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[リサーチTODAY]今年は酉年、申酉騒ぐで歴史的な転換に

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[リサーチTODAY]今年は酉年、申酉騒ぐで歴史的な転換に
リサーチ TODAY
2017 年 1 月 10 日
今年は酉年、申酉騒ぐで歴史的な転換に
常務執行役員 チーフエコノミスト 高田 創
時は2017年に移った。2017年(平成29年)の干支は「丁酉(ひのととり)」である。「丁」は、前年の干である
「丙」で盛んになった陽気が続いているものの、その勢いに陰りが見えつつある状況を表す。また、「酉」は
酒を醸造する器をかたどった文字で「成る」、「熟する」などを意味し、物事が成熟した段階にあることを表す。
これらに基づくと、2017年は社会が一段と高い次元で成熟していく中、新しい動きの萌芽が表れ始めてくる
年になるという。そこで新たな転換を展望する。
昨年を振り返れば、年初から大荒れの相場だった。年初から株価の暴落、急な円高。この背景には海外
を中心とした大きな不安があった。第1は、中国発の不安で2016年初、第一次人民元ショック(2015年夏)
に次ぐ第二次ショックが市場を震撼させたことだ。第2は、原油価格の暴落が続き、新興国不安を強めたこ
とだ。米国は2015年12月に利上げを開始したものの、ドル高の影響もあり製造業を中心に減速が顕著にな
っていた。その結果として、第3は、新興国に加え先進国も含めて景気のモーメンタムが停滞するという、世
界同時不況の不安が生じていたことだ。しかも、日本にとって決定的だったのは、米国の減速が為替の円
高となり、日本を直撃したことだった。筆者も、2013年から2015年までとは大きく見方を転換し、2016年は年
初から厳しい年とのメッセージを伝えてきた。
昨年に比べると今年は大きく異なる。そもそも、2016年初の不安材料が後退している。第1の中国発の不
安は目先ではなくなり、逆に今年開催される共産党大会を前にバブル的な過熱感が生じている。第2の原
油相場も昨年に底入れし、さらにOPECの減産合意も加わり市場に安心感が生じ、新興国不安も1年前に
比べ後退した。第3に、半導体市況の改善もあり、新興国に加え先進国の景気のモーメンタムが同時に改
善するという恵まれた環境にある。
更に大きいのは、2016年に極限に達した閉塞感からの世直し的な潮流だ。筆者は、2016年は歴史的転
換の年だったというメッセージを昨年末から用いることが多い。それは、現象面としては長期金利が歴史的
なボトムをつけたことを指す。長期金利の指標である10年国債金利は、日本で年半ばに▲0.295%、ドイツ
では▲0.189%、米国では1.358%と各国で史上最低の水準をつけた。この背景には、日本とドイツはマイ
ナス金利政策の影響が大きいものの、各国ともに、「3L(3つの低い)」、すなわち低成長・低インフレ・低金
利が長引く長期停滞論が意識される未曾有の状況になったことがある。さらに、こうした事態にも関わらず、
経済学に処方箋が見つかっていないことによる閉塞感があった。金融政策は、マイナス金利を含めた極限
的な対処の実施で、限界が意識されることになった。その結果、政策面では、限界に達した金融政策の代
替として、財政政策の活用と、成長戦略を狙う世直しの潮流が生じた。2016年に想定外とされた事象、具
体的には英国のEU離脱(Brexit)や、トランプ現象等が頻発したのは、このような「世直し潮流」による面が
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2017 年 1 月 10 日
大きかったのではないか。
2016年は、下記の図表に示したように、先述の「3L」に象徴される構造問題が底流にあるものの、それら
の構造問題が極致に達したことからの逆バネが「世直し」として、財政拡張への潮流やトランプノミクスに代
表されるプロビジネスの成長戦略に結び付いた。日本では遡ること四半世紀以上前からの閉塞感が、「3本
の矢」という金融・財政・成長戦略を総動員するアベノミクスをもたらしていたが、トランプノミクスも同様の色
彩を持っていると考えることができる。
■図表:世界の成長率とインフレ率
7
(%)
実質成長率
インフレ率
トランプノミクス
6
各国財政拡張
5
資源安一服
4
?
3
2
欧州政治リスク
1
中国構造調整
0
保護主義強化
-1
2003
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
(年)
(注)インフレ率は CPI、2016 年はみずほ総合研究所による見込み。
(資料)IMF よりみずほ総合研究所作成
下記の図表は2017年の内外の主要日程である1。2017年については、欧州の問題が続くものの、世界全
体は上昇のモーメンタムに支えられる一方、日本にとっては見直しの年になるというのが筆者が抱くイメー
ジだ。
■図表:2017年の主なスケジュール
1月
個人型確定拠出年金の加入対象拡大(1)
トランプ米国新大統領就任(20)
7月
G20 ハンブルク・サミット(7~8)
東京都議会議員選挙(-)
マイナンバーを利用した行政機関における
情報連携が本格運用開始(-)
3月
ワールド・ベースボール・クラシック(7~
22)
オランダ総選挙(15)
8月
年金の受給資格期間が 10 年に短縮(1)
4月
フランス大統領選挙(第 1 回 4/23、第 2 回
5/7)
9月
IOC 総会(2024 年夏季五輪開催地決定)
(13)
5月
G7 シチリア・サミット(-)
6月
フランス国民議会選挙(-)
未定
ドイツ連邦議会選挙(8 月~10 月)
(注)カッコ内の数字は日付。(-)は日付未定。
(資料)みずほ総合研究所
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月村拓央 「今月のキーワード/2017 年」 (みずほ総合研究所 『みずほリサーチ』 2017 年 1 月号)
当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき
作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。
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