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平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会

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平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会
平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム
「もう一つの医師不足-行政医師(保健所長)育成をどうするか-」
報告書
平成 26 年 2 月
全国機関衛生学公衆衛生学教育協議会
代表世話人 本橋 豊(秋田大学)
世話人
渡邊能行(京都府立医科大学)
目
次
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.ポスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム次第・・・・・・・・・・・ 3
4.講演「保健所医師の確保と育成の立場から」宇田英典・・・・・・・・・・・・・・4
5.講演「国立保健医療科学院における保健所長養成の経緯・現状と課題」曽根智史
・・・・・・・・・・・・・ 11
6.講演「医学部社会医学系教室としての教育における課題」尾島俊之・・・・・・・ 15
7.講演「公立の医学部社会医学系教室における行政医師(保健所長)教育の課題」渡邊能行
・・・・・・・・・・・・・ 21
8.総合討論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
9.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
は
じ
め
に
全国機関衛生学公衆衛生学教育協議会では、医学部における社会医学教育に関する情報
交換を行い、社会医学教育の向上と後進の育成を図っている。その一環として毎年夏期に
「社会医学サマーセミナー」を厚生労働省厚生科学課の支援を得て実施してきたが、行政
医師の中でも保健所長育成については国立保健医療科学院における履修コースがあること
や全国保健所長会の所掌することでもあり、また教育協議会会員の地域における立場の相
違もあり、あまり話題になってこなかった。提案者の渡邊は平成 24 年 8 月に第 18 回社会
医学サマーセミナーを担当し、京都府保健所長会会長の和田山城北保健所長からご講演い
ただき、参加医学生からの評価も高いセミナーとなった。
他方で、京都府立医科大学は京都府が設置する公立医科大学として京都府の保健医療福
祉行政に深く関わりをもち、大学の中に医療センターという中二階の組織をおき、京都府
の保健所長は同時に京都府立医科大学の教員を併任することとなっている。実際、講演い
ただいた和田山城北保健所長も京都府立医科大学医療センターの一員として大学院医学研
究科准教授を併任していただいている。このような制度を持つ京都府の保健所長人事も、
地域における病院臨床医不足と相俟って、特に京都府北部 3 保健所は単身赴任せざるを得
ない地理的条件もあって近年後任の保健所長を確保するのに難渋することとなっており、
提案者は京都府健康福祉部関係者や学内管理職から多くの助言を求められることとなって
いる。
実際、京都府以外の地域においても保健所長が欠員の保健所が数多く認められ、全国保
健所長会のホームページにおいても常時行政医師(保健所長)の公募がなされている。
そこで、現在の保健所長の配置状況や職務の実態について関係者の間で共通認識をもち、
今後の医学部の社会医学教育の中で、行政医師(保健所長)育成をどうするかについて、
全国機関衛生学公衆衛生学教育協議会が主体性をもちつつ、全国保健所長会と共同で今後
の保健所長を含む行政医師育成の方向性を探ることを目的としてシンポジウムを開催する
ことを平成 24 年度 3 月に開催された教育協議会において提案し、承認された。
本報告書では、次ページのポスターのように「もう一つの医師不足-行政医師(保健所
長)育成をどうするか-」をテーマとして、12 月 7 日(土)に京都府立医科大学において開
催した平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウムの概要について整理して報
告する。
なお、このシンポジウムは、、厚生労働省、京都府、全国保健所長会の後援を得て開催し
た。
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学
渡邊能行
1
平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム
「もう一つの医師不足-行政医師(保健所長)育成をどうするか-」
平成 25 年 12 月7日(土)13:30-17:00
京都府立医科大学基礎医学学舎第1講義室
次
第
13:30 開会挨拶
秋田大学副学長、秋田大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座教授、
衛生学公衆衛生学教育協議会代表世話人 本橋 豊
13:35 シンポジウムの狙い
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学教授
渡邊能行
13:45
1.保健所医師の確保と育成の立場から
鹿児島県伊集院保健所所長、全国保健所長会副会長
宇田英典
2.国立保健医療科学院における保健所長養成の経緯・現状と課題
国立保健医療科学院企画調整主幹 曽根智史
3.医学部社会医学系教室としての教育における課題
国立大学法人浜松医科大学健康社会医学講座教授
尾島俊之
4.公立の医学部社会医学系教室における行政医師(保健所長)教育の課題
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学教授 渡邊能行
15:45
休憩
16:00
全体討議
17:00 閉会挨拶
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学教授
3
渡邊能行
平成25年度
もう一つの医師不足
衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム
平成25年12月7日(土)
-
全国保健所長会
行政医師(保健所長)の育成をどうするか
• 全国の保健所(494)の保健所長をもって組織し、保健所の進展
と保健所相互の連携を図り、公衆衛生の向上に寄与することを
目的に活動しています。
• 活動体制
保健所医師の確保と育成の立場から
– 理事会
– 委員会
鹿児島地域振興局保健福祉環境部長
(兼)伊集院保健所所長
• 主な活動
–
–
–
–
保健所長会副会長
宇田
総務,学術,広報,渉外,研修
地域保健の充実強化に関する委員会
健康危機管理に関する委員会
英典
調査研究事業
研修事業
広報
提案・提言
地域保健総合推進事業,厚生労働科学研究事業等
全国,地区別研修会
ホームページの管理運営,雑誌等への情報提供
行政施策及び予算に関する要望書
地域保健の充実強化に関する提言等
1
1
2
保健所を取り巻く現状と課題
保健所長会ホームページ
• 量的変化
– 保健所数・保健所医師(兼務箇所の増),職員数の
減少
– 自治体予算,地域保健総合推進事業費等の減少
• 質的変化
– 保健・福祉・環境の統合型組織等への再編
– 保健所長の職位の変化
– 保健所の実務的業務優先(調査研究機能の低下)
3
4
保健所の設置状況
保健所勤務医師数(常勤医)の推移
573
495
537
530
984
958
869
859
831
755
509
677
505
620
495
655
H6
625
H9
525
H12
509
588
491
555
496
532
平成 年
22
平成 年
21
平成 年
20
平成 年
19
平成 年
18
平成 年
17
平成 年
16
平成 年
15
平成 年
14
平成 年
13
平成 年
12
平成 年
11
中核市
その他
政令市
特別区
計
124
0
45
53
847
101
26
15
39
706
460
70
27
11
26
594
H15
438
71
35
9
23
576
H18
396
73
36
7
23
535
536
H22
374
50
40
7
23
494
H23
H24
H25
373
372
370
50
51
51
41
41
42
8
8
8
23
23
23
495
495
494
年度
政令市等
600
512
指定
都市
平成 年
23
都道府県
都道
府県
482
△255
(-40.8%)
地域保健・健康増進事業報告(地域保健編)保健所表 平成11~23年
5
△73
(-58.8%)
+42
△37
△30
△353
(-82.2%) (-56.7%) (-41.7%)
6
(健康局がん対策・健康増進課地域保健室調べ:平成25年7月1日現在,平成24年度まで4月1日現在)
4
保健所の形態
保健所長の兼務状況
(福祉部門等との統合状況)
保健所のタイプ
保健所単独
都道府県型
指定都市
中核市・保
健所政令市
特別区
総計
86
25.4%
27
69.2%
40
88.9%
15
83.3%
168
保健福祉型(児童相
談所との統合を含
む)
131
38.6%
11
28.2%
2
4.4%
3
16.7%
147
33.3%
保健福祉環境型
106
31.3%
0.0%
1
2.2%
0.0%
107
24.3%
保健環境型
16
その他
4.7%
1
2.6%
1
2.2%
0.0%
18
4.1%
0.0%
1
2.2%
0.0%
1
0.2%
100.0%
45
100.0%
100.0%
441
100.0%
0.0%
有効回答数
339
無回答
100.0%
18
1
総計
1
340
厚生労働省健康局資料
~平成24年度:4月1日現在
平成25年度:7月1日現在
39
38.1%
39
45
18
442
「保健所の有する機能・健康課題に対する役割に関する研究」報告書
平成21年度地域保健総合推進事業 (財)日本公衆衛生協会 平成22年3月
8
7
公衆衛生医師の年齢別・行政経験年数別
勤務状況(再掲) n=1,034
保健所長の職位
(人)
2.政令指
定都市
1.都道府県型
保健所長が統合組織等
の長を兼ねている
統合組織等の長は他職種
であり、保健所長は組織
上同格となっている
統合組織等の長は別にお
り、保健所長は組織上そ
の下に入っている
有効回答数
600
3.中核
市・保健所
政令市
4.特別区
500
36
85
125 50.4%
6 60.0%
0.0% 0
0.0%
131
5.6%
3 30.0% 2 50.0% 3
100.0%
22
8.3%
216
248
100.0%
1 10.0% 2 50.0% 0
10
100.0%
4
100.0%
3
0.0%
112
42.3%
100.0%
265
100.0%
100
(%)
159
181
150
111
10年未満
(再掲:5年未満)
5
10〜20年
実施済み
自治
体数
67
検討中
行政経験の短い公衆衛生医師の情報交換の場
75
合計
長期の研修が可能な融通性のある勤務態勢
35.1%
感染研のFETPコースの選択の機会 10.9%
114
国立保健医療科学院の専門課程受講の機会
70.4%
6.5%
27.3%
70.0%
採用後の研修計画策定 8.0%
平成23年度 地域保健総合推進事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」
43.6%
17.3%
39.1%
89.1%
6.1%
68.7%
医育機関との協力による調査研究 9.0% 9.0%
ジョブ・ローテーションを通じた人材育成について国・医育
12.8% 7.3%
機関への要請
必修/選択研修等の明記 4.9%13.6%
有りの自治体からの数の合計:94人
61.3%
3.6%
19.1%
保健所への公衆衛生医師の複数配置
65.8% 100.0%
61.8%
10.9%
公衆衛生医師確保・育成のための連絡会議の設置 7.3%
3.6%
34.2%
10
予定無し
23.1%
学位取得・留学等に関する職務専念義務免除規定
39
20
0
20年以上 行政経験年数
採用後の公衆衛生医師の研修等育成について
採用後の早期退職者の有無
過去5年間の早
期退職者
(採用5年以内)
の有無
42
平成23年度 地域保健総合推進事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」班 全国自治体調査
中間報告(10月3日現在) 実施:平成23年8月19日~9月22日 回収数:120/138(87.0%)
9
無し
60〜65歳
50〜59歳
40〜49歳
〜39歳
112
0
「保健所の有する機能・健康課題に対する役割に関する研究」報告書
平成21年度地域保健総合推進事業 (財)日本公衆衛生協会 平成22年3月
有り
246人
270人
22
36
138
200
109 44.0%
346人
400
49.4%
300
14
※ 行政経験年数の短い医師
への現任教育の重要性
518人
総計
20.5%
25.2%
82.0%
79.8%
81.6%
71.4%
平成23年度 地域保健総合推進事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」
11
12
5
都道府県・保健所等に勤務する公衆衛生医師に
関する実態把握 平成25年10月現在(督促前)
平成24年度公衆衛生医師動態調査結果
(調査結果から一部抜粋)
• 目的:公衆衛生(行政)医師の現
状、及び採用・退職状況等、公
衆衛生(行政)医師の実態把握
• 方法:各都道府県所長会会長
139カ所へ調査依頼
• 調査内容:・公衆衛生医師の静
態・動態調査
0
回収結果と内訳
調査
対象
保健 支所 保健セ
回収数
(発送数)
所数
数 ンター数
– 動態:24年度内
• 入庁医師数(きっかけ等)
• 退職医師数、退職時の年齢、性別
、退職理由(定年、中途、その他)、
勤務年数等
都道府県
47
35
285
55
3
指定都市
51
19
25
4
96
中核市
41
24
24
6
74
政令市
8
6
6
0
10
特別区
23
11
11
2
31
170
95
351
67
214
総計
採用者数
(N=36)
20
18
40
30歳代 12人
50歳代 〃
40歳代 6人
60歳代 3人
8 24 4
42
退職者数
(N=60)
都道府県
7
指定都市
(人)
80
60
515
中核市
政令市
60歳代 21人
50歳代 15人
30歳代 13人
40歳代 8人
20歳代 2人
特別区
– 静態:平成25年4月1日現在
• 公衆衛生(行政)医師数
※ 30歳代,50歳代の中堅年代の退職及び採用
• 時期:平成25年9月
平成25年度地域保健総合推進事業,保健所長会協力事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」事業
平成25年度地域保健総合推進事業,保健所長会協力事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」事業
13
保健所長会としての取り組み
退職者の内訳(職位別)
•
保健所長
(N=24)
7
所長以外
(N=36)
7
0
定年退職
12
10
中途退職
•
3
20
実態等に関する調査事業
–
–
–
–
1 4
21
•
40
※ 保健所長を含む中途退職率の高さ
平成25年度地域保健総合推進事業,保健所長会協力事業
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動」事業
•
保健所長会シンボルマークの作成・活用
保健所長会ホームページの活用
公衆衛生医師募集のためのパンフレットの作成・配布
医育機関(医学部)等での保健所長の講師
現任公衆衛生医師の資質向上のための取り組み
–
–
–
–
–
–
–
–
その他
都道府県,政令市等の自治体の取り組みに関する実態調査
行政経験年数の短い公衆衛生医師等に対する実態把握
全国の自治体のホームページへの掲載事例に関する実態把握
臨床研修制度の実態
公衆衛生医師確保のための普及啓発
–
–
–
–
5
30
帰還(出向者等)
14
地域保健総合推進事業を活用した地区別研修会や研究事業発表会
保健所長会全国研修会
ブロック別地域保健推進会議
ブロック別地域戦略会議(公衆衛生学会認定「公衆衛生専門家研修会」と合同)
地域保健総合推進事業等によるガイドブック・マニュアル等の作成・配布
保健所長会ホームページ,H-CRISIS等を活用した事例収集と情報提供
所長会メーリングリストの設置と活用
若手医師(行政経験概ね5年以内)メーリングリストの設置と活用
体制整備への要望・意見等
– 国への要望「保健所行政の施策及び予算に関する要望書」
– 厚生労働大臣への要望書「保健所長確保に関する要望書」
15
16
公衆衛生医師募集のパンフレット
(平成23年度作成)
※ 自治体,国,保健所,地衛研,医育機関等への配布(7,000部)
※ 保健所長会Webサイトからのダウンロード等による原簿の提供
17
6
18
18
若手医師・医学生を対象としたセミナー
Public Health Summer Seminar: PHSS
公衆衛生 若手医師・医学生サマーセミナーの様子
(Public Health Summer Seminar: PHSS 2012)
• 第1回PHSS:2012年9月1日(土),2日(日)
– 参加者 32人(医学生4人、研修医・臨床医7人、行政医師16人,その他2人)
ワークショップの場面
「医学生と若手医師が公衆衛生の仕事・
キャリア構築をする上での課題の分析と解
決方法」
• 第2回PHSS:2013年8月30日(土),9月1日(日)
– 参加者 26人(医学生5人、研修医・臨床医9人、行政医師9人、その他1人)
• 運営 :
– 運営委員(若手保健所医師11人(2012)、14人(2013)~人を中心に企画・運営・評価)
• 内容 :
– Meet the Expert
東日本大震災、新型インフルエンザ、風疹、
地域で進める在宅医療・介護連携、保健所医師の役割
– スキルトレーニング 現場での研修、公共経営、事例研究(食中毒)
– ワークショップ
キャリアアップ
公衆衛生医師の役割・課題、夢
• セミナーの講師
– 保健所長、厚生労働省、保健医療科学院、大学
若手公衆衛生医による
情報共有の場面
19
20
20
PHSSの受講生からの評価
PHSSに参加したきっかけ
非常に・低い
• 関心があった、予防医学に携わりたかった
–
–
–
–
• 臨床経験のなかで必要性を感じた
–
–
–
–
臨床をやっていくうちに、公衆衛生の必要性を感じたため
地域の方々の人生の様々なときにかかわりたい
病院で患者を待っているのではなく、病院の外で病気を減らす仕事が重要である
臨床上で、改善できないテーマがあり、これの改善、解決手段として
• 大学での講義・臨床研修での学び・経験がきっかけとなった
–
–
–
–
–
80%
100%
医学生が興味のある分野
:84.6%
:84.0%
:79.5%
保健所医師に関する理解度
保健所実習後の保健所医師への感想
– とても・多少興味が持てた
– 何ともいえない
– あまり・全く興味が持てなかった
•
60%
以下の機関で働く公衆衛生医師の存在の認知度
– 保健所長は原則医師である
– 地方行政機関医師の業務内容
•
40%
※「【決断】新型インフルエンザ」,「事例検討~浅漬けによる食中毒~」,「【選択】東日本
大震災に学ぶ」,「地域で進める在宅医療・介護連携」といった実際の事例の検討,現場
22
の公衆衛生医師の経験を踏まえた講演は,9割以上から高い評価を受けた。
21
– 国際機関(WHO等)
– 国の行政機関(厚労省、外務省等)
– 地方行政機関(保健所、県、市役所等)
•
20%
※PHSS全体の満足度は高い結果が得られた。
※若手間の情報交換,ワークショップも直接若手同士が会い,コミュニケーションの機会を持つことが
できることから評価された。
医学生を対象としたアンケート調査
結果から一部抜粋 (2012調査結果:n=1,117)
•
保健所長の講話
非常に・高い
事例検討
0%
大学の研究室の先生に話を聞いた大学講義、臨床研修等で
出身大学が公衆衛生に力を入れている
大学の講義がきっかけとなった
初期研修で触れる機会があった
研修2年目の地域保健で、地域保健にもっと携わっていきたいと思った。
• その他
ふつう
'12
'12
'12
'13
'13
'12
'12
'13
'13
'13
'12
'12
'13
'13
'12
'13
PHSS全体の満足度 '12
公共経営の視点から見た保健医療
公衆衛生医師の役割と魅力
医系技官の一人として
公衆衛生現場での知識・技術/能力
風疹の流行と保健所の対応
ワークショップ
若手による情報共有
東日本大震災と地域保健の役割
地域における公衆衛生の役割
地域で進める在宅医療/介護連携
現場における研修のHow To
選択 東日本大震災に学ぶ
ワークショップ
事例検討~浅漬けによる食中毒~
決断 新型インフルエンザ対策
地域医療医師と公衆衛生とのかかわりについて関心がある
低侵襲かつ高効果。多くの人々の役に立てる
仕組みを相手にする仕事をしてみたかった
もともと法律や行政に興味はあった。
:57.1%
:31.7%
(n=199:全体の17.8%)
:61.3%
:24.6%
:14.1%
(とても:15.6%)
将来的に以下の公衆衛生分野で働くことへの興味
–
–
–
–
研究機関(大学・研究施設等)
国際機関(WHO等)
国の行政機関(厚労省、外務省等)
地方行政機関(保健所、県、市役所等)
※ 全体の傾向としては「感染症対策」が487名(35.6%)と高く、次いで「がん対策」451
名(33.0%)、「健康づくり」398名(29.1%)が続いていた(図3)。
:12.1%
:16.6%
:16.9%
:15.9%
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動報告」
平成24年度地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業,財団法人日本公衆衛生協会,2013.3
※ 「健康づくり」、「母子保健」は学年が上がるにつれ興味を持つ割合が増えていた。
また「国際保健」に興味を持つ学生がほぼ一定の割合で存在した(図4)。
「公衆衛生に係る人材の確保・育成に関する調査および実践活動報告」
平成24年度地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業,財団法人日本公衆衛生協会,2013.3
23
7
24
「専門医の在り方に関する検討会」
最終報告書(平成25年4月22日)
公衆衛生の法的根拠
• 憲法25条
Subspecialty 専門医
– 「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む
権利を有する。 国はすべての生活部分において、社会福
祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めな
ければならない。」
内科系領域,外科系領域の他
小児科・産婦人科・整形外科等
ン
ョ
シ
ー
テ
リ
゙
ヒ
ハ
リ
– 「医師は、医療および保健指導を掌(つかさど)ることによっ
て、公衆衛生の向上および増進に寄与し、もって国民の健
康な生活を確保するものとする。」
25
例示の18領域:(社)本専門医制評価・認定機構が現在認定
白字:広告可能な専門医
医師養成に関する他制度との
関係について
26
健康危機事象の多発
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
○ 臨床研修制度については,平成27年度の研修医から適用
することを念頭に,別途,制度の見直しが議論されているが
,当該見直しにあたっては,新しい専門医の仕組みを踏まえ
つつ,臨床研修と専門医研修との連続性にも配慮すること
が必要である。
○ 新たな専門医の仕組みは,基本的には,2年間の臨床研修
修了後に専門医の養成プログラムが実施されることを前提と
して構築することが適当であるが,各専門領域の実情等を
踏まえ,臨床研修における研修内容等を加味することも検
討することが考えられる。
平成7年1月 阪神・淡路大震災
平成7年3月 地下鉄サリン事件
平成8年7月 堺市O-157食中毒
平成10年7月 和歌山市毒物混入カレー事件
平成10年~ 自殺者数3万人以上
平成11年9月 東海村臨界事件
平成12年6月 雪印乳業食中毒事件
平成12年6月 三宅島噴火
平成14年冬 重症呼吸器症候群(SARS)
平成16年10月 新潟中越地震
平成17年4月 福知山線尼崎脱線事故
平成19年7月 新潟中越沖地震
平成20年
中国冷凍餃子・事故米
平成21年4月 インフルエンザAH1N1
平成23年1月 新燃岳噴火
平成23年3月東日本大震災
津波,放射線
• 平成24年
MERS,浅漬け食中毒
多発,広域,複合,重度
「専門医の在り方に関する検討会」 最終報告書(平成25年4月22日)
27
28
認知症高齢者の増加
外来通院患者数
(万人)
H11
H17
45
9
56
統合失調症
29
30
8
42
24
認知症
42
32
90
気分障害
58
総合診療科専門医
総合内科専門医
精神科専門医
産婦人科専門医
泌尿器科専門医
麻酔科専門医
救急科専門医
小児科専門医
外科専門医
眼科専門医
脳神経外科専門医
病理専門医
形成外科専門医
皮膚科専門医
整形外科専門医
耳鼻咽喉科専門医
放射線科専門医
臨床検査専門医
専門医
• 医師法第1条(医師の任務)
40
神経症性障害等 その他
地域包括ケアの5つの視点
①
②
③
④
⑤
地域包括ケア研究会報告書
(2010.6)から一部抜粋
医療との連携強化
介護サービスの充実強化
予防の推進(健康増進・介護予防)
生活支援サービスの確保や権利擁護
高齢者住まいの整備
誰(どこ)が、公衆衛生の中心を担うのか
+
連携/協働の重要性
31
32
わが国でこれから求められる公衆衛生
地域公衆衛生の中心
人類史上、例を見ない急激な人口構造
の変化等の厳しい社会環境
○これからの地域公衆衛生の中心を担うためには
・地域の保健医療介護資源を知悉し、住民の健康情
報を専門的視点から評価する機能が不可欠
SC活用等による信頼に
基づく地域づくり
・各制度の直接的担い手ではなく、中立的立場であ
る必要がある。
保健所
・何よりも、直接的担い手だけでなく、地域住民を含めた地
域社会とコミュニケーションを図る能力が求められる。
国民のQOLの確保・
明るい将来見通し
PHSS2013 厚生労働省,岡田対策監資料
制度の効果的運用
PHSS2013 厚生労働省,岡田対策監資料
34
33
保健所長の役割(私見)
公衆衛生の魅力
• 患者の数を減らすことができる
• 生活の質の低下を軽減することができる
• システム(法律・制度・リソース)を整えるという方法を
用いて,社会を変えることができる
• 根本原因がわからなくても,対処することができる(対
処しなければならない)
• より多くの人々に裨益することができる
• 医学以外の方法論や価値観を導入することができる
•
•
•
•
個別の事例(母子,難病,精神,生活習慣
病,感染症等)の健康評価,事例評価
個別事例の集合体としての地域全体の実
情を把握(地域診断)
多くの職種からなる保健所組織の個別能力
の活用と全体の統括指導
地域の多様な関係者等との意思疎通を行
い,良好な協力体制の構築
「保健所長の職務の在り方に関する検討会報告書」一部改編
保健医療科学院 企画調整主幹 曽根智史先生 PHSS2013
「公衆衛生現場において身につけておきたい技術と知識,能力」スライドから一部抜粋
35
36
9
※ 公衆衛生マインド
を有する
保健所の果たす役割
・公衆衛生医師
・臨床の医師
◎ 健康危機管理
◎ 地域保健の充実強化
↓
※ 良質な医師の確保と育成
の
確保と育成
→ 地域の保健・医療・福
祉の向上に資する!
※ ポスター(平成25年度作成)
保健所長会Webサイトからのダウンロード可(原
簿の提供)
37
38
10
平成25年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム
「もう一つの医師不足-行政医師(保健所長)育成をどうするか-」
保健所
• 1937(昭和12)年 公衆衛生技術者の訓練実
施のために、都市保健館(東京京橋)、農村
保健館(埼玉県所沢)を設置
国立保健医療科学院における
保健所長養成の経緯・現状と課題
• 1938(昭和13)年 公衆衛生技術者養成機関
として、国立公衆衛生院 を設立
国立保健医療科学院
企画調整主幹
曽根智史
• いずれもロックフェラー財団の資金援助によ
る
1
2
クロフォード・F・サムス(サムス准将)
(Crawford F. Sams, 1902-1994)
•
•
•
•
戦後の保健所制度
• 1947(昭和22)年 覚書「保健所機構の拡充
強化に関する件」
1925年、ワシントン医学校入学
陸軍軍医を歴任
1945年から日本本土侵攻作戦計画に関与
GHQの公衆衛生福祉局(PHW)局長
(1945-1951)
– 公衆衛生育成、母子衛生、人口動態統計、臨床
検査業務、歯科衛生、栄養改善、環境衛生、衛
生教育、医療社会事業、伝染病予防、結核予防
(診断治療を含む)、性病予防(診断治療を含む)
• 1947年 保健所法改正公布
– 目的「地方における公衆衛生の向上および増進」
• 1948年 モデル保健所(杉並保健所)
http://www.phcd.jp/gaiyou/newHC_hq.html
3
4
GHQサムス准将の改革
戦後日本の医療福祉政策の原点
クロフォード・F. サムス (著), 竹前 栄治 (翻訳)
地域保健法
• 1994(平成6)年に旧保健所法(昭和22
年)を改正
• 1997(平成9)年から完全実施
• 保健所の機能を中心に、市町村と役割
を分担
5
6
11
保健所長資格について(1)
保健所長資格について(2)
地域保健法施行令
地域保健法
(所長)
第四条
第十条 保健所に、政令の定めるところによ
り、所長その他所要の職員を置く。
保健所の所長は、医師であって、次の各号のいずれかに該当
する法第五条第一項に規定する地方公共団体の長の補助機関
である職員でなければならない。
一 三年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
二 厚生労働省組織令(平成十二年政令第二百五十二号)第百
三十五条に規定する国立保健医療科学院の行う養成訓練の課
程(以下「養成訓練課程」という。)を経た者
三 厚生労働大臣が、前二号に掲げる者と同等以上の技術又は
経験を有すると認めた者
7
8
保健所長資格について(3)
保健所長資格について(4)
地域保健法施行令
厚生労働省健康局長通知
第四条(つづき)
健発第0331041号 平成21年3月31日
地域保健法施行令第4条に定める保健所長の資格について
2 前項の規定にかかわらず、法第五条第一項に規定する地方公
共団体の長が医師をもつて保健所の所長に充てることが著しく困
難であると認めるときは、二年以内の期間を限り、次の各号のいず
れにも該当する医師でない同項に規定する地方公共団体の長の
補助機関である職員をもつて保健所の所長に充てることができる。
一 厚生労働大臣が、公衆衛生行政に必要な医学に関する専門的
知識に関し医師と同等以上の知識を有すると認めた者
二 五年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
三 養成訓練課程を経た者
3 前項の場合において、やむを得ない理由があるときは、一回に
限り、当該期間を延長することができる。ただし、二年を超えること
はできない。
9
第1 政令第4条第1項に定める医師の保健所長資格について
1 政令第4条第1項第2号に定める「養成訓練課程」とは、国立保健医療科学院教育訓練規程
(平成14年厚生労働省訓第38号)第5条に定める「専門課程Ⅰ」又は「専門課程Ⅱ(健康危機管
理分野)」をいう。
2 政令第4条第1項第3号に定める「厚生労働大臣が、前二号に掲げる者と同等以上の技術又は
経験を有すると認めた者」とは、外国において、1 に準じる課程を修了し、公衆衛生修士(MPH、
MSPH)の学位を取得した者をいう。
ただし、当分の間、医師免許取得後、公衆衛生関係の研究若しくは教育に3年以上従事した経験
又は診療に5年以上従事した経験を有し、「専門課程Ⅰ」の科目のうち別表1に掲げる6科目を受
講し、12単位を修得した者について、政令第4条第1項第3号に該当する者として取り扱うことと
する。この場合において、医師免許取得後、保健所若しくは地方公共団体又は国の衛生主管部局
に1年以上勤務した経験を有する者については、その勤務期間をそれぞれの経験年数に算入す
ることができるものとする。なお、「専門課程Ⅰ」のうち12単位のみ修得した者については、「専門
10
課程Ⅰ」の全課程を修了することが望ましい。
保健所長の職務の在りかたに関する
検討会報告書(平成16年3月)
保健所長資格について(6)
厚生労働省健康局長通知(つづき)
(別表1) 受講科目
科目名
公衆衛生総論
公衆衛生行政
健康危機管理論
保健統計学・疫学
組織経営・管理
公衆衛生活動論
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13gs40.ns
f/0/49256fe9001ac4c749256eb300270d86/
単位数
12単位
11
12
12
専門課程Ⅰ保健福祉行政管理分野
(いわゆる保健所長コース)
分割前期(基礎)の修了者数
平成14年度 17人
15年度 24人
16年度 17人
17年度 18人
18年度 13人
19年度 23人
20年度 7人
21年度 10人
22年度 23人
23年度 14人
24年度 18人
25年度 13人 合計197人 年平均16.4人
注)この他、本科(1年)は毎年1~3人
1.本科
1年間
2.1 分割前期(基礎)
3か月間(4-7月)
2.2 分割後期(応用)
分割前期修了者が対象。修了者は本科修了
と同等。分割前期を含めて3年以内。
13
14
分割前期(基礎)の内容(1)
分割前期(基礎)の内容(2)
• 運用上、各科目の下にサブ科目を設け、きめ
細かい科目体制をとっている
1.全分野共通必修(1週間)
その時々のトピックを中心に対話型授業
※例えば「公衆衛生総論」の下に「公衆衛生総論」「社
会保障論」「社会調査法」「環境保健概論」)
2.4分野共通必修(5週間)
地域保健系研修生対象の基礎的内容
• 1日2コマ6時間×3か月
• 講師は、科学院職員、厚労省職員、外来講
師
• 地域保健福祉系研修生(保健師、助産師、管
理栄養士等)との合同科目もある
3.行政管理必修(8週間)
本分野に特化した実務的内容
注)2,3の終わりには、主要科目で筆記試験を実施
15
16
分割前期(基礎)の内容(3)
科学院での保健所長養成の課題(1)
• 健康危機管理演習、記者発表・住民説明演
習、政策開発演習、社会調査法演習、ディ
ベート演習、社会調査法演習などの演習を数
多く取り入れている
• 感染症対策、環境衛生、食品衛生関連の授
業も実施
• 保健所、検疫所、浄水場、厚労省等の実地
見学
• 保健所長になる行政医師全員が受講するわけ
ではない(地域保健法施行令)
⇒自治体の意向に左右される
• 大多数が3か月の分割前期のみを受講してい
る。本科(1年)、分割後期(3年)は少ない
• 伝えるべきは、理念か知識かハウツーか
• 教えられるものと教えられないもの
⇒科学院、自己学習、相互学習
17
18
13
科学院での保健所長養成の課題(2)
• 現場に帰ったあとのフォローをどうするか。
⇒短期研修受講、同窓会(科学院、自主)
• リテンション(人材の維持)のために科学院は
何ができるか。
19
14
2013.12.7 平成25年衛生学公衆衛生学教育
協議会シンポジウム
内 容
1.自己紹介及び教室の沿革
医学部社会医学系教室としての
2.担当授業(2013年度)
3.教育の特徴
4.社会医学キャリアデザインの提示方法
5.まとめ
教育における課題
浜松医科大学医学部健康社会医学講座教授
尾 島 俊 之
1
2
自己紹介
昭和62年3月 自治医科大学医学部卒業
昭和62年4月 愛知県衛生部総務課技師
昭和62年5月 名古屋掖済会病院研修医
平成1年4月 国民健康保険東栄病院(内科、公衆衛生科)
平成3年4月 国立公衆衛生院専門課程
平成4年4月 愛知県設楽(したら)保健所長
平成7年4月 自治医科大学勤務(公衆衛生学)
途中、平成14年9月~平成15年12月 UCLA 留学
平成18年4月 浜松医科大学教授(健康社会医学)
「保健所経験のある大学教員」として、
今回のシンポジストの依頼
3
4
設楽町中心部の風景
愛知県設楽保健所
5
6
15
麻疹集団発生の調査(平成6年度)
禁煙コンテスト(平成6年度)
7
8
保健所活動が
現在の教育・研究の原点
教室の沿革
• 1974年 開学
• 1976年 衛生学講座、公衆衛生学講座開設
• 2005年 健康社会医学講座に統合
(定数4名:教授1、准教授1、助教2)
• 2006年 尾島着任
現在、教員3名(助教1名欠員)
(別途、2007年10月~2013年3月
地域医療学寄附講座)
• 現場のリアリティーを感じる教育
• 現場の直面する、さまざまな健康課
題に関する研究
9
10
担当授業(2013年度、学部分)
内 容
1年次
1.自己紹介及び教室の沿革
2.担当授業(2013年度)
3.教育の特徴
4.社会医学キャリアデザインの提示方法
5.まとめ
3年次
4年次
6年次
11
新入生オリエンテーション(1コマ)
医学概論I(2コマ)
健康社会医学I(講義21コマ、実習12コマ(3日間))
基礎配属(8名、1月半)
健康社会医学Ⅱ(講義15コマ、2014年度より開講)
医学概論Ⅲ(1コマ)
合同講義(1コマ)、
臨床腫瘍学(1コマ)、
国家試験対策補講(3コマ)
12
16
担当授業(続き)
内 容
• その他の学部教育関係
1.自己紹介及び教室の沿革
2.担当授業(2013年度)
夏期地域医療実習(希望者のみ)
 看護学科の授業若干数
 選択臨床実習:地域医療(2週間×2人×
3クール、地域医療病院に依頼)

3.教育の特徴
4.社会医学キャリアデザインの提示方法
5.まとめ
• 大学院博士課程

現在、大学院生9人、研究生6人
13
14
医学部社会医学系教室としての
教育における課題
健康社会医学Ⅰ・Ⅱの教育目標
•
公衆衛生医の仕事の概要と意義を理
解する。
• 臨床医として必要な公衆衛生学・疫学
的な知識および視点を身につける。
• 共用試験、医師国家試験の勉強のポ
イントを知る。
• スタッフ不足、授業時間不足によるきめ
細かい教育の困難さ
• 診療と会議を比較した時の、公衆衛生
の醍醐味のわかりにくさ
• 臨床系の医師不足と、臨床研修必修化
による、医師確保攻勢
15
16
健康社会医学Ⅰ
• 講義(21コマ)
 通常の講義
 非常勤講師による講義
 グループワーク(ケースメソッド)

講義1コマ目は「公衆衛生の心」
グループワーク(ケースメソッド)
2012年度:健康増進計画の策定
2013年度:健康危機管理
① 住民のために
② 科学的判断
③ 社会的行動
17
17
18
【神戸編1008】改変
Yes / No ゲーム:クロスロード
シナリオ(抜粋)
あなたは、避難所の自治会役員
• 2013年5月29日午後3時に、保健所で勤務し
ていたところ、突然の大きな揺れを感じ、本棚
なども倒れた。建物自体は無事であったが、
窓から外を見ると、倒壊している家も見える。
電気、水道も停止した。
• あなたたちは、まず何をするか。また、これか
ら12時間以内にどのようなことをするか。
→ その後、震災発生後2日目、普段からの備
えを議論
被災から数時間。避難所には300人が避難し
ている。現時点で確保できた食料は100食。
以降の見通しは、今のところなし。まず、100
食配る?
YES
(配る)
19
NO
(配らない)
20
健康社会医学Ⅰ
• 実習(3日間=12コマ)
① 学外小グループ実習
(地域保健・産業保健等)
② バスツアー実習
(静岡県:ふじのくに地域医療
支援センターと共催)
③ 環境測定実習
地域保健・産業保健・地域医療バスツアー実習
(静岡県:ふじのくに地域医療支援センターと共催) 22
21
バスツアー実習:浜松医療センター
環境測定実習
23
18
24
基礎配属
近年の基礎配属で扱ったテーマ
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
• 医学部3年次生で当講座を希望した7~
8人程度が配属
(2~3人のグループに編成)
• 期間は1月中旬~2月末の1か月半
• 近隣の市町村・保健所・企業等の公衆
衛生・産業衛生現場に、調査・分析して
欲しい課題についての「ご用聞き」の手
紙を送り、調整の上、実施
25
特定健康診査とレセプトデータの相関
大規模事業所における社員健診データの分析
小中学校における教職員のメンタルヘルス調査
医療圏における産科医療の実態調査
保健所管内におけるうつスクリーニング調査
地区の温泉を活用した健康づくりに関する検討
地区における透析患者の実態調査と将来需要予測
乳幼児健診データの分析
地区別健康状況と学校保健データとの相関
受動喫煙実態に関する研究
26
教育GP
地域医療教育
2009年度後期~2011年度 文部科学省大学
改革推進等補助金(大学教育・学生支援推進
事業)による大学教育推進プログラム(GP)「地
域医療を志向する優れた医師の養成」
• コアカリキュラムに対応して2007年度より
健康社会医学の講義で「地域医療」1コマ
地域住民の視点
• その後、教育GP、医学概論、その他で充実
医師の視点
コメディカルの視点
27
28
内 容
1.自己紹介及び教室の沿革
2.担当授業(2013年度)
3.教育の特徴
4.社会医学キャリアデザインの提示方法
5.まとめ
29
30
19
実施内容
実施内容(続き)
• 初回授業等において、自分のキャリア、さま
ざまなキャリアの話
• 非常勤講師による授業としてさまざまなキャリ
アの人の話
• 学外小グループ実習において様々なキャリア
の人と出会う
 保健所、保健センター、精神保健福祉セン
ター、地方衛生研究所、
 厚生労働省、検疫所、
 産業保健(大学産業医を含む)、防衛医官、
地域医療、療育など

厚生労働省、保健所、産業保健、国際保健、地
域医療
(医師以外にも、コ・メディカル等の活躍を見てもらうこ
とも主眼)
31
32
学生の関心事
内 容
・学外小グループ実習にて、学生が実習先の産
業医に、収入、勤務条件等を聞いた。
・バスツアー実習で、産業医のワークライフバラ
ンスの話に好反応。
1.自己紹介及び教室の沿革
2.担当授業(2013年度)
3.教育の特徴
4.社会医学キャリアデザインの提示方法
仕事のやりがい
5.まとめ
・講義において伝えるのは難しい。
・現場でいきいきと仕事をする先輩の背中を見
せることか。
33
34
まとめ
• 地域保健、疫学、産業保健、(一部、地
域医療)等を包含した教育
• 講義や実習で、様々な先輩のキャリア
ーを見てもらう
• 学外実習
 「百聞は一見にしかず」をコンセプトに
ご清聴ありがとうございました。
35
20
36
保健所数の推移(1976-2013年)
公立の医学部社会医学系教室における
行政医師(保健所長)教育の課題
京都府立医科大学大学院医学研究科
地域保健医療疫学
京都府立医科大学 附属脳・血管系老化研究センター
社会医学・人文科学部門
京都府立医科大学保健・予防医学教室 公衆保健科学部門
渡 邊 能 行
2
1
医療センターと府立医大公衆衛生学教室
京都府における保健所数の推移
年度
 昭和47(1972)年には、京都府の12保健所のうち専任所長がいたの
は9保健所であった。かつ、保健所長は老齢であった。
 昭和47(1975)年10月2日 京都府議会において理事者側から京都
府立医科大学に公衆衛生学教室を新設し、地域保健の不備を補っ
ていくことが答弁された。
 上記を受けて、昭和48(1973)年10月に京都府立医科大学に公衆衛
生学教室が発足した。教室員構成は臨床教室なみの教授1、助教
授1、講師1、助手6の9人編成であった。発足に当たり、同年9月13
日の教授会において、佐野豊学長は「公衆衛生学教室は保健所と
連携はあるが、保健所に人を送るためにつくる教室ではなく、積極
的に連携をもとうとする教室である。」と説明され、京都府立医科大
学第三内科川井啓市学内講師が初代教授にえらばれた。
京都府保健所数 京都市保健所数 合計
1976~2003年度
2004~2009年度
12
7
11
11
23
18
2010~2013年度
7
1
8
京都府立医科大学:京都府立医科大学医療センター10年の歩み、昭和57年3月
3
4
京都府と京都府立医科大学の
共通のプラットホームとしての医療センター
・1971年 京都府立医科大学の中に医療センターを設置
旧京都府立与謝の海病院勤務(現京都府立医科大学附属北医療セン
ター)医師、京都府の保健所医師を含む行政医師は京都府立医科大学の
教員が併任で勤務するというシステム。
・医療センター所長は教授の中から教授会での選挙で選ばれる。任期2年。
・内規的には保健所長は医学部医学科卒後8年目以上の医師の中から選
定してきた。原則として2年勤務してきた。具体的には
 綾部保健所長:第1内科学教室
 木津保健所長:第2内科学教室
 亀岡保健所長:第3内科学教室
 園部保健所長:公衆衛生学教室
 他の保健所長:6人構成以上の臨床医学教室でローテーション配置
・2004年の新臨床医師研修制度開始以降、大学における医師不足と保健
所数12→7となったため、適任者を学内公募・推薦することに変更された。
40 年の歩みは作成しなかった。
5
6
21
演者の保健所長勤務歴
京都府における保
健所所在地
(2010年度以降)
昭和53年3月
保健所所在地
京都府立医科大学卒業
昭和61年6月17日 京都府園部保健所長
~平成元年4月16日(京都府立医科大学公衆衛生学教室助手併任)
北より
京都府丹後保健所
京都府中丹東保健所
京都府中丹西保健所
京都府南丹保健所
京都市保健所
京都府乙訓保健所
京都府山城北保健所
京都府山城南保健所
平成19年4月 1日 京都府立保健福祉部地域保健医療監、
~平成20年3月31日 京都府中丹広域振興局健康福祉部長、
京都府中丹東保健所長
(京都府立医科大学大学院教授併任)
平成21年5月26日 京都府山城南保健所長(兼務)
~平成21年10月31日
8
7
演者が保健所勤務で学んだこと
長年地域保健の仕事をしていると...
1. 保健所業務は組織として実施している。
2. 事務を含む多くの専門職は専門職としての誇りをもって仕事
をしている。
3. 医師である所長と言えども医師としての専門性に確たるもの
がなければリーダーシップはとれない。
4. 保健所業務を円滑に動かしていくためには人間関係をどうし
ていくかがポイントとなる。
5. 保健所には管轄市町村、医療機関、保健・福祉機関の多彩
な情報が集まって来ている。
6. 保健所の専門職の中でも保健師集団が人数も最大であり、
キー職種である。彼女たちから教えられたことも多かった。
7. ...
8. 組織として仕事をしている保健所も、結局は人が仕事をして
いる。
京都府健康福祉部からは、好むと好まざるに関
わらず、次年度の保健所長人事について相談を
受けるようになってきている。
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計画的行政従事医師(保健所長等)の
確保システムの構築(2012年度)
現在の医療センター保健所長人事の問題点
 京都市内から通勤できる京都府南部の南丹保健所(南
丹市園部)、乙訓保健所(向日市)、山城北保健所(宇治
市)、山城南保健所(木津川市木津)は希望医師を得や
すいが、単身赴任とならざるを得ない京都府北部の丹後
保健所(京丹後市峰山)、中丹東保健所(舞鶴市東舞鶴)、
中丹西保健所(福知山市)の3保健所は所長希望者が少
ない。
 2004年の新臨床医師研修制度開始以降、大学内の医師
数が減少しており、北部で勤務できる医師がいれば、保
健所長よりも京都府北部の公的病院における医師不足
を充当することに優先的に対応される可能性がある。
• 行政従事医師確保枠(京都府健康福祉部総務課から2名
を府立医大で受入)
• 医療センターにおける併任所属先は京都府立医科大学大
学院医学研究科地域保健医療疫学
• 研修は臨床等各科・国立保健医療科学院等
2013年4月1日付けで
京都府健康福祉部総務課参事(課長級)
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学
(実際は法医学教室)に1名赴任済み
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私たちが、
保健・予防医学の中で教育していること
医学部医学科における教育
・第3学年の3学期講義(保健所長併任の本学教員担当)
「保健所の仕事と地域保健」
「感染症対策各論としての結核」
「感染症対策各論としてのインフルエンザ」
・同じ時期に演者担当
「感染症総論」、「がん検診」、「難病保健」、「精神保健」等
・第4学年地域保健実習
夏休み期間中~9月初旬
10人~15人の医学科学生を京都府北部3保健所で1泊2日の見学実習
大学院博士課程における教育(疫学以外)
・地域保健福祉行政システム論(特論)
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社会医学サマーセミナープログラムの一部
8月24日(金)
15:30-16:10
(講演30分と討論10分)
セミナーⅠ 「公衆衛生が必要な理由(わけ)」
国立保健医療科学院部長 曽根智史
19:30-21:00
「私の社会医学」Ⅰどうしてこの道を選んだのか
セミナー講師・参加教員等
8月25日(土)
11:20-12:00
(講演30分と討論10分)
セミナーⅤ 「公衆衛生学を専攻して良かったこと」
秋田大学大学院医学系研究科教授 本橋 豊
14:00-14:40
(講演30分と討論10分)
セミナーⅥ 「心臓外科医から保健所長へ」
京都府健康福祉部山城北保健所長 和田行雄
(京都府立医科大学准教授)
14:40-15:20
(講演30分と討論10分)
セミナーⅦ 「社会医学のトライアスロン~医系技官の仕事~」
厚生労働省老健局老人保健課課長補佐 松岡輝昌
19:30-21:00
「私の社会医学」Ⅱどうしてこの道を選んだのか
セミナー講師・参加教員等
京都府立医科大学医学部医学科
第4学年学生へのアンケート調査
対象:京都府立医科大学医学部医学科第4学年学生
111人
方法:自記式調査票を用いた無記名アンケート調査
調査時期:平成25年6月末~7月初旬の研究配属時期
全国に494の保健所があり、保健所長は原則として医師でなければならないと
地域保健法にも規定されていますが、現在全国の494の保健所のうちの約1割の
49の保健所の所長が欠員であり、1人の医師が2つの保健所の所長を兼務してい
る実態があります。
そこで、本学医学科4年生の諸君に保健所と保健所長の職がどのようなものと考
えられているかについて無記名の調査を行いたいと思いますので以下の質問に回答
をお願いします。
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保健所の仕事であると思うものはどれですか。
当てはまるものすべてに○を付けて下さい。
回答者の性・年齢階級分布
仕事内容
年齢階級
21~24歳
25~29歳
30~47歳
合計
男
女
73人(65.8%) 27人(24.3%)
6人( 5.4%)
適切な医療が確保されるための病院・診療所など
の医療機関に対する相談、指導
エイズ、結核その他の感染症に関する相談及び感
染症予防のための衛生教育や知識の普及
合計
100人( 90.1%)
-
6人( 5.4%)
5人( 4.5%)
-
84人(75.7%) 27人(24.3%)
5人( 4.5%)
111人(100.0%)
男
女
合計
72.6% 77.8% 73.9%
95.2% 81.5% 91.9%
安全な食品の提供や食中毒などを防止するための 92.9% 85.2% 91.0%
指導と旅館、食堂などの営業の許可
心の病や難病をもつ方とその家族がよりよい社会 47.6% 55.6% 49.5%
生活を営むための生活指導や支援
検診や健康診断等の身近な保健サービスを提供す 81.0% 85.2% 82.0%
る市町村に対する専門的、技術的な支援
回収率:100%
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保健所長はどんな仕事をしていると思いますか。
当てはまるものすべてに○を付けて下さい。
仕事内容
男
女
保健所長等行政職は将来の選択肢となり得ますか?
合計
会議や事業における挨拶
診察や生活指導等の健診業務
78.6% 96.3% 82.9%
48.8% 29.6% 44.1%
健康に係わる計画の策定
76.2% 81.5% 77.5%
書類の決裁(判子押し)業務
84.5% 77.8% 82.9%
回答
はい
いいえ
男
女
24人(28.6%)
60人(71.4%)
7人(25.9%)
20人(74.1%)
合計
31人(27.9%)
80人(72.1%)
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医学部医学科学生たちの考えていることは
とても納得がいくものである!
医師が保健所長の職を担当するために
必要な知識や能力について記載して下さい。
知識:医学、薬学、衛生学、公衆衛生学、疫学、統計学、予防医学、行政
学、社会学、福祉、法律、感染症、予防接種、検診、食中毒、地域づくり、
当該地域の特性・文化、地域の医療保健福祉介護資源、保健師の仕事、
幅広く深い知識
保健所長であることの前にまず(優れた)医師である
ことが強調されている。
実際の選択しとして結構考えていてくれていることに
将来の希望を感じるのは演者だけであろうか。
医師としてのライフ・コースの中で行政医師をある時
期選択することの許容性があっても良いのではない
か。
後は、卒後も含めて継続的にどのように教育してい
くかだけではないか。
技能:コミュニケーション能力、人の話を聞く能力、統率力(リーダーシッ
プ)、チームワーク力、他職種との連携能力、広い視野を持ち、俯瞰して
見ることのできる能力、必要なことを見極める能力、時間を捻出する能力
(計画性)、運営能力、経営能力、マネジメント能力、情報処理能力、事務
作業能力、人に伝える能力、考える力、頭の良さ、分析能力、判断能力、
医師としての能力、専門医というよりも総合医としての能力
態度:人格、責任感、正直さ、行動力、忍耐力、住民に寄り添う態度
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回転ドア・システム
米国では、政権が替わると約
三千の主要ポストが総入れ替え
になる。これを『回転ドア・システ
ム』 と言う。
これとは若干異なるが、医師
という専門性を持った職種が行
政や大学や臨床との間をもっと
柔軟に往き来した方が社会に
とって良いのではないだろうか。
もちろん、超専門的な部分は
プロパーな集団で対応するにし
ても。
ま と め
 情報提供不足を改善する必要がある。
 医学部教育ではまず、教育の中に入れておくこと
と、もっと行政医師(保健所長)のキャリアー・パス
を示す必要がある。
 もっと狭い地域で卒後教育の場の設定も考える
必要がある。
教育に勝る解決法無し!
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増田寛也(前岩手県知事の)/人口減少問題
研究会著:壊死する地方都市
・日本の地域別将来推計人口」(平成25年3
月推計)が基礎資料
・1954年~2009年にかけて、地方から大
都市圏へ約1147万人にものぼる人口移動
があった。
・大都市圏は結婚して子どもを産み育てる環
境としては必ずしも望ましいものでなく、大都
市圏に流入した若年層の出生率は低くとど
まった。結婚しづらい環境に加え、大都市部
では住宅事情や出産育児に対する家族や地
域のサポートの弱さが、将来の人口減少を
決定づけた。
・現在の地方の雇用減少を辛うじて食い止め
ているのは医療・介護分野の雇用である。
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日経新聞平成25年12月5日
朝刊
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総
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合 討
論
学部教育から地域保健をきちんと教育しながら、社会医学領域・地域保健領域の中で
医師として生きていくキャリアデザインを示していくことが必要である。
医学部学生を主なターゲットとしている社会学サマーセミナー参加者は、医学部の社
会学教員や保健所長より厚生労働省医系技官に進路選択をする者が多いようである。
ただ、社会医学の教員となった者が皆無という訳ではない。
国立保健医療科学院での卒後医師研修では、海外の WHO(ジュネーブ、マニラ)へ出
かけたり、感染症研究所に行ったり、厚生労働省医系技官と行動を共にするなどして
いる。1年に10人まで受け入れている。修了者の 1 割強程度が行政職になっている。
医学部における社会医学教育の中で医学部の社会学教員や保健所長に就職する意思を
示すものはまだまだ少ないようである。
教育において地域保健について熱く語る講師が必要である。
医学における卒後教育としては、様々な機会に医師と接触する必要があり、勧誘は継
続的にしていく必要がある。
公衆衛生医師・保健所長もまず、良い医師であることが前提である。組織の長である
保健所長として医学をどう活かしていくのかを教育してくことが保健所長育成の中核
的事項である。
保健所長会としての医学生教育への注文としては、医学をベースにした組織的対応の
日頃の地域保健活動を医学生に伝えていくようなことが必要である。ケースメソッド
のような教材を医学部教育で活かして欲しい。保健所と医学部社会医学教員との交流
が必要である。
保健所長会と教育協議会が卒後教育においても智恵を出し合いながらともに進めてい
く必要がある。平成23年度より、卒後臨床研修で地域保健・医療が必須でなくなっ
た現状があり、3割の保健所において、5%程度(400~500人)の研修医しか
保健所での卒後教育を受けているに過ぎないのは低率過ぎると評価している。臨床研
修制度における地域保健の必修化も再考すべきである。
ケースメソッドの事例については、今後保健所長会と教育協議会で共同して収集・開
発する必要がある。
一部の保健所と医学部において、ケースメソッドの事例化が試行されているので、今
後保健所長会と教育協議会の共同の事業化・共有化の方向性が考えられる。
行政医師になって間もない30歳代、40歳代、50歳代のそれぞれの個別の現任教
育の必要性も保健所長会としては模索中である。
地域保健における魅力づくりと地域保健の魅力を示していくことが必要である。
保健所長のことを医学部医学科の医学教育の中で論議してもらったことに大きな意義
があったと一保健所長として評価したい。
新臨床研修制度が開始されて以降、保健所が医学生を教育する機会が減ってきたこと
も一つの課題と言える。
医学部を志望する高校生に対しても地域保健の魅力を伝えていく必要性がある。どの
ような医学生を求めているのか、地域保健に寄与する医学生も求めていることを知ら
しめていく必要もある。
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ま と め
今後、衛生学公衆衛生学教育協議会と全国保健所長会との共同事業として地域保健にお
ける成功事例をケースメソッドとして教材化していく必要性の相互理解が得られた。
27
全国機関衛生学公衆衛生学教育協議会主催
平成 25 年度衛生学公衆衛生学教育協議会シンポジウム
「もう一つの医師不足-行政医師(保健所長)育成をどうするか-」
報告書
2014年2月発行
編集
京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町 465
Tel : 075-251-5789
Fax : 075-251-5799
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