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ジュニア専門員体験談
ジュニア専門員体験談 2012 年度ジュニア専門員 山田 のり子 さん ⼭⽥のり⼦(やまだのりこ) JICA マラウイ「地⽅給⽔運営維持管理」技術協⼒プロジェクト」専⾨家 パラグアイ国アスンシオン市⽣まれ。アスンシオン国⽴⼤学で化学⼯学(学⼠)、北海道⼤学で都 市環境⼯学上下⽔道専攻(修⼠)を取得後、⽔道コンサルタントにて⽔道の計画設計、在⽇⽶ 陸軍にて、⾃然環境・⽂化財保護プログラム担当、国連環境計画にて、気候変動対策分野に携わ る等の経験を経て、2012 年 4 ⽉より JICA ジュニア専⾨員、2013 年 7 ⽉より現職。現在 7 歳、 3 歳の⼦どもの⺟親でもある。 写真(左)2013 年 7 ⽉、マラウイ国ムチンジ県 Msauchi 村にて給⽔委員会研修参加。給⽔ 委員会メンバーのお⼦さんと⼀緒に。(JICA 専⾨家着任直後) Q1 国際協⼒を志したきっかけは?また、JICA やジュニア専⾨員を志したきっかけについても、教えていただ けますか? 私は南⽶パラグアイで⽣まれ、⼤学卒業まで過ごしたのですが、JICA の専⾨家や⻘年海外協⼒隊の⽅々が 近所に住んでおり、⼩さい頃から JICA の活動を⾝近に感じていました。そのため漠然と、将来は専⾨家になり、 国際協⼒にかかわりたいと思うようになりました。 ジュニア専⾨員に応募した理由としては、⾃⾝の専⾨分野である⽔分野について、現場での経験を積み、専 ⾨性を伸ばしたいと思ったことと、⼆国間援助におけるトップドナーである JICA の援助のノウハウを学びたいとい うことがありました。 また、⾃分が⽣まれ育った南⽶でも JICA は多くの援助を⾏っており、将来的に、⽣まれ育った国の発展に貢 献するプロジェクトにかかわりたい、という思いもありました。 Q2 現在、⼭⽥さんが専⾨家として従事されているお仕事について教えてください。 現在私は、JICA マラウイ国地⽅給⽔運営維持管理プロジェクトの、衛⽣/プロジェクト調整の専⾨家として、 マラウイ国⽔開発・灌漑省に派遣されています。 このプロジェクトは 2011 年から始まったプロジェクトですが、プロ ジェクトサイトであるムチンジ県において、既存の維持管理フレー ムワークを改善・強化するもので、最終的には、確⽴した給⽔施 設の運営維持管理フレームワークがマラウイ国全⼟へ広まること を上位⽬標としています。 給⽔施設の運営維持管理を持続的に⾏っていくには、住⺠が 主体となって⽔道事業を実施する必要があります。また、安全 な飲み⽔が供給されても、⼈々の衛⽣に対する認識が不⼗分 であると、給⽔施設の維持管理に影響が出ると⾔われています。 写真(上)同じく、マラウイ国ムチンジ県 Chimjonga 村 を訪問し衛⽣活動をモニタリング。 なぜならば、⽔道事業の唯⼀の収⼊源である⽔道料⾦を⽀払 うのは住⺠であるため、住⺠が安全な飲み⽔の重要性を正しく 理解していなければ⽔道事業が成り⽴たないからです。 私はこのプロジェクトにおいて、給⽔施設により得られる安全な飲み⽔に対する住⺠の意識を変えるための衛 ⽣啓発活動、研修マニュアルやガイドライン作成を担当しています。それ以外にも、本プロジェクトの⽬標である、 マラウイ国全⼟への展開を達成するためには、本プロジェクトを他の開発パートナーに周知することが重要であ るため、開発パートナーへの情報や知⾒の提供を図り、複数の開発パートナーと共同で活動を⾏うためのプロ ジェクト調整も担当しています。 Q3 マラウイへ派遣される前にジュニア専⾨員となられたわけですが、具体的にはどのようなことをされました か? ジュニア専⾨員として東京の JICA 本部にある地球環境部に所属しましたが、この中で、アフリカ地域における 地⽅給⽔における技術協⼒プロジェクトや、衛⽣セクターの情報収集・確認調査等のプロジェクト⽴ち上げ、 現地調査、報告書のとりまとめに携わりました。 また、2012 年にエジプトで開催された第 4 回アフリカ⽔週間(Africa Water Week)でプレゼンテーション する機会をいただいたり、GIZ との援助協調の実施状況を評価するための GIZ との合同調査及び合同評価 会議に参加させていただいたりと、いくつかの会議に参加する機会をいただきました。今年 6 ⽉に横浜で開催さ れた第 5 回アフリカ開発会議(TICAD V)では、JICA、GIZ 合同でサイドイベントを実施しましたが、このイ ベントの企画、調整についても、JICA のフォーカルポイントとして担当し、イベントの司会も経験させていただきま した。 Q4 ジュニア専⾨員の経験が、現在の専⾨家としてのお仕事をする上でどのように役⽴っていると感じます か? 現在、衛⽣の専⾨家として地⽅給⽔における技術協⼒プロジェクトに携わっていますが、特にアフリカ地域衛 ⽣セクターにおける情報収集・確認調査業務(対象 7 か国:マラウイ、ケニア、タンザニア、ザンビア、ウガンダ、 マダガスカル、エチオピア)での経験が役⽴っていると感じています。 この業務では⽴ち上げの段階から携わり、各 JICA 在外事務所や JICA 本部のアフリカ部等と調整しながら、 実施計画書、公⽰案の作成、検討会ブリーフィング等を⾏いました。プロジェクト実施段階では、現地調査へ の同⾏及び報告書の取りまとめまで担当させていただきました。この業務では衛⽣政策アドバイザーとして、東 洋⼤学の杉⽥准教授が参加され、現地調査で同⾏させていただいたり報告書の取りまとめ等でアドバイスをい ただくなど、⼤変貴重な経験をさせていただきました。この業務を通じ、衛⽣分野における JICA の取り組み、ア フリカ各国の現況や政策、主流な⼿法、各ドナーの動向等を把握する機会を得ることができ、現在の業務に ⼤変役⽴っています。 また、アフリカにおける近年の⽔・衛⽣分野の動向などをとりまとめた⽔の防衛隊向けのニュースレターや、現地 事務所のナショナルスタッフ(⽔・衛⽣担当)向けの英⽂ニュースレターの作成を担当しましたが、業務で担当 した国以外の援助動向を把握することもでき、カウンターパートとの議論の中で、他国での状況を参考にしなが ら議論を深めることができ、⼤変役⽴っています。 Q5 ジュニア専⾨員時代、⾟いと思ったこと、魅⼒を感じたことがあれば教えてください。 JICA では、特有の業務の進め⽅が確⽴されており、ジュニア専⾨員として JICA 本部に所属し業務を進める 上で、それらを⼀から理解していく必要があったのですが、周りの JICA 職員の⽅々が円滑に業務を進めている 中で、それらの理解に多くの時間を割いてしまい、なかなか思うように業務を進めることができなかったことが⼤変 だと感じました。 ⼀⽅で、アフリカ⽔週間や、GIZ との合同評価、アフリカ開発会議など、⾃分がやりたいと⼿を挙げたものについ て、できる限り実現させていただけたことは本当にありがたかったと思っていますし、やりがいや魅⼒を感じました。 写真(左)2013 年 6 ⽉、ジュニア専⾨員当時に⾏われた TICAD V に「気候変動に対するレジリエンス」JICA-GIZ 合同 サイドイベントの司会として参加。 JICA がもつネットワークのお蔭で、⼤学や他ドナー機関、NGO 等、幅広い⽅々と接する機会が与えられたこと、 情報が共有・整理されており、必要な情報がすぐに⼿に⼊れることができること等、素晴らしい環境だったと思い ます。 また、素晴らしい上司、同僚、国際専⾨員メンターやジュニア専⾨員同期に⽀えられ、充実したジュニア専⾨ 員時代を過ごすことができたと感じています。 Q6 最後に、ジュニア専⾨員制度に関⼼を持つ⽅々へのメッセージをお願いします! ジュニア専⾨員制度では、JICA 本部での業務を⼀通り経験することができ、今後、⽇本の ODA 事業に関わ りたいと思っている⽅にとって、とても有意義な制度だと思います。研修という⽴場上の制約はありながらも、基 本的にはやりたいと思うことを経験することができ、⾃⾝のキャリアにも役⽴つものだと思います。 ⼭⽥さん、どうもありがとうございました。