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(P.26~P.36) (PDF形式 967キロバイト)

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(P.26~P.36) (PDF形式 967キロバイト)
進藤 ありがとうございます。浅川さんのところは、もともと生活クラブ生協という
組合みたいな形でやっていて、障害者の就労のためのお手伝いを考えていた。生活クラ
ブ生協の建物清掃を就労のための実習に使えないかと考えて、実は去年のパネルディス
カッションに出られた、東京企業の深谷さんという方とシステム作りを行ってコンチェ
ルティーノを立ち上げられたということです。
コンチェルティーノ
組織図(構想図)
コンチェルティーノ
事務局
事務
マーチ
*ポスティング
*出前演奏など
・市民
・学校
・幼稚
園
・市民
商店街
事
事務
お掃除
ぽるか
務
てしごと
ワルツ
*清掃業務
*訓練システム
*就労支援
*掃除品製作
*手作り品製作
*チラシ折
*ポスター作りなど
・生協
・NPO法人
・障害者支援情報
センター
・企業・財団
・行政 害者就労 ー
障
タ
・区立 支援セン
会
谷区
・世田 社会福祉協
他区
・その
お一人、すでに一般企業に就職されている方がいらっしゃって、今5人の方に実習と
いうことになっていますが、その中で、完全な一般就労に至らない人のために新しい働
き方を考えていらっしゃると聞いております。それを説明していただければと思います。
◆新しい働き方 ~ワーカーズ・コレクティブ~
浅川 実習の期間が終わって、無事に企業に就労できればいいのですが、それができ
なかった場合は、今のところはコンチェルティーノの中のお掃除部門、これを「お掃除
ぽるか」事業といいまして、その「お掃除ぽるか」の研修生という形で、スタッフも含
め同一賃金で働いてもらっています。ですが、一般就労するときに、先ほど週 20 時間
という話も出ましたが、企業のほうがコンスタントに働いてくださいと言ったときでも、
障害の程度とか状況によって、週2回しか働けないという方がたくさんいます。また、
1ヶ月通してバリバリ働きたいという方にも、うまく雇用の声がかからないとか、いろ
いろな状況が出てきますので、そういう人たちを受け入れる先が必要だろうと思いまし
た。そこで、働く人の協同組合といって、雇用ではなくて、自分たち仲間で出資し、運
営し、みんなで働く場をつくっていくということを、これからやっていこうと考えてい
ます。
進藤 雇う-雇われるという関係ではなく、働く人同士が共同で出資して、対等の立
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場で活動する「働く人の協同組合」
、それがワーカーズ・コレクティブですね。
浅川 はい、ワーカーズ・コレクティブといいます。
進藤 浅川さんのところでは、実際に実習がうまく進んで、企業でのアルバイトがで
きるようになった方がいらっしゃるのですね。
浅川 2人います。
進藤 ですけれども、その方が一般企業に週5日間行くかというと、行かなくて……
という方がいらっしゃるのですよね。
浅川
そうですね。企業で働きつつ、「ぽるか」にも残っていたい、という方もいま
す。
進藤 つまり、週2日ぐらいは一般企業でアルバイトしている。でも残りの3日間ぐ
らいはコンチェルティーノに来たい、とおっしゃる方がいて、その方と、新しく入って
きた実習生の方の区別をつけるために、新しい団体を作って卒業させていくというよう
な形ですね。
浅川 そうです。ずっと実習生でいても構わないのですが、やはり一人の人が社会に
出て働いていくという時に、ずっと実習生とか研修生という名前でいるのはどうかと思
いますし、その人の生きがいとか、働きがいができるように、もう尐し自立した働き方、
立場になったほうがいいなと考えています。
進藤 今の部分はワーカーズ・コレクティブの説明ですが、皆さんもまだよく分から
ないと思うので、いくつか質問させていただいて明らかにしようと思います。
そこでは、卒業していったいわゆる障害のある方も、組合ですから同じように出資さ
れるわけですか。
浅川 そうです。
進藤 働き方として、最低賃金とかそういったものについてはどういう扱いになって
いるのでしょう。
浅川 雇用関係ではなく、全員が働く人であると同時に経営する人でもあり、そこで
得た収入をみんなで分けるという考え方ですので、最低賃金とかそういうことは発生し
ません。
進藤
働き方についても、例えば週何日という契約とか、そういったことについて、
かなり自由度が高いと伺っていますが、どうでしょうか。
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浅川 そうですね。私はこういう働き方をして生きていきたい、ということが主張で
きます。ただ、全員が同じ曜日だけ働きたいというと成り立ちませんから、その辺はみ
んなで話し合って、週2日の人をうまく組み合わせて1週間の仕事にしようとか、そう
いう考え方です。
進藤
皆さんの希望に応じて働き方を決める。それは週何日働くかも決められるし、
最低賃金の縛りもない、という団体を新たに作るということですね。
浅川 そうです。自分たちで何かものを決めていくことができる職場ということです。
進藤 何となくお分かりいただけましたでしょうか。何となく分かったという人、手
を挙げてもらっていいですか……はい、ありがとうございます。
地域に初めて作業所ができる時には、障害のある方も、職員の側も一緒になって、い
ろいろなことを話し合いながら決めていくコミュニティのようなものができますね。そ
れを実際に働く場でやっているような感じに近いなと思いましたが、どうでしょう。
浅川 そうですね。私たちも最初に始めるときは、そういうことが成り立つかどうか
自信がなく、やはり安定した仕事をたくさん作り出して、雇用して、保証する、そうい
う形のほうがいいかなと思っていました。ですが、一緒に働いてみて、それぞれが持っ
ている力の大きさに気付かされました。知的障害の方と精神障害の方は関わり方も仕事
の進め方も違いますが、どちらもほんの尐しの工夫と、できないことや苦手な部分を支
えてあげることで、本当にいろいろなことが実現していくと考えています。
進藤 ワーカーズ・コレクティブはまだ始まったわけではないですが、しばらくした
ら始めたいと考えていらっしゃるのですね。
浅川 そうですね。コンチェルティーノ自体も任意団体で始めていて、立ち上げから
今まで、どういう形がいいか、実践を重ねながら話し合いを進めてきました。今後、コ
ンチェルティーノもNPO法人になるつもりでいますが、その中にワーカーズ・コレク
ティブという働く場所をもう一つ作りたいと考えています。
進藤 ありがとうございました。
ただいま、障害者雇用はなかなか難しいと考えていらっしゃる飯田さんの会社の事情
と、週 20 時間以内でも雇用を始めたナノ・ユニバースの田中さんと、そして、全く新
しい組合的な団体を作り上げていこうではないかという浅川さんの3人にお話をいた
だきました。
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「新しい働き方の模索」というテーマに則して、今までにない週 20 時間以内で働く
とか、最低賃金によらない組合みたいなものを作るという案が出ました。
さて飯田さん、今まで飯田さんは普通の雇用の形態だと難しいと考えておられたわけ
ですが、お二人の発表を聞いて、素直にどう思われたかを言っていただいてよろしいで
しょうか。
◆飯田さんの会社でも、障害者雇用の可能性はある?
飯田 まず、田中様のお話を伺って、実際に雇用されている方がバックヤードや商品
管理など、お客さんと接する表の舞台には出ていないというところを感じて、私どもの
現場の仕事ではちょっと難しいかなというところです。
進藤 冒頭で、事務の仕事があると言っておられましたが……。
飯田 事務と、現場で使う工事の材料の管理がありますが、一日中やる仕事ではない
というのと、毎日ある仕事ではないです。週に2回材料が会社に運ばれてきて、それを
棚に収めるのと、その日使う材料を倉庫から運び出して、次の日にまたそれを返す仕事
です。それを職人にやらせると違う棚に入れたりして、整理するのが大変なので、そう
いう作業だったらお手伝いいただけるかな、と思いました。ただ、一日のうちの決まっ
た時間、決まった曜日という形になってしまうので、そういった雇用がもしできれば、
僕だけでなくて、他の建設業界のメンバーもいますので、考えられるかなと思います。
進藤 先ほどの田中さんの話ですと、週 20 時間以内でも雇う形がありますね。だか
ら、毎日ではなくて、朝からしばらく働いて、仕事が終わったところで今日はお帰りい
ただく、みたいなパターンもありということでしょうか。
田中 ただ、一つ不思議というか疑問点ですが、そうすると雇用率の上では 0.5 人に
も満たない中で、飯田さんのところで雇用する意味は何なのかと、今聞いていて私の中
で思ったのです。今、私どもの会社で週 20 時間以内で働いてくれている人も、たぶん
今後慣れてくれば 20 時間以上になるだろうという期待があって雇用しておりますので、
そういう意味では、飯田さんのところはどうなのですかね。
進藤 難しそうですね。やはり難しい感じなのでしょうか。
飯田 逆に短い時間で働いてくれる健常者の方を探すのも難しいし、尐ない時間でい
いと言ってくれる方がいれば、役に立つ場合もあるかと思います。
進藤 雇用率とは全然関係なく、短い時間だけ、ちょっとの仕事のために来てくれる
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という形であれば、雇用という可能性もなくはないかなということですね。
飯田 昔、倉庫管理を頼もうと思って人を探したのですが、中には悪いことを考えた
りする人がいる──材料を他に売ったりとか(笑)──ので、それ以来やめています。
そういう悪いことを考えない人がいいなと思っていますが、なかなかいないです。
進藤 意外な発言が出て思わず笑ってしまいました。例えばそこに、障害があるけれ
ども悪いことを考えないような人であれば、短時間であれば多尐考える可能性もあると
いうことですか。
飯田 そうですね。今の話を聞いていて、自分の会社でもし雇うなら、そういう可能
性は見えました。逆に僕が聞きたいのですが、障害者の方の中で建設業とかに関わった
仕事をしたいという方はいらっしゃいますか。
進藤 ちょっと聞いてみましょう。フロアの中の障害者の方で、建設業に関わってみ
たいという人いらっしゃいますか。……いない。
では、学校の先生に聞いてみましょう。学校ではどうですか。稲田先生、聞いていい
ですか。
稲田 青鳥特別支援学校で進路指導を担当しております稲田と申します。よろしくお
願いします。
倉庫業で働いていらっしゃる方はいますので、先ほど飯田様のお話だと、ピッキング
になると思います。どんな部品をどれだけ集めるかというピッキングの仕事なら、たく
さんの卒業生がしております。どちらかといえば、そういった仕事はカチッとしなくて
はいけない、間違いがあってはいけませんので、むしろ私どもの生徒がぴったり合うか
と思います。
また、私どもの学校では「作業」という授業がございます。職場を体験するという学
習を模擬的に学校内で行っています。その中で、校外学習という形で、無報酬にはなり
ますが、そちらに行って、短時間お仕事をさせていただいくということもできるのでは
ないかと思いながら聞いていました。生徒たちが初めてお会いする方とうまくコミュニ
ケーションをとりながら、仕事とはこうやっていくものだ、ということを肌で感じられ
るいい機会になると思いますので、今後ともぜひ詰めさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
進藤 営業されてしまいました(笑)。
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建設業と言われると引くけれども、商品管理とかピッキングという形であればあるか
なと……。もう 1 人ぐらい意見を聞いてみます。
「しごとねっと」の方、こういう業界
で働けますか、といった質問が出たとしたらどうですか。
松田
「しごとねっと」の松田で
す。いま稲田先生がおっしゃったみ
たいに、お仕事の内容次第で十分で
きるかと思います。建設業でいえば、
障害者枞でなく、日雇いで建設業を
やっている方も結構いらっしゃいま
す。どの仕事でもそうですが、きっ
とその仕事をやりたいという人は出てくると思います。
進藤 ありがとうございます。飯田さん、聞いてみてどうですか。
飯田 誰か雇わなければいけないのではないか、という状況になってきています(笑)
。
進藤 皆さん、ご協力ありがとうございます。飯田さんが、ちょっと心変わりをしそ
うな雰囲気になってきたので、よかったなと思っています。これはすごくいいロールプ
レイだったと思っていますが、企業のほうで雇えないと思っていても、支援機関の人が
実際に行って相談すると、こんなやり方がありますよ、ということを提案してもらえる
ということです。
引き続き、飯田さんに、コンチェルティーノの新たな働き方の発表を聞いて、どう思
われたか、伺いたいと思います。
飯田 ちょっと分からなかったのが、例えばどこかのビルでお掃除業があったとして、
それを毎日、日替わりで違う人が来るというイメージなのですか。
進藤 ビルメンテナンスという仕事をやるとして、ワーカーズ・コレクティブの中の
Aさん、Bさん、Cさんが、ある日はAさんが来て、ある日はBさんとCさんが来て、
というように、毎回違う人が来るのかという質問ですね。
浅川 工程表とシフトをちゃんと組んで、何曜日に誰が来るとか、そういうことは全
部決めます。現在はそういうシフト表とか、工程表、つまりお掃除は何時から何時まで
やるので、何時ぐらいまではどことどこ、この時間は窓拭きをやるとか、そういったも
のもメンバーが作っています。
- 31 -
飯田 そうすると、私どもの会社で、と考えた場合には、できれば同じ人が毎回来て
ほしいという希望があります。
進藤 同じ人が来てほしいという希望には、対応できますか?
浅川 一つの現場に同じ人がずっと行っている、ということもありますので、それは
対応します。
私たちは、お掃除だけでなくて、
「て
しごとワルツ」とか、
「おでかけマーチ」
とか、いろいろな部門を立ち上げてい
るので、その中でいろいろな仕事がで
きるように、みんなで練習しています。
すべてが出来ないならすべてやらない
と決めるのではなく、尐しでもできる
芽があったら、それはそのことでやっ
てみることが大切で価値があると思っ
ています。現在は小規模で障害者雇用
の義務がない企業だったとしても、従
業員の方に今から尐しずつ「障害者と
ともに働く」ことを身に覚えていただ
ければ、そのことが自信になって、い
つかすごく大きな会社になって、たく
さん雇用しなくてはいけなくなった時
に、雇用に対しての躊躇がなくなっていくと思います。
進藤 ありがとうございます。希望を言っていただければ、話し合いをして、折り合
いをつける形かなと思います。そのあたりは、作業の発注に近いのかなと思ったりもし
ます。
さて、ここでフロアの皆さんからご質問があればお聞きしたいと思いますが、どなた
か、これは聞いてみたいとか、分からないということはありませんか。
こういうときに指名してもいいですか。玉川福祉作業所等々力分場の石井さん。こう
いう週 20 時間以内の働き方については、等々力分場さんではかなり前から進めてみた
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いというご希望を持っていらっしゃったかと記憶していますが、どうでしょう。
◆福祉作業所の目指す、「新しい働き方」の提案
石井 玉川福祉作業所等々力分場の石井と申します。よろしくお願いします。
今、私のいる作業所は、知的障害を持つ 18 歳以上の方が通う施設で、就労支援を進
めています。今までの就労支援は、確かに作業所を卒業しての週 30 時間就職というの
がスタンダードでした。ところが、利用者さんの不安とか、生産性とか、あとは会社側
の事情とか、そういったこともあって、週 30 時間就職だけでは難しい状況にぶち当た
ったのです。そこで今進めているのが、週 20 時間、もしくは週 20 時間未満、例えば作
業所に通いながら週 1 回 30 分、地域のクリニックで清掃のアルバイトをしたり、近く
のファミリーレストランで週 20 時間働いたり、という形でやっています。
今回福祉施設の立場からお伝えしたいのは、新しい働き方の形を作るにあたっては、
いずれの場合も会社さんと福祉機関、支援機関が相談しながら、お互いにいろいろなア
イディアを出しながら作り上げていった、ということです。飯田様のお話で、仕事が作
れない、タイムテーブルが作れないということですが、ぜひ福祉施設や就労支援機関を
交えて話していただきたいと思います。先ほど進藤さんもおっしゃいましたが、まず障
害者の方が、何ができて何ができないのかというのは、障害者雇用の経験のない企業の
方には、ほとんどイメージがつかないものです。おそらく今の飯田様が、これはできる
だろうと思っている仕事と、実際に障害を持った方ができる仕事との間には、ギャップ
がかなりあると思います。そこで実際に、その方には何ができて何ができないかを知っ
ている就労支援機関が入らないと、なかなか難しいと思います。
実際に私どもの作業所では、まず職員が仕事場に出向いて、今飯田様が想定されてい
る仕事をやらせていただきます。その上で、これはできるから是非お願いしますとか、
これは何か治具を作らないとだめなので、こちらで用意しましょうとか、これはできな
いから想定されていなかったあの仕事をやらせてください、などなど提案しながら、無
理のない形のタイムテーブルを作っていきます。そうして新しい働き方の形を、福祉施
設、就労支援機関、企業の皆さまと一緒に作らせていただくと大変ありがたいです。
進藤 ありがとうございました。
こちらのほうでは雇えないと思っていても、就労支援機関もしくは作業所とかに相談
すると、こんなのもありますよ、と実際に提案してくれる場合があって、新たな働き方
- 33 -
を模索できるかもしれないということです。
特に田中さんに是非ひとつ、話してほしいと思うことがあります。就労支援機関の方
といろいろ話をするようになって、今度は逆に一般の求人で来られた方を、この人は障
害者だと見抜いて、さらに相手にアドバイスしてしまったというエピソードがあると伺
ったので、ぜひお話ししていただければと思います。
◆地域の就労支援センターと関わったからできたこと
田中 以前、千葉県のとある店舗で 1 人障害者を雇用した時に、市川の支援センター
の方が間に入ってくださって、その時もすごく助かって、今も何かあると相談させてい
ただいたりしています。その後、「しごとねっと」さんとも関わりを持つ中で、支援セ
ンターが障害を持っている方々に対してすごく一生懸命に支援されているということ
を知り、障害者の方々がもっとこういう機関を使っていったらいいのにと、私自身すご
く感じています。
今回たまたま7月ぐらいに雇用したスタッフから、今年は働いていないので源泉徴収
票を提出できないという問い合わせの電話がありました。具合が悪くて、と言っていた
ので、
「病気か何か?」と聞いたら、本人が、
「統合失調症です」と、すんなり言ったの
です。そこで思わず、
「障害者手帳は持っているの?」と聞いたら、
「いいえ、持ってい
ません」との返事でしたので、「だったら、取ったほうがいいんじゃない?」という話
をさせていただきました。
彼は夏ぐらいからまた調子が悪くなって、行きたい気持ちはあるけれど、どうしても
外に出られない、ということで、今回退社をすることになってしまいました。その時に
私は、彼の最寄りの支援センターを探して、連絡先を彼に伝えました。そして、「こう
いうところもあるので、ぜひ一度行ってみたら?調子がよくなったら、そういうところ
で仕事を探してもらえたり、いろいろ相談できるから」ということを伝えました。そう
したら、「ありがとうございます、ぜひ利用させていただきます」という返事をもらえ
たのです。
進藤
一般の求人で来られて実は障害者だった方に、企業のほうから「手帳取った
ら?」と言って、支援センターを紹介したというエピソードです。これも、就労支援セ
ンター等と長く付き合ったからこそできることなのかなと思っています。
田中 そうですね。
- 34 -
◆おわりに
進藤 飯田さん、頭が、これは雇わなければいけない側に変わってきましたか。自由
に意見を──やっぱりいやですと言ってもいいのですよ。
飯田 本当にもし可能性があって、そういう機会があるならば、ちょっと考えてみた
いなという気持ちになっています。私は東京青年会議所世田谷区委員会の副会長もさせ
ていただいていまして、この協議会を立ち
上げた団体の1つとして、メンバーにもそ
ういう機会があるのだということを伝え
ていかなければいけないと思いますし、ま
た残りの「障害者雇用支援プログラム」等
にも、多くのメンバーを紹介したいと思い
ます。
進藤 今の発言は全然仕込みではないですからね。本当にびっくりしました。
では、お時間が迫ってきたので、一言ずつ本日の感想を、飯田さんは話されたので、
田中さんと浅川さんに聞いて終わりたいと思います。いかがだったでしょう。
田中 障害者を雇用するようになって、国のいろいろな制度とか、補助金のこととか、
そういったことも尐しずつ分かってきましたが、一番はじめに雇用した時、雇用支援制
度の話を一切受けませんでした。奨励金などをもらえたのだということを後で知ったの
ですが、その時は結局「過去のことだから」と言われてしまいました。税金でも何でも
過去にさかのぼって追徴で払わされるのに、どうして払ってくれることに関しては払っ
てくれないのかと、すごく腹立たしく思いました。
いろいろな助成金とか雇用支援制度を、もうちょっと企業に対して、ハローワークや
担当者の方がきちんと説明していただけると、企業側も入りやすいのかなというのはす
ごく感じました。
進藤 支援機関側が「たぶん知っているだろう」と思うような初歩的な制度について
も、その都度ご説明したほうがいいという感じですね。どうもありがとうございました。
では浅川さんも、ご感想を一言どうぞ。
浅川 今日はいろいろ勉強になりました。ありがとうございます。
私たちも立ち上げるときに、助成などの制度を利用したいと思いましたが、該当しな
- 35 -
いものばかりで、あきらめました。ま
ず仕事がたくさんあるわけではないの
で、仕事を増やしていくところから始
めながら、また人も増やしながら、進
めているところです。けれども、助成
金がないからあきらめるのではなく、
ではどういう方法でできるかを考える。
これがだめだから全部あきらめるので
はなくて、何かできることを考えて進
めるということは、障害のある人と一
緒に働いていく場面でも、同じかなと
思います。できないから雇えない、で
はなくて、このことができるから、そ
のことで一緒に働こうとか、そういう
ことを尐しずつ組み合わせながらネッ
トワークを作って、皆で楽しく働けた
らいいなと思っています。
進藤 ありがとうございました。
今日は短い時間の中でのパネルディスカッションで、「新しい働き方の模索」という
ことで、お三方にお話ししていただきました。最初は雇えないと言っていた飯田さんが、
ちょっと考えてみようかな、と変わったのはすごい驚きでした。他にも週 20 時間以内
でも雇ってみようという企業の方がいらっしゃったことは、支援機関の方にとっても驚
きだったと思います。また、地域でこういう新しいグループを作ってみよう、という動
きがあることは、皆さまにとってもなかなか面白かったのではないかと期待していると
ころです。
以上で、本日のパネルディスカッションを終わりたいと思います。お三方にもう一度
盛大な拍手をお願いします。
どうもありがとうございました。
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