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ADM1021
マイクロプロセッサ・ システム用低価格温度モニター ADM1021 特長 概要 MAX1617の機能を強化した置換え品 ADM1021は、温度の監視と管理を必要とするパーソナル・コン リモート温度検出機能を内蔵 ピュータやその他のシステムを対象とする2チャンネルのデジタル キャリブレーション不要 温度計測機能と下限温度/上限温度の警報発生機能を内蔵していま 内蔵センサー精度: 1℃ す。このデバイスは、ダイオード接続されたPNPトランジスタを リモート・センサー精度: 3℃ 使ってマイクロプロセッサの温度を計測することができ、 このよう 上限温度/下限温度が設定可能 なPNPトランジスタはPentium IIまたは同様のプロセッサではチッ 変換レートが設定可能 プ上に用意されています。あるいは、2N3904/2N3906のような低価 2線式のSMBusシリアル・インターフェース 格のディスクリートNPN/PNPデバイスを使うこともできます。新 TM システム・マネージメント・バス(SMBus )警報をサポート しい計測技術の採用によりトランジスタのベース-エミッタ間電圧 最大動作電流: 70 μA の絶対値を相殺させて、キャリブレーションを不要にしています。 スタンバイ電流: 3 μA 第2の計測チャンネルでは内蔵温度センサーの出力を監視して、デ 電源電圧: 3 V∼5.5 V バイスとその環境の温度を監視します。 小型の16ピンQSOPパッケージ ADM1021は、SMBus標準と互換性を持つ2線式のシリアル・イン ターフェースにより通信します。上限温度と下限温度はシリアル・ アプリケーション バスを経由してデバイスに設定され、 オンチップまたはリモートの ディスク・トップ・コンピュータ 温度が範囲を超えると、ALERT出力によりこれを通知します。この ノートブック・コンピュータ 出力は割込み信号またはSMBus警報信号として使用することができ スマート・バッテリ ます。 産業用コントローラ 通信機器 計測機器 機能ブロック図 ローカル下限温度 コンパレータ ワンショット・ レジスタ 変換レート・ レジスタ ローカル温度計測値レジスタ オンチップ 温度センサー D+ D– アナログMUX 8ビットA/D コンバータ BUSY RUN/ スタンドバイ リモート温度計測値レジスタ ローカル下限温度 コンパレータ ローカル下限温度 レジスタ ローカル上限温度 コンパレータ ローカル上限温度 レジスタ リモート下限温度 コンパレータ リモート下限温度 レジスタ リモート上限温度 コンパレータ リモート上限温度 レジスタ 設定レジスタ STBY 外付けダイオード断線信号 割込みマスク ステータス・レジスタ SMBUSインタフェース ADM1021 TEST VDD ALERT NC GND GND NC NC TEST SDATA SCLK ADD0 ADD1 SMBusはIntel Corporationの商標です。PentiumはIntel Corporationの登録商です。 アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、 当社はその情報の利用、また利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権 利の侵害に関して一切の責任を負いません。さらにアナログ・デバイセズ社の特許また は特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1 - 1 6 - 1 電話03(5402)8200 〒105−6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3 - 5 - 3 6 電話06(6350)6868㈹ 〒532−0003 新大阪第2森ビル ADM1021―仕様 (特に指定のない限り、TA = TMIN∼TMAX、VDD = 3.0 V∼3.6 V) パラメータ Min Typ Max 単位 テスト条件/コメント ℃ ℃ コード落ち(ミス・コード)無しを保証 電源およびADC 温度分解能 温度誤差、ローカル・センサー 温度誤差、リモート・センサー 1 ±1 −3 +3 ℃ −3 +3 ℃ −5 +5 ℃ 3.6 V 注1 2.95 V VDD入力の立上がりエッジでADCを ディスエーブル 電源電圧範囲 3 低電圧ロックアウト・スレッショルド 2.5 低電圧ロックアウト・ヒステリシス パワーオン・リセット(POR)のスレッショルド 2.7 25 0.9 1.7 PORスレッショルド・ヒステリシス 50 スタンバイ電源電流 3 TA = +60℃ ∼ +100℃ mV 2.2 V VDD、立下がりエッジ2 mV 10 4 μA SMBus動作無し VDD = 3.3 V、 μA SCLK = 10 kHz 毎秒0.25回の変換レート 平均動作電源電流 70 90 μA 自動変換モード、4 Sec間の平均 160 200 μA 毎秒2回の変換レート 115 170 ms ストップ・ビットから変換完了まで (両チャンネル) 変換時間 65 リモート・センサー・ソース電流 D+をD− + 0.65 Vに強制的に設定 60 90 130 μA Highレベル 3.5 5.5 8 μA Lowレベル D−ソース電圧 0.7 V アドレス・ピン・バイアス電流(ADD0、ADD1) 50 μA パワーオン・リセット時に一時的 V VDD = 3 V ∼ 5.5 V V VDD = 3 V ∼ 5.5 V SMBUSインターフェース ロジック入力High電圧、VIH 2.2 STBY、 SCLK、 SDATA ロジック入力Low電圧、VIL 0.8 STBY、 SCLK、 SDATA SMBus出力Lowシンク電流 6 mA SDATAを0.6 Vに強制的に設定 ALERT出力Lowシンク電流 1 mA ALERTを0.4 Vに強制的に設定 ロジック入力電流、IIH、 IIL −1 SMBus入力容量、 SCLK、 SDATA +1 5 SMBusクロック周波数 0 SMBusクロックLow時間、tLOW 4.7 SMBusクロックHigh時間、tHIGH SMBusスタート状態のセットアップ・タイム、tSU:STA SMBusリピート・スタート状態の μA pF 100 kHz μs 10%点間のtLOW 4 μs 90%点間のtHIGH 4.7 μs 250 ns 90%点と90%点の間 SMBusスタート状態のホールド・タイム、tHD:STA 4 μs SDATAの10%値からSCLKの90%値まで の時間 SMBusストップ状態のセットアップ・タイム、tSU:STO 4 μs SCLKの90%値からSDATA10%値までの 時間 SCLKに対するSMBusデータ有効時間 250 ns SDATAの10%値または90%値からSCLK の10%値までの時間 SMBus Dataのホールド・タイム、tHD:DAT 0 μs SMBusバス放棄時間、 tBUF 4.7 セットアップ・タイム、tSU:STA 立上がりエッジ時間、tSU:DAT SCLK立下がりエッジからSDATAまで 1 μs スタート状態/ストップ状態の間 μs データ内のマスター・クロック動作 有効時間、tVD,DAT 注 1 2 VDD = +5 Vでの動作は設計上保証しますが、製造テストは行いません。 設計上保証しますが、製造テストは行いません。 仕様は予告なしに変更されることがあります。 −2− REV.0 ADM1021 絶対最大定格* ピン機能の説明 GNDに対する正電源電圧(VDD) …………………… −0.3 V ∼ +6 V ピン番号 記号 1, 16 TEST 出荷時テスト用ピン。注参照 2 VDD 正電源電圧、+3 V ∼ +5.5 V。 入力電流、SDATA ……………………………… −1 mA ∼ +50 mA 3 D+ リモート温度センサーに対する正側接続。 入力電流、D− ……………………………………………… ±1 mA 4 D− リモート温度センサーに対する負側接続。 ESD定格、全ピン(人体モデル) ……………………………… 2000 V 5, 9, 13 NC 接続無し 連続消費電力最大 6 ADD1 D+、ADD0、ADD1 ………………………… −0.3 V ∼ VDD +0.3 V GNDに対するD−の電圧 ………………………… −0.3 V ∼ +0.6 V SCLK、SDATA、ALERT、STBY ……………… +70℃まで −0.3 V− ∼ +6 V 説明 スリー・ステート・ロジック入力、デバイ ……………………………………………… 650 mW +70℃以上のディレーティング 動作温度範囲 ス・アドレスの上位ビット …………………… 6.7 mW/℃ …………………………………… −55℃ ∼ +125℃ 最大接合温度(TJ max) ……………………………………… +150℃ 保管温度範囲 ………………………………… 7, 8 GND 10 ADD0 電源接続0 V。 スリー・ステート・ロジック入力、デバイ ス・アドレスの下位ビット −65℃ ∼ +150℃ 11 端子温度、ハンダ処理 ALERT 割込みまたはSMBus警報として使用され るオープン・ドレイン・ロジック出力 蒸着60 sec ………………………………………………… +215℃ 12 赤外線15 sec ……………………………………………… +200℃ SDATA ロジック入力/出力、SMBusシリアル・ データ。オープン・ドレイン出力。 *上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒久的な損傷を与えることが あります。この規定はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セ クションに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを 長時間絶対最大定格状態に置くとデバイスの信頼性に影響を与えます。 14 SCLK 15 STBY ロジック入力、SMBusシリアル・クロック。 通常動作(High)またはスタンバイ・モード (Low)を選択するロジック入力。 熱特性 注 ピン1とピン16はテスト用に予約されています。理想的にはこれらのピンは解放のままにし ておきます。これらのピンを経由する配線が必要な場合は、両ピンを同電位に(すなわち両ピ ンを相互接続)する必要があります。 16ピンQSOPパッケージ: ΘJA = 150℃/W オーダー・ガイド ピン設定 パッケージ・ モデル 温度範囲 ADM1021ARQ パッケージ 0℃ ∼ +85℃ オプション 16ピンQSOP RQ-16 TEST 1 16 TEST VDD 2 15 STBY 14 SCLK D+ 3 ADM1021 13 NC 上面図 NC 5 (実寸ではありません)12 SDATA D– 4 ADD1 6 プロトコル スタート状態 (S) ビット6 (A6) ビット7 MSB (A7) t LOW t HIGH 1/fSCL tF SDA プロトコル ビット0 LSB (R/W) アクノリッジ (A) ストップ状態 (P) SCL SDA 図1. シリアル・バスのタイミング図 REV.0 10 ADD0 GND 8 9 NC =接続無し SCL tR 11 ALERT GND 7 −3− NC ADM1021―代表的な性能特性 120 30 100 20 90 10 80 70 計測値 温度誤差―°C DXP-GND間 0 –10 DXP-VCC (5V)間 60 50 –20 40 –30 30 –40 20 –50 10 –60 0 1 10 リーク抵抗―MΩ 3.3 30 100 図2. 温度誤差とPCボードのパターン間のリーク抵抗の関係 0 10 20 30 40 60 50 計測温度 70 80 90 100 110 図5. Pentium IIの計測温度とADM1021の測定値の関係 6 25 5 20 15 250mV p-pリモート 温度誤差―°C 温度誤差―°C 4 3 2 10 5 1 100mV p-pリモート 0 0 –1 50 500 5k 50k 周波数―Hz 500k 5M –5 50M 1 図3. 温度誤差と電源ノイズ周波数の関係 2.2 3.2 4.7 DXP-DXNの容量―nF 7 10 図6. 温度誤差とD+―D−間容量の関係 80 25 70 20 60 15 電源電流µA 温度誤差―°C 100mV p-p 10 50mV p-p 50 40 VCC = +5V 30 5 20 25mV p-p 0 10 –5 VCC = +3V 0 50 500 5k 50k 周波数―Hz 500k 5M 50M 0 図4. 温度誤差とコモン・モード・ノイズ周波数の関係 1k 5k 10k 25k 50k 75k 100k 250k 500k 750k 1M SCLK周波数―Hz 図7. スタンバイ電源電流とクロック周波数の関係 −4− REV.0 ADM1021 10 100 9 ADDX = HI-Z 80 8 10mV方形波 電源電流―µA 温度誤差―°C 7 6 5 4 60 40 ADDX = GND 20 3 2 0 1 0 50 500 5k 50k 100k 500k 周波数―Hz 5M 25M –20 50M 0 図8. 温度誤差と差動モード・ノイズ周波数の関係 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 3.5 4.5 電源電圧―Volts 図10. スタンバイ電源電流と電源電圧の関係 125 200 180 100 160 120 温度―°C 電源電流― µA 140 100 VCC = +5V 80 75 50 VCC = +3.3V 60 +115°Cのフラリーナート・ バスに浸して測定 25 40 20 0 0.0625 0 0.125 0.25 0.5 1 変換レート―Hz 2 4 T=0 8 図9. 動作電源電流と変換レートの関係 T=2 T=4 時間―Sec T=6 T=8 T = 10 図11. 熱衝撃応答 機能説明 リアル・システム・マネジメント・バス(SMBus)を経由して制御お ADM1021は2チャンネルの特別な入力信号コンディショニング機 能を持つA/Dコンバータを内蔵しており、これを使ってリモート・ よび設定することができます。全てのレジスタの内容は、SMBusを 使ってリードバックすることができます。 ダイオード温度センサーとオンチップ・ダイオード温度センサーと 次の制御機能と設定機能があります。 の動作が可能になっています。ADM1021の通常動作では、A/Dコン ・デバイスの通常動作とスタンバイ・モードとの間の切り替え バータはフリー・ランニング・モードで動作します。アナログ入力 ・ALERT出力のマスクまたはイネーブル マルチプレクサは、ローカル温度を測定するオンチップ温度セン ・変換レートの選択 サーとリモート温度センサーを交互に選択します。 センターの信号 はADCによりデジタルに変換され、変換結果は8ビットの2の補数 計測方法 ワードとして、 ローカル温度値レジスタとリモート温度値レジスタ に格納されます。 温度計測の簡単な1つの方法は、一定電流で動作しているダイ オードまたはトランジスタのベース-エミッタ間電圧の負の温度係 計測結果は、4つのオンチップ・レジスタにそれぞれ格納されて 数を使用する方法です。この方法ではデバイス毎に異なるVbe絶対 いるローカルとリモートの上限温度と下限温度と比較されます。 比 値の影響を除去するためのキャリブレーションが必要になります。 較の結果、上下限値を超えている場合にはステータス・レジスタ内 ADM1021では、異なる2つの電流値でデバイスが動作する際のVbe にあるフラグが設定されます。比較で上下限値を超える1つまたは の変化を計測する方法を採用しています。 複数の結果が発生すると、ALERT出力がLowになります。 これは次式で表されます。 上限温度と下限温度のレジスタは設定可能であり、 デバイスはシ REV.0 −5− ADM1021 VDD I Nx I IBIAS VOUT+ D+ ADCへ C1* リモート 検出用 トランジスタ D– バイアス・ ダイオード VOUT– ローパス・フィルタ f C = 65kHz * キャパシタC1はオプション。ノイズが大きい環境でのみ必要。 C1 = 2.2nF TYPICAL, 3nF MAX. 図12. 入力信号コンディショニング機能 表I. 温度データのフォーマット ΔVbe = KT/q × ln (N) ここで、 K はボルツマン定数 q は電子の電荷(1.6×10−19クーロン) T はケルビン単位の絶対温度 温度 デジタル出力 −128℃ 1 000 0000 −125℃ 1 000 0011 −100℃ 1 001 1100 N は2つの電流の比 図12に、 外部温度センサーの出力を計測するときの入力信号コン ディショニング機能を示します。この図には、マイクロプロセッサ −75℃ 1 011 0101 −50℃ 1 100 1110 −25℃ 1 110 0111 上に温度監視用に用意されたサブストレート・トランジスタを外部 −1℃ 1 111 1111 センサーとして示してありますが、このトランジスタの代わりに、 0℃ 0 000 0000 等価なディスクリート・トランジスタを使用することもできます。 +1℃ 0 000 0001 ディスクリート・トランジスタを使用する場合は、コレクタはグラ +10℃ 0 000 1010 ンドに接続せずに、ベースに接続する必要があります。計測に悪影 +25℃ 0 001 1001 響を与えるグランド・ノイズを防止するため、センサーの負側端子 +50℃ 0 011 0010 をグランド基準にしないで、D-入力の内部ダイオードを使ってグラ +75℃ 0 100 1011 ンドより上にバイアスします。 センサーがノイズの大きい環境で動 +100℃ 0 110 0100 作している場合は、ノイズ・フィルタとしてC1を追加することがで +125℃ 0 111 1101 +127℃ 0 111 1111 きます。値は通常2200 pFですが、3000 pFを超えないようにする必 要があります。C1の詳細については、 「レイアウト時の注意事項」の 内蔵レジスタ 節を参照してください。 ΔVbeを計測するときは、センサーの動作電流をIとN×Iの間で切 ADM1021には9個のレジスタが内蔵されており、これらを使って り替えます。 そのとき得られる波形はノイズを除去するため65 kHz リモート温度計測値、ローカル温度計測値、上限温度、下限温度を のローパス・フィルタを通した後、チョッパで安定化したアンプを 格納し、デバイスの設定と制御を行います。これらのレジスタにつ 通します。このアンプは波形の増幅と整流をする機能を持ってお いて以下に説明します。また、表I I ∼表I V に詳細を示します。 り、ΔVbeに比例したDC電圧を出力します。この電圧をADCにより ADM1021のレジスタはデュアル・ポートであり、読出し動作と書込 8ビットの2の補数フォーマットの温度出力に変換します。 ノイズの み動作に対して異なるアドレスを持っています。リード・アドレス 影響を更に除去するため、 16サイクル分の計測値について平均をと に対する書込み、またはライト・アドレスに対する読出しを行う るデジタル・フィルタリングを実行します。 と、結果は無効になります。0Fhより大きいレジスタ・アドレスは 内部温度センサーに対する信号コンデショニングと計測も、 同じ 将来のため、または工場テスト用に予約されており、書込むことは 方法で実行します。 できません。 温度データのフォーマット アドレス・ポインタ・レジスタ ADCの1LSBは1℃に対応します。 実際の最小値はデバイスの最大 アドレス・ポインタ・レジスタは各書込み動作の先頭データ・バ 定格により65℃に制限されますが、 ADCは理論的には−128℃ ∼ + イトが自動的に書込まれるレジスタであるため、 このレジスタには 127℃の範囲を計測できます。温度データのフォーマットを表Iに示 アドレスがありません。このレジスタ内にあるデータ・バイトは、 します。 他のレジスタの内から1つを指定するアドレス・ポインタになって ローカル温度計測値とリモート温度計測値は、 ローカル温度計測 値レジスタとリモート温度計測値レジスタに格納され、 ローカルと おり、書込み動作での2番目のバイトを、または後続の読出し動作 を、この指定されたレジスタが使います。 リモートの上限温度レジスタと下限温度レジスタに設定された値と 比較されます。 −6− REV.0 ADM1021 ALERT割込みラッチはステータス・レジスタの読出しによりリ アドレス・ポインタ・レジスタのパワーオン時のデフォルト値 は00hです。この00hは、ローカル温度計測値レジスタのアドレスに セットされませんが、マスターがデバイス・アドレスを読出し、 なっています。したがって、パワーオン直後に、アドレス・ポイン ALERT出力に対する割込みサービスが実行されたときに、 リセット タに対する最初の書込みを行わずに読出し動作を実行すると、 ロー されます。ただし、このときエラー状態は無くなっており、かつス カル温度計測値が返されます。 テータス・レジスタのフラグ・ビットがリセットされている必要が あります。 温度計測値レジスタ 表II.ステータス・レジスタのビット配置 ADM1021には、 ローカル温度計測値とリモート温度計測値を格納 する2個のレジスタがあります。これらのレジスタはADCから書込 ビット 名前 機能 7 BUSY ADC変換動作中に1 6 LHIGH* ローカル上限温度を超えたときに1 ステータス・レジスタのビット7は、HighのときADCが動作中で 5 LLOW* ローカル下限温度を下回ったときに1 あることを表示します。ビット5∼ビット3は、上下限値との比較結 4 RHIGH* リモート上限温度を超えたときに1 果を表示するフラグです。 3 RLOW* リモート下限温度を下回ったときに1 2 OPEN* リモート・センサーが断線したときに1 1∼0 予約済み まれ、SMBusを経由してのみ読出すことができます。 ステータス・レジスタ ローカル温度計測値および/またはリモート温度計測値が、対応 する上限温度より高いか、または対応する下限温度より低い場合 に、これらの内の1個または複数個のフラグがセットされます。 ビット2は、リモート温度センサーが断線しているときにセットさ *ステータス・レジスタが読出されるまで、またはPOR時にリセットされるまで、これらのフ ラグはHighを維持します。 れるフラグです。これら5個のフラグはNOR接続されており、これ らの内のいずれかがHighになると、 ALERT割込みラッチがセットさ 設定レジスタ れて、ALERT出力がLowになります。フラグをセットさせたエラー 設定レジスタでは、2ビットのみが使用されています。ビット6が 状態が無くなっている場合に、ステータス・レジスタを読出すと、 0(パワーオン・デフォルト)の場合、デバイスは動作モードにあり、 5個のフラグ・ビットがクリアされます。温度計測値レジスタに上 ADCが変換動作中であることを表示します。6が1にセットされる 下限値を超える値が格納されていて上下限値コンパレータがトリッ と、デバイスはスタンバイ・モードになり、ADCは動作を停止しま プしている場合、またはセンサーが断線している場合は、対応する す。スタンバイ・モードは、STBYピンをLowにした場合にも選択さ フラグ・ビットはリセットされません。対応する温度計測値レジス れます。 タに上下限値の範囲内の計測値が格納されている場合、 またはセン 設定レジスタのビット7は、ALERT出力のマスクとして使用され サーが正常である場合にのみ、フラグ・ビットのリセットが可能で ます。ビット7が0(パワーオン時のデフォルト)の場合は、ALERT出 す。 力がイネーブルされます。ビット7が1にセットされると、ALERT出 力はディスエーブルされます。 表III. ADM1021レジスタの一覧 読出しアドレス(Hex) 書込みアドレス(Hex) 名前 パワーオン・デフォルト なし なし アドレス・ポインタ 未定義 00 なし ローカル温度値 0000 0000 (00h) 01 なし リモート温度値 0000 0000 (00h) 02 なし ステータス 未定義 03 09 設定 0000 0000 (00h) 04 0A 変換レート 0000 0010 (02h) 05 0B ローカル上限温度 0111 1111 (7Fh) (+127℃) 06 0C ローカル下限温度 1100 1001 (C9h) (−55℃) 07 0D リモート上限温度 0111 1111 (7Fh) (+127℃) 08 0E リモート下限温度 1100 1001 (C9h) (−55℃) なし 0F1 ワンショット 10 なし 予約 未定義2 11 13 予約 未定義2 12 14 予約 未定義2 15 16 予約 1000 0000 2 17 18 予約 未定義2 19 なし 予約 0000 0000 2 20 21 予約 未定義 FE なし 製造者のデバイスID 0100 0001 (41h) FF なし ダイのレビジョン・コード 未定義 注 1 2 アドレス0Fに書込みを行うと、ADM1021は計測を1回実行します。これはデータ・レジスタでないため、どんなデータでも書込むことができます。 これらのレジスタは、デバイスの将来バージョン用に予約されています。 REV.0 −7− ADM1021 ADM1021は2本のアドレス・ピンADD0とADD1を持っています。こ の2本のピンを使って、同一バスに複数のADM1021を接続可能とす るため、 および/または他のデバイスとの競合を避けるために、 デバ イス・アドレスを選択できるようになっています。アドレス・ピン は2本しか用意されていませんが、これらはスリー・ステートであ るため、グランドへの接続、解放、またはVDDへの接続がそれぞれ可 能で、合計9個のアドレス指定が可能です(表VI)。 アドレス・ピンの状態はパワーアップ時にのみサンプルされる ため、 パワーアップ後にピン状態を変更してもその変更は無視され ます。 表VI. 可能なデバイス・アドレス 表IV. 設定レジスタのビット配置 パワーオン ビット 名前 機能 デフォルト 7 MASK1 0 6 RUN/STOP 0 = ALERTイをネーブル 1 = ALERTをマスク 0 = Run 1 =スタンバイ 予約 5∼0 0 0 変換レート・レジスタ このレジスタの下位3ビットを使って変換レートを設定します。 変換レートはADCクロックを1、2、4、8、16、32、64または128分周し て発生し、 変換時間125 msec (コード07h)∼16 sec(コード00h)を得ま す。このレジスタは書込み可能で、SMBusを経由してリードバック されます。このレジスタの上位5ビットは未使用で、ゼロに設定し ておく必要があります。低速変換時間を使用すると、大幅にデバイ ス消費電力を減らすことができます(表V)。 表V. 変換レートのレジスタ・コード データ 00h 01h 02h 03h 04h 05h 06h 07h 08h ∼ FFh 変換回数/sec 0.0625 0.125 0.25 0.5 1 2 4 8 予約 平均電源電流μA、 VCC = 3.3 VでのTyp値 ADD0 ADD1 デバイス・アドレス 0 0 0 NC NC NC 1 1 0 NC 1 0 NC 1 0 NC 0011 000 0011 001 0011 010 0101 001 0101 010 0101 011 1001 100 1001 101 1 1 1001 110 注: ADD0、ADD1はパワーアップ時にのみサンプルされます。 42 42 42 48 60 82 118 170 上限温度レジスタおよび下限温度レジスタ ADM1021には、 ローカルとリモートの上限温度と下限温度を格納 するレジスタが4個内蔵されています。これらのレジスタは書込み 可能で、SMBusを経由してリードバックすることができます。上限 温度レジスタは>比較を、下限温度レジスタは<比較を、それぞれ 実行します。例えば、上限温度レジスタが80℃に設定されている場 合に、計測値が81℃になると警報状態が発生します。 ワンショット・レジスタ ADM1021がスタンバイ・モードにあるとき、このワンショット・ レジスタを使ってシングル変換と比較サイクルを起動することがで きます。これを実行した後は、デバイスはスタンバイに戻ります。 これはデータ・レジスタとは異なり、このレジスタに書込みを行う と、ワンショット変換が起動されます。また、このアドレスに書込 まれるデータは無視されます。 シリアル・バス・インターフェース A D M 1 0 2 1 の制御は、シリアル・バスを経由して行います。 ADM1021はマスター・デバイス(例えばPIIX4)の制御の下で、このバ スにスレーブ・デバイスとして接続されます。 アドレス・ピン 一般に、各SMBusデバイスは7ビットのデバイス・アドレス(拡張 10ビット・アドレスを持つ幾つかのデバイスは除きます)を持って います。マスター・デバイスがデバイス・アドレスをバスに出力す ると、そのアドレスを持つスレーブ・デバイスが応答します。 シリアル・バス・プロトコルは、次のように動作します。 1. スタート状態は、シリアル・クロック・ラインSCLKがHighの間 にシリアル・データ・ラインSDATA上に発生するHighからLowへ の変化として定義されますが、 マスターはこのスタート状態を設 定して、データ転送を起動します。このスタート状態は、アドレ ス/データ・ストリームが後ろに続くことを表示しています。シ リアル・バスに接続された全てのスレーブ・ペリフェラルはス タート状態に対して応答し、それに続く8ビットをシフト入力し ます。この8ビットは、7ビット・アドレス(MSB先頭)とR/Wビッ トで構成されています。このR/Wビットはデータ転送の方向を 指定します。すなわち、スレーブ・デバイスに対するデータの書 込みまたは読出しを指定します。 送信されたアドレスに対応するアドレスを持つペリフェラルは、 アクノリッジ・ビットと呼ばれる9番目のクロック・パルスの前 のLow区間中に、データ・ラインをLowにして、応答します。選 択されたデバイスが読み書きの対象となるデータを待つ間、 バス 上の他の全デバイスはアイドル状態を維持します。R/Wビット が0の場合は、マスターがスレーブ・デバイスに対して書込みを 行います。R/Wビットが1の場合は、マスターがスレーブ・デバ イスから読出しを行います。 2. 8ビットのデータとそれに続くスレーブ・デバイスからのアクノ リッジ・ビットが、9個のクロック・パルスでシリアル・バスに 出力されます。クロックがHighの間のLowからHighへの変化は STOP信号と解釈されるため、データ・ラインの変化はクロック 信号のLow区間で発生し、 High区間中は安定している必要があり ます。1回のリード動作またはライト動作でシリアル・バスに出 力できるデータ・バイト数は、マスター・デバイスとスレーブ・ デバイスが処理できるバイト数でのみ制限されます。 3. 全データ・バイトの読出しまたは書込みが終了すると、ストップ 状態が設定されます。書込みモードでは、マスターが10番目のク ロック・パルスでデータ・ラインをHighにして、ストップ状態を アサートします。読出しモードでは、マスター・デバイスが9番 目のクロック・パルスの前のLow区間でデータ・ラインをHighに して、アクノリッジ・ビットを上書きします。これはノン・アク ノリッジと呼ばれています。続いて、マスターは10番目のクロッ −8− REV.0 ADM1021 ク・パルスの前のLow区間でデータ・インをLowにして、ストッ レジスタからデータを読出すときは、次の2通りの可能性があり プ状態をアサートします。 ます。 シリアル・バスでは1回の動作で、任意バイト数のデータを転送 1. ADM1021のアドレス・ポインタ・レジスタ値が未知の場合また できますが、動作(書込みまたは読出し)は最初に決定されます。そ は正しくない場合は、先ず、該当する値を設定し、その後でデー のため、 新しい動作を起動しない限り転送の途中で動作を変更する タ・レジスタに対するデータの読み書きを行う必要があります。 ことはできず、1回の動作に読出しと書込みを含めることはできま この動作は前述のようにADM1021に対する書込み動作で実行さ せん。 れますが、この場合はデータをレジスタに書込まないため、レジ ADM1021の場合は、書込み動作では1バイトまたは2バイトが、読 スタの読出しアドレスを含むデータ・バイトのみが出力されま 出し動作では1バイトが、それぞれ転送可能で、 次の機能を実行する す(図14)。 ことができます。 その後で、シリアル・バス・アドレス、1に設定されたR/Wビッ デバイス・データ・レジスタの1つにデータを書込むとき、また ト、それに続いてデータ・レジスタから読出されたデータ・バイ はデータを読出すときは、先ずアドレス・ポインタ・レジスタを設 トのシーケンスで、読出し動作が実行されます(図15)。 定して該当するデータ・レジスタをアドレス指定し、その後でその 2. アドレス・ポインタ・レジスタ値が既知アドレスである場合は、 レジスタに対するデータの読み書き動作を実行する必要がありま アドレス・ポインタ・レジスタに書込みを行うことなく、データ す。書込み動作の先頭バイトには、アドレス・ポインタ・レジスタ を対応するデータ・レジスタから読出すことができます。した 内に格納される有効アドレスが必ず含まれている必要があります。 がって、図14は不要です。 デバイスに書込むデータがある場合は、アドレス・ポインタ・レジ 注 スタによって選択されたレジスタに2番目のデータ・バイトを書込 1. アドレス・ポインタ・レジスタに正しい値が格納されている場 み、その書込み動作となります。 合は、アドレス・ポインタ・レジスタに先に書込みを行わずに、 この動作を図13に示します。デバイス・アドレスがバスに出力さ データ・レジスタからデータ・バイトを読出すことが可能です れ、0に設定されたR/Wが続き、この後に2バイトのデータが続きま が、 データをレジスタに書込むときは、必ずアドレス・ポインタ・ す。先頭のデータ・バイトは、書込みの対象となる内部データ・レ レジスタに書込みが行われます。これは書込み動作の先頭デー ジスタのアドレスでアドレス・ポインタ・レジスタに格納されま タ・バイトが常にアドレス・ポインタ・レジスタに書込まれる す。2番目のデータ・バイトは、内部データ・レジスタに書込まれ ためです。 るデータです。 2. ADM1021の各レジスタは、書込み動作と読出し動作で異なるア ドレスを使用していることを忘れないでください。レジスタに データを書込む場合は、 そのレジスタの書込みアドレスをアドレ ス・ポインタ・レジスタに書込む必要があります。そのアドレ スからはデータを読出すことはできません。レジスタを読出す 場合は、読出しアドレスをアドレス・ポインタに書込んだ後でな ければ、そのレジスタからデータを読出すことはできません。 1 9 1 9 SCLK A6 SDATA A5 マスターから 起動 A4 A3 A2 A1 A0 D6 D7 R/ W ADM1021 からのACK フレーム1 シリアル・バスのアドレス・バイト D5 D4 D3 D2 D1 D0 ADM1021 からのACK フレーム2 アドレス・ポインタ・レジスタのバイト 1 9 SCL (続き) SDA (続き) D7 D5 D6 D4 D3 D2 D1 D0 ADM1021 マスターから 停止 からのACK フレーム3 データ・バイト 図13. アドレス・ポインタ・レジスタに対するレジスタ・アドレスの書込み、およびその後の選択したレジスタに対するデータの書込み外径寸法 1 9 1 9 SCLK SDATA マスターから 起動 A6 A5 A4 A3 A2 A1 A0 フレーム1 シリアル・バスのアドレス・バイト D7 R/ W ADM1021 からのACK D6 D5 D4 D3 D2 −9− D0 フレーム2 アドレス・ポインタ・レジスタのバイト 図14. アドレス・ポインタ・レジスタに対する書込みのみの場合 REV.0 D1 ADM1021 マスターから 停止 からのACK ADM1021 1 9 9 1 SCLK A6 SDATA マスターから 起動 A5 A4 A3 A2 A1 A0 フレーム1 シリアル・バスのアドレス・バイト D7 R/ W ADM1021 からのACK D6 D5 D4 D3 D2 D1 D0 フレーム2 ADM1021からのデータ・バイト ADM1021 マスターから からのACK 停止 図15.選択済みレジスタからのデータの読出し 低消費電力のスタンバイ・モード ALERT出力 計測値が上下限値を超えるとき、 またはリモート温度センサーが ハードウェアまたはソフトウェアにより、すなわちSTBY入力を 断線するとき、ALERT出力がLowになります。この信号はオープン・ Lowにするか、 あるいは設定レジスタのビット6をセットすることに ドレインで、VDDに対して10 kΩのプルアップ抵抗が必要です。 複数 より、ADM1021を低消費電力のスタンバイ・モードにすることがで のALERT出力をワイヤードAND接続して、1本または複数本の きます。STBYがHighとき、またはビット6がLowのときは、 ADM1021 ALERTがLowになった場合に、共通のラインにLowを出力すること は通常動作を行います。STBYがLowになるか、またはビット6が ができます。 Highに設定されると、ADCは停止して、変換中の動作は対応する温 ALERT出力を使ってプロセッサに対する割込み信号を発生する 度計測値レジスタに結果を書込む前に停止されます。 ことができます。あるいは、SMBALERTとして使用することもでき SMBusはイネーブルされたままです。スタンバイ・モードでの ます。SMBus上のスレーブ・デバイスは、通常、マスターに対する 電力消費は、SMBus動作がない場合には10μAより小さい値に、 バス 交信の要求を通知できませんが、 SMBALERTを使用するとこれが可 上にクロック信号とデータ信号が存在する場合には、 100 μAより小 能になります。 さい値に、それぞれ減少されます。 1本または複数本のALERT出力を共通のSMBALERTラインに接続 2つのモードは似ていますが同じではありません。STBYがLowに し、 この共通のSMBALERTラインをマスターに接続することができ なると、変換は完全に停止されます。ビット6がセットされ、かつ ます。デバイスの1つがSMBALERTラインをLowにすると、 次のプロ STBYがHighの場合は、ワンショット・レジスタ(アドレス0Fh)に シージャが実行されます(図16)。 XXhを書込むことにより、 両チャンネルのワンショット変換を起動 することができます。 マスターが SMBALERTを受信 センサー故障の検出 NO STOP START アラート応答アドレス(ARA) RD ACK デバイス・アドレス ACK マスターがARAを送信して コマンドを読出す ADM1021はD+入力に故障検出器を内蔵しており、外部セン サー・ダイオードの断線を検出します。これは簡単な電圧コンパ デバイスは自分の アドレスを送信 レータで、D+の電圧がVCC-1 V (typ値)を超えるとトリップします。 図16. SMBALERTの使用方法 変換開始時に、このコンパレータの出力がチェックされ、故障が検 出されるとステータス・レジスタのビット2がセットされます。 ダイオードの断線などにより、リモート・センサー電圧が通常の 1. SMBALERTがLowになります。 2. マスターが読出し動作を起動し、アラート応答アドレス(ARA = 計測範囲を下回ると、ADCは−128℃ (1000 0000)を出力します。デ 0001 100)を送信します。これは一般的なコール・アドレスであ バイスの通常の計測温度範囲は−55℃までであるため、この出力 り、特定のデバイス・アドレスに対しては使用できません。 コードは通常の動作では発生しません。したがって、これは故障と 3. ALERT出力をLowにしているデバイスがアラート応答アドレスに 見なすことができます。パワーオン・デフォルトの下限温度(−55 応答し、マスターがそのデバイス・アドレスを読出します。デバ ℃)と通常に設定される下限の外側であるため、断線センサーは イスのアドレスは既知であり、 通常の方法で問い合わせることが SMBus警報を発生します。 外部センサーが断線するとゼロを出力する他製品のデバイスと できます。 4. 複数のデバイスのALERT出力がLowの場合、 SMBusの通常アービ トレーション通りに、最小デバイス・アドレスが最高優先順位を ADM1021はこの点で異なっており、この点が優れています。他製品 のデバイスには、 真の0℃計測値を故障状態と誤ることがあります。 外部ダイオード・チャンネルを使用しないで短絡してある場合 持ちます。 5. ADM1021がアラート応答アドレスに応答すると、ALERTを発生 したエラー状態が無くなっている場合には、 自分のALERT出力を は、下限レジスタに80h (−128℃)を書込むことにより、発生する ALERTをクリアすることができます。 リセットします。 SMBALERTラインがLowのままになっている場 合は、マスターは再度ARAを送信します。ALERTにLowを出力し ている全デバイスが応答を完了するまでこの動作を繰り返しま す。 − 10 − REV.0 ADM1021 アプリケーション情報 2. D+とD−のパターンは相互に近づけて、グランドに接続された 精度に影響を与える要因 パターンを両側に並行させて配置します。 可能な場合は、パター リモート検出ダイオード ンの下にグランド・プレーンを配置します。 ADM1021は、プロセッサ内部に組み込まれたサブストレート・ト 3. パターンを太くして、インダクタンスを小さくし、ノイズの混入 を減らします。パターンの最小幅と間隔は10ミルを推奨します。 ランジスタを使用したり、あるいはディスクリート・トランジスタ を使用して動作するように設計されています。サブストレート・ト GND ランジスタは、一般に、コレクタがサブストレートに接続された 10ミル 10ミル PNP型です。ディスクリート型では、PNPまたはNPNトランジスタ のベースとコレクタを接続したダイオードとして使用できます。 D+ 10ミル NPNトランジスタを使用する場合は、コレクタとベースをD+に、 10ミル エミッタをD−にそれぞれ接続します。PNPトランジスタを接続す D- 10ミル る場合は、 コレクタとベースをD−に、 エミッタをD+にそれぞれ接 10ミル 続します。 GND 10ミル サブストレート・トランジスタの場合はユーザーに選択の余地 図17. 信号パターンの配置 はありませんが、ディスクリート・トランジスタを使用する場合 は、次の基準に従ってデバイスを選択すると、最適な精度が得られ ます。 4. 熱電対効果を持つ銅とハンダの接続点数を最小にします。銅と 1. 最高動作温度で、 6 μAにおけるベース-エミッタ間電圧が0.25 Vよ ハンダの接続が使われている場所では、 それらの接続点がD+と り大であること。 D−のパス内にあり、同じ温度であることを確認します。 2. 最低動作温度で、 100 μAにおけるベース-エミッタ間電圧が0.95 V 1℃は約240 μVに対応し、熱電対電圧は約3 μV/℃の温度差であ より小であること。 るため、熱電対効果は主要な問題にはなりません。2個の熱電対 3. ベース抵抗が100Ωより小であること。 がありそれらの間に大きな温度差動がない限り、熱電対電圧は 4. hfeの変動が少ないこと(例えば50∼150)。これはVbe特性の厳しい 240 μVより遙かに小さくなります。 5. 0.1 μFのバイパス・キャパシタをVDDピンの近くに、また2200pF 制御を表します。 2N3904や2N3906などのようなトランジスタ、またはそのSOT-23 の入力フィルタ・キャパシタをADM1021に近いD+とD−間にそ パッケージの等価品は使用に適するデバイスです。 れぞれ配置します。 6. リモート・センサーまでの距離が8インチを超える場合は、ツイ 熱慣性と自己発熱 ストペア・ケーブルの使用を推奨します。これは約6∼12フィー 精度は、リモート検出ダイオードおよび/または内部温度セン トまで有効です。 サーの温度が計測対象温度と同温度であることに依存し、 多数の要 7. 距離が長い場合は(100フィートまで)、Belden #8451マイクロホ 因の影響を受けます。理想的には、センサーは計測対象システムの ン・ケーブルのようなシールト・ツイストペアを使用します。ツ 部分(例えばプロセッサ)と優れた熱コンタクトを持っている必要が イストペアをD+と D−に接続して、 シールドをADM1021に近い あります。そうでない場合は、センサーの質量に起因する熱慣性が GNDに接続します。シールドのリモート端は、グランド・ルー 温度変化に対するセンサー応答を遅延させることになります。リ プを避けるため解放のままにします。 モート・センサーの場合、プロセッサ内のサブストレート・トラン ジスタまたは密着して取付けられたSOT-23のような小型のパッケー ジ・デバイスでは、問題になることはありません。 この計測技術ではスイッチング電源を使っているため、余分な ケーブルおよび/またはフィルタ容量が計測に影響を与えることが しかし、オンチップ・センサーはプロセッサから離れることがあ り、 パッケージ周辺の一般的な周囲温度のみを監視していることが あります。長いケーブルを使うときは、フィルタ・キャパシタを小 さくするか、削除します。 あります。QSOP-16パッケージの熱時定数は約10 secです。 ケーブル抵抗も誤差を生じます。 1Ωの直列抵抗は約0.5℃の誤差 実際には、 デバイスのパッケージはプリント回路ボードと電気的 を生じます。 な接続を持ち、したがって熱的な接続も持っています。そのため、 自己発熱による温度上昇は無視できます。 レイアウト時の注意事項 デジタル・ボードは電気的なノイズの多い環境であり、ADM1021 はリモート・センサーの非常に小さい電圧を計測しています。した がって、 センサー入力に誘導されるノイズを小さくする注意が必要 です。次の注意が必要です。 1. ADM1021をリモート検出ダイオードにできるだけ近づけて配置 します。クロック・ジェネレータ、データ/アドレス・バス、CRT のような最悪のノイズ源を回避し、距離は4∼8インチ離します。 REV.0 − 11 − ADM1021 応用回路 ADM1021 VDD STBY D+ ト・センサー・トランジスタを使っています。SCLK、SDATA、ALERT C1* のプルアップ抵抗は、 システム内で他に取付けていない場合にのみ 2N3904 ADM1021のSCLKピンとSDATAピンは、 Intel PCI ISA IDE Xcelerator SCLK IN I/O ALERT OUT シールド ADD0 ADD1 *C1はオプション 全て10kΩ SDATA D– 必要です。 3.3V 0.1 µF PIIX4チップへ 必要なアドレスに設定 GND (PIIX4)チップ・タイプ82371ABのようなI/OコントローラのSMBus に直接インターフェースすることができます。 図 19に、このタイプ のI/Oコントローラを使うシステムに、ADM1021を組み込む方法を D1268-2.7-4/99,1A 図18に、ADM1021の代表的な応用回路を示します。この回路では シールド付きツイストペア・ケーブルで接続されたディスクリー 図18. 代表的なADM1021の応用回路 示します。 プロセッサ 組込型センサー ホスト・バス メイン・メモリ (DRAM) PCIスロット メイン・メモリ (DRAM) ホストからPCIへの ブリッジ セカンド・レベル・ キャッシュ PCIバス(3.3Vまたは5V 30/33MHz) D– D+ CD ROM ハード・ ディスク ADM1021 USBポート1 BMI IDE ULTRA DMA/33 ハード・ ディスク ALERT SCLK SDATA USBポート2 8237 1AB (PIIX4) GPI[I,O] (30+) オーディオ SMBUS キーボード シリアル・ポート パラレル・ポート フロッピ・ディスク コントローラ 赤外線 BIOS ISA/EIO バス (3.3V, 5V 許容) 図19. ADM1021を使用する代表的なシステム 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 16ピン・シュリンクSOP (RQ-16) 0.197 (5.00) 0.189 (4.80) 0.244 (6.20) 0.228 (5.79) 1 8 PIN 1 0.059 (1.50) MAX 0.025 (0.64) BSC 0.069 (1.75) 0.053 (1.35) 0.012 (0.30) 実装面 0.008 (0.20) 0.010 (0.20) 0.007 (0.18) 8° 0° 0.050 (1.27) 0.016 (0.41) うにやさ ゅ い し ちき 0.010 (0.25) 0.004 (0.10) PRINTED IN JAPAN 9 16 0.157 (3.99) 0.150 (3.81) み る 「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。」 ど りをまも − 12 − REV.0