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2010(平成22)年度大学院シラバス
2010(平成22)年度大学院シラバス 国際文化 研究科 国際文化 専攻 授業科目名 キリスト教文化論演習Ⅰ 担当教員名 森 泰男 通年・前期・後期 通年 単位数 4 【専門分野と研究テーマ】 西洋中世文化論、ケルト文化論、「アウグスティヌス研究」 【講義の到達目標】 ヨーロッパ文化の研究のテーマとして注目されているのは、ヨーロッパ文化の基にあるケルト文化である。英独仏中心の近代 ヨーロッパとは違う「幻の民」ケルトの異貌を、ケルトの神話、伝説、物語などを通して明らかにしていきたい。そのことによっ て、演習参加者がヨーロッパ文化を多面的・重層的に理解できるようになること。 【講義概要】 前期は複雑な語りの世界であるケルトの神話を丁寧に読み解いていく。ケルトの神話はよく「創世のない神話」と言われる が、その妥当性について慎重に考えていきたい。特に、ダーナ神族の存在と機能について共に考えていきたい。後期は、ケ ルト神話と密接な関係にある「アーサー王物語」群を取り上げる。アーサー王物語の背景に、南ロシアはコーカサス地方のオ セチア人の英雄伝説を指摘する研究者もいる。また、「アーサー王と円卓の騎士」の物語がヨーロッパ中世文化に与えたイン パクトもつとに知られているところである。その間の事情についても一緒に探究・考察したいと考えている。 【授業計画内容】 № 講義計画 № 講義計画 1 オリエンテーション:世界の神話の中のケルト神話 16 後期オリエンテーション:神話から物語へ 2 ケルト神話研究史における前期テキストの立ち位置 17 「アーサー王物語」研究史における後期テキスト 3 前期テキストの序章を読む 18 後期テキストの第1章前半(15-43ページ)を読む 4 前期テキストの序章後半(28-44ページ)を読む 19 後期テキストの第1章後半(43-82)を読む 5 前期テキストの第2章を読む 20 後期テキストの第2章(1・85-119ページ)を読む 6 前期テキストの第3章を読む 21 後期テキストの第2章(2・120-141ページ)を読む 7 前期テキストの第4章を読む 22 後期テキストの第2章(3・143-175ページ)を読む 8 前期テキストの第5章を読む 23 後期テキストの第2章(4・177-204ページ)を読む 9 前期テキストの第6章を読む 24 後期テキストの第2章(5・205-253ページ)を読む 10 前期テキストの第7章を読む 25 後期テキストの第3章前半(255-288ページ)を読む 11 前期テキストの第8章を読む 26 後期テキストの第3章後半(289-335ページ)を読む 12 前期テキストの第9章を読む 27 後期テキストを批評する 13 前期テキストの第10章を読む 28 高宮利行、『アーサー王伝説万華鏡』を参照する 14 前期テキストの終章を読む 29 田中仁彦、『ケルト神話と中世騎士物語』を再読する 15 前期のまとめ:ケルト神話に現れたケルト文化 30 学びの総まとめ 【テキスト・参考書・参考資料等】 [テキスト] (前期):ヤン・ブレキリアン、『ケルト神話の世界』(中央公論社) (後期):アンドレア・ホプキンス、『図説・アーサー王物語』(原書房) [参考書] (前期):P.マッカーナ、『ケルト神話』(青土社);イアン・ツァイセック、『図説・ケルト神話物語』(原書房) (後期):高宮利行、『アーサー王伝説万華鏡』(中央公論新社) 【準備学習についての具体的な指示】 演習が始まるまでに、田中仁彦、『ケルト神話と中世騎士物語』(中公新書)を読んでおいてください。 【事後学習等についての具体的な指示】 ケルトの神話に現れているものの見方を、『聖書』特に「創世記」に現れているものの考え方と比較してみてください。そして、 ケルト人がキリスト教化する時に起こった考え方の変化についてさらに調べてみてください。