ベンダ選定
・etc
・体制確保
・現状把握
・システム把握
・情報共有
(決定事項の周知)
・コンプライアンス
認識
・etc
運用段階
E
教育段階
D
適応段階
C
・電子化詳細範囲の
確定
・運用フロー作成
・運用適応
・マスタ等整備
・手順書作成
・規程整備
・パッケージイン
ストール
・システムテスト
・etc
・操作研修
・運用確認
・マスタ検証
・システムテスト
・
リハーサル
・etc
・移行
・事前入力
・稼動
・検証
・改善
(継続的体制確立)
・VerUp対応
・etc
■導入スケジュール例
■電子カルテの導入により実現するもの
図1に事例病院の導入スケジュールを示します。
事例病院では、
2004年12月の電子カルテシステ
A∼Eは病院・ベンダともに協力して工程を進めま
ム稼働後の2年間に、
次のことが可能となりました。
す。双方で専門性を発揮しないと工程の進捗は図
2004年12月
電子カルテ稼働
2005年 6月
DPC調査協力
の上半分は病院作業、
下半分はベンダ作業をイメ
2005年10月
標準レセ電算対応(9月分より)
ージしています。
B・C・D・
Eの工程は、
各工程が完結
2005年11月
病院機能評価受審
してから次の段階へと推移するものもありますが、
2006年 7月
DPC対象病院となる
2006年10月
電子カルテのバージョンアップ
2006年11月
病院機能評価 version 5 認定
2007年 1月
地域がん診療連携拠点病院
れません。各工程の四角のくくりが上下しているの
は、
作業分担のボリュームをイメージしています。図
多くは工程が重なりながら進みます。
パッケージ型電子カルテの導入においては、
ベン
ダ確定後B→Eの工程は規模に関わらず6ヶ月から
8ヶ月を目指すことが基本です。効率的に準備を進
めれば十分な時間です。
この2年間の実績は、
事例病院のあらゆる角度
A工程は、
組織毎の業者選定規約(公示期間等)
からの努力の結果ですが、
全病院的に整合性のあ
などにより期間がプラスされますが、
作業工程その
る数字をリアルタイムに、
時系列に、
把握していな
ものであれば、
4ヶ月∼6ヶ月で十分可能です。
A工
い限りクリアできないものです。電子カルテシステ
程に、
過大に人的・時間的投資を行うことは避ける
ムの持つ効果は非常に大きいと言えます。
べきです。
4
Ⅰ 基礎編
参考 : 2007年8月現在公開されているデータからの集計(全病院数8,
892)
・病院機能評価認定を受けているDPC対象病院
322
・病院機能評価認定を受けているがん診療連携拠点病院
251
・病院機能評価認定を受けているDPC対象病院×がん診療連携拠点病院
103
・病院機能評価Ver5.0で認定を受けているDPC対象病院×がん診療連携拠点病院
24
詳細は 01_高機能病院DBをご参照ください。
2.
自院の病院標準化整備度を知 る
電子カルテの導入を決断する前に、
自院の病院
点、
いずれにも該当しない場合は0点と評価しま
標準化整備度を知ることはきわめて重要です。表
す。各 項目を評 価し、合 計 点が7 0 点 以 上であれ
2に自院の病院標準化整備度を知るための指標
ば、電子カルテの導入をすぐにでもスタートして
を示しました。この指標は、
病院の善し悪しを問う
問題ありません。70点以下であれば、
電子カルテ
ものではなく、
あくまで病院のシステム導入を前
導入前にできるだけ70点以上にする努力が必要
提とした標準化の整備度を見るためのものです。
となります。是非、
表2を使って自院の標準化整備
急性期、
地域中核病院として必要な要件、
及び病
度を確認してください。電子カルテの導入に関わ
院の方針の明確化、経営者の決断に関わる事項
る大凡の難易度がわかります。
等を集約しています。
例えば“DPC”についての評価では、
DPCの対
象 病 院 の 場 合 は5点 、準 備 病 院である場 合 は3
表2 病院標準化整備度の指標
5
3
0
1
DPC
対象病院である
準備病院である
×
2
標準レセ電算
実施している
3ヶ月以内に実施予定である
×
3
機能評価
Ver5認定
Ver4、
Ver3認定更新予定
×
4
リスクマネジメント体制
リスクMGが各病棟にいる
リスクMGが各階にいる
×
5
臨床研修指定
○
-
×
6
情報開示姿勢
窓口設置・積極的
窓口設置
左記以外
7
病名
ICD10
ICD10 + 一部フリー
フリー
8
記事記載
ルール化されている
-
×
9
退院サマリ
翌日記載率80%以上
1週間後記載率80%
左記以外
10
クリティカルパス
各科10例以上
各科5例∼9例
左記以外
11
共観
積極的に推進
拒まない
左記以外
12
特定療養費
1500円以上
1000円∼1500円未満
1000円未満
13
紹介率
40%以上
30%∼39%
30%以下
14
逆紹介率
40%以上
30%∼39%
30%以下
15
再診予約率
80%以上
60%∼79%
左記以外
16
優先診察(薬・注射・
リハビリ)
休日注射対応のみ
注射・
リハビリ
左記以外
17
院外処方箋
90%以上
60%∼89%
×
18
病棟薬剤師
配置あり
担当薬剤師あり
×
19
病棟薬剤管理体制
緊急カート以外すべて払出
80%以上払出
左記以外
20
外来処置室薬剤管理体制
緊急カート以外すべて払出
70%以上払出
左記以外
自院合計 点
5点× 3点× 5
0点× Ⅱ 準備編
Ⅱ Ⅱ 準
準備
備編
編 ∼
∼必
必要
要な
な情
情報
報の
の把
把握
握∼
∼
フェースの可否、
データ移行の要否のために、
耐
用年数など詳細を調査します。
1.
現状の把握
電子カルテの導入の前に、
自院の現状を把握し
ておくことは重要な要件です。以下に現状把握の
⑥保有データ状況
ポイントを示します。
院内各科、
部署毎に独自に収集し診療データとし
て保有しているものは、
媒体(紙・電子化)に関わら
ず把握が必要です。
①システム導入状況
②ネットワーク状況
⑦外部委託状況
③カルテ管理状況
⑤医療機器状況
検体検査・画像の読影など外部委託により処理さ
れている業務については、
契約期限・契約条件の
把握が必要です。
⑥保有データ状況
⑧建物スペース・セキュリティー状況
⑦外部委託状況
システム管理室・サーバ室の確保・空調状況、
安全
管理設備の状況を把握します。
④業務運用状況
⑧建物スペース・セキュリティー状況
Q&A
①システム導入状況 02_稼動システム現況一覧表
システム更新年月日、
外部接続の有無、
システムベ
ンダ、
端末、
保守契約など、
医事システム、
放射線
システム、
臨床検査システム、
診療情報管理システ
ムなど、
また科毎に集約されている診療データベー
ス、
物品管理システムなど現状稼動しているすべ
てのシステムの状況を把握します。
Q. 建物が新規移転のケースにも上記現状の
把握が必要ですか?
必要です。旧病院から新病院へ継続的に受診
する患者がある場合やまた、同じ従業者が勤務
する前提であれば、上記すべての現状把握を
行ってください。
②ネットワーク状況
2.
基本構想
各システムのネットワーク構成を図面で把握しま
す。インターネット環境・院内LAN環境の構成も必
要です。
■共通認識を持つ
電子カルテシステムの導入は、
病院の今後のあり
方に大きく影響を及ぼし、
その効果も期待できます。
③カルテ管理状況 03_文書帳票一覧表
導入そのものの意義も大きいのですが、
長期的視点
外来カルテ・入院カルテ・退院カルテ・各種文書の
種類、
管理状況について把握します。 から見れば、
病院の継続的運営過程における部分事
業でもあります。本プロジェクトが、
長期的病院事業
④業務運用状況
に果たす意義を十分に把握した上でプロジェクトを
病院の一元的運用フローチャートがあればベスト
ですが、
なければ各部門ごとの手順書レベルでも
可です。病院機能評価、
DPC、
各種施設基準申請
書類など院内にある資料を角度を変えて読み直
すことでも全体像が把握できます。運用の詳細に
ついては、
タイミングを考慮しながら継続的調査
が必要となります。 推進するために、
当初の段階で次の4点について職
員全員が理解する必要があります。
①病院理念
②病院方針
③病院事業計画(長期・中期・短期)
④遵守・参考とすべき関連通達・ガイドライン・
報告書等
⑤医療機器状況 04_既存機器一覧表
既存の医療機器と新規導入システムとの、
インター
6
Ⅱ 準備編
Q&A
④の具体例を以下に示します。コンプライアンス
は、堅牢な組織作りの地盤固めといわれます。組
Q. 電子カルテシステム導入とオーダリングシ
ステムのみの導入では予算が大幅に異なる
ものなのでしょうか?
織基盤を確立する上で非常に重要です。
●個人情報の保護に関する法律
●医療・介護関係事業者における個人情報の適切
現状のパッケージ型システムでは、オーダリン
グシステムだけの導入であっても、基幹システ
ムとしては電子カルテシステムと同じ機能を
持ったパッケージの中で、オーダ部分だけを稼
動させるという仕組みになっています。そのた
め基幹システムそのものだけでは予算として
顕著な違いとはなりません。
しかし、電子カルテ
システムの有用性を最大限発揮するためには、
部門システムの充実が不可欠です。この部分に
予算確保が必要です。また、導入工程において
病院側が努力すべき院内業務の最適化(運用
の最適化)、
カルテ記載(入力)の標準化、過去の
診療情報の整理など、過去の作業進捗度によっ
ては、稼動までに多くの作業が予想されます。
院内もしくは院外から導入期の人材に係わる
費用を考慮します。このように電子カルテシス
テムの導入には、
システムそのものにかかる費
用、プラス院内業務の合理化の作業工程にか
かる人件費を十分に見込む必要があります。
な取扱いのためのガイドライン
●医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
(以下、
「安全管理GL」という)
●診療情報の提供等に関する指針
●病院機能評価マニュアル
●「標準的電子カルテ推進委員会・最終報告」厚生
労働省 ■予算には保守費用も含める
予算として把握すべき項目は、
以下の内容が想
定できます。しかし、
パッケージ型の電子カルテシ
ステムは、
発展途上であり、
その進歩も目覚しいも
のがあります。そのため導入予算は、非常に流動
的です。ここでは前提要件を示し、当初概算はベ
ンダ提案型予算を前提とします。
①ハード
④付帯設備工事
②ソフト
⑤導入費用
③ネットワーク
⑥保守費用
■自院が目標とする病院を見学する
電子カルテシステムの稼動状況を把握するた
①∼④については、
単価×数量、
及び工費という
めの見学は、
システムそのものの良し悪しを判断
前提で比較的根拠が明確です。そのためここでは
するために出向くわけではなく、
あくまでも運用
⑤、⑥について述べます。
のイメージをつかむこと、
及び先行病院からのアド
バイスを受けることにあります。病院規模やシス
⑤導入費用
テムの導入範囲、運用状況の異なる環境で直感
導入費用の見積提案を受けるには、病院の現
的にシステムそのものの良し悪しを判断すること
状と稼動の時期など、制限事項を明確に示す
は困難です。先行病院の見学は非常に有用です
必要があります。また、
パッケージ型のシステム
が、
自院の目指す病院に条件が近い病院を選択す
導入工程を前提要件としていることも合わせて
ることが重要です。機能・施設基準・規模などを参
明示します。特に導入に費やす期間を区切るこ
考に病院を選択します。 01_高機能病院DB
とが必要で、
これは見積に大きく影響します。
限られた貴重な見学時間をより有用な時間とす
⑥保守費用
るため、
事前に委員会等で見学の目的やポイント
病院全体システムとしての電子カルテシステム
などを整理し、
担当者が役割を理解した上で見学
は、
最善の運用を保つためには、
継続的な保守・
に行くことが有効です。施設全体・部門運用の見
バージョンアップについて考慮することが必要
学もさることながら、
導入工程全体の運営につい
です。当初から予算として計上する必要があり
て先行病院の導入チームの意見が聞けるディス
ます。
カッションの時間を設けることが重要です。
7
Ⅱ 準備編
Q&A
同種同規模の病院となると、
全国を見ても数に
限りがあります。受け入れ病院は、
かなり多忙な状
Q. デモでイメージをつかむことが難しいのは
どんな運用でしょうか?
況と考えられます。そのため、先方の都合にあわ
せる時間的配慮が重要であるとともに、
患者に接
する可能性のある病棟見学などには、
医療従事者
イメージをつかむことが難しい運用としては、
ベンダに関わらず一般にパッケージシステム全
体としての成熟度(整合性、
インターフェイスの
状況)が低いといわれる手術、病理、持続注射、
指示受けなどが上げられます。一方、救急室、集
中治療室には、
ユーザ側での運用の工夫が多く
見られます。実運用されている病院での具体的
運用状況の工夫を、病院見学時に確認されるこ
とをお勧めします。
としての配慮を怠らない姿勢が必要です。
ダイナミックな電子カルテシステム導入は、
病院
として何度も経験するものではありません。投資
規模から見ても慎重にならざるを得ず、
見学受け
入れ先は貴重です。先行病院におかれては、
その
貴重な経験とknow-howを、
公共性を鑑み、
次に
続く病院にあらゆる機会を通じ、
積極的にご教示
いただけることを切にお願いいたします。
3.
仕様決定
■システムデモには限界がある
この工程で重要なのは、
病院の目指すべき姿や
電子カルテシステムは、
病院統合システムです。
地域での役割と現状を把握したうえで仕様の決
そのため基幹ベンダとベンダが異なる部門システ
定を行うことです。また、発展性の可能性も考慮
ムなど、
接続環境のない中でのデモンストレーショ
する必要があります。本例では、
パッケージ型電子
ンは、
主要画面展開・操作導線・運用のイメージを
カルテシステムであることを前提とします。仕様
つかむ程度が目的とお考えください。デモ環境で、
決定の前の基本構想立案段階では、以下の文書
レスポンスなどの状況を検証できるものではあり
例などが参考になります。
ません。医師向け・看護師向けなど対象者毎に、
各
回の目的を病院・ベンダとも双方理解の上、
準備・
05_安全管理GL安全対策機能調査票
実施する必要があります。
06_電子カルテシステム機能仕様書
①システム提案時のデモ
Q&A
システム提案時には、
ベンダから営業担当者が
システムの機能説明を行うケースが多いですが、
Q. 従来の基本的な機能に加え発展性も含め、
今後益々必要となる重要な機能にはどんな
ものがありますか?
医療従事者は、
そのシステム機能を使って実際
にどのように病院業務を運用するかが知りたい
ものです。そのため営業担当者に加え、
導入工程
マルチベンダであることは重要です。また、
クリ
ティカルパス、DPC、
レセプトオンライン、連携
支援、
健診システム、
グループウェア、
物品流通、
DWH(データウェアハウス)、経営管理は優先
的に考慮すべきです。これらの機能は病院のシ
ステムとしてなくてはならない機能であり、ベ
ンダには標準機能としての搭載努力を望むとこ
ろです。
に携わった経験のあるプロジェクトマネージャー
クラスのSE(System Engineer)の出席を求め
るとより良いと考えられます。
②画面展開と運用
事 前にベンダに病 院から運 用 のシナリオを渡
し、模擬環境・模擬データの作成を依頼するケ
ースがありますが、部門システムの環境のない
中でのデモには多大な制約があり、
システムそ
のものの検証レベルではないことを理解してお
く必要があります。
8
Ⅱ 準備編
Q&A
Q. 思いがけない費用が発生することがあると
いわれますが、どんな費用が予想されるの
でしょうか?
データ移行費用、保守費用、医療機器やベンダ
の異なる部門システムとのインターフェイス構
築費用は、
当初から考慮する必要があります。
4.
ベンダ選定
ベンダ選定には、
以下の点を考慮する必要があ
ります。下記要件を、病院側もベンダ側も十分に
理解し、決して「システムを動かすこと」だけに目
的を定めず、
全体最適に向かって必要な努力を惜
しまない姿勢が必要です。
①システムが質の高いものであること
②発展の余地があること
③社会的責任を自覚しているベンダであること
①システムが質の高いものであること
選択したパッケージ型の電子カルテシステムが、
医療の標準、
コンプライアンス、
質の向上を意識し
開発された質の高いものであることが重要です。
②発展の余地があること
過去の多くの医療専門家の知恵・意見を真摯に
受け止め、
know-howが反映されたものであり、
医療情勢の変化とともに、
なお発展の余地がある
ことが重要です。
③社会的責任を自覚しているベンダであること
医療の発展に継続的に尽力し、
社会的責任を自
覚しているベンダであること(医療界から安易に
撤退しないベンダであること)が重要です。
9
Ⅲ 導 入編
Ⅲ
Ⅲ 導
導入
入編
編 ∼
∼導
導入
入工
工程
程ご
ごと
との
のポ
ポイ
イント
ント∼
∼
1.
準備段階
その権限を委譲されていることが重要です。さら
本 工 程は、病 院 の 導 入チームの 役 割をしっか
に、院内の人材、及び各人が有するスキルについ
り認識するための工程です。これから6ヶ月間の
て詳しい人が適任であることから、
CIOには通常、
スケジュールをしっかりイメージし、理解します。
院長・副院長クラスのトップ判断の権限を有する
毎 週 開 催する導 入 委 員 会においては、病 院とし
役職者が適切です。
Q&A
て決断すべき項目が何であるかを整理整頓し、
一
覧表として把握します。期限までに結果を確保す
Q. 院長・副院長クラスであっても、ITに強いわ
けでもなく、実際の経験は数少ないか、全く
ない、という状況で役割を全うすることに不
安がありますが大丈夫でしょうか?
るため、進捗を共有し管理することは重要です。
07_議事録・作 業 進捗管理表
■CIOの任命
他業界においては、
CIO(Chief information
大丈夫です。ITに関してSEのような技量が必
要なわけではありません。技量は専門スタッフ
を内外から集めることが可能です。CIOは、委
員会のメンバー選出も行わなければならない
ため、実務を知るだけでなく、院内の人も知っ
ていることが望まれます。必要な情報を各専
門家から集め、全体の整合性を図りながら、全
体最適のためにタイムリーに判断・決断してい
くこと、及びプロジェクトの進捗を監督するこ
とがCIOの役割です。しかし、CIOをサポート
するチームが充実していないと相当な苦労が
予想されます。CEOはCIOの適任者を任命す
ることが大変重要です。体制確保には努力と
協力が不可欠です。
officer/最高情報責任者・IT担当役員)と呼ばれ
る管理者が、
CEO(Chief executive officer /最
高経営責任者)とともに経営の中核を担い大きな
力を発揮しています。CIOは、IT化による業務の
効率化・経営改善等の効果を認識し、
IT本来の能
力を十分に引き出す管理者として、
医療現場にお
いても必要な役職です。
近年医療機関では、
電子カルテシステムの導入
が進んでいますが、
「 動かすこと」のみに主眼が置
かれ、
「システムの持つ有用性を明確にし、
安全管
理体制の整った形で主体的に動かし続けること」
に至っていないのが現状です。組織全体統合シス
テムである電子カルテシステム導入には、CIOの
■導入チームの構築
存在が不可欠と言えます。また、業務改革を伴う
導入チームの構成例を図2、
導入チームの役割
システム導入においては、
システム導入の意義を
分担を図3に示します。CIOは、
病院の導入チーム
理解し、
自己流、
自病院流ではなく、
標準診察工程
はもちろんのこと、
プロジェクト全体を統括する役
を構築する気概を持って取り組むことは、成功へ
割を担います。システム導入においては、
部門に携
の大きな鍵となります。
わる人員の満足が、
必ずしも全体満足にはなりま
電子カルテシステム導入において、
非常にスム
せん。見失ってならないのは、
病院方針に適合する
ーズに導入されている病院とそうでない病院との
全体最適の視点です。それぞれの役割を把握して
差は、病院全体システムとしての整合性、全体最
プロジェクトを運営することが重要と言えます。
適に向かって、
いかに継続的に調整ができるかに
●医療情報技師
かかっていると言えます。現場としての意見を尊
「保健医療福祉専門職の一員として,
医療の特
重しながらも組織としての方向性を見失わないよ
質をふまえ,
最適な情報処理技術にもとづき,
医
うに、一つ一つの課題を決断・判断していくこと、
療情報を安全かつ有効に活用・提供することが
そこにはプロジェクトのけん引役の果たす役割が
できる知識・技術および資質を有する者」と定
大切です。CIOはトップ判断ができること、
または
義されます。
10
Ⅲ 導入編
●診療情報管理士
析、
編集し活用することにより医療や健康の質 の向上をはかる専門の職業です。
ライブラリーとしての診療録を高い精度で機能
させ、
そこに含まれるデータや情報を加工 、分
Q&A
Q. 医療情報技師は導入期のみ外部委託する形でもよいでしょうか?
電子カルテを導入した病院では、
病院職員としての医療情報技師が、
システムの専従者として継続的に必要で
す。病院所属の医療情報技師は、
病院で現場の医療者の声をリアルタイムに聞き取り、
部門間の調整を図り、
病
院としての決定事項を技術者に的確な指示で伝えることができる、
言語の違う世界を繋ぐ翻訳者の役割を担い
ます。導入期は院内会議スケジュールも含め調整役として、
稼動後は発展的保守管理役として、
データベース
の活用により経営効果・医療の質に有用な情報を提供し続ける役目を担います。SE技術力補填としてシステム
保守を外部委託する場合は、
医療情報技師はシステム保守チームの管理者として作業指示・検証を行います。
図2 導入チーム構築例
各種専門ワーキング
システム担当
・医療情報技師
・診療情報管理士
導入委員会
ベンダ側導入チーム
・プロジェクトマネージャ
・運用検討・条件確認担当
・SE(従来の技術スキル)
図3 導入チームの役割分担
ベンダ
導入委員会
運用提案
基本患者導線
運用フロー検討・確定
専門 WG
基本患者導線
運用フローに基づき
詳細条件確認
部門体制召集
現場
ベンダ担当者が
設定条件を説明し
画面を確認しながら
詳細条件を確定していく
適時・適材参加
・議事要約
・進捗管理表
幹部会と調整
方針決定
決定提案事項承認
病院方針に
関わる事項
部門決定事項...
詳細設定条件確定
11
病院として
方針決定が必要な事項が
発生すれば、
導入委員会に
取りまとめて上げる
Ⅲ 導 入編
■情報交換の場(Plaza)の確保
■ベンダ・コントロール
導入工程のスタート時点では、病院側、
ベンダ
電子カルテシステムは、
病院全体システムです。
側のスムーズなコミュニケーションがまだ確立し
部門に導入するサブシステムであっても、
基幹シス
ていません。会議の場とは別に、共に自然に集合
テムとの整合性を図ることは必須要件であり、
サブ
できる場(Plaza)があることで、
コミュニケーショ
システムの進捗の遅れはプロジェクト全体に多大
ンは格段に良くなります。電子カルテの導入に直
な影響を及ぼします。ベンダ間のコミュニケーショ
接係わるメンバーが、時間が空けば集まり情報共
ンは、基幹システムベンダ主導のもとに確保する
有ができる場が必要です。これから始まるシステ
必要があります。プロジェクト全体のコミュニケー
ム導入の全工程における段取りの確立・相談の場
ションの良さは、
そのまま作業進捗に繋がります。
ともなる重要な場所です。ここには次のものが必
ついては、
基幹システムベンダ、
及びサブシステ
須アイテムとなります。
ムベンダには、互いに全体スケジュールとの整合
性を図るよう依頼すること、
さらにシステム導入に
①デモ環境
関与する全ベンダについて、
誰が導入まで責任を
(サーバ、
端末、
ネットワーク、
プリンター)
持って対応するのか、
担当者の確定を依頼するこ
②コピー機、
メール環境、打ち合わせテーブル
とが必要です。また、
全ベンダには、
全体進捗会議
(10人+Ș椅子)、
プロジェクター
への参加を必須とする事をお願いしましょう。
■情報共有
早期にデモ端末の確保が必要です。デモ端末
導入期は必要な作業を進めるとともに、
システ
は営業端末ではなく、
類似病院レベルのマスタが
ム導入への理解を深める時期でもあります。目的
入っている端末で、少なくともシステム導入後の
などの意思統一を図ることは、
一度の発信では果
運用のイメージが持てるものであることが必要で
たせません。あらゆる機会を通じ、継続的に努力
す。デモ端末は、
デモ機としての役割、
運用・システ
が必要です。
リアルタイムにプロジェクト進行状況
ム設定条件確認時の役割、資料作成のための役
を把握し、
情報発信を行います。また、
その後のレ
割を持ちます。
スポンスを確認し、
効果の確認に努めます。
またWG時等の打ち合わせ用資料は、
相当数あ
ります。ここは、
紙資料の必要な場面なので、
出席
■コンプライアンス認識
者プラス原本管理用も含め、惜しみなく用意しま
各種優先診察(薬、
注射、
リハビリ、
透析)など、
特
す。出席者には必ず資料配布し、
遅れて入る方に
別な運 用があるのであれば 、電 子カルテ導 入 の
も配布する配慮が必要です。
「説明と同意」という
機会はコンプライアンスを含めて運用を見直す良
用語は医療用語のみに使われるのではなく、
シス
い機会です。本来のあるべき姿を検討することが
テム導入工程においても当てはまる用語です。
大切です。予約診察の方針、
リスクマネジメントの
導入の全工程は、
システムに関する周知徹底工
システム化方針、診療情報管理(サマリの取り扱
程でもあると認識します。随所での十分な説明や
い)の体制などは、早期に整理する必要がありま
質問の回答を得ることは、
ユーザの権利でもあり、
す。
その取組姿勢はシステム導入にかかわる全員の
2.
適応段階
心構えとして必要です。導入チームは、工程を十
この段階で重要なのは、
ベンダから納得するま
分に確認した上で的確に現場に伝えます。
で説明を受けるという姿勢です。次のステップに
●マスタ
進んでから後戻りということを繰り返すことは、
非
本書では、薬剤、検査など各種システムのマス
常に効率が悪くなります。あくまでベンダには丁
タと文書、
テンプレート、
シェーマを指します。
寧な対応を依頼します。そのためには、
口頭説明
ではなく提示を受ける資料が大切です。ベンダと
12
Ⅲ 導入編
ことにより、
サーバへの負荷が軽減できます。
病院側専門ワーキングメンバーが、
会議などで確
認した結果は、
必ず明文化し認識を統一します。
■運用フローチャートの提供を受ける
また、
部門システムの決定が遅れた為に、
メイン
システムの詳細確定ができないケースがよくあり
ベンダからシステムの動きを、
病院業務に合わ
ますが、部門システム内のことであれば優先順位
せた運 用フローチャート( 流れを記号で示したも
を下げ、全体にかかわる部分を先に進めます。詳
の)一式の提供を受けます。運用フローチャートに
細条件確認中に発生する懸案の中で、病院方針
システム以外の物の動きや、
スタッフの段取りな
にかかわる部 分は優 先 的に導 入 委員会にリスト
どを詳細に追記したものを運用手順書と言いま
アップして上げます。権限の無いところで議論が
す(後述P16)。ベンダ提供の運用フローチャート
先行し、堂々巡りにならないよう留意します。
リー
から運用手順書を作るには、
最低100項目程度の
ダは内容を見極め、
現場の意見が出揃ったら導入
運用の切り口が必要となります。図5(P18)に運
委員会決済に回すとりまとめを行うことが、全体
用手順書の完成例を示します。
進捗を図る上で重要です。
■マスタの整備
■運用条件の決定
マスタは、
基本的に一から作るのではなく、
提供
システム構成にあわせ、
詳細条件を決定するに
されたマスタを検証し、不足分について作成しま
あたり、導入委員会 、各専門ワーキングでデモ端
す。ベンダ提供の標準的なマスタは、100%の完
末を見ながら確認を行い、
患者サービスに必要な
成度ではありませんが80%くらいは使えます。残
帳票、外部文書の取り扱い、
スキャニング基準な
りの20%を作成することで、
病院独自の使い勝手
どを短期間でまとめます。特にスキャニング基準
を確保できます。
稼動後、
SEが引き上げた後のメンテナンスにも
は大切です。
各セクションで共通かつリアルタイムに参照した
役立つことなので、
継続的な人材育成を考慮し、
マ
いものは、
スキャニングしてでも情報を電子カル
スタの整備には積極的に関与します。マスタの良
テ側に返す必要があります。後から参照で良いも
し悪しは、直接システムの操作性に影響します。
の、限られたセクションでしか参照しないものは
使う側から作成者への意見を言うことが大切で
原紙の保管、紙での運用管理を考慮します。この
す。また、
システムが稼働してからも不満足な点は
Q&A
Q. ワーキング開催数が相当の数になると聞きますが、何回くらいで詳細システム設定条件を決定
できるでしょうか?
システム導入の規模にもよりますが、
大小30ほどの専門ワーキングでそれぞれ2,
3回条件確認を実施しま
す。回数ではなく、全体を1∼1.5ヶ月くらいの間に済ませると考えてください。専門ワーキングは目的に応
じ柔軟な組み立てが必要です。重要なのは、現場業務を把握し、専門的な見地からディスカッション・判断の
できる適任者を選任することです。同じ担当者が出席するのであれば、
スケジュールの効率性を確保します。
● 専門ワーキングの種類例
● 外来患者導線運用、
入院患者導線運用、
患者基本、
共通、
透析、
集中治療、
救急、
時間外、
地域連携、
クリティカルパス、
健診、
外来化学療法、
放射線治療、
服薬指導、
診察予約・外来診察案内表示板、
栄養指導、
リスクマネジメント
● 処方、
注射、
リハビリ、
画像、
画像予約、
看護、
PDA、
手術、
処方、
食事、
注射、
内視鏡、
入院基本、
病理、
汎用病名、
輸血、
検体検査、
生理検査
● テンプレート、
文書、
セット、
シェーマ
● 看護管理日誌、
看護勤務管理、
インシデントレポート
● 研修、
事前移行、
リハーサル
13
Ⅲ 導 入編
その都度修正していくことが必要です。
換に役立ちます(http://www.medis.or.jp/4_hyojy
具体的には、
マスタを設定することで可能とな
un/medis-master/)。MEDIS標準マスタには以下
るチェック機能などについて、SEに一覧表として
のものがあります。
の提供を依頼します。この項目の例としては、各
■病名マスタの作成
種禁忌チェック機能や警告メッセージとして表示
図4にMEDIS標準マスタ使用による病名マス
することが可能になる項目、
電子カルテの画面の
タ作成の流れを示します。
中で規定値として表示することが可能となる項目
1)既存の病名の整理
などがあります。
2)フリーに作成しているワープロ病名はすべて
事前にマスタ作成担当者は、
SEからマスタメン
テナンスの機能の持つ可能性の説明を受け、
シス
排除し、
標準病名への置き換え
テムの発展性を理解した上でマスタ選択確認、
作
3)使用頻度の高い病名を整理し、
使用するICD
成を行います。その際にはベンダ提供の標準マス
コードを統一します。
タを利用します。
マスタは継続的メンテナンスが必要ですので、
■MEDIS-DC標準マスタの利用
継続的に病名を管理する部署を設置することで
システム運用時、
医師の問い合わせに速やかに対
(財)医療情報システム開発センターが提供す
応できる環境を確保します。
る標 準マスタ( 以 下 、
「 M E D I S 標 準マスタ」とい
う)を積極的に活用することが、外部との情報交
●病名マスタ
●臨床検査
ICD10、
傷病名マスタ(基金)と完全一致
JLAC10を採用し、
すべての検査対応
●医薬品マスタ
医療用医薬品(薬価収載、
非収載)のデータ
ベース、
主要なコードとの対応
●看護用語マスタ
観察・行為の用語の辞書
●疾患別看護セット
疾患をアルゴリズム化し、
それぞれの観察・行
為をセット化
●医療機器データベース
医療機器、
対外診断薬、
雑品のDB(国、
業界)
図4 病名マスタ作成の流れ
ベンダ
医療情報技師
マスタ作成に
ついて説明
医事システムから
レセプトで
使用している
病名を抜き出す
完全一致分を
システムで
抜き出す(70%)
診療情報管理士
MEDIS病名
への適応(20%)
残30%科別に
振り分ける
3ヶ月ごとに100病名
くらい追加している。
ただし、
統合メンテナンス
も行っているので
病院にて継続的
VerUp対応が必要
医師
どうしても無い...
未コード化病名
(標準レセ電算対応)
として作る、
ただし
統計的意味は低い
残10%医師と相談
(5%減る)
一科5病名くらい残る...
MEDIS-DCに
作成依頼
継続的VerUp対応
14
病院として
方針決定が必要な事項
Ⅲ 導入編
■薬剤マスタの作成
ム医療への貢献が大きく期待されます。医師への
薬剤マスタの作成に、
薬剤師としての真のスキ
タイムリーなレクチャーも重要です。マスタ上で自
ルが要求されます。メンテナンスの精度がリスク
動的に禁忌などのチェックがかかっているか否か、
マネジメント(医師の支援)に大きく貢献すること
医師の認識が曖昧になるとリスクが増大すること
になります。マスタの完成度は、
そのままシステム
に留意して作成してください。
の「使いやすさ」、
「使い勝手」に繋がります。以下
■マスタによる医療安全対策
が薬剤マスタ作成のポイントです。
マスタを作成することにより、
システムの 持つ
多様な機能(依頼時のチェック機能など)を使い
①MEDIS標準医薬品マスタ(HOT番号)の利用
こなすことができるようになります。当初の作りこ
②導入システムにある機能と合わせて仕掛けを
作成する。(禁止エラー、警告ワーニング)
み作業は少し手間がかかりますが、
有用性は非常
に大きいといえます。診療支援に有効な部分です
薬剤禁忌マスタは、
縛りすぎると仕事になりませ
ので、医師・薬剤師・検査技師・放射線技師など専
ん。本当に必要な情報に絞り込むことがコツです。
門グループのディスカッションから優先順位を見
電子カルテの導入は、
病棟への患者単位の薬剤
極めることが大切です。
の払い出し、
院内に分散管理されていた薬剤在庫
入力時の単純な誤りの回避には、
以下のような
の軽減、一元管理など、薬剤師の活躍によりチー
チェック機能が役立ちます。
◎薬剤関連
●薬剤絶対禁忌チェック
●治験薬剤チェック
●DI表示
●薬剤相互作用チェック
●麻薬、
特殊薬剤表示色変更
●他科処方重複チェック
●使用量チェック
●一包化自動設定
●溶解情報表示
●常用量表示
●分割チェック
手技関連チェック
●薬剤、
●妊産婦禁忌チェック
●8種低減チェック
●薬剤緊急安全情報表示
●同一散剤メッセージ表示
●薬剤保険適用可能日数表示
●患者アレルギーチェック
●院内/院外採用薬表示
◎検査関連
●重複検査チェック
●身長、
体重督促機能
●負荷薬剤督促機能チェック
●同一検査項目チェック
●検査項目関連チェック
◎その他
●患者アレルギーチェック
●直近予約日自動表示
●休診日チェック
■マスタ作成のキーマン
以下の職種の方が、
マスタ作成のキーマンとな
ります。
●薬剤師、
臨床検査技師、
放射線技師
●医事担当者
●医療情報技師
●各科代表医師(記事記載テンプレート・シェーマ)
眼科、
歯科の医師
●耳鼻咽喉科、
●診療情報管理士(文書)
●看護師
●人事担当者(マスタメンテ担当者との連絡)
15
Ⅲ 導 入編
Q&A
頻繁に使用される文書様式についてはベンダか
ら電子化された状態で提供を受けます。提供分は
Q.なぜ人事担当者とシステム担当者との連絡
が必要なのですか?
採用の可否、
不足分に関しては作成の要否、
を検
電子カルテシステム稼動後は、職員ごとのアカ
ウント管理が入職後速やかに必要になります。
いざ業務というときに、電子カルテが使えなく
てあわてることにならないよう、
また採用情報・
非常勤の医師などの情報が的確に伝達される
ように、院内の採用時マニュアルなどの改版を
行う必要があります。
断します。 0302_文書一覧
討し、
電子化するか紙媒体での運用にするかを判
具体的には以下の観点で整理しましょう。
●電子化採用・不採用検討のための一覧資料作成
●電子化基準の検討(用紙サイズ・内容変更頻度)
●精度管理(誤りの訂正)
●電子化テストリリース・検証
■パッケージインストール・端末設置
●利用者への通知(内容変更時も)
システム設定条件が整ったら、
システムインス
Q&A
トールを実施します。端末設置までに端末・プリン
ターなどの配置の再確認が必要となります。その
Q.院内に分散管理されている文書の整理には
かなり困難が予想されますが、何かコツがあ
りますか?
後サーバ、
ネットワークの構築となります。端末設
置後、
ベンダー側でインストールされたシステム
が、正常に作動するかどうか検証が行われます。
文書の一元管理が難しいのは、文書毎といって
もよいほど責任者が異なることにあります。「い
ったい誰に聞けば本当のことがわかるの?」と
いう状況ではないでしょうか。こつこつ整理する
しか対策はないのですが、一覧表に管理者・科
別の使用頻度を加えておくと、その後の整理に
役立ちます。
マスタ類の検証については、
研修や事前データ入
力の機会を使って総力で実施します。良好な協力
体制を維持し、本稼動までにできるだけ洗い出す
努力が必要です。
Q&A
Q.パッケージインストール・端末設置は、ベン
ダが主になって進めると思いますが、病院と
して特に注意すべき点は何でしょう?
■運用手順書作成
医療サービスの提供は、
製品(サービス提供)の
検証を行うタイミングが困難です。製品完成と同
作業スペースの確保が大切です。広いスペース
で一気に行えば作業効率が上がります。土日休
日対応も考慮するべきです。会議が重なる時期
ではありますが、講堂などを使用することも一
考です。また、
様々な導入条件によって既存シス
テムの環境に制約事項が出てくることもありま
す。スケジュール、約束事項など正確な情報発
信は病院側として重要な役割です。ネットワーク
機器(スイチッングハブなど)は、安全管理のた
めに、見えないところに設置し、
うかつな機器、
ケーブルの接続によるトラブルを防止します。
時に提供がなされるため、
的確な工程(運用手順)
管理は医療サービスの質に大きく関与します。運
用手順書を作成し、
それぞれのタイミングでの評
価・妥当性の確認の視点を考慮して作成すると、
長期的効果として患者の満足度に大きく結びつ
くことが期待できます。
運用手順書の作成には、
ベンダから提供された
運用フローチャート(前述P13)をベースに、
シス
テム以外の物(帳票類、患者に受け渡しが発生す
■各種文書の整理
るものなど)の段取りや時間的要件などを、運用
院内で使用している500近い文書の棚卸しを
フローチャートに重ね合わせ作成します。
行います。その際に、使用頻度も合わせて検証し
08_運用手順書
ましょう。使用頻度の少ないものや、外部機関作
運用手順書の作成前に、院内ルールを決定し
成様式の取り扱いも検討します。一般的な病院で
なければなりません。システムの動きだけでは病
16
Ⅲ 導入編
院は動かないため、
すべての患者導線を洗い出す
看 護 師です。k n o w - h o wを明 示 的に整 理 整 頓
ことが必要です。患者導線をキーにスタッフ導線
し、患者の動き、診療の流れを正確に捉えること
を洗い出し、担当者(権限者)を明確に区切り、
イ
が大切です。
ンプットとアウトプットを確定して、全病院同一記
運用手順書が出来上がったら現行業務がすべ
入様式で一元的に完成させます(写真1に運用手
て網羅されているか、毎日の業務をイメージしな
順書の原稿例を示します)。
がら確認します。帳票が画面に移行するもの、帳
この運用手順書を完成させる工程が、
業務改革
票として継続するもの、
患者の視点でサービス低
にかかわる決断に必要な事項の発生するところ
下が無いかなど、
確認は各部署に振り分けて実施
です。現行運用をすべて是とするのではなく、
この
しても良いですが、
必ず一元的に最終期限を設け
機会に、病院の方針として標準的な運用に改善、
実施することが重要です。
変更する決断が重要です。導入チームは、
トップの
決断を導く資料を提示することが求められます。
決めきれない病院は、
効果が出せないことになり、
複 雑 な 運 用が 発 生し 稼 動 後 混 乱が 予 想されま
す。ここはリーダ看護師でシステムを理解してい
るスタッフが、
力量を発揮できる場面です。全病院
的に患者の動きの詳細まで知り尽くしているのは
写真1 運用手順書の原稿
17
Ⅲ 導入編
図5 運用手順書(入院基本、入院前&当日)
医 師
※外来
外来看護師
病棟看護師
各部門
医 事課
※入院の必要が発生
不可
入院日
確定
可能
入院予定入力
入院決定入力
・病棟師長は空床状況を確認し、
部屋の確保を3日前に行う
・およその入院日を患者に説明
※3日前には入院日の
お知らせがある旨の説明
入院決定入力済を
医師・外来看護師へ連絡
入院決定入力
・外来診察中に、
入院が必要と
なった患者は、病棟の空き状
況確認のためベッド管理部署
に連絡する。
入院
予約票
【緊急入院の場合】
・救急診察中に、入院が必要となった患者は、
病棟に連絡する。空床がない場合は平日/通
常は看護部長室、時間外は管理当直に連絡
する。患者・患者家族は、看護師より救急診察
室にて入院手続きを行う。
受け入れ病棟確認後、救急室看護師が、患者
を病棟に搬送する。
入院説明
・外来看護師が入院案内及び
入院契約書等を手渡し、
説明を行い
入院当日持参してもらう。
入院時
指示入力
入院時
指示入力
・状況に応じて後ほど
入力する
・安静度
・検温指示
・清潔レベル
・排泄レベル
・当日、
翌日以降の
オーダ指示
患者へ
入院日の連絡
入院決定入力済を
医師・外来看護師へ連絡
入院決定
患者一覧
当日の深夜帯で
当日分を出力(時間帯は、
8:00までに)
入 院 当日( 午 後 )
【外来ブロック】
入院手続き
・保険確認は、
医事課初診受
付にて後日、
数日の間に行う
お迎え
・外来看護師からお迎えの連絡を受けて、
病棟看護師は外来へお迎えに行く
入院確認
各部門システム
・食事変更があった場合には、
食事オーダより変更入力
※病棟管理日誌へ反映
リストバンド発行
オリエンテーリング
(アナムネ)
・院内施設の説明(ビデオ)
・入院時情報収集
・嗜好品等患者情報ヒヤリング
入院時説明
・医師、
看護師が同席して行う
・治療計画書に基づき説明
・入院誓約書(保証人は1名)を提出してもらう
・入院期間確認は、
病棟クラークに提出してもらう
・家族連絡表は、
入院当日必ず提出してもらう
・リライトカードは、
患者本人持ちとする
(持参を確認しておく)
※急ぐ指示は、
必ずPHSか声かけを行う
検査、処置
注射、与薬の実施
ケア計画
14:00、
16:00に出力
画像生理
処方監査
患者受付
処方、注射せん
発行
検査実施
調剤
結果報告
臨床検査部
栄養部
ラベル発行
食事箋発行
採血管搬送
食数、献立管理
検体受け取り
調理、盛り付け
検査実施
配膳
・入力を行いPDA連動を可能とする
ワークシート出力
ワーク
シート
看護記録
薬剤部
指示受け
(リーダ看護師)
グランドアセス
メントシート
9:00、
11:30、
・電子カルテにて記録、
参照可能
患者基本情報
取得
病棟へ搬送
患者へ
入院日の連絡
・安静度
・検温指示
・清潔レベル
・排泄レベル
・翌日以降のオーダ指示
・室料、
差額ベッド料
・アレルギー情報
・障害情報など
リスト
バンド
※外来時に入院当日分を
入力する場合もあり
入院情報
ケアの実施
PDA
・ベッドサイドにて実施値を登録
・バイタル測定値他、
看護オーダ内容の
実施入力が可能(熱計表)
18
結果報告
Ⅲ 導入編
■運用管理規程の整備 ■研修スケジュールの作成
医療に関わるすべての行為は、医療法等で医
研修の機会は、決定事項を全員に周知徹底す
療機関等の管理責任者の責任で行うことが求め
る良い機会でもあります。操作マニュアルに合わ
られており、情報の取扱も同等です。媒体に関わ
せ、運用手順書を全員に配布し新運用の理解を
らず情報の取扱は「証拠能力、
証明力について」 や「技術的対策と運用による対策」 を留意して医
促すことが大切です。
研修1コマあたりの時間想定、
及びコマ数の割
療機関等の自己責任で行う必要があります。病院
り出しを入念に行います。医師の参加可能時間な
として情報の取り扱いについての教育、
研修の機
ど を考 慮し 、一 般 的 に は 研 修 時 間 は 1 3 : 0 0 ∼
会を設定し、
職員一人ひとりにも自己責任の喚起
20:00頃までの時間で設定しましょう。医師(2時
を促すことが重要です。 安全管理GL
間×3コマ)、
看護師(2時間×2コマ)、
コメディカ
また、
運用管理規程は、
管理責任や説明責任を
ル(2時間×1コマ)を最低限とし、
個別の習熟度の
果たすためにきわめて重要であり、必ず定めなけ
差を埋めるために、
別に自由研修時間を設けます。
ればなりません。作成にあたっては、
ダブルスタン
委員会の主要メンバーは、
事前に一通りの研修内
ダードを作らない様に、
上位規程(運用管理規程)
容を体験し、
内容の評価をすることが必要です。
と現場との運用の整合性を取る工夫が必要です。
研修は、
全員参加が必須です。出席確認は必ず
そのためには、現場のメンバーが、規程整備に携
行います。特に、非常勤医師や、稼動時期近くに
わる必要があります。そのステップが、
運用の安全
赴任する職員への配慮が必要です。予定を確実
管理への理解につながります。
に全員に伝え、結果を把握し、習熟度に不安があ
09_運用管理規程文例
る場合は、
フリーレッスン枠を確保しフォローしま
す。
3.
教育段階
■操作マニュアルの工夫
教 育 の 段 階では、導 入 作 業はスピードが 上が
り、現場の大半の人を巻き込む形となります。導
ベンダからは詳 細な操 作マニュアルが提 示さ
入チームは、
各回のイベントの目的とスケジュール
れますが、研修に使用する場合はシナリオに合わ
と成果を着実に確保することに力を注ぐ必要が
せた簡易版の用意が必要です。イレギュラー(追
あります。また、現場への周知徹底は、
タイムリー
加・変更・修正など)対応版を用意することは非常
に実施します。大規模病院の場合は、
委員会と現
に有用です。運用との整合性が取れるマニュアル
場のギャップが大きいケースがありますので連絡
であることには、
配慮が必要です。
研修はメインのシステムに偏りがちですが、
医療
の行き違いをなくすことが重要です。
現場にはこの機会にかなりの数の新規導入シス
■操作研修はリーダ看護師の活躍の場
テムがあります。稼動時に戸惑うことの無いよう
ベンダから派遣される操作研修のインストラク
に、
マニュアルの確保と説明会の実施をサブシス
ターは、
システムとしての操作・機能は理解してい
テムベンダにも依頼します。
ますが、病院業務を深く理解しているわけではあ
■運用の確認
りません。シナリオ作成や、
説明のキーになるとこ
ろはしっかりと病院の実際の業務を熟知している
運用の確認とは、
実際に業務に携わっている現
メンバーが打ち合わせを行う必要があります。稼
場担当者に、
操作研修と同時に運用のイメージを
動後、新任者への研修等についても対応を考慮
もたせ、
詰め切れていない運用が無いか再度確認
し、
システム担当のリーダ看護師が当初から任命
することです。
されていると、
あらゆる場面で効果があります。や
がて看護マスタのメンテナンスもこなしてしまう
ほどの担当者として、
育つことが期待できます。
19
Ⅲ 導 入編
Q&A
■リハーサル
小・大規模のリハーサルを2∼3回実施します。
Q.医師は、運用に関して看護師に任せて無関
心なところがあります。また全員の医師が
操作に関して不安なく実運用に入れますで
しょうか?
最初はベンダから指導を受け、
徐々に病院主導で
実施します。部分リハーサルも含め、
スパイラルに
繰り返します。
リハーサルでは、操作的な部分と、
導線運用部分の確認・評価が重要です。事前に参
電子カルテの使い方は医師には難しい物では
ないのですが、難しいのは運用といわれていま
す。ルール、運用を熟知していないと指示が通
らず不安にさせます。紙カルテや紙カルテと
オーダーリングの並行運用だと、看護師がイン
ターフェイスを行っていました。システム導入と
同時に、人員配置の変更や運用ルールが大きく
変わるケースもありますので、ルールの徹底
が、非常に大切になります。意味を理解いただ
き、事前の周知徹底を図るとともに、操作・運用
ともにヘルプデスクやインストラクターなどサ
ポート体制を充実してください。
加者にリハーサル各回の目的(運用検証・システム
設定・インターフェースなど)を周知し、
反省会によ
り成 果を確 認し、運 用 、
システム設 定についてブ
ラッシュアップすることが重要です。
4.
運用段階
運用段階からは、
システム的には本番環境を取
り扱います。
「仮に」ではなく「本番」のためにそ
ろえるデータ等の処理が多々発生します。テスト
環 境と本 番 環 境が共 存する時 期なので、環 境に
よって「できること・できないこと・してはいけない
■マスタの検証
こと」を適切に把握し、関係者に制約事項を周知
この段階になるとシステムの技術力というより
することが重要です。
も、
たくさんの人の目の検証力、意見の集約力が
■データ移行
重要な場面です。以下に、
マスタ検証のポイントを
データ移行は、
システム稼働初期の操作・運用
示します。
に不慣れな時期のカバーとして重要な対策です。
本稼働時、参照使用できるより良いデータとして
①操作研修の環境は実運用の環境
何が有用か、
ベンダと内容の十分な協議が必要で
②研修はマスタ検証も目的とする
す。同種同規模病院の事例が参考になるため、
ベ
ンダに事例の提示を依頼します。準備した過去の
③研修参加者には事前に検証についても協力
DOデータはあくまで参照データであり、
本稼働使
依頼する
用時は内容の再チェックを怠らない様に、医師へ
の広報が必要です。
①操作研修の環境は実運用の環境
事前入力の時期になると、
一日でも早く作業を
操作研修の環境は、
実際に使用するマスタ等が
始めたい積 極 的なスタッフが 多く見 受けられま
インストールされていることを周知します。
す。システム環境の確認を実施し、作業可能な端
②研修はマスタ検証も目的とする
末をできるだけ多く確保するなどに配慮します。
研修中に不具合、
誤字脱字なども含め気がつい
以下に、
移行期参照情報の作成(500床規模の
た場合は、
必ず集約して担当者に報告します。
病院の例)を示します。
③研修参加者には事前に検証についても協力依頼する
処方オーダ過去3ヶ月分、診察予約3ヶ月分、
より多くのスタッフの実体験による意見が集約
注 射 オ ーダ 過 去 1 か月 分 、生 理 検 査 オ ーダ
500件、検体検査オーダ2000件、放射線オー
される時期でもあるため、
集約された情報を大
ダ3000件
切に検討し、設定変更などでより便利にできる
移行、入力環境が確保できるのは、本稼働約3
ことは前向きに考慮します。
週間くらい前です。効率よく作業を進めるために
20
Ⅲ 導入編
も事前の段取りが非常に重要です。
必要があります。この時期の毎日の反省会が大変
■事前作業と紙カルテの取扱
有用です。
「日々の課題はその日のうちに解決す
る」この取組を2週間続ければ非常に使い勝手が
医師の事前入力環境として、
入力端末、
及びサ
よくなります。
マリ入力のための対象カルテの準備についての
考慮も必要です。医師はシステムに慣れるための
■稼動後の検証
機会でもあるので、
外来患者のサマリ作成の要否
電子カルテシステムはダイナミックな病院全体
を検討し、
できる限り事前入力を行います。新旧シ
統合システムです。そのため、
すべてのシステムを
ステムのセッティングをベンダと打ち合わせ、
診察
同時に動かす本番稼動時、
「流れのよどみ」のよ
完了後の時間帯で医師がスムーズに事前入力に
うな箇所が発見されることがあります。その事象
入れるように環境の確保が必要です。同時に、
こ
の改善については、
開発工数を必要とせず設定の
の時間帯の操作支援も考慮する必要があります。
切り替えにおいて速やかに改善できることが多く
限られた時間をより有効利用するための環境確
あります。システムの設定変更が及ぼす範囲を慎
保に努力しましょう。
重に吟味し、
全体最適にプライオリティをおいて変
システム移行期においては、
旧紙カルテの取り
更の要否を判断します。その後、
改善提案、
システ
扱いについての 運 用を決めておくことが重 要で
ム調整、
リリース、
検証を繰り返します。
す。無期限にピッキングするのではなく、
3ヶ月を
リリース後の障害発生についても、
予め専門SE
目処に、インアクティブに取り扱いを移行するな
の配置で対応に備えます。規模の大小は考慮の
ど、速やかに見極めることがポイントとなります。
必要がありますが、
保守契約は発展的にシステム
旧紙カルテの取り扱いは、
あくまでも移行期のサ
を使いこなすためには必須と考えられます。
ポートのための運用であるとの認識を統一するこ
パッケージ型電子カルテシステムでは、
システ
とで、
新運用のメリットが助長されます。
ム改善要望に汎用性があれば、
時期・工数・影響範
囲に左右されますが、多くの場合特別なコスト無
■システム障害時対応
しに実装されます。パッケージシステムとカスタマ
緊急対応で一番大切なのは、障害レベルの判
イズタイプとの決定的な違いは、
保守契約の持続
断です。レベルに応じて速やかに対応することが
があれば自動的にバージョンアップされていくと
混 乱を防ぐことになります。特に、
「 判 断 」と「 指
いうところでもあります。
示」が速やかにできる緊急体制を確立する必要が
あります。想定されるシステム障害時に備え、
緊急
■継続的運用体制の確立
対応マニュアルを作成、
システム障害時の運用対
随時発生する問題点を、
毎日取りまとめ優先順
応を規定します。ベンダには、
システム障害時の技
位をつけ、
改善(システム・運用)の判断をして行く
術的対応マニュアル作成を依頼し、
病院では稼動
には、
レスポンスが重要になります。そのため導入
後早い時期にシュミレーションを実施しましょう。
時に活躍した、
導入委員会を継続することは重要
10_システム障害時マニュアル
です。導入後1週間は毎日、
その後の1ヶ月間は2
回/週、
2ヶ月間は1回/週、
3ヶ月間は2回/月と
11_災害時復旧マニュアル
順次開催頻度を減らしながら継続体制を確立しま
■稼動
す。
「徐々に慣れることで解消できる事項」と「妥
新しい環 境は患 者にとっても戸 惑いが多いも
協しがたい不都合な事項」を区別して意志決定す
のです。的確な案内ができるように、
スタッフは十
ることが大切です。
分に運用を把握することが大切です。本番の操作
システム稼働で、
電子カルテの導入作業を終わ
フォローとシステムフォローのための立会い者の
りと位置づけてはいけません。稼動時は、今後の
配 置 や 体 制 の 提 示を、事 前にベンダに依 頼しま
長いシステムとの付き合いのスタートです。生ま
す。その後のヘルプデスク体制も同時に確保する
れた子供が歩き始め、
その後見守りながら育てて
21
Ⅲ 導入編
ゆくという気持ちが大切です。継続的運用体制の
確立は、
電子カルテの有用性をより高めるための
必須の要件です。
■おわりに
本冊子は、
過去の、
数限りない医療従事者、
シス
テムベンダの試行錯誤と弛まぬ努力の積み重ね
によって得られた、
現状のknow-howと認識して
おります。ここに謹んで、
深く先達への敬意を表さ
せていただきます。
22
Ⅳ 付録
Ⅳ
Ⅳ 付
付録
録
付録1 ダウンロードファイル一覧
01_高機能病院DB
b_入院
0101_高機能病院DB.xls
08b01_表紙・他.xls
08b02_入院患者導線.xls
02_稼動システム現況一覧表
08b03_入院基本オーダ.xls
0201_システム.xls
08b04_食事オーダ.xls
0202_ソフトウェア.xls
08b05_処方オーダ.xls
03_文書帳票一覧表
08b06_注射オーダ.xls
0301_帳票一覧.xls
08b07_検体検査オーダ.xls
0302_文書一覧.xls
08b08_生理機能検査.xls
08b09_内視鏡検査.xls
04_既存機器一覧表
08b10_放射線検査.xls
0401_既存機器一覧表.xls
08b11_汎用オーダ.xls
05_安全管理GL安全対応状況調査票
08b12_リハビリオーダ.xls
0501_安全管理GL安全対応状況調査票.xls
08b13_手術オーダ.xls
08b14_輸血オーダ.xls
06_電子カルテシステム機能仕様書
08b15_病理オーダ.xls
0601_電子カルテシステム機能仕様書.xls
08b16_予約オーダ.xls
07_議事録・作業進捗管理表
08b17_病名オーダ.xls
0701_議事録・進捗管理表.xls
08b18_看護オーダ.xls
08b19_その他.xls
08_運用手順書
c_二次利用・検査資料フロー
a_外来
08c01_検査資料院外提供フロー.xls
08a01_表紙・他.xls
08c02_検査資料院外提供申請書.doc
08a02_外来患者導線.xls
08c03_診療情報の研究使用に関する
承諾書.doc
08a03_処方オーダ.xls
08a04_注射オーダ.xls
08c04_診療情報二次利用フロー.xls
08a05_検体検査オーダ.xls
08c05_診療情報二次利用申請書.doc
08a06_生理機能検査.xls
08a07_内視鏡検査.xls
09_運用管理規程文例
08a08_放射線RI.xls
0901_運用管理規程文例.doc
08a09_汎用オーダ.xls
10_システム障害時マニュアル
08a10_リハビリオーダ.xls
1001_システム障害時マニュアル.doc
08a11_手術オーダ.xls
1002_障害レベル判断基準表.xls
08a12_病理検査オーダ.xls
08a13_予約オーダ.xls
11_災害時復旧マニュアル
08a14_健診.xls
1101_マニュアル記入フォーム.doc
08a15_その他.xls
1102_復旧マニュアル・作成手順.doc
23
Ⅳ 付録
付録2 ダウンロードファイル画面例(一部)
01_高機能病院DB
03_文書帳票一覧表
0101_高機能病院DB.xls
0301_帳票一覧.xls
02_稼動システム現況一覧表
03_文書帳票一覧表
0201_システム.xls
0302_文書一覧.xls
02_稼動システム現況一覧表
04_既存機器一覧表
0202_ソフトウェア.xls
0401_既存機器一覧表.xls
24
Ⅳ 付録
05_安全管理GL安全対応状況調査票
08_運用手順書 / a_外来 /
0501_安全管理GL安全対応状況調査票.xls
08a02_外来患者導線.xls
06_電子カルテシステム機能仕様書
08_運用手順書 / b_入院 /
0601_電子カルテシステム機能仕様書.xls
08b13_手術オーダ.xls
07_議事録・作業進捗管理表
08_運用手順書 / c_二次利用・検査資料フロー /
0701_議事録・進捗管理表.xls
08c01_検査資料院外提供フロー.xls
25
Ⅳ 付録
09_運用管理規程文例
11_災害時復旧マニュアル
0901_運用管理規程文例.doc
1101_マニュアル記入フォーム.doc
10_システム障害時マニュアル
11_災害時復旧マニュアル
1001_システム障害時マニュアル.doc
1102_復旧マニュアル・作成手順.doc
10_システム障害時マニュアル
1002_障害レベル判断基準表.xls
26
電子カルテ導入ハンドブック作成 WG
氏 名
所 属
(財)医療情報システム開発センター
佐野 弘子
プライバシーマーク付与認定審査室
望月 由佳子
同上
大久保 義幸
同上
山口 雅敏
同上
相澤 直行
同上
本書に関するご意見・ご感想等がありましたら、お手数ですが下記
のアドレスまでメールでお願い致します。改訂時の参考とさせて頂き
ます。いただいたメールアドレス等の個人情報について、第三者に
開示・提供することはありません。
[email protected]
電子カルテ導入ハンドブック
∼ パッケージ型電子カルテを例にした標準的導入手法 ∼
発 行
2007年10月26日
編 纂
財団法人 医療情報システム開発センター
プライバシーマーク付与認定審査室
〒113-0024
東京都文京区西片1丁目17番8号 KSビル3F
TEL 03−5805−8207
FAX 03−5805−8209
http://www.medis.jp
− 禁 無 断 転 載 −
Fly UP