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Ⅲ-7子ども班

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Ⅲ-7子ども班
第Ⅲ章
班別マニュアル
7
子ども班
教職員ハ ンドブック3g .pdf
子ども班の人選
◎学年担当:全ての学年主任がこれに当たります。
○協力教職員:全ての担任教師はこども班に所属します。副担任、クラブ顧問などの関係
教師は必要に応じて子ども班を手伝いましょう。
班
担 当
子ども班 学年担当
役
割
(1)子ども達への伝え方
(2)クラスでの喪の作業
(3)活動サポート
(4)気になるケースへの対応
(5)相談態勢
◎担当者(学年数)
◎各学年主任
○協力教職員
○全担任
○当該担任、関係教師等
子ども班のポイント
○危機とはその人の限界を超えた事態ですから、一人で抱え込まず、相談をし、助けを求
めましょう。
○子どもは大人が守ってあげなければいけません。しかし、子どもは一方的にケアを受け
るだけの弱い存在ではありません。確かに今はショックを受け、弱っているかもしれませ
んが、大人や他の子どもを慰めるなど、いろんな力を持っています。
初 動 で の ポ イ ン ト (Ⅱ-1参照 )
●まずは子どもを守ること、避難、応急処置を優先します。
●携帯電話の電源を入れ、メモとペンを携行しましょう。可能であれば教職員ハンドブ
ック ( 特にⅡ-1<1>の各 学校用) を携行しましょう。
●病院等に搬送する場合には、必ず大人がついていきます(養護教諭が同乗するのはお勧め
できません)。
●病院等に搬送した場合には、保護者にすぐに知らせましょう。
●校内に残っている子どもにも大人がつき、名前を掌握し、保護者に連絡しましょう。
○以 下の記載が100%正 しいわけでは なく、また、 この通りに全 て実行できる 学校もありま せん。
○私 学の場合には 、「教育 委員会」のと ころを私学の 経営母体と読 み替えてくだ さい。
○
は、CRT との 協働でなく学 校(と教育委 員会)のみの 動きです。
- Ⅲ-7-1頁 教職員ハンドブック
教職員、行政、精神保健専門家用
第Ⅲ章
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7
子ども班
子 ども達 への伝え 方
まずは自分の気持ちに向かい合うことから
○「子どもにどういう態度で接したら良いのでしょうか?」教師の戸惑いです。しかし、
その前に、自分の気持ちと向かい合うのが先です。教師である自分自身の今の気持ちはど
うなのでしょうか? 悲しい、腹立たしい、やるせない…。自分の感情を言葉にしてみま
しょう。何を見、何をし、どんな体験をしたのでしょうか。言葉にしてみましょう。でき
たら、同僚か専門家に聞いてもらいましょう。教師が自分の体験(経験と気持ち)に向か
い合うことで、子どもに向かい合うことができるようになります。
○全ての教師が集まる職員会議の時に、専門家からトラウマについてのレクチャー(心理
教育)を受けておくことをお勧めします。 →Ⅲ-8(2)ア 教職員への心理教育
ア 子どもへの伝え方
子どもとのやりとりには“知・情・意”を動員しましょう。特に断りがなければ、ここ
では子どもが死亡した事案を想定して説明します。
クラスでの伝え方
○担任教師がまず悩むのが、子どもにどう伝えるかということです。当該クラス、当該学
年、他の学年で当然伝え方は違ってきます。基本スタイルを協議しましょう。
クラス(集団)での伝え方
個別に聞かれた時の返し方
当該クラス
当該学年
兄弟のいる
クラス
他のクラス
(小学校では
学年によりか
なり伝え方が
異なる)
- Ⅲ-7-2頁 教職員ハンドブック
教職員、行政、精神保健専門家用
第Ⅲ章
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子ども班
○一度で伝わるはずはありません。個人差もあります。後で説明する喪のプロセス(喪の
過程)のスタートにすぎないのです。
●教師が事実を伝えることのみに囚われず、自分の今の気持ちを率直に言葉にしてみまし
ょう。内容に囚われず、自然な感情の交流を大事にします。
●低学年では「死亡」という意味がわからないこともあります。無理にわからそうとする
のではなく 、「先生はとっても悲しい」という気持ちを伝えてください。
○必要に応じて、他の教師や専門家がクラスに入るようにしましょう。
→Ⅲ-8教職員班 (3)ア 活動サポート
知…何があったのか
● 伝 え る 「内 容 」 は 「 情報 発 信 の 流れ 」( → Ⅰ- 2 (3)ア) によ り 全て のク ラス 共 通で す。
それを元に各クラスで伝え方をアレンジしてください。前頁の基本形をケア会議で専門家
を交えて協議し、個別にも専門家に相談しましょう。
●学年集会ではサラリとしか伝えませんので、 事実を伝える役割は担任にある と考えてく
ださい。ここでボカすと 、「学校は何も教えてくれない」と不信感を持たれます。
○正確な情報を伝える最大の目的は、憶測やうわさ話で混乱しないためです。推測や憶測
は言わないようにしましょう。
○別にそれほど知りたくもない子どもにまで無理に詳細を伝える必要はないのです。
○無理に事実を理解させようとせず、特に低学年の場合は「情」を重視してください。
○一度で全ては伝わらないことを理解しましょう。
情…気持ち
●まずは教師自身が自分がどう感じているのかを知ることから始めてください。考えてい
ることではなく感じていること、それを言葉にしてみましょう。
●子どもの前で少し涙が出ても構いません。むしろ、そのほうが子どもたちも自分の気持
ちに素直になれます。あまりにつらい時は、先に専門家に相談してください。
●怒りの感情は表現が難しいので、怒りが強い場合には、専門家に相談してください。
○死を美化してはいけません。特に自殺した子どもの心情に共感することは誘発のリスク
があります。故人の尊厳を守りつつも、そこは注意したい点です。
● 子 ど も から 出 て き た 感情 は 、 否 定せ ず 、「 そう 感 じ て いる ん だ ね 」 と返 し て く ださ い。
(意見と気持ちは違います)
○低学年の場合 、言葉にすることは難しいですが 、雰囲気を感じてもらえば十分でしょう 。
意…どうする(2回目以降)
●最初は無理ですが、2~3回目からは、対処法もテーマに入れていきましょう。
●「自分がつらくなった時に誰に相談するか」というのも、これに含まれます。
●亡くなった子どものために、鶴を折るとか、絵を描くとか、いろいろな提案が出て来る
で し ょ う ( 一 律 に は し な い よ う に し て く だ さ い )。 教 師 か ら 提 案 す る よ り 、 可 能 な 限 り 子 ど も の
提案を取り上げるスタイルをとりましょう。
●今とてもショックを受けているお友達に何がしてあげられるかという“いま・ここで”
の課題も大切になります。
● 教 師 へ の 気 遣 い が 出 て 来 る こ と も あ り ま す 。「 あ り が と う 」「 そ う 言 っ て も ら っ て 、 先
生も気持ちが少し楽になったよ」と返してあげましょう。
○いじめなどの背景がある場合には、集団で否認するような心理(なかったことにする)
が働くことがあります。
- Ⅲ-7-3頁 教職員ハンドブック
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子どもに知らせないで欲しいという意見
●ごく一部の保護者から「子どもには知らさないようにしていたのに」という苦情が出る
ことがありますが、何も知らせないと不正確なうわさが広がってしまうことをきちんと説
明しましょう。
○教師の中にも「寝た子を起こす」ことを恐れる意見が出ますが、隠し通すことが可能で
あれば別ですが、多くの場合は伝わってしまいます。不正確に伝わるよりは先に正確に伝
えましょう。
○また、教師が先に伝えないと、教師に対する不信感が出てきて、その後のケアがやりづ
らくなります。きちんと伝えた上で、その衝撃も含めて、誠実に対応するのが基本だと思
います。もちろん、例外が無いわけではありませんが。
新聞やテレビ報道について
○報道は関係者ではない人達のために報道されているので、関係者である子どもたちが見
る と 強 い スト レ ス に な るこ と が あ りま す 。 特 にテ レ ビ は 注 意が 必 要 で す。 し か し 、「 見な
いように」と言うと、学校が都合の悪いことを隠しているように受けとめられてしまうか
もしれません。
メールやインターネットについて
○新しく大変難しい課題です。
- Ⅲ-7-4頁 教職員ハンドブック
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イ 学年集会
特に断りがなければ、子どもが死亡した事案を想定して説明します。
全校集会か学年集会か
○ 多 く の 学校 で は 、「 全校 集 会 で 伝え て 黙 祷 する 」 こ と がご く 当 た り 前と 考 え ら れて いま
すが、全校集会でいきなり伝えるのは危険な場合があります。多くの子どもにパニックが
広 がった場合に対処がで きないからです ( 小 規 模 校 の場 合 は こ の 限 りで は あり ま せん )。中学生が
最もパニックが広がりやすいのではないかと考えられます。
○当該クラス、当該学年、他の学年で衝撃度がまるで異なるにもかかわらず、一律の対応
をした場合には 、様々な反応が出てしまう可能性があります 。場違いの反応もあり得ます 。
また、小学校の場合には年齢差が大きいという問題があります。
○死亡事案の場合、これをもって学校としての喪の過程(プロセス)は終わったとされて
しまう危険性があります。子どもに伝えることは喪の過程のスタートです。時間をかけ、
丁寧な関わりが求められます。
学年集会の組み立て
●小学校の場合、当該学年、低学年、高学年の3回というのが現実的なやり方でしょう。
○集会はせずに、全校放送を使うなどの、代替方法も検討してください。
○学年集会を行うには、周到な準備が必要です。全校挙げて取り組む必要があります。下
図の組み立てをしっかりと頭に入れておきましょう。
<オリジナル>
d
保健室での対応
早退
毛布、甘い物、暖かい飲み物(×コーヒー)
a
c
教室での対応
学年集会
・子どもに応じた
事実関係等の説明。
・悲しみの気持ち
を少し表現。
など
座らせ、短く(10分以内)、サラリ
b
不参加の子どもへの対応
別室で教師と、黙祷等参加
◆図
e
教室での対応
・気持ちの表現
・何ができるか(と
てもつらくなった
子どもへどうして
あげようか等)
下校
学年集会の組み立て
基本的な対応はクラスで行う(a) →(1)ア 子どもへの伝え方
○その学年やクラスに応じた事実関係の説明は各クラスで行います。
●何を伝えるかの基本形はあらかじめ決めておき、ケア会議で調整し、クラスに応じてア
レンジしてください。専門家にも相談してください。
○悲しみなどの感情を出す場もクラスです。
参加しないことを認める(b)
●学年集会に参加することが心配であれば、無理に参加する必要がないことを、各クラス
で 十 分 伝 えて く だ さ い 。「ど こ ま でな ら 大 丈 夫そ う か 」 を自 分 で 判 断 でき る こ と がと ても
大切です。
●参加は子どもの主体性に任せ、また、一度「参加」を決めてもいつでも安全なほう(不
参加)に変更できるように後ろの橋を用意してください。
- Ⅲ-7-5頁 教職員ハンドブック
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● 不 参 加 の子 ど も に も 教師 が つ い てく だ さ い 。「図 書 室 に集 ま っ て も らう 」 な ど 、あ らか
じめ決めておきましょう。学年集会で黙祷がなされる場合、予定時刻に合わせて黙祷をす
るなどし 、「自分たちも参加している」と感じられるようにしましょう。
保健室の態勢(d)
●集会中に気分が悪くなった時は、無理せず早めに保健室に行くように伝えてください。
○一睡もしていない子どもやほとんど何も口にしていない子どもがいるかもしれません。
●保健室の態勢を取ってください。温かい飲み物や甘い物を用意してください。ただし、
カフェインの入った飲み物はお勧めできません。
●保健室に子どもが殺到する事態も想定して、次の対策を備えておいてください。別室と
対 応 す る 教師 を ( ど の 子ど も に ど の部 屋 を 利 用さ せ る か の 判断 も 必 要 です )。 数 が多 い時
は、すぐに本部に知らせてください。
●どの子どもが利用したのかと 、簡単な状況を記録し 、担任と専門家に知らせてください 。
また、集計結果を危機管理班(情報担当)へ伝えましょう。
学年集会は儀式としてサラリと行う(c)
●子どもを立たせたままにしないでください。
●夏の蒸し暑さや冬の寒さも、気分が悪くなることにつながります。
●気分が悪くなったりしたら、がまんせずに保健室に行って良いことを最初に伝えてくだ
さい。
●事実関係の詳細までは話さないでください。これは各クラスで必要に応じて行います。
●悲しみを強調しすぎないように、サラリと話しましょう。悲しみを共有するのも各クラ
スで行います。
● と に か く短 く し ま し ょう 。 校 長 の話 は 3 分 以内 ( 長 く て も5 分 )。 集会 全体 でも 10分以
内(長くても15分)を目安としてください。
校長が話す内容を箇条書きする(責任者)
●あらかじめ箇条書きし、他の教師や教育委員会職員や専門家など異なる視点からチェッ
クをしてください。
●可能であれば、話す要点を、あらかじめ各担任に配っておくと良いでしょう。
○ 例 え ば 、交 通 事 故 の 場合 に 、「 気を つ け ま しょ う 」 と いう 言 い 方 を する と 、 防 ぎよ うの
ない事故の場合に「どう気をつけろと言うんだ!」という不信感を持たれますし、逆に防
げたはずだという印象を与えると、被害者自らの落ち度を暗に伝えることになります。直
後 に 教 訓 的な 話 を す る のは い か が なも の か と 思い ま す 。 ま た 、「 命 を 大切 に 」 と いう よう
なありきたりの言い方をすると、かえって子どもの心が離れてしまうかもしれません。
○ う っか り言 って し まい がち です が 、「 済ん でし ま った こと は忘 れ て、 これ から … 」、「 幸
い…で済んだ」という言い方をしないように気をつけましょう。
自殺の場合
○誘発防止のためには、学年集会は開かず、クラスで対応する方が安全と考えられます。
○ 学 年 集 会を 開 く 場 合 も、 死 を 悼 むこ と だ け を扱 い 、「 自殺 」 そ の も のに は 言 及 しな いの
が良いのではないかと思います。伝えるのはクラスですが、手段の詳細は話さないのが原
則です (誘発防止のた め)。
○死を美化してはいけません。
- Ⅲ-7-6頁 教職員ハンドブック
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集会後にクラスで対応(e)
●学年集会後にクラスで対応する時間をとってください。
●互いの気持ちを少し確認するなどしてください。
●可能であれば、自分たちに何ができるかなという提案をしてみてください。故人のため
に何が出来るか。ショックの強い同級生のための配慮でも良いでしょう。
学年集会の報告(危機管理班、責任者)
●学年集会で何を伝えたのか、子どもの様子はどうだったかなどを、保護者やマスコミ向
けに文章化しておきましょう。
●学年集会会場にマスコミを入れないでください 。その代わりに集会後に記者会見( 校外 )
を行う必要が生ずるかもしれません。
- Ⅲ-7-7頁 教職員ハンドブック
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ク ラスでの喪の過程
クラスメートや同学年が亡くなった場合にどう向き合っていくかが「喪の過程(プロセ
ス )」 で す 。「 葬 儀 へ の 参 加 」 は そ の 一 部 で あ り 、 ゴ ー ル で は あ り ま せ ん 。 学 校 全 体 で の
取 り 組 み ( → Ⅲ - 3 (3)遺族 へ の 対 応と 喪 の 過 程 )と 、 各 ク ラス で の 取 り組 み が 並 行し て
進むことになります。ここでは亡くなった子どものクラスを念頭に説明します。
ア 喪の過程(葬儀まで)
子ども達への伝え方
○喪の過程の前段階(あるいはその一部)として、子ども達へどう伝えるかについては、
クラスでの取り組み(→(1)ア 子どもへの伝え方)と学校全体での取り組み(→(1)イ 学年
集会)に分けてすでに説明しました。
喪の過程におけるポイント
喪の過程におけるポイント
①教師が主導するよりも、子どもたちから出て来るアイデアを大切にする。
②一人一人違うという前提で、つらい人へ配慮する雰囲気を作る。
③学校・教師は「拒否権」を持つが、極力使わないのが良い。
①教師が主導するよりも、子どもたちから出て来るアイデアを大切にする。
●葬儀に向けては 、「折り紙、絵、作文」が定番ですが、教師が提案するのではなく 、「○
○さんのために、今私たちがしてあげられることは何かないかな」と誘い、子どもからい
ろいろなアイデアが出るようにしましょう。
○絵や作文は苦手な子がいるので注意が必要です。その点、折り紙は教えてもらえば誰で
もできるでしょう。
●低学年では非現実的なアイデアも出て来るでしょうが 、教師がすぐ否定するのではなく 、
気持ちをくみ取り、共有していきましょう。
②一人一人違うという前提で、つらい人へ配慮する雰囲気を作る。
● な る べ く多 数 決 は 避 けて く だ さ い 。「 一 人 でも と て も つら い と い う 友達 が い た ら、 その
子のために譲ってあげようね」というような、互いの気持ちを大切にする雰囲気を作って
ください。
○実は 、ここが一番大切なポイントです 。トラウマや喪失からの回復には個人差が大きく 、
必ず何人かが取り残されてしまうからです。一番つらい人を気遣う雰囲気を今から作って
おくことが大切です。 →Ⅰ-2(2)イ 危機管理の達成目標⑦
③学校・教師は「拒否権」を持つが、極力使わないのが良い。
○クラスの子どもの総意であっても、採用できない場合があります。
●遺影を掲げることついては、繰り返し想起させられることで辛いと感じることが多いで
し ょ う か ら、 避 け た 方 がい い で し ょう 。 遺 族 の了 解 も 必 要 です 。「 ご 両親 は ど う 思う だろ
- Ⅲ-7-8頁 教職員ハンドブック
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う か 。 つ らく な る 人 は いな い か な 。先 生 も 今 晩考 え て み よ う 。」 と 保 留し て み る のも よい
でしょう。集合写真などであればそれほど問題はないのではないかと思われます。
●遺品や机など全て消してしまう方向で意見がまとまることがあります 。その場合は 、
「○
○君はこのクラスにいたんだよ。○○君がいたことを消してしまうようなことは先生は納
得 で き な いな 。」 な どと 伝 え て み ては ど う で しょ う か 。 背景 に い じ め など の 生 徒 間ト ラブ
ルがある場合には、このようになりがちですが、教師が気づいていないことが多いので、
注意が必要です。
葬儀へ向けてクラスでの関わり(担任)
●「死亡児童のクラスは全員参加、同学年の他のクラスは希望者だけ」というような一律
の方法はやめましょう。あくまで子ども一人一人に選ばせてください。もちろん、低学年
は保護者の意向が大切ですし、参列の場合には同伴してもらうほうが安全です。
●葬儀に出る・出ないは自分で決めていいんだということを繰り返しクラスで伝えましょ
う 。「 出 るこ と で と ても 辛 く な る かも し れ な いの で 、 そ うい う 時 は 出 ない と い う こと も、
決して恥ずかしいことではない」と。出ないと決めた子が他の子どもから批判を受けない
ように配慮し、出棺の時間に合わせて黙祷するなどで参加の方法を考えましょう(誰か教
師がついておくこと )。
○哀悼にふさわしくない態度を示す子どもがいたりしますが、実はとてもショックを受け
ていて、それを否認するために場違いな行動に出ていることがしばしばあります。
○鶴を折るなどの作業に集中することで、子どもの主体性が回復してきます。
●追悼文を読む子どもには特別な目配りが必要です。
● 出 棺 の 際に ご 遺 体 と 対面 ( お 別 れ) す る こ とが あ り ま す (斎 場 へ 確 認の こ と )。状 況を
よく説明し、それでも子どもたちの強い希望がある場合にのみ検討してください。もちろ
ん 希 望 者 だけ で す し 、 会場 で 再 度 確認 が 必 要 です 。( 斎 場に 連 絡 し 、 ご遺 体 の 状 況を 確認
しておく必要があります 。)
○教師自身が自分の気持ちに素直になれるかどうかが鍵を握ります。子どもの前で涙が出
てしまうかもしれませんね。
葬儀のマナー
●子どもに葬儀のマナーについて簡単な説明をしてあげましょう。
○インターネットの検索エンジンで「葬式 マナー」をキーワードに検索するといろいろ
と出てきます。使いやすいページを綴じておきましょう。このハンドブックには掲載して
おりません。
- Ⅲ-7-9頁 教職員ハンドブック
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イ 喪の過程(葬儀後)
葬儀直後
○CRTは、葬儀後に教師から子どもの様子を確認します。葬儀後の喪の作業にCRTは
ほとんど関われませんが、基本的な助言を残します。
○ 子 ど も たち が 主 体 的 に関 わ り 、「 自分 た ち もや っ た ん だ」 と い う 感 触を 持 つ こ とは 、ト
ラウマケアの観点からも重要です。葬儀は確かに1つの区切りとなります(レベルⅢま
で )。
○教師にとっても気持ちの上での1つの区切りですから、この後にグループワーク(分か
ち合いの時)を持つのが良いでしょう。 →Ⅲ-8(2)イ 教職員のグループワーク
クラスで続く喪の作業
●机や花や遺品をどうするかを子どもたちと随時話し合って1つ1つ進めていきましょ
う。
● 多 数 決 は避 け て く だ さい 。「 一 人で も と て もつ ら い と いう 友 達 が い たら 、 そ の 子の ため
に譲ってあげようね 」というような 、互いの気持ちを大切にする雰囲気を作ってください 。
ただし、つらいからと言って、故人の痕跡を消し去るようなことは問題があります。故人
の尊厳と遺族の心情への配慮という点では 、教師ははっきり意見を述べる必要があります 。
●遺影を掲げることついては、繰り返し想起させられることで辛いと感じることが多いで
しょうから、避けた方がいいでしょう。遺族の了解も必要です。校長室で預かってもらう
というのも1つの方法です。
●遺品の扱いについては、遺族の了解が必要です。子どもたちの希望を尊重しますが、こ
こ は 遺 族 の意 向 が 優 先 され る こ と を子 ど も た ちに 説 明 し ま しょ う 。 例 えば 、「 こ の絵 は教
室に飾っておきたい」という希望でまとまれば、遺族に子どもたちの希望ということで伝
えてみましょう。遺品をお返しする場合も、子どもたちの参画の方法を子どもと一緒に考
えてください 。(ただし、一方的に全てお返しするのは考え物です)
○子どもたちが、亡くなった子どものことを大切にしてくれているということが伝わるこ
とで、遺族の気持ちが少し癒されることがあります。
○6年生であれば、卒業式までのプロセスがとても重要です。他の学年でも「一生に卒業
する」という子どもの気持ちを大切にし、卒業までは何らかの対応が必要です。
- Ⅲ-7-10頁 教職員ハンドブック
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子ども班
活 動サポート
教師が、クラスやクラブ等で子どもたち(集団)に対応するのを、他の教師、専門家が
サポートすることを言います。
ア クラス活動とグループワーク
→Ⅲ-8教職員班 (3)ア
クラス活動へのサポート
●特別な見守りが必要なクラスやクラブにおいては、他の教師や専門家に入ってもらうな
どしましょう。安心感がありますし、複数の目で見ることが大切です。
子どもへの心理教育
○子どもに“からだとこころの反応”とその対処法を伝えるのは、教師が授業などの日常
活動の中で自然な形で行う方法が考えられます。巻末資料集の保護者パンフレットの内容
を使えます。
[伝え方の例をここに入れる 予定 です 。]
○被害についていきなり集団の場で聞くことはやめてください。他の子どもの手前言い出
せずに 、「大丈夫」と返答してしまい、その後語るチャンスを失うかもしれません。
○高校生であれば、養護教諭や保健教師が行うことも考えられます。事前に専門家の指導
を受けましょう。
○専門家(スクールカウンセラー等)が行うこともあります。
グループワーク
○専門家主導でクラスや小グループで話し合いを行うことがあります。絵画や作文、人形
などを用いることもあります。
○ただし、スキルと経験が求められるため、一部の専門家に限られます。また、3日間限
定のCRTで実施されることはまずないと考えられます。
- Ⅲ-7-11頁 教職員ハンドブック
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気 になるケースへの対応
子ども班
担任、学年主任、クラブ顧問等
自分が受け持っている子ども(と家庭)への関わりです。担任、副担任、クラブ顧問、
学年主任などの立場での関わりです。元担任なども重要な間柄です。
ア 遺族支援
→Ⅲ-3保護者班 (4)ア 遺族支援
担任、クラブ顧問、学年主任、元担任としての関わりです。兄弟がおれば、兄弟のクラ
スの担任等が中心になってその子の支援を行います。
イ 特定支援
→Ⅲ-2危機管理班 (3)イ 特定対応
担任、クラブ顧問、学年主任、元担任としての関わりです。兄弟がおれば、兄弟のクラ
スの担任等が中心になってその子の支援を行います。
ウ 重度被害ケースへの関わり
○重度被害ケースについては、専門家が直接関わることになると考えられます。可能な限
り、面接に同席させてもらうなどしましょう。年齢が上がるにつれ、同席を望まなくなり
ますが、終わりに呼んでもらうのならできるかもしれません。今後のことを話し合いまし
ょう。
○特別に配慮の必要なケースでは、その子どもや保護者と面識のある他の教職員(や管理
職)も必要に応じて同席させてもらいましょう。当該教師の負担を減らし、また、客観的
な情報を得やすくなります。無用な行き違いも少なくなります。
○学校に来ることができない場合には、訪問(病院、家庭)が必要になります。
○子どもの事情聴取へは配慮と支援が必要です。保護者、教師、専門家が同席できれば、
何度も聴かなくて済みます。 →Ⅲ-5学校安全班 (1)イ 事情聴取
○ケア会議で情報を共有しましょう。
エ ハイリスクケースへの関わり
○上記以外で注意や配慮が必要なケースへの関わりです。後からわかることも多いので、
そのつもりでおりましょう。
○ハイリスクケースのピックアップについては担任教師の情報がとても重要になります。
→Ⅲ-6(1)イ 被害程度把握
○重症度の判断は一人で行わず、専門家と相談したり、ケア会議を利用するなどしてくだ
さい。
○スクールカウンセラーなど専門家が直接関わる場合と、教師を通じて関わる場合とがあ
ります。
○一人で抱え込まないようにしてください 。可能な限り 、専門家のアドバイスを受けたり 、
ケア会議で意見を聞くなどし、また、経過をケア会議で報告するなどしましょう。
- Ⅲ-7-12頁 教職員ハンドブック
教職員、行政、精神保健専門家用
第Ⅲ章
班別マニュアル
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相 談態勢
子ども班
担任、学年主任、クラブ顧問等
相談のスタイル別に説明します。
ア 面接相談
教師による面談
○一人で抱え込まないようにしてください 。可能な限り 、専門家のアドバイスを受けたり 、
ケア会議で意見を聞くなどしましょう。
○ 「 元 気 だ 」「 大 丈 夫だ 」 と 思 っ てい た 子 ど もが 、 思 わ ぬダ メ ー ジ を 受け て い る こと があ
ります。大人に心の準備ができていないと、それを受けとめることができず、子どももそ
れ を 察 知 して 「 心 配 を かけ ま い 」 と、 語 る の をや め て し ま いま す 。「 聴く 用 意 が ある 」こ
とを伝えておきましょう。また、話してくれた時には、後で恥じないために「よく話して
くれたね」と一言添えてあげましょう。
専門家による個別面接
○専門家による個別面接に教師が同席しなかった場合、当事者の了解なしにはその内容を
全て学校側に知らせることが(年齢にもよりますが)難しくなります。
○同意が得られるなら、可能な限り教師も同席させてもらいましょう。全部でなくて一部
でも構いません。
イ 電話相談
電話連絡
○一斉連絡が必要な場合、連絡網では不十分なので、教職員が手分けをして、電話連絡を
入れる必要があります。
○担任を通して、自宅での子どもの状況把握が必要なこともありますが、電話では難しい
場合があります。
電話相談
○主に保護者から電話で相談が入ることがあります。一人で抱え込まないようにしましょ
う。
ウ 訪問相談
直後の訪問
○直後の早い段階で担任は訪問が必要でしょう。
→Ⅱ-1<1>イ
その後の訪問
○家庭訪問では、時間に余裕のある計画を立ててください。
○専門家が同行する場合もあります。
- Ⅲ-7-13頁 教職員ハンドブック
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第Ⅲ章
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エ 保護者会支援
7
子ども班
→Ⅲ-3 保護者班 (2)エ 保護者会支援
保護者会の準備
○保護者会は全校挙げて取り組むべき行動計画なので、いろいろと準備や支援が必要にな
ります。もちろん 、「会場準備」などもあります。
○自分が受け持っている子どもの中で、配慮の必要なケースをケア会議などで確認してお
きましょう。 →Ⅲ-6 ケア班 (5)エ 保護者会支援
保護者会中
○子ども(含・幼児)を連れてこられる場合があります。
○ 自分の クラス のどの 保護 者が来 られた のか、 可能な 限り把握してく ださい ( 受付 が あ る と
やり やすいのです が、人数が多 い場合は難し いです)。
●保護者会で発言してくださった方を、担任は本部に知らせるようにしてください。配慮
が必要な場合には、そのことを伝えてください。
保護者会後
●保護者会後に不安な保護者は何か聞きたい・話したいものです。気楽に話しかけられる
位置に立っておきましょう。
● 専門家が簡単な相談を 受ける ( 場所 を 設 定 す る 場 合 と立 ち 話の 場 合が あ りま す ) ことがあります
ので、うまく利用しましょう。一緒に専門家のいるところに行きましょう。また、自分の
クラスの保護者が相談されている場合、どなたなのか伝えてください (ただ し、臨席が良 い場
合と 、望まれない 場合とがあり ます)。
- Ⅲ-7-14頁 教職員ハンドブック
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