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一票の格差 - Sumi

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一票の格差 - Sumi
2012 年 11 月 24・25 日
第 15 回学生の集い
「一票の格差」
若者と年配者の格差について
追手門学院大学
奥井ゼミナール 日本経済論パート
五十嵐将
生田晋士
魚井浩之
川西良貴
三宅修平
渡辺惇平
1
フローチャート
一票の格差とは「人口」
「有権者数」
「投票者数」の 3 つの違いが一票の格差を生む
ということがわかった。
5
一般的に地域間格差が取り上げられるが、それに限ったことではないようだ
↓
「格差」の認識
10
社会保障制度や人口推移など時代の変化により
若者は弱者、年配者が強者という社会的対立が存在する
↓
15
現状の社会保障・政治システムに対して
若者は小さな政府、年配者は大きな政府を望むことにより
イデオロギーが対立することがわかった
↓
20
若者・年配者間において
人口・有権者数 → 少子高齢化社会により人口数が違う
投票者数 → 若者は投票率が比較的少ない現状
25
↓
「若者と年配者」には投票における格差は存在するといえる
↓
30
格差を是正するには
・人口区分が偏っている現状 → 少子高齢化対策
・年齢により投票率の偏りがある → 若者の投票数を増やす
・投票システムの是正 →
年齢別代表制
2
目次
序章
5
1 章 投票
1.1 投票とは
1.2 投票の捉え方
1.3 一票の価値
10
2 章 若者と年配者の対立
2.1 若者と高齢者の社会的に置かれている状況の違い
2.1.1 社会保障
15
2.1.2 世代会計
2.1.3 その他の若者と高齢者の世代間格差の具体例
2.2 若者と高齢者のイデオロギーの違い
2.2.1 若者が政治に望むもの・高齢者が政治に望むもの
2.3 投票における世代間格差は存在する
20
2.4 投票において若者が不利な理由・年配者の有利な理由
2.5 投票における若者と年配者の格差を是正するには
2.6 政治
25
3 章 少子高齢化社会
3.1 少子高齢化対策
3.1.1 何故少子化が進むのか
3.1.2 少子化を食い止めるには
3.2 少子化対策
30
3.2.1 子供の産みやすい環境を作る
3.2.2 景気回復・雇用安定
3.3 外国での少子化対策
3
4 章 若者の投票率の低下
4.1 なぜ若者の投票率は低いのか
4.2 何故若者は政治的関心が低いのか
4.2.1 若者に対する世間の常識
5
4.2.2 投票率は政治的関心と結び付くのか
4.2.3 社会常識はだれが作っているのか
4.2.4 若者は社会が期待する若者を演じる
4.3 若者の政治的関心を高めるには
4.3.1 教育
10
4.3.2 政治への不信感を取り除く
4.4 投票率を上げるには
4.4.1 インセンティブの付与
4.4.2 インターネットによる選挙活動
4.4.3 その他の諸外国での対策
15
5 章 投票システム
5.1 成人を 18 歳以上に引き下げる
5.2 投票システムの見直し
20
5.3 年齢別代表制
まとめ
25
あとがき
4
序章
我が追手門学院大学では、3 回生よりゼミに参加する。3 回生になり奥井ゼミに参加する
と同時に二十歳だ。選挙権を持つなどして社会人一年生のとき、本イベントである公共政
5
策フォーラム学生の集いに参加することにより、一層政治的関心が高まった。
二十歳での入ゼミということで、ゼミ初回では選挙についての考えの質疑応答では、
「みなさんは投票にいきましたか?」「現行の政治に不満はありませんか?」「みなさんの
政治に臨むものはなんですか?」などなどゼミ生の政治的関心がどれほどあるか問うもの
が中心だった。
10
投票に行なったかを問われると、驚くことに選挙に参加したことのある人がごく少数だ
った。と同時に焦燥を覚えた。なぜかを問えば「投票に行くのがめんどうくさい。他にや
りたいことがある」
「みんな行ってないから自分も行ってない」「自分が行ったところで何
も変わらない」など。若者の投票率が低いという問題が挙げられ、それをゼミ生でまさに
体現している形だ。この時私は、政治への関心は薄すぎないだろうか。そう感じた。だが、
15
次、現行の政治に対して問われると、「子供手当は非効率的じゃないかなぁ」「マニフェ
ストは守れよ」
「震災の時のグダグダが許せん」「天下りとか」
「労働状況」など挙げていけ
ばきりがない、つまり「政治家の言っていることが首尾一貫しておらず何を信じていいの
かわからない現状をどうにかするべき。民意が反映されていない」ということだ。
典型的な知識不足だ。そしてこれでは若者の投票率が上がらない理由も多少はここにあ
20
るのではないか?つまりマ二フェストが達成されていない故に政治への関心は薄れたとい
うことはないだろうか。
「一票の格差がさらに広がる原因、若者の投票率の低さもある。
」
この話し合いが私たちの燃料になった。現行の政治システムには問題はなかったのか。
そう思い調べていくと政治以外にも「少子高齢化」などの問題が浮き彫りとなり、そして
25
創作意欲に繋がった。
今や GDP3 位の恩恵。先人に感謝をしている。だが、政治批判も書いた。多少、本論から
ずれているところも理解した上だ。平和ボケの脳を働かせてくれた現行のシステムへの不
満から出来ながら仕上がった。読みづらいところもあるかもしれない。だけど、このこと
を頭において読んでほしい。ただそれだけを思う。現状の不景気からの脱出そしてクリー
30
ンな政治への第一歩だとすら思う。
これからは就職活動の渦中に見舞われるわけだ。ゼミ生に政治に臨むものを問うと、ま
ず、就職率が上がるように景気を良くしてほしい。ごもっともな意見だ。だけど、誰も勉
強せず「興味がない」
「行きたいやつだけばいい」そんな戯言の時間は気付けばとっくに過
ぎていた。時はまだ遅くはない。私たちは「これから」の人間だ。
35
5
1章
投票
1.1 投票とは
5
投票
選挙・採決などに当たって、自分の意志を示すため選びたい人の名や賛否など
を記入した紙を所定の箱などへ入れること。
(三省堂
大辞林)
投票とは、ある集団での各成員の意思表示を行うための方法の一つである。集団内の石
が統一されない場合多数決によって物事を決定する事が多い。そのようなときに行う行為
10
が投票。また、意思表示の分布を調べるためにも行う。
民主主義において、投票は一般的に選挙のことを意味している。(大辞林参照)選挙とは
有権者がその職にふさわしい人物を候補の中から選ぶ事である。政治において投票は民主
主義による有権者がその政府の代表者を任命することである。
票とは個人の投票行動のことであり、特定の同期、特定の候補、または特定の候補者の
15
選抜に対する支持や選考が表明される。
私たちは、選挙権を握り始めまだ数年。社会人1年生にもなっていない。シーズンにな
れば選挙カーが家の前を走り、駅前に行けば拡声器を使いながらがなっている。大物議員
の時は TV で流れたり人だかりが出来ているが小物の時は皆は素通り。ポストには煩わしい
20
チラシがあったり、いつの間にか通学路に看板が設置され、気づけばポスターで埋まって
いる。
選挙に行った所で、わたしや僕の一票で何が変わるのかもわからないし、朝起きるのも
眠い、もっと寝ていたい。というのが本音だ。選挙という単語はよく聞くがどうも堅苦し
いく、どこか近くて遠い。衆議院議員総選挙の時は前持った、TV やラジオと記憶に微かに
25
残る演説のマニフェストを辿り何となくわかったつもりで投票する。市議員選挙の時なん
かはしばらく昼に地元にいないと訳がわからなくなる。もちろん有権者として把握すべき
だ。
ここで何を言おうが政治家や議員に届きそうにもないし、届いた所で私たちが聞く演説
と変わらない。しかし、二十歳以上平等の名の下にある権利でもあり義務でもある選挙権
30
を投票とは今一度何かを考えてみたい。
6
1.2 投票の捉え方
投票とは、投票者個別の意思表示ができる方法ではなく、政治家が決めたパッケージを
選ぶ行為である。例えば、
「僕は○○の案件は A 党を支持したいけども△△の案件について
5
は B 党の法案の方が魅力的だ。しかし、B 党の案件すべてに賛成はしかねるけども△△を優
先することにして B 党を支持して投票しようか」というような具合である。つまり現行の
選挙では投票者個別の意思表示ができるというわけではない。
10
1.3 一票の価値
我が国は民主主義国であるが、一票の価値には色々な捉え方がある。選挙区分による人
口比率の違いによる一票の価値の違い。代表例として「都市部の住民の一票は地方部の一
票よりも軽い」という捉え方である。つまりこの場合においては「多数派が不利で、少数
15
派が有利である」という具合である。
また、多数決が採用されている投票において少数派の意見は採用されないので、少数派
の一票の価値はゼロという捉え方もできる。例えば、男性と女性の比率が違う場合での投
票を考えてみる。
20
男性の人数が1000人、女性の人数が200人
A 候補は男性寄りの案件、B 候補は女性寄りの案件を掲げている
たとえ A 候補の女性の支持率が0割の0人の場合でも男性による支持率が7割の700人だとす
ると、B 候補の女性の支持者は女性10割の200人と男性の A 候補の男性による不支持者300
25
人の計500人となる。
B 候補支持者500人よりも A 候補支持者700人の方が多いので A 候補の当選となる。
投票者目線では多数派を支持すると人の一票が採用され、少数派を支持した人の一票の価
値はゼロとなる。
。
。
30
「多数派は有利で、少数派は不利である」という具合、などの視点によって一票の価値の
捉え方は変わってくる。
本レポートでは後者の「多数派は有利で、少数派は不利である」という捉え方についてピ
ックアップしていこうと思う。
35
7
2章
若者 vs 年配者
2.1 若者と高齢者の社会的に置かれている状況の違い
5
人は自分で生まれる時期を決めることはできない。生まれてくる時期が遅くなるほど、
所得税などの租税や、年金や医療などの社会保険料の負担が大きくなるにも関わらず給付
が減れば遅く生まれた人は不満を言いたくなる。また、世代間の問題に対する捉え方は人
によって様々であり、
「公的年金は生まれた年代ごとに受益と負担が大きく異なるので不公
平だ」「高齢者に対する手厚い雇用対策が若者の雇用機会を失わせている」「累増した政府
10
債務のツケを若者に負担させるのは問題だ」など人により意見や不満が異なる。このこと
から、若者と高齢者の社会的立場や状況は全く異なり、大きな格差となっている。
2.1.1 社会保障
15
現在の社会保障制度は再分配システムであり、高所得者から低所得者への所得再分配で
あれば不満を唱えるものは少ないが、ある世代からほかの世代への所得の再配分には不満
を唱えるものが多いと思われる。現在、負担を強いられている世代が、将来、同等の給付
を受けられるのであれば公平といえる。しかし、人口構造の変化などによって同等の給付
20
が期待できないのが現状であり、ここに世代間格差が存在しているとも言えるのである。
この社会保障制度の中でも特に格差が大きいのは社会保障給付金の中の「高齢者関係給
付費」と「児童・家族関係給付費」である。高齢者関係給付費には高齢者向けの年金、医
療、福祉サービスなどが含まれており、児童・家族関係給付費は児童手当や出産関係費が
含まれる。図1を見れば分かる通り、高齢者関係給付費は 1973 年から高齢化の進展ととも
25
に急増しているが、児童・家族関係給付費はほぼ変わっていないのである。また、2008 年
の高齢者関係給付費は 65.4 兆円あるのに対して、児童・家族関係給付費は 1.6 兆円にも満
たない。社会保障給付費全体でみると高齢者関係給付費は 69.5%を占めているが、児童・家
族関係給付費は 3.9%に過ぎない。現在の社会保障制度の財源をまかなっているのは主に現
役世代の人々であるにも関わらず、現役世代の負担の多くが次世代の子どもたちではなく、
30
前世代の高齢者に向かっているのが現状である。
8
【図表 1】
(出典:国立社会保障・人口問題研究所「平成 19 年度社会保障給付費」、2009 年度)
5
2.1.2 世代会計
「世代会計」を用いて世代間格差をみる。世代会計とは社会保障や公共事業、教育など
政府のあらゆる支出をまかなうには国民全員の負担が必要となるが、政府からの受益と政
府に対する負担を世代ごとに計算して、「どの世代がどれだけ負担を行い、受益を得るか」
10
を計算する手法である。この世代会計を用いた内閣府の試算では、2003 年度に 60 歳以上の
世代はおよそ 4900 万円の受益超過となるのに対し、20 歳代の世代は約 1700 万円の負担超
となっている。さらに注目すべきは、将来世代の負担超過額である。将来世代は 2003 年時
点の 20 歳未満の世代と、さらにこれから生まれてくるのであろう世代を指しているが、彼
らは生涯でおよそ 4600 万円の負担が超過となる。
9
この世代間格差は「高齢世代が得をし、若者世代が損をするから問題だ」という単純不
満を表明することで済む問題ではなく、最終的な目的は、格差をもたらした要因を見直し、
それらを改善することで、社会保障制度、労働市場システム、家族政策などの幅広い社会
5
諸制度全般にわたる持続可能性を維持することにある。なぜなら、世代間格差が拡大し続
ける制度は、若い世代に負担を先送りする制度であって、近い未来、限界が訪れることは
避けられないからである。
2.1.3 その他の若者と高齢者の世代間格差の具体例
10
若者と高齢者の間では様々な面で世代間格差が生じている。これらを具体例として示し、
若者と高齢者の格差を顕在化させていく。
・朝から大勢の高齢患者が押し寄せる大学病院では、高齢者は診察に検査、投薬などを受
けても窓口負担は 1 割で済む。しかし、残りの費用の多くは租税や現役世代の保険料に
15
よってまかなわれている。
・厚生労働省のモデルでは、標準的な年金受給額は毎月 22 万円余りとなっているが、これ
は現役世代の手取りの約6割の額である。この受給金額の少なさに不満を持つ高齢者が
いる一方で、現役世代の保険料が毎年上昇している。
・高齢者は、「年金が少ない。社会保障も不十分だ。我々は冷遇されている。」と主張して
20
いる。だが、社会保障の絶対水準については、負担とリターンの関係があるので、一概
に高低は論じられないが、社会保障費を誰に分配しているのかについては比較が可能で
ある。OECD(経済協力開発機構)基準による社会支出の国際比較統計により、2007 年時点
における先進 6 ヶ国(日・米・英・独・仏・スウェーデン)の政策分野別支出割合を見
ることができる。高齢・遺族分野への支出割合は、日本の 54.4%に対して、他の5ヶ国
25
平均は 37.5%であり、日本の高齢者は他の国々の 4 割増の配分を享受している。逆に、
10
家族分野への支出割合は、日本の 4.1%に対して、他の5ヶ国平均は 9.5%であり、日本
の子育て世帯は他の国々の半分以下の配分しか受け取っていない。本当は、日本で冷遇
されているのは若者で、逆に高齢者は優遇されていると捉える事が出来る。
5
この上で並べた世代ごとの受益や負担の違い、また日本の社会支出の不安定なバランス
は、若者の声が政策決定に反映されなかったことが大きな要因として言えるでしょう。そ
して、反映されなかった大きな原因として、若者の発言力=選挙権の重みが、一貫して減
少し続けてきた歴史状況が挙げられる。
これにより、若者と高齢者の間には大きな世代間格差があるといえる。
10
2.2 若者と高齢者のイデオロギーの違い
2.1 であげたように若者と高齢者は様々な面から比べても、社会的に置かれている立場が
15
違うのは明らかである。若者が望む政策(子ども手当や出産関係費等)と高齢者が望む政策
(年金、医療費等)が大きく異なっているが、少子高齢化による若者の減少、高齢者の増加
に伴い、政党が出すマニフェストでは社会保障と税の一体化や医療関係費の充実など高齢
者向けの政策ばかりで、若者に目を向けられていないのが日本の政治の現状である。
20
2.2.1 若者が政治に望むもの・高齢者が政治に望むもの
若者は現状の社会保障を納得してないのを納得できる形にしてほしい
高齢者は現状の社会保障をもっと手厚くしてほしい
25
若者は現状の社会保障を納得してないから小さな政府を望む
高齢者は現状の社会保障をもっと手厚くするため大きな政府を望む
これより若者と老人の間で相反するイデオロギーを持っていることがわかる。
30
2.3 投票における世代間格差は存在する
20 歳以上の成人が選挙権を有するという現行の選挙制度がスタートした 1950 年時点では、
35
有権者の年齢別構成状況を見ると、20 歳代は 30.8%であり、30 歳代の 22.7%を加えれば、
若年世代で過半数を占めており、65 歳以上の高齢者のウエイトは 9.1%に過ぎなかった。
11
これにより、当時の民意を大きく左右したのは若者と推察される。
しかし、著しい少子高齢化の進展により、2010 年には、20 歳代 13.0%、30 歳代 17.2%
と若年世代のウエイトは大きく減少し、逆に 65 歳以上の高齢者は 27.8%と、制度スタート
時点と比較して3倍以上のウエイト増加を示しています。さらに、今の子ども達が成人を
5
迎える 2030 年には、20 歳代 11.1%、30 歳代 12.3%、65 歳以上 37.0%という構成状況と
なり、若年世代の発言力は高齢者の半分程度まで減少してしまいます。
これにより世代間での投票における力関係の違いが存在すると言える。
10
2.4 投票において若者が不利な理由・年配者の有利な理由
● 若者の絶対数が少ない:有権者における若者の絶対数が高齢者と比べて少ないので
選挙で不利
● 若者の投票率の低下:若者の選挙離れにおける投票率の低下
15
● 政治プレゼンス:若者の投票率の低下により、政治プレゼンスが高齢者に偏っている。
2.5 投票における若者と年配者の格差を是正するには
20
投票における若者と年配者の格差を是正するためには 2.4 で述べた 3 つの問題の解決が
絶対である。1 つ目の問題である若者の絶対数が少ないことに関しては長期的な視点で少子
高齢化を解決するために社会保障給付費の児童・家族関係給付費を増額し、子どもを産み
やすい、または子どもを育てやすい環境づくりが必要である。2つ目の問題である若者の
投票率の低下には、アメリカ・韓国で行われているインターネットによる選挙活動、日本
25
の一部地域で行われているインセンティブの付与など様々な方法があると考えられる。3 つ
目の現行の投票システムを変えるという問題に関しては本文の第5章で述べたいと思う。
2.6 政治
30
ここでは身近な出来事に政治を置き換える。例えばあなたが体育会野球部に所属してい
て三年生がいなくなり新部長を投票で選ぶとする。
A 候補は、1,2年合同での練習を行いそれぞれの長所を伸ばす練習方法を提案。部費の多く
をのちの世代にも残る道具や器具に費やすとした。
35
一方、B 候補は、実践的な練習を増やすとして対外試合を活発にすると提案。対外試合など
によってかさむ移動費などは、これまでの部費の積み立てや学校からの補助があるので部
12
費の増費はしないとのこと。
この時、部員比率が(1年生)20:80(2年生)だった。もちろんの事引退までに実践的
な試合少しでも多く行いたい2年生の支持のもと、B 部長が当選した。
その後というのも、部費の積み立てはすぐに底をつき、対外試合をするための移動費を徴
5
収するため部費が上がってしまった。
当然の流れだと言えよう。なぜなら2年生が利己的且つ、目先の利益しか見てなかったか
らである。もし、A が B と同じような意見だった場合には一気に1年生の関心は薄れ投票す
らしなくなる。
この事が現実に起こっていると考える。
10
政治に対する不信感を前回の総選挙を例に説明する。
達成してないマニフェスト
・天下りの根絶
・議員の世襲を禁止
15
・衆院定数を80削減
・出産育児一時金として42万円を支給
・子ども一人当たり月額2万6000円を中学卒業まで支給
達成したマニフェスト
・高校、実質無償化及び助成金は達成
20
・大学生、専門学校生の希望者全員が受けられる奨学金制度を創設 達成
・生活保護の母子加算を復活します。 達成
以下マニフェスト
25
国の総予算207兆円を全面組み換え。
税金の無駄遣いと天下りを根絶。
議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減
中学卒業まで、一人当たり年31万2000円の「子ども手当」を支給します。
30
高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。
「年金通帳」で消えない年金。
年金制度を一元化し、月額7万円の最低保証金を実現します。
13
後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。
「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。
農業の戸別所得補償制度を創設。
5
高速道路無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。
中小企業の法人税率を11%に引き下げます。
月額10万円の手当付き職業訓練制度により、求職者を支援します。
地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。
10
民主党は政権交代した際のマニフェストに無駄遣い、子育て・教育、年金・医療、地域
主権、雇用経済の5つの政策を打ち出した。無駄遣いの項目では国の総予算207兆円を全面
組み換え、税金の無駄遣いと天下りを根絶、議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定
数を80削減という大きな政策を打ち出し、徹底的に無駄使いを排除、また様々な事業の仕
15
分けなどを行い、財源を捻出しようとした。子育て・教育の項目での中学卒業まで、一人
当たり年31万2000円の「子ども手当」を支給。高校は実質無償化し、大学の奨学金を大幅
に拡充。年金・医療の項目では「年金通帳」で消えない年金。年金制度を一元化し、月額7
万円の最低保証金の実現。後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍に増加。地域主
権では「地域主権」を確立。その第一歩として、地方の自主財源を大幅に増額。農業の戸
20
別所得補償制度を創設。高速道路無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気に。雇用・
経済の項目では中小企業の法人税率を11%に引き下げ。月額10万円の手当付き職業訓練制
度により、求職者を支援。地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育成。など、一般市
民からしてみれば私生活に直結した、とても魅力的な政策ばかりである。民主党政権の当
初は、高校の実質無償化及び助成金、生活保護の母子加算を復活、大学生、専門学校生の
25
希望者全員が受けられる奨学金制度の創設などマニフェストを達成していた。
次第に財源捻出に苦しむようになり、天下りの根絶、議員の世襲を禁止、衆院定数を80
削減、待機児童削減、出産育児一時金として42万円を支給、子ども一人当たり月額2万6000
円を中学卒業まで支給などは未達成のままである。
14
待機児童者数グラフ
民主党マニフェスト達成率
31%
実施・一部実施
実施に向けた準備段階
54%
未実施・検討段階
5%
5
以上のように若者にとって有益なマニフェストが少なくはないだろうか? 高齢者医療
制度にいたっては公約を違反している。子育て手当は親向けのものであり当然注目は浴び
る事はない。
このようになったのも人口格差が原因であると考える。
子育て支援。一見すると、達成されたかのようにみえるが現行の児童手当に平行させて
10
実地させただけにとどまり地方自治体と企業に負担を残したのみだ。などなど挙げていけ
ばキリがない。
根本的な問題としてマニフェストの達成率の低さも問題であるが選挙権を得た若者が注目
すべき公約が見当たらない事がないだろうか?車離れが叫ばれる今日において高速道路無
15
料化は若者の共感を得られえいない印象だった。
果たして、このような状況において若者が選挙に関心がもてるのか?
付け加えて老人と中年層中心のマニフェストで関心があるのだろうか?
ここで一つ言える事は、立候補者はもっとも注目される公約を掲げるべきだと言えよう。
5
もちろん関心を持たない我々にも責任がある。
もしこの人口が20代の人口が多ければマニフェストも大きく変わっていただろうと思う。
マニフェストの導入が1999年からのため具体的な例は示すことができないが恐らく私の予
想では少子化でなければ若者よりの公約多かっただろう。
見出しにも書いたが私たちはまだ選挙権を得てまだ数年目である。学校で政党について
10
の十分な教育されてないにも関わらず選挙に行けと言うのも酷な話とおもわないだろう
か?
更に法人税の引き下げなど少し先の未来に投資する案はいくつかあるが、それでも一番
大事な「消えた年金」と賃金の引き上げの公約が全くとまではいわないが守られていない。
15
http://www.elicnec.com/enquete/analysis2012_1/ana2012-1.htm
何より大事なことは未来の日本のための少子高齢化対策である。出生育児金などは守ら
れているようにみえる。だが待機児童を減らせていない点などに眼を向けると外面的には
20
公約は守られているように思う。
後期高齢者医療制度は名前を変えるのみにとまっており若者が老人優位の政治を行って
いるのではないかと考えてしまっていると思う。だからと言ってどこも同じ色の公約ばか
りでどうせ一票も入れるも、入れないとの差を感じない。
このように小さな点が重なり合って投票率の低さと政治不信を煽っている。
25
16
3章
少子高齢化社会
3.1 少子高齢化対策
5
日本の社会のいま急速な人口構造の変化を経験しつつある。そのひとつの側面は高齢化
であり、いまひとつは少子化である。
1970年代頃から加速した高齢化のスピードが他の先進諸国が経験したことのないほど速く、
また、2020年頃には高齢化率(65歳以上人口の比率)が27%を超え、人類史上未踏の段階に
入っていくことが知られている。この数字は社会経済的に重大な意味を帯びているだけで
10
なく、私たちに大きな挑戦を投げかけている。
高齢化のこのような進展は、ひとつには高齢者の寿命が延びたこと、そしていまひとつ
は社会におけるそうした高齢者の比重が高まることを意味している。昔から 80 歳代や 90
歳代の高齢者はいないわけではなかったが、その数はごく少数であった。ところが、高齢
化の進化の中で、そうした高齢者の数が著しく増加し、社会的にも、経済的にも、大きな
15
問題を投げかけるようになった。
3.1.1 何故少子化が進むのか
20
大きな原因として出生率の低下が挙げられる。出生率の低下は「家族機能」の変質とい
う社会現象のごく一部に過ぎない。かつての農村社会に代表される家族は、生産、労働は
もとより家事、育児、教育、介護といったさまざまな機能を有しており、家族構成員がそ
れらを全力で支えることが家族存続の原則であった。しかし、都市化や産業構造の変化は、
生産・労働機能を家族の粋組みから追い出してしまい、家族はそれまでのようなワーキン
25
グ・グループとしての性格を失ってしまった。これに伴い、父親は家族の外で生産活動を
営むようになり、父親が直接的に(家族の中で何らかの役割を担って)家族を支えるといっ
た構図は崩れている。さらに女性の社会進出は、従来母親が家族機能を維持するために注
いできたエネルギーをより外部に分散するといった事態を招いている。その結果、家族の
中に残された出産・育児・教育、介護等の供養機能は、もはや1単位の家族では支えきれ
30
ないほど大きなものとなっている。
合計特殊出生率1.40という数値は、供養機能の中でも出産・育児・教育に関わる機能負
担が現代家族にとって限界に達していると言う事を、私たちに警告しているのかもしれな
い。これらの「家族機能」低下を問題意識の基盤とし、近年の出生率低下の原因を実証的
に分析するものである。また実証結果を踏まえ、出生率回復への政策効果についても考察
35
する。
17
3.1.2 少子化を食い止めるには
少子化の原因は一般的に未婚化、晩婚化、晩産化だと言われている。たしかに1980年以
5
降、未婚率や平均初婚年齢、出産時平均年齢は上昇している。未婚化や晩婚化、晩産化の
背景には、仕事と育児を両立できる環境整備の遅れ、核家族化による育児の負担感の増大、
高学歴化による教育費負担の増大、女性の就業率上昇による結婚・出産の機会費用の増大、
結婚・出産を軽視する価値観の広まり、雇用情勢の悪化によるニート・フリーター等の経
済的に不安定な若者の増加、などなどが指摘されている。
10
少子化対策の考え方としては、少子化を食い止めようとする「阻止論」と、少子化を受
け入れその上で対応していこうとする「対応論」がある。たとえば内閣府は、「対応論」と
して「人口減少化に関する研究会」を催し、女性・高齢者の就職率の上昇、生産性の上昇
などによって少子化のマイナス面を補うことが可能であるという試算をしている。しかし
対応論は消極的対策論であると以前は言われており、それよりも積極的対策を急げという
15
声が強かった。現在の日本政府は主に「社会の整備による阻止」を行おうとする姿勢をと
っている。政府・財界では、高齢者の増加による社会保障費の増大や、労働人口の減少に
より社会の活力が低下することへの懸念などから抜本的な対策を講じるべきだとの論議が
盛んとなった。そこで政府は1995年度から本格的な少子化対策に着手し、育児休業制度の
整備、病気の子どもの看護休暇制度の普及促進、保育所の充実などの子育て支援や、乳幼
20
児や妊婦への保健サービスの強化を進めてきた。
エンゼルプラン---少子化対策として政府が策定した子育て支援計画。1994年12月、文
部・厚生・労働・建設省4大臣の合意によって「今後の子育て支援のための施策の基
本的方向について(エンゼルプラン)」が策定され、政府の子育て支援対策は本格的
にスタートした。
25
緊急保育対策等5か年事業---エンゼルプランの一環として策定された事業。プランをよ
り具体的にするため数値目標が設定された。
少子化対策推進基本方針---エンゼルプランを引き継いで、1999年12月、少子化対策推
進関係閣僚会議において定められた
新エンゼルプラン---少子化対策推進基本方針に基づき「重点的に推進すべき少子化対
30
策の具体的実施計画について(新エンゼルプラン)
」(2000年度~2004年度)が、大
蔵、文部、厚生、労働、建設、自治6大臣の合意によって作成された。保育、保健医
療体制、地域や学校の環境、住まいづくり、さらには、仕事と子育て両立のための
雇用環境整備、働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是
正などの考え方も盛り込まれた幅広いものとなっている。
35
しかし、これら政府の対策では十分な効果が上がらず、2003年の調べによれば、2002年の
合計特殊出生率が1.32から1.29へさらに低下し、第二次世界大戦後初めて1.2台に落ち込ん
18
だ。社会保障制度の設計や将来の経済活動などの影響、年金制度改革について政府・与党
が公約した「現役世代に対する給付水準50%の維持」も、前提とした数値1.39が揺らぐ(少
子化による高齢化社会)懸念が一層強まり、
「1.29」は社会にショックを与えた。
「女性
の多くは、本音では子どもを産みたいと望みながら、社会的・経済的に子どもを産みにく
5
い状況に置かれている」という指摘もある。2003年のある調査では、夫婦の理想とする子
ども数は平均2.5人でありながら、実際の子どもの数は1.33人にとどまっている。このため、
公共保育施設の増設や産休、育休時の給与補助、男性の出産・子育てに対する意識改革の
促進などを始め、抜本的対策を国に求める声は、政財官界を中心に根強いものがある。最
近では2003年7月23日、超党派の国会議員による議員立法「少子化社会対策基本法」が参議
10
院本会議で可決・成立し、9月に施行されている。衆議院での審議過程で女性議員から「結
婚など個人的な領域に踏み込み、女性の自己決定権の考えに逆行する」との批判があった
が、与党と民主党が前文に「結婚や出産は個人の決定に基づく」の一文を盛り込むことで
合意して修正された。基本法は少子化社会に対応する基本理念や国、地方公共団体の責務
を明確にした上で、安心して子どもを生み、育てることのできる環境を整えるとしている。
15
3.2 少子化対策
3.2.1 子供の産みやすい環境を作り
20
日本の国が将来とも繁栄していくためには、子供の出生率を増加させ、健全に育てなけ
ればならない。今日、少子化については、社会的に非常に重大な問題として認識されるよ
うになり、なぜこのような事態が発生したのか、また、これに対していかなる対策が必要
であるのか等が論じられるようになってきた。少子化の要因としては、女性の社会進出や、
25
価値観の変化、高額な教育費など、様々な社会的・経済的要因が指摘される。国も様々な
政策を実施しているが、少子化の複雑性や政策が実施されていない部分もあり、現時点で
は顕著な効果は表れておらず、少子化傾向に歯止めがかかっていない。
学校教育に関しても信頼が薄れている。塾に通っている生徒が激増していることからも
明らかだが、学校に対する信頼がない。また、モンスターペアレントなどの一部の声の大
30
きな者の意見がまかり通っていて良い教育を施せていない。
教育に関する一般の話題というのは、明るいものが少ない。どちらかというと、毎日実践
されていることではなく、子どもや教員をめぐる事件が大きく報道される。その結果、そ
れが課題としてとらえられる。例えば、いじめにかかわる事件が起これば、学校の管理や
教員の指導、家庭教育などの課題と関連付けられ、その対応策が練られることになる。教
35
員が起こす事件も同様だ。2008年6月に発覚した大分県の教員採用にかかわる汚職事件も、
一教育委員会の問題にとどまらず、公教育全体の信頼を大きく揺るがした。明るみになっ
19
た問題を氷山の一角と考えて、全体を点検しようとする姿勢は、否定されるものではない。
それによって改善される部分があるとすれば、歓迎すべきことだ。とはいえ、悪いところ
にばかり注目が集まるのは、どうしても暗い気持ちになる。また、教育のイメージを悪い
ものにする。今や、
「日本の学校は優れている、先生は素晴らしい」と、手放しで賞賛する
5
人は、少数ではないかと思える。
3.2.2 景気回復・雇用安定
10
新聞やテレビのニュースでよく見聞きする経済用語のなかで、もっともポピュラーなも
のの一つが、景気対策や不況対策という言葉ではないでしょうか。景気が悪い、デフレだ、
失業率が最悪だ、などといった記事やニュースに関連して必ずといっていいほど出てくる
が悲観するだけで終わっている。不景気に対して政治的アプローチの話はほとんど出てこ
ない。
15
将来に不安があれば子供なんか産んでいるところではない。子供を産むためには金銭的
余裕だけではなく、将来にたいする精神的ゆとりも必要だ。
日本の企業社会においては、終身雇用・年功序列・企業内労働組合を三本柱として、長
期的な安定雇用の中で自ら籍を置く企業体を疑似的に家族になぞらえ、そこで利益の追求
と退陣関係欲求を共に満たしていく組織の在り方・・・いわゆる「日本的経営」が一般的
20
であると広く信じられてきた。こうした日本企業のありように関する人々の認識は 2000 年
頃から急速に転換し、それが社会全体にさまざまな影響をもたらしつつあるわけだが、こ
れが若者にどう影響するかということに当面的に的を絞っていうなら、
「組織はあてになら
ないにもかかわらず、組織によって自分自身が拘束される人生は割に合わない」という意
識が広まっている。
25
高校なり大学なりを卒業した若者は、「就職するべきだ」という社会的圧力を受ける。真
面目な学生たちはそこで必死に就職活動(就活)をする。しかし若年層の雇用環境が急に
好転するわけではないから活動は相当にハードだ。そんなハードな就活を乗り越えてめで
たく内定を得た人たちの企業観は、昔と比べるとかなり違う。極端に言えば、若者は学卒
で最初に入社する会社が自分の生涯を保証してくれるとは毛ほども思っていないのだ。最
30
近ではテレビをつけるとパナソニックやシャープが何千何万単位のリストラを行っている
様子が流れている。若者にとって日本はつねに不況の状況が続いているのだ。
上の世代の人たちは若者に、
「こういう厳しい時代だからこそ頑張って勉強して、いい大
学に入って就職準備をして、少しでも安定した企業に入れ」とアドバイスするかもしれな
い。しかしその「少しでも安定しているはずの企業」が従業員の雇用や定期的昇給を保証
35
してくれないことを若者はよく知っている。
このように「日本的経営」神話の崩壊ははっきり目にみえているのに、日本が「実力主
20
義社会」に向かっていく見込みもなかなか立たない。少なくとも今の時点での若者はかな
り懐疑的だ。結局のところ「日本的経営の崩壊」とは、組織の中で「うまい汁」を吸うご
く一部の人間の生涯を保証するために、それ以外の人たちを都合よく切ったり貼ったりす
ることを正当化しようとしていることだ、と若者の目には映っているかもしれない。
5
若者は、年金・医療・保険など日本の社会諸制度にも根強い不信感を持っている。結局の
ところ、今の若者は、実力にも制度にも人間関係にも頼れず、何を指針としてこれからの
世界を生きていけばわからなくなっているのだ。
こんな現状では子供なんて作っていられない。自分の生活だけで精いっぱいだ。
10
3.3 外国での少子化対策
フランスでは 1980 年から出生率が急速に下がり、政府が出生率を 2.07 まで改善させる目
標を定め、その対策に
15
●保育ママ制度
女性の勤労と育児を両立することを可能とする。
●N 分 N 乗税制
子どもが多いほど課税が安くなる。
●「結婚」してなくても OK
20
結婚していない事実婚カップルやシングルマザーであっても、社会福祉や公的な利益を、
夫婦と同じレベルで受けることができる。
フランスの少子化対策で注目したいのは、やはり結婚しなくても OK なところ。
結婚にとらわれず、自由なライフスタイルを実現できます。それでいて、普通の家族同様
の手当てを受け、安心して子育てすることができ、子どもが増えれば税金が安くなるのも
25
お得である。
しかし、フランスの家族政策への財政支出は日本の 5 倍近くになり、財政事情は厳しいと
言われていて、リスクもある。
しかし、家族政策の支出は「国の将来を見据えた投資」とみなされており、子育てを社会
全体で支えるための高いコストが支持されている。
30
また、イギリスやスウェーデンなどでも、労働環境を改善することにより、子育てをしや
すい社会づくりや、教育に関しても、予算を増加させ、NPO による教育支援を受け、教育環
境を整えた。今の日本にできることかどうかは定かではないが、少子化を改善するには今
のこの社会を根本的に変えていかなければならない。
21
○このグラフで分かるように、わが国を含む欧米等の先進地域では、合計特殊出生率は人
口置き換え水準(2.08 前後)を下回っていて、欧米諸国等の合計特殊出生率の動きをみる
と、1960 年代まではすべての国で 2.00 以上の水準にあったにもかかわらず、1970 年代か
5
ら 1980 年代頃にかけては全体として低下傾向となっていったが、1990 年代以降は独自の動
きを見せており、アメリカ、スウェーデン等では合計特殊出生率も高まってきており、人
口置き換え水準である 2.08 前後を上回っているのが分かる。
United Nations, "World Population Polices 2003".
合計特殊出生率は E.U "Eurostat", U.S.
10
Department of Health and Human services "National Vital Statistics Report",厚生
労働省「人口動態統計」
。
○自国の出生率の評価として、フランス、ドイツ、イタリアは、
「低すぎる」と認識してい
る一方、スウェーデン、イギリス、アメリカは「満足な水準」と認識している。
22
○政策スタンスを見ると、フランスだけが「回復させる」としているが、他の国は「介入
しない」というスタンスである。わが国では、出生率は「低すぎる」との認識であり、政
策スタンスとしては、
「介入しない」から、最近になって「回復させる」になっている。
○西欧諸国では、児童手当のような経済的支援策や、保育サービス、育児休業制度のよう
5
な仕事と育児の両立支援策について、低下した出生率にどのように対応するかという「少
子化対策」というよりも、子どもやその家族に対して支援を行うことを目的とした「児童・
家庭政策」として位置づけ、長い歴史の中で施策が展開されている。
○育児休業制度はヨーロッパの主要国各国で制度化されているが、スウェーデンでは男女
10
とも8割前後と、特に取得率が高くなっている。その背景として、育児休業中の所得保障
制度の充実(賃金の 80%が保障されるほか、企業が独自の上乗せ給付を行う場合がある)
と、代替要員の確保等、育児休業を取得しやすくする体制が整っていることが挙げられる。
23
働き方の見直し
○イギリスでは 2000 年から「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)キャンペー
ン」を始めている。
「仕事と生活の調和」を進めることにより、労働者にとっては生活の質
24
の向上につながり、企業にとっては競争力を高め、業績向上につながるとしている。
○仕事と生活の調和策は、出生率の向上を直接の目的としているわけではないが、近年の
イギリスの合計特殊出生率の水準(1.7 程度)をみると、働きやすい環境の整備が、結果と
して出生率の回復に寄与しているのではないかとみられている。
5
保育サービス
○スウェーデンでは、コミューン(市町村)の責任の下で保育サービスが充実しており、
1~5歳人口の約8割がサービスを受け、待機児童は解消しているといわれている。また、
フランスでは、在宅での保育サービスが発達しており、一定の要件を備えた者を登録する
10
「認定保育ママ」が保育需要の約 8 割を担っているとされる。
経済的支援(児童手当・税制)
○欧米の主要国の中では、わが国と比較して、給付水準が高い児童手当等の経済的支援策
が行われている。経済的支援が最も手厚いと言われているのがフランスである。フランス
15
の家族給付は、企業からの拠出、一般社会税、国庫からの拠出など、幅広い負担を財源と
する「家族給付全国公庫」が担っており、いわゆる児童手当も含めて 30 種類もの手当があ
り、経済的支援の水準が極めて高い。また、フランスの税制はN分N乗方式が用いられて
おり、累進課税が高い場合、子どもの数が多くなるほど所得税負担が緩和されることとな
る。
20
25
26
アジアにおける出生率の動向
○東アジアの主な国・地域の合計特殊出生率の動きをみると、1970 年では、すべての国・
地域でわが国を大きく上回る水準であったが、その後低下傾向となり、2004 年では、タイ
を除いてわが国の水準を下回っている。
5
アジアの主な国・地域における少子化対策の動向
○アジアの主な国における出生率への評価と政策スタンスを見ると、韓国、シンガポール
等で、自国の出生率を「低すぎる」と認識し、「回復させる」政策スタンスをとっている。
○韓国では、少子・高齢化対策を国の重要課題のひとつと位置付け、大統領府に専門の委
10
員会を設置して、
「少子・高齢社会対応のための国家戦略」を策定し、少子化対策を進める
こととしている。
○シンガポールでは、国営の「お見合いセンター」の運営や、ベビーボーナスやきめ細か
な税制上の対応等、ユニークな少子化対策を展開している。
○中国では、1970 年代から「一人っ子政策」をとり、人口増の抑制の効果をあげてきたが、
15
近年ではその問題点も指摘されている。
27
4章
若者の投票率の低下
4.1 なぜ若者の投票率は低いのか
5
近年、若年の選挙離れと投票率低下が問題視されている。その結果、政党や政治家は投
票率の高い高齢者の声に耳を傾けがちになり、若者の声が政治に届きにくい。少子高齢化
が進む日本において、雇用や世代間格差などの問題で政治から置き去りにされているのは
若者である。また、現在、政治的無関心の低下問題は顕在化しており、政治と生活は密接
に関わっているが、なかなか目に見えないモノでもある。また、子供の頃に政治に興味を
10
持つような教育を受けていないのが1つの原因だと言える。若者は、遊びが生活の中心で
あり、就職や結婚を経て日常の生活に重心が移っていく。さらに、日本では個人が政党・
候補者を選ぶというより、所属する組織が政党・候補者を選ぶ傾向が強く、票の大半を組
織票が占めている。つまり、選挙は仕事や地域活動などに密接に結びついている。だが、
若者は自分が投票にいかなくても生きていく上では困ることがないと考えている者が多く、
15
また選挙候補・政策・政党に対する理解度が低く若者の中での選挙の優先順位が低い事が
選挙に行かない大きな原因になっている。また、若者の投票率低下に伴い老人への政治プ
レゼンスが高まり、選挙時の候補者の目的を当選ないし政権獲得とするならマニフェスト
などの政治プレゼンスは投票率の高い老人側に偏ってしまう。その結果、若者の意見が通
りにくくなり、また若者は、「政治家は若い世代に興味がないので、投票する意味がない」
20
と思って、選挙離れが悪化するという悪循環に陥っている
28
【図表 1】衆議院選挙年齢別投票率の推移
(出典:財団法人明るい選挙推進協会「衆議院選挙 投票率の推移」)
5
4.2 何故若者は政治的関心が低いのか
近年の世代別の投票率は 20 代で最も低く、年代とともに上昇し 60 代で最高を記録する。
全世代の中でも、若者の投票率は非常に低いと言える。明るい選挙推進協会の調べによる
10
と、
平成 21 年の衆議院選挙の投票率は全体で 69.28%だが、
20 代では 46.66%となっている。
その一方、年代別で最も高い 60 代は 85.04%と、20 歳から 24 歳の投票率と比べると約 2
倍近い投票率となっている。
→この結果、政治プレゼンスが老人側に傾いている。
・まだ、政治と自分の生活が密接に関わっているという実感が沸かない
15
(といっても、昨今の格差問題で、だいぶ注目しているとは思いますが)
・政治や政治家に対する期待を諦める
(格差問題や雇用問題など、若者を苦しめる問題に関して、まだ改革が進んでいません。
逆に、小泉政権は格差社会を当然のように考えていましたし、それを継承するとされる安
倍政権も、小泉時代の呪縛から逃れられるか、心配なところです)
20
・財界や財界人、実業家に対する不信感
29
(偽装請負や二重派遣など、法を無視する酷い労働環境が平気で行われています。そして、
それに異を唱える者を弾圧しようという資本家が多いためです)
・労働組合の活動に対する不信感
(旧国鉄や JAL のように、労組が会社で働く仲間の利益を代弁し、経営層と調整する場で
5
はなく、何でもひたすらに経営層に逆らう無意味な活動に徹していたり、特定の政治イデ
オロギーに固執して、組合員の政治的信条を無視している幹部が多いこと。そして、旧国
鉄の順法闘争のように、同じ労働者に迷惑かけても平気、
「自分さえよければ OK」という組
合活動に、経営層も大部分の労働者も嫌気をさしたという事情があります
×政治離れ → ○政党離れ(どの政党でも変わらないという考え)
10
若者の選挙離れが進むと政治家も若者を相手にしなくなり、結果政策が高齢者寄りになり
さらに若者が興味を失う
4.2.1 若者に対する世間の常識
15
国政選挙が近づくと、マスメディアはあたかも「投票に行こう運動」の様相を呈する。
この運動の最大のターゲットになっているのが若者だ。公共の媒体では、新聞の見出しや
テレビのキャスターや有識者達が「若者はもっと政治に関心を持つべきだ」と口をそろえ
る。
「若者は政治の重要な利害関係者であるはずだ。年金問題にせよ税制問題にせよ、これ
20
ら政治的問題は若者自身の生活や将来設計に直接かかわっている。だから若者は政治に関
心をもって参加する欲求の必要がある。ところが現実は年齢が相対的に高い層と比べ、若
者は政治的問題そのものに対して関心を示している風には見えないし、さらにはその就業
的意思表示としての投票行動という形にも結び付いていないようにみえる」こういう認識
に基づいて、若者に政治参加を呼び掛けるような発言や論説がテレビ・新聞・総合雑誌な
25
どで展開されているわけだが、何故若者の政治的関心に対するそういった「世間の常識」
が存在するのだろうか。何故若者は本当に政治的関心が低いと思われているのだろうか。
「俺は政治なんて関係ないさ」という若者が多くいることは確かであるが、その理由を
追及していくと、
「政治には期待できない」
「政治家は汚い」
「政治よりほかにもっと面白い
ことがある」など若者なりの理由を持っている。一度は政治を理解しようとしてみたうえ
30
で、結果として政治に関心がもてないことを合理的に理由づけているわけだ。また、日常
生活の中の何気ない出来事の背景には政治問題があることを知り、それがきっかけでにわ
かに政治に関心をもつ若者も決してすくなくないはずだ。それなのに何故若者に政治的関
心が低いといわれているかというと、若者は社会の雰囲気の中で政治嫌いにさせられてい
たり、あるいは政治に関心を持つうえで必要な知識が適切な形であたえられていなかった
35
りすることの影響が大きいのではないかということだ。
そもそも政治的関心をない荷によって測るのかということだ。
「若者が政治に関心が低い」
30
と主張する議論の大部分は、政治的関心の指標として投票率を用いている。典型的なのは
「20 代の有権者はほかの年齢層に比べて投票率が顕著に低い。だから政治的関心が低い」
というような主張である。しかし、よく考えてみるとこの議論はあまりに雑である。選挙
での投票は国民の権利であるが義務ではないからその権利を行使するか否かは基本的に
5
個々人の合理的選択によって決定される。その際に有権者が「政治に関心はあるが、投票
するに値する候補者がいない」とか「どの候補に投票しても影響がない」と判断すれば投
票によって得られる便益が投票行為に伴う時間のコストに舞わないため権利を行使しない
ことが合理的選択になる。
10
4.2.2 投票率は政治的関心と結び付くのか
「若者の投票率が高年齢層と比べて低い」ということもって「最近の若者は政治に関心
がない」とか「若者はもっと投票所に雪、自分たちの主張を投票という行動によって表明
15
すべきだ」と主張し、さらには投票に行かない若者の社会問題に対する意識の低さや、は
てはその知識水準の低下を暗示するような社会的言説が一般に何故広まっているのか。
こうした言説は中高年層のみならず、若者自身にも受け入れられている。若者は「どうせ
政治なんてつまらない」
「自分が投票したって何も変わらない」という自分たち自身の感じ
方をこうした社会的言説と結び付けることによって自分たちは政治に関心がないと信じ込
20
み、さらに政治から距離を置く自分たちの行動を正当化する論理を導き出しているのでは
ないだろうか。
「若者は政治に無関心だ」という社会常識が、若者を政治から遠ざけている。
4.2.3 社会常識はだれが作っているのか
25
社会の中で「知」を生み出す立場にある人は一定の知識教育を身に着けているが、それ
はそれなりの時間が刈るためそれなりの年齢に達しなければ「知」の作り手側にはなかな
か立てない。こうして特定の社会のメンバーは知識の生産者側と消費者側にある程度わか
れるのが普通だ。生産者はごく少数で、消費者は圧倒的多数だ。いわば知識に関する強者
30
と弱者の区別が生まれるわけであり、そしてこれが年齢と強い相関関係を持つことは否定
できない。
むろん「知」を生み出すうえで若さが常に不利というわけではないが政治分野に関して
言えば「知」を生み出す側にたつことはかなり難しいのであり、政治分野における「知」
の「生産者と消費者」
「強者と弱者」という構造はほぼそのまま「年配者と若者」という対
35
立構造をうみだすことになる。こうして年配者と若者は政治分野において非対称性を持つ
ことが避けられない。
31
4.2.4 若者は社会が期待する若者を演じる
社会が期待する若者とは、「政治的関心がない」「投票に行かない」若者である。メディ
アはこうした報道を繰り返し行うことにより、ますますそうした現実を強化することに明
5
らかに一役買っている。
「最近の若者はどうやら政治に関心がないらしいから、自分が選挙
に行くのを煩わしく思うのも当然だ」という意識が若者自身の中に生じ、それが投票や政
治参加に消極的な自分自身を納得させるロジックにつながってしまっている。
また、メディアが繰り返し「トウヒョウニイコウ」と繰り返しても、大部分の若者にと
ってはメディアから発信されるメッセージは年寄りの理論と感じざるを得ない。たとえば、
10
高名なニュースキャスターがテレビで「若者は投票に行くべきだ」と発信した場合、この
発信がどんなに高い見識に基づいてなされたものであったとしても彼らは知の作り手とし
て強者の立場にあり、何万人もの人々に自分の考えを伝えることのできる特権階級である
こと自体若者が彼らの発信を素直に受け取れない要因となってしまう。これまで散々政治
不信を若者に吹き込み、こんな世の中にした責任の一端があるはずのメディアから散々に
15
「政治に関心をもて」
「投票に行こう」と言われても多くの若者にとって彼らのメッセージ
は胡散臭く感じられ、反発やいっそうの無関心を助長する。このようにして若者は社会の
期待する若者像を受容し、現実に演じてしまっている面もあるのだ。
知識の生産・媒介のプロであるマスメディアがそんな基本的な点を見落とすはずはない
という見方をするならば、ここにはなんらかの深謀遠慮があるという考え方も成り立つ。
20
たとえば、マスメディアは自らが政治のインサイダーであり政府与党と共存共栄関係にあ
ることを十分に意識したうえで「若者の政治意識の低さ」を訴えて若者の反発、またそう
演じさせることにより、若者の政治の場から当座ケル確信犯としての役割を演じていると
考えるには十分に合理的だ。
これは邪推だろうが、そう思いたくなってしまうほどメディアは若者の政治的関心に関
25
する知識の社会過程に鈍感のである。
32
4.3 若者の政治的関心を高めるには
4.3.1 教育
5
我が国の将来を担う子どもたちにも、早い段階から、自分が社会の一員であり、主権者
であるという自覚を持たせることが重要である。しかしながら、現在の学校教育において
は、教育基本法第14条第1項が「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重
されなければならない」と政治教育の重要性を謳っているにも関わらず、同条第2項が「法
律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治
10
活動をしてはならない」と政治的中立を要請していること等から、学校の政治教育には過
度の抑制が働き、十分に行われてこなかった。小、中、高とも政治・選挙に関する教育の
時間は限られており、政治や選挙の仕組みは教えても、選挙の意義や重要性の理解、社会
や政治に対する判断力、国民主権を担う公民としての意欲や態度を身につけさせるのに十
分なものとはなっていない。特に、政治的中立性の要求が非政治性の要求と誤解され、政
15
治的テーマ等を取り扱うこと自体が避けられてきた傾向にある。
そこで、学校教育の中で選挙の重要性を伝えていく解決案として、現在、小・中・高を対
象にした出前講座の実施や、大学生とともに啓発活動を行う選挙啓発カレッジのような参
加型の有権者教育の充実が不可欠である。
20
4.3.2 政治への不信感を取り除く
若者の投票率が低いこと=政治に対する意識が低いのであろうか。若者の政治や投票に
対する意識を確認してみたい。第 8 回世界青少年意識調査によると、日本の青少年の政治
25
への関心は「非常に関心がある」が 11.7%、「まあ関心がある」が 46.2%であり、「関心が
ある」グループの割合は他の国と比べて最も高い。この結果から、日本の若者が持つ政治
に対する意識が決して低いとは言えない状況であることが分かる。では政治的関心はそん
なに低くないのに投票率は低いのか。理由の大半は有権者が政治家に不信感を抱いている
からである。政治家による汚職事件、女性問題などのスキャンダル等の報道によって政治
30
家そのもののイメージが悪くなっており、30 年後、40 年後の日本の未来を担うはずの若者
世代は、長期的な展望の無い現在の政治や政治家に対して政治や政治家に対する期待を諦
め、不安や不信感を根強く抱いている。
33
4.4 投票率を上げるには
4.4.1 インセンティブの付与
5
投票率向上の1つの案としてインセンティブの付与がある。投票することに対して何ら
かの大きなインセンティブを付与することは投票率向上には効果的であると考える。例え
ば、韓国では投票率を上げるために、選挙管理委員会が投票者に対し国公立有料施設の利
用料金を免除または割引する等のインセンティブ付与を策定できるよう規定した。また、
日本でも、大手ホテルチェーンなどにおけるキャンペーンの一環として、投票済証明書を
10
活用した割引サービス、一部地方では地元選挙管理員会の協力の下、投票日の 11 月 9 日か
ら 17 日の間に「投票済み証」を持参した買い物客には、同商店街が配付しているクーポン
券「アイリスシール」を通常の 2 倍配付するとともに、歳末大売り出しの抽選スタンプを 1
個押すというキャンペーンを実施するなどが行われており、今後の展開が期待できる案で
ある。
15
4.4.2 インターネットによる選挙活動
現在の日本では、原則として禁止されているが、若者の投票率向上に最も有効的な方法
20
としてインターネットによる選挙活動である。アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・韓国
の 5 カ国でインターネットによる選挙活動はすでに実用化されており、アメリカでは個人
献金の上限が底上げされ、ネットによる寄付金や献金も増大。さらに、SNS や選挙の感ペー
ンサイトなどの双方向的なメディアを利用した選挙活動が行われ 20~30 代の投票率は上昇
した。また、韓国でも既存のメディアを捨て twitter など選挙参加を促進させ、ネット放
25
送局などで情報発信を行うことにより 20~40 代の投票率が上昇したという結果がある。
4.4.3 その他の諸外国での対策
30
・ブラジルやオーストラリアやベルギーなどで投票は義務
・オーストラリアでは投票しないと、罰金が課せられる
・ベルギーでは長期間にわたって投票しないと、投票権が政府に奪い取られる
など様々な制度がある。
34
5章
投票システム
2 章より若者と年配者における投票格差の現状をご理解いただけたと思う。ここでは若者
と年配者の一票の格差を是正できる投票システムについて考えていく。
5
5.1 成人を 18 歳以上に引き下げる
成人の規定を 20 歳以上と置いている日本は、諸外国と比較すると奇異な例だ。20 歳とい
10
うと、僕たち大学生に照らし合わせると 3 回生ることに訪れる歳である。大学生を堪能し
ていたらいつの間にか選挙権が与えられる、という具合だ。筆者にも言えることではある
が成人という実感があまりない。
成人の規定を 18 歳以上に引き下げた場合を考えてみる。高校の卒業という節目と同時に
成人になることにより、現状よりも大人としての実感を得られるのではないだろうか。大
15
学に進学するにあたっても「成人として、社会人として尚勉学に励む」という意識が高ま
り、政治的関心がますだろう。日本の大学生は、大学に遊びに行き学歴ももらえるという
考えのもと進学する割合が高いらしいが、18 歳からに引き下げることにより「勉学の場と
しての大学」という認識が広まるのではなかろうか。
20
5.2 投票システムの見直し
人口による投票の格差を是正するシステムを考えてみたところ、アメリカ上院議員数の
決め方と、国連総会の投票システムを参考にできそうなので調べてみた。
25
・アメリカ合衆国の上院議員数の決め方は、1 州 2 名である。これは州の大小にかかわらず
一律 2 名である。
・国連総会の投票システムは一国一票が原則である。これは国の人口の大小にかかわらず
一国一票である。
これを参考に、
前項目で提案した 18 歳以上が選挙権を持つ状況での投票システムを考える。
30
35
5.3 年齢別代表制
現行で行われている投票システムは「小選挙区制」と「比例代表制」だ。これに「年齢
別代表制」を加えることを提案する。
5
小選挙区制:1 選挙区から 1 名の当選者を選ぶシステム
比例代表制:得票数に応じた議席配分システム
年齢別代表制:1 年齢区から同一数の投票者を選ぶシステム
人口の違いによる投票格差をなくすシステムを考える。現在は人口の違いにより投票の
格差が生じている現状なので、年齢区分間の政治力を同じになるよう当選者数を設定する。
10
つまり年齢区分間の政治力は同じにするということだ。
年齢区分
人口(1000 人)
人口比率
政治力比率
人口比に対する政治力
18-25
10,246
9.61
14.29
1.49
26-33
12,434
11.66
14.29
1.23
34-41
15,304
14.35
14.29
1.00
42-49
13,055
12.24
14.29
1.17
50-57
12,578
11.80
14.29
1.21
58-65
15,194
14.25
14.29
1.00
66-
27,818
26.09
14.29
0.55
合計
106,629
100.00
100.00
1.00
最近では小選挙区の議席数を減らすという議論が活発なのでついでに減らしてみる。
現在議席数は 480 あるので、小選挙区 160 席、比例代表 160 席、年齢別代表 160 席なんい
15
ていかがだろうか。
36
まとめ
世の中に格差は「地域間格差」
「男女間格差」
「世代間格差」「情報格差」などいろいろ存
在する。本レポートでは若者と年配者における人口間格差について論じた。若者と年配者
5
間には社会保障を筆頭に格差があり、政治的イデオロギーの違いが存在する。
一票の格差とは「人口」
「有権者数」「投票者数」の3つにおいて違いが一票の格差を生む
ということより、少子高齢化社会をたどっている日本には若年者と高齢者における一票の
格差が存在すると言える。
本レポートでは若年者と高齢者における一票の格差を是正すべく「若者の投票率を上げ
10
る」
「少子高齢化対策」
「年齢別代表制」の3つの解決策を掲げた。
大事なところを見失い上辺だけの公約を付き合い「消える年金」をさらに私たちは積み
上げなければならない。将来を明るくしようにもクリーンな政治はいつになるのだろうか。
どれだけ寛容な人も拭うことができない政治への不安との生活が待っている。一向に縮む
ことない地域間、世代間格差。さらに若者と老人との間に政治思想に対する違いが発生し
15
ていた。通常「一票の格差」で定義される「人口」
「有権者数」「投票者数」の3つの視点か
らすべて捉えた。結果、私たちは、
「政治への無関心」「人口の格差」
。それこそが一票の格
差を生むと考えた。しかし簡単には人口の是正を行うことはできない。もちろんすぐにで
きるとも思わない。そして、若者不利、老人有利と言われる現状。だらしない政治に若者
が興味をもつだろうか。破られる公約「高齢者医療制度」。
20
側面には少子高齢化問題。解決するには相応の時間や解決策さらにはお金も掛かるだろ
う。だからと言っていつまでも手をつくねているだけでは何も解決しない。
今我々が考える最善の策は、データをみればわかるように政治への興味をもち今の選挙
制度のあり方について議論することだ。
興味を持たない事には疑問も生まない。賛成意見も反対意見の存在もない。いつまでも
25
若者同士の意見がない状態では格差が広がる一方だ。
世代間格差に焦点を合わせた対策を練りだした。年齢別代表制だ。この法則に従うこと
により。人口比率の是正が可能になる。このことにより、若者、中年、年配者のそれぞれ
の政治への不満解消に繋がり、政治への希望も多く望めるように。全員参加型である民主
政治の本来あるべき姿を取り戻すべきだ。
30
37
あとがき
未熟ながらもここに解決策を置いた。もちろんこれが絶対的な策ではないことなどは百
も承知だ。糸口だけでもなればよい。投票に行かない者たちがこの案を知り少しでも興味
5
を持ってくれるだけでもいい。我々はまだまだ若い。万事において知らないことが多い。
時には厚顔無恥な批判してしまうこともある。学ぶことは毎日のほとんどだ。そして少し
ずつ調べ挙げ、幾度となく話し合い政治的思想(イデオロギー)のぶつかり合いの末にこの
文を作り挙げた。
年齢別代表制とは我々にとってフロンティアだ。時には痛みも伴う。皆でそこに向かお
10
う。まだ誰も到達していない、まだまだ未完成の議論だ。
身の丈に合っていなくても、これが全知でありここには我々の今しかない。等身大だと
思いこんでいる。その中でも政治的な批判もある。思想の違いもある。見たものを不快な
思いにさせてしまっているかもしれない。ここに僅かながらお詫びとする。
「無知」とか「小賢しい」などなどの批判的な意見も大歓迎だ。間違いがあれば指摘し
15
てほしい。少しでも疑問に思ったあなたは、迷わず質問すべきだ。我々は書き捨てたりは
しない。答えられなかったなら、見做さずによければ一緒に話し合って貰いたい。
そして少しずつ、少しずつみんなで話し合おう。その輪を広げよう。近年、SNS の普及は、
独裁政権を崩すまでに巨大化した。間口は広いことに越したことはない。どこだっていい。
この機会、他大学生徒に教授たちからの言葉を意見、指摘を多く頂けるだろう。その言葉
20
は今後の学びに対する姿勢にも深く影響する。もちろん話し合うのはみんなだが、学ぶこ
とはいつでも一人だ。だからこそ一人ひとりの力にみんなの力が必要なのだ。
誰かがやってくれるから自分はやらないというのは、自ら蚊帳の外なら論外。ある意味
で民主主義を拒否しているようにみえる。
「原発問題」
「領土問題」
「震災復興」「九条改憲」
「労働基準」「少子化対策」などが次回
25
総選挙での目玉になることが予想される。
今こそ話し合おう。今、若者が選挙に行かずにどうする。
「若者だから」という言い訳は通用しない。日本の未来、自分の未来、子供の未来を明
るく彩ろう。一部の権力者の動かす社会ではだめだ。全員が参加できる社会が必要だ。
自分から行動を起こそう、待っているだけじゃ何も起こらない。アクションしたら手を繋
30
ごう。これからの日本を良くしてゆくも同士。そこには格差も存在しない。世代もない。
今こそ、手を挙げるべき。
38
参考文献
総務省人口ピラミッド
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z19.htm
5
ふざけるな!!復興予算 1 兆円 天下り法人がピンハネ
日刊ゲンダイ http://gendai.net/articles/view/syakai/138156
出典 日本国憲法
一人当たり 10,000 円~15,000 円を支給毎日新聞 2012 年 07 月 27 日
http://xn--vsq38zc8c3xd.biz/kingaku/
10
文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1320190.htm
私立高校の授業料を削
高齢者医療制度。
「後記高齢者医療制度」からの名称変更のみ行われた。
http://manetatsu.com/2012/10/2019/
待機児童減らせず
15
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h22honpenhtml/html/zuhyo/zu2405.html
http://www.jlp.net/news/100101c.html
国民の生活が第一は
実現されたか?
民主党マニフェストの
20
その後を検証
労働新聞
後期医療制度廃止法案、首相が提出先送り認める
www.asahi.com/politics/update/0718/TKY201207180573.html
生活改善要求アンケート
25
http://www.elicnec.com/enquete/analysis2012_1/ana2012-1.htm
財団法人明るい選挙推進協会「衆議院選挙 投票率の推移」
明るい選挙委員会 http://www.akaruisenkyo.or.jp/
ダイアモンド・オンライン
高齢化社会の経済社会
30
http://diamond.jp/articles/-/12273
金森久雄・島田晴雄・伊部英男
少子高齢化・アジア地域統合時代の経済政策
高齢・少子化社会の家族と経済
蛯名保彦
島田晴雄
http://magazine.gow.asia/life/column_details.php?column_uid=00000586
39
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