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学会抄録
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静岡地方会第58回例会(平成9年2月8日,浜松市)
平8年度静岡県「皮膚病無料相談」の統計 伏見
織:浮腫状の間質に囲まれた腺腔構造を多数認め子宮
操,瀧川雅浩(浜松医大),川住昭夫(静岡県皮膚科医
内膜症の組織と一致した.帝王切開の既往かおり,子
会)
宮内操作による子宮内膜の播種が原因として考えられ
受診者数は東部地区134名,中部地区238名,西部地
る.木症は稀であるが,帝切後にはしばしば発生する
区304名の676名.1人あたり平均L4件,のべ940件の
ため帝切後の下腹部の腫瘤は本症を鑑別診断の1つと
相談のうち,
して考える必要がある.
63.6%が色素性母斑,
12.4%脂漏性角化
症であった√色素性母斑及び黒子の部位は顔面31.2%,
色素性辱麻診の1例 荒木美好(常滑市民)
足底を含む足30.4%であった.これまでのところ悪性
4ヵ月男児.全身に淡褐色丘疹,小結節が多発.皮
黒色腫を含む悪性疾患は見つかっていない.
膚生検にて表皮直下∼真皮上層にかけて,比較的大型
難治性疵贅に対し,
の核を有する立方形∼紡錘形の細胞が桐密に浸潤.細
ylFN・yが著効した2例 羽根
田 牧,影山葉月,戸倉新樹,古川福実,瀧川雅浩(浜
胞質内にトルイジンブルー染色にて異染性を示す穎粒
松医大)
ト),血中ヒスタミン値軽度上昇.画像診断:異常所
多発性難治性現贅に対し,
ylFN-yの局注を試みた.
見(一八時に一過性の潮紅や突然の下痢を認める.
症例1は,局注7回目にはほぽ平坦化した.症例2は,
perforating
現在治療中.症例2について,治療開始後3日目の病
一,内田雅之(安城更生)
変部で,免疫組織化学的検索を行い,真皮上層に,CD4,
50歳女.糖尿病性腎不全で平5年より人工透析中.
CD8,
平8年2月より,両膝に掻滓を伴う角化性丘疹出現.
CD25,
HLA-DR陽性の浸潤細胞が認められた.
更にケラチノサイトは,
HLA-DR,
ICAM-Iを発現し
た.両患者とも奏効した.
pyoderma
facialeの1例 松下佳代(浜松労災),
diseaseの1例 羽渕知可子,加藤陽
ケブネル現象陽性.病理組織所見及び臨床所見より,
人工透析に伴ったaquired
perforating diseaseと考
えられた.
瀧川雅浩(浜松医大)
透析患者に生じたreactive
22歳女.平8年7月より頬部,顎部に出現した紅色
lagenosis 小林昌和,安西秀美,松本博子,杉浦 丹
丘疹と膿庖か,その2ヵ月後より急速に増悪した.強
(清水市立)
い圧痛と波動を伴う嚢腫状皮疹は,血性∼黄色粘液性
60歳男.25年前より糖尿病,1年半前より糖尿病性
の内容液を排出し,抗菌的治療には抵抗性であった.
賢症にて透析中.初診時背部に角栓を伴う丘疹多発し,
特異的経過と臨床像から本症と診断し,現在プレドニ
一部でケブネル現象を認めた,組織:表皮が陥凹し内
ゾロン内服にて症状は軽快中である.
部に炎症細胞の変性像,好塩基性の膠原線維東を認め,
好中球性紅斑の1例 山中かつじ(浜松医療セン
表皮に垂直に排出される膠原線維東を認めた.以上よ
perforating col-
ター),深水秀一(同形成外科),鬼頭芳子(浜松市)
りacquied
46歳女.7ヵ月前より左頬部に紅斑が出現し,最近
した.
reactive perforating collagenosis と診断
同部が浸潤を触れ隆起したため受診.4ヵ月前の同部
糖尿病に伴った非クロストリジウム性ガス壊疸の1
の紅斑の組織像はリンパ球浸潤であったが,今回は血
例 五十嵐晴巳(静岡厚生),九島昌彦([司内科],水
管炎のない好中球の浸潤に変化した.全身症状はなく
野伸一(同外科)
組織学的にリンパ球浸潤が先行した好中球性紅斑と診
78歳女.33歳で糖尿病発症.病識を欠き血糖コント
断した.
ロール不良.意識混濁し入院.左腫に壊死,潰瘍を併
右下腹部に生じた異所性子宮内膜症の1例 松本賢
発していた.細菌培養にてBacteroides
太郎,瀧川雅浩(浜松医大),堀口大輔(静岡市立)
E. coli (3十).広域スペクトル抗生剤投与,デブリー
26歳女.右下腹部の皮下腫瘤を主訴として来院.組
ドマン,切断術施行.
fragilis(3+ ),
Dieは脱するも2ヵ月後,肺炎,
262
学 会 抄 録
心不全にて死亡した.
膿庖を認めた.デカトロン⑧点滴静注6日間で皮疹は
敗血疹の疑われた黄疸出血性レプトスピラ症の1例
略治.上記3斉りの内服試験は全て陽性.貼布試験では
藤田 弘,伊藤泰介,桜井みち代(静岡県立総合),篠
アルタット⑧のみ疑陽性.DLSTでは,アルタット⑥と
部道隆(同循環器内科),今泉俊資(静岡市)
アルダクトンΛ⑧が陽性.
13歳女児.不明熱・意識障害のため当院集中治療室
麻酔後に生じたcoma
に入院中.手背,肘,膝,足背に淡い紅斑が出現し当
子,田中 信(静岡日赤)
科を受診.検査では血小板とフィブリノーゲン値の低
産婦人科の手術後,背部に浸潤のある有痛性紅斑,
下やFDP上昇などのDIC所見,白血球数やCRP値
水庖を認めた7例を報告した.2例は両腫にも皮疹を
上昇などの炎症反応完進かおり,黄疸と腎不全も呈し
認めた.1例は,腰椎麻酔,6例は,全身,硬膜外,
ていた.血液と皮膚組織を培養してLeptospira
inter-
blister(?)のフ例 栗山和
腰椎麻酔の併用麻酔による于術後に皮疹が出現してい
rogansを確認した.
る.腫の浮腫性紅斑部の組織像では,穎粒層に無構造
市販住宅用洗浄剤による化学熱傷 秦 まき,横手
均一物質の沈着,エックリン汗腺の変性,壊死を認め
隆一(国立東静)
た.
63歳女.市販住宅用洗浄剤にて左飯裔,上肢,大腿
結節性ムチン沈着を伴った強皮症の1例 佐野尚
に約20%,
2∼3度の化学熱傷,受傷後洗浄せず,外
子,伏見 操,白浜茂穂,古川福実,瀧川雅浩(浜松
用剤だけで2日間経過した後,当院受診.プレドニン,
医大)
ハプトグロビン3日間投与,皮膚欠損用一時的緊急被
64歳女.昭40年頃発症の強皮症.平8年顔面・頚部
覆材にて約2ヵ月で90%上皮化した.化学熱傷の場合,
に紅色結節病変が,また,帯状庖疹罹患部に一致して
できるだけ早く洗浄することが,進行を食いとめる唯
常色結節病変が出現.組織:表皮液状変性と,真皮内
一の方法と考えられる.
ムチン沈着(ヒアルロン酸主体)を認めた.螢光抗体
小児腹壁遠心性脂肪萎縮症の1例 久松 晃,EE中
では表皮真皮境界部にlgM・Cs
言(静岡日赤)
SLEとのover lapの可能性が疑われ,本例をLEに合
1歳9ヵ月女児.生後8ヵ月頃兄弟が下腹部にのり
併しかムチン沈着と考えた.
遊んでいた.左鼠径部の皮膚陥凹と皮下腫瘤の存在に
母親が気付き,平7年10月整形外科を受診したが消槌
Warty
C,qの沈着をみた.
dyskeratomaの1例 栗田佳知,近藤隆男
(名古屋披済会),原 一夫(愛知医大病理)
せず,翌年8月当科初診した.左鼠径部から下腹部に
75歳男.5ヵ月前より右頚部に腫瘍が出現し祗現
7×5(:m大の陥凹性白色皮膚萎縮局面と周囲の紅斑を
症:直径3mmで淡褐色の皮角状の腫瘍.組織:腫瘍は
認め,リンパ節も触れた.対側にも小さな白色萎縮局
カップ状に陥凹し,中央部は角栓で満たされていた.
があり,皮疹は現在拡大傾向にある.
底部では基底細胞様細胞の絨毛状増殖,隷融解性裂隙,
抗好中球細胞質抗体(C-ANCA)陽性で,多彩な症
異常角化細胞がみられ,ダリエー病に類似していた.
状を伴った血管炎の1例 浦野聖子(遠州総合),大鹿
組織学的にwarty
裕幸,武田祐加子(同内科),荻野哲史(同耳鼻科),
た.
dyskeratomaとして典型的であっ
山下冬樹(浜松医大内科)
最近経験した皮膚科の重症救急疾患 宮 一朗(桂ト
61歳男.労作時息切れ(組織学的には肺胞出血).検
川市立)
尿異常(漏漫性糸球体腎炎),下腿の紫斑(壊死性血管
最近経験しか4例の皮膚科の重症救急疾患と,その
炎),口腔粘膜潰瘍(壊死性変化の強い肉芽組織)が認
処置を紹介した.その内容は,落電の直撃による電撃
められ,C-ANCA(十).
傷,胸部の減張切開を必要とした重症熱傷,
Wegener's
granulomatosis
Dieを合
疑い例と考え,ステロイド剤と免疫抑制剤の併用療法
併し広範囲デブリードマンを要した壊死性筋膜炎,冠
を行い経過良好.
動脈閉塞を合併したアナフィラキシーショックであっ
アプレース⑥,アルタット⑨,アルダクトンA⑧によ
た.
る膿癒型薬疹の1例 内藤静夫(国立熱海)
静岡県における皮膚癌統計調査―浜松医大皮膚科関
65歳女.アプレース⑧,アルタット⑧,アルダクトン
連施設による情報収集の試みー 橋爪秀夫(沼津市
A⑥内服薬1ヵ月後に略全身に膿庖性紅斑が出現.入
立),瀧川雅浩(浜松医大)
院時微熱,好中球増多を認め,病理組織では角層下に
平8年4月より平9年1月までに初診しか確定診断
263
静岡地方会第58回例会
のついた皮膚癌患者登録を,静岡県下の皮膚科施設に
の1例 谷口章雄,田中 信(静岡日赤)
おいて行った.インターネットホームページによる情
58歳女.臍ヘルニアの疑いで平8年9月10日皮膚科
報収集の方法を用いた.
sec.日光角化症,
BCC患者
の居住分布は,県下西部,中部,東部で平均的であっ
を受診した.臍部皮膚に黄色の結節2個とその周囲に
毛細血管拡張,鱗屑,痴皮を認めた.内臓癌の臍転移
たが, Bowen病,リンパ腫,黒色腫患者は偏った分布
と診断し,結節部上り生検した.病理組織像は腺癌で
傾向を示しか.
あった.後口内視鏡検査にてBorrmann
水痘様外観を呈した石灰化上皮腫 岸本 浩,勝俣
発見した.下部食道への浸潤と腹膜播種を認めた.
道夫(伊豆逓信)
皮下腫瘤で発見された原発性肝癌の1例 寺内雅
14歳女児.約1年半前に気付く.左頚部に小指頭大,
美,高浜宏光(沼津市立形成)
淡紅褐色弾性硬の結節,直下に示指頭大の硬い皮下結
82歳男.主訴:約3ヵ月前より出現してきた右側胸
3型の胃癌を
節.腫瘍塊の組織は典型的.直上にリンパ管拡張様の
部皮下腫瘤.血液検査ではHb
構造を伴った真皮の著明な浮腫像.過去7年間に当科
731,
で経験した石灰化上皮腫21例中,水庖様外観を呈した
HBS抗体・HCV抗原,
ものは4例で,部位は上腕2例,頚部2例であった.
右側胸部前鋸筋上に腫瘤陰影.組織所見では腫瘤は大
trichoblastomaの1例 南 朝陽,平井さと子
型の明るい核と豊富な細胞質を持つ細胞と少数の巨細
32歳男.約10年前から左肩に腫瘤が出現.初診時55×
胞からなり,多数の核分裂像が認められた.腹部CT
37mmの境界明瞭,硬い皮下腫瘤がみられた.摘出し
で,肝左葉に10×8cm大の腫瘤陰影.組織は未分化な
た腫瘍は薄い被膜に包まれ,大小の島状の腫瘍細胞巣
悪性腫瘍.術後5ヵ月で永眠.
がみられた.腫瘍細胞は基底細胞様細胞で,胞巣の最
頭皮に生じた直腸癌皮膚転移の1例 遠山京子,荒
外層は柵状配列がみられた.はっきりした毛包,角質
浪暁彦(富士宮市立),古川福実(浜松医大),大久保
嚢腫,脂腺構造がみられなかったことから,
忠俊(富士宮市立外科)
trichoblas-
tomaと診断した.
tumor
10.7,
44,Al-P 254, ZTT
Ht 34.5, LDH
19 と異常を認めたが,
AFPなどは陰性.CT検査で
64歳男.平5年9月外科で直腸癌の高分化型腺癌と
骨破壊を伴い眼高内に浸潤したproliferating
chilemmal
GOT
tri-
の1例 松本博子,小林昌和,安西
診断.平8年5月肺転移,9月当科初診時頭部に弾性
硬,淡紅色の多発する皮下結節を認めた.
CEA,
CA19-
秀美,杉浦 丹(清水市立),行本英生(静岡日赤耳鼻
9高値.組織は真皮全層に管腔を形成した腫瘍細胞の胞
科)
巣を認め,
81歳男.2ヵ月来の左頬部の栂指頭大皮下結節.生
た.初診3ヵ月後に,呼吸不全で永眠された.
検にて真皮深層に外毛根鞘性角化を示す嚢腫を数個認
眸癌患者に生じたnodular
め一部で壁が増殖しsquamous
一,秦 まき(国立東静),尾関 豊(『司外科』
eddiesあるも核異型
CEA染色陽性,直腸癌の皮膚転移と診断し
panniculitis 横手隆
は少ない.腫瘍は頬骨を破壊して眼球近傍まで増殖し
70歳女.約2週間前から両下腿に生じた多数の有痛
眼摘含め拡大切除,上頚部郭清,広背筋皮弁で再建.
性紅斑にて受診.組織:著しい単核球の浸潤と巨細胞
表皮と不連続の嚢腫壁は角化傾向強く生検時同様で
を伴う脂肪織炎.高アミラーゼ血症とCTで膜頭部腫
PTTと診断.本邦報告例中,骨を破壊しかPTTなし.
瘤を認め,手術の結果,豚頭部腺癌であった.アミラー
成人男性の背部に認められた汗腺腫瘍 猿川麻衣
ゼは術後正常化し,皮疹はやや遅れて改善,3ヵ月後
子,白井滋子,脇田久史,戸倉新樹,古川福実,瀧川
に米粒大結節が2個あるのみであった.
雅浩(浜松医大),松下佳代,井上邦雄(浜松労災)
唾液腺多形腺腫(混合腫瘍)の1例 安西秀美,小
50歳男.1年半程前より背部に生じた皮膚腫瘍を切
林昌和,松本博子,杉浦 丹(清水市立)
除.HE染色で真皮上層に角化傾向を有する腫瘍細胞,
78歳女.30年来の左頬部の鶏卵大,弾性硬,境界明
真皮下層では異型性に富んだ大型の細胞が腺様構造を
瞭な皮下腫瘤.組織:類円形の核を有する腫瘍細胞の
示していた.腺様の大型細胞はPAS染色,
胞巣状増殖の他,管腔様構造,角化,嚢腫形成,粘液
CEA染色,
S-100染色,ケラチン19染色で陽性所見を示しエックリ
腫様・軟骨様間質など多彩.正常小唾液腺十.
ン腺分泌部の染色性と一致した為本症をmalignant
vimentin十,
clear cell hidradenoma
腺由来の多形腺腫(混合腫瘍)と診断.皮膚科領域で
とした.
臍ヘルニアにて発見しえたSister
Joseph's
nodule
の報告は稀.
CEA
,
WSS
SlOO十,
partial十, SMA-.唾液
264
学 会 抄 録
肩甲骨皮弁にて再建した左旅寓アポクリン腺癌の1
年頃に注射の回しうち,同性愛の既応あり.精査の結
例 永尾圭介,福積 聡(静岡日赤形成外科),田中 信
果HIV抗体陽性であった.個疹は類円形∼隋円形で,
(同皮膚科)
境界は比較的明瞭な赤褐色斑で,長軸は皮膚の割線方
64歳男.9力目前に腫瘍切除するも再発,拡大切除・
向に一致していた.組織学的には,真皮上層に拡張し
リンパ節郭清後肩甲骨皮弁で再建.
た血管腔が増加しており,周囲にリンパ球,形質細胞
AIDSに併発したカポジ肉腫の1例 鈴木和恵,堀
等の浸潤をみとめた.
口大輔(静岡市立),望月敏弘(同血液内科)
特別講演:レックリンハウゼン病について 新村隣
34歳男.体幹・四肢の赤褐色斑を主訴に受診.平4
人(慈恵医大)
静岡地方会第59回例会(山梨・静岡合同地方会)(平成9年7月5日,静岡市)
表皮角化細胞のP−カドヘリン発現 脇田久史,古川
子を同定した.アクチビンは軽度増殖抑制活性を示し,
福実,瀧川雅浩(浜松医大)
デスモグレイン1の発現を充進した.これらのシグナ
正常ヒト表皮ではP−カドヘリンは基底細胞層に限
ル伝達に関与する受容体,及びシグナル分子である
局して発現しているが,慢性湿疹性病変表皮肥厚例で
Swad群の作用を検討した.
は全層にわたって発現が認められた.尋常性乾癖では
T細胞活性化におけるCD82の機能解析 柴垣直
正常表皮と同様な発現パターンを示しか.また培養表
孝,島田具路(山梨医大),花田賢一,涜田洋文(癌研
皮角化細胞での,P−カドヘリン発現レベルは種々のサ
分子生物治療)
イトカイン,特にT細胞の分泌するIL4やIFN-yに
T細胞が抗原提示細胞を介して活性化する際,両細
より変化した.
胞上に発現するCD82が重要な役割を担っていた.こ
マウスラングルハンス細胞(LC)の抗原提示能に与
の時CD
えるロキシスロマイシン(RXM)の影響 大島昭博,
vityを示すと共に,
戸倉新樹,脇田久史,古川福実,瀧川雅浩(浜松医大)
sionにも関与していた.これらよりCD82はinside-
LCのスーパー抗原及びハプテン提示能,
out, outside-in signaling のcrosstalkerとして機能し
MHCクラ
82はintracellularにはcostimulation
intercellularにはcell-cell
スU分子発現,Iレ1β産生はLCを予めRXMととも
ていることが示唆された.
に培養することで抑制された.このことはRXMが,
表皮におけるWnt遺伝子の発現について 斎藤
抗菌作用のみならず,免疫変調作用をも合わせ持つこ
敦,島田旅路(山梨医大),
とを示し,呼吸器系を中心にいわれている同剤の抗炎
我々はC57BL16マウス表皮RNAを使用し,
Mark.C.Udey
症作用が皮膚についても起こり得ることを示すと考え
PCR法にて表皮よりWnt-4及びWnし12遺伝子をク
られた.
ローニングした.さらに,
マウスラングルハンス細胞におけるFas-FasLによ
より,これら遺伝子の発現をメッセージレベルにおい
るアポトーシス 川村龍吉(山梨医大,順天人免疫),
て確認した.
東 みゆき(国立小児病院研究センター免疫),八木田
成人still病の1例 加藤陽一,羽渕知可子,内田雅
秀雄,奥村 康(順天大免疫),島田波路(山梨医大)
之(安城更生),牧 由美子(同内科)
マウスラングルハンス細胞におけるFas抗原の原
57歳男.初診2ヵ月前より,顔面,四肢,躯幹に紅
理と機能的役割について検討した.
斑が出現し,発熱,四肢の関節痛も伴った.初診時,
アクチビンAの角化細胞分化誘導活性一レセプ
顔面に解熱時にも消退しない褐色斑がみられたが,そ
RNase
actiadhe-
(NIH)
RT-
Protection assay に
ターとシグナル分子の検討 清水 顕([LI梨医大,癌
れ以上に定型疹も認め,山口らによる成人Still病の診
研生化],加藤光保恥1宮園浩平(癌研生化),島田餌路
断基準をみたした.プレドニゾロン1050mg内服に
(山梨医大)
て,臨床症状,検査値の改善をみた.
アクチビンはTGF-βスーパーファミリーに属し,
SCCの経過中にイレウス症状を伴ったアナフィラ
様々な細胞に多彩な作用を示す.アクチビンの角化細
クトイド紫斑の1例 飯田玲子,秋山千恵,古橋正男,
胞に対する機能を検討しそのレセプターとシグナル分
椙山秀昭,内田 玲,塚本克彦,島田舞路(山梨医大)
265
静岡地方会第59回例会
65歳男.左下腿SCCにて当科入院中,両下腿に紫斑
フィーを行い画像学的な評価を行った.
出現.組織学的にアナフィラクトイド紫斑と診断した.
広範なデブリードマンにより救命し得た壊死性筋膜
その6日後より腹痛出現.内視鏡にて胃・十二指腸に
炎1例 三枝恵美,秋山千恵,林 暁,内田 玲,
炭爛,IFにて垣Aの沈着を認めたためΛPを伴う消
塚本克彦,島田員路(山梨医大)
化器病変と考えた.悪性腫瘍とAPとの合併例は報告
54歌女.う歯に伴い両頭部,胸腹部に発赤腫脹を認
例は少ないが,AP出現後にSCCの多臓器転移がみつ
め,皮下ガス像,稔発音をみる.
かったことから何らかの関連があるのではないかと考
自己脂肪注入による豊胸術後の脂肪壊死の1例 内
えている.
田 玲,島田海路(山梨医大)
lipodermatosclerosisを生じたシェーグレン症候群
38歳女.初診の約5ヵ月前に両下肢より吸引した脂
の1例 伊藤泰介,樫井みち代(県立総合)√藤田 弘
肪細胞を両側乳房に豊胸目的にて注射された.その後
(国立東静)
同部の圧痛,皮下硬結が出現し,さらに3ヵ月後乳房
45歳,女.初診2ヵ月後より左下腿に疼痛伴う紅斑
の著明な腫脹を認め,内部より壊死した脂肪細胞を含
が出現していた.組織よりlipodermatosclerosisと診
む黄褐色調の漿液を約800ml排出した/下床の弾性硬
断し,抗トロンビン薬投与にて軽決した.なお初診1
の組織は脂肪織炎像を呈し,炎症症状の消退とともに
年前より口腔,眼の乾燥感があるため精査したところ
縮小した.
シェーグレン症候群の診断基準を満たした.シェーグ
巨大皮角の1例 原田和俊,長田 厚,内田 玲,
レン症候群に伴う皮膚症状について考察した.
塚本克彦,島田海路(山梨医大)
特異な臨床像を呈したサルコイドーシスの1例 泰
91歳男.頭頂部の2.6×2.4×3.5cm大の巨大な皮
まき(国立駿河),藤田 弘(国立東静),小嶋俊一(同
角.組織:U字状に増殖した表皮と厚い角質層,
内科),横手隆一(国立高崎)
chilemmal
44歳女.平7年BHLと虹彩炎よりサルコイドーシ
小不同,異型性のある腫瘍細胞が真皮内に浸潤.悪性
スと診断.同年8月より前頭部,平9年2月より外陰
変化をきたしたtrichilemmal
部に鱗屑,痴皮,軽度座禅を伴う浸潤性紅斑が出現.
辺縁よりkm離し骨膜上での切除,全層植皮を行っ
horn と診断した.腫瘍
臨床上尋常性乾癖に類似していたが,病理組織像では
た.
典型的な乾癖の所見はみられず,真皮に非乾酪性肉芽
表在性皮膚脂肪腫性母斑の1例 寺内雅美(沼津市
腫がみられた.以上の結果より乾癖様皮疹を呈したサ
立形成)
ルコイドーシスと診断した.
46歳男.表在性皮膚脂肪腫匪母斑の典型例.生後2
両側肘需採血部位の結節より診断しえたサルコイ
∼3歳頃より左愕部内側に正常皮膚色,弾腫軟の扁平
ドーシスの1例 小林昌和,永尾圭介,松本博子,杉
に隆起した皮膚腫瘤か多発性に出現し徐々に隆起して
浦 丹(清水市立)
きた.組織は真皮浅層から皮下に脂肪細胞の増殖を認
58歳女.1年前より閉塞性細気管支炎,気管支拡張
めた.
症.6年前より採血部位に一致して紅色結節が出現し,
dysplastic
自然消退していた.3週前より両側肘裔に紅色結節が
赤須玲子(東京ブリティッシュクリニック)
再発.病理は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫.サルコイドー
55歳白人男.3ヵ月前より左大腿部に径5mm大の褐
シスを疑い,
色斑が存在.組織学的にdysplastic
TRLBを施行したところ非乾酪性類上皮
細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断.
tri-
keratinization を認めた.また,一部で大
nevus,その意義−病理学的立場から
nevus と診断.既
往歴,家族歴にメラノーマはなく単発型であった.山
基底膜部にC,沈着を認めた痰癖の1例 ニンデ
梨医大H年間の色素性母斑中,DNは約4%を占め絶
ル・マーギット,玉木 毅,大河内仁志,菊地かな子,
対数として多いと言える.DNより発生するメラノー
古江増隆(東大分院)
マの相対的危険率は殆んど無視でき,相方の間には家
5!歳男.略全身に痴皮と鱗屑を伴う紅斑及び水庖,
族歴が重要といえる.
膿庖出現.趾間より虫体検出.
多発性石灰化上皮腫 田中正人(浜岡町立),佐地良
雪山遭難による凍傷の1例一病態把握のための画像
文(桂ト川市),戸倉新樹(浜松医大)
学的評価を含めてー 関塚敏之,橋瓜秀夫(沼津市立)
28歳女.初診6年前より頚部に3ヵ所,左上腕に1
33歳男.雪山で遭難し,凍傷を受傷.シンチグラ
ヵ所の皮下腫瘤を自覚しか.病理組織上多発匠石灰化
266
学 会 抄 録
上皮腫と診断した.腫瘍の一部にbasophilic
状配列を呈したtrichilemmal
cell が楯
cyst様の組織像が認め
られ,嚢胞構造を持つ特殊型と考えられた.尚,患者
1例みられ,他臓器の合併症についてできる限り検索
することがのぞましいと再認識する結果となった.
arteriovenous
hemangioma
の1例 長田 厚,塚
に筋緊張性ジストロフィーの合併や家族内発症はみら
本克彦,島田員路(山梨医大)
れなかった.
74歳男.初診平9年3月18日.現病歴:左頬部に以
infantile perianal pyramidal
protrusionの1例
前より小結節存在.剃毛中に同部を傷つけ出血するも
久松 晃,田中 信(静岡日赤)
止血できないため当科受診となる.現症:左頬部に小
11ヵ月女児.初診平9年5月2日.現病歴:母親が
豆大,弾性軟の暗紫調小結節存在.組織:真皮上層か
2ヵ月前に肛囲の舌先端様突起物に気付いた.現症:
ら中層にかけ動脈様,静脈様血管の増生を認めた.
肛門部12時方向に淡紅色で表面平滑,紡錘形で逆舟形
EVG染色にて動脈様血管壁に内弾性板様の構造は認
の弾性軟の腫瘤がみられた.小児科医は
メPPでなく
めなかった.
肛門垂と言っている.治療・酸化亜鉛・ペントナイト
頭皮に転移した転移性皮膚癌の2例 遠山京子,荒
の等量混合パウダー外用と清潔保持より縮小傾向にあ
浪暁彦(富士宮市立),古川福実(浜松医大)
る.
症例!,64歳男レ直腸癌診断3年後に頭皮に転移.
当院を受診したプリングル病の6例 猿川麻衣子,
組織:直腸は高分化型腺癌,皮膚は中分化型腺癌.症
本村 正,堀口大輔(市立静岡),井上邦雄(浜松労災)
例2,
過去10年間に当科を受診した6例の症例について報
型腺癌.転移性皮膚癌を疑い全身を検索.肺生検の組
告した.全例が顔面の皮疹を主訴に受診しており,3
織は低分化型腺癌で原発性肺腺癌と診断.以上,原発
主徴のうち痙摯,知能発育障害を認めない症例は1例
巣と皮膚転移巣の組織学的分化度の相違について考察
のみだった.巨大な腎細胞癌を合併し死亡した症例も
した.
55歳男.主訴:頭皮の腫瘤.皮膚生検で高分化
静岡地方会第60回例会呼成9年9月27日,三島市)
acne fulminans
4歳女児.高熱,嘔吐,下痢,腹痛と共に四肢に米
の1例 遠山京子,荒浪暁彦(富士
宮市立),古川福実(浜松医大)
粒大∼小豆大の紅斑が出現した.川崎病,狸紅熱,マ
40歳男.平9年6月1日,顔面に膿庖が出現.6月
イコプラズマ等のウイルス感染症を疑った.初めの発
2日,上半身に拡大,39度合に熱発し,当科を受診,
疹が消槌後,下腿に結節性紅斑が出現し,エルシニア
入院.組織は,毛包内と毛包周囲に好中球が浸潤.ミ
感染症が強く疑われたが便培養陰性,血清抗体価の上
ノマイシン投与に反応せず,
CRP
12.2と上昇.
PSL 60
mg/日投与し,翌日には解熱し,4日後にはCRP
と低下しか.膿庖は,潰瘍化,癒合傾向を示し,色素
0.7
昇は認められなかった.
カポジ水痘様発疹症における細菌培養結果の統計と
検討 三沢淳子,影山葉月,戸倉新樹,白浜茂穂,古
沈着と癩痕を残して略治した.
川福実,瀧川雅浩(浜松医大)
BL型ハンセン病の1例 秦 まき,江川勝上(国立
平8年4月から平9年8月までにカポジ水痘様発疹
駿河療養所),藤田 弘(国立東静)
症と診断された18例の皮疹部の細菌二次感染の状況,
23歳女,フィリピン入.5年前より背部に脱色素斑,
末梢血好酸球数の変化について検討した.18例中16例
3ヵ月前より顔面に環状紅斑,前腕に皮下結節多数あ
から黄色ブドウ球菌が検出された.
り,いずれも知覚低下を伴う.両側尺骨神経肥厚.6
との間,抗生剤使用の有無で治癒期間に明らかな違い
ヵ所菌検査施行し全て陽性,菌塊もみられた.病理組
は認められなかった.また,罹患中に末梢血好酸球数
織学的検査では真皮に組織球中心の細胞浸潤みられ,
の優位な低下が認められた.
一部肉芽形成あ‰抗PGし1抗体陽性.以上の結果よ
りBL型ハンセン病と診断した.
鈎虫によるcreeping
MRSAとMSSA
diseaseの1例 小出まさよ
(浜松日赤),白井滋子(浜松医大)
エルシニア感染症の1例 羽根田 牧,堀口大輔(静
2歳男児,日系ブラジル3世.ブラジル帰省中より
岡市立皮膚科),東 卓司(『司小児科』
右脊部に紅色丘疹が出現.放置したところ2週目頃よ
267
静岡地方会第60回例会
り蛇行性腺状皮疹が認められてきた.母親がブラジル
組織で表皮上層に水庖形成を認め,ステロイド内服に
での一般療法という氷にての冷却を試みていたが皮疹
て寛解しか.
1977年から1997年までに当院で経験した
は延長してきた.虫体は検出されなかったが経過より
41例の天庖疹とその関連疾患を臨床的に検討した.尋
ブラジル鈎虫によると考えられた.
常註22例,落葉状13例,増殖14,
Turner症候群に合併しダイエットを契機に皮疹の
下膿痢症がそれぞれ1例,尋常性から落葉状に移行し
nerpetiform型,角層
増悪をみた膿庖性乾癖の1例 森口八重子,影山葉月,
た2例があった.
脇田久史,戸倉新樹,白浜茂穂,古川福実,瀧川雅浩
呼吸不全を合併した皮膚筋炎の1例 東芝輝臣,大
(浜松医大)
島昭博,戸倉新樹,白浜茂穂,古川福実,瀧川雅浩(浜
26歳女.4歳時Turner症候群の診断をうける.核型
松医大),松本賢太郎(静岡県立総合)
は45X0.
51歳女.初診2ヵ月前より近医にて皮膚筋炎に対し
6歳で尋常注乾癖の発症,17歳頃より膿庖性
乾癖への移行を認めた.レチノイド,シクロスポリン
てプレドニゾロン内服していたが自己判断にて内服中
などの使用により軽決,増悪を繰り返していたが,ダ
止し,症状増悪.入院時糖尿病,ケトアシドーシス,
イエットと感冒を契機に皮疹の増悪を認めた.メソト
敗血症,
レキセートの使用により改善を認めた.
メチルプレドニゾロンパルス療法にて症状改善し現在
Streptococcus
減量経過観察中.予後について文献的考察を加え,報
intermediusによる壊死性筋膜炎の
Die,著明な浮腫と呼吸不全を合併していた.
1例 青木 礼,鈴木健司(市立島田市民),岡山英世
告した.
(同形成外科),加藤五十六(同内科),戸倉新樹(浜松
精神症状を伴った皮膚筋炎の1例 小楠浩二,冨田
医大)
浩一(榛原総合),白井滋子,古川福実(浜松医大),
87歳女.糖尿病の既往がある.右腰背部の発赤,腫
石川真澄(榛原郡),村上直人(榛原総合精神神経科)
脹を主訴に来院.ガス産生を伴う,壊死性筋膜炎と診
25歳男.平5年2月より皮膚筋炎と診断され,経過
断.膿汁,血液より,
Streptococcus intermedius
が検
観察.同年8月より多弁,多動,退行状態が出現.抗
出され,原因菌と考えられた.病初期にDie,敗血症,
精神病薬の投与にても安定せず,プレドニソロン30
脳梗塞を合併したが,抗生剤投与,デブリードマン,
mg/D投与により,精神症状,皮疹ともに軽既以後,
全身の輸液管理にて救命しえた.
精神症状と皮疹がほぽ並行し緩解,増悪がみられた.
コレステロール塞栓症の1例 満開照之(名大),栗
(当症例は,第146回東海精神神経学会にて報告された
田佳和(名城),近藤隆男(名古屋植済会)
症例と同一である.)
70歳男.平8年6月23日心筋梗塞にて名古屋液済会
脛骨前粘液水腫の1例 山秋孝子(修善寺クリニッ
病院に来院し,心臓カテーテルを行った.その後腎機
ク),勝俣道夫(伊豆逓信),杉本正毅(田方医療内科),
能の悪化と両足趾に有痛性の紫紅色斑が出現し7月24
松本俊彦(田方医療外科)
日皮膚科受診,皮膚病理組織において小動脈で紡錐形
61歳男.打撲部より始まり,両下腿仲側に多発性結
に抜けた裂隙を伴う塞栓像が認められ,コレステロー
節出現. TSH低値,
ル結晶塞栓症と診断した.
抗体高値.組織は典型的より甲状腺機能完進症に伴っ
クロロフィル配合化粧品の長期使用によると思われ
た脛骨前粘液水腫と診断.抗甲状腺剤,ステロイド外
る日光過敏性皮膚炎 橋爪秀夫,関塚敏之(沼津市立)
用剤にて3ヵ月後に皮疹は消退.
38歳女.アトピー性皮膚炎のため病院を転々として
体も現在低下している.
いた.4年前より顔面の皮疹が増強し,ステロイド外
角層中にPityrosporum
用剤を自己中止し,急激に増悪.露光部の皮疹が顕著
性細網状乳頭腫症の1例 津嶋友央,大島昭博,白井
なため,日光過敏性皮膚炎を疑い,使用しているクロ
滋子,脇田久史,戸倉新樹,古川福実,瀧川雅浩(浜
ロフィル配合化粧品でフォトパッチテスト陽性.使用
松医大)
化粧品の中止と遮光にて皮疹は軽快.
18歳女.項部・肘窟・腹部に黒褐色色素沈着を伴う
落葉状天趨療の1例―当院における20年間の天抱懐
網状乳頭腫状局面を認め,融合性細網状乳頭腫症と診
の統計的考察を含めてー 芳田紀子,大島昭博,白浜
断された.角層中にPityrosporum
茂穂,古川福実,瀧川雅浩(浜松医大)
高アンドロゲン血症を示し,本症例は角化異常皮膚素
57歳男.初診1ヵ月前より躯幹部に麿爛出現.生検
因にPityrosporum
FT3,
FT4高値,
TSHレセプター
TSHレセプター抗
orbiculareを認めた融合
orbiculare を認め,
orbiculareが誘因となって発症し
268
学 会 抄 録
たと考えられた.さらに黒色表皮腫との鑑別について
作の出現をみた.発作出現の機序としては,乳児期に
検討した.
気管支喘息の既往があったことに加えて,
sebaceoma
(sebaceous
epithelioma)の1例 早川
用の1て)とされるvascular
leak
IL-2の副作
svndromeが気道粘
雄次,勝俣道夫(伊豆逓信),青名畑美幸(同臨床検査
膜に生じたためではないかと推察される.
科),山秋孝子(修善寺クリニック)
前胸部に出現した乳癌の1例 永尾圭介,小林昌和,
7!歳女.10年程前より右鼻翼部の6×6×3mm大の半
松本博子,杉浦 丹(清水市立)
球状に隆起した樟黄色調の小結節.組織:腫瘍細胞の
85歳女.7年前胸部打撲後生じた径18×16mm暗紅
大部分は基底細胞様細胞からなるが,成熟脂腺様細胞,
色腫瘤,周囲に23×25mmの紅色提防状隆起.組織:
脂腺導管様の管腔,
真皮上㈲∼皮下織にかけて腫瘍細胞の増殖,管腔構造,
germinative
cell様の細胞も認め
た.成熟脂腺様細胞は免疫染色にてEMA陽性,電顕
強い縁組化を認めた.表皮内に明るい泡沫様の細胞質
にて細胞質内に大小多数の脂肪滴を認めた.
を持つ細胞の浸潤を認めいわゆるパジェトイド現象を
漢方薬が奏効したnecrobiosis
呈した.
lipoidicaの2例
桜井みち代,仇見 操,松本賢太郎(静岡県立総合),
穎粒細胞腫の1例 柴山久代,近藤隆男(名古屋放
伊藤泰介(浜松医大)
済会),満開照之(名大),原 一夫(愛知医大病理)
リポイド類壊死に漢方薬の随圧投与を行った.症例
49歳男.初診10日前に,背部の皮下腫瘤に気づいた.
1,
78歳女.発症は10年前.左下腿の手掌大の萎縮性
腫瘤は,弾性硬,俯卵大で,皮膚と癒着し,下床と可
局面に大黄牡丹皮湯を投与した.1年後ほぼ治癒し旭
鯵比があった.被覆表皮は,常色正常であった.腫瘤
症例2,
は全摘しか.病理組織は,腫瘍細胞は大型で,類円形
67歳女.7年前に発症.左下腿に約2cm大の
病変が3個ある.加味逍遥散投与6ヵ月で著明に改善
∼不整形,エオジン好性穎粒を有する.PAS染色,S100
した.2例とも糖尿病の合併はない.
蛋白染色陽性より,順粒細胞腫と診断した.
yIL-2局所投与により喘息発作を発症した悪性血管
両側性多発型nevus lipomatosus cutaneus
内皮細胞腫の1例 青島有美,影山葉月,戸倉新樹,
superficialisの1例 関塚敏之,橋爪秀夫(沼津市立),
白浜茂穂,古川福実,瀧川雅浩(浜松医大),橋爪秀夫
松本賢太郎(静岡県立総合),富田浩一(榛原総合)
(沼津市立)
26歳女.腰部に両借│生に広皆けの腫瘤が帯状に配列.
67歳女.頭部の悪性血管内皮細胞腫に対してylし2
生検にて真皮全層に異所性の脂肪細胞の集塊を認め
の局所投与を行なったところ,投与数時間後に喘息発
た.
東北地方会第293回例会円成8年2月18日,仙台市)
表皮細胞由来endothelin-
1のメラノサイト樹状突
起形成に与える影響 原 正啓(東北大),
B.A.Gil-
する効果 松村宜子(仙台社会保険),加藤泰三(東北
大)
chrest (ボストン大),田上八朗(東北大)
透析患者の皮膚癈庫症17名,帯状庖疹後の痛み庫み
表皮細胞(KC)は,種々の因子を分泌することによ
5例,肥厚性癩痕,ケロイドの痛み痛み5例,その他
り色素細胞(MOの生理活性に影響を与えている.
含め合計47名に0.025%カプサイシン軟膏を外用した
endothelin-1 (ET山もその1つであり,MCの増殖,
ところ,有効,やや有効合わせて56%,局所の刺激感
メラニン色素の増加に関与していることが報告され
などの副作用中上例は24%であった.局所の刺激感は
た.今回の実験で,培養MCにET-1を添加すると濃度
強いものの難治な症例に対しても一定の効果を認めた
依存性にMCの樹枝状突起が誘導された.また,紫外
のでセカンドチョイスとして有用であると考える.
線を照射したKC培養調整培地も同様に樹枝状突起を
討 論
誘導するが,抗ET-1抗体を添加すると,突起形成が抑
角田孝彦(山形市立):当科でもPHNと透析の癈庫
制された.これらのデータより,
ET-1はKC由来の
にカプサイシン軟膏を試みている.0.025%で刺激が強
MC突起誘導因子の1つであると言える.
い人には0.01%にしていい人もいる.
カプサイシン軟膏の各種癌摩性及び疼痛性疾患に対
透析患者の摩みに対する外用PUVA療法の検討
269
東北地方会第293回例会
上杉恭弘,熊坂 中(公立気仙沼),松村宣子(仙台社
質に溺漫性に認められ,角層に近づくにつれて穎粒状
会保険),田上八朗(東北大)
に変化していた.これとは別に,ユビキチンの免疫反
内服,軟膏療法共に無効であった庫みを訴える透析
応は,基底層の細胞分裂期にある細胞に,強く禰漫性
患者13人に対し外用PUVA療法を行い,その効果を
に認められた.
検討した.初回0.1J/cm2,毎回0.05J/cm2ずつ漸増しな
尋常性乾癖の病態形成に関わる表皮の発現因子 尾
がら,週3回,4週間加療し,著効9例,有効2例,
山徳孝,二瓶義道,岩月啓氏,金子史男(福島医大)
無効2例であった.比較的有効既が高く,取扱が容易
目的:炎症性サイトカインの1つであるIL-6が表
でありUVB照射に比べ安全性も高いこと,を考える
皮角化細胞の増殖に及ぼすメカニズムを検討した.方
と積極的に試みる価値のある治療法であると思われ
法:乾癖患者由来の末梢血単核球のIL-6産生量を
た.
ELISA法にて測定し,乾癖患者病変部皮膚で産生され
癩風の再発し易い原因について 牧野好夫(仙台市)
たIL-6をin
疾風は近年の抗真菌剤が卓効を奏し,以前より再発
検討した.またin
が少くはなかったが,まだまだ多い.その理由は恥丘
におけるproliferating
situ hybridization 法,及び免疫染色にて
vitro でIL-6刺激した表皮角化細胞
cell nuclear antigen (PCNA)
など高頻度に存在する病巣を見落し易く,残る菌によ
の発現,及びその増殖をBrd-Uの取り込みで測定し
ると考えていた.今回本症患者の菰毛のパーカーイン
た.結果:乾癖患者の末梢血単核球と病変部表皮細胞
クKOH標本で,毛球部・毛幹に多数の菌要素を確認し
は健常人に比べて過剰のIL-6を産生していた.また
た.外用療法で菌陰転まで60∼130日以上を要する例加
IL-6はin
多かった.皮疹の消腿と鱗屑の菌陰転を目標として2
現と増殖を充進させた.結論:乾癖患者の末借血単核
∼3週で治療中止するため,毛球部に残る菌により再
球,及び表皮角化細胞自身から過剰に産生されたIL-6
発すると考えた.
は, PCNAなどのcell
討 論
導するとともに,表皮角化細胞の増殖に直接関与して
金子史男(福島医大):疾風菌が病原性を発現すると
いることが示唆された.
いうことは,カンジダ菌と同様に菌糸状に増殖すると
表皮にBowen病様変化を伴ったMerkel細胞癌の
いうことか.
1例 今泉 勤,加藤哲子,三橋善比古,近藤慈夫(山
牧野好夫:無疹部の義毛にも,毛球部に多数のマラ
形大)
セチアの胞子が集族,毛の伸長とともに角居迄上って
81歳女.初診の1年前より左頬部に紅色の腫瘤が出
来て菌糸性の発育をおこし病原性を発揮するのであろ
現し,徐々に増大してきた.組織:表皮の一部に極性
う.
を失った大型の異型細胞が増殖し,その直下の真皮内
皮膚疾患患者の手背(3例),足背(3例)で観察し
に類円形の核を持つ小型の細胞から成る腫瘍巣が存在
たる汗腺の所見について 大川容根(盛岡市,東大第
した.表皮の変化はBowen病と考え,真皮内腫瘍は免
vitroで表皮角化細胞におけるPCNAの発
cycleに関わる因子の発現を誘
3解剖)
疫組織学的にCK20陽性であり,電顕的に細胞質内有
16歳男,左手背に睨贅.24歳男,右手背部紅斑.69
芯穎粒を認めたため,
歳女,右手背部把贅.24歳女,右足背部疼痛性母斑.
性腫瘍を伴ったMerkel細胞癌について,文献的考察
Merkel細胞癌と診断した.表皮
71歳男,右足背部疵贅.73歳男,左足背部紅斑につい
を行った.
て生検.皮膚で光顕及び電顕で観察した.光顕では6
有較細胞癌を伴った頬部のMerkel細胞癌 杉内利
例共汗腺のlumenが3∼6位でこれ等はアポクリン的
栄子,高橋和宏(磐城共立),望月 衛(同病理),加
と思われた.電顕ではアポクリン時の分泌穎粒が明調
藤泰三(東北大)
及び暗調のものがあった.これ等をみると手背部,足
79歳女.右頬の2cmの紅色,肉芽様の腫瘍.組織:
背部にもアポクリンは存在するものと思われた.
腫瘍塊が真皮深層まで浸潤,一部は角化傾向を示すが,
ラット皮膚におけるユビキチンの局在 佐藤 賢
深層にいくにつれて小型の核クロマチンの濃い細胞が
(岩手医大),和栗 聡,内山安男(:大阪大第1解剖)
不規則巣状に増生.電顕:扁平上皮細胞的な性格を示
ラット皮膚におけるユビキチンの局在を,螢光抗体
す細胞とMerkel細胞の混在を認めた.
法および共焦点レーザー顕微鏡を用いて検索した.ユ
一部陽性を示した.
CK20染色では
ビキチンの免疫反応は,有縁層中層より表層に,細胞
手湿疹での金属(クローム,コバルト,ニッケル)
270
学 会 抄 録
パッチテスト(PT)陽性例について 麻生和雄(米沢
8ヵ月∼1年5ヵ月(平均1年1ヵ月)使用した経過
市)
写真を供覧した.
手湿疹での金属パッチテスト陽性率は12∼24%であ
congenital
る.その意義について⑥病型,⑤systemic contact
麻生和雄(米沢市)
sansitization,⑥洗剤中の金属含有,⑥PT陽性遺伝性
CTAの2症例(18歳女,8歳男児)を報告した.前
について考察した.
者では頭部の帯状強皮症の併発かおる.
cheek
flap で再建した皮膚腫瘍の4例 松永 純,
45歳女大陰唇に発生せる乳頭腫で観察したるアポク
岡田 理,窪m 卓,新滓みどり,富田 靖(秋田犬)
リン腺の所見について 大川容根(盛岡市,東大第3
78歳女,77歳女,70歳男,63歳男の4例.下眼瞼内
解剖)
側または頬部上内側の数mm力ゝら15mm大までの腫
45歳女の大陰唇乳頭藤について生検,切片をとり光
瘍を5mm離して切除後,
顕,電顕で観察した.光顕では腺腫の開犬,電顕では
cheek
cheek Hapで再建した.
flapは古典的な皮弁だが,満足すべき結果を得
triangular
alopecia (CTA)の2症例
分泌穎粒に明と暗調の大きいものがみられたので,ア
て,改めてその有層陸を確認した.
ポクリン腺と思推しか.なお細胞質内には大中小の多
アトピー性皮膚炎と居住環境 木村有子(弘前大)
数のライソソームがみられ一部のものはその中にミト
平6年10月に弘前近郊の小学生1,725人に日本皮膚
コンドリアが侵入した所見あり.
科学会のアトピー性皮膚炎(AD)の診断基準に従い検
平フ年11月下旬から平8年1月上旬にかけて経験し
診を行ったところ,ADと診断された児童の頻度は
た,成人伝染性紅斑患者の10例 真家興隆(鶴岡協立)
12.9%だった.さらに,居住環境アンケート調査及び
最近2ヵ月間に成人の伝染性紅斑の10例を経験し
ダニ抗原に対するスクラッチテスト(523人),パッチ
た.小児に比し,大人の患者では四肢の腫脹,及び関
テスト(240人)を行った.その結果からADの発症要
節症状がより強いとの印象を受けた.平8年は本症大
因に,築後O∼20年の住宅およびカビや水漏れのあっ
流行の年の予感あり.
た住宅が挙げられ,ダユ抗原の関与が示唆された.
討 論
sebaceous
笠井達也(国立仙台):成人例でも小児型の定型疹も
adenomaの1例 安斎直一(県立日本
海)
多い.全身症状は外国の報告では合併例が多い.流行
86歳男.右頬部角化性腫瘍を訴え受診.全摘出にて
年によって症状に差があると思われる.
腫瘍細胞に異型性はなく,典型的なsebaceous
秋葉 弘(仙台市):成人例で典型的皮疹の例は全身
adenomaと思われた.内臓悪性腫瘍の有無については
症状なく検査異常もない.しかるに非定型の皮疹例は,
検索し得なかった.
全身症状(関節痛など),GOT,GPT高値などを伴う
腺癌性変化を伴った陰部Paget病の1例 安斎員
例が多い.
一(山形県立日本海)
真家興隆:自験10例ではトランスアミナーゼ高値例
87歳女.右大陰唇に癈滓を伴う小指頭大の結節を
はなかった.末梢血白血球減少症,分画で異型リンパ
伴った紅斑あり.組織学的には腺癌性変化を伴う陰部
球の出現があった.
Paget病.免疫組織化学的に表皮内Paget細胞と真皮
千代谷成史(青森市):妊婦に対してはどのような指
内の腫瘍細胞を比較.
導をしたか?
討 論
真家興隆:出産予定2∼3ヵ月前に罹患し,死産に
三橋善比古(山形大):真皮内の腺癌は表皮内Paget
至った症例を経験したことがある.胎児奇形,流産,
が浸潤したものと考えるか,または原発巣と考える
死産の危険かおる旨,説明した,奇形については妊娠
か?
5ヵ月になるので,大丈夫だろうと話しか.
安斎直一:このような症例では確かな証拠はない
外陰癌が菌侵入部位となって生じた丹毒の1例 真
が,いくつかの傍証から,表皮内のPaget細胞が真皮
宗興隆(鶴岡協立)
内へ浸潤するものがほとんどなのではないかと思う.
83歳女.初診平7年11月22日,2日前から38°Cの発
androgenetic
熱と下腹部全体におよぶ紅色皮疹あり.診察にて骨盤
alopeciaのミノキシジール・ロー
ション(ML)使用経験 麻生和雄(米沢市)
底に浸潤した進行獣陰唇癌を認め,それに起因した丹
androgenetic
毒と診断.
alopecia 7例(男5,女2)にMLを
東北地方会第293回例会
討 論
62歳主婦.1力片前より前胸部に移動性浸潤性紅斑
加藤泰三(東北大):丹毒様癌(転移)の可能性はあ
出現.青ガエルの生食歴あり.組織像は好酸球性炎症
るか?
性細胞浸潤。ELISA法でプレロセルコイド抗原に強い
真家興隆:抗主剤投与で簡単に臨床症状が消えてい
反応がみられた.
るので,丹毒様癌ではない.
20年間にわたって皮下硬結の出現,消退を繰り返し
転移性皮膚癌の2例 大井知教,高橋和宏,奥山隆
たマンソン孤虫症の1例 木川裕子,小関史朗(市立
平(磐城共立)
秋田総合),高涜正人(同整形外科),石田和人,吉村
63歳男.左栂指根部の2Cm大腫瘤.肺癌皮膚転移と
堅太郎(秋田犬寄生虫)
診断.66歳男.左頭部の浸潤を触れる紅斑性局面.胸
51歳女.20年前より,冷水にひたすと右前腕にかゆ
部X-Pより肺原発を疑い検索中.
みを伴う紅斑が出現し,翌日には消退するというエピ
液体窒素療法後に転移を起こしたと思われる悪性外
ソードを繰り返していた.初診1ヵ月前より皮疹が増
毛根鞘腫 高橋和宏,大井知教,杉内利栄子(磐城共
大,虫体を摘出.
立)
討 論
77歳男.頚部に皮下腫瘤が多発,癌のリンパ節転移
真家興隆(鶴岡協立):この虫は人体内で何年位生き
が疑われ当科を受診.後頭部の2Cmの結節を原発巣と
るものか.
診断.近医での液体窒素療法の既往あり.
木川裕子:最も長期間で36年間という経過をとった
Bazex症候群の1例 板井恒二,鳴海博美,村井孝
症例がある.最近10年間では,10年以上の経過をとっ
弥,馬場貴子,野村和夫,橋本 功(弘前大),木村博
た症例が5例あった.
人(同歯科口腔外科)
無色素性基底細胞癌の1例 松永直子,佐藤俊樹,
37歳男.6年前に下口唇に有蜂細胞癌(SCOあり.
松永 純,河野通浩,富田 靖(秋田犬),加賀谷 永
2年前より顔面・掌脈・前胸部に角化性紅斑出現.精
(横手市)
査にて下顎骨にSCC病巣を認めた.
74歳女.初診平7年6月28日.2年位前より右内眼
特発性『rnレ小板減少性紫斑病(ITP)及び自己免疫性溶
角下方に紅色丘疹が出現した.加賀谷医院受診し,悪
血性貧血(AIHA)を合併した水趨性類天庖m
性腫瘍を疑われ当科を紹介された.初診時,右内眼角
(BP)
の1例 河合敏一,玉井克人,橋本 功(弘前大),石
下方に浸潤を触れる紅斑あり,周囲はやや隆起してい
倉一夫(八戸市民),高見秀樹(弘前大第1内科)
た.生検にて基底細胞癌と診断.全身麻酔下に切除及
45歳男.昭59年にITPを発症し,加療中の昭63年に
び全層植皮術を施行した.また,約8ヵ月前に本人が
BPを併発.平7年にはAIHAを合併.
気付いた,左下腿の米粒大萎縮性紅斑を切除したとこ
immune
multiple auto-
ろ,組織学的に基底細胞癌であった.
syndromeの概念に一致.
塩酸ドパミン点滴静注により,局所壊死を生じたと
Recklinghausen病に合併した多発│生爪甲下グロム
思われる1例 上杉恭弘,熊坂 中(公立気仙沼)
ス腫瘍の1例 岡田 理,河野通浩,窪田 卓,松永
64歳男.右下腿より塩酸ドパミン点滴静注したとこ
純,富田 靖(秋田犬)
ろ3日後から木剤の血管外漏出によると思われる局所
22歳女.幼少時より体幹・四肢にカフェオレ斑,神
壊死が発生した.組織学的に真皮全層にわたる血管内
経線維腫あり.3年前より,左栂指爪甲下に有痛性結
皮の壊死,膨化,及び管腔内に壊死物質が充填されて
節出現,その後同様の皮疹が他の指の爪甲下にも出現
いる像がみられた.抜針したところ壊死巣の拡大はみ
してきた.痛みは冷たい風にあたると増強する.初診
られなかった.壊死巣除去術,再建術を行い経過は順
時,左右計5本指の爪甲下に半米粒大までの紫紅色局
調である.
面を認めた.局所麻酔下に左栂指爪甲下の腫瘤を摘出
乾癖,掌鍍膿庖症と予後の関係 八木英一(秋田日
した.摘出により疼痛は消失.組織は定型的.
赤)
腹部に生じた巨大なBCCの1例 孫 正義(八戸
外用,内服,光線治療とPASI変化,
との一般関係式をgenetic
algorithms
271
pppの改善度
により得た.治
日赤),村上圭子,千葉智恵,森 康記,赤坂俊英,昆
宰市(岩手医大),玉田嗣親(盛岡市)
療の組み合わせのポテンシャルも算出した.
59歳男.以前より右下腹部に黒色斑が出現,徐々に
マンソン孤虫症の1例 石河知之(仙北組合)
拡太降起.初診時80×65×15mmの広基性カリフラ
272
学 会 抄 録
ワー状腫瘤を認めた.組織では充実型,腺様型,嚢朧
た.
型の混合型を示し,手術所見では筋膜への浸潤及び転
タカルシトール外用にて効果のみられた毛孔性紅色
移は認めなかった.
枇糠疹 菊池 智,元木良和,二瓶義道,岩月啓氏,
固定薬疹の1例 竹之下秀雄(白河厚生)
金子史男(福島医大)
21歳女.受診日前日の午後,右大腿部に皮疹が出現
47歳男.約10年前から維持透析中.1年前から全身
した.同日朝と昼に感冒薬(新ルルA穎粒)を内服し
に疸蝉性皮疹が出現した.ステロイド外用に抵抗性の
ていた.同薬の成分内服テストの結果,リン酸コデイ
ため,タカルシトール外用したところ皮疹が軽快した.
ンで陽性.
静脈石の1例 瀬川郁雄,千葉雅子,遠藤直樹(岩
triple extramammary
Paget's disease の1例 小
関 仲,加藤哲子,吉川賢−,三橋善比古,近藤慈夫
手県立中央),冨地信和(同病理)
52歳女.35年来の背部の柔らかな腫瘤が徐々に拡大.
(山形大)
皮下の海綿状血管腫内に大豆大までの乳白色,表面平
74歳男の両飯高,外陰部に発生したtriple
滑で固い結石を多数認めた.結石は血栓からの移行を
extramammary
示した.
Paget's diseaseを報告した.これま
での本邦報告例は26例で稀な疾患と思われる.しかし,
前胸部に生じたsyringocystadenoma
これまで外陰部Paget病と診断された症例の中にtri-
の1例 千葉雅子,瀬川郁雄,遠藤直樹(岩手県立中
pie extramammary
央),佐熊 勉(同病理)
Paget's diseaseが存在している
papiliferum
可能性がある.外陰部病変,飯高病変とも真皮内浸潤
61歳男.数年来,前胸部左側に爪甲大の広基有茎性
を認めた報告はなく,多中心性に発生するものと考え
で廳爛を伴う紅色腫瘤を認める.組織所見はsyrin-
られる.
gocystadenoma
討 論
金子史男(福島医大):triple
papiliferum に特徴的.皮下にアポク
リン腺の増生を伴う.
Paget's dis. では,外
マンソン孤虫症の1例 小篠隆久,吉成 力,赤坂
陰部の腫瘍を切除することにより飯高では自然消退す
俊英,昆 宰市(岩手医大),川中正憲(国立予研寄生
ることがあるので放置しておいても良かったのではな
動物部)
いだろうか.
51歳女.約2年前より右大腿内側に移動比の索状皮
三橋善比古:併存した肢高Paget病が自然消退す
下硬結を有する紅斑局面が出現し,くり返していた.
る可能性はあると思うが確実ではない.組織で病変を
虫体を摘出.抗体価陽性.
確認した以上前癌病変の治療のセオリーとして切除し
lobullar neuroniyxomaの1例 村上圭子,小野寺
た.
英恵,赤坂俊英,昆 宰市(岩手医大)
薬剤性SLEの1例 加藤哲子,三橋善比古,近藤慈
39歳女.3年前より左上腕に淡紅色米粒大の軟腫瘤
夫(山形大),大原香子(寒河江市)
出現.病理所見にて真皮内に粘液を含有する神経系由
67歳男.7年前よりUFT内服バ
紅斑.LBT(オ).ANA1,280倍以上.
抗体ともに(十).抗ヒストン抗体(÷).
来の腫瘍巣(S-100,
sDNA,
dDNA
UFT中止で
軽快.
NSEに陽性)を認めた.
シクロスポリン内服に伴って生じた皮膚筋炎様症状
青山浩明(公立刈田総合)
40歳男.尋常性乾癖でシクロスポリンを服用中,上
深在性エリテマトーデスの1例 馬目英明,出口雅
眼瞼にわずかに紅斑を伴う浮腫と軽度の疲労感,血中
敏,角田孝彦(山形市立済生館)
CPK値の上昇が生じた.内服の中止によりこれらの症
52歳女.上肢・哲部に無痛性の皮下結節加計4個出
状は消失した.
現.生検にて皮下脂肪織炎.その後,手指・顔の紅斑
討 論
と関節症が出現.ステロイド投与により全身症状と皮
金子史男(福島医大):本症例は筋生検を行なって筋
下結節が改善.
炎の症状をみているのか.
掌錯角化症に合併した悪性黒色腫の1例 折笠玲
青山浩明:上肢の挙上困難,階段の登りの困難など
子,犬塚幹夫,佐藤守弘,金子史男(福島医大)
典型的な筋症状はなく,軽度の疲労感を訴える程度で
61歳女.掌歎角化症で他医で加療されていた.1年
あった.
前より左足底に順爛を伴う黒色隆起性病変が出現し
多発lt皮膚腫瘍の1例 小幡正明(塩釜市)
273
東北地方会第294回例会
74歳男.左上肢仲側にpagetoid
Bowen病,基底細
斑が多い印象をうけた.
Dieによると思われる.
胞癌,ミペリ型汗孔角化症などが多発.60年前に枇素
の治療を併せて行った.
剤投与の可能性がある.組織像,
痰癖の2例 牧野好夫(仙台市)
epiluminescence
microscopy所見を供覧した.
福祉関連の2つの学校の学生が,実習を行った老人
M.
施設で,介護した老人から感染したと思われる女性2
canisによる体部白癖の家族(2家族)内発生例
清野みき,岩崎 雅(桜井),鷹情研一(水沢市)
Die
例を報告した.第2例は疹癖虫陰性だったが,接触が
31歳母,8歳娘.母の乳房下及び娘の顔面に類円形
あった婚約者に陽性.
で鱗屑を付着する紅斑出現.鏡検上真菌陽性.隣家に
dermoid
同症あり.隣家の飼い猫よりの感染と考えた.
13歳男児.1歳時に右眉毛外側部の腫瘤に気づくも
多発│生皮膚平滑筋腫の1例 佐藤 俊,高畠有理,
放置.
小川俊一(山形県立中央)
異物肉芽腫を認めた.
63歳男.数年前から略全身に小豆大,暗赤色,弾性
giant cell tumor
硬,表面平滑な圧痛を伴う腫瘤多発.組織で,真皮内
山忠昭(仙台市立)
に交錯する線維束の増生.大腸ポリープ合併.
54歳女.3ヵ月前より右中指,中節の屈側に硬い腫
色素性摩疹の1例 高畠有理,佐藤 俊,小川俊一
cyst 榊原章浩,藤山忠昭(仙台市立)
2cm大の典型例.エックリン汗腺,毛に対する
of tendon
sheath 榊原章浩,藤
瘤が出現.組織球様細胞,線維芽細胞を認めた.
(山形県立中央)
PL穎粒⑧による多発│生固定薬疹の1例 千釜理佳,
19歳女,事務員.4年前より背,胸に癈椋性紅斑,
細川倫子,宮爆偵二(仙台逓信)
丘疹,色素沈着.臨床組織典型像.糖尿病,ダイェッ
ト歴はない.尿中ケトン体陰性.貼付試験末施行.
53歳男.透析治療中.初診10ヵ月前から肘部の紫褐
DDS
無効.
色斑に気づき口唇,体幹,四肢,外陰部に多発するよ
うになった.感冒のつどPL穎粒を服用していた.内服
ツツガムシ病 笠井達也,大河内亨子(国立仙台),
テスト陽性.
佐藤幸子(蔵王町),佐藤 功(国立仙台内科)
Becker母斑上に発生したBowen病の1例 本田
52歳女.宮城県蔵王町在住.平7年5月山菜探り後
元子,鈴木利明,工藤和浩,田上八朗(東北大)
発症.左肘に刺し口.悪心嘔吐,高熱,播種状紅斑,
39歳女.20年前より左肩にBecker母斑かおり,約2
DICあり.抗体価IgM
年前にその中央部に痴皮を伴う赤褐色斑が出現した.
;l,280X,
IgG : 10,240χ.ミ
ノサイクリンにて軽快.
組織像力ヽらBowen病と診断した.
討 論
陰茎縫線嚢腫の1例 井口牧子,照井 正,田上八
真宗鯛蜃(鶴岡協立):山菜とりから帰った時点で左
朗(東北大)
腕には皮疹があった由,どの様な皮疹であったか.
53歳男.10年以上前より包皮縫線部に皮疹が出現.
鈴木長男(平鹿総合):DICの治療を施行したのか,
その後拡大し,直径15mmの球状・緊満性の結節となっ
どうか?
てきたため切除.病理組織学的に木症と診断.
笠井達也([司立仙台]:(真宗先生へ)本人が何日に
追 加
刺し口に気づいたか明らかでない.第1日目とした方
菅原良徳(東北大):26歳女と21歳女のそれぞれ躯幹
が時間的経過は合致する.小膿庖力寸中心にある紅斑で
左側と下顎部・頚部の右側に細かい淡褐色斑が集族.
あった.
組織学的に表皮突起の延長と基底層のメラニン量増加
(鈴木先生へ)この症例では発疹に点状出血を伴う紅
がみられた.
東北地方会第294回例会(平成8年6月30日,秋田市)
chaos in dermatology 八木英一(秋田日赤)
元は有韓細胞の悪性度と関係する可能性がある。
表皮組織内の角化細胞の核の位置(X-Y座標),核の
皮膚組織におけるAMeX法とホルマリン固定標本
大きさより種々の方法を用いて抽出した時系列データ
の染色性の比較 開山 諭、赤坂俊英、昆 宰市(岩
に,カオスの存在の可能性が示唆された.また相関次
手医大)
274
学 会 抄 録
皮膚組織をもちいてAMex法による免疫組織染色
が放出されていた.この走化因子についてさらに検討
性の検討を行った.正常皮膚のAMex標本は凍結標本
を加えた.
とぼけ同等の染色性を示した.皮膚腫瘍のうち乳房外
タイマー型非イオン性ヨード造影剤イオトロラン
Paget病では凍結標本のみに反応する低分子量サイト
(イソビスト280⑨)による薬疹4例 酉抜和喜夫(東北
ケラチンがAMeX標本で腫瘍細胞に一致して染色さ
厚生年金)
れた. AMeX法は抗原性の保持がよく,免疫染色を行
本院泌尿器科新設(平7年4月)以来,半年間に約
う際には有用な固定法であると考えられた.
90例に本剤による静脈性尿路造影実施し,6例に遅発
Fごくらく棒」のアトピー性皮膚炎への応用 岡部俊
性皮疹出現,うち4例が当皮膚科受診.全例木試験前
一(石鳥谷町)
に予備テスト実施(1∼2週前)し異常反応なし.症
アトピーでは掻くなと言ってもかゆみは我慢できな
例1,
54歳女は造影実施5日目に,症例2,
25歳男は
い.そこで爪で掻く替わりに,患者のアイデアで生れ
4日目に,症例3,
た「ごくらく棒」を試作してみた.爪で掻く代わりに
男は翌日に皮疹出現.症例1∼3は本検査後に,症例
37歳男は7日目に,症例4,
この棒で掻くと,掻く気持ちのよさは残り,爪で掻く
4は予備テストで感作成立したと考えられる.
時の細菌感染を防止できるようである.また掻いた本
討 論
人は掻いた後に罪悪感を感じているが,このごくらく
三橋善比古(山形大):症例1∼3で,感作成立に要
棒は掻くのを許してもらえたようで罪悪感も少ない,
しか日数が4∼5日というのは短くないか?
更に今迄の無意識で掻いた時より,掻きすぎることが
酉抜和喜夫:おそらく静注する抗原量が100mlと多
少ない.
いためではないか.
幻肢岸 木村瑞雄(弘前市),田崎博一(弘前人精神
安斎但一(県立日本海):モノマー系の造影剤とダイ
科)
マー系の造影剤の間の交叉性はないのか?
58歳男,無職.両足の水虫が標いとの愁訴で受診.
酉抜和喜夫:モノマー系造影剤とダイマー系との
左足真菌鏡検(十),右足は2年前に事故で失っている.
cross-reactionの例も稀ではあるが報告されている.
左足がよくなれば右足の症状もなくなるのではないか
帯状庖疹罹患部に生じた好酸球浸潤を特徴とする皮
と説明,外用剤を処方したが,途中で来院しなくなっ
疹 三橋善比古,近藤慈夫(山形大)
たので,症状の消失については不明.
70歳女.初診の2年半前に,右第12胸髄神経支配領
in vivo での表皮細胞への遺伝子導入 原村大輔,孟
域の帯状庖疹に罹患.半年前から,同部位に境界明瞭
憲民,石川博康,玉井克人,橋本 功(弘前大)
で辺縁隆起する褐色紅斑局面.組織は,真皮上層の多
keratinocyteを標的とする遺伝子治療には,生体の
数の好酸球を混じる炎症性細胞浸潤像.帯状庖疹罹患
表皮細胞に遺伝子を効率よく導入する方法の確立が必
要である.今回,我々は,その導入法として,
38歳
部に,環状肉芽腫,サルコイド結節,偽リンパ腫,肉
naked
芽腫性血管炎などが生じることが知られている.今回
DNA法とHVJ-liposome法の有用性を示した.さら
報告した皮疹はこれらのいずれとも異なるので,
にマウス実験有棟細胞癌に自殺遺伝子を導入すること
zoster eosinophilic dermatosisと呼んで記載してお
により,癌細胞の増殖を抑制できることを示し,皮膚
くことを提唱した.
癌の遺伝子治療の可能性を示唆した.
二重濾過血漿交換法(double filtration plasma-
角質が引き起こす炎症反応一肉芽腫形成に関わる
phresis)で治療した尋常性天庖懐 青山浩明(公立刈
chemokineの検討一 小原麻紀,照井 正,田上八朗
田総合)
(東北大)
73歳男.尋常性天庖癒で4回人退院を繰り返し,ス
角層,爪,毛といった角化物質は生体組織内に接触
テロイドの副作用(骨粗殺症,椎骨骨折,白内障,糖
すると炎症を引き起こし,肉芽腫を形成する.健常人
尿病)を多発した.今回,二重濾過血漿交換法を週2
の末梢血より分離した好中球を各々の角化物質存在下
回×3週次いで週1回×5週で行った.1回の施行で
で培養し,その培養上清について単球系細胞株THP-1
2.2∼3/を処理し,補充液は25%アルブミン50mlとプ
の走化能測定といくつかのchemokineの測定を行っ
ラズマネートカッター250mlを使用した.イムラン100
た.血清でオプソニン化しか角層と培養した場合には,
mgとプレドニン50mgの併用でも反応しなかった皮
好中球からMlP-lor,
疹が急速に消失し,イムランを中止しプレドニンは15
MIP-1β, MCP-1以外の走化因子
post-
275
東北地方会第294回例会
mgまで減量して退院した.
薬疹の1例 伊藤あおい,高橋正明(市立函館)
討 論
82歳女.初診1週間前に感冒のためセフラコール⑧
真家興隆(鶴岡協立):①本法の副作用の1つとして
(セファトリジン・プロピレングリコール)を含む4種
herpes zoster を挙げているが,本法に直接関係ない偶
類の薬剤を内服したところ,下肢に癈庫感出現,翌日
然の合併ではないか.②本法のcostはどの位か.③手
には水庖を形成し,徐々に拡大してきた.初診時,四
技上のむずかしさはどうか.
肢に鶏卵大までの水庖を伴う紅斑が散在,疼痛(十卜
青山浩明:①血漿交換で細胞性免疫の低下が起こる
組織は液状変性を伴う表皮下水庖.皮疹軽快後に行っ
とされているので,経過中の帯状庖疹の発症が,ステ
たパッチテストではすべて陰性であったが,セフラ
ロイドの免疫抑制のためか,血漿交換のためかは不明
コール内服誘発試験で陽性所見を得た.
である.②保険適応は3ヵ月間,入院患者なら通って
Cowden病の1例 佐々木千秋,高橋正明(市立函
いる.③手技も簡便である.
館),小西 茂(同消化器科)
EBウイルス関連リンパ腫の臨床的解析(第1報)
38歳男.平7年12月,穿孔性十二指腸潰瘍術後精査
韓 鋼文,大塚幹夫,原田洋至,岩月啓氏.金子史男
にて消化管ポリポージスを指摘された.顔面の小丘疹,
(福島医大)
口唇・歯肉の白色丘疹,四肢末端の角化性丘疹などを
66例の悪性リンパ腫及び関連疾患につき,EBウイ
認めた.ポリープは食道,胃前庭部,回腸末端では集
ルス感染の有無をスクリーニングした.臨床的には,
族性に,下行結腸から直腸にかけては散在性にみられ,
血球貪食症候群を示す皮下型リンパ腫,
生検で悪性所見は認めなかった.全身検索で悪性腫瘍
hydroa様の皮
疹をとる症例,蚊アレルギーに伴う悪性組織球症など
はみられなかった.家族歴では,父がポリポージスを
で陽性例がみられた.組織:血管破壊性浸潤,血球貪
指摘されたことかあり,食道癌で死亡している.
食像,NK細胞マーカー,形質細胞様リンパ腫が特徴で
pagetoid
あった.
大井知教,工藤和浩(磐城共立),小田島 肇,浅野重
Bowen病の1例 奥山隆平,高橋和宏,
転移性皮膚癌の2例 大井知教,奥山隆平,高橋和
之(同病理)
宏,工藤和浩(磐城共立)
83歳女.左下腿仲側に直径5cmの角化性褐色斑が
転移性皮膚癌の2例を供覧するとともに,当院にお
あった.基底細胞直上から表皮内に明るい胞体の細胞
ける昭61年∼平8年の経験21例の観察を行った.症例
が集塊を形成していた.抗ケラチン抗体で陽性に染ま
1は食道癌の転移で,血管拡張性肉芽腫様の外観を呈
り, pagetoid Bowen病と診断した.
した.症例2は脳,皮膚転移で発見された肺癌であっ
躯幹に出現したglomus
tumorの1例 片桐美之,
た.当院での21例中,腺癌が81%を占め,肺胃乳癌で
安斎欧−(県立日本海)
61%であった.予後は平均7.7ヵ月と不良であった.原
86歳男.平8年4月15日当科初診.約50年前より右
発,転移形態,組織は多彩になってきている様だが,
側胸部に有痛性腫瘍出現.同部に径13×10mmで境界
尚も予後は極めて不良であった.
明瞭,表面平滑なドーム状腫瘍あり.組織:腫瘍は真
陰嚢石灰沈着症の1例 小川晃史(恵み野),倉 達
皮から皮下脂肪織にかけて存在する.腫瘍表層部では
彦,岡村兼晴(同泌尿器科),赤坂俊英,昆 宰市(岩
拡張した血管腔を多数認め,円形の核を持つ数層のグ
手医大)
ロームス細胞に囲まれている.腫瘍深層部では,グロー
51歳男の陰嚢石灰沈着症を報告した.組織学的には
ムス細胞は密に増殖し,狭小な血管腔を有する.四肢
真皮に大小の嚢腫様構造がみられ,次の2つの形態を
以外の単発例は稀.
認めた.①嚢腫壁を欠きKossa染色で黒褐色を示す無
高齢者に生じたアナフィラクトイド紫斑の1例 安
構造石灰沈着物の周囲を結合繊で囲む部分があり,そ
東員一(県立日本海),政金生人,小野和彦(同内科)
の一部に異物肉芽腫を伴っているもの.②穎粒層を欠
70歳男.初診10日前より発熱・腹痛・嘔気有り,3
く数層の上皮細胞からなる嚢腫構造をとるもの.自験
日前より四肢とくに下肢の遠位部に血庖を伴った紫斑
例は特発性陰嚢石灰沈着症の一部が,表皮嚢腫などの
が多発.初診時,炎症反応とともに,血尿・腎機能障
嚢腫に由来していることを示唆する症例と考えられ
害有り.皮膚の組織では典型的なleukocytoclastic
た.
vasculitisの像.腎生検組織では非定型的.下部消化管
セファトリジン・プロピレングリコールによる固定
内視鏡で同腸遠位部に潰瘍有り.組織学的には好中球
276
学 会 抄 録
性血管炎の像.ステロイド投与にて症状は急速に軽脱
現.病理組織学的に表皮直下の多房性水庖,真皮下層
す.
エクリン汗管の閉塞,変性壊死を認めたが,炎症性細
討 論
胞浸潤は乏しかった.組織学的にComa
加藤泰三(東北大):lgAの動態は如何か?
似,局所のhypoxemiaが原因と考えた.
安斎員一:腎生検組織では非定型的なlgAの沈着
急激に白血化したcutaneous T-cell lymphoma
のみであった.皮膚生検組織ではlgAの沈着はみられ
(CTCL)の1例 佐藤正憲,石川博康,河合敏一,開
なかった.
山真美子,原口]研,五井克人,橋本 功(弘前人),
日光角化症を発症母地とし,有較細胞癌と共存して
玉井伴子,高見秀樹(同第1内科)
みられたメルケル細胞癌の1例 真宗興隆(鶴岡協立)
55歳女.初診時,略全身に鶏卵人までの浸潤性紅斑
99歳女.初診平8年4月19日.1年前から左頬に褐
が散在.表在リンパ節は触れず.皮疹の組織像は真皮
色局面あ‰ 2ヵ月前から,一一部が隆起.現症:左頬
中,上層,付属器周囲の異型リンパ球様細胞の異常増
に3×2cm大の褐色局面あり.内部には径1cm大,半球
殖.未血中にも異型リンパ球様細胞の著明な増加.
状に隆起した紅色腫瘤あり.切除,植皮した.組織:
CD3(十),
褐色局面は日光角化症の像.腫瘤部では核クロマチン
骨髄生検では異常なし.CHOP療法等にて加療する
blisterに酷
CD8(一),L26(−).抗HTLV-1抗体ト工
の多い円形の核を持つ円形・類円形の細胞が密集.核
も,多臓器不全を併発し,永眠.
分像も多い.これに角化傾向を示す腫瘍細胞塊が混在.
被角血管腫様の臨床像を示した原発注アミロイドー
前者はNSE染色陽性で後者は陰性,
シスの1例 岩月啓氏,大塚幹夫,元木良和,金子史
keratin染色はそ
の逆であった.
男(福島医大)
生石灰による皮膚・粘膜障害 真宗興隆(鶴岡協立)
63歳女.約2年前から体幹,指先,大腿内側に無症
83歳男,軽度痴呆あり.老健施設在住.初診平8年
候性の小血管様の皮疹かおる.表皮直下と血管周囲及
4月16日.3日前から急に口唇・口内粘膜が荒れて痛
び直腸にAλ型のアミロイドが沈着.
みを訴える様になり来院.現症:上下唇紅から口内粘
する検査所見はなし.濃縮尿でλ型Bence-Jones蛋白
膜にかけて慶爛,潰瘍あり.初診翌日,施設の看護婦
が陽性で,血清lgAがやや上昇しM蛋白がみられた.
が患者の枕元で白色の粉状,小塊状の物質をまぶした
検索した限り骨髄腫の所見はなし.
飴の入った袋を発見.患者は飴袋の中の乾燥剤(生石
塩酸メキシレチンによる紅斑丘疹型薬疹の1例 馬
灰)を飴にまぶして食したものと判明した.生石灰は
目英明,角田孝彦(山形市立済生館)
水にあうと消石灰となり,強アルカリ性を示すので注
70歳男.心室性期外収縮のためメキシチール300mg/
意が必要である.
dayを内服していた.内服開始約5週間後から,発熱と
非露光部に重複し異なる臨床型を呈した基底細胞上
共に蝉みを伴う紅色丘疹・浸潤性紅斑が首・上肢に出
皮腫の1例 高木順之,中野 創,水本大介,野村和
現し,ほぽ全身に拡大してきたため,当科を受診.メ
Fabry病を示唆
夫(青森県立中央),千代谷成史(青森市)
キシチールによる中毒疹が考えられた.薬剤の変更,
65歳男.初診3年前,腰部に栂指頭大の有茎性黒色
プレドニソロン30mg/day
茸状腫瘤及び小指頭大の赤褐色扁刊隆起性腫瘤出現.
内服とステロイド外用にて約2週間で軽快.ワセリン
組織は共にPinkus型主体の基底細胞上皮腫.基底細
基剤のパッチテストにて,塩酸メキシレチンが強陽性
胞母斑症候群を疑わせる合併症状や家族歴はなし.統
であった.
・ ケトチフェン2mg/dayの
計学的に基底細胞上皮腫が躯幹に発生するのは12%,
Mycobacterium
多発例は5%とされており,臨床型が有茎性を呈した
非定型抗酸菌症の1例 小関 仲,青木武彦,近藤慈
fortuitumによると思われた皮膚
のは過去25年間に17例のみ,従って躯幹に重複して生
夫(山形大)
じ,一方が有茎性を呈していた本症例は極めて稀な例
39歳主婦の右手及び右前腕に生じた非定型抗酸菌症
と思われ報告した.
の1例.皮疹からの培養では菌の発育はみられず,患
塩酸ヒドロキシジン注射部に水庖を形成した1例
者自宅の熱帯魚の水槽中の石よりMycobacterium
村井孝弥,野村和夫,橋本 功(弘前大)
fortuitumが分離・同定された.本邦において本菌によ
53歳女.左上腕に塩酸ヒドロキシジン25mg筋肉内
る皮膚感染症の報告は自験例を含めて17例あり,
投与.翌日同部位に圧痛を伴う硬結と弛緩性水庖が出
20∼50歳代に多く,男6例女11例,外傷の既往のある
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東北地方会第294回例会
ものは7例,四肢に発症しかものは11例,皮膚筋炎,
点状の黒色斑が出現,急速に増大.初診時5×4mm辺
白血病などの合併症をもつものが多くにみられた.
縁不規則な暗黒色斑あり.悪性黒色腫をも疑い全摘.
皮下皮様嚢腫の1例 熊谷恒良,長田幸恵,三橋善
組織:母斑細胞様細胞が表皮真皮境界部に包巣を形
比古,近藤慈夫(山形大)
成.個々の包巣は横の連続性に乏しく,真皮中上層に
59歳女.小児期から右耳介後部に皮下腫瘤を認めた.
も少数分布し上方へのeliminationを思わせる所見を
2∼3年前より増大し始め,初診時には径3.8cmで
呈した.一部包巣内には少数の核分裂像を認めた.メ
あった.全摘した腫瘤の大きさは35×30ミリで,半割
ラニン穎粒は豊富で包巣内から角層内まで広く分布.
すると角化陸物質と多数の毛髪を内容とする朧朧で
Kamino
あった.嚢腫壁は正常皮膚に似て表皮と真皮成分から
小児にみられたマンゴー皮膚炎の1例 宮崎千春,
なり,表皮成分は穎粒層を有し真皮には皮脂腺がみら
岩崎 雅(桜井)
れた.また嚢腫内や壁に毛髪の断片がみられた.皮膚
3歳男児.初診の3日前より口唇周囲に痕椋を伴う
科からの報告は比較的少なく,また50歳を過ぎてから
皮疹が出現.初診1週間前にマンゴーの摂取が判明.
切除した症例も少ない.
マンゴーの貼付試験(+).
薬剤誘発注と考えた丘疹紅皮症(太藤)の1例 青
討 論
body
あ‰
山浩明(公立刈田総合)
昆 宰市(岩手医大):マンゴは果肉に強いセリンプ
69歳男.平5年9月に脳梗塞を発症し,アダラート
ロテアーゼ活性を有しており,これが浮腫の形成に関
L,パナルジン,アバン,カランを内服していた.平6
与していると考えている.
年10月に全身に岸みを伴う発疹が生じ,増悪するため
真家興隆(鶴岡協立):マンゴーのas
平7年9月に当科を受診した.皮疹は典型的だが,組
ストは色素沈着を残しやすいので,なるべく目立かな
isのパッチテ
織像で表皮基底層の破壊,液状変性を伴う著しい細胞
いところで,なるべく小さくやった方がよいと考える.
浸潤かおり薬剤誘発度の苔癖型反応を考えた.脳梗塞
局所に多発したボーエン病の2例 瀬川郁雄,千葉
の内服薬の中止後から庫みがとれて紅斑が消退した.
雅子,遠藤直樹(岩手県立中央),高山和夫(同病理)
以後,少量のステロイド内服の併用を行い治癒した.
症例1,
討 論
瞭な茶褐色斑を群集性に認めた.組織:ボーエン病の
78歳女.右下腿仲側に爪甲大までの境界明
伊藤義彦(山形市):原因薬剤はどれが考えられる
所見を示しか.腫瘤の一部に明調の細胞が巣状に増殖
か.
していた.症例2,
青山浩明:パッチテストは全て陰性.内服テスト米
爛を伴う紅色腫瘤と黒色丘疹を群集性に認めた.組
施行のため原因薬剤は不明.しかし,他の丘疹性皮疹
織:紅色腫瘤,黒色丘疹共にボーエン病の所見を示し
患者でアバン中止で改善した例かおり脳代謝賦活剤が
か.両症例とも連続切片にて,皮疹間の連続性を認め
原因かと思う.
ず,多中心性に生じたものと考えた.
色素失調症の1例 国井隆英,原 正啓,米武茂樹,
annular
田上八朗(東北大)
gren症候群を合併した1例 小野寺裕美,村上圭子,
日齢3女児.満期正常分娩にて出生.家族に類症,
吉成 力,松田真弓,昆 宰市(岩手医大),二宮由香
血族結婚なし.母親に一度流産の既往あり.出生時よ
里(同第3内科),佐藤雅子(盛岡市)
り下肢に水胞形成があり,3日齢より紅斑及び丘疹が
67歳女.約7年前より上肢,躯幹に辺縁堤防状に隆
全身に拡大.初診時,全身に一部苔癖様で序列性の紅
起した環状紅斑が出現.生検にて巨細胞の弾性線維貪
斑を認めた.白血球数は23,000,好酸球数は13,800と
高値.組織では真皮上層の浮腫と好酸球浸潤を伴う軽
度のspongiosisを認めた.ステロイド外用のみで加療
86歳女.左足背に小豆大までの廳
elastolytic giant cell granuloma
にSjo-
食像.乾燥性角結膜炎を伴い,血液検査にて抗DNA
(十),抗SSA(十).
線状苔癖の1例 村上圭子,吉成 力,小瀬川 宏,
し,約1ヵ月で色素沈着期に移行.明らかな合併症な
赤坂俊一,昆 宰市(岩手医大),上原伸一(盛岡市)
し.
69歳男.1ヵ月前より左側上下肢,前胸腹部,背部
Spitz
nevus 笠井達也,大河内亨子(国立仙台),
に癈庫感を伴い線状に断続的に連なる紅色丘疹が出
加藤泰三(東北大)
現.組織像は非特異的炎症性変化.
19歳女.看護学生.初診3ヵ月前左中指中節掌面に
で軽決した.
steroid外用,内服
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学 会 抄 録
陰嚢verruciform
xanthoma
の2例 高畠有理,白
に軟毛の家を認めた.毛抜きで抜毛して治療.症例1
石正彦,小川俊一(山形県立中央)
と3では皮脂欠乏性湿疹の,症例2では背部の接触皮
症例1,
膚炎の治療歴があった.また3例にdry
78歳男.主訴:数年前からの陰貴部の腫瘤.
股部白癖を合併.症例2,
84歳男.主訴:約2年前か
skin が共通し
て存在した.
らの陰貴部の腫瘤.症例1,2とも陰嚢右側に指頭大,
家族性高コレステロール血症(na型)による結節性
有茎性,表面頬粒状の淡紅色腫瘤あり.生検を兼ねて
黄色腫の親子例 河野通浩,佐藤典子,富田 靖(秋
切除.表皮突起の延長,それに伴う真皮乳頭の延長,
田犬),石河知之(仙北組合)
真皮乳頭層に泡沫細胞の浸潤あり,
16歳女.母及び母方の祖父に高脂血症かおる.12歳
Touton型巨細胞
なし.血清脂質正常.
頃から大豆天から米粒大の正常皮膚色結節が両肘頭,
臍高様所見を呈した石灰化上皮腫の1例 白石正
膝蓋に出現し,増大してきた.皮膚生検にて真皮に多
彦,高畠有理,小川俊一一〇」」形県立中央)
数の泡沫細胞を認め,ズダンⅢ染色陽性.母に仏最
16歳女.初診約1年前より,何等特に誘因なく,右
近,肘頭部に同様の皮疹が出現.患者と母のトリグリ
上腕仲側に自覚症状のない皮疹出現.初診時,同部位
セリドは正常,血清コレステロールとLDLは高値.血
に20×25mm,淡紅色,弛緩性血庖様外観を呈する腫瘤
液検査より家族性高コレステロール血症(Ha型)と診
を認め,その中央に出血を伴う臍高様所見あり.組織:
断し,現在,高脂血症治療剤の内服中である.
線維性被膜に囲まれた真皮内充実性腫瘍.腫瘍は陰影
鎧状癌の1例 松永直子,佐藤俊樹,富田 靖(秋
細胞塊と好塩基性細胞塊よりなり,腫瘍上部に層状の
田犬),北村道彦(同第2外科)
角質を容れ,逆漏斗状に開口する毛嚢様構造が存在.
56歳女.初診平8年1月8日.約1年前に左乳房に
elimination現象を生じた石灰化上皮腫と思われる.
虫刺され様の皮疹出現した.徐々に結節及び硬結を多
trichostasis spinulosa の3例 佐藤俊樹,新渾みど
数形成し,右胸壁にも拡大.放置していたが,発熱と
り,富田 靖(秋田犬)
症例1,
疼痛が我慢できず,当科受診.初診時,胸壁全体が壊
64歳男.糖尿病の合併あり.症例2,
男.エナメル上皮腫術後で入院中.症例3,
hairy cell leukemia,
47歳
66歳男.
糖尿病,慢性糸球体腎炎等で入
院中.いずれも背部に,毛孔に一致したざらざらした
面鮑様皮疹が多発.内容物を摘出したところ,角栓内
死性の結節を多数有す板伏の局面となりに向鉄窓リン
パ節が腫大.臨床像から上記と診断.既に胸水が貯留
し,肺・肝・骨に転移がみられた.組織像では乳癌の
皮膚転移.当院第2外科にて化学療法施行中.
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